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特開2023-63155地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063155
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 9/00 20060101AFI20230427BHJP
   F01K 13/02 20060101ALI20230427BHJP
   F01K 21/00 20060101ALI20230427BHJP
   F01K 27/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F01K9/00 A
F01K13/02
F01K9/00 B
F01K21/00 Z
F01K27/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173490
(22)【出願日】2021-10-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】平田 雄二
(72)【発明者】
【氏名】坂元 宏之
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA20
3G081BB00
3G081BC15
3G081BD00
3G081DA04
(57)【要約】
【課題】復水器内の真空度を安定化する。
【解決手段】実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムは、蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、蒸気タービンの上流側から分岐してエゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによってエゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、圧力調整弁を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、圧力計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の前記復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムであって、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、前記復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して前記エゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記圧力調整弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を変更する、地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項2】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記流量計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項3】
前記蒸気タービンのグランド部を流れるグランド蒸気の圧力または流量を計測するグランド蒸気計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記グランド蒸気計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1または2に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項4】
前記生産井からの蒸気を前記蒸気タービンに供給するタービン蒸気供給管と、
前記タービン蒸気供給管の前記エゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に設けられ、開度を変更することによって前記蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記蒸気加減弁の開度を計測する開度計測装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記開度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~3のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項5】
前記復水器内の真空度を計測する真空度計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記真空度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~4のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項6】
大気の状態を計測する大気状態計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記大気状態計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~5のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項7】
冷却塔から前記復水器に供給される冷却水の温度を計測する冷却水温度計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記冷却水温度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~6のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項8】
前記蒸気タービンの振動を計測するタービン振動計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記タービン振動計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~7のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項9】
前記発電機の負荷を計測する発電機負荷計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記発電機負荷計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~8のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項10】
前記生産井からの蒸気を前記蒸気タービンに供給するタービン蒸気供給管と、
前記タービン蒸気供給管の前記エゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に設けられ、開度を変更することによって前記蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記流量計測装置の計測値に基づいて、前記蒸気加減弁の開度を調整する、請求項1~9のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項11】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を調整するエゼクタ入口弁を更に備え、
前記制御装置は、前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度と前記エゼクタ入口弁の開度とを連動して変更する、請求項1~10のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項12】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を調整するエゼクタ入口弁を更に備え、
前記制御装置は、前記エゼクタ入口弁に開度指令信号を送信するとともに、前記開度指令信号に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~11のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項13】
前記蒸気タービンと、
前記発電機と、
前記復水器と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の不凝縮ガス排出システムと、を備える、地熱発電設備。
【請求項14】
生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の前記復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法であって、
前記不凝縮ガス排出システムは、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、前記復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して前記エゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、を備え、
前記不凝縮ガス排出システムの制御方法は、
前記圧力計測装置により、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測工程と、
前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を変更する開度変更工程と、を備える、不凝縮ガス排出システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地熱エネルギーを利用して発電を行う地熱発電設備が知られている。地熱発電設備は、生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を有している。
【0003】
生産井から供給される蒸気には、水蒸気等の凝縮ガスの他に、二酸化炭素(CO)や硫化水素(HS)等の不凝縮ガスが含まれる。不凝縮ガスは、蒸気タービンを通って復水器に供給される。復水器内の不凝縮ガスは、エゼクタにより外部に排出される。
【0004】
エゼクタは、蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出する。一般に、地熱発電設備用の生産井は、供給される蒸気量が安定しているものが用いられるため、エゼクタに供給する蒸気の圧力や流量の制御は行われない。
【0005】
ところが、当初は蒸気量が安定していた生産井であっても、経年と共に供給される蒸気量が変動する場合がある。また、顧客要望により、必ずしも蒸気量の長期的な安定性が保証されない生産井が用いられる場合もある。生産井からの蒸気量が変動した場合、エゼクタに供給される蒸気量も変動し得る。このため、エゼクタによる不凝縮ガスの吸引量も変動し、復水器内の真空度が変動するおそれがある。復水器内の真空度の変動は、発電出力の変動や発電効率の低下をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実全昭59-102905号公報
【特許文献2】特開2001-355411号公報
【特許文献3】特開2016-98805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、復水器内の真空度を安定化することができる地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムは、生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムである。地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムは、蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、蒸気タービンの上流側から分岐してエゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによってエゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、圧力調整弁を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、圧力計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を変更する。
【0009】
また、実施の形態による地熱発電設備は、蒸気タービンと、発電機と、復水器と、上述した不凝縮ガス排出システムと、を備える。
【0010】
