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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063210
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】試験用キャリア
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20230427BHJP
【FI】
G01R31/26 Z
G01R31/26 J
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019093
(22)【出願日】2022-02-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】17/508,077
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 敏之
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG11
2G003AG16
(57)【要約】
【課題】DUTへの異物の付着を抑制することが可能な試験用キャリアを提供する。
【解決手段】DUT90を収容した状態で搬送される試験用キャリア1は、DUT90に対向するように配置されたDUT吸着保持用の貫通孔64と、貫通孔64の吸引に伴って貫通孔64を開閉する可動弁70と、を備え、可動弁70は、貫通孔64の吸引時に貫通孔64を開放し、貫通孔64の非吸引時に貫通孔64を閉塞する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアであって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTに対向するように配置されたDUT吸着保持用の貫通孔と、
前記貫通孔の吸引に伴って前記貫通孔を開閉する可動弁と、を備え、
前記可動弁は、
前記貫通孔の吸引時に前記貫通孔を開放し、
前記貫通孔の非吸引時に前記貫通孔を閉塞する試験用キャリア。
【請求項2】
請求項1に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、前記貫通孔の吸引に伴って移動又は変形する試験用キャリア。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試験用キャリアであって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持する保持部材と、
前記DUTを覆うと共に、前記保持部材に着脱可能に固定された蓋部材と、を備えており、
前記貫通孔は、前記蓋部材の蓋本体を貫通するように前記蓋本体に形成されている試験用キャリア。
【請求項4】
請求項3に記載の試験用キャリアであって、
前記保持部材は、
前記DUTの端子に対応するように配置された複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記接触子及び前記外部端子を保持する保持本体と、を備えた試験用キャリア。
【請求項5】
請求項4に記載の試験用キャリアであって、
前記蓋本体は、前記DUTに接触する接触面を有し、
前記貫通孔の第1の開口は、前記接触面に開口しており、
前記DUTは、前記接触面と前記接触子との間に挟持される試験用キャリア。
【請求項6】
請求項5に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔の第2の開口は、前記蓋本体において前記接触面とは反対側の面に開口しており、
前記第2の開口は、前記貫通孔において前記第1の開口とは反対側の開口である試験用キャリア。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔は、
第1の孔部と、
前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を移動又は変形可能に収容している収容部と、
前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されている第2の孔部と、を備えており、
前記可動弁は、
前記貫通孔の吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部とを連通させ、
前記貫通孔の非吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を閉塞する試験用キャリア。
【請求項8】
請求項7に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有しており、
前記貫通孔の非吸引時に、前記可動弁が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆う試験用キャリア。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の試験用キャリアであって、
前記第1の孔部と前記第2の孔部とは、透過平面視において、相互に非重複となるように配置されている試験用キャリア。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔は、複数の前記第2の孔部を備えており、
前記複数の第2の孔部は、前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されている試験用キャリア。
【請求項11】
請求項10に記載の試験用キャリアであって、
前記第1の孔部は、円形の断面形状を有し、
前記複数の第2の孔部は、前記第1の孔部の内径よりも小さな内径を持つ円形の断面形状をそれぞれ有し、
前記可動弁は、前記複数の第2の孔部を包含する外径を持つ円形形状を有し、
前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を持つ円形の断面形状を有している試験用キャリア。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、前記第1の孔部の内径よりも大きく、且つ、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有し、
前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を有しており、
前記可動弁は、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を移動可能に前記収容部内に収容されている試験用キャリア。
【請求項13】
請求項7~12のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、
第4の開口と、
前記第4の開口が形成された弁本体と、を備えており、
前記第1の孔部は、前記第4の開口に対向するように配置され、
前記第2の孔部は、前記弁本体に対向するように配置されており、
前記貫通孔の吸引時に、前記第4の開口を介して、前記第1の孔部と前記収容部とが連通し、
前記貫通孔の非吸引時に、前記弁本体が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆う試験用キャリア。
【請求項14】
請求項7~13のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、金属材料又は樹脂材料から構成され、前記貫通孔の吸引に対して非変形な剛性を有する弁部材である試験用キャリア。
【請求項15】
請求項7~11のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、弾性材料から構成され、前記貫通孔の吸引によって弾性変形可能な弁部材であり、
前記可動弁は、固定部で前記蓋本体に固定されており、
前記固定部は、前記第1の孔部と対向するように配置されている試験用キャリア。
