(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063109
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】車両用開閉体駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/614 20150101AFI20230427BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20230427BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20230427BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
E05F15/614
F16H1/06
H02K7/116
B60J5/04 C
B60J5/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173408
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一幸
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴一
【テーマコード(参考)】
2E052
3J009
5H607
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DA08
2E052DB02
2E052DB08
2E052EA02
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA13
2E052KA15
2E052KA17
3J009DA17
3J009EA04
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA32
3J009EA44
3J009EB24
3J009EC06
3J009FA14
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE31
5H607EE36
5H607FF01
(57)【要約】
【課題】装置の小型化を図りつつ、電動機モジュール及び減速機モジュールの位置精度が向上した、車両用開閉体駆動装置を提供する。
【解決手段】車両に設けられた開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置100は、駆動軸112を有する電動機ユニット110と、入力軸123に入力された回転動力を減速して出力軸124に出力する減速機ユニット120と、電動機ユニット110の少なくとも一部及び減速機ユニット120の少なくとも一部を収容する統合ハウジング130と、を備える。統合ハウジング130は、複数の第1締結孔135cを有する。電動機ユニット110及び減速機ユニット120は、第1締結孔135cを挿通する第1締結ネジ136によって統合ハウジング130に固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸を有する電動機ユニットと、
入力軸及び出力軸を有し、前記入力軸に入力された回転動力を減速して前記出力軸に出力する減速機ユニットと、
前記電動機ユニットの少なくとも一部及び前記減速機ユニットの少なくとも一部を収容する統合ハウジングと、を備え、
車両に設けられた開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置であって、
前記統合ハウジングは、複数の第1締結孔を有し、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記第1締結孔を挿通する第1締結部材によって前記統合ハウジングに固定されている、車両用開閉体駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記車両用開閉体駆動装置は、前記車両に固定される車両取付用ブラケットをさらに備え、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記駆動軸と前記入力軸とが互いに平行となるように配置され、
前記統合ハウジングは、
前記駆動軸が挿通する第1駆動軸挿通孔と、
前記入力軸が挿通する第1入力軸挿通孔と、
前記駆動軸及び前記入力軸の軸方向と垂直に延在する取付壁と、を有し、
前記第1駆動軸挿通孔、前記第1入力軸挿通孔、及び、複数の前記第1締結孔は、前記取付壁に形成されており、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記駆動軸が前記第1駆動軸挿通孔を挿通し、前記入力軸が前記第1入力軸挿通孔を挿通して、前記統合ハウジングに固定されており、
前記車両取付用ブラケットは、前記統合ハウジングの前記取付壁と対向して前記軸方向と垂直に延在するハウジング支持部を有し、
前記ハウジング支持部には、複数の第2締結孔が形成されており、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットが固定された前記統合ハウジングは、前記第2締結孔を挿通する第2締結部材によって、前記取付壁で前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に固定されている、車両用開閉体駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記車両用開閉体駆動装置は、前記電動機ユニットから出力される前記駆動軸の回転動力を前記減速機ユニットの前記入力軸に伝達する変換ギヤユニットをさらに備え、
前記ハウジング支持部には、前記駆動軸が挿通する第2駆動軸挿通孔が形成されており、
前記駆動軸には、駆動ギヤが設けられており、
前記駆動軸は、前記第1駆動軸挿通孔及び前記第2駆動軸挿通孔を挿通し、
前記駆動ギヤは、前記ハウジング支持部の前記統合ハウジングが固定された側と反対側に位置し、
前記変換ギヤユニットは、
前記ハウジング支持部の前記統合ハウジングが固定された側と反対側に固定されており、
前記駆動ギヤと噛合する第1変換ギヤと、
前記駆動軸及び前記駆動ギヤと、前記入力軸と、前記第1変換ギヤと、を覆うギヤユニットカバーと、を有し、
前記ギヤユニットカバーには、前記第1変換ギヤを回動自在に軸支する第1ギヤ軸が設けられており、
前記第1ギヤ軸は、前記ギヤユニットカバーから前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に向かって延出しており、
前記第1ギヤ軸の先端部は、前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に係止されている、車両用開閉体駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記統合ハウジングは、前記電動機ユニットの外周面の少なくとも一部を取り囲む電動機ユニット収容壁を有し、