また、実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法は、生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法である。不凝縮ガス排出システムは、蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、蒸気タービンの上流側から分岐してエゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによってエゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、を備える。不凝縮ガス排出システムの制御方法は、圧力計測装置により、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測工程と、圧力計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を変更する開度変更工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本実施の形態によれば、復水器内の真空度を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図2図2は、図1の制御装置のブロック図である。
図3図3は、第2の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図4図4は、図3の制御装置のブロック図である。
図5図5は、第3の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図6図6は、図5の制御装置のブロック図である。
図7図7は、第4の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図8図8は、図7の制御装置のブロック図である。
図9図9は、第5の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図10図10は、図9の制御装置のブロック図である。
図11図11は、第6の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図12図12は、図11の制御装置のブロック図である。
図13図13は、第7の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図14図14は、図13の制御装置のブロック図である。
図15図15は、第8の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図16図16は、図15の制御装置のブロック図である。
図17図17は、第9の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図18図18は、図17の制御装置のブロック図である。
図19図19は、第10の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図20図20は、図19の制御装置のブロック図である。
図21図21は、第11の実施の形態による地熱発電設備の部分系統図である。
図22図22は、図21の制御装置のブロック図である。
図23図23は、第12の実施の形態による制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
まず、図1および図2を参照して、第1の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0015】
本実施の形態による地熱発電設備は、地熱エネルギーを利用して発電を行う。図1に示すように、本実施の形態による地熱発電設備1は、蒸気タービン3と、発電機5と、復水器7と、を含んでいる。
【0016】
蒸気タービン3は、不図示の生産井からの蒸気Sにより駆動されるように構成されている。蒸気タービン3には、タービン蒸気供給管L1が接続されている。このタービン蒸気供給管L1より、不図示の生産井から採取された蒸気Sが、蒸気タービン3に供給される。この蒸気Sには、水蒸気等の凝縮ガスの他に、二酸化炭素(CO)や硫化水素(HS)等の不凝縮ガスが含まれる。蒸気タービン3は、このタービン蒸気供給管L1から供給された蒸気Sにより駆動される。
【0017】
蒸気タービン3は、タービンロータ4を有している。蒸気タービン3は、タービン蒸気供給管L1から供給された蒸気Sの流体エネルギーを、不図示の動翼と静翼とでタービンロータ4の回転エネルギーに変換する。このタービンロータ4の回転エネルギーは、発電機5に伝達される。蒸気タービン3で仕事を終えた蒸気Sは、蒸気タービン3から排出され、復水器7に供給される。
【0018】
発電機5は、蒸気タービン3により駆動されて発電を行うように構成されている。発電機5には、上述したタービンロータ4が連結されている。発電機5は、タービンロータ4から伝達された回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う。
【0019】
復水器7は、蒸気タービン3から排出された蒸気Sを凝縮させて復水を生成するように構成されている。復水器7は、蒸気タービン3から排出された蒸気Sと、復水器7に供給された冷却水Cとを熱交換して、蒸気Sを冷却し凝縮させて復水を生成する。生成された復水は、復水器7に接続された不図示の液体排出管を通って、不図示の冷却塔に供給される。冷却塔に供給された復水は、冷却塔で冷却され、冷却水Cとして、不図示の冷却水供給管を通って、再び復水器7に供給されてもよい。また、蒸気タービン3から排出された蒸気Sのうち復水器7で凝縮されなかった不凝縮ガスGは、復水器7に接続された不凝縮ガス排出管L3を通って、後述する不凝縮ガス排出システム10のエゼクタ12に排出される。
【0020】
また、本実施の形態による地熱発電設備1は、不凝縮ガス排出システム10を含んでいる。
【0021】
不凝縮ガス排出システム10は、復水器7内の不凝縮ガスGを排出するように構成されている。図1に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、エゼクタ12と、圧力計測装置14と、圧力調整弁16と、制御装置20と、を含んでいる。
【0022】
エゼクタ12は、蒸気タービン3の上流側から分岐して供給された蒸気Sを用いて、復水器7内の不凝縮ガスGを吸引して排出するように構成されている。エゼクタ12には、エゼクタ蒸気供給管L2と不凝縮ガス排出管L3とが接続されている。エゼクタ蒸気供給管L2は、蒸気タービン3の上流側から分岐している。より具体的には、エゼクタ蒸気供給管L2は、タービン蒸気供給管L1の分岐点Bから分岐している。生産井からの蒸気Sは、このエゼクタ蒸気供給管L2を流れて、エゼクタ12に供給される。エゼクタ12は、エゼクタ蒸気供給管L2から供給された蒸気Sにより駆動されて、不凝縮ガス排出管L3から復水器7内の不凝縮ガスGを吸引する。エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量は、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力や流量に応じて変化する。より具体的には、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力や流量が大きいほど、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量も大きくなる。エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量が大きくなることで、復水器7の真空度が上昇する。
【0023】
また、エゼクタ12には、気体排出管L4が接続されている。タービン蒸気供給管L1からエゼクタ12に供給された蒸気Sおよび不凝縮ガス排出管L3からエゼクタ12に吸引された不凝縮ガスGは、気体排出管L4から排出される。エゼクタ12から排出された蒸気Sおよび不凝縮ガスGは、気体排出管L4を通って、中間冷却器13に供給される。中間冷却器13は、供給された蒸気Sに含まれる湿分を分離してドレン水を生成する。生成されたドレン水は、冷却水供給管L5を通って、冷却水Cとして復水器7に供給される。一方、中間冷却器13で分離された不凝縮ガスGは、ポンプPの駆動により、不凝縮ガス放出管L6を通って、大気に放出される。
【0024】
圧力計測装置14は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。圧力計測装置14は、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力を計測するように構成されている。圧力計測装置14の計測値、すなわち、圧力計測装置14により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの圧力値は、後述する制御装置20に送信される。
【0025】
圧力調整弁16は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。図示された例においては、圧力調整弁16は、エゼクタ蒸気供給管L2の圧力計測装置14よりも上流側に設けられている。圧力調整弁16は、開閉することによって、すなわち、開度を変更することによって、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力を調整するように構成されている。圧力調整弁16は、後述する制御装置20により制御される。すなわち、圧力調整弁16の開度は、後述する制御装置20により制御されて変更される。
【0026】
次に、図2を用いて、本実施の形態による制御装置20について説明する。
【0027】
制御装置20は、圧力調整弁16を制御するように構成されている。制御装置20は、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を変更するように構成されている。より具体的には、図2に示すように、制御装置20は、差分算出部21と、設定圧力格納部22と、差分開度変換部23と、上下限開度制限部24と、を有している。
【0028】
差分算出部21は、圧力計測装置14の計測値、すなわち、圧力計測装置14により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの圧力値と、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値とを比較し、その差分を算出する。設定圧力格納部22は、設定圧力値を格納している。設定圧力値は、予め定められた目標圧力値であってもよい。すなわち、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が、設定圧力値として、設定圧力格納部22内に予め格納されていてもよい。差分算出部21により算出された計測値と設定圧力値との差分は、差分開度変換部23に送信される。
【0029】
差分開度変換部23は、差分算出部21で算出された計測値と設定圧力値との差分を、圧力調整弁16の開度に変換する。例えば、差分開度変換部23は、圧力計測装置14の計測値が設定圧力値よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を変換する。また例えば、差分開度変換部23は、圧力計測装置14の計測値が設定圧力値よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を変換する。これにより、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの圧力値が設定圧力値に近づくように、圧力調整弁16の開度を変更することができる。差分開度変換部23により算出された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0030】
上下限開度制限部24は、差分開度変換部23で算出された開度を、上限値および下限値で制限する。すなわち、開度指令信号を受信した上下限開度制限部24は、その開度指令信号に係る開度が上限値より大きい場合、その開度を上限値に置換した開度指令信号を出力する。また、開度指令信号を受信した上下限開度制限部24は、その開度指令信号に係る開度が下限値より小さい場合、その開度を下限値に置換した開度指令信号を出力する。上限値および下限値は、予め設定された設定値であってもよい。上限値は、例えば、圧力調整弁16の最大開度の80%に設定されてもよい。下限値は、例えば、圧力調整弁16の最大開度の20%に設定されてもよい。この場合、上下限開度制限部24において、開度指令信号に係る開度は、20%以上80%以下の開度になるように調整される。これにより、エゼクタ12への最小限の蒸気Sの供給を確保することができるとともに、エゼクタ12への過大な蒸気Sの供給によりエゼクタ12が故障することを防止することができる。上下限開度制限部24により制限された開度は、開度指令信号として圧力調整弁16に送信される。
【0031】
圧力調整弁16は、開度指令信号に基づいて、その開度が変更される。すなわち、開度指令信号を受信した圧力調整弁16は、開度指令信号に係る開度になるように、その開度が変更される。
【0032】
このようにして、制御装置20は、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を変更する。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0034】
