(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063203
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002579
(22)【出願日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0141711
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジェオン ウーク
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヒー スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、フイ スン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヒェグ スーン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヒョ ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、セオク ヒュン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG01
(57)【要約】
【課題】全体的な性能(例:耐電圧、信頼性、静電容量、小型化)を効率的に向上させることができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された積層構造を含む本体と、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように、互いに離隔して本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、本体は、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の境界線と本体の表面との間を含むマージン領域よりも、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の間を含む容量領域でさらに多く含有することができる。
【選択図】
図7a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された積層構造を含む本体と、
前記少なくとも一つの第1内部電極と前記少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して前記本体に配置された第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を、前記少なくとも一つの第1内部電極及び前記少なくとも一つの第2内部電極の境界線と前記本体の表面との間を含むマージン領域よりも前記少なくとも一つの第1内部電極及び前記少なくとも一つの第2内部電極の間を含む容量領域でさらに多く含有する、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記本体は、BaTiO3系主成分を含み、
前記本体において、前記容量領域と前記マージン領域との間から前記本体の表面に向かう2μm以内の領域までの誘電体のグレイン粒径は、前記容量領域の誘電体のグレイン粒径よりもさらに短い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記本体は、ジスプロシウム(Dy)を前記マージン領域よりも前記容量領域でさらに多く含有する、請求項1または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記本体は、スズ(Sn)を前記容量領域よりも前記マージン領域でさらに多く含有する、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記本体はスズ(Sn)を含有し、
Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上のモル含有量及びスズ(Sn)のモル含有量の合計は、
前記容量領域よりも前記マージン領域でさらに多い、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記本体はジスプロシウム(Dy)を含有し、
ジスプロシウム(Dy)のモル含有量及びスズ(Sn)のモル含有量の合計は、
前記容量領域よりも前記マージン領域で100/65倍以上100/55倍以下多い、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記本体は、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)のうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含み、
マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、
前記容量領域よりも前記マージン領域でさらに多い、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、
前記容量領域よりも前記マージン領域で100/50倍以上100/45倍以下多い、請求項7に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記本体は、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)のうち1つ以上の元素からなる群から選択される1つ以上を含む第2副成分を含み、
前記Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上は第1副成分であり、
前記第2副成分のモル含有量に対する前記第1副成分のモル含有量比は、前記マージン領域よりも前記容量領域でさらに高い、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された積層構造を含む本体と、
前記少なくとも一つの第1内部電極と前記少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して前記本体に配置された第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含む第1副成分と、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)のうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