前記電動機ユニットが前記統合ハウジングに固定された状態において、前記電動機ユニットの前記外周面は前記電動機ユニット収容壁から離間しており、前記電動機ユニットの前記外周面と前記電動機ユニット収容壁との間には空間部が形成されている、車両用開閉体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスイングドア等の車両の開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に設けられたドアやテールゲート等の開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置が知られている。車両用開閉体駆動装置の一例として、例えば、特許文献1には、第1軸上に電動機ユニットが配置され、第1軸と平行な第2軸上にコイルスプリング、ガイドチューブ、及び、可動ハウジングを有するアクチュエータユニットが配置され、電動機ユニット及びアクチュエータは減速ギヤ部に連結している、車両用開閉体駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用開閉体駆動装置では、モータ部がモータハウジングの内側に収容されているのみであり、モータ部がモータハウジングに固定されている旨の記載はない。また、特許文献1に記載の車両用開閉体駆動装置では、ガイドチューブがロッド側固定ハウジングのベースプレートの表面に突き当てて配置されているのみであり、ガイドチューブがロッド側固定ハウジングに固定されている旨の記載はない。そのため、特許文献1に記載の車両用開閉体駆動装置では、モータ部がモータハウジング内で位置ずれする虞があり、同様に、アクチュエータがロッド側固定ハウジング内で位置ずれする虞があった。そして、モータ部及びアクチュエータの位置精度が低下すると、モータ部からの出力を伝達するギヤ同士のピッチ間が広くなりモータ部からの出力が正確に伝達されない場合や、ギヤが歯飛びする場合がある。そのため、特許文献1に記載の車両用開閉体駆動装置は、ハウジング全体(ロッド側固定ハウジング、モータハウジング、ハウジング連結部)に要求される強度が高くなり、装置の大型化に繋がっていた。
【0005】
本発明は、装置の小型化を図りつつ、電動機ユニット及び減速機ユニットの位置精度が向上した、車両用開閉体駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
駆動軸を有する電動機ユニットと、
入力軸及び出力軸を有し、前記入力軸に入力された回転動力を減速して前記出力軸に出力する減速機ユニットと、
前記電動機ユニットの少なくとも一部及び前記減速機ユニットの少なくとも一部を収容する統合ハウジングと、を備え、
車両に設けられた開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置であって、
前記統合ハウジングは、複数の第1締結孔を有し、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記第1締結孔を挿通する第1締結部材によって前記統合ハウジングに固定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電動機ユニット及び減速機ユニットは、第1締結部材によって、統合ハウジングに位置ずれすることなく強固に固定されるので、車両用開閉体駆動装置は、装置の小型化を図りつつ、電動機ユニット及び減速機ユニットの位置精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】車体の左側部に取り付けられた本発明の一実施形態の車両用開閉体駆動装置を車内側(右側)から見た図である。
【
図2】
図1の車両用開閉体駆動装置における電動機ユニット及び減速機ユニットを車内側(右側)から見た図である。
【
図3A】
図1の車両用開閉体駆動装置における統合ハウジングの斜視図(その1)である。
【
図3B】
図1の車両用開閉体駆動装置における統合ハウジングの斜視図(その2)である。
【
図4】
図1の車両用開閉体駆動装置において、電動機ユニット及び減速機ユニットが固定された状態の統合ハウジングの斜視図である。
【
図5】
図1の車両用開閉体駆動装置の要部断面図である。
【
図6】
図1の車両用開閉体駆動装置において、第1車両取付用ブラケットのハウジング支持部に固定された状態で見た電動機ユニット及び減速機ユニットが固定された統合ハウジングの斜視図である。
【
図7A】
図1の車両用開閉体駆動装置における変換ギヤユニットの斜視図(その1)である。
【
図7B】
図1の車両用開閉体駆動装置における変換ギヤユニットの斜視図(その2)である。
【
図8】
図1の車両用開閉体駆動装置の斜視図(その1)である。
【
図9】
図1の車両用開閉体駆動装置において、第2車両取付用ブラケット、カバープレート、及び、出力レバーを除いた状態で見た車両用開閉体駆動装置の斜視図である。
【
図10】
図1の車両用開閉体駆動装置において、カバープレート、及び、出力レバーを除いた状態で見た車両用開閉体駆動装置の斜視図である。
【
図11】
図1の車両用開閉体駆動装置の斜視図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用開閉体駆動装置の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の車両用開閉体駆動装置100は、バス等の車両の左側面に設けられたスイングドアを駆動する装置である。車両用開閉体駆動装置100は、車両の左側面を構成する車体1の左側部1Lに取り付けられている。車体1の左側部1Lには、ヒンジ機構2が回動自在に軸支されている。ヒンジ機構2の一端側は、回動軸が上下方向と平行に延在するように車体1の左側部1Lに軸支されており、ヒンジ機構2の他端側は、回動軸が上下方向と平行に延在するように不図示のスイングドアを回動自在に軸支している。
【0011】
図1及び
図2に示すように、車両用開閉体駆動装置100は、電動機ユニット110と、減速機ユニット120と、電動機ユニット110の少なくとも一部及び減速機ユニット120の少なくとも一部を収容する統合ハウジング130と、電動機ユニット110から出力される動力を減速機ユニット120に伝達する変換ギヤユニット140と、を備える。さらに、車両用開閉体駆動装置100は、車体1の左側部1Lに固定される第1車両取付用ブラケット150及び第2車両取付用ブラケット160を備える。
【0012】
電動機ユニット110は、電動機ケース111と、電動機ケース111の内部に収容された不図示の電動機と、当該電動機のロータと一体に回転する駆動軸112と、を有する。電動機ケース111は、上下方向と略平行に延在する略円筒形状を有する。駆動軸112は、電動機ケース111の下端面から下方に突出して、上下方向と平行に延在している。駆動軸112の下端部には、駆動ギヤ112aが設けられている。駆動ギヤ112aは、駆動軸112と一体に回転する。
【0013】
減速機ユニット120は、クラッチ機構部121と、減速機構部122と、上下方向と平行に延在する入力軸123及び出力軸124と、を備える。クラッチ機構部121と減速機構部122とは、クラッチ機構部121が下方、減速機構部122が上方となるように、上下方向に隣接して配置されている。入力軸123は、クラッチ機構部121に連結されており、クラッチ機構部121から下方に延出している。入力軸123の下端部の外周面には、外歯スプライン123aが形成されている。出力軸124は、減速機構部122に連結されており、減速機構部122から上方に延出している。