地熱発電設備1が稼働すると、不図示の生産井から採取された蒸気Sが、タービン蒸気供給管L1を通って、蒸気タービン3に供給される。蒸気Sが蒸気タービン3に供給されると、蒸気タービン3により、蒸気Sの流体エネルギーがタービンロータ4の回転エネルギーに変換される。回転エネルギーは、タービンロータ4を介して発電機5に伝達され、発電機5により電気エネルギーに変換されて、発電が行われる。
【0035】
蒸気タービン3で仕事を終えた蒸気Sは、復水器7に供給される。復水器7に供給された蒸気Sは、冷却水Cと熱交換して、冷却され凝縮する。これにより、復水器7内に復水が生成される。生成された復水は、不図示の液体排出管を通って、不図示の冷却塔に供給される。冷却塔に供給された復水は、冷却塔で冷却され、冷却水Cとして、不図示の冷却水供給管を通って、再び復水器7に供給される。
【0036】
また、不図示の生産井から採取された蒸気Sの一部は、エゼクタ蒸気供給管L2を通って、エゼクタ12に供給される。エゼクタ12に供給された蒸気Sにより、エゼクタ12が駆動され、不凝縮ガス排出管L3から復水器7内の不凝縮ガスGが吸引される。
【0037】
一方、圧力計測装置14により、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力が計測される(圧力計測工程)。ここで、生産井から供給される蒸気量が変動した場合、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力も変動する。このため、圧力計測装置14の計測値も変動する。この圧力計測装置14の計測値は、制御装置20に送信される。
【0038】
次に、制御装置20により、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が変更される(開度変更工程)。
【0039】
より具体的には、まず、差分算出部21により、圧力計測装置14の計測値と、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値とが比較され、その差分が算出される。差分算出部21により算出された計測値と設定圧力値との差分は、差分開度変換部23に送信される。
【0040】
次に、差分開度変換部23により、差分算出部21で算出された計測値と設定圧力値との差分が、圧力調整弁16の開度に変換される。例えば、計測値が設定圧力値よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度が変換される。また例えば、計測値が設定圧力値よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度が変換される。差分開度変換部23により算出された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0041】
続いて、上下限開度制限部24により、差分開度変換部23で算出された開度が、上限値および下限値で制限される。すなわち、開度指令信号に係る開度が上限値より大きい場合、その開度が上限値に置換された開度指令信号が出力される。また、開度指令信号に係る開度が下限値より小さい場合、その開度が下限値に置換された開度指令信号が出力される。
【0042】
そして、開度指令信号に基づいて、圧力調整弁16の開度が変更される。すなわち、開度指令信号に係る開度になるように、圧力調整弁16の開度が変更される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が変更される。このことにより、生産井から供給される蒸気量が変動した場合であっても、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力値が目標圧力値になるように、圧力調整弁16の開度を変更することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力を安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動を抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度を安定化することができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、エゼクタ12の効率的な運用が可能になり、大型のエゼクタ12を用いることを不要にすることができる。このため、エゼクタ12の大型化を抑制することができ、コストの増大を抑制することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
次に、図3および図4を参照して、第2の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0046】
図3および図4に示す第2の実施の形態においては、エゼクタ蒸気供給管の圧力計測装置および圧力調整弁よりも上流側に、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置が設けられ、制御装置は、流量計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3および図4において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図3に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、流量計測装置30を更に含んでいる。
【0048】
流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2の圧力計測装置14および圧力調整弁16よりも上流側に設けられている。流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量を計測するように構成されている。例えば、流量計測装置30は、流量計測器31と、温度計測器32と、を含んでいてもよい。流量計測装置30は、流量計測器31により計測した流量を、温度計測器32により計測した温度で補正することによって、流量(体積流量)を求めてもよい。流量計測装置30の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量は、制御装置20に送信される。
【0049】
本実施の形態による制御装置20は、流量計測装置30の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図4に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部34と、開度補正部36と、を更に含んでいる。
【0050】
開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部34は、蒸気Sの流量に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部34は、蒸気Sの各流量に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部34により算出された補正値は、開度補正部36に送信される。
【0051】
開度補正部36は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部34で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部36は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部34で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部36は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部34で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部36は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部34で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部36で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0052】
このようにして、制御装置20は、流量計測装置30の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0053】
このように本実施の形態によれば、流量計測装置30の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。このことにより、圧力計測装置14および圧力調整弁16よりも上流側で蒸気Sの流量の変動を計測した場合、その後に下流側で蒸気Sの圧力または流量が変動することを予測して、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部36において、開度補正値算出部34で算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図4の破線で示すように、上下限開度制限部24の上限値および下限値が、開度補正値算出部34で算出された補正値により補正されてもよい。この場合、上下限開度制限部24の上限値および下限値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0055】
(第3の実施の形態)
次に、図5および図6を参照して、第3の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0056】
図5および図6に示す第3の実施の形態においては、蒸気タービンのグランド部を流れるグランド蒸気の圧力または流量を計測するグランド蒸気計測装置が設けられ、制御装置は、グランド蒸気計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5および図6において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図5に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、グランド蒸気計測装置40を更に含んでいる。
【0058】
グランド蒸気計測装置40は、蒸気タービン3のグランド部に設けられている。グランド部は、蒸気タービン3のタービン軸受(タービンロータ4が貫通する部分)の軸シール部に設けられている。蒸気タービン3のグランド部には、生産井からの蒸気Sが供給され、グランド蒸気として流れる。グランド蒸気計測装置40は、蒸気タービン3のグランド部を流れるグランド蒸気の圧力または流量を計測するように構成されている。グランド蒸気計測装置40の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたグランド蒸気の圧力または流量は、制御装置20に送信される。
【0059】
本実施の形態による制御装置20は、グランド蒸気計測装置40の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図6に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部42と、開度補正部44と、を更に含んでいる。
【0060】
開度補正値算出部42は、グランド蒸気計測装置40の計測値、すなわち、グランド蒸気計測装置40により計測された蒸気タービン3のグランド部内のグランド蒸気の圧力または流量に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部42は、グランド蒸気の圧力または流量に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部42は、グランド蒸気の各圧力または各流量に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部42は、グランド蒸気計測装置40の計測値が所定圧力または所定流量よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部42は、グランド蒸気計測装置40の計測値が所定圧力または所定流量よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部42により算出された補正値は、開度補正部44に送信される。
【0061】
開度補正部44は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部42で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部44は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部42で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部44は、グランド蒸気計測装置40の計測値が所定圧力または所定流量よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部42で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部44は、グランド蒸気計測装置40の計測値が所定圧力または所定流量よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部42で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部44で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0062】
