IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小野谷機工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-作業用椅子 図1
  • 特開-作業用椅子 図2
  • 特開-作業用椅子 図3
  • 特開-作業用椅子 図4
  • 特開-作業用椅子 図5
  • 特開-作業用椅子 図6
  • 特開-作業用椅子 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063158
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】作業用椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 9/02 20060101AFI20230427BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A47C9/02
A47C7/62 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173502
(22)【出願日】2021-10-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000185916
【氏名又は名称】小野谷機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】三村 健二
【テーマコード(参考)】
3B084
3B095
【Fターム(参考)】
3B084JA05
3B084JB01
3B084JB04
3B095AA09
3B095AB08
3B095AC03
3B095CA01
(57)【要約】
【課題】 作業者の作業性を向上することができる作業用椅子を提供する。
【解決手段】 上面4と、下面6と、第1側部31と、第1側部31に隣接する第2側部32と、第2側部32とは反対側の第3側部33と、第1側部31とは反対側の第4側部34とを有する直方体状の基台3であって、上面4に伸縮性を有する着座シート5が設けられる基台3と、基台3の下面6に設けられる複数の車輪7a~7dと、基台3に第1側部31から出し入れ可能に設けられた引出部8a,8bと、基台3の第2側部32から突出して配設され、複数の円柱状の容器9a~9cを挿入するための挿入孔10a~10cを有する容器保持部11と、基台3に第3側部33から出し入れ可能に設けられた板状の作業台12と、基台3の第4側部34に配設され、長尺工具13を挿脱自在に保持する筒状の長尺工具保持部14と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、下面と、第1側部と、前記第1側部に隣接する第2側部と、前記第2側部とは反対側の第3側部と、前記第1側部とは反対側の第4側部とを有する直方体状の基台であって、前記上面に伸縮性を有する着座シートが設けられた基台と、
前記基台の前記下面に設けられる複数の車輪と、
前記基台に、前記第1側部から出し入れ可能に設けられた引出部と、
前記基台の前記第2側部から突出して配設され、複数の円柱状の容器を挿入するための挿入孔を有する容器保持部と、
前記基台に、前記第3側部から出し入れ可能に設けられた板状の作業台と、
前記基台の前記第4側部に配設され、長尺の工具を挿脱自在に保持する筒状の長尺工具保持部と、を備えることを特徴とする作業用椅子。
【請求項2】
前記長尺工具保持部は、前記第4側部に近接して位置する下端部と、前記下端部から上方になるにつれて前記下端部よりも前記第4側部から水平方向に離反して位置する上端部と、を有する有底筒状の部材から成ることを特徴とする請求項1に記載の作業用椅子。
【請求項3】
前記作業台は、板状の基体と、前記基体の上方に臨む表面に貼り付けられた滑り防止シートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の作業用椅子。
【請求項4】
前記基台は、構造用鋼材から成ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業用椅子。
【請求項5】
前記容器保持部は、前記挿入孔を有する枠部材と、前記容器を前記第2側部から離反する方向に傾斜させた状態で支持する支持部材とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のタイヤ交換などの作業を行う際に使用される作業用椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、普通自動車、バスおよびトラックなどの大型自動車のタイヤ交換は、自動車整備工場内のタイヤ交換ヤードに対象車両を搬入して、作業者がインパクトレンチ(impact wrench)等の作業工具を用いて、複数のホイールボルトまたはホイールナットの緩め作業および締め付け作業を行い、新たなタイヤに交換するタイヤ交換作業が行われている。