【0014】
そして、電動機ユニット110と減速機ユニット120とは、電動機ユニット110の駆動軸112と減速機ユニット120の入力軸123とが、互いに平行でいずれも上下方向と平行となるように配置されている。また、電動機ユニット110と減速機ユニット120とは、電動機ユニット110が後方、減速機ユニット120が前方となるように前後方向に並んで配置されている。
【0015】
クラッチ機構部121は、入力軸123と減速機構部122との間の動力伝達経路を断接する機構である。クラッチ機構部121は、締結状態と解放状態とを切替可能である。クラッチ機構部121は、締結状態のとき、入力軸123と減速機構部122との間の動力伝達経路が接続され、入力軸123に入力された回転動力を減速機構部122に伝達し、解放状態のとき、入力軸123と減速機構部122との間の動力伝達経路が遮断され、入力軸123に入力された回転動力を減速機構部122に伝達しない。
【0016】
減速機構部122は、クラッチ機構部121を介して入力軸123から入力された回転動力を減速して、出力軸124に出力する。本実施形態では、減速機構部122は、2段の遊星歯車機構である。2段の遊星歯車機構は、1段目が下方、2段目が上方となるように上下方向に隣接して配置されている。2段の遊星歯車機構は、リングギヤが共通となっている。リングギヤは、後述する減速機構部ハウジング180の内周面に固定されている。1段目の遊星歯車機構のサンギヤは、クラッチ機構部121と接続する伝達軸に設けられている。したがって、クラッチ機構部121を介して入力軸123から入力された回転動力は、1段目の遊星歯車機構のサンギヤに伝達される。2段目の遊星歯車機構のサンギヤは、1段目の遊星歯車機構の遊星キャリヤに連結されており1段目の遊星歯車機構の遊星キャリヤと一体に回転する。出力軸124は、2段目の遊星歯車機構の遊星キャリヤに連結されており2段目の遊星歯車機構の遊星キャリヤと一体に回転する。したがって、クラッチ機構部121を介して入力軸123から入力された回転動力は、2段の遊星歯車機構によって2段階減速されて、出力軸124に出力される。
【0017】
本実施形態では、減速機ユニット120は、回転速度センサ126をさらに備える。回転速度センサ126は、クラッチ機構部121と減速機構部122とに上下方向で挟まれた位置に設けられている。そして、回転速度センサ126は、減速機構部122の1段目の遊星歯車機構のサンギヤが設けられた軸の回転速度を検出する。
【0018】
このようにして、減速機ユニット120は、クラッチ機構部121を介して入力軸123から入力された回転動力を、2段の遊星歯車機構によって2段階減速して、出力軸124に出力する。
【0019】
図1並びに
図3A及び
図3Bに示すように、統合ハウジング130は、前後方向に並んで配置された電動機ユニット110及び減速機ユニット120を下方から覆い、駆動軸112及び入力軸123の軸方向と垂直、すなわち前後方向と垂直に延在する底壁131を備える。
【0020】
統合ハウジング130は、底壁131の上面から上方に向かって中空略円筒状に延出し、電動機ユニット110を収容する電動機ユニット収容壁132と、底壁131の上面から上方に向かって中空略円筒状に延出し、減速機ユニット120のクラッチ機構部121及び回転速度センサ126を収容する減速機ユニット収容壁133と、電動機ユニット収容壁132と減速機ユニット収容壁133との間で電動機ユニット収容壁132と減速機ユニット収容壁133とを連結する連結部134と、をさらに備える。底壁131と電動機ユニット収容壁132と減速機ユニット収容壁133と連結部134とを含む統合ハウジング130は、一体成形された樹脂によって形成されている。統合ハウジング130には、底壁131の上面から上方に延出する電動機ユニット収容壁132によって取り囲まれた電動機ユニット収容部132aと、底壁131の上面から上方に延出する減速機ユニット収容壁133によって取り囲まれた減速機ユニット収容部133aと、が形成されている。
【0021】
統合ハウジング130の底壁131には、底壁131を上下方向に貫通し、電動機ユニット110の駆動軸112が挿通する第1駆動軸挿通孔135aと、底壁131を上下方向に貫通し、減速機ユニット120の入力軸123が挿通する第1入力軸挿通孔135bと、底壁131を上下方向に貫通する複数の第1締結孔135cと、底壁131を上下方向に貫通せずに内周面に雌ネジ溝が形成された複数の第1ネジ穴135dと、が形成されている。第1駆動軸挿通孔135aは、上下方向から見て、電動機ユニット収容部132aと重なる位置に形成されている。第1入力軸挿通孔135bは、上下方向から見て、減速機ユニット収容部133aと重なる位置に形成されている。本実施形態では、第1締結孔135cは、上下方向から見て、電動機ユニット収容部132aと重なる位置に2つ、減速機ユニット収容部133aと重なる位置に3つ、の計5つ形成されている。本実施形態では、第1ネジ穴135dは、底壁131の前左端部、前右端部、後左端部、及び、後右端部に1つずつの計4つ、すなわち底壁131の四隅に1つずつの計4つ形成されている。
【0022】
図4に示すように、電動機ユニット110は、駆動軸112が下方を向くようにして、電動機ユニット収容壁132によって囲まれた電動機ユニット収容部132aに統合ハウジング130の上方から挿入される。そして、統合ハウジング130の底壁131に形成された第1駆動軸挿通孔135aに駆動軸112を上方から挿通させ、電動機ユニット収容部132aと重なる位置に形成された2つの第1締結孔135cにそれぞれ第1締結ネジ136を下方から挿通して、各第1締結ネジ136を電動機ユニット110の電動機ケース111に形成された不図示の締結孔に締結する。これにより、電動機ユニット110は、駆動軸112が第1駆動軸挿通孔135aを挿通して駆動ギヤ112aが統合ハウジング130の底壁131の下方となるようにして、電動機ユニット収容部132aと重なる位置に形成された2つの第1締結孔135cを挿通する各第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に固定される。
【0023】
減速機ユニット120は、入力軸123が下方を向くようにして、減速機ユニット収容壁133によって囲まれた減速機ユニット収容部133aに統合ハウジング130の上方から挿入される。そして、統合ハウジング130の底壁131に形成された第1入力軸挿通孔135bに入力軸123を上方から挿通させ、減速機ユニット収容部133aと重なる位置に形成された3つの第1締結孔135cにそれぞれ第1締結ネジ136を下方から挿通して、各第1締結ネジ136を減速機ユニット120のクラッチ機構部121に形成された不図示の締結孔に締結する。これにより、減速機ユニット120は、減速機ユニット収容部133aと重なる位置に形成された3つの第1締結孔135cを挿通する各第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に固定される。
【0024】