このようにして、制御装置20は、グランド蒸気計測装置40の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0063】
このように本実施の形態によれば、グランド蒸気計測装置40の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。生産井から供給される蒸気量が変動した場合、蒸気タービン3のグランド部に供給される蒸気Sの圧力および流量も変動し、蒸気タービン3のグランド部を流れるグランド蒸気の圧力および流量も変動する。このことにより、グランド蒸気の圧力または流量の変動を計測することで、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力および流量の変動を予測して、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部44において、開度補正値算出部42で算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図6の破線で示すように、上下限開度制限部24の上限値および下限値が、開度補正値算出部42で算出された補正値により補正されてもよい。この場合、上下限開度制限部24の上限値および下限値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0065】
(第4の実施の形態)
次に、図7および図8を参照して、第4の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0066】
図7および図8に示す第4の実施の形態においては、タービン蒸気供給管のエゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に、開度を変更することによって蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、蒸気加減弁の開度を計測する開度計測装置と、が設けられ、制御装置は、開度計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
図7に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、蒸気加減弁50と、開度計測装置52と、を更に含んでいる。
【0068】
蒸気加減弁50は、タービン蒸気供給管L1に設けられている。蒸気加減弁50は、タービン蒸気供給管L1の分岐点Bよりも下流側に設けられている。蒸気加減弁50は、開閉することによって、すなわち、開度を変更することによって、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量を調整するように構成されている。蒸気加減弁50は、蒸気タービン3のタービンロータ4の回転数が一定に維持されるように制御される。例えば、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が所定流量よりも大きい場合、蒸気加減弁50の開度が小さくなるように制御される。また例えば、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が所定流量よりも小さい場合、蒸気加減弁50の開度が大きくなるように制御される。
【0069】
開度計測装置52は、蒸気加減弁50に設けられている。開度計測装置52は、蒸気加減弁50の開度を計測するように構成されている。開度計測装置52の計測値、すなわち、開度計測装置52により計測された蒸気加減弁50の開度は、制御装置20に送信される。
【0070】
本実施の形態による制御装置20は、開度計測装置52の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図8に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部54と、開度補正部56と、を更に含んでいる。
【0071】
開度補正値算出部54は、開度計測装置52の計測値、すなわち、開度計測装置52により計測された蒸気加減弁50の開度に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部54は、蒸気加減弁50の開度に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部54は、蒸気加減弁50の各開度に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部54は、開度計測装置52の計測値が所定開度よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部54は、開度計測装置52の計測値が所定開度よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部54により算出された補正値は、開度補正部56に送信される。
【0072】
開度補正部56は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部54で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部56は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部54で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部56は、開度計測装置52の計測値が所定開度よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部54で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部56は、開度計測装置52の計測値が所定開度よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部54で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部56で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0073】
このようにして、制御装置20は、開度計測装置52の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0074】
このように本実施の形態によれば、開度計測装置52の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。生産井から供給される蒸気量が変動した場合、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量も変動し、蒸気加減弁50の開度も変動する。このことにより、蒸気加減弁50の開度の変動を計測することで、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの圧力または流量の変動を予測して、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部56において、開度補正値算出部54で算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図8の破線で示すように、上下限開度制限部24の上限値および下限値が、開度補正値算出部54で算出された補正値により補正されてもよい。この場合、上下限開度制限部24の上限値および下限値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0076】
(第5の実施の形態)
次に、図9および図10を参照して、第5の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0077】
図9および図10に示す第5の実施の形態においては、復水器内の真空度を計測する真空度計測装置が設けられ、制御装置は、真空度計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
図9に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、真空度計測装置60を更に含んでいる。
【0079】
真空度計測装置60は、復水器7に設けられている。真空度計測装置60は、復水器7内の真空度を計測するように構成されている。真空度計測装置60の計測値、すなわち、真空度計測装置60により計測された復水器7内の真空度は、制御装置20に送信される。
【0080】
本実施の形態による制御装置20は、真空度計測装置60の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図10に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部62と、開度補正部64と、を更に含んでいる。
【0081】
開度補正値算出部62は、真空度計測装置60の計測値、すなわち、真空度計測装置60により計測された復水器7内の真空度に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部62は、復水器7内の真空度に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部62は、復水器7内の各真空度に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部62は、真空度計測装置60の計測値が所定の真空度よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部62は、真空度計測装置60の計測値が所定の真空度よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部62により算出された補正値は、開度補正部64に送信される。
【0082】
開度補正部64は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部62で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部64は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部62で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部64は、真空度計測装置60の計測値が所定の真空度よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部62で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部64は、真空度計測装置60の計測値が所定の真空度よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部62で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部64で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0083】
このようにして、制御装置20は、真空度計測装置60の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0084】
このように本実施の形態によれば、真空度計測装置60の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。このことにより、復水器7内の真空度が変動した場合、その変動に対応するように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、復水器7内の真空度の変動に対応するように、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力および流量を変動させて、エゼクタ12による復水器7内の不凝縮ガスGの吸引量を変動させることができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0085】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部64において、開度補正値算出部62で算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図10の破線で示すように、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値が、開度補正値算出部62で算出された補正値により補正されてもよい。この場合、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0086】