【0003】
このようなタイヤ交換作業は、インパクトレンチなどの動力機械を用いて、作業者は、例えば特許文献1に記載される作業用椅子に着座して作業を行うことによって、身体を安定させて、インパクトレンチを把持して正確に位置決めし、確実にホイールボルトおよびホイールナットなどの部品の締付作業および緩め作業を行っている。このような特許文献1に記載される従来技術の作業用椅子は、金属管を折り曲げて略三角形状とした支承架と、支承架の上部に配設されるシートと、支承架の下部に配設される4つのタイヤと、支承架に収容される置物箱とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3034576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1に記載される従来技術では、置物箱に部品および工具等を収容することができるものの、置物箱は上方に開放した箱状であるため、部品および工具を横倒した姿勢で収容するしかなく、作業者の使い勝手に配慮した位置および姿勢で収容することはできないために、従来から作業者の作業性を向上することができる作業用椅子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面と、下面と、第1側部と、前記第1側部に隣接する第2側部と、前記第2側部とは反対側の第3側部と、前記第1側部とは反対側の第4側部とを有する直方体状の基台であって、前記上面に伸縮性を有する着座シートが設けられた基台と、
前記基台の前記下面に設けられる複数の車輪と、
前記基台に、前記第1側部から出し入れ可能に設けられた引出部と、
前記基台の前記第2側部から突出して配設され、複数の円柱状の容器を挿入するための挿入孔を有する容器保持部と、
前記基台に、前記第3側部から出し入れ可能に設けられた板状の作業台と、
前記基台の前記第4側部に配設され、長尺の工具を挿脱自在に保持する筒状の長尺工具保持部と、を備えることを特徴とする作業用椅子である。
【0007】
また本発明は、前記長尺工具保持部は、前記第4側部に近接して位置する下端部と、前記下端部から上方になるにつれて前記下端部よりも前記第4側部から水平方向に離反して位置する上端部と、を有する有底筒状の部材から成ることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記作業台は、板状の基体と、前記基体の上方に臨む表面に貼り付けられた滑り防止シートを含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記基台は、構造用鋼材から成ることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記容器保持部は、前記挿入孔を有する枠部材と、前記容器を前記第2側部から離反する方向に傾斜させた状態で支持する支持部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直方体状の基台の上面に着座シートが設けられ、基台の底面の四隅には車輪が設けられる。基台の第1側部には引出部が設けられ、第2側部には容器保持部が設けられ、第3側部には作業台が設けられ、第4側部には長尺工具保持部が設けられる。基台の上面に着座シートが設けられるので、作業車は着座して作業を行うことができ、作業が長時間であっても作業者の下半身への負担を軽減する。安定した着座状態を提供することができ、作業性を向上することができる。第1側部に設けられる引出部には、作業に用いる工具、部品等を収容することができ、第1側部とは異なる第2側部に容器保持部が設けられるので、作業に用いる、例えば潤滑剤および防錆剤等を噴霧するスプレー缶などを収容することができ、引出部への工具および部品等の出し入れ作業を阻害することなしに、例えば潤滑剤などが貯留された容器を使用することができる。これによっても、作業性を向上することができる。さらに第3側部に作業台が設けられ、第4側部に長尺工具保持部が設けられるので、長尺工具保持部に保持される、例えばタイヤレバーなどの長尺工具によって作業が阻害されずに作業台上で取付け部品等の準備作業を行うことが可能であり、長尺工具の使用を取付け部品等が載置された第3側部とは異なる場所、すなわち第4側部で行うことができ、これによっても作業性を向上することができる。
【0012】
このように第1~第4側部のそれぞれに、引出部、容器保持部、作業台および長尺工具保持部が設けられるので、これらの各部を用いる各作業を互いに干渉せずに行うことができ、各作業の作業性を向上し、効率よく作業を行うことができる。基台の底面には、前述のように車輪が設けられるので、作業対象位置へ作業者は座ったままで容易に移動することができ、これによって作業者は、移動のために立ち上がる必要がなく、移動のための時間を削減して、作業性を向上することができる。