【請求項16】
請求項15に記載の試験用キャリアであって、
前記収容部は、前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を介して前記第2の孔部に対向するように配置された溝を有している試験用キャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(以下単に「DUT」(Device Under Test)と称する。)の試験を行う際に、DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファインピッチの端子を有するDUTの試験では、当該DUTをソケットに対して高精度に位置決めするために、複数のカメラや精密な移動機構を備えた比較的高価なハンドラを必要とする。これに対し、DUTを保持するキャリア本体と、DUTを覆うと共にキャリア本体に固定される蓋部材と、キャリア本体に形成されたDUT位置決め用の貫通孔と、を備えた試験用キャリアが知られている(例えば、特許文献1参照)。この試験用キャリアを用いることで、ファインピッチの端子を有するDUTの試験を、機械的な位置決め機構を備えた比較的安価なハンドラによって行うことができる。
【0003】
この試験用キャリアにDUTを収容する際、上記の位置決め用の貫通孔を介してカメラを用いて試験用キャリアの接触子に対してDUTを高精度に位置決めした後に、キャリア本体と蓋部材とを固定する。この際の試験用キャリアに対するDUTの位置ずれを防止するために、DUTを吸着保持するための貫通孔が蓋部材に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-197012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のハンドラは、清浄度が比較的低い通常の作業空間に設置されているため、上記のDUT吸着用の貫通孔を介して試験用キャリア内に微少なゴミ等の異物が侵入し、当該異物がDUTに付着してしまう場合がある。一方で、上記の試験用キャリアは、DUTの試験が終了した後、当該DUTを試験用キャリアから取り出すために、クリーンルーム内で分解される。従って、異物が付着したDUTを収容した試験用キャリアがクリーンルームで分解されると、当該異物を次工程に持ち込んでしまう場合がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、DUTへの異物の付着を抑制することが可能な試験用キャリアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係る試験用キャリアは、DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアであって、前記試験用キャリアは、前記DUTに対向するように配置されたDUT吸着保持用の貫通孔と、前記貫通孔の吸引に伴って前記貫通孔を開閉する可動弁と、を備え、前記可動弁は、前記貫通孔の吸引時に前記貫通孔を開放し、前記貫通孔の非吸引時に前記貫通孔を閉塞する試験用キャリアである。
【0008】
[2]上記発明において、前記可動弁は、前記貫通孔の吸引に伴って移動又は変形してもよい。
【0009】
[3]上記発明において、前記試験用キャリアは、前記DUTを保持する保持部材と、前記DUTを覆うと共に、前記保持部材に着脱可能に固定された蓋部材と、を備えており、前記貫通孔は、前記蓋部材の蓋本体を貫通するように前記蓋本体に形成されていてもよい。
【0010】
[4]上記発明において、前記保持部材は、前記DUTの端子に対応するように配置された複数の接触子と、前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、前記接触子及び前記外部端子を保持する保持本体と、を備えていてもよい。
【0011】
[5]上記発明において、前記蓋本体は、前記DUTに接触する接触面を有し、前記貫通孔の第1の開口は、前記接触面に開口しており、前記DUTは、前記接触面と前記接触子との間に挟持されてもよい。
【0012】
[6]上記発明において、前記貫通孔の第2の開口は、前記蓋本体において前記接触面とは反対側の面に開口しており、前記第2の開口は、前記貫通孔において前記第1の開口とは反対側の開口であってもよい。
【0013】
[7]上記発明において、前記貫通孔は、第1の孔部と、前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を移動又は変形可能に収容している収容部と、前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されている第2の孔部と、を備えており、前記可動弁は、前記貫通孔の吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部とを連通させ、前記貫通孔の非吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を閉塞してもよい。
【0014】
[8]上記発明において、前記可動弁は、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有しており、前記貫通孔の非吸引時に、前記可動弁が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆ってもよい。
【0015】
[9]上記発明において、前記第1の孔部と前記第2の孔部とは、透過平面視において、相互に非重複となるように配置されていてもよい。
【0016】
[10]上記発明において、前記貫通孔は、複数の前記第2の孔部を備えており、前記複数の第2の孔部は、前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されていてもよい。
【0017】
[11]上記発明において、前記第1の孔部は、円形の断面形状を有し、前記複数の第2の孔部は、前記第1の孔部の内径よりも小さな内径を持つ円形の断面形状をそれぞれ有し、前記可動弁は、前記複数の第2の孔部を包含する外径を持つ円形形状を有し、前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を持つ円形の断面形状を有していてもよい。
【0018】
[12]上記発明において、前記可動弁は、前記第1の孔部の内径よりも大きく、且つ、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有し、前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を有しており、前記可動弁は、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を移動可能に前記収容部内に収容されていてもよい。
【0019】
[13]上記発明において、前記可動弁は、第4の開口と、前記第4の開口が形成された弁本体と、を備えており、前記第1の孔部は、前記第4の開口に対向するように配置され、前記第2の孔部は、前記弁本体に対向するように配置されており、前記貫通孔の吸引時に、前記第4の開口を介して、前記第1の孔部と前記収容部とが連通し、前記貫通孔の非吸引時に、前記弁本体が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆ってもよい。
【0020】
[14]上記発明において、前記可動弁は、金属材料又は樹脂材料から構成され、前記貫通孔の吸引に対して非変形な剛性を有する弁部材であってもよい。
【0021】
[15]上記発明において、前記可動弁は、弾性材料から構成され、前記貫通孔の吸引によって弾性変形可能な弁部材であり、前記可動弁は、固定部で前記蓋本体に固定されており、前記固定部は、前記第1の孔部と対向するように配置されていてもよい。
【0022】
[16]上記発明において、前記収容部は、前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を介して前記第2の孔部に対向するように配置された溝を有していてもよい。