このようにして、電動機ユニット110は、駆動軸112が第1駆動軸挿通孔135aを挿通し、統合ハウジング130の底壁131に形成された2つの第1締結孔135cを挿通する各第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に固定されており、減速機ユニット120は、入力軸123が第1入力軸挿通孔135bを挿通し、統合ハウジング130の底壁131に形成された3つの第1締結孔135cを挿通する各第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に固定されている。
【0025】
したがって、電動機ユニット110及び減速機ユニット120は、第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に、位置ずれすることなく強固に固定される。これにより、車両用開閉体駆動装置100は、電動機ユニット110及び減速機ユニット120の位置精度が向上し、電動機ユニット110の駆動軸112に設けられた駆動ギヤ112aと変換ギヤユニット140の第1変換ギヤ141とが歯飛びすることを抑制できるので、電動機ユニット110から出力された回転動力を確実に減速機ユニット120の出力軸124に伝達することができる。さらに、電動機ユニット110及び減速機ユニット120が統合ハウジング130に位置ずれすることなく強固に固定されるため、統合ハウジング130やギヤユニットカバー143に要求される強度が低くなり、装置の小型化を図ることができる。また、電動機ユニット110及び減速機ユニット120は、第1締結ネジ136によって、統合ハウジング130の底壁131に固定されるので、車両用開閉体駆動装置100の動作時に、電動機ユニット110及び減速機ユニット120のガタつきを抑制することができ、電動機ユニット110から出力された回転動力を安定して減速機ユニット120の出力軸124に伝達することができる。
【0026】
図5に示すように、電動機ユニット110が統合ハウジング130に固定された状態において、電動機ユニット110の外周面110aは、電動機ユニット収容壁132に取り囲まれている。換言すると、電動機ユニット収容壁132は、電動機ユニット110の外周面110aを取り囲むように形成されている。そして、電動機ユニット110が統合ハウジング130に固定された状態において、電動機ユニット110の外周面110aは電動機ユニット収容壁132から離間しており、電動機ユニット110の外周面110aと電動機ユニット収容壁132との間には空間部SPが形成されている。
【0027】
これにより、電動機ユニット110が径方向に振動した場合でも、電動機ユニット110の径方向の振動が空間部SPで減衰され、電動機ユニット110の径方向の振動が電動機ユニット収容壁132から統合ハウジング130に伝達することを抑制できるので、車両用開閉体駆動装置100の作動音を低減することができる。
【0028】
図6に示すように、第1車両取付用ブラケット150は、統合ハウジング130の底壁131と対向して、電動機ユニット110の駆動軸112及び減速機ユニット120の入力軸123の軸方向と垂直、すなわち、上下方向と垂直に前後方向及び左右方向に延在するハウジング支持部151と、ハウジング支持部151の左端部から上方へ略直角に屈曲し、ハウジング支持部151から略垂直に上方へ向かって前後方向及び上下方向に延在する車体接続部152と、を有する。第1車両取付用ブラケット150は、前後方向から見て略L字状に屈曲した平板状の部材である。
【0029】
車体接続部152には、前端部から前方に突出し、左右方向に貫通する前側車体締結孔154aが形成された前側車体締結部153aと、後端部から後方に突出し、左右方向に貫通する後側車体締結孔154bが形成された後側車体締結部153bと、が設けられている。前側車体締結部153a及び後側車体締結部153bに形成された前側車体締結孔154a及び後側車体締結孔154bそれぞれにボルト等の締結部材を挿通し、当該締結部材と、ナット等の被締結部材とによって、第1車両取付用ブラケット150と車体1の左側部1Lとを共締めすることによって、第1車両取付用ブラケット150は、車体1の左側部1Lに固定される。
【0030】
ハウジング支持部151には、上下方向に貫通し、電動機ユニット110の駆動軸112が挿通する第2駆動軸挿通孔155aと、上下方向に貫通し、減速機ユニット120の入力軸123が挿通する第2入力軸挿通孔155bと、上下方向に貫通する複数の第2締結孔155cと、上下方向に貫通する係止孔155dと、が形成されている。
【0031】
第2駆動軸挿通孔155aは、上下方向から見て、統合ハウジング130の底壁131に形成された第1駆動軸挿通孔135aと重なる位置に形成されている。第2入力軸挿通孔155bは、上下方向から見て、統合ハウジング130の底壁131に形成された第1入力軸挿通孔135bと重なる位置に形成されている。複数の第2締結孔155cは、上下方向から見て、統合ハウジング130の底壁131に形成された4つの第1ネジ穴135dのそれぞれと重なる位置に1つずつの計4つ形成されている。
【0032】
電動機ユニット110及び減速機ユニット120が固定された統合ハウジング130は、電動機ユニット110の駆動軸112を上方から第2駆動軸挿通孔155aに挿通させ、減速機ユニット120の入力軸123を上方から第2入力軸挿通孔155bに挿通させて、統合ハウジング130の底壁131が第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の上面と当接するように載置される。そして、4つの第2締結孔155cにそれぞれ第2締結ネジ156を下方から挿通して、統合ハウジング130の底壁131に形成された4つの第1ネジ穴135dに各第2締結ネジ156を締結する。これにより、電動機ユニット110及び減速機ユニット120が固定された統合ハウジング130は、各第2締結孔155cを挿通する各第2締結ネジ156によって、統合ハウジング130の底壁131で第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に固定されている。
【0033】
このように、電動機ユニット110及び減速機ユニット120が固定された統合ハウジング130は、各第2締結孔155cを挿通する各第2締結ネジ156によって、車体1の左側部1Lに固定される第1車両取付用ブラケット150に固定される。これにより、車両用開閉体駆動装置100を高い位置精度で車両に取り付けることができる。また、車両用開閉体駆動装置100に生じる荷重を、第1車両取付用ブラケット150を介して車体1に分散することができるので、統合ハウジング130に要求される強度を低くすることができ、車両用開閉体駆動装置100の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0034】
そして、電動機ユニット110及び減速機ユニット120が固定された統合ハウジング130が第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に固定された状態において、電動機ユニット110の駆動軸112は、第1駆動軸挿通孔135a及び第2駆動軸挿通孔155aを挿通し、駆動ギヤ112aは、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の下側、すなわち統合ハウジング130が固定された側と反対側に位置している。