前記第2副成分のモル含有量に対する前記第1副成分のモル含有量比は、前記少なくとも一つの第1内部電極及び前記少なくとも一つの第2内部電極の境界線と前記本体の表面との間を含むマージン領域よりも、前記少なくとも一つの第1内部電極及び前記少なくとも一つの第2内部電極との間を含む容量領域でさらに高い、積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記本体はジスプロシウム(Dy)を含有し、
前記第2副成分のモル含有量に対するジスプロシウム(Dy)のモル含有量比は、前記マージン領域よりも前記容量領域でさらに高い、請求項10に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記第2副成分のモル含有量に対するジスプロシウム(Dy)のモル含有量比は、前記マージン領域よりも前記容量領域で1.6倍以上10/3倍以下高い、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記第2副成分のモル含有量に対するジスプロシウム(Dy)のモル含有量比は、
前記容量領域で0.4以上0.5以下であり、
前記マージン領域で0.15以上0.25以下である、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、
前記容量領域よりも前記マージン領域でさらに多い、請求項10から13のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、
前記容量領域よりも前記マージン領域で100/50倍以上100/45倍以下多い、請求項14に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記本体はスズ(Sn)をさらに含有し、
前記第1副成分のモル含有量及びスズ(Sn)のモル含有量の合計は、
前記容量領域よりも前記マージン領域でさらに多い、請求項10から15のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記本体はジスプロシウム(Dy)を含有し、
ジスプロシウム(Dy)のモル含有量及びスズ(Sn)のモル含有量の合計は、
前記容量領域よりも前記マージン領域で100/65倍以上100/55倍以下多い、請求項16に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記本体はBaTiO3系主成分を含み、
前記本体において、前記容量領域と前記マージン領域との間から前記本体の表面に向かう2μm以内の領域までの誘電体のグレイン粒径は、前記容量領域の誘電体のグレイン粒径よりもさらに短い、請求項10から17のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、コンピュータ、PDA、携帯電話などの電子機器部品として広く用いられており、高信頼性、高強度特性を有しているため、電気機器(車両含む)の部品としても広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2019-0041846号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、全体的な性能(例:耐電圧、信頼性、静電容量、小型化)を効率的に向上させることができる積層型キャパシタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された積層構造を含む本体と、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して上記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち一つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を、上記少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の境界線と上記本体の表面との間を含むマージン領域よりも、上記少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の間を含む容量領域でさらに多く含有することができる。
【0006】
本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された積層構造を含む本体と、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して上記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち一つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含む第1副成分と、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)のうち一つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、上記第2副成分のモル含有量に対する上記第1副成分のモル含有量比は、上記少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の境界線と上記本体の表面の間を含むマージン領域よりも、上記少なくとも一つの第1内部電極及び少なくとも一つの第2内部電極の間を含む容量領域でさらに高いことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは高い耐電圧を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを示した斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域及びマージン領域を例示した写真である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域の誘電体を例示した写真である。
【
図6a】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの誘電体の粒成長の差異を例示した写真である。
【
図6b】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの誘電体の粒成長の差異を例示した写真である。
【
