(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063198
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20230427BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P25/34
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202524
(22)【出願日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】110139393
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519298765
【氏名又は名称】葡萄王生技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 勁初
(72)【発明者】
【氏名】陳 炎▲錬▼
(72)【発明者】
【氏名】林 詩偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲彦▼博
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲啓▼憲
(72)【発明者】
【氏名】侯 毓欣
(72)【発明者】
【氏名】石 仰慈
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲静▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 雅君
(72)【発明者】
【氏名】江 佳琳
(72)【発明者】
【氏名】蔡 侑珊
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 姿和
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA02
(57)【要約】
【課題】タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物に関する。
【解決手段】発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)GKF3(受託番号:CGMCC 15203)を有効成分として含み、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させるためのタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効用量の発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)GKF3を有効成分として含み、前記発酵乳酸桿菌GKF3は、2018年1月12日に中国一般微生物株保存管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC)に寄託され、受託番号がCGMCC 15203である、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させるためのタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項2】
前記経口組成物を投与されていない前記喫煙被験者に比べると、前記経口組成物を投与された前記喫煙被験者の前記尿の前記ニコチン代謝物質の前記含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項3】
前記ニコチン代謝物質は、コチニン及び/又はトランス3-ヒドロキシコチニンを含む請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項4】
前記有効用量は、700mg/60kg・体重(body weight;bw)/日間~900mg/60kg・bw/日間である請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項5】
前記経口組成物は、前記喫煙被験者に、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される請求項4に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項6】
有効用量の前記発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)を有効成分として含み、且つ前記有効用量が毎日700mg/60kg・bw/日間~900mg/60kg・bw/日間であるタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項7】
前記経口組成物は、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させる請求項6に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項8】
前記経口組成物を投与されていない前記喫煙被験者に比べると、前記経口組成物を投与された前記喫煙被験者の前記尿の前記ニコチン代謝物質の前記含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する請求項6に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項9】