【0035】
図1に示すように、変換ギヤユニット140は、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の下側、すなわち統合ハウジング130が固定された側と反対側に固定されている。
【0036】
図7A及び
図7Bに示すように、変換ギヤユニット140は、電動機ユニット110の駆動軸112に設けられた駆動ギヤ112aと噛合する第1変換ギヤ141と、減速機ユニット120の入力軸123と結合し、且つ、第1変換ギヤ141と噛合する第2変換ギヤ142と、ギヤユニットカバー143と、を備える。ギヤユニットカバー143は、電動機ユニット110の駆動軸112及び駆動ギヤ112aと、減速機ユニット120の入力軸123と、第1変換ギヤ141と、第2変換ギヤ142と、を下方から覆っている。
【0037】
ギヤユニットカバー143は、上下方向と略垂直に前後方向及び左右方向に延在して、電動機ユニット110の駆動軸112及び駆動ギヤ112aと、減速機ユニット120の入力軸123と、第1変換ギヤ141と、第2変換ギヤ142と、を下方から覆うカバー壁143aを有する。ギヤユニットカバー143は、カバー壁143aの外縁部から上方に延出して、電動機ユニット110の駆動軸112及び駆動ギヤ112aと、減速機ユニット120の入力軸123と、第1変換ギヤ141と、第2変換ギヤ142と、の前後方向及び左右方向の側面を取り囲む側壁部143bを有する。ギヤユニットカバー143は、側壁部143bの上縁部から、側壁部143bで取り囲まれた領域の外側に向かって、上下方向と略垂直に前後方向及び左右方向に延在するフランジ部143cを有する。カバー壁143aと、側壁部143bと、フランジ部143cとは、一体成形されており、例えば、樹脂によって形成されている。
【0038】
ギヤユニットカバー143には、カバー壁143aから上下方向と平行に上方に向かって中空円筒状に延出する第1ギヤ軸144aが形成されている。したがって、第1ギヤ軸144aは、ギヤユニットカバー143のカバー壁143aから第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に向かって延出している。本実施形態では、第1ギヤ軸144aは、ギヤユニットカバー143と一体成形されている。そして、第1ギヤ軸144aの先端部、すなわち第1ギヤ軸144aの上端部は、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に形成された係止孔155dに少なくとも一部が挿通し、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の係止孔155dに係止されている(
図5及び
図6参照)。
【0039】
これにより、変換ギヤユニット140に荷重がかかった場合でも、第1ギヤ軸144aの倒れが生じることを抑制できるので、変換ギヤユニット140において、電動機ユニット110から出力された回転動力を減速機ユニット120に伝達する際の伝達ロスを低減できる。
【0040】
第1変換ギヤ141は、上下方向と平行な回転軸心を有する円柱状の大径ギヤ部141aと、大径ギヤ部141aの上面から大径ギヤ部141aと同一の回転軸心を中心とする円柱状に延出し、大径ギヤ部141aと同一の回転軸心を有し、大径ギヤ部141aよりも小径の小径ギヤ部141bと、大径ギヤ部141a及び小径ギヤ部141bの回転軸心を中心とする円筒状の内周面を有し、上下方向に貫通する第1ギヤ軸挿通孔141cと、を有する。大径ギヤ部141a及び小径ギヤ部141bは、いずれも外周面に歯部が形成された外歯歯車となっている。また、第1ギヤ軸挿通孔141cには第1ギヤ軸144aが挿通しており、第1変換ギヤ141は、第1ギヤ軸144aに回動自在に軸支される。換言すると、第1ギヤ軸144aは、第1変換ギヤ141を回動自在に軸支する。
【0041】
第1変換ギヤ141の大径ギヤ部141aは、電動機ユニット110の駆動軸112に設けられた駆動ギヤ112aと噛合している。したがって、電動機ユニット110の駆動軸112が回転すると、それに伴って、第1変換ギヤ141も回転する。
【0042】
ギヤユニットカバー143には、カバー壁143aから上下方向と平行に上方に向かって中空円筒状に延出する第2ギヤ軸144bが形成されている。したがって、第2ギヤ軸144bは、ギヤユニットカバー143のカバー壁143aから第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に向かって延出している。本実施形態では、第2ギヤ軸144bは、ギヤユニットカバー143と一体成形されている。
【0043】
第2変換ギヤ142は、上下方向と平行な回転軸心を有する円柱状のギヤ部142aと、ギヤ部142aの上面から上方にギヤ部142aの回転軸心を中心とする中空円筒状に延出し、ギヤ部142aよりも小径の中空円筒形状を有する結合部142bと、ギヤ部142aの上面から上方にギヤ部142aの回転軸心を中心とする中空円筒状に延出し、ギヤ部142aよりも小径の中空円筒形状を有する第2ギヤ軸挿通穴142cと、を有する。ギヤ部142aは、外周面に歯部が形成された外歯歯車となっている。中空円筒状の結合部142bの内周面には、減速機ユニット120の入力軸123に形成された外歯スプライン123aと噛合するスプライン溝が形成されている。第2ギヤ軸挿通穴142cには第2ギヤ軸144bが挿通しており、第2変換ギヤ142は、第2ギヤ軸144bに回動自在に軸支される。換言すると、第2ギヤ軸144bは、第2変換ギヤ142を回動自在に軸支する。そして、結合部142bの内周面に形成されたスプライン溝に、減速機ユニット120の入力軸123に形成された外歯スプライン123aが噛合して、第2変換ギヤ142は、減速機ユニット120の入力軸123とスプライン結合している。
【0044】
第2変換ギヤ142のギヤ部142aは、第1変換ギヤ141の小径ギヤ部141bと噛合している。したがって、電動機ユニット110の駆動軸112の回転によって第1変換ギヤ141が回転すると、それに伴って第2変換ギヤ142も回転し、第2変換ギヤ142とスプライン結合している減速機ユニット120の入力軸123も第2変換ギヤ142と一体に回転する。このとき、電動機ユニット110の駆動軸112は、第1変換ギヤ141の大径ギヤ部141aと噛合しているのに対し、第2変換ギヤ142のギヤ部142aは、第1変換ギヤ141の小径ギヤ部141bと噛合しているので、電動機ユニット110の駆動軸112から出力された回転動力は、第1変換ギヤ141で減速されて第2変換ギヤ142に伝達される。したがって、変換ギヤユニット140は、電動機ユニット110の駆動軸112から出力された回転動力を減速して減速機ユニット120の入力軸123に伝達する。
【0045】
ギヤユニットカバー143のフランジ部143cには、上下方向に貫通する複数の第3締結孔145が形成されている。複数の第3締結孔145は、上下方向から見て、統合ハウジング130の底壁131に形成された4つの第1ネジ穴135d、及び、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151に形成された4つの第2締結孔155cのそれぞれと重なる位置に1つずつの計4つ形成されている。