図7a】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域及びマージン領域の微細構造を例示した写真である。
【
図7b】誘電体組成が同一である容量領域及びマージン領域の微細構造を例示した写真である。
【
図8a】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域及びマージン領域の間の微細構造を例示した写真である。
【
図8b】誘電体組成が同一である容量領域及びマージン領域の間の微細構造を例示した写真である。
【
図9a】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの信頼性を示したグラフである。
【
図9b】容量領域及びマージン領域の誘電体組成が同一である積層型キャパシタの信頼性を示したグラフである。
【
図10a】本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの各領域における誘電体粒径の分布を示したグラフである。
【
図10b】容量領域及びマージン領域の誘電体組成が同一である積層型キャパシタの各領域における誘電体粒径の分布を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。さらに、本発明の実施形態は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一符号で示される要素は同一要素である。
【0010】
なお、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。
【0011】
明細書全体において、或る部分が或る構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0012】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に示されたL、W及びTは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を表す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一概念で用いられることができる。
【0013】
以下では、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを説明し、特に積層セラミックキャパシタについて説明するが、これに制限されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタを示した斜視図であり、
図2は、
図1のA-A'線に沿った断面図であり、
図3は、
図1のB-B'線に沿った断面図である。
【0015】
図1、
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタ100は、本体110、第1外部電極131、及び第2外部電極132を含むことができる。
図1は、本体110の内部を示すために体積の約1/4が切断された形態を示しているが、実際の積層型キャパシタ100は体積の約1/4が切断されない可能性があり、中心からL方向、W方向及びT方向のそれぞれを基準にしてほぼ対称的な形態であることができる。
【0016】
本体110は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122が少なくとも一つの誘電体層111を間に挟んで第1方向(例:T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができる。
【0017】
例えば、本体110は、積層構造の焼成によってセラミック本体から構成されることができる。ここで、本体110に配置された少なくとも一つの誘電体層111は焼結された状態であり、隣接する誘電体層間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0018】
例えば、本体110は、長さ方向Lの両側面、幅方向Wの両側面、及び厚さ方向Tの両側面を有する六面体から形成されることができ、上記六面体の角及び/またはコーナーは研磨されるにつれて丸い形態であることができる。但し、本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は、本実施形態に示したものに限定されるものではない。
【0019】
少なくとも一つの誘電体層111は、その厚さを積層型キャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系粉末を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。また、積層型キャパシタ100の要求規格に応じて、セラミック粉末に様々なセラミック添加剤(例:MgO、Al2O3、SiO2、ZnO)、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0020】
少なくとも一つの誘電体層111の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は特に制限されず、積層型キャパシタ100の要求規格(例:電子機器用キャパシタのように小型化及び/または高容量が求められるか、電気機器用キャパシタのように高い耐電圧特性及び/または強い強度が求められるなど)によって調節されることができるが、例えば、400nm以下に調整されることができる。
【0021】
例えば、少なくとも一つの誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックシートを設けることによって形成されることができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することによって形成されることができるが、これに限定されない。
【0022】
少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して誘電体層の積層方向(例:T方向)に沿って本体110の長さ方向Lの一側面及び他側面に交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0023】