【0013】
また本発明によれば、長尺工具を作業用椅子に着座した作業者から離反する側に傾斜した状態で保持することができる。これによって、作業用椅子に着座した作業者にタイヤレバーが干渉せず、作業者の作業の邪魔にならない位置にタイヤレバーが保持され、作業者の近傍に位置するタイヤレバーを使用する際に長尺工具保持部から容易に抜き取り、例えばホイールリムの内面に付着したタイヤビードを外部へ離脱させるなどの作業に用いることができる。また、長尺工具を使用した後は、不要になった長尺工具を長尺工具保持部へ挿入し、作業者の邪魔にならない状態で保持することができる。このように長尺工具を作業者が着座する作業用椅子に設けられる長尺工具保持具に保持することができるので、作業者が離れた保管場所まで長尺工具を取りに行く必要がなく、利便性が向上される。
【0014】
また本発明によれば、作業用椅子は作業台を有し、この作業台の、上方に臨む表面には滑り防止シートが貼り付けられるので、この滑り防止シート上に部品などを載置して、部品に付着している異物の除去、潤滑油の塗布などの作業を安定して行うことができ、利便性を向上することができる。
【0015】
また本発明によれば、基台が構造用鋼材から成るので、前記従来技術の作業用椅子に比べて高い強度を有し、工具、部品および他の物体の衝突等によって容易に変形して破損することが防がれる。
【0016】
また本発明によれば、枠部材と支持部材とを有するので、例えば潤滑剤などが貯留された容器を第2側部に対して傾斜した状態で保持することができる。したがって作業用椅子に作業者が着座した状態であっても、容器が作業者の邪魔にならず、必要な容器を容易に使用することができる。これによって利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の作業用椅子1の正面図である。
図2】作業用椅子1の平面図である。
図3図1の右側から見た作業用椅子1の側面図である。
図4】作業用椅子1の外観を示す斜視図である。
図5】上段の引出部8aの内部構造の一例を示す平面図である。
図6】作業者が作業用椅子1に着座した状態を示す斜視図である。
図7】作業台12の使用状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の作業用椅子の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の作業用椅子1の正面図である。図2は、作業用椅子1の平面図である。図3は、図1の右側から見た作業用椅子1の側面図である。図4は、作業用椅子1の外観を示す斜視図である。本実施形態の作業用椅子1は、例えば自動車整備工場のタイヤ交換施設の建物内で用いられる。このタイヤ交換施設の建物は、水平な床2を有し、床2上に複数台(例えば、2台)のバスおよびトラックなどの大型車両を収容して、本実施形態の作業用椅子1を用いて、タイヤ交換作業を行う場合を想定して説明する。なお、本実施形態において、「直方体状」は幾何学的な六面体に限らず、複数の部材の集合体によって構築し得る、大略的に六面体として識別可能な形状を含む。
【0020】
本実施形態の作業用椅子1は、上面4と、下面6と、第1側部31と、第1側部31に隣接する第2側部32と、第2側部32とは反対側の第3側部33と、第1側部31とは反対側の第4側部34とを有する略直方体状の基台3であって、上面4に伸縮性を有する着座シート5が設けられた基台3と、基台3の下面6の四隅部のそれぞれに設けられる車輪7a~7dと、基台3に、第1側部31から出し入れ可能に設けられた複数の引出部8a,8bと、基台3の第2側部32から突出し、複数の容器9a~9cを挿入するための、平面視形状が円形の挿入孔10a~10cを有する容器保持部11と、基台3に、第3側部33から出し入れ可能に設けられた板状の作業台12と、第4側部34に設けられ、長尺工具13を挿脱自在に保持する筒状の長尺工具保持部14と、を備える。本実施毛体において、車輪7a~7dは、基台3の下面の四隅部にそれぞれ設けられてもよい。第3側部33の下段の引出部8bの側方には、物置き棚50が固定される。基台3の表面は、例えば赤色塗料が塗布され、赤色に塗装されていてもよい。このような赤色の塗装によって、作業現場で作業用椅子1が目立ち易くなり、作業者への注意を促し、安全性を向上することができる。
【0021】