(第6の実施の形態)
次に、図11および図12を参照して、第6の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0087】
図11および図12に示す第6の実施の形態においては、大気の状態を計測する大気状態計測装置が設けられ、制御装置は、大気状態計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図11および図12において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
図11に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、大気状態計測装置70を更に含んでいる。
【0089】
大気状態計測装置70は、大気雰囲気下に設けられている。大気状態計測装置70は、大気の状態を計測するように構成されている。例えば、大気状態計測装置70は、大気圧力計測部71と、大気温度計測部72と、を含んでいてもよい。大気圧力計測部71は、大気圧力(気圧)を計測するように構成されている。大気温度計測部72は、大気温度(気温)を計測するように構成されている。大気状態計測装置70の計測値、すなわち、大気圧力計測部71により計測された大気圧力および大気温度計測部72により計測された大気温度は、制御装置20に送信される。
【0090】
本実施の形態による制御装置20は、大気状態計測装置70の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図12に示すように、本実施の形態による制御装置20は、第1開度補正値算出部73と、第2開度補正値算出部74と、補正値加算部75と、開度補正部76と、を更に含んでいる。
【0091】
第1開度補正値算出部73は、大気圧力計測部71により計測された大気圧力に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。第1開度補正値算出部73は、大気圧力に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、第1開度補正値算出部73は、各大気圧力に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、第1開度補正値算出部73は、大気圧力が所定圧力よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、第1開度補正値算出部73は、大気圧力が所定圧力よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。第1開度補正値算出部73により算出された補正値は、補正値加算部75に送信される。
【0092】
第2開度補正値算出部74は、大気温度計測部72により計測された大気温度に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。第2開度補正値算出部74は、大気温度に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、第2開度補正値算出部74は、各大気温度に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、第2開度補正値算出部74は、大気温度が所定温度よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、第2開度補正値算出部74は、大気温度が所定温度よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。第2開度補正値算出部74により算出された補正値は、補正値加算部75に送信される。
【0093】
補正値加算部75は、第1開度補正値算出部73で算出された補正値と、第2開度補正値算出部74により算出された補正値とを加算して、新たな補正値を算出する。補正値加算部75により算出された補正値は、開度補正部76に送信される。
【0094】
開度補正部76は、差分開度変換部23で算出された開度を、補正値加算部75で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部76は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、補正値加算部75で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。開度補正部76で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0095】
このようにして、制御装置20は、大気状態計測装置70の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0096】
このように本実施の形態によれば、大気状態計測装置70の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。ここで、大気の状態に応じて、復水器7内の真空度は変動し得る。例えば、大気圧力が高い場合には、復水器7内の真空度は低下し得る。一方、大気圧力が低い場合には、復水器7内の真空度は上昇し得る。また例えば、大気温度が高い場合には、復水器7に供給される冷却水Cの温度も高くなり、復水器7での蒸気Sの凝縮量が減少するため、復水器7内の真空度は低下し得る。一方、大気温度が低い場合には、復水器7に供給される冷却水Cの温度も低くなり、復水器7での蒸気Sの凝縮量が増大するため、復水器7内の真空度は上昇し得る。このことにより、大気の状態に応じて復水器7内の真空度が変動した場合、その変動に対応するように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、復水器7内の真空度の変動に対応するように、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力および流量を変動させて、エゼクタ12による復水器7内の不凝縮ガスGの吸引量を変動させることができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0097】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部76において、補正値加算部75により算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図12の破線で示すように、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値が、補正値加算部75により算出された補正値により補正されてもよい。この場合、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0098】
(第7の実施の形態)
次に、図13および図14を参照して、第7の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0099】
図13および図14に示す第7の実施の形態においては、冷却塔から復水器に供給される冷却水の温度を計測する冷却水温度計測装置が設けられ、制御装置は、冷却水温度計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図13および図14において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0100】
図13に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、冷却水温度計測装置80を更に含んでいる。
【0101】
冷却水温度計測装置80は、不図示の冷却塔と復水器7とに接続された冷却水供給管L7に設けられている。冷却水供給管L7は、冷却塔から復水器7に冷却水Cを供給する。冷却水温度計測装置80は、冷却塔から復水器7に供給される冷却水Cの温度を計測するように構成されている。すなわち、冷却水温度計測装置80は、冷却水供給管L7を流れる冷却水Cの温度を計測する。冷却水温度計測装置80の計測値、すなわち、冷却水温度計測装置80により計測された冷却水Cの温度は、制御装置20に送信される。
【0102】
本実施の形態による制御装置20は、冷却水温度計測装置80の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図14に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部82と、開度補正部84と、を更に含んでいる。
【0103】
開度補正値算出部82は、冷却水温度計測装置80の計測値、すなわち、冷却水温度計測装置80により計測された冷却水Cの温度に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部82は、冷却水Cの温度に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部82は、冷却水Cの各温度に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部82は、冷却水温度計測装置80の計測値が所定温度よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部82は、冷却水温度計測装置80の計測値が所定温度よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部82により算出された補正値は、開度補正部84に送信される。
【0104】
開度補正部84は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部82で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部84は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部82で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部84は、冷却水温度計測装置80の計測値が所定温度よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部82で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部84は、冷却水温度計測装置80の計測値が所定温度よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部82で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部84で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0105】
このようにして、制御装置20は、冷却水温度計測装置80の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0106】
このように本実施の形態によれば、冷却水温度計測装置80の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。ここで、復水器7に供給される冷却水Cの温度に応じて、復水器7内の真空度は変動し得る。例えば、冷却水Cの温度が高い場合には、復水器7での蒸気Sの凝縮量が減少するため、復水器7内の真空度は低下し得る。一方、冷却水Cの温度が低い場合には、復水器7での蒸気Sの凝縮量が増大するため、復水器7内の真空度は上昇し得る。このことにより、復水器7に供給される冷却水Cの温度に応じて復水器7内の真空度が変動した場合、その変動に対応するように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、復水器7内の真空度の変動に対応するように、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力および流量を変動させて、エゼクタ12による復水器7内の不凝縮ガスGの吸引量を変動させることができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0107】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部84において、開度補正値算出部82により算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図14の破線で示すように、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値が、開度補正値算出部82により算出された補正値により補正されてもよい。この場合、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0108】
(第8の実施の形態)
次に、図15および図16を参照して、第8の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0109】