例えば、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれは、粒子平均大きさが0.1~0.2μmであり、40~50重量%の導電性金属粉末を含む内部電極用導電性ペーストによって形成されることができるが、これに限定されない。上記導電性ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)または白金(Pt)などの単独またはこれらの合金であることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0024】
例えば、上記セラミックシート上に上記内部電極用導電性ペーストを印刷工法などで塗布して内部電極パターンを形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、及びインクジェット印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記内部電極パターンが印刷されたセラミックシートを200~300層積層し、圧着、焼成することで本体110を製作することができる。
【0025】
積層型キャパシタ100の静電容量は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122間の積層方向(例:T方向)の重なり面積に比例し、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122の総積層数に比例し、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122間の間隔に反比例することができる。上記間隔は、少なくとも一つの誘電体層111のそれぞれの厚さと実質的に同一であることができる。
【0026】
積層型キャパシタ100は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122間の間隔が短いほど、厚さに対してさらに大きい静電容量を有することができる。一方、積層型キャパシタ100の耐電圧は、上記間隔が長いほど高いことができる。したがって、上記間隔は積層型キャパシタ100の要求規格(例:電子機器用キャパシタのように小型化及び/または高容量が求められるか、電気機器用キャパシタのように高い耐電圧特性及び/または強い強度が求められるなど)によって調整されることができる。少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれの厚さも上記間隔の影響を受けることができる。
【0027】
例えば、積層型キャパシタ100は、高い耐電圧特性及び/または強い強度が求められる場合に、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122間の間隔がそれぞれの厚さの2倍を超過するように設計されることができる。例えば、積層型キャパシタ100は、小型化及び/または高容量が求められる場合に少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれの厚さが0.4μm以下であり、総積層数が400層以上になるように設計されることができる。
【0028】
第1及び第2外部電極131、132は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122にそれぞれ連結されるように互いに離隔して本体110に配置されることができる。
【0029】
例えば、第1及び第2外部電極131、132のそれぞれは、金属成分が含まれたペーストにディッピング(dipping)する方法、導電性ペーストを印刷する方法、シート(Sheet)転写、パッド(Pad)転写方法、スパッタめっきまたは電解めっきなどで形成されることができる。例えば、第1及び第2外部電極131、132は、上記ペーストが焼成されることによって形成された焼成層及び上記焼成層の外面に形成されためっき層を含むことができ、上記焼成層及び上記めっき層の間に導電性樹脂層をさらに含むことができる。例えば、上記導電性樹脂層は、エポキシなどの熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有されることによって形成されることができる。上記金属成分は、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、スズ(Sn)などの単独またはこれらの合金であることができるが、これに限定されない。
【0030】
積層型キャパシタ100は、外部基板(例:プリント回路基板)に実装または内装されることができ、第1及び第2外部電極131、132を介して上記外部基板の配線、ランド、はんだ及びバンプの少なくとも一つに連結されることで上記外部基板に電気的に連結された回路(例:集積回路、プロセッサ)に電気的に連結されることができる。
【0031】
図1、
図2、及び
図3を参照すると、本体110は上部カバー層112、下部カバー層113、及びコア領域115を含むことができ、コア領域115はマージン領域114及び容量領域116を含むことができる。
【0032】
上部及び下部カバー層112、113は、第1方向(例:T方向)にコア領域115を間に挟むように配置され、それぞれ少なくとも一つの誘電体層111よりもさらに厚いことができる。
【0033】
上部及び下部カバー層112、113は、外部環境要素(例:水分、めっき液、異物)がコア領域115に浸透することを防ぐことができ、本体110を外部衝撃から保護することができ、本体110の曲げ強度も向上させることができる。
【0034】
例えば、上部及び下部カバー層112、113は、少なくとも一つの誘電体層111と同一材料や異なる材料(例:エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂)を含むことができる。
【0035】
容量領域116は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122の間を含むことができるため、積層型キャパシタ100の静電容量を形成することができる。
【0036】
容量領域116は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122が少なくとも一つの誘電体層111を間に挟んで第1方向(例:T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができ、上記積層構造と同一のサイズを有することができる。
【0037】
マージン領域114は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122の境界線Mと本体110の表面との間を含むことができる。
【0038】