【0023】
[17]上記発明において、前記試験用キャリアを組み立てるキャリア組立装置の吸着保持部により前記貫通孔が吸引されることで、前記DUTが前記吸着保持部により吸着保持されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、試験用キャリアが、DUT吸着用の貫通孔の吸引に伴って当該貫通孔を開閉する可動弁を備えているので、DUTへの異物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態における試験対象であるDUTを示す底面図である。
図3図3は、本発明の実施形態における試験用キャリアを上方から見た斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態における試験用キャリアを下方から見た斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態における試験用キャリアの分解斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態における試験用キャリアを示す断面図であり、図3のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態における試験用キャリアを示す分解断面図であり、図6に対応する図である。
図8図8は、本発明の実施形態におけるポゴピンを示す断面図であり、図7のVIII部の拡大図である。
図9図9は、図7のIX部の拡大図である。
図10図10は、本発明の実施形態における吸着用の貫通孔と可動弁を示す図であり、図9のX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態における試験用キャリアの保持部材の変形例を示す分解断面図である。
図12図12は、本発明の実施形態における試験用キャリアの蓋部材の変形例を示す断面図である。
図13図13は、図12に示す蓋部材の変形例における収容部の上面を示す図であり、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
図14図14は、本発明の実施形態におけるキャリア組立装置の構成を示すブロック図である。
図15図15は、本発明の実施形態における試験用キャリアの組立方法を示す工程図である。
図16図16(a)及び図16(b)は、図15のステップS20を示す図であり、図16(a)は、第2の吸着保持部により蓋部材とDUTを吸着保持する前の状態を示す図であり、図16(b)は、第2の吸着保持部により蓋部材とDUTを吸着保持した状態を示す図である。
図17図17(a)~図17(c)は、図15のステップS40~S60を示す図であり、図17(a)は、アライメント前のDUTを撮像した画像を示す図であり、図17(b)は、アライメント中のDUTを撮像した画像を示す図であり、図17(c)は、アライメント後のDUTを撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は本実施形態における電子部品試験装置200の全体構成を示す概略断面図であり、図2は本実施形態における試験対象であるDUT90を示す底面図である。
【0028】
本実施形態における電子部品試験装置200は、DUT90の電気的特性を試験する装置である。図1に示すように、この電子部品試験装置200は、DUTをソケット420に押圧するハンドラ300を備えている。このハンドラ300は、DUTをソケット420に対して機械的に位置決めする位置決め機構を備えており、所謂ファインピッチのDUTのための画像処理を用いた高精度な位置決め機構は備えていない。一方で、本実施形態におけるDUT90は、半導体ウェハがダイシングされて形成されたダイであり、ファインピッチのパッド91を有している。このため、電子部品試験装置200によってDUT90の試験を行う際には、試験用キャリア1が用いられる。
【0029】
本実施形態におけるDUT90は、図2に示すように、当該DUT90の外縁に沿って配列されたパッド91と、当該DUT90の中央に配列されたバンプ92と、を有している。パッド91は、DUT90の試験のための端子であり、比較的広いピッチで配列されている。これに対し、バンプ92は、当該DUT90の基板等への実装のための端子であり、パッド91のピッチよりも狭いピッチで配列されている。複数のバンプ92は、矩形状に配列されている。なお、DUT90の構成は特に上記に限定されない。本実施形態におけるパッド91が、本発明における「DUTの端子」の一例に相当する。
【0030】
本実施形態では、半導体ウェハがダイシングされてDUT90が形成されると、先ず、キャリア組立装置100(図14参照)を用いてDUT90を試験用キャリア1に収容する。そして、試験用キャリア1にDUT90を収容したままの状態で、当該試験用キャリア1は、電子部品試験装置200のハンドラ300内に搬入され、DUT搬送用のテストトレイ(不図示)に搭載される。
【0031】
そして、ハンドラ300は、このテストトレイを電子部品試験装置200のテストヘッド400のソケット420上に搬送し、Z軸駆動装置310を駆動してプッシャ320を下降させ、このプッシャ320により試験用キャリア1をソケット420に押圧する。これにより、テストトレイに搭載されたままの状態で試験用キャリア1がソケット420に押圧され、当該試験用キャリア1を介してDUT90とソケット420とが電気的に接続される。この状態でテスタ500がテストヘッド400を介してDUT90の試験を実行する。
【0032】
この試験が終了したら、テストトレイから試験用キャリア1を取り出した後、当該試験用キャリア1をクリーンルームに搬送する。そして、試験用キャリア1を分解し、当該試験用キャリア1からDUT90を取り出す。この試験済みのDUT90は次工程に搬送されるの対し、当該DUT90が取り出された試験用キャリア1は、別のDUT90の試験に再利用される。
【0033】
テストトレイとしては、パッケージングされた既存のデバイス(DUT)に用いられるものを流用することができる。こうしたテストトレイは、特に図示しないが、枠状のフレームと、当該フレームに保持された複数のインサートと、を備えている。このインサートに試験用キャリア1を収容する。ここで、試験用キャリア1の外形は、既存のデバイスの外形に合わせられており、これにより、試験用キャリア1を既存のテストトレイに搭載して搬送することが可能となっている。テストトレイ及びインサートとしては、例えば、国際公開第2003/075024号、及び、国際公開第2009/069189号等に記載された公知のものを使用することができる。
【0034】
次に、本実施形態における試験用キャリア1の構成について、図3図9を参照しながら、以下に説明する。
【0035】
図3及び図4は本実施形態における試験用キャリア1を示す斜視図であり、図5は本実施形態における試験用キャリア1の分解斜視図である。図6は本実施形態における試験用キャリア1を示す断面図であり、図3のVI-VI線に沿った断面図である。図7は本実施形態における試験用キャリア1を示す分解断面図であり、図6に対応する図である。図8は本実施形態における試験用キャリア1のポゴピン21を示す断面図であり、図7のVIII部の拡大図である。図9図7のIX部の拡大図である。図10は本実施形態における吸着用の貫通孔64と可動弁70を示す図であり、図9のX-X線に沿った断面図である。
【0036】
本実施形態における試験用キャリア1は、図3図7に示すように、DUT90を保持する保持部材10と、そのDUT90を覆うと共に保持部材10に着脱可能に固定される蓋部材60と、を備えている。この試験用キャリア1では、保持部材10と蓋部材60との間にDUT90を挟むことで、DUT90が試験用キャリア1の内部に収容される。なお、この試験用キャリア1は、蓋部材60の貫通孔64と可動弁70を除いて、特開2019-197012号公報に記載されているキャリアの構成と、基本的に同一の構成を有している。
【0037】