有効用量の前記発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)を有効成分として含み、且つ前記有効用量が1010コロニー形成単位(colony forming unit;CFU)/60kg・bw/日間~1012CFU/60kg・bw/日間であるタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項10】
前記経口組成物は、喫煙被験者に、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される請求項9に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物に関し、特に、発酵乳酸桿菌GKF3を含むタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコは、燃焼されると、90種類以上の既知の発癌物質を含む、7000種類以上の化学物質を釈放することができ、且つこれらの化学物質が喫煙者の身体を損害するだけではなく、他人の健康にも危害を及ぼす。しかしながら、タバコにおけるニコチンが嗜癖性を持つので、喫煙者は、タバコ嗜癖性から脱離しにくい。喫煙者がタバコを吸う場合、ニコチンは、数秒以内に肺から血液を介して脳に伝達されて、喫煙者に興奮及び/又は快適を感じさせることができる。一旦、血液におけるニコチン含有量が低下すると、喫煙者には、不安、過敏、集中力低下、鬱病、不眠症、咳及び頭痛等を含むニコチンの離脱症状が発生しやすい。次に、脳のニコチンに対する耐性が発生することで、喫煙者は、喫煙量を増加させなければ、ニコチンの離脱症状を軽減させることはできない。
【0003】
市販の禁煙用薬は、ニコチンの離脱症状を緩及びすることで、喫煙者の禁煙を援助し、ニコチン代替薬物及び非ニコチン代替薬物に分けられる。ニコチン代替薬物は、異なる剤形(トローチ、吸入剤、鼻噴霧及び/又はパッチ)で喫煙者に低用量のニコチンを提供して、用量を段階的に調整することで、喫煙者のニコチンに対する依存性を次第に低下させる。非ニコチン代替薬物は、喫煙量の低下時に発生したニコチンの離脱症状を軽減させる以外、喫煙による興奮感及び/又は快適感を低下させることもできる。しかしながら、上記禁煙用薬には、多くの副作用を有する。
【0004】
これに鑑みて、上記問題を解決するために、副作用が少なく且つタバコ嗜癖性を低下可能な経口組成物が至急に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明の一態様では、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させるための、タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提供する。
【0006】
本発明のもう一つの態様では、有効用量の発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)GKF3を有効成分として含む、タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記態様によると、有効用量の発酵乳酸桿菌GKF3を有効成分として含んでよいが、それらに限定されなく、前記発酵乳酸桿菌GKF3は、例えば、2018年1月12日に中国一般微生物株保存管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC)に寄託され、受託番号がCGMCC 15203であるものであってよい、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させるためのタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提出する。
【0008】
本発明の上記の実施例によると、経口組成物を投与されていない喫煙被験者に比べると、経口組成物を投与された喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する。
【0009】
本発明の上記の実施例によると、ニコチン代謝物質は、コチニン及び/又はトランス3-ヒドロキシコチニンを含んでよいが、それらに限定されない。
【0010】
本発明の上記の実施例によると、有効用量は、例えば、700mg/60kg・体重(body weight;bw)/日間~900mg/60kg・bw/日間であってよい。
【0011】
本発明の上記の実施例によると、経口組成物は、喫煙被験者に、例えば、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される。
【0012】
本発明の別の態様によると、有効用量の発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)を有効成分として含んでよいが、それらに限定されなく、且つ有効用量が例えば毎日700mg/60kg・bw/日間~900mg/60kg・bw/日間であってよいタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提出する。
【0013】
本発明の上記の実施例によると、経口組成物は、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させる。
【0014】
本発明の上記の実施例によると、経口組成物は、喫煙被験者に投与された後で、経口組成物を投与されていないものに比べると、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する。
【0015】