複数のマージン領域114は、第1方向(例:T方向)に垂直な第2方向(例:W方向)に容量領域116を間に挟むように配置されることができる。例えば、複数のマージン領域114は、少なくとも一つの誘電体層111と類似した方式(積層方向は異なる)で形成されることができる。
【0039】
複数のマージン領域114は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122が本体110から第2方向(例:W方向)の表面に露出することを防ぐことができるため、外部環境要素(例:水分、めっき液、異物)が上記第2方向の表面を介して少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122に浸透することを防止することができ、積層型キャパシタ100の信頼性及び寿命を向上させることができる。また、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122は、複数のマージン領域114によって第2方向に効率的に拡張して形成されることができるため、複数のマージン領域114は少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極の重なり面積を広げて積層型キャパシタ100の静電容量の向上にも寄与することができる。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域及びマージン領域を例示した写真である。
【0041】
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域116の少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122は、マージン領域114に近いほど少し歪んでいることがある。
【0042】
このような歪みは、容量領域116の段差(step)や製造過程での圧着による誘電体層111とマージン領域114との相互作用に起因するおそれがあり、容量領域116の総積層数が多いか、内部電極の全体的な面積が広がるほど、よりひどくなることがある。
【0043】
このような歪みは、容量領域116とマージン領域114との間の差異の一例である。例えば、隣接内部電極間の間隔は、容量領域116の中央からマージン領域114に向かうにつれて短くなる可能性があり、積層型キャパシタの耐電圧特性は、隣接内部電極間の最小間隔に最も大きな影響を受けることがある。したがって、マージン領域114は、容量領域116に比べて耐電圧特性に有利であるように構成されることで、積層型キャパシタの耐電圧特性を効率的に向上させることができる。
【0044】
このように容量領域116とマージン領域114との差異は、積層型キャパシタの焼成時、容量領域116の誘電体とマージン領域114の誘電体との間の焼成不均衡にも影響を与えることができる。積層型キャパシタの焼成時のマージン領域114は、容量領域116に比べて積層型キャパシタの表面により近いことができるため、より多い熱を受けることができる。
【0045】
例えば、焼成温度及び/または焼成時間が容量領域116に最適化する場合、マージン領域114の誘電体は焼成が比較的十分に行われないことがあるため、マージン領域114内の全体的な不均衡及び/または空隙の増加は引き起こされることがある。例えば、焼成温度及び/または焼成時間がマージン領域114に最適化する場合、マージン領域114内の空隙は抑制されることができるが、容量領域116の一部分は過焼成によって電界集中に脆弱になることがある。
【0046】
本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、このような容量領域116とマージン領域114との間の差異を相殺させることができる構造を含むことができる。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域の誘電体を例示した写真である。
【0048】
図5を参照すると、容量領域116の誘電体層111は、BaTiO
3系主成分111aの一部のバリウム(Ba)に副成分の少なくとも一部である希土類元素111bが置換されて固溶された構造を有することができる。
【0049】
本明細書において、「主成分」とは、他の成分に比べて比較的多い重量比率を占める成分を意味することができ、全体組成物または全体誘電体層の重量を基準にして50重量%以上である成分を意味することができる。なお、「副成分」とは、他の成分に比べて比較的少ない重量比率を占める成分を意味することができ、全体組成物または全体誘電体層の重量を基準にして50重量%未満である成分を意味することができる。また、誘電体層111は、上述した誘電体の主成分及び副成分以外にも様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを含有することができる。例えば、上記誘電体組成物は、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂などを含むこともできる。
【0050】
図5に示した希土類元素111bはジスプロシウム(Dy)であるが、希土類元素111bはジスプロシウム(Dy)に限定されず、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される元素であることができる。
【0051】
バリウム(Ba)の原子価は+2であり、希土類元素111bは、概ね+3原子価(+3のfixed-valence)を有することができるため、希土類元素111bが置換及び固溶された主成分の一部は1つの正電荷(single positive charge)をさらに有することができる。したがって、BaTiO3系主成分111aの一部に希土類元素111bが置換及び固溶されるにつれて、酸素(O)空孔の濃度は減少することができ、誘電体層111及び積層型キャパシタの信頼性は向上することができる。
【0052】
図6a及び
図6bは、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの誘電体の粒成長の差異を例示した写真である。
【0053】
図6aを参照すると、誘電体層111の各誘電体は、BaTiO
3系主成分111aがコア(core)であり、希土類元素111bがシェル(shell)であるコア-シェル構造を有することができ、多角形構造を有することができる。各誘電体のグレイン粒径は、各誘電体の最長軸及び最短軸を合わせて2で割った値で測定されることができる。
【0054】
