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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063131
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
G09F9/00 351
G09F9/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173450
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大久保 康信
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA07
5G435BB04
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE05
5G435EE13
5G435EE19
5G435GG42
(57)【要約】
【課題】表示装置運搬時の表示部の振動を抑制する技術を提供する。
【解決手段】表示部と、該表示部を昇降可能に支持する基体部と、を備える表示装置において、前記表示部は、突出部を有する掛かり部を備え、前記基体部は、前記表示部を昇降可能に支持する支持脚を備え、前記突出部は、前記支持脚に向かって突出しており、前記突出部と前記支持脚は、前記表示部の下降動作に伴い、該表示部の昇降動作方向に対して傾斜した面で互いに当接する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、該表示部を昇降可能に支持する基体部と、を備える表示装置において、
前記表示部は、突出部を有する掛かり部を備え、
前記基体部は、前記表示部を昇降可能に支持する支持脚を備え、
前記突出部は、前記支持脚に向かって突出しており、
前記突出部と前記支持脚は、前記表示部の下降動作に伴い、該表示部の昇降動作方向に対して傾斜した面で互いに当接する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記掛かり部には、
看板を固定可能である
ことを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場などで用いられる表示装置は、視認性を確保するためにある程度の大きさを必要とする。ところが、表示装置が大きすぎると、道路交通法が定める高さ制限によりトラックなどで運搬不可能となるおそれがある。このようなジレンマを解消するため、表示部を昇降機構により昇降可能とした表示装置が知られている。特許文献1に記載されている道路工事表示装置はその一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-200998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示部を昇降可能とした表示装置は、車両での運搬時に表示部が振動す
るという問題があった。表示部を昇降可能としたことで、表示部とそれを支える基体の間
に隙間が生まれ、この隙間によって表示部が振動するのである。表示部の振動は運搬時の
騒音や、表示装置各部の故障の原因になり得る。
【0005】
本発明の一目的は、表示装置運搬時の表示部の振動を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一解決手段に係る表示装置は、表示部と、該表示部を昇降可能に支持する基体部と、を備え、前記表示部は、突出部を有する掛かり部を備え、前記基体部は、前記表示部を昇降可能に支持する支持脚を備え、前記突出部は、前記支持脚に向かって突出しており、前記突出部と前記支持脚は、前記表示部の下降動作に伴い、該表示部の昇降動作方向に対して傾斜した面で互いに当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
一解決手段によれば、運搬時などにおける表示部の振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的な正面図である。
図2図1に示す表示装置の模式的な背面図である。
図3図1に示す表示装置の模式的な側面図である。
図4図1に示す表示装置が有する昇降機構23の模式的な説明図である。
図5図1に示す表示装置が有する掛かり部50の模式的な説明図である。
図6図5に示す掛かり部50の模式的な正面図である。
図7図1に示す表示装置が有する支持脚13bの模式的な説明図である。
図8図5に示す掛かり部50の模式的な側面図である。
図9図1に示す支持脚13bの断面図である。
図10図1に示す表示装置に視線誘導標を取り付けた例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る表示装置10の正面図、図2は同背面図、図3は同側面図である。11は基体部で、12は表示部である。基体部11は支持脚13a・13b、および支持脚13a・13bを地面Gに対して垂直に固定支持する架台部14を有しており、正面視(表示部12の表示領域20側を正面とする)で略U字状に形成されている。表示部12は略U字状に形成された基体部11の開口部内に設けられる。