保持部材10は、保持本体15と、当該保持本体15に取り付けられた筒状体40と、を備えている。保持本体15は、保持板20と、インタポーザ30とを備えている。保持本体15は、ポゴピン21(後述)及び外部端子32(後述)を保持している。
【0038】
保持板20は、複数のポゴピン21を保持している。このポゴピン21は、DUT90のパッド91に対向するようにピッチP図5参照)で配列されている。それぞれのポゴピン21は、図8に示すように、プランジャ22と、固定部23と、コイルスプリング24と、を備えている。本実施形態におけるポゴピン21が、本発明における「接触子」の一例に相当する。
【0039】
ポゴピン21は、保持板20の保持孔20aにそれぞれ挿入されている。そして、プランジャ22のフランジ22aが保持孔20aの段差20bに係止することで、プランジャ22の上限位置が制限されている。この上限位置において、プランジャ22の先端が保持孔20aの上側の開口20cから突出している。固定部23は、保持孔20aの反対側の開口20dに位置する後端部23aと、当該後端部23aから先端(上方)に向かって延在する軸部23bと、を備えている。この軸部23bがコイルスプリング24に挿入されており、プランジャ22のフランジ22aと固定部23の後端部23aとの間にコイルスプリング24が介在している。DUT90が試験用キャリア1に収容されると、プランジャ22がDUT90のパッド91に接触して、コイルスプリング24の弾性力によってプランジャ22がパッド91を押圧し、DUT90はポゴピン21に保持される。
【0040】
また、図6及び図7に示すように、この保持板20には、当該保持板20を貫通する4つの開口25が形成されている。それぞれの開口25は、DUT90の下面に矩形状に配列された複数のバンプ92の中で角部に位置しているバンプ92(以下単に「バンプ92’」とも称する。)に対向するように配置されている(図2、及び、図17(a)~図17(c)参照)。本実施形態では、試験用キャリア1の組立時に、このバンプ92’を、試験用キャリア1に対するDUT90の位置決めのための特徴点として利用する。
【0041】
インタポーザ30は、保持板20の下面に重ねられており、螺子締め等によって保持板20に固定されている。図4,及び、図6図8に示すように、このインタポーザ30は、内部端子31と、外部端子32と、配線パターン33と、を有している。
【0042】
内部端子31は、インタポーザ30の上面に設けられている。この内部端子31は、保持板20に保持されたポゴピン21に対向するようにピッチPで配列されており、当該ポゴピン21の固定部23がこの内部端子31に接触している。
【0043】
外部端子32は、インタポーザ30の下面に設けられており、試験用キャリア1の外部に露出している。この外部端子32は、DUT90の試験の際に電子部品試験装置200のソケット420のコンタクトピン(不図示)が電気的に接続される端子であり、内部端子31のピッチPよりも広いピッチP図4参照)で配列されている(P>P)。内部端子31と外部端子32は配線パターン33によって接続されている。
【0044】
また、図4図6、及び、図7に示すように、このインタポーザ30には、当該インタポーザ30を貫通する4つの開口34が形成されている。それぞれの開口34は、上述の保持板20の開口25と実質的に一致するように配置されている。従って、この開口25,34によって、保持部材10を直線状に貫通する貫通孔11が形成されている。この貫通孔11は、DUT90の位置決めに用いられる貫通孔であり、当該貫通孔11を介して、DUT90の一部(具体的にはバンプ92’)を外部から見ることが可能となっている。この貫通孔11は、後述するように、試験用キャリア1の組立の際に、DUT90を当該試験用キャリア1に対して高精度に位置決めするために使用される。
【0045】
本実施形態では、DUT90のパッド91に接触する接触子として、ポゴピン21を用いているが、接触子としてポゴピン21以外のものを用いてもよい。例えば、図11に示すように、カンチレバー型のプローブ針21Bを接触子として用いてもよい。図11は本実施形態における試験用キャリアの保持部材の変形例を示す分解断面図である。
【0046】
このプローブ針21Bは、インタポーザ30上に実装されており、当該インタポーザ30の内部端子31に電気的に接続されている。或いは、特に図示しないが、試験用キャリア1の接触子として、異方導電性ゴムシートを用いたものや、絶縁膜にバンプを形成したメンブレンタイプのものを用いてもよい。
【0047】
なお、接触子としてポゴピン21を用いる場合には、上述のように、当該ポゴピン21を保持するための保持板20を保持本体15が備えている。これに対し、図11に示すように、接触子としてプローブ針21Bを用いた場合には、保持本体15がインタポーザ30のみを備えていればよい。この変形例では、インタポーザ30が本発明における「保持本体」の一例に相当し、プローブ針21Bが本発明における「接触子」の一例に相当する。
【0048】
図3図7に戻り、筒状体40は、保持板20の上面に設けられており、螺子締め等によって保持板20に固定されている。この筒状体40は、DUT90の外形よりも大きな内孔41を持つ角筒形状を有しており、DUT90の周囲を囲むことが可能となっている。この筒状体40の側面には、蓋部材60のラッチ80(後述)に対応するように凹部42が形成されている。この凹部42にラッチ80が係止することで、保持部材10に蓋部材60が着脱可能に固定される。
【0049】
また、この筒状体40の側面には、二次元バーコード50が貼り付けられている。この二次元バーコード50は、試験用キャリア1のID(Identification)を表しており、当該試験用キャリア1の個体を識別するために用いられる。本実施形態では、この二次元バーコード50は、後述のように、キャリア組立装置100によってDUT90を試験用キャリア1に対して位置決めする際に、個々の試験用キャリア1に固有の誤差を加味するために使用される。なお、試験用キャリア1のIDを表す手段は、試験用キャリア1の個体を識別可能な識別子であれば、二次元バーコードに特に限定されない。
【0050】
また、この二次元バーコード50の用途は、特に上記に限定されない。例えば、二次元バーコード50が、データベース上において試験用キャリア1の電気的な抵抗値と関連付けられていてもよい。或いは、二次元バーコード50が、データベース上においてDUT90自身や当該DUT90の試験結果と関連付けられてもよい。これにより、ユーザが、DUT90の試験に使用した試験用キャリア1を照合することができ、DUT90の良好なトレーサビリティ(デバイストラッキング)を確保することができる。また、不良のDUT90が特定の試験用キャリア1で頻発している場合には、当該試験用キャリア1自体の不良を把握することもできる。
【0051】
蓋部材60は、蓋本体61と、可動弁70と、一対のラッチ80と、を備えている。蓋本体61は、板状のベース部62と、当該ベース部62から下方に向かって凸状に突出する凸部63と、を備えている。可動弁70は、蓋本体61に形成されたDUT吸着用の貫通孔64(後述)内に配置されている。ラッチ80は、ベース部62の両端から下方に向かって突出している。
【0052】
凸部63は、保持板20に保持されたDUT90の上面に接触する接触面631を有しており、当該DUT90を押圧する。なお、凸部63によるDUT90の押付量は、保持部材10の筒状体40が蓋部材60のベース部62に当接することで制限されており、この状態において、DUT90のパッド91に対するポゴピン21の押圧力が最適な値となるように設定されている。試験用キャリア1に収容されたDUT90は、凸部63の接触面631とポゴピン21との間に挟持される。
【0053】