【0046】
図8に示すように、ギヤユニットカバー143は、電動機ユニット110の駆動軸112及び駆動ギヤ112aと、減速機ユニット120の入力軸123と、第1変換ギヤ141と、第2変換ギヤ142と、を下方から覆って、フランジ部143cが第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の下面と当接するように載置される。そして、4つの第3締結孔145には、それぞれ前述した第2締結ネジ156が下方から挿通されており、各第2締結ネジ156は、第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151とギヤユニットカバー143のフランジ部143cとを挟んで、統合ハウジング130の底壁131に形成された4つの第1ネジ穴135dに締結されている。これにより、各第2締結ネジ156によって、電動機ユニット110及び減速機ユニット120が固定された統合ハウジング130が、底壁131で第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の上面に固定されるとともに、ギヤユニットカバー143が、フランジ部143cで第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の下面に固定される。このようにして、ギヤユニットカバー143は、フランジ部143cで第1車両取付用ブラケット150のハウジング支持部151の下面に固定されている。
【0047】
図9に示すように、電動機ユニット収容壁132の上端には、コネクタユニット170が連結されている。コネクタユニット170は、コネクタケース171と、外部機器と電気的に接続するハーネス等の導線部材が接続する接続端子部172と、を有する。コネクタケース171は、略円筒形状を有する電動機ユニット収容壁132の上端部と径方向に対向するように延在して、電動機ユニット収容壁132の外周面に嵌合する側壁部171aと、略円筒形状を有する電動機ユニット収容壁132の中心軸方向と略垂直に延在して、電動機ユニット収容部132aの上部を塞ぐ上壁部171bと、を有する。接続端子部172は、コネクタケース171の上壁部171bに設けられ、上方を向いている。したがって、外部機器と電気的に接続するハーネス等の導線部材は、上方から接続端子部172に接続する。これにより、車両用開閉体駆動装置100は、外部機器と電気的に接続する。接続端子部172には、統合ハウジング130の内部を配索する複数の配線部材(不図示)が接続されている。統合ハウジング130の内部を配索する複数の配線部材は、接続端子部172と電動機ユニット110の電動機とを電気的に接続する配線部材、接続端子部172と減速機ユニット120のクラッチ機構部121とを電気的に接続する配線部材、及び、接続端子部172と減速機ユニット120の回転速度センサ126とを電気的に接続する配線部材、を含む。これにより、電動機ユニット110の電動機と、減速機ユニット120のクラッチ機構部121とは、接続端子部172を介して外部から供給される電力によって動作可能となる。同様に、減速機ユニット120の回転速度センサ126は、接続端子部172を介して外部から供給される電力によって動作可能であるとともに、接続端子部172を介して外部機器へ電気信号を出力することができる。
【0048】
車両用開閉体駆動装置100は、減速機構部122を収容する減速機構部ハウジング180をさらに備える。減速機構部ハウジング180は、統合ハウジング130の減速機ユニット収容壁133の上端部に固定される。減速機構部ハウジング180は、統合ハウジング130の減速機ユニット収容壁133の上部に配置され、減速機構部122の前後左右を取り囲み、上方及び下方が開口している。前述したように、減速機構部ハウジング180の内周面には、減速機構部122のリングギヤが固定されている。
【0049】
図10に示すように、第2車両取付用ブラケット160は、減速機構部ハウジング180の上端部と対向して、上下方向と垂直に前後方向及び左右方向に延在するハウジング支持部161と、ハウジング支持部161の左端部から下方へ略直角に屈曲し、ハウジング支持部161から略垂直に下方へ向かって前後方向及び上下方向に延在する車体接続部162と、を有する。第2車両取付用ブラケット160は、前後方向から見て略L字状に屈曲した平板状の部材である。
【0050】
第2車両取付用ブラケット160の車体接続部162には、前端部から前方に突出し、左右方向に貫通する前側車体締結孔164aが形成された前側車体締結部163aと、後端部から後方に突出し、左右方向に貫通する後側車体締結孔164bが形成された後側車体締結部163bと、が設けられている。前側車体締結部163a及び後側車体締結部163bに形成された前側車体締結孔164a及び後側車体締結孔164bそれぞれにボルト等の締結部材を挿通し、当該締結部材と、ナット等の被締結部材とによって、第2車両取付用ブラケット160と車体1の左側部1Lとを共締めすることによって、第2車両取付用ブラケット160は、車体1の左側部1Lに固定される。
【0051】
ハウジング支持部161には、上下方向に貫通し、減速機ユニット120の出力軸124が挿通する第1出力軸挿通孔165aと、上下方向に貫通する複数の第4締結孔165bと、が形成されている。本実施形態では、第4締結孔165bは、ハウジング支持部161の前左端部、前右端部、後左端部、及び、後右端部に1つずつの計4つ、すなわち底壁131の四隅に1つずつの計4つ形成されている。
【0052】
第2車両取付用ブラケット160は、減速機ユニット120の出力軸124を上方から第1出力軸挿通孔165aに挿通させて、ハウジング支持部161を減速機構部ハウジング180の上端部に載置される。
【0053】
このように、出力軸124の近傍に第2車両取付用ブラケット160が配置されることによって、出力軸124の近傍を第2車両取付用ブラケット160で車体1に固定することができる。これにより、出力軸124の振れを抑制することができる。
【0054】
図11に示すように、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161の上面には、さらに、カバープレート190が載置される。カバープレート190は、前後方向及び左右方向に延在する平板状を有し、上方から見た形状が、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161と略同一となっている。
【0055】
カバープレート190には、上下方向に貫通し、減速機ユニット120の出力軸124が挿通する第2出力軸挿通孔191aと、上下方向に貫通する複数の第5締結孔191bと、が形成されている。第2出力軸挿通孔191aは、上下方向から見て、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された第1出力軸挿通孔165aと重なる位置に形成されている。第2出力軸挿通孔191aは、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された第1出力軸挿通孔165aよりも小径の孔であり、上下方向から見て、第1出力軸挿通孔165aの一部を覆っている。複数の第5締結孔191bは、上下方向から見て、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された4つの第4締結孔165bのそれぞれと重なる位置に1つずつの計4つ形成されている。