図6bを参照すると、焼成温度及び/または焼成時間が増加して形成された誘電体層111_HTは、希土類元素111b_HTがBaTiO
3系主成分により長く固溶されるにつれて、コア-シェル構造を有しないことができ、誘電体のグレイン粒径も
図6aのそれよりもさらに小さくなることができる。ここで、希土類元素111b_HTのモル含有量が減少する場合、誘電体層111_HTの特性は、
図6aの誘電体層111の特性にさらに近づくことができる。
【0055】
したがって、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La、及びNdのうち1つ以上の希土類元素のモル含有量の差異を利用して、容量領域とマージン領域との間の差異を相殺させることができる。
【0056】
明細書全体において、モル含有量は、酸化物または炭酸塩などの添加形態を区分しない。例えば、Vの酸化物であるV2O50.1モルは、Vの0.2モルと同一であることができる。例えば、モル含有量は、TEM(Transmission Electron Microscopy)、AFM(Atomic Force Microscope)、SEM(Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡、及びsurface profilerの少なくとも一つを用いた分析によって視覚的に測定されるか、重量と体積との間の関係によって質量的に測定されるか、または化学反応によって抽出される物質を介して間接的に測定されることもできる。
【0057】
図7aは、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域及びマージン領域の微細構造を例示した写真であり、
図7bは、誘電体組成が同一である容量領域及びマージン領域の微細構造を例示した写真であり、
図8aは、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの容量領域とマージン領域との間の微細構造を例示した写真であり、
図8bは、誘電体組成が同一である容量領域とマージン領域との間の微細構造を例示した写真である。
【0058】
図7a及び
図8aの積層型キャパシタの容量領域116は、希土類元素(Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される1つ以上)をマージン領域114よりもさらに多く含有することができる。上記希土類元素は、ジスプロシウム(Dy)であることができるが、これに限定されない。
【0059】
図7a及び
図8aの積層型キャパシタにおいて、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)のうち1つ以上の元素からなる群から選択される一つ以上を含む第2副成分のモル含有量に対する上記希土類元素を含む第1副成分のモル含有量比は、マージン領域114に比べて容量領域116でより高いことができる。
【0060】
これにより、
図7a及び
図8aの積層型キャパシタのマージン領域114は、外側誘電体114a及び内側誘電体114bが比較的均一に分布される構造を有することができ、棒状二次相及び空隙頻度も大きく減少することができる。
【0061】
一方、
図7b及び
図8bの積層型キャパシタのマージン領域は、外側の棒状二次相114c及び内側の棒状二次相114dを
図7a及び
図8aの積層型キャパシタに比べて比較的多く含むことができ、誘電体が
図7a及び
図8aの積層型キャパシタに比べて比較的さらに不均一に分布する構造を有することができる。
【0062】
マージン領域114にガラス(glass)成分が添加される場合、ガラスはマージン領域114の特定部分(例:容量領域116に隣接した部分)に集まることがあるため、外側/内側の棒状二次相114c、114dの形成促進の要因となることができ、
図7a及び
図8aの積層型キャパシタと
図7b及び
図8bの積層型キャパシタとの間の外側/内側の棒状二次相114c、114dの頻度の差異はさらに大きくなることができる。
【0063】
外側の棒状二次相114c及び内側の棒状二次相114dは、電界集中現象を引き起こすことがあり、電界集中現象は耐電圧低下の要因となることがある。したがって、外側の棒状二次相114c及び内側の棒状二次相114dの頻度が低いほど、耐電圧は向上することができる。
【0064】
結局、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタは、希土類元素(Dy、Tb、Y、Sm、Ho、Gd、Er、Ce、La及びNdのうち1つ以上の元素からなる群から選択される1つ以上)をマージン領域114で比較的少なく含有(含有しないことを含む)するか、マージン領域114が上記第2副成分(Sn、Mg、Al)のモル含有量に対して上記希土類元素を含む第1副成分のモル含有量比が比較的低くなるように(0を含む)構成されることによって、マージン領域114の非粒成長的な特性に起因して電界集中現象を比較的減らすことができ、耐電圧を向上させることができる。
【0065】
上記非粒成長的な特性は、ジスプロシウム(Dy)のモル含有量に従属的であるため、容量領域116は、ジスプロシウム(Dy)をマージン領域114よりもさらに多く含有することができる。
【0066】
以下の表1は、上記第1副成分のうち1つであるジスプロシウム(Dy)及び第2副成分(Sn、Mg、Al)のモル比による降伏電圧(BDV)を示す。
【0067】
【0068】
表1を参照すると、第2副成分(Sn、Mg、Al)のモル含有量に対するジスプロシウム(Dy)のモル含有量比は、容量領域(Active)で0.4以上0.5以下であることができ、マージン領域(Margin)で0.15以上0.25以下であることができる。これにより、降伏電圧(BDV)は向上することができるため、耐電圧は向上することができる。
【0069】
第2副成分(Sn、Mg、Al)のモル含有量に対するジスプロシウム(Dy)のモル含有量比は、マージン領域(Margin)よりも容量領域(Active)で0.4/0.25倍以上0.5/0.15倍以下高いことができる。これにより、降伏電圧(BDV)は向上することができるため、耐電圧は向上することができる。
【0070】
一方、スズ(Sn)は、BaTiO3系主成分の一部のTiを置換して固溶されることができる。マージン領域114は、比較的多いモル含有量のスズ(Sn)を含有することによって、比較的高い靭性を有することができ、クラック(crack)の発生は抑制されることができ、より高い緻密度を有することができる。容量領域116のスズ(Sn)のモル含有量は比較的少ない(0を含む)ことがあるため、容量領域116はより大きな静電容量を有することができる。すなわち、マージン領域114は、スズ(Sn)を容量領域116よりもさらに多く含有することができる。