図15および図16に示す第8の実施の形態においては、蒸気タービンの振動を計測するタービン振動計測装置が設けられ、制御装置は、タービン振動計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図15および図16において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0110】
図15に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、タービン振動計測装置90を更に含んでいる。
【0111】
タービン振動計測装置90は、蒸気タービン3に設けられている。タービン振動計測装置90は、蒸気タービン3の振動を計測するように構成されている。タービン振動計測装置90は、例えば、加速度センサや歪みゲージ等であってもよい。タービン振動計測装置90の計測値、すなわち、タービン振動計測装置90により計測された蒸気タービン3の振動量は、制御装置20に送信される。
【0112】
本実施の形態による制御装置20は、タービン振動計測装置90の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図16に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部92と、開度補正部94と、を更に含んでいる。
【0113】
開度補正値算出部92は、タービン振動計測装置90の計測値、すなわち、タービン振動計測装置90により計測された蒸気タービン3の振動量に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部92は、蒸気タービン3の振動量に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部92は、蒸気タービン3の各振動量に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部92は、タービン振動計測装置90の計測値が所定振動値よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部92は、タービン振動計測装置90の計測値が所定振動値よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部92により算出された補正値は、開度補正部94に送信される。
【0114】
開度補正部94は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部92で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部94は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部92で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部94は、タービン振動計測装置90の計測値が所定振動値よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部92で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部94は、タービン振動計測装置90の計測値が所定振動値よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部92で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部94で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0115】
このようにして、制御装置20は、タービン振動計測装置90の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0116】
このように本実施の形態によれば、タービン振動計測装置90の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。ここで、復水器7内の真空度に応じて、蒸気タービン3の振動量は変動し得る。例えば、復水器7内の真空度が低い場合には、蒸気タービン3の振動量は小さいが、復水器7内の真空度が高い場合には、蒸気タービン3のタービンロータ4が復水器7の側に撓むため、蒸気タービン3の振動量が大きくなり得る。このことにより、蒸気タービン3の振動を計測することにより、復水器7内の真空度の変動を予測することができ、その変動に対応するように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、復水器7内の真空度の変動に対応するように、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力および流量を変動させて、エゼクタ12による復水器7内の不凝縮ガスGの吸引量を変動させることができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0117】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部94において、開度補正値算出部92により算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図16の破線で示すように、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値が、開度補正値算出部92により算出された補正値により補正されてもよい。この場合、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
【0118】
(第9の実施の形態)
次に、図17および図18を参照して、第9の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0119】
図17および図18に示す第9の実施の形態においては、発電機の負荷を計測する発電機負荷計測装置が設けられ、制御装置は、発電機負荷計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図17および図18において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0120】
図17に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、発電機負荷計測装置100を更に含んでいる。
【0121】
発電機負荷計測装置100は、発電機5に設けられている。発電機負荷計測装置100は、発電機5の負荷を計測するように構成されている。例えば、電力需要に応じて発電量を変更する場合、蒸気タービン3の運転方法が変更され、発電機5の負荷が変化する。発電機負荷計測装置100は、この発電機5の負荷の変化を計測する。発電機負荷計測装置100の計測値、すなわち、発電機負荷計測装置100により計測された発電機5の負荷は、制御装置20に送信される。
【0122】
本実施の形態による制御装置20は、発電機負荷計測装置100の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図18に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部102と、開度補正部104と、を更に含んでいる。
【0123】
開度補正値算出部102は、発電機負荷計測装置100の計測値、すなわち、発電機負荷計測装置100により計測された発電機5の負荷に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部102は、発電機5の負荷に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部102は、発電機5の各負荷に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部102は、発電機5の負荷が大きく、復水器7の真空度を高く設定する場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部102は、発電機5の負荷が小さく、復水器7の真空度を低く設定する場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部102により算出された補正値は、開度補正部104に送信される。
【0124】
開度補正部104は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部102で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部104は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部102で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部104は、発電機5の負荷が大きく、復水器7の真空度を高く設定する場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部102で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部104は、発電機5の負荷が小さく、復水器7の真空度を低く設定する場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部102で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部104で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0125】
このようにして、制御装置20は、発電機負荷計測装置100の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する。
【0126】
このように本実施の形態によれば、発電機負荷計測装置100の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。ここで、発電機5の負荷に応じて、復水器7内の真空度は変動し得る。例えば、発電機5の負荷が大きい場合、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が多くなり、復水器7内の不凝縮ガスGも多くなるため、復水器7内の真空度は低下し得る。一方、発電機5の負荷が小さい場合、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が少なくなり、復水器7内の不凝縮ガスGも少なくなるため、復水器7内の真空度は上昇し得る。このことにより、蒸気タービン3の運転方法が変更され、発電機5の負荷が変化することによって、復水器7内の真空度が変動した場合、その変動に対応するように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。このため、復水器7内の真空度の変動に対応するように、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力および流量を変動させて、エゼクタ12による復水器7内の不凝縮ガスGの吸引量を変動させることができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0127】
なお、上述した実施の形態においては、差分開度変換部23で算出された開度が、開度補正部104において、開度補正値算出部102により算出された補正値により補正される例について説明した。しかしながら、このことに代えて、あるいはこのことに加えて、図18の破線で示すように、設定圧力格納部22に格納された設定圧力値が、開度補正値算出部102により算出された補正値により補正されてもよい。この場合、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの目標圧力値が変更されることにより、圧力調整弁16の開度が調整される。
(第10の実施の形態)
次に、図19および図20を参照して、第10の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0128】
図19および図20に示す第10の実施の形態においては、タービン蒸気供給管のエゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に、開度を変更することによって蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、エゼクタ蒸気供給管の圧力計測装置および圧力調整弁よりも上流側に、エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置と、が設けられ、制御装置は、流量計測装置の計測値に基づいて、蒸気加減弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図19および図20において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0129】
図19に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、流量計測装置30と、蒸気加減弁50と、を更に含んでいる。