【0011】
基体部11が有する架台部14は、地面G側に移動用のキャスタ15を複数備えており、表示装置10を地面G上で移動可能としている。なお、本実施形態の説明においては、キャスタ15によって地面G上に起立する表示装置10の様態(図1など)をもとに上下といった相対的な表現を用いる。その際、例えば下側とは地面G側のことを指す。
【0012】
また、基体部11はバッテリボックス16を備えている。バッテリボックス16は架台部14に固定されて設けられており、表示部12に設けられたソーラーパネル26が発電する電力を蓄えることができる。
【0013】
また、基体部11は梁部17を有している。梁部17は支持脚13a・13bの間に渡され、架台部14と同様に支持脚13a・13bを固定的に支持している。梁部17にはウィンチ18が設けられている。ウィンチ18は表示部12を昇降動作させるための昇降機構23の駆動手段であり、表示装置10の操作者はハンドル19を把持して回転操作することで表示部12の位置を上下させることができる。
【0014】
表示部12は表示領域20を有している。表示領域20には図示しないLED(発光ダイオード)がドットマトリクス状に配列されており、表示装置10は配列されたLEDを図示しない制御部によって点滅駆動することにより文字や画像などの表示を可能としている。なお、文字や画像はLED以外の手段によって表示しても良く、例えば表示領域20においてLEDの代わりに蛍光灯などのバックライトによる内照看板や液晶パネルなどを用いてもよい。
【0015】
表示領域20の表示内容は表示装置10を配置する場所に合わせて適宜変更するとよい。例えば工事現場に配置する場合には「工事中」「注意」などの注意喚起メッセージを表示すると良く、店舗入り口などに設置する場合には「セール中」などの販売促進メッセージを表示するとよい。
【0016】
表示領域20はその上下左右および背面(文字などを表示する面の反対面)がフレーム22に囲まれて構成されている。フレーム22は昇降機構23と連結されている。そのため、表示部12は、基体部11が有する支持脚13a・13b間で昇降可能である。
【0017】
フレーム22の上端面部24の上部にはアーム31を介してソーラーパネル26が設けられている。ソーラーパネル26は受光した太陽光を電気エネルギーに変換する機能を有している。表示装置10はソーラーパネル26(およびソーラーパネル26が発電した電力を蓄えるバッテリボックス16)を主電源としてLEDなどを駆動する。
【0018】
表示部12は車輪を有するガイドローラ(不図示)を複数備えている。ガイドローラはそれぞれ支持脚13aまたは13bのガイド溝25(図6にて図示)の開口内部のいずれか一面と車輪で当接している。表示部12は、ガイドローラにより支持脚13a、13b間でガイド溝25に沿って滑らかに昇降動作することができる。また、ガイドローラによって表示部12が基体部11と複数個所で当接することにより、運搬時における表示部12のがたつきを抑制している。
【0019】
昇降機構23の構成について、図4を用いて説明する。前記したウィンチ18にはワイヤー28が巻き締められている。ウィンチ18から伸びるワイヤー28は、梁部17に設けられた滑車29に巻きかけられ、表示部12のフレーム22下部に設けられたワイヤー固定部30に一端が固定されている。
【0020】
このような構成とすることにより、ウィンチ18のハンドル19を一方向に回転操作してワイヤー28を巻き上げると、ウィンチ18からワイヤー固定部30まで伸びるワイヤー28の長さが短くなる。それに伴い表示部12のフレーム22が支持脚13a・13bのガイド溝25に沿って引き上げられ、結果として表示部12が上昇する。ウィンチ18として周知のラチェット機構を備えるものを採用することにより、ワイヤー28を巻き上げる際に表示部12の下降を防止しつつ、表示部を上昇させた後に任意の位置に保持することが可能となる。表示部を降下させる際には、ハンドルを回した方向の反対方向に回せばよい。
【0021】
なお、本発明の実施にあたり、表示部の昇降手段は上記したようなウィンチに限られるものではなく、例えば油圧ジャッキ、スクリュージャッキ、空気圧シリンダ、油圧シリンダなどを用いてもよい。
【0022】
表示部12は、支持脚13a、13b間における表示部12の昇降動作の下降限界位置を規定するものとして、掛かり部50を有する。掛かり部50の構造について図5図6図8を用いて説明する。掛かり部50は、例えば金属などの剛性の高い素材からなる。掛かり部50は、傾斜部51、傾斜部52、傾斜部53を有する。本実施形態において、掛かり部50は一枚の短冊状の金属板からなり、金属板の長辺両辺の縁と短辺いずれか一端の縁計三箇所から一部を切り出し、折り曲げて斜めに立ち上げることで傾斜部51、傾斜部52、傾斜部53を形成している。掛かり部50は、前記した傾斜部(51~53)が表示装置10の起立方向(高さ方向)に末広がりとなる向きで、ボルトなどによってフレーム22の上端面部24に固定されている。なお、掛かり部50の形成手段は上記に限定されるものではない。例えば金型を用いるなどして傾斜部51、傾斜部52、傾斜部53を形成してもよい。