蓋本体61の略中央には貫通孔64が形成されており、この貫通孔64は、ベース部62及び凸部63を貫通している。この貫通孔64は一つの上側の開口64aを有しており、当該上側の開口64aはベース部62の上面621で開口している。この上側の開口64aは、ベース部62の上面621の中央に配置されている。また、この貫通孔64は4つの下側の開口64bを有しており、当該4つの下側の開口64bは、凸部63の接触面631で開口している。この4つの下側の開口64bは、凸部63の接触面631の中心を囲むように等間隔に円周状に配置されている。この貫通孔64は、後述するように、キャリア組立装置100によるDUT90の吸着保持に使用される。
【0054】
本実施形態における貫通孔64が、本発明における「DUT吸着用の貫通孔」の一例に相当する。また、本実施形態における下側の開口64bが本発明における「第1の開口」の一例に相当し、本実施形態における上側の開口64aが本発明における「第2の開口」の一例に相当する。
【0055】
このDUT吸着用の貫通孔64は、図9及び図10に示すように、第1の孔部641と、複数(本例では4つ)の第2の孔部642と、収容部643と、を備えている。なお、貫通孔64が備える第1の孔部641の数は、特に上記に限定されず、貫通孔64が複数の第1の孔部641を備えていてもよい。同様に、貫通孔64が備える第2の孔部642の数は、特に上記に限定されず、貫通孔64が一つの第2の孔部642を備えていてもよい。
【0056】
第1の孔部641は、内径Dの円形の断面形状を有し、鉛直方向(図中のZ方向)に沿って直線状に延在する孔部である。この第1の孔部641は、貫通孔64の上側の部分を構成しており、上述の上側の開口64aはこの第1の孔部641の上端に位置している。
【0057】
それぞれの第2の孔部642も、内径Dの円形の断面形状を有し、鉛直方向(図中のZ方向)に沿って直線状に延在する孔部である。この第2の孔部642は、貫通孔64の下側の部分を構成しており、上述の下側の開口64bはこの第2の孔部642の下端に位置している。
【0058】
収容部643は、内径Dの円形の断面形状を有する空間であり、貫通孔64の中央の部分を構成している。この収容部643は、第1の孔部641と第2の孔部642との間に介在している。第1の孔部641は収容部643に上側から接続されている。また、4つの全ての第2の孔部642も収容部643に下側から接続されている。従って、第1の孔部641と第2の孔部642は、当該収容部643を介して相互に接続されている。
【0059】
そして、第1の孔部641の内径Dは、収容部643の内径Dよりも小さくなっている(D<D)。図10に示すように、透過平面視(蓋部材60の法線方向(図中のZ方向)に沿って当該蓋部材60を透視した場合)において、第1の孔部641と収容部643とは同軸上に配置されている。
【0060】
また、それぞれの第2の孔部642の内径Dは、第1の孔部641の内径Dよりも小さくなっており(D<D)、第1の孔部641と複数の第2の孔部642とは、透過平面視において、相互に非重複となるように配置されている。特に限定されないが、本実施形態では、図10に示すように、第1の孔部641を取り囲むように4つの第2の孔部642が等間隔に円周状に配置されている。なお、第1の孔部641の内径Dと第2の孔部642の内径Dとの関係は、特に上記に限定されず、第2の孔部642の内径Dが第1の孔部641の内径Dと同一であってもよいし(D=D)、第2の孔部642の内径Dが第1の孔部641の内径Dより大きくてもよい(D>D)。
【0061】
また、収容部643の内径Dは、第2の孔部642の内径Dよりも大きくなっている(D>D)。本実施形態では、収容部643の内径Dは、上述の円周状に配置された4つの第2の孔部642の外接円よりも大きくなっている。このため、収容部643は、図10に示すように、透過平面視において、収容部643が全ての第2の孔部642を包含するように配置されており、全ての第2の孔部642が収容部643と接続されている。
【0062】
可動弁70は、図9及び図10に示すように、外径Dを持つ円環状の部材であり、開口72と、当該開口72が中央に形成された弁本体71と、を備えている。この可動弁70は、例えば金属材料又は樹脂材料から構成されており、キャリア組立装置100(後述)により貫通孔64が吸引された場合であっても変形することがない剛性を有している。本実施形態における可動弁70の開口72が、本発明における「第4の開口」の一例に相当する。なお、貫通孔64の吸引によって可動弁70が収容部643内を移動可能であれば、当該可動弁70を弾性材料で構成してもよい。
【0063】
この可動弁70は、蓋本体61の貫通孔64の収容部643内に収容されている。この可動弁70の外径Dは、収容部643の内径Dよりも小さくなっている(D<D)。また、この可動弁70の厚みtは、収容部643の深さdよりも小さくなっている(t<d)。そして、この可動弁70は、蓋本体61に対して固定されていない。また、この可動弁70の外径Dは、第1の孔部641の内径Dよりも大きくなっている(D>D)と共に、第2の孔部642の内径Dよりも大きくなっている(D>D)。従って、可動弁70は、収容部643内において上下方向(図中のZ軸方向)に沿って移動することが可能となっており、収容部643内において第1の孔部641と第2の孔部642との間を移動することが可能となっている。
【0064】
この可動弁70の開口72は、図10に示すように、透過平面視において、第1の孔部641と同軸上に配置されている。すなわち、この開口72は、第1の孔部641と対向するように配置されている。また、この開口72の内径Dは、第1の孔部641の内径Dと実質的に同一の大きさを有している(D=D)。このため、キャリア組立装置100による貫通孔64の吸引によって可動弁70が収容部643の上面643bに接触した状態であっても、この開口72を介して第1の孔部641と収容部643とが連通しており、第1の孔部641が可動弁70により閉塞されることはない。なお、開口72の内径Dは、特に上記に限定されず、可動弁70の弁本体71が第2の孔部642と対向している限り、第1の孔部641の内径Dより小さくてもよいし(D<D)、第1の孔部641の内径Dより大きくてもよい(D>D)。
【0065】
また、本実施形態では、可動弁70の外径Dは、上述の円周状に配置された4つの第2の孔部642の外接円よりも大きくなっている。そして、この可動弁70は、収容部643と同様に、図10に示すように、透過平面視において、全ての第2の孔部642を包含するように配置されている。このため、キャリア組立装置100による貫通孔64の非吸引時には、可動弁70が収容部643の下面643aに接触し、全ての第2の孔部642の上側の開口642aが、可動弁70の弁本体71によって覆われる。本実施形態における第2の孔部642の上側の開口642aが、本発明における「第3の開口」の一例に相当する。
【0066】
なお、本実施形態では、こうした中央が拡径した貫通孔64を形成するために、図7及び図9に示すように、蓋本体61を2つの部材65,66で構成している。なお、特にこれに限定されず、蓋本体61を単一の部材で構成してもよい。
【0067】
第1の部材65は、ベース部62と凸部63が一体的に形成されたブロック状の部材である。この第1の部材65の中央には、第2の孔部642及び収容部643が形成されていると共に、収容部643よりも大きな凹部65aが形成されている。この凹部65aは、収容部643の上方に配置されており、当該収容部643に接続されている。
【0068】
一方、第2の部材66は、その中央に第1の孔部641を有する環状の部材である。この第2の部材66を第1の部材65の凹部65aに挿入することで、貫通孔64を有する蓋本体61が形成されている。本実施形態では、第2の部材66の外周面に形成されたオネジ部と、第1の部材65の凹部65aの内周面に形成されたメネジ部とを螺合させることで、第2の部材66が第1の部材65に固定されている。なお、接着剤を用いて第2の部材66を第1の部材に固定してもよい。
【0069】
なお、可動弁の構成は、特に上記に限定されず、図12及び図13に示すような構成にしてもよい。図12は本実施形態における試験用キャリアの蓋部材の変形例を示す断面図であり、図13は、図12に示す蓋部材の変形例における収容部の上面を示す図であり、図12のXIII-XIII線に沿った断面図である。