【0071】
マージン領域114と容量領域116との間のスズ(Sn)のモル含有量の差異と関連し得る特性(靭性、緻密度、静電容量など)は、マージン領域114と容量領域116との間のジスプロシウム(Dy)のモル含有量の差異と関連し得る特性(電界集中現象の頻度など)よりも多様であることができるため、マージン領域114と容量領域116との間のスズ(Sn)のモル含有量の差異はマージン領域114と容量領域116との間のジスプロシウム(Dy)のモル含有量の差異よりも大きいことができる。したがって、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)の総モル含有量は、容量領域(Active)よりもマージン領域(Margin)でさらに多いことができる。
【0072】
一方、マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、容量領域(Active)よりもマージン領域(Margin)でより多いことができる。これにより、マージン領域114の緻密度はさらに向上することができるため、マージン領域(Margin)は、外部環境要素(例:水分、めっき液、異物)が表面を介して容量領域(Active)に侵入することを防止することができ、積層型キャパシタの信頼性及び寿命は向上することができる。
【0073】
以下の表2は、容量領域(Active)におけるスズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)の総モル含有量とマージン領域(Margin)におけるそれとの間の比と、容量領域(Active)におけるマグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量とマージン領域(Margin)におけるそれとの間の比による降伏電圧(BDV)を示す。
【0074】
【0075】
表2を参照すると、スズ(Sn)及びジスプロシウム(Dy)の総モル含有量は、容量領域(Active)よりもマージン領域(Margin)で100/65倍以上100/55倍以下多いことができる。マグネシウム(Mg)及びアルミニウム(Al)の総モル含有量は、容量領域(Active)よりもマージン領域(Margin)で100/50倍以上100/45倍以下多いことができる。これにより、降伏電圧(BDV)は向上することができるため、耐電圧は向上することができる。
【0076】
図9aは、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの信頼性を示したグラフであり、
図9bは、容量領域及びマージン領域の誘電体組成が同一である積層型キャパシタの信頼性を示したグラフである。
【0077】
図9aを参照すると、 本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの信頼性は、過酷な環境(例:115℃で7.56Vが印加された状態)を所定時間(例:48時間)経ることで絶縁抵抗(Insulation Resistance)が急激に低下する現象(NG)の発生頻度によって測定されることができる。
【0078】
図9aのNGの頻度は
図9bのNGの頻度よりも低いことがあるため、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタはより高い信頼性を有することができる。
【0079】
図10aは、本発明の一実施形態に係る積層型キャパシタの各領域における誘電体粒径の分布を示したグラフであり、
図10bは、容量領域及びマージン領域の誘電体組成が同一である積層型キャパシタの各領域における誘電体粒径の分布を示したグラフである。
【0080】
図10aを参照すると、誘電体層の誘電体粒径分布111_abの平均とマージン領域の誘電体粒径分布114_abの平均との間の差異は比較的小さいことができる。カバー層の誘電体粒径分布112_abの平均とマージン領域の誘電体粒径分布114_abの平均との間の差異は比較的大きいことができる。
【0081】
図10bを参照すると、誘電体層の誘電体粒径分布111_cdの平均とマージン領域の誘電体粒径分布114_cdの平均との間の差異は比較的大きいことができる。カバー層の誘電体粒径分布112_cdの平均とマージン領域の誘電体粒径分布114_cdの平均との間の差異は比較的小さいことができる。
【0082】
一方、マージン領域内で容量領域に隣接(例:2μm以内)した領域は、添加剤(例:glass)などの要因により、外側領域に比べて比較的さらに短い粒径を有することができる。すなわち、マージン領域の誘電体粒径分布114_abにおける平均の左側は、容量領域に隣接(例:2μm以内)した領域の誘電体粒径を比較的さらに多く含むことができる。
【0083】
誘電体粒径分布111_abの平均とマージン領域の誘電体粒径分布114_abの平均との間の差異が比較的小さいことがあるため、マージン領域内で容量領域に隣接(例:2μm以内)した領域の誘電体のグレイン粒径は、容量領域の誘電体のグレイン粒径よりもさらに短いことができる。
【0084】
例えば、誘電体のグレイン粒径は、誘電体の最長軸及び最短軸を合わせて2で割った値で測定されることができ、イメージ分析プログラム(例:Jandel Scientific社のSigmaScan)を用いて測定されることができる。また、グレイン粒径の測定時、マージン領域または容量領域のすべての誘電体のグレイン粒径が測定される必要はなく、特定部分(例:容量領域の中心の数μm範囲、容量領域とカバー層との間の境界面の数μm範囲、容量領域とマージン領域との間の境界面の数μm範囲)のみが用いられることができる。測定時に用いられる積層型キャパシタの個数も多すぎる必要はなく、数個(例:6個)のサンプルのみが用いられる。
【0085】
以上では、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【0086】
したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0087】
100 積層型キャパシタ
110 本体(body)
111 誘電体層
112 上部カバー層
113 下部カバー層
114、Margin マージン領域
115 コア領域
116、Active 容量領域
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極