本発明のもう一つの態様によると、有効用量の発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)を有効成分として含んでよいが、それらに限定されなく、且つ有効用量が例えば、1010コロニー形成単位(colony forming unit;CFU)/60kg・bw/日間~1012CFU/60kg・bw/日間であってよいタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提出する。
【0016】
本発明の上記の実施例によると、経口組成物は、喫煙被験者に、例えば、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を喫煙被験者に適用すると、喫煙被験者の喫煙量が低下し、且つニコチンの離脱症状が発生しなく、発酵乳酸桿菌GKF3がタバコ嗜癖性を低下させる効果を有することが判明される。
下記の添付図面についての詳細な説明は、本発明の上記及び他の目的、特徴、メリットと実施例をより分かりやすくするためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例による第1群の実験フローを示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による第2群の実験フローを示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による異なる処理群別のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率を示す。
【
図4】本発明の一実施例による被験者の異なる時間でのCES-D合計点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
文脈に明らかに示されない限り、本発明で言及された単数形の「一」、「一つ」及び「前記」は、複数の引用を含む。特に特定的な記載がない限り、数値範囲(例えば、10%~11%のA)は、何れも上、下限値(つまり、10%≦A≦11%)を含む。数値範囲として、下限値(例えば、0.2%よりも低いB、又は0.2%以下のB)が規定されていないとは、その下限値が0である可能性がある(つまり、0%≦B≦0.2%)。上記用語は、本発明を限制するためのものではなく、本発明を説明及び理解するためのものである。
【0020】
前記のように、本発明は、有効用量の発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)GKF3を有効成分として含んでよいが、それに限定されないタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を提供する。
【0021】
一実施例において、この発酵乳酸桿菌GKF3(菌株GKF3とも呼ばれる)は、2018年1月12日に中国一般微生物株保存管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC、アドレス:中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号、中国科学院微生物研究所、郵便番号:100101)に寄託され、受託番号がCGMCC 15203である。この発酵乳酸桿菌GKF3は、また、2018年2月12日に、台湾食品工業発展研究所バイオリソース保存及び研究センター(Bioresource Collection and Research Center、BCRC、アドレス:台湾新竹市東区食品路331号、郵便番号:30062)に寄託され、受託番号がBCRC 910824である。
【0022】
ここで、説明すべきなのは、発酵乳酸桿菌は、乳酸杆菌属におけるグラム陽性菌種であり、例えば、サワードウ又はキムチのような、動物及び/又は植物の発酵物でよく見られる。次に、例えば、発酵乳酸桿菌GKF3のような、いくつかの特定の発酵乳酸桿菌は、動物のプロバイオティクスとされることができ、安全用量で投予(例えば、経口)すれば、副作用がほとんどない。
【0023】
一実施例において、上記の経口組成物の有効用量は、例えば、毎日700mg/60kg・bw/日間~900mg/60kg・bw/日間であってよく、1010CFU/60kg・bw/日間~1012CFU/60kg・bw/日間に相当する。有効用量が700mg/60kg・bw/日間及び/又は1010CFU/60kg・bw/日間よりも低くなると、タバコ嗜癖性の低下効果は、不良である。有効用量が800mg/60kg・bw/日間及び/又は1012CFU/60kg・bw/日間よりも高くなると、製造コストが上昇する場合にも、タバコ嗜癖性の低下効果は、更に著しく向上しない。一実施例において、経口組成物を喫煙被験者に所定の投与時間投与させると、喫煙被験者のタバコ嗜癖性を効果的に低下させることができ、前述の投与時間は、例えば、25日間~30日間である。
【0024】
前述の「喫煙被験者」とは、今まで100本(5パック)を超えるタバコを吸い、且つ直近30日間内で喫煙品を使用したことのあるものという、国際的に現在の喫煙者(current smoker)に対する定義を参照してよい。
【0025】
本発明の技術特徴の一つは、客観的な生理学的検出数値及び主観的な認知尺度を併用して、発酵乳酸桿菌GKF3のタバコ嗜癖性に対する低下効果を評価することでる。具体的にいうと、客観的には、前述の「タバコ嗜癖性の低下」とは、喫煙量が下がる(例えば、喫煙の頻度及び/又は数量が低下する)ことである。主観的には、前述の「タバコ嗜癖性の低下」とは、喫煙量の低下により血液におけるニコチン含有量が下がる場合、ニコチンの離脱症状が発生しないことである。
【0026】