容器保持部11は、挿入孔10a~10cが形成された、板状の金属から成る挿入部材40と、各容器9a~9cの外径よりも僅かに大きい内径を有する3つの嵌合凹部41a~41cを有する底受け部材41と、底受け部材41および挿入部材40が固定された支持部材42と有する。支持部材42は、挿入部材40とともに第2側部32に固定される。支持部材42は第2側部32から最も離れた遊端部で上方に向けて直角に屈曲し、上端部が挿入部材40に固定される。挿入部材40の挿入孔10a~10cから挿入された容器9a~9cの底部は、各底受け部材41の各嵌合凹部41a~41cに嵌合して斜めに傾斜した状態に保持される。これによって各容器9a~9cの各上端部を着座シート5から離し、作業者の希望に応じて短時間で各容器9a~9cのいずれかを抜き取って作業に用いることができ、これよって作業性を向上することができる。
【0022】
作業用椅子1の高さHは、例えば330mmであり、各引出部8a,8bを開放位置に引きだした状態での水平方向の幅Bは、例えば600mmである。容器9aは、例えばパーツクリーナなどの液体を噴霧するスプレー缶であり、容器9bは、例えば潤滑油などの液体を噴霧するスプレー缶であり、容器9cは、例えば錆び止めなどの液体を噴霧するスプレー缶である。これらの容器9a~9cは、タイヤ交換作業において高頻度で使用される。各容器9a~9cは、圧縮ガスによって液体を噴射するスプレー缶に限らず、液体が収容された樹脂製のボトルであってもよい。
【0023】
このような構成によれば、直方体状の基台3の上面に着座シート5が設けられる。基台3の下面6の四隅部には車輪7a~7dが設けられてもよい。着座シート5は、例えば発泡合成樹脂が軟質の樹脂カバーによって覆われた厚みが50mm程度の高反発クッション材によって実現されてもよい。基台3の第1側部31には、引出部8a,8bが設けられ、第2側部32には容器保持部11が設けられ、第3側部33には作業台12が設けられ、第4側部34には長尺工具保持部14が設けられる。基台3の上面に着座シート5が設けられるので、作業が長時間であっても作業者への臀部への負担を軽減し、安定した着座状態を提供することができ、作業性を向上することができる。
【0024】
各車輪7a~7dは、鉛直軸線まわりに回転自在な、いわゆるキャスタによって実現されてもよい。これらの車輪7a~7dのうち、正面側に配置された2つの車輪7a,7bは、操作片40a,40bの押圧操作によって転動輪の水平な回転軸線まわりの回転を阻止するロック機構付きキャスタによって実現される。これによって、作業用椅子1の移動を阻止し、安全性を向上することができる。また、車輪7a,7bをロックできるので、作業中の作業用椅子1の不用意な移動を阻止することができ、これによって作業者は安全に作業を行うことができる。
【0025】
また、第1側部31から出し入れ可能に設けられる引出部8a,8bには、作業に用いる工具、部品等を収容することができ、第1側部31に隣接する第2側部32には容器保持部11が設けられるので、容器保持部11によって作業に用いる例えば潤滑剤および防錆剤等を噴霧するスプレー缶などを収容することができ、引出部8a,8bへの工具および部品等の出し入れ作業を阻害することなく容器9a~9cを選択的に使用することができる。これによっても、作業性を向上することができる。
【0026】
さらに基台に第3側部33から出し入れ可能な作業台12が設けられ、第4側部34に長尺工具保持部14が設けられるので、長尺工具保持部14に保持される、例えばタイヤレバーなどの長尺工具13によって作業が阻害されずに作業台12上で取付け部品等の準備作業を行うことが可能であり、長尺工具13の使用を部品等が載置された第3側部33とは異なる場所、すなわち第4側部34で行うことができ、これによっても作業性を向上することができる。
【0027】
このように第1~第4側部31~34のそれぞれに、引出部8a,8b、容器保持部11、作業台12および長尺工具保持部14が設けられ、これらの各部を用いる各作業を互いに干渉せずに行うことができるので、各作業の作業性を向上し、効率よく作業を行うことができる。基台3の下面6には、前述のように車輪7a~7dが設けられるので、作業対象とする位置まで作業者は座ったままで容易に移動することができ、これによって作業者は、立ち上がることなく移動することができ、移動のために要する時間を短縮して、作業性を向上することができる。
【0028】
図5は、上段の引出部8aの内部構造の一例を示す平面図である。引出部8aは、中空箱状の引出本体25と、引出本体25の正面壁部の中央に固定される把手26と、引出本体25内に収容されるホルダ27とを有する。引出本体25は、平面視で四辺形に連結された4つの側壁4a~4dと、各側壁4a~4dの軸線方向一端側の開口を塞ぐように各側壁4a~4dに周縁部が連結された底板4eとを含み、深さ50mmの箱状に構成される。
【0029】
このような引出本体25は、例えば基台3と同様な構造用鋼材から成り、把手26は正面側に配置される側壁4aにボルト等のねじ部材によって固定されている。ホルダ27は、例えば構造用鋼材から成り、例えばインパクトレンチ等の作業工具28の本体28aに着脱自在に装着される複数のツール30を収容する第1~第5凹部29a~29e、を有する。作業工具28の本体28aは、引出本体25内のホルダ27と背後の側壁4cとの間に設けられる例えば構造用鋼材から成る隔壁部材35によって仕切られた2つの空間36a,36bの一方に収容され、他方の空間には、ツール30に着脱自在に装着され、作業対象とするホイールボルト等の作業対象部品が装着される複数の作業ツール337が収容される。