【0070】
この図12及び図13に示す変形例では、可動弁70Bは、開口72を有しない円板形状を有している。この可動弁70は、例えばゴム等の弾性材料から構成されており、キャリア組立装置100により貫通孔64が吸引された場合に弾性変形することが可能となっている。この可動弁70Bは、固定部73で収容部643の下面(底面)643aに固定されている。この固定部73は、可動弁70Bの中央に位置しており、第1の孔部641に対向している。固定部73の具体例としては、特に限定されないが、ネジ締結や接着を例示することができる。
【0071】
この変形例では、キャリア組立装置100による貫通孔64の非吸引時には、可動弁70Bが弾性変形していないので、可動弁70Bが収容部643の下面643aに接触し、第2の孔部642の上側の開口642aが可動弁70Bによって覆われている。これに対し、キャリア組立装置100による貫通孔64の吸引時には、可動弁70Bの中央部が固定部73によって固定されつつ当該可動弁70Bの周縁部が上方に向かって弾性変形するので、第2の孔部642の上側の開口642aが開放されて、収容部643を介して第1の孔部641と第2の孔部642とが連通する。この際、、可動弁70Bは、第1の孔部641に対向している固定部73で収容部643の下面643aに固定されているので、当該第1の孔部641を閉塞することはない。
【0072】
また、この変形例では、収容部643の上面(天井面)643bに複数(本例では4本)の直線状の溝643cが形成されている。この複数の溝643cは、第1の孔部641を中心として放射状に広がっており、それぞれの溝643cは、第1の孔部641に接続されていると共に、可動弁70Bを介して第2の孔部642に対向するように配置されている。これにより、収容部643の上面643bへの弾性変形した可動弁70Bの接触による貫通孔64の閉塞を抑制することができる。
【0073】
また、DUT吸着用の貫通孔の構成も、特に上記に限定されない。例えば、可動弁がキャリア組立装置の吸引により弾性変形するタイプである場合には、特に図示しないが、第1の孔部と第2の孔部とが、透過平面視において、相互に重複するように配置されていてもよいし、或いは、DUT吸着用の貫通孔から第1の孔部を省略してもよい。さら、キャリア組立装置の吸着保持部の先端部の形状を可動弁を包囲可能な形状とすることで、DUT吸着用の貫通孔から、第1の孔部に加えて、収容部を省略してもよい。
【0074】
図3図7に戻り、ラッチ80は、ベース部62の両端でシャフト81によって回転可能に支持されており、下方に向かってそれぞれ延在している。それぞれのラッチ80は、特に図示しないバネによって、内側に向かって付勢されている。それぞれのラッチ80の先端には、内側に向かって突出する爪部82が設けられている。この爪部82が保持部材10の凹部42に係止することで、蓋部材60が保持部材10に固定される。
【0075】
次に、以上に説明した試験用キャリア1を組み立てるキャリア組立装置100の構成について、図14を参照しながら説明する。図14は本実施形態におけるキャリア組立装置の構成を示すブロック図である。
【0076】
本実施形態におけるキャリア組立装置100は、図14に示すように、第1の吸着保持部110と、第2の吸着保持部120と、減圧部130と、駆動部140と、カメラ150と、画像処理部160と、リーダ170と、制御部180と、記憶部190と、を備えている。
【0077】
第1の吸着保持部110は、減圧部130に接続されており、保持部材10を吸着保持することが可能となっている。第2の吸着保持部120も、減圧部130に接続されており、蓋部材60を吸着保持することが可能となっている。本実施形態では、DUT90が、蓋部材60の貫通孔64を介して、第2の吸着保持部120によって蓋部材60と共に吸着保持される。特に限定されないが、第1及び第2の吸着保持部110,120の具体例としては、例えば、吸着パッドを例示することができる。また、減圧部130としては、例えば、真空ポンプを例示することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、ポゴピン21の先端が上方を向いた状態で第1の吸着保持部110が保持部材10を吸着保持するが、特にこれに限定されず、保持部材10を反転させた状態(すなわち、ポゴピン21の先端が下方を向いた状態)で第1の吸着保持部110が当該保持部材10を吸着保持してもよい。同様に、本実施形態では、パッド91及びバンプ92が下方に向いた状態で第2の吸着保持部120が蓋部材60及びDUT90を保持するが、特にこれに限定されず、蓋部材60及びDUT90を反転させた状態(すなわち、パッド91及びバンプ92が上方を向いた状態)で第2の吸着保持部120が当該蓋部材60及びDUT90を保持してもよい。
【0079】
本実施形態では、第2の吸着保持部120に駆動部140が接続されている。この第2の吸着保持部120は、駆動部140が有するアクチュエータによって、XYZ方向に移動可能であると共にZ軸を中心としたθ方向の回転が可能となっており、第1の吸着保持部110に対して相対的に移動及び回転することが可能となっている。なお、第1の吸着保持部110が第2の吸着保持部120に対して移動可能であってもよいし、第1及び第2の吸着保持部110,120の両方が移動可能であってもよい。
【0080】
カメラ150は、第1の吸着保持部110によって保持された保持部材10の貫通孔11を介して、DUT90の一部を撮像する。具体的には、カメラ150は、保持部材10の貫通孔11と、DUT90が有するバンプ92の中で角部に位置するバンプ92’と、を包含する画像を撮像する(図17(a)~図17(c)参照)。カメラ150によって取得された画像情報は、画像処理部160に送信される。
【0081】
画像処理部160は、この画像情報に対して画像処理を行うことで、貫通孔11の中心12の位置を検出すると共に、バンプ92’の位置を検出することで、貫通孔11の中心12に対するバンプ92’の相対位置を取得する(図17(a)~図17(c)参照)。なお、バンプ92’の相対位置の基準は、貫通孔11に関する部位であれば、当該貫通孔11の中心12に特に限定されない。
【0082】
また、試験用キャリア1に対するDUT90の位置決めのために画像処理部160によって取得されるDUT90の特徴点は、DUT90において特徴的な部分であれば、上述のバンプ92’に特に限定されない。特に図示しないが、例えば、位置決め用のアライメントマークをDUT90に形成しておき、このアライメントマークをDUT90の特徴点として利用してもよい。
【0083】
リーダ170は、第1の吸着保持部110によって保持された保持部材10の二次元バーコード50を読み取るバーコードリーダである。このリーダ170によって読み取られたID情報は、制御部180に送信される。制御部180は、この試験用キャリア1のID情報に対応した補正値を記憶部190から読み出す。
【0084】
記憶部190には、試験用キャリア1のIDにそれぞれ対応した複数の補正値を有する補正値テーブルが予め記憶されている。この補正値は、保持部材10の加工によって生じたポゴピン21に対する貫通孔11の相対位置の誤差に対応した補正値であり、個々の試験用キャリア1に固有の値である。具体的には、この補正値は、以下のように求められる。すなわち、先ず、試験用キャリア1を実際に計測することで、ポゴピン21の中心に対する貫通孔11の中心12の実際の相対位置(x、y)を求める。次いで、ポゴピン21の中心に対する貫通孔11の中心12の設計上の相対位置(x,y)と実際の相対位置(x、y)との差(Δx,Δy)(=x-x、y-y)を求め、この差(Δx,Δy)を上述の補正値として設定する。補正値テーブルは、個々の試験用キャリア1のIDに対して当該試験用キャリア1の補正値が個別に対応付けられることで構成されている。なお、ポゴピン21の中心に対する貫通孔11の中心12の設計上の相対位置(x,y)は、DUT90におけるパッド91の中心に対するバンプ92’の中心の相対位置に対応している(図1参照)。