詳しくいうと、喫煙被験者は、タバコを7日間~10日間吸った後で、尿からニコチン代謝物質が検出されることができ、且つニコチン代謝物質の含有量と喫煙量とは正の相関を有する。そのため、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量が所定の濃度まで下がると、喫煙被験者の喫煙量が低下すると判断され、前記所定の濃度は10ng/mLである。上記ニコチン代謝物質は、コチニン(cotinine)及び/又はトランス3-ヒドロキシコチニン(trans-3-hydroxycotinine)を含んでよいが、それらに限定されない。
【0027】
これにより、タバコ嗜癖性の低下効果は、喫煙被験者に経口組成物を投与された後の尿のニコチン代謝物質の含有量の低下幅によって評価されることができることが判明される。次に、タバコ嗜癖性の低下効果は、更に、タバコ嗜癖性の低下した人数の百分率によって評価されることができ、タバコ嗜癖性の低下した人数の百分率とは、全ての喫煙被験者の人数において、経口組成物を投与されていないものに比べると、経口組成物を投与された後の尿のニコチン代謝物質の含有量が10ng/mL以上低下した喫煙被験者の人数の百分率である。
【0028】
一実施例において、上記ニコチンの離脱症状は、例えば、米国国立精神衛生研究院疫学研究センターの鬱病尺度(the center for epidemiologic studies depression scale;CES-D)によって評価されることができる。CES-Dは、疫学でよく用いられる鬱病尺度であり、CES-Dの合計点で喫煙被験者を定量化して抑鬱気分の発生頻度を主観的に評価する。喫煙被験者の喫煙量が下がる時に、CES-D合計点が向上すると、ニコチンの離脱症状が発生すると判断する。それに対して、CES-D合計点が低下すると、ニコチンの離脱症状が発生していないと判断する。
【0029】
人体実験によると、発酵乳酸桿菌GKF3を投与していない喫煙被験者に比べると、発酵乳酸桿菌GKF3を4週間投与した喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下することが証明される。次に、発酵乳酸桿菌GKF3を投与していない喫煙被験者に比べると、発酵乳酸桿菌GKF3を投与した喫煙被験者のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率は高く、発酵乳酸桿菌GKF3は客観的にタバコ嗜癖性を低下させることができることが証明される。
【0030】
次に、CES-D評価によると、発酵乳酸桿菌GKF3を投与していないものに比べると、喫煙被験者は、発酵乳酸桿菌GKF3を投与された後で、CES-D点数が低く、抑鬱気分の発生頻度が下がる、ニコチンの離脱症状が発生しないことを示し、発酵乳酸桿菌GKF3が主観的にタバコ嗜癖性を低下させることができることが証明される。つまり、発酵乳酸桿菌GKF3は、ニコチンの離脱症状が発生せずに、喫煙被験者の喫煙量を低下させることができ、タバコ嗜癖性の低下効果を持つ。
【0031】
以下、複数の実施例によって、本発明の適用を説明するが、これは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神や範囲から逸脱せずに、多様の変更や修正を加えることができる。
実施例1、菌株由来及び調製
【0032】
台湾新竹の北埔の市販の発酵キムチを10倍の体積の水で希釈し均質化して、均質液を取得した。次に、1mLの均質液を0.1%ブロモクレゾールグリーン(bromocresol green)含有のMRS培養液に接種して、弱酸(pH6.5±0.2)環境での生長を好む菌種(乳酸菌を含む)を選んで、37℃で16時間培養した後で、培養液を取得した。培養液配列を希釈した後で、それぞれ5つの固形培地[Rogosa寒天培地、ビフィズス菌選別培地(bifidobacterium iodoacetate medium 25、BIM-25)、ジャガイモ澱粉及び酵母抽出物を含む寒天培地、ブロモクレゾールグリーンMRS寒天培地及びブロモクレゾールパープルMRS寒天培地を含む]に塗布して、また37℃で40時間培養した後で、各種の固形培地から15~20個の単一のコロニーを選択して、第1の選別菌株を取得した。
【0033】
次に、リポ多糖で処理されたRAW264.7マクロファージ細胞(以下、モデル細胞と呼ばれる)を細胞炎症反応モデルとして、抗炎症効果を持つ菌株を選んだ。菌株を投与されたモデル細胞の一酸化窒素、腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-α;TNF-α)の分泌量が菌株を投与されていないモデル細胞よりも80%下がると、この菌株が抗炎症効果を持つと判断した。その後、これらの抗炎症効果を持つ菌株から、トリプトファンデカルボキシラーゼ活性を持つ菌株GKF3を篩分けした。
【0034】
菌株GKF3の染色体DNA(genomic DNA;gDNA)を精製した後で、例えば、配列識別子(SEQ ID NO):1及びSEQ ID NO:2のような核酸配列に示すフォワードプライマー及びリバースプライマーでポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)を行って、例えば、SEQ ID NO:3のような核酸配列に示すrecN遺伝子のDNAフラグメントを取得することができた。配列を整列させた後、菌株GKF3が発酵乳酸桿菌であると同定した。
【0035】
発酵乳酸桿菌菌株GKF3は、2018年1月12日に中国一般微生物株保存管理センター(アドレス:中国北京市朝陽区北辰西路1号院3号、郵便番号:100101)に寄託され、且つ受託番号がCGMCC 15203であった。発酵乳酸桿菌GKF3は、また、2018年2月12日に台湾財団法人食品工業発展研究所の生物資源保存研究センター(アドレス:台湾新竹市東区食品路331号、郵便番号:30062)に寄託され、且つ受託番号がBCRC 910824であった。