【0130】
流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2の圧力計測装置14および圧力調整弁16よりも上流側に設けられている。流量計測装置30は、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量を計測するように構成されている。例えば、流量計測装置30は、流量計測器31と、温度計測器32と、を含んでいてもよい。流量計測装置30は、流量計測器31で計測した流量を、温度計測器32で計測した温度で補正することにより、流量(体積流量)を求めてもよい。流量計測装置30の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量は、制御装置20に送信される。
【0131】
蒸気加減弁50は、タービン蒸気供給管L1に設けられている。蒸気加減弁50は、タービン蒸気供給管L1の分岐点Bよりも下流側に設けられている。蒸気加減弁50は、開閉することによって、すなわち、開度を変更することによって、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量を調整するように構成されている。蒸気加減弁50は、蒸気タービン3のタービンロータ4の回転数が一定に維持されるように制御される。例えば、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が所定流量よりも大きい場合、蒸気加減弁50の開度が小さくなるように制御される。また例えば、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量が所定流量よりも小さい場合、蒸気加減弁50の開度が大きくなるように制御される。また、蒸気加減弁50は、制御装置20により制御される。すなわち、蒸気加減弁50の開度は、制御装置20により制御されて調整される。
【0132】
本実施の形態による制御装置20は、流量計測装置30の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。また、本実施の形態による制御装置20は、流量計測装置30の計測値に基づいて、蒸気加減弁50の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図20に示すように、本実施の形態による制御装置20は、開度補正値算出部34と、開度補正部36と、加減弁上限開度制限部38と、を更に含んでいる。
【0133】
開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部34は、蒸気Sの流量に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部34は、蒸気Sの各流量に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも小さい場合、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、正の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部34は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも大きい場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。開度補正値算出部34により算出された補正値は、開度補正部36に送信される。
【0134】
開度補正部36は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部34で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部36は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部34で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部36は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも小さい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部34で算出された正の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が大きくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部36は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも大きい場合、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部34で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部36で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0135】
加減弁上限開度制限部38は、流量計測装置30の計測値、すなわち、流量計測装置30により計測されたエゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量に基づいて、蒸気加減弁50の開度の上限値を算出する。加減弁上限開度制限部38は、蒸気Sの流量に対して蒸気加減弁50の開度の上限値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、加減弁上限開度制限部38は、蒸気Sの各流量に対応する蒸気加減弁50の開度の上限値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、加減弁上限開度制限部38は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも小さい場合、蒸気加減弁50の開度の上限値が小さくなるように、蒸気加減弁50の開度の上限値を算出する。また例えば、加減弁上限開度制限部38は、流量計測装置30の計測値が所定流量よりも大きい場合、蒸気加減弁50の開度の上限値が大きくなるように、蒸気加減弁50の開度の上限値を算出する。加減弁上限開度制限部38により算出された蒸気加減弁50の開度の上限値は、開度上限指令信号として蒸気加減弁50に送信される。
【0136】
蒸気加減弁50は、開度上限指令信号に基づいて、その開度が調整される。すなわち、開度上限指令信号を受信した蒸気加減弁50は、開度上限指令信号に係る開度の上限値を超えないように、その開度が調整される。
【0137】
このようにして、制御装置20は、流量計測装置30の計測値に基づいて、蒸気加減弁50の開度を調整する。
【0138】
このように本実施の形態によれば、流量計測装置30の計測値に基づいて、蒸気加減弁50の開度が調整される。このことにより、例えば、経年と共に生産井から供給される蒸気Sの流量が低下し、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量が少なくなった場合、蒸気加減弁50の開度の上限値を小さくすることで、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量を増大させることができる。このように、蒸気タービン3に供給される蒸気Sの流量を制限することで、エゼクタ12に供給される蒸気Sの流量を確保することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
(第11の実施の形態)
次に、図21および図22を参照して、第11の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0139】
図21および図22に示す第11の実施の形態においては、エゼクタ蒸気供給管の圧力計測装置および圧力調整弁よりも上流側に、開度を変更することによってエゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を調整するエゼクタ入口弁が設けられ、制御装置は、圧力計測装置の計測値に基づいて、圧力調整弁の開度とエゼクタ入口弁の開度とを連動して変更する点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図21および図22において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0140】
図21に示すように、本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、エゼクタ入口弁110を更に含んでいる。
【0141】
エゼクタ入口弁110は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。エゼクタ入口弁110は、エゼクタ蒸気供給管L2の圧力計測装置14および圧力調整弁16よりも上流側に設けられている。エゼクタ入口弁110は、開閉することによって、すなわち、開度を変更することによって、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量を調整するように構成されている。エゼクタ入口弁110は、制御装置20により制御される。すなわち、エゼクタ入口弁110の開度は、制御装置20により制御されて変更される。
【0142】
本実施の形態による制御装置20は、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度とエゼクタ入口弁110の開度とを連動して変更するように構成されている。より具体的には、図22に示すように、本実施の形態による制御装置20は、入口弁開度変換部112を更に含んでいる。
【0143】
入口弁開度変換部112は、差分算出部21で算出された計測値と設定圧力値との差分を、エゼクタ入口弁110の開度に変換する。例えば、入口弁開度変換部112は、圧力計測装置14の計測値が設定圧力値よりも大きい場合、エゼクタ入口弁110の開度が小さくなるように、エゼクタ入口弁110の開度を変換する。また例えば、入口弁開度変換部112は、圧力計測装置14の計測値が設定圧力値よりも小さい場合、エゼクタ入口弁110の開度が大きくなるように、エゼクタ入口弁110の開度を変換する。このように、入口弁開度変換部112が上述した差分開度変換部23と同様の変換をすることにより、エゼクタ入口弁110の開度を圧力調整弁16の開度と連動させることができる。入口弁開度変換部112により算出された開度は、開度指令信号としてエゼクタ入口弁110に送信される。
【0144】
エゼクタ入口弁110は、開度指令信号に基づいて、その開度が調整される。すなわち、開度指令信号を受信したエゼクタ入口弁110は、開度指令信号に係る開度になるように、その開度が変更される。
【0145】
このようにして、制御装置20は、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度とエゼクタ入口弁110の開度とを連動して変更する。
【0146】
このように本実施の形態によれば、圧力計測装置14の計測値に基づいて、圧力調整弁16の開度とエゼクタ入口弁110の開度とが連動して変更される。このように、圧力調整弁16の開度とエゼクタ入口弁110の開度とを連動して変更することにより、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量をより確実に制御することができ、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの圧力を安定化することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
(第12の実施の形態)
次に、図23を参照して、第12の実施の形態による地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム、地熱発電設備、および地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法について説明する。
【0147】
図23に示す第12の実施の形態においては、制御装置は、エゼクタ入口弁に開度指令信号を送信するとともに、開度指令信号に基づいて、圧力調整弁の開度を調整する点が主に異なり、他の構成は、図21および図22に示す第11の実施の形態と略同一である。なお、図23において、図21および図22に示す第11の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0148】
本実施の形態による不凝縮ガス排出システム10は、上述した第11の実施の形態と同様、エゼクタ入口弁110を更に含んでいる(図21参照)。
【0149】
エゼクタ入口弁110は、エゼクタ蒸気供給管L2に設けられている。エゼクタ入口弁110は、エゼクタ蒸気供給管L2の圧力計測装置14および圧力調整弁16よりも上流側に設けられている。エゼクタ入口弁110は、開閉することによって、すなわち、開度を変更することによって、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量を調整するように構成されている。エゼクタ入口弁110は、制御装置20により制御される。すなわち、エゼクタ入口弁110の開度は、制御装置20により制御されて変更される。