【0085】
さらに、制御部180は、画像処理部160によって取得されたバンプ92’の相対位置と、上述の補正値とに基づいて、保持部材10に対してDUT90を位置決めするように、駆動部140を制御する。画像処理部160、制御部180、及び、記憶部190は、例えば、コンピュータによって実現することができる。
【0086】
以下に、このキャリア組立装置100を用いてDUT90を試験用キャリア1に収容する手順について、図15図17(c)を参照しながら説明する。
【0087】
図15は本実施形態における試験用キャリア1の組立方法の工程図である。また、図16(a)及び図16(b)は、図15のステップS20を示す図であり、図16(a)は、第2の吸着保持部120により蓋部材60とDUT90を保持する前の状態を示す図であり、図16(b)は、第2の吸着保持部120により蓋部材60とDUT90を保持した状態を示す図である。また、図17(a)~図17(c)は、図15のステップS40~S60を示す図であり、図17(a)はアライメント前にカメラ150により貫通孔11を介してDUT90の下面を撮像した画像を示す図であり、図17(b)はアライメント中にカメラ150により貫通孔11を介してDUT90の下面を撮像した画像を示す図であり、図17(c)は、アライメント後にカメラ150により貫通孔11を介してDUT90の下面を撮像した画像を示す図である。
【0088】
先ず、図15のステップS10において、第1の吸着保持部110が試験用キャリア1の保持部材10を吸着保持する。この際、第1の吸着保持部110は、ポゴピン21の先端が上方を向いた状態で保持部材10を下側から吸着保持する。
【0089】
次いで、図15のステップS20において、第2の吸着保持部120が蓋部材60とDUT90を吸着保持する。この際、第2の吸着保持部120は、パッド91及びバンプ92が下方に向いた状態で、蓋部材60及びDUT90を上側から吸着保持する。
【0090】
ここで、キャリア組立装置100により貫通孔64を吸引する前は、図16(a)に示すように、可動弁70は、その自重によって、収容部643内において下降して当該収容部643の下面643aに接触しており、第2の孔部642の上側の開口642aが、可動弁70の弁本体71によって覆われている。このように、本実施形態では、キャリア組立装置100により蓋部材60及びDUT90を吸着保持していない時(すなわち、第2の吸着保持部120が蓋部材60に接触していない時)に、貫通孔64の第1の孔部641と第2の孔部642との間が可動弁70により閉塞されているので、当該貫通孔64を介して微少なゴミ等の異物が試験用キャリア1内に侵入してしまうのを抑制することができる。
【0091】
そして、このステップS20において、キャリア組立装置100により貫通孔64を吸引すると、図16(b)に示すように、可動弁70は、収容部643内で吸い上げられて、当該収容部643の上面643bに接触する。この際、当該可動弁70の開口72を介して第1の孔部641と収容部643とが連通しており、第1の孔部641が可動弁70により閉塞されることはないため、第2の吸着保持部120は蓋部材60とDUT90を吸着保持することができる。また、この際、可動弁70が貫通孔64を閉塞していなくても、第2の吸着保持部120が蓋部材60に接触しているので、貫通孔64を介して試験用キャリア1内に異物が侵入することはない。
【0092】
また、第2の吸着保持部120が蓋部材60に接触していない時に貫通孔64内に侵入した異物が可動弁70上に付着していても、このステップS20でのキャリア組立装置100による貫通孔64の吸引により、当該異物は試験用キャリア1の外部に排出される。
【0093】
次いで、図15のステップS30において、駆動部140によって第2の吸着保持部120をZ軸方向に沿って下降させて、DUT90のパッド91と保持部材10のポゴピン21を近接させる。特に限定されないが、例えば、この状態において、パッド91とポゴピン21との間の間隔は0.05mm程度である。
【0094】
次いで、図15のステップS40において、図17(a)に示すように、カメラ150によって貫通孔11を介してDUT90の一部を撮像して、その画像情報を画像処理部160に送信する。画像処理部160は、この画像情報から、貫通孔11の中心12に対するバンプ92’の中心の相対位置を取得する。画像処理部160は、このバンプ92’の相対位置を制御部180に送信する。
【0095】
次いで、図15のステップS50において、保持部材10に付与された二次元バーコード50をリーダ170によって読み取り、制御部180が、そのID情報に対応した補正値を記憶部190から読み出す。
【0096】
次いで、図15のステップS60において、制御部180は、画像処理部160によって取得されたバンプ92’の相対位置に基づいて、駆動部140を制御する。本実施形態では、制御部180は、バンプ92’の中心を貫通孔11の中心12に一致させるように、駆動部140を制御する。駆動部140は、制御部180からの指示に従って第2の吸着保持部120をXY平面上で移動させ、これにより、DUT90のバンプ92’ の中心が貫通孔11の中心12に位置する(図17(b)参照)。
【0097】
また、このステップS60において、制御部180は、記憶部190から読み出した補正値に基づいて駆動部140を制御する。駆動部140は、制御部180からの指示に従って第2の吸着保持部120をXY平面上でさらに移動させ、これにより、DUT90のバンプ92’ の中心が貫通孔11の中心12から補正量(Δx,Δy)分だけ離れる(図17(c)参照)。これにより、個々の試験用キャリア1が有する誤差が加味されるので、パッド91がポゴピン21に対して高精度に位置決めされる。
【0098】
なお、実際には、このステップS60において、バンプ92’の相対位置に基づく駆動部140の制御と、補正値に基づく駆動部140の制御とが同時に実行される。また、ステップS60において、制御部180が、複数のバンプ92’の位置に基づいて、第2の吸着保持部120をθ方向に回転させるように駆動部140を制御してもよい。
【0099】
次いで、図15のステップS70において、駆動部140によって第2の吸着保持部120をZ軸方向に沿ってさらに下降させて、保持部材10の筒状体40を蓋部材60のベース部62に当接させる。これにより、ポゴピン21によって最適な押圧力でDUT90のパッド91が押圧されると共に、ポゴピン21と蓋部材60によってDUT90が挟持される。また、駆動部140による第2の吸着保持部120の下降に伴って、ラッチ80の爪部82が筒状体40の凹部42に係止して、蓋部材60が保持部材10に固定される。
【0100】
次いで、図15のステップS80において、搬送手段(不図示)によって試験用キャリア1を保持した状態で、第1及び第2の吸着保持部110,120の吸着が解除されて、試験用キャリア1へのDUT90の収容作業が完了する。
【0101】
第2の吸着保持部120の吸着が解除されると、貫通孔64が吸引されていない状態となるので、上述した図16(a)の状態と同様に、可動弁70はその自重によって下降し、第2の孔部642の上側の開口642aが可動弁70によって覆われる。このように、本実施形態では、キャリア組立装置100により蓋部材60及びDUT90を吸着保持していない時(すなわち、第2の吸着保持部120が蓋部材60に接触していない時)に、貫通孔43の第1の孔部641と第2の孔部642との間が可動弁70により閉塞されているので、当該貫通孔64を介して微少なゴミ等の異物が試験用キャリア1内に侵入してしまうのを抑制することができる。
【0102】
以上のように、本実施形態では、試験用キャリア1が、DUT吸着用の貫通孔64の吸引に伴って当該貫通孔64を開閉する可動弁70を備えている。このため、貫通孔64が吸引されている状態では、可動弁70によって当該貫通孔64が閉塞されていないので、DUT90を吸着保持することが可能となっている。一方、貫通孔64が吸引されていない状態では、可動弁70によって当該貫通孔64が閉塞されているので、貫通孔64を介した試験用キャリア1内への異物の侵入を抑制することができる。このため、クリーンルーム内において試験用キャリア1から取り出される試験済みのDUT90への異物の付着を抑制することができ、次工程への異物の持ち込みを抑制することができる。