【0036】
発酵乳酸桿菌GKF3をMRS寒天培地に接種して固形培養工程を行って、単一のコロニーを取得した。次に、単一のコロニーを発酵基質に接種して発酵工程を18時間行って、発酵物を取得した。固形培養工程は、温度37℃の条件で行われた。発酵工程は、温度37℃、通気量0.5通気気体体積/発酵容器体積/分間(air volume/culture volume/min;vvm)の二酸化炭素、振盪速率500rpmの条件で行われた。上記発酵基質のレジピを、表1に示した。
【表1】
【0037】
上記発酵物を10000rpmの回転速度で遠心を行って、菌泥を取得した。その後、菌泥及び20重量百分率(wt%)の脱脂粉乳を混合させてから、凍結乾燥を行って、GKF3凍結乾燥粉末を取得した。凍結乾燥は、習知の工程であり、且つ後の評価に影響を与えないので、繰り返して説明しない。
実施例2、発酵乳酸桿菌GKF3のタバコ嗜癖性に対する低下効果を、生理学的検出数値で評価する
【0038】
GKF3凍結乾燥粉末をカプセルに埋め込んで、各カプセルに400mgのGKF3凍結乾燥粉末を含有させ、5×109個のCFUの発酵乳酸桿菌GKF3の生菌に相当するようにして、発酵乳酸桿菌GKF3の実験菌粉カプセルを取得した。次に、カプセルに微結晶状のα-セルロース(microcrystalline α-cellulose)を埋め込めて、プラセボカプセルにした。
【0039】
20歳~50歳の喫煙被験者であり、且つ重大な病患がない健康な若い男性である被験者を募集した。注意すべきなのは、被験者としては、下記何れに合致するものは除外される。
(1)重大な精神疾患を有するもの、
(2)抗生物質服用者、
(3)高度なアルコール嗜癖又は本試験結果に影響を与える他の行為を持つもの、
(4)精神薬物を服用しているもの(例えば、抗鬱薬)、
(5)ニコチン関連の補充療法を受けたことがある又は受けているもの、
(6)3ヶ月前又はプロバイオティクスを使用しているもの。
【0040】
次に、被験者が試験の評価期間中に、試薬(ここで、発酵乳酸桿菌GKF3菌粉カプセル及び/又はプラセボカプセルをいう)に不快適になり、試薬を規定通りに使用しなく、生活が本計画通りに拘束しないことで、試薬の効果を判断できなく、又はデータの不完全等で効果又は安全性の判断に影響を与え、試験の評価期間中に病気にかかったり本試験結果に影響を十分に与える薬物又は保健食品を服用し、及び/又は尿を協力して採取しなく、及び/又はCES-Dを完成できなかったものであれば、試験から脱退すべきである。
【0041】
被験者(n=45)を第1の群(n=23)及び第2の群(n=22)に無作為に分け、第1の群と第2群との群間の血液生化学値における各パラメータは、何れも統計的有意差はなかった。
図1及び
図2を参照すると、
図1は本発明の一実施例による第1群の実験フローを示す図であり、且つ
図2は本発明の一実施例による第2群の実験フローを示す図である。下記フロー100及びフロー200において、尿検出とは、被験者尿におけるニコチン代謝物質の含有量を検出し、ニコチン代謝物質はコチニン及びトランス3-ヒドロキシコチニンを含む。コチニン及びトランス3-ヒドロキシコチニンの検出は、本発明が属する技術分野の一般知識であり、且つ効果に影響を与えないので、繰り返して説明しない。対照処理としては、毎日、朝ごはんの後でプラセボカプセルを2錠投与した。実験処理としては、毎日、朝ごはんの後で発酵乳酸桿菌GKF3菌粉カプセルを2錠投与した。特に説明すべきなのは、上記フロー100及びフロー200の期間中に、被験者は、自分の意識及び/又は要求に応じてタバコを吸ってよかった。
【0042】
図1のフロー100を参照すると、工程110に示すように、尿を検出した。次に、工程115及び工程120に示すように、対照処理を4週間も行い、再び尿を検出した。その後、工程130によって、対照処理を2週間も停止した。続いて、工程140に示すように、尿を検出した。次に、工程145及び工程150に示すように、実験処理を4週間も行い、再び尿を検出し、試験は合計で10週間であった。
【0043】
図2のフロー200を参照すると、工程210に示すように、尿を検出した。次に、工程215及び工程220に示すように、実験処理を4週間も行い、再び尿を検出した。その後、工程230によって、実験処理を2週間も停止した。続いて、工程240に示すように、尿を検出した。次に、工程245及び工程250に示すように、対照処理を4週間も行い、再び尿を検出し、試験は合計で10週間であった。
【0044】
フロー100及びフロー200では、交差試験(crossover trial)の設計を採用し、各被験者の対照処理(対照処理群)及び実験処理(実験処理群)の評価結果を取得することができるため、所望の被験者の人数を低減することができるというメリットを有する。異なる処理前後の尿のニコチン代謝物質の含有量の平均を表2に記録した。
【表2】
【0045】
表2に示すように、実験処理された後で、被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量の平均は実験処理前よりも1047.7ng/mL低いが、対照処理された液のニコチン代謝物質の含有量の平均は対照処理前よりも高くなった。上記から分かるように、被験者に発酵乳酸桿菌GKF3を投与した後で、尿のニコチン代謝物質の含有量が低下し、被験者の喫煙量が低減することを表し、発酵乳酸桿菌GKF3を服用することでタバコ嗜癖性を低下させることができることが証明される。