【0056】
また、減速機構部ハウジング180には、上下方向から見て、カバープレート190に形成された4つの第5締結孔191b、及び、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された4つの第4締結孔165bのそれぞれと重なる位置に1つずつ、計4つの第6締結孔181が形成されている。さらに、統合ハウジング130の減速機ユニット収容壁133には、減速機ユニット収容壁133の上端から上下方向と平行に下方に向かって所定長さ延在し、内周面に雌ネジ溝が形成された複数の第2ネジ穴133bが設けられている。第2ネジ穴133bは、上下方向から見て、カバープレート190に形成された4つの第5締結孔191bと、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された4つの第4締結孔165bと、減速機構部ハウジング180に形成された4つの第6締結孔181と、のそれぞれと重なる位置に1つずつの計4つ形成されている。
【0057】
カバープレート190の各第5締結孔191bには、カバープレート190の上方から、それぞれ第3締結ネジ192が挿通される。各第5締結孔191bに挿通された各第3締結ネジ192は、上下方向から見て各第5締結孔191bと重なる位置に形成された第4締結孔165bと第6締結孔181とを挿通して、第2ネジ穴133bに締結される。これにより、第2車両取付用ブラケット160と減速機構部ハウジング180とは、第3締結ネジ192によって、統合ハウジング130に固定される。本実施形態では、カバープレート190に形成された第5締結孔191bは、第3締結ネジ192のネジ頭よりも大径の孔であり、前後方向及び左右方向にカバープレート190を係止する一方、上下方向にはカバープレート190を係止していない。カバープレート190は、第3締結ネジ192とは別のネジ等によって、減速機構部ハウジング180に固定されていてもよい。また、カバープレート190に爪部が設けられており、カバープレート190は、当該爪部が減速機構部ハウジング180に係止することによって、減速機構部ハウジング180に固定されていてもよい。
【0058】
減速機ユニット120の出力軸124は、第2車両取付用ブラケット160のハウジング支持部161に形成された第1出力軸挿通孔165aと、カバープレート190に形成された第2出力軸挿通孔191aと、を挿通して、カバープレート190の上方に突出している。
【0059】
出力軸124には、カバープレート190の上方に突出した部位に、出力レバー125が設けられている。出力レバー125は、出力軸124に固定され、出力軸124と一体に回動する。出力レバー125は、出力軸124から出力軸124の径方向外側に向かって延在している。
【0060】
図1に戻って、車両用開閉体駆動装置100は、出力軸124がヒンジ機構2の回動軸と同軸上で上下方向と平行に延在するように、車体1の左側部1Lに固定される。また、本実施形態では、減速機ユニット120の入力軸123は、出力軸124及びヒンジ機構2の回動軸と同軸上で上下方向と平行に延在している。すなわち、本実施形態では、入力軸123と、出力軸124と、ヒンジ機構2の回動軸とは、同軸上で上下方向と平行に延在している。
【0061】
ヒンジ機構2には、出力レバー125と連結する連結部2aが設けられている。出力レバー125には、ヒンジ機構2の連結部2aが連結されている。したがって、出力軸124が回動すると、出力レバー125が出力軸124と一体に回動し、連結部2aで出力レバー125と連結したヒンジ機構2も、出力軸124及び出力レバー125と一体に回動する。これにより、ヒンジ機構2に軸支されたスイングドアが開閉動作する。
【0062】
したがって、車両用開閉体駆動装置100は、コネクタユニット170を介して外部機器から電動機ユニット110に電力が供給され、電動機ユニット110の電動機が駆動して駆動軸112が回転すると、駆動軸112の回転動力は、変換ギヤユニット140において第1変換ギヤ141及び第2変換ギヤ142によって減速されて、減速機ユニット120の入力軸123に伝達される。そして減速機ユニット120の入力軸123に伝達された回転動力は、減速機ユニット120において減速機構部122でさらに減速されて出力軸124に出力される。このようにして伝達された回転動力によって出力軸124が回動すると、出力レバー125が出力軸124と一体に回動し、連結部2aで出力レバー125と連結したヒンジ機構2も、出力軸124及び出力レバー125と一体に回動する。これにより、ヒンジ機構2に軸支されたスイングドアが車両用開閉体駆動装置100によって開閉動作する。
【0063】
このとき、減速機ユニット120のクラッチ機構部121によって、駆動軸112から出力軸124への動力伝達経路を断接可能となっている。したがって、クラッチ機構部121が締結状態のときは、駆動軸112が回転すると出力軸124も回動し、スイングドアが開閉動作する一方、クラッチ機構部121が解放状態のときは、駆動軸112が回転しても出力軸124は回動せず、スイングドアは車両用開閉体駆動装置100によって開閉動作しない。なお、このとき、スイングドアは手動で開閉動作可能となっている。
【0064】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0065】
例えば、本実施形態では、減速機ユニット120は、クラッチ機構部121と減速機構部122を有するものとしたが、クラッチ機構部121は省略されてもよい。
【0066】
また、例えば、本実施形態では、車両用開閉体駆動装置100は、減速機ユニット120の出力軸124に出力レバー125が設けられ、バス等の車両の左側面に設けられたスイングドアを駆動するものとしたが、車両用開閉体駆動装置100は、減速機ユニット120の出力軸124に出力ギヤが連結されて、スライドドアのベルト駆動装置に出力ギヤを連結することによってベルトユニットによってスライドするスライドドアを駆動してもよいし、減速機ユニット120の出力軸124にラックアンドピニオン機構が連結されて、当該ラックアンドピニオン機構のラック部が固定されたスライドドアを駆動してもよい。
【0067】
また、例えば、本実施形態では、第1車両取付用ブラケット150及び第2車両取付用ブラケット160は、いずれも車体1の左側部1Lに固定されるものとしたが、第1車両取付用ブラケット150及び第2車両取付用ブラケット160は、いずれも車両の車体1以外の部位に固定されるものであってもよい。
【0068】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0069】
(1) 駆動軸(駆動軸112)を有する電動機ユニット(電動機ユニット110)と、
入力軸(入力軸123)及び出力軸(出力軸124)を有し、前記入力軸に入力された回転動力を減速して前記出力軸に出力する減速機ユニット(減速機ユニット120)と、