【0103】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0104】
例えば、試験用キャリア1が、位置決め用の貫通孔11を備えていなくてもよい。この場合に、DUT90のパッド91を撮像した画像と、ポゴピン21を撮像した画像とを取得し、これらの画像に基づいて、ポゴピン21に対するDUT90の相対位置を演算することで、DUT90を試験用キャリア1に対して位置決めしてもよい。
【0105】
また、例えば、上述の実施形態では、DUT90の具体例として、ダイを例示したが、特にこれに限定されない。例えば、DUT90は、パッケージングされたデバイスであってもよい。また、上述の実施形態におけるDUT90は、メモリ系のデバイスであるが、特にこれに限定されない。例えば、DUT90が、SoC(System on a chip)やロジック系のデバイスであってもよい。
【0106】
また、上述の実施形態における電子部品試験装置200は、テストトレイにDUT90を保持した状態で当該DUT90をソケット420に押圧するタイプのハンドラ300を備えているが、ハンドラ300の構成は特にこれに限定されない。例えば、ハンドラ300が、DUTを吸着保持するアームにより当該DUTをソケットに押圧するタイプのハンドラであってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…試験用キャリア
10…保持部材
15…保持本体
21…ポゴピン
21B…プローブ針
32…外部端子
60…蓋部材
61…蓋本体
62…ベース部
621…上面
63…凸部
631…接触面
64…貫通孔(DUT吸着用の貫通孔)
64a…開口
64b…開口
641…第1の孔部
642…第2の孔部
642a…開口
643…収容部
643a…下面
643b…上面
643c…溝
70,70B…可動弁
71…弁本体
72…開口
73…固定部
90…DUT
100…キャリア組立装置
120…第2の吸着保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DUTを収容した状態で搬送される試験用キャリアであって、
前記試験用キャリアは、
前記DUTを保持する保持部材と、
前記DUTを覆うと共に、前記保持部材に着脱可能に固定された蓋部材と、
前記DUTに対向するように配置されたDUT吸着保持用の貫通孔と、
前記貫通孔の吸引に伴って前記貫通孔を開閉する可動弁と、を備え、
前記貫通孔は、前記蓋部材の蓋本体を貫通するように前記蓋本体に形成されており、
前記可動弁は、前記貫通孔の吸引によって移動又は変形することで、前記貫通孔の吸引時に前記貫通孔を開放し、前記貫通孔の非吸引時に前記貫通孔を閉塞する試験用キャリア。
【請求項2】
請求項1に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔は、
第1の孔部と、
前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を移動又は変形可能に収容している収容部と、
前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されている第2の孔部と、を備えており、
前記可動弁は、
前記貫通孔の吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部とを連通させ、
前記貫通孔の非吸引時に、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を閉塞する試験用キャリア。
【請求項3】
請求項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有しており、
前記貫通孔の非吸引時に、前記可動弁が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆う試験用キャリア。
【請求項4】
請求項又はに記載の試験用キャリアであって、
前記第1の孔部と前記第2の孔部とは、透過平面視において、相互に非重複となるように配置されている試験用キャリア。
【請求項5】
請求項のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔は、複数の前記第2の孔部を備えており、
前記複数の第2の孔部は、前記収容部を介して前記第1の孔部に接続されている試験用キャリア。
【請求項6】
請求項に記載の試験用キャリアであって、
前記第1の孔部は、円形の断面形状を有し、
前記複数の第2の孔部は、前記第1の孔部の内径よりも小さな内径を持つ円形の断面形状をそれぞれ有し、
前記可動弁は、前記複数の第2の孔部を包含する外径を持つ円形形状を有し、
前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を持つ円形の断面形状を有している試験用キャリア。
【請求項7】
請求項のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、前記第1の孔部の内径よりも大きく、且つ、前記第2の孔部の内径よりも大きな外径を有し、
前記収容部は、前記可動弁の外径よりも大きな内径を有しており、
前記可動弁は、前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を移動可能に前記収容部内に収容されている試験用キャリア。
【請求項8】
請求項のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、
第4の開口と、
前記第4の開口が形成された弁本体と、を備えており、
前記第1の孔部は、前記第4の開口に対向するように配置され、
前記第2の孔部は、前記弁本体に対向するように配置されており、
前記貫通孔の吸引時に、前記第4の開口を介して、前記第1の孔部と前記収容部とが連通し、
前記貫通孔の非吸引時に、前記弁本体が、前記第2の孔部における前記収容部側の第3の開口を覆う試験用キャリア。
【請求項9】
請求項のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、金属材料又は樹脂材料から構成され、前記貫通孔の吸引に対して非変形な剛性を有する弁部材である試験用キャリア。
【請求項10】
請求項のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記可動弁は、弾性材料から構成され、前記貫通孔の吸引によって弾性変形可能な弁部材であり、
前記可動弁は、固定部で前記蓋本体に固定されており、
前記固定部は、前記第1の孔部と対向するように配置されている試験用キャリア。
【請求項11】
請求項10に記載の試験用キャリアであって、
前記収容部は、前記第1の孔部に接続されていると共に、前記可動弁を介して前記第2の孔部に対向するように配置された溝を有している試験用キャリア。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の試験用キャリアであって、
前記保持部材は、
前記DUTの端子に対応するように配置された複数の接触子と、
前記接触子に電気的に接続された複数の外部端子と、
前記接触子及び前記外部端子を保持する保持本体と、を備えた試験用キャリア。
【請求項13】
請求項12に記載の試験用キャリアであって、
前記蓋本体は、前記DUTに接触する接触面を有し、
前記貫通孔の第1の開口は、前記接触面に開口しており、
前記DUTは、前記接触面と前記接触子との間に挟持される試験用キャリア。
【請求項14】
請求項13に記載の試験用キャリアであって、
前記貫通孔の第2の開口は、前記蓋本体において前記接触面とは反対側の面に開口しており、
前記第2の開口は、前記貫通孔において前記第1の開口とは反対側の開口である試験用キャリア。