【0023】
掛かり部50は、表示部12の正面視において、傾斜部51、傾斜部52、傾斜部53それぞれの一部または全部がフレーム22の側端を超えて支持脚13aまたは13b方向に突出するよう、フレーム22の上端面部24の左右両側に固定されている。このような構成とすることにより、表示部12が下降するのに伴い、掛かり部50はその突出した部分で支持脚13a、13bに引っ掛かる。
【0024】
掛かり部50が引っ掛かる支持脚13a、13bの構造について図7図9を用いて説明する。支持脚13a、13bは、表示装置10の起立方向(高さ方向)に延在して設けられた窪みであるガイド溝25を有する。ガイド溝25内では表示部12のガイドローラ(不図示)が走行する。そのため、ガイド溝25は、表示部12が昇降動作する方向を規定している。
【0025】
また、支持脚13a、13bは、凹部40を有する。凹部40は、表示装置12の下降動作に伴い掛かり部50の対応する辺と当接する傾斜部54、傾斜部55、傾斜部56を有する。傾斜部54と傾斜部55は同じ高さで対向して設けられている。傾斜部54は、掛かり部50の引っ掛かり時に傾斜部51と当接する。同様に、傾斜部55は掛かり部50の引っ掛かり時に傾斜部52と当接する。傾斜部54は、ガイド溝25の延在方向によって規定される表示部12の昇降動作方向に対して所定の角度(角度A)傾斜しており、その角度は傾斜部51が有する表示部12の昇降動作方向に対する傾斜角度と同一または略同一である。傾斜部55も同様に、表示部12の昇降動作方向に対して所定の角度(角度B)傾斜しており、その角度は傾斜部52が有する表示部12の昇降動作方向に対する傾斜角度と同一または略同一である。角度Aと角度Bは等しい角度であっても異なる角度であってもよい。なお、本実施形態において角度A・角度Bはともに45度とする。
【0026】
傾斜部56は対向する傾斜部54・55の間に設けられ、掛かり部50の引っ掛かり時に傾斜部53と当接する。傾斜部56は、表示部12の昇降動作方向に対して所定の角度(角度C)傾斜しており、その角度は傾斜部53が有する表示部12の昇降動作方向に対する傾斜角度と同一または略同一である。本実施形態において角度Cは60度とする。なお、角度Cは角度A・角度Bより小さい角度であってもよい。
【0027】
このような構成とすることにより、表示部12は、下降時に支持脚13a、13bに突出部分で引っ掛かる。引っ掛かり時に、掛かり部50は自重によって凹部40と安定的に嵌まり合う。これにより、表示装置の運搬時などにおいて表示部と基体部の隙間により生じていた表示部の振動を、表示部の前後左右から抑制することができる。より具体的には、支持脚13aの傾斜部54、傾斜部55、傾斜部56および支持脚13bの傾斜部54、傾斜部55、傾斜部56の計六面で表示部12を支持可能なため、運搬時における表示部12の振動を抑制することができる。なおかつ、掛かり部50と凹部40の当接面が表示部12の昇降動作方向に対して傾斜している面であるため、引っ掛かり時に強固な嵌まり合いがなく、表示部12の引っ掛かり状態は簡単に解消でき、使用時における表示部12の上昇をスムーズに行うことができる。
【0028】
表示装置10の掛かり部50の総数は基体部11の構造に応じて変更可能である。例えば、引っ掛かり時の安定性のために凹部40を有する支持脚13の本数を増やし、掛かり部50を三箇所以上設けてもよい。
【0029】
本実施形態において凹部40は支持脚13a、13bの上端部に設けられているが、凹部40の位置は支持脚13a、13bの長さあるいは表示部12の大きさに応じて適宜変更可能である。また、凹部40の傾斜部54、傾斜部55、傾斜部56はそれぞれ繋がり合うようにして設けられてもよい。同一の部材から傾斜部54、55、56を切り出して設けてもよいし、別個に形成し、ボルトなどで支持脚13a、13bそれぞれに固定してもよい。傾斜部54、55、56には掛かり部50の当接に伴い負荷がかかるため、それぞれを金具などの部材を用いて補強してもよい。当接時の衝撃を緩和するためにゴムなどからなるクッション材を傾斜部54、55、56に取り付けてもよい。
【0030】
さらに、掛かり部50にボルト孔を設けることにより、掛かり部50に視線誘導標を含む看板が固定可能となる。本実施形態における掛かり部50は、傾斜部54、傾斜部55から延出したスタンド部60にボルト孔61を設けている。図10は掛かり部50に看板62を固定した際の表示装置10の正面図である。このような構成とすることにより、表示装置10を使用時に目立たせることができる。また、掛かり部50に看板62を固定すると、表示部12の荷重に看板62の荷重が加わるため、掛かり部50と凹部40の嵌まり合いがさらに安定する。なお、看板62としては、自動車の照灯の光を反射する反射体を有するものや自発光式のものを用いるとよい。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0032】
10 表示装置
11 基体部
12 表示部
13a 支持脚
13b 支持脚
40 凹部
50 掛かり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10