【0046】
実験処理された後で、尿のニコチン代謝物質の含有量が実験処理される前よりも10ng/mL以上下がる被験者の人数の被験者の人数に対する百分率を計算することで、実験処理群のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率を取得することができる。同様に、対照処理された後で、尿のニコチン代謝物質の含有量が対照処理される前よりも10ng/mL以上下がる被験者の人数の被験者の人数に対する百分率を計算することで、対照処理群のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率を取得することができる。
【0047】
図3は、本発明の一実施例による異なる処理群別のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率(%)を示し、横軸は左から右へそれぞれ対照処理群及び実験処理群であり、縦軸はタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率(単位:%)である。例えば、
図3に示すように、実験処理群のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率は67%(30/45人)であり、対照処理群のタバコ嗜癖性の低下した人数の百分率(36%、16/45人)よりも31%高く、発酵乳酸桿菌GKF3を服用するとタバコ嗜癖性を低下させる効果を有することが証明される。
実施例3、発酵乳酸桿菌GKF3のタバコ嗜癖性に対する低下効果を、認知尺度によって評価する
【0048】
認知尺度CES-Dによって、被験者に1週間内で鬱病症状が現れる頻度を主観的に評価させ、頻度が「なし」、「僅かに」(1週間に1日以下)、「時々」(1週間に1~2日)及び「しばしば」(1週間に3~7日)である場合、それぞれ0点、1点、2点及び3点を与えた。上記鬱病症状は、憂うつ感(depressed mood)、罪悪感と無価値観(guilt and worthlessness)、絶望感と無力感(feelings of helplessness and hopelessness)、精神や動作の遅れ(psychomotor retardation)、食欲低下(loss of appetite)と睡眠障害(sleep disturbance)等の合計で20個を含むので、CES-D合計点は0点~60点である。喫煙量が低下すると、CES-D合計点は著しく向上し、ニコチンの離脱症状が現れる。
【0049】
第1の群の被験者のCES-Dを完成した時間点は、フロー100における工程115の前(試験の0週間目)、工程115(試験の4週間目)の後及び工程145の後(試験の10週間目)であり、且つ第2の群の被験者のCES-Dを完成した時間点は、フロー200における工程215の前(試験の0週間目)、工程215(試験の4週間目)の後及び工程245の後(試験の10週間目)であった。第1の群の被験者及び第2の群の被験者のCES-D合計点を、本発明の一実施例による被験者の異なる時間でのCES-D合計点を示す
図4に統計し、横軸は週数を示し、縦軸はCES-D合計点を示し、縦棒401は対照処理群を示し、且つ縦棒403は実験処理群を示す。ここで、説明すべきなのは、縦棒401は、0週間目及び4週間目に第1の群の被験者を表すが、10週間目に第2の群の被験者を表す。それに対して、縦棒403は、0週間目及び4週間目に第2の群の被験者を表すが、10週間目に第1の群の被験者を表す。
【0050】
例えば、
図4に示すように、第1群の被験者の0週間目でのCES-D合計点平均±標準偏差は12.4±3(縦棒401)であり、4週間目(対照処理された後)でのCES-D合計点平均±標準偏差は10.2±4.6(縦棒401)であり、且つ10週間目(実験処理された後)でのCES-D合計点平均±標準偏差は9.4±6(縦棒403)であった。次に、第2群の被験者の0週間目でのCES-D合計点平均±標準偏差は12.4±3(縦棒403)であり、4週間目(実験処理された後)でのCES-D合計点平均±標準偏差は10.2±4.6(縦棒403)であり、且つ10週間目(対照処理された後)でのCES-D合計点平均±標準偏差は11.6±4.9(縦棒401)であった。
【0051】
図4から分かるように、実験処理を行っていない(4週間目の縦棒401)ものに比べると、第1群の被験者は、実験処理された後で(10週間目の縦棒403)、CES-D合計点が低下した。次に、実験処理を行っていない(4週間目の縦棒403)ものに比べると、第2群の被験者は、実験処理された後で(10週間目の縦棒403)、CES-D合計点が低下した。次に、
図3及び
図4の結果を同時に参照すると、実験処理された後で、被験者の喫煙量が低下することが判明され、発酵乳酸桿菌GKF3を服用すると、被験者の喫煙量を低下させると共に、被験者にニコチンの離脱症状を発生させないだけではなく、鬱病症状が現れる頻度を低下させる傾向もあることが判明され、発酵乳酸桿菌GKF3がタバコ嗜癖性を低下させる効果を有することが証明される。
【0052】
つまり、上記特定のプロセス、特定の投与形態、特定の被験者及び特定の評価方法は、本発明のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を例示して説明することのみに用いられる。しかしながら、当業者であれば、本発明の精神や範囲から逸脱せずに、他のプロセス、他の投与形態、他の被験者及び他の評価方法もタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物を説明することに用いられてもよいが、上記に限定されないことは理解すべきである。例としては、発酵乳酸桿菌GKF3のタバコ嗜癖性の低下効果に影響を与えずに、他のプロセス、他の投与形態、他の被験者及び他の評価方法を使用してもよい。