前記電動機ユニットの少なくとも一部及び前記減速機ユニットの少なくとも一部を収容する統合ハウジング(統合ハウジング130)と、を備え、
車両に設けられた開閉体を駆動する車両用開閉体駆動装置(車両用開閉体駆動装置100)であって、
前記統合ハウジングは、複数の第1締結孔(第1締結孔135c)を有し、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記第1締結孔を挿通する第1締結部材(第1締結ネジ136)によって前記統合ハウジングに固定されている、車両用開閉体駆動装置。
【0070】
(1)によれば、電動機ユニット及び減速機ユニットは、第1締結孔を挿通する第1締結部材によって、統合ハウジングに位置ずれすることなく強固に固定される。これにより、車両用開閉体駆動装置は、装置の小型化を図りつつ、電動機ユニット及び減速機ユニットの位置精度が向上し、電動機ユニットから出力された回転動力を確実に減速機ユニットの出力軸に伝達することができる。また、電動機ユニット及び減速機ユニットは、第1締結部材によって、統合ハウジングに固定されるので、車両用開閉体駆動装置の動作時に、電動機ユニット及び減速機ユニットのガタつきを抑制することができ、電動機ユニットから出力された回転動力を安定して減速機ユニットの出力軸に伝達することができる。
【0071】
(2) (1)に記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記車両用開閉体駆動装置は、前記車両に固定される車両取付用ブラケット(第1車両取付用ブラケット150)をさらに備え、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記駆動軸と前記入力軸とが互いに平行となるように配置され、
前記統合ハウジングは、
前記駆動軸が挿通する第1駆動軸挿通孔(第1駆動軸挿通孔135a)と、
前記入力軸が挿通する第1入力軸挿通孔(第1入力軸挿通孔135b)と、
前記駆動軸及び前記入力軸の軸方向と垂直に延在する取付壁(底壁131)と、を有し、
前記第1駆動軸挿通孔、前記第1入力軸挿通孔、及び、複数の前記第1締結孔は、前記取付壁に形成されており、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットは、前記駆動軸が前記第1駆動軸挿通孔を挿通し、前記入力軸が前記第1入力軸挿通孔を挿通して、前記統合ハウジングに固定されており、
前記車両取付用ブラケットは、前記統合ハウジングの前記取付壁と対向して前記軸方向と垂直に延在するハウジング支持部(ハウジング支持部151)を有し、
前記ハウジング支持部には、複数の第2締結孔(第2締結孔155c)が形成されており、
前記電動機ユニット及び前記減速機ユニットが固定された前記統合ハウジングは、前記第2締結孔を挿通する第2締結部材(第2締結ネジ156)によって、前記取付壁で前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に固定されている、車両用開閉体駆動装置。
【0072】
(2)によれば、電動機ユニット及び減速機ユニットが固定された統合ハウジングは、第2締結孔を挿通する第2締結部材によって、車両に固定される車両取付用ブラケットに固定される。これにより、車両用開閉体駆動装置を高い位置精度で車両に取り付けることができる。また、車両用開閉体駆動装置に生じる荷重を、車両取付用ブラケットを介して車両の他の部材に分散することができるので、統合ハウジングに要求される強度を低くすることができ、車両用開閉体駆動装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0073】
(3) (2)に記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記車両用開閉体駆動装置は、前記電動機ユニットから出力される前記駆動軸の回転動力を前記減速機ユニットの前記入力軸に伝達する変換ギヤユニット(変換ギヤユニット140)をさらに備え、
前記ハウジング支持部には、前記駆動軸が挿通する第2駆動軸挿通孔(第2駆動軸挿通孔155a)が形成されており、
前記駆動軸には、駆動ギヤ(駆動ギヤ112a)が設けられており、
前記駆動軸は、前記第1駆動軸挿通孔及び前記第2駆動軸挿通孔を挿通し、
前記駆動ギヤは、前記ハウジング支持部の前記統合ハウジングが固定された側と反対側(下側)に位置し、
前記変換ギヤユニットは、
前記ハウジング支持部の前記統合ハウジングが固定された側と反対側(下側)に固定されており、
前記駆動軸の回転動力が伝達される変換ギヤ(第1変換ギヤ141)と、
前記駆動軸及び前記駆動ギヤと、前記入力軸と、前記変換ギヤと、を覆うギヤユニットカバー(ギヤユニットカバー143)と、を有し、
前記ギヤユニットカバーには、前記第1変換ギヤを回動自在に軸支する第1ギヤ軸(第1ギヤ軸144a)が設けられており、
前記第1ギヤ軸は、前記ギヤユニットカバーから前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に向かって延出しており、
前記第1ギヤ軸の先端部は、前記車両取付用ブラケットの前記ハウジング支持部に係止されている、車両用開閉体駆動装置。
【0074】
(3)によれば、変換ギヤユニットに荷重がかかった場合でも、第1ギヤ軸の倒れが生じることを抑制できるので、変換ギヤユニットにおいて、電動機ユニットから出力された回転動力を減速機ユニットに伝達する際の伝達ロスを低減できる。
【0075】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の車両用開閉体駆動装置であって、
前記統合ハウジングは、前記電動機ユニットの外周面(外周面110a)の少なくとも一部を取り囲む電動機ユニット収容壁(電動機ユニット収容壁132)を有し、
前記電動機ユニットが前記統合ハウジングに固定された状態において、前記電動機ユニットの前記外周面は前記電動機ユニット収容壁から離間しており、前記電動機ユニットの前記外周面と前記電動機ユニット収容壁との間には空間部(空間部SP)が形成されている、車両用開閉体駆動装置。
【0076】
(4)によれば、電動機ユニットの外周面と電動機ユニット収容壁との間には空間部が形成されているので、電動機ユニットが径方向に振動した場合でも、電動機ユニットの径方向の振動が空間部で減衰され、電動機ユニットの径方向の振動が電動機ユニット収容壁から統合ハウジングに伝達することを抑制できるので、車両用開閉体駆動装置の作動音を低減することができる。
【符号の説明】
【0077】
100 車両用開閉体駆動装置
110 電動機ユニット
110a 外周面
112 駆動軸
112a 駆動ギヤ
120 減速機ユニット
123 入力軸
124 出力軸
130 統合ハウジング
131 底壁(取付壁)
132 電動機ユニット収容壁
135a 第1駆動軸挿通孔
135b 第1入力軸挿通孔
135c 第1締結孔
136 第1締結ネジ(第1締結部材)
140 変換ギヤユニット
141 第1変換ギヤ(変換ギヤ)
143 ギヤユニットカバー
144a 第1ギヤ軸
150 第1車両取付用ブラケット(車両取付用ブラケット)
151 ハウジング支持部
155a 第2駆動軸挿通孔
155c 第2締結孔
156 第2締結ネジ(第2締結部材)
SP 空間部