【0030】
下段の引出部8bは、深さ70mmの前述の上段の引出本体25と同様な引出本体を有する、引出部8bは、前述のホルダ27は収容されなくてもよく、あるいは、他の工具および部品用の凹部を有するホルダが収容されてもよい。
【0031】
長尺工具保持部14は、第4側部34に近接して位置する下端部15と、下端部15から上方に向かって下端部15よりも第4側部34から離反して位置する上端部16とを有する有底筒状の挿入容器17と、挿入容器17を第4側部34に連結するブラケット18とを含む。挿入容器17およびブラケット18は、構造用鋼材から成り、挿入容器17がブラケット18に溶接して接合され、ブラケット18は例えば六角ボルトによって共締めによって第4側部34に接合される。
【0032】
図6は作業者が作業用椅子1に着座した状態を示す斜視図である。前述の長尺工具保持部14によって、長尺工具13である例えばステンレス鋼製のタイヤレバーを差し込むことによって、その長尺工具13は下端部15から上端部16にむかって第4側部34から離反する方向に、鉛直面に対する角度θが例えば約15°で第4側部34から離反する方向に傾斜した状態で保持される。したがって、長尺工具13の上端部は、図6に示されるように、着座シート5上に着座した作業者から離れて位置し、作業者への干渉を回避することができる。
【0033】
また作業用椅子1に着座した作業者にタイヤレバー等の長尺工具13が干渉せず、作業者の作業の邪魔にならない位置に保持され、使用する際に作業者の近傍に位置するタイヤレバーを長尺工具保持部14から容易に抜き取り、例えばホイールリムの内面に付着したタイヤビードを外部へ離脱させるなどの作業に用いることができる。また、長尺工具13を使用した後は、不要になった長尺工具13を長尺工具保持部14へ挿入し、作業者の邪魔にならない状態で保持することができる。このように長尺工具13を作業者が着座する作業用椅子1に設けられる長尺工具保持部14に保持することができるので、作業者が離れた保管場所まで長尺工具13を取りに行く必要がなく、利便性が向上される。
【0034】
図7は、作業台12の使用状態を説明するための図である。作業台12は、板状の基体19と、基体19の上方に臨む表面に貼り付けられた滑り防止シート20とを含む。作業用椅子1は作業台12を有し、この作業台12の上方に臨む表面には滑り防止シート20が貼り付けられるので、図7に示されるように、滑り防止シート20上に複数の部品であるホイールナット21を収容する複数の部品収容凹部23を有する木製または樹脂製のトレー24を載置して、部品に付着している異物の除去、潤滑油の塗布などの作業を安定して行うことができ、利便性を向上することができる。滑り防止シート20は、200mm×180mmの例えばNRゴムから成るシートによって実現されてもよい。
【0035】
基台3は、構造用鋼材から成る。基台3が構造用鋼材から成るので、前記従来技術の作業用椅子に比べて高い強度を有し、工具、部品および他の物体の衝突等によって容易に変形して破損することが防がれ、高い耐久性を実現することができる。基台3の上板の四隅は、角立ちをなくすため、内側に切欠かれている。
【0036】
容器保持部11は、挿入孔10a~10cを有する枠部材と、容器9a~9cを第2側部32から離反する方向に傾斜させた状態で支持する支持部材43とを有するので、容器9a~9cを着座シート5に着座した作業者から離れた方向に傾斜させた状態で保持することができ、これによって容器9a~9cと作業者との干渉を回避することができる。
【0037】
本発明の作業用椅子1は、前述のタイヤ交換作業だけでなく、その他の作業、例えば自転車、バイクなどのメンテナンス工場などにも用いることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、また、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 作業用椅子
2 床
3 基台
4 上面
5 着座シート
6 下面
7a~7d 車輪
8a,8b 引出部
9a~9c 容器
10a~10c 挿入孔
11 容器保持部
12 作業台
13 長尺工具
14 長尺工具保持部
15 下端部
16 上端部
17 挿入容器
18 ブラケット
19 基体
20 滑り防止シート
21 ホイールナット
23 部品収容凹部
24 トレー
31 第1側部
32 第2側部
33 第3側部
34 第4側部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7