【0053】
上記実施例から分かるように、本発明のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物は、プロバイオティクスを使用すると、ニコチンを提供しなく且つ副作用がほとんど発生せずに、タバコ嗜癖性を低下させることができ、禁煙を補助する食品及び/又は薬品に適用されることができるというメリットを有する。
【0054】
本開示内容は複数の実施例を前述の通りに開示したが、これは前記開示内容に多様の変更や修飾を加えることができ、且つ理解すべきなのは、本発明の精神や範囲から逸脱しない限り、ある場合に本発明の実施例のある特徴を採用するが、他の特徴を対応的に使用しない。従って、本発明の精神や特許請求の範囲は、以上で例示した実施例の記載に限定されない。
【0055】
[生物材料の寄託]
発酵乳酸桿菌GKF3は、中国一般微生物株保存管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC、アドレス:北京市朝陽区北辰西路1号院3号、中国科学院微生物研究所、郵便番号:100101)に寄託され、寄託日期が2018年1月12日であり、且つ受託番号がCGMCC 15203である。
【符号の説明】
【0056】
100、200:フロー
110、115、120、130、140、145、150、210、215、220、230、240、245、250:工程
401、403:縦棒
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン関連の補充療法を受けたことがある又は受けているものを除く喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させるためのタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物であって、前記経口組成物の有効成分が、有効用量の発酵乳酸桿菌(Lactobacillus fermentum)GKF3からなり、前記発酵乳酸桿菌GKF3は、2018年1月12日に中国一般微生物株保存管理センター(China General Microbiological Culture Collection Center;CGMCC)に寄託され、受託番号がCGMCC 15203である、タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項2】
前記経口組成物を投与されていない前記喫煙被験者に比べると、前記経口組成物を投与された前記喫煙被験者の前記尿の前記ニコチン代謝物質の前記含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項3】
前記ニコチン代謝物質は、コチニン及び/又はトランス3-ヒドロキシコチニンを含む請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項4】
前記有効用量は、700mg/60kg・体重(body weight;bw)/日間~900mg/60kg・bw/日間である請求項1に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項5】
前記経口組成物は、前記喫煙被験者に、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される請求項4に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項6】
タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物であって、前記経口組成物の有効成分が、有効用量の前記発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)からなり、且つニコチン関連の補充療法を受けたことがある又は受けているものを除く喫煙被験者に対する前記有効用量が毎日700mg/60kg・bw/日間~900mg/60kg・bw/日間であるタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項7】
前記経口組成物は、喫煙被験者の尿のニコチン代謝物質の含有量を低下させる請求項6に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項8】
前記経口組成物を投与されていない前記喫煙被験者に比べると、前記経口組成物を投与された前記喫煙被験者の前記尿の前記ニコチン代謝物質の前記含有量は、10ng/mL~1100ng/mL低下する請求項7に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項9】
タバコ嗜癖性の低下用の経口組成物であって、前記経口組成物の有効成分が、有効用量の前記発酵乳酸桿菌GKF3(受託番号:CGMCC 15203)からなり、且つニコチン関連の補充療法を受けたことがある又は受けているものを除く喫煙被験者に対する前記有効用量が1010コロニー形成単位(colony forming unit;CFU)/60kg・bw/日間~1012CFU/60kg・bw/日間であるタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。
【請求項10】
前記経口組成物は、喫煙被験者に、25日間~30日間である投与時間をかけて投与される請求項9に記載のタバコ嗜癖性の低下用の経口組成物。