【0150】
本実施の形態による制御装置20は、エゼクタ入口弁110に開度指令信号を送信するとともに、当該開度指令信号に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整するように構成されている。より具体的には、図23に示すように、本実施の形態による制御装置20は、入口弁開度指令信号発信部120と、開度補正値算出部122と、開度補正部124と、を更に含んでいる。
【0151】
入口弁開度指令信号発信部120は、エゼクタ入口弁110に向けて開度指令信号を発信する。例えば、地熱発電設備1(不凝縮ガス排出システム10)の起動時、入口弁開度指令信号発信部120は、エゼクタ入口弁110の開度が所定開度(例えば100%の開度)になるように、エゼクタ入口弁110を開く旨の開度指令信号を発信する。また例えば、地熱発電設備1(不凝縮ガス排出システム10)の停止時、入口弁開度指令信号発信部120は、エゼクタ入口弁110の開度が所定開度(例えば0%の開度)になるように、エゼクタ入口弁110を閉じる旨の開度指令信号を発信する。エゼクタ入口弁110は、開度指令信号に基づいて、その開度が変更される。すなわち、開度指令信号を受信したエゼクタ入口弁110は、開度指令信号に係る開度になるように、その開度が変更される。入口弁開度指令信号発信部120からの開度指令信号は、エゼクタ入口弁110に送信されるとともに、開度補正値算出部122にも送信される。
【0152】
開度補正値算出部122は、入口弁開度指令信号発信部120からの開度指令信号に基づいて、圧力調整弁16の開度の補正値を算出する。開度補正値算出部122は、開度指令信号に対して圧力調整弁16の開度の補正値が一義的に定められた関数を用いて、補正値を算出してもよい。また、開度補正値算出部122は、各開度指令信号に対応する圧力調整弁16の開度の補正値が格納されたテーブルを用いて、補正値を算出してもよい。例えば、開度補正値算出部122は、地熱発電設備1の起動時の開度指令信号を受信した場合、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、負の補正値を算出する。また例えば、開度補正値算出部122は、地熱発電設備1の停止時の開度指令信号を受信した場合、圧力調整弁16の開度が更に小さくなるように(例えば全閉になるように)、負の補正値を算出する。開度補正値算出部122により算出された補正値は、開度補正部124に送信される。
【0153】
開度補正部124は、差分開度変換部23で算出された開度を、開度補正値算出部122で算出された補正値で補正する。すなわち、開度補正部124は、差分開度変換部23からの開度指令信号に係る開度に、開度補正値算出部122で算出された補正値を加算した開度を、開度指令信号として出力する。例えば、開度補正部124は、地熱発電設備1の起動時、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部122で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を補正する。また例えば、開度補正部124は、地熱発電設備1の停止時、差分開度変換部23で算出された開度に、開度補正値算出部122で算出された負の補正値を加算することにより、圧力調整弁16の開度が更に小さくなるように(例えば全閉になるように)、圧力調整弁16の開度を補正する。開度補正部124で補正された開度は、開度指令信号として上下限開度制限部24に送信される。
【0154】
このようにして、制御装置20は、エゼクタ入口弁110に開度指令信号を送信するとともに、当該開度指令信号に基づいて、圧力調整弁16の開度を調整する、
【0155】
このように本実施の形態によれば、エゼクタ入口弁110に送信される開度指令信号に基づいて、圧力調整弁16の開度が調整される。このことにより、例えば、地熱発電設備1の起動時、圧力調整弁16の開度が小さくなるように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。これにより、地熱発電設備1の起動時、エゼクタ蒸気供給管L2内の蒸気Sの圧力値が目標圧力値になるように、圧力調整弁16が急速に動作し、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量および圧力が変動することを抑制することができる。また例えば、地熱発電設備1の停止時、圧力調整弁16の開度が更に小さくなるように、圧力調整弁16の開度を調整することができる。これにより、地熱発電設備1の停止時、不必要に圧力調整弁16の開度が開くことを抑制することができ、エゼクタ蒸気供給管L2を流れる蒸気Sの流量および圧力が変動することを抑制することができる。このため、エゼクタ12に供給される蒸気Sの圧力をより一層安定化することができ、エゼクタ12による不凝縮ガスGの吸引量の変動をより一層抑制することができる。この結果、復水器7内の真空度をより一層安定化することができる。
【0156】
上述した各実施の形態は、適宜組み合わされてもよい。
【0157】
以上述べた実施の形態によれば、復水器内の真空度を安定化することができる。
【0158】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1:地熱発電設備、3:蒸気タービン、5:発電機、7:復水器、10:不凝縮ガス排出システム、12:エゼクタ、14:圧力計測装置、16:圧力調整弁、20:制御装置、G:不凝縮ガス、L2:エゼクタ蒸気供給管、S:蒸気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の前記復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムであって、
前記生産井からの蒸気を前記蒸気タービンに供給するタービン蒸気供給管と、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、前記復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して前記エゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記タービン蒸気供給管の前記エゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に設けられ、開度を変更することによって前記蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記蒸気加減弁の開度を計測する開度計測装置と、
前記圧力調整弁を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を変更前記開度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項2】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記流量計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項3】
前記蒸気タービンのグランド部を流れるグランド蒸気の圧力または流量を計測するグランド蒸気計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記グランド蒸気計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1または2に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項4】
前記復水器内の真空度を計測する真空度計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記真空度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項5】
大気の状態を計測する大気状態計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記大気状態計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項6】
冷却塔から前記復水器に供給される冷却水の温度を計測する冷却水温度計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記冷却水温度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項7】
前記蒸気タービンの振動を計測するタービン振動計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記タービン振動計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項8】
前記発電機の負荷を計測する発電機負荷計測装置を更に備え、
前記制御装置は、前記発電機負荷計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項9】
前記生産井からの蒸気を前記蒸気タービンに供給するタービン蒸気供給管と、
前記タービン蒸気供給管の前記エゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に設けられ、開度を変更することによって前記蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を計測する流量計測装置と、を更に備え、
前記制御装置は、前記流量計測装置の計測値に基づいて、前記蒸気加減弁の開度を調整する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項10】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を調整するエゼクタ入口弁を更に備え、
前記制御装置は、前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度と前記エゼクタ入口弁の開度とを連動して変更する、請求項1~のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項11】
前記エゼクタ蒸気供給管の前記圧力計測装置および前記圧力調整弁よりも上流側に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の流量を調整するエゼクタ入口弁を更に備え、
前記制御装置は、前記エゼクタ入口弁に開度指令信号を送信するとともに、前記開度指令信号に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する、請求項1~10のいずれか一項に記載の地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システム。
【請求項12】
前記蒸気タービンと、
前記発電機と、
前記復水器と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の不凝縮ガス排出システムと、を備える、地熱発電設備。
【請求項13】
生産井からの蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記蒸気タービンにより駆動されて発電を行う発電機と、前記蒸気タービンから排出された蒸気を凝縮させて復水を生成する復水器と、を備える地熱発電設備の前記復水器内の不凝縮ガスを排出する地熱発電設備用の不凝縮ガス排出システムの制御方法であって、
前記不凝縮ガス排出システムは、
前記生産井からの蒸気を前記蒸気タービンに供給するタービン蒸気供給管と、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して供給された蒸気を用いて、前記復水器内の不凝縮ガスを吸引して排出するエゼクタと、
前記蒸気タービンの上流側から分岐して前記エゼクタに蒸気を供給するエゼクタ蒸気供給管と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測装置と、
前記エゼクタ蒸気供給管に設けられ、開度を変更することによって前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記タービン蒸気供給管の前記エゼクタ蒸気供給管との分岐点よりも下流側に設けられ、開度を変更することによって前記蒸気タービンに供給される蒸気の流量を調整する蒸気加減弁と、
前記蒸気加減弁の開度を計測する開度計測装置と、を備え、
前記不凝縮ガス排出システムの制御方法は、
前記圧力計測装置により、前記エゼクタ蒸気供給管を流れる蒸気の圧力を計測する圧力計測工程と、
前記開度計測装置により、前記蒸気加減弁の開度を計測する開度計測工程と、
前記圧力計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を変更する開度変更工程と、
前記開度計測装置の計測値に基づいて、前記圧力調整弁の開度を調整する開度調整工程と、を備える、不凝縮ガス排出システムの制御方法。