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特開2023-63233作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置
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  • 特開-作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置 図1
  • 特開-作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置 図2
  • 特開-作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置 図3
  • 特開-作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置 図4
  • 特開-作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063233
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
B60H1/00 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022145280
(22)【出願日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】202111233440.8
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 菁元
(72)【発明者】
【氏名】馬 ▲クン▼其
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲ハン▼正男
(72)【発明者】
【氏名】楊 正軍
(72)【発明者】
【氏名】柳 東威
(72)【発明者】
【氏名】李 孟良
(72)【発明者】
【氏名】安 暁▲プァン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 欣
(72)【発明者】
【氏名】胡 熙
(72)【発明者】
【氏名】張 詩敏
(72)【発明者】
【氏名】王 雨
(72)【発明者】
【氏名】徐 月
(72)【発明者】
【氏名】汪 洋
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA31
3L211EA25
3L211EA71
3L211FB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業条件識別に基づく車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置を提供する。
【解決手段】作業条件識別に基づく車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置を提供し、まず現在の環境温度情報を取得し、現在の作業条件の平均速度、平均加速度、平均アイドリング時間を計算して現在の作業条件の特徴情報を得、現在の作業条件のコールドスタートエネルギー消費量f1を得、アイドリングセグメントエアコンエネルギー消費量f2を得、現在の作業条件の運動セグメントエアコンエネルギー消費量f3を得、最後に温度補正係数kを得、f1、f2、f3を重み付けして現在の作業条件でのエアコンの総合エネルギー消費量を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の実際の道路走行データを収集するステップS1と、
30℃の環境温度でJC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75作業条件のコールドスタートでエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行い、かつコールドスタート段階の作業条件特徴パラメータ値を計算するステップS2と、
20℃~40℃の間、5℃おきにCLTCエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストを行い、異なる温度でのエアコンのエネルギー消費量補正係数k、アイドリングエアコンの瞬時エネルギー消費量iを計算するステップS3と、
実験室の回転ハブに、複数回のRDEテスト曲線に追従し、エアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行うステップS4と、
RDE回転ハブデータに対してショートセグメント分割を行い、セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度およびエアコンエネルギー消費量を計算し、異なるbin区間を分割し、エネルギー消費量分布MAPを得るステップS5と、
車両運転の最初300s作業条件特徴を計算し、当該特徴と異なる作業条件コールドスタート特徴の相互情報値を計算し、相互情報値の最大作業条件に対応するエアコンエネルギー消費量を車両コールドスタートエネルギー消費量f1とするステップS6と、
車両運転データに対してショートセグメント分割を行い、アイドリングセグメントと運動セグメントに分けるステップS7と、
車両運転段階の合計アイドリング時間tを計算し、低電力運転段階のアイドリングエアコンエネルギー消費量はf2=i*tであるステップS8と、
運動セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度を計算し、エネルギー消費量分布図に基づき、各運動セグメントのエアコンエネルギー消費量を計算し、累積加算を行って全ての運動セグメントのエアコンエネルギー消費量f3を得るステップS9と、
ステップS3を結合し、環境温度と標準温度差値に基づいて温度補正係数kを得るステップS10と、
ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS10を結合して車両エアコンのエネルギー消費量式を得るステップS11とを含む
ことを特徴とする作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法。
【請求項2】
ステップS2における前記作業条件特徴はそれぞれ平均速度、アイドリング割合、平均加速度および平均減速度を含む
請求項1に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法。
【請求項3】
ステップS11における前記車両エアコンのエネルギー消費量式はF=k(f1+f2+f3)である
請求項1に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法。
【請求項4】
ステップS7における前記ショートセグメント分割は、
車両の一回の停車開始から次の起動開始までの運動をアイドリングセグメントとして定義するステップA1と、
車両の一回の起動から次の停車までの運動をショートストロークセグメントとして定義するステップA2とを含む
請求項1に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法を実行する予測装置であって、
電源モジュールにいずれも電気的に接続されたOBDモジュール、GPSモジュール、データ記憶モジュール、ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、bin計算および比較モジュール、温度受信モジュール、温度補正モジュールおよびエアコンエネルギー消費量計算モジュールを含み、前記OBDモジュール、GPSモジュールはいずれもデータ記憶モジュールの入力端に信号で接続され、データ記憶モジュールの出力端は順次ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、bin計算および比較モジュールに信号で接続され、bin計算および比較モジュールの出力端はエアコンエネルギー消費量計算モジュールに信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールに2つの入力端が設けられ、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端1はbin計算および比較モジュールの出力端に信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端2は温度補正モジュールの出力端に信号で接続され、温度補正モジュールの入力端は温度受信モジュールの出力端に信号で接続される
ことを特徴とする予測装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通輸送の分野に属し、特に作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2019年に我が国の原油の外部依存度は70.8%に上昇し、そのうち自動車の燃料消費量は石油全体の消費の約70%以上を占める。化石エネルギーを節約し、自動車排ガスの排出を削減することは、自動車業界が直面して解決しなければならない問題である。エアコンはユーザの実際のエネルギー消費量に影響を与える重要な要素である。従来の乗用車の場合、夏にエアコンを起動すると、エネルギー消費量の上昇が顕著であり、エネルギー消費量が平均的に30%程度増加する。純電動乗用車の場合、冬にエアコンを起動すると、エネルギー消費量が平均的に40%以上増加する。
【0003】
エアコンの車両全体のエネルギー消費量に対する影響を反映し、かつエアコンの省エネルギー技術の開発および応用を促進するために、米国および欧州はいずれもターゲット的なエネルギー消費量法規を実施する。米国では2008年からエネルギー消費量テスト五条件法にSC03エアコンサイクルを導入し、2013年からさらにAC17サイクルテストを導入しかつ省エネルギーエアコンインセンティブ法規を実施する。欧州でも、エアコンの使用時のエネルギー消費量をテストするために、同様のMACTP(Mobile Air Conditioning Test Procedure)サイクルを提案する。中国は2017年1月に「乗用車サイクル外技術/装置省エネルギー効果評価方法第3の部分カーエアコン」国家基準意見募集稿を起草した。
【0004】
本発明の特徴は、車両の実際の走行条件データ、回転ハブテストデータを利用し、かつ自動車エアコンの複数の影響要因を総合的に考慮し、作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置を確立することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明の目的は、従来技術における車両エアコンのエネルギー消費量が外部環境温度、エアコン設定温度、コールドスタート、車両走行作業条件などの多くの要因に影響され、実際の走行プロセスにおけるエアコンエネルギー消費量を評価する方法に欠け、省エネルギー排出削減政策の実施、企業技術の進歩、およびユーザの車両使用コストの削減に不利であることに対処するために、作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は以下のように実現される。
【0007】
作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法は、
車両の実際の道路走行データを収集するステップS1と、
【0008】
30℃の環境温度でJC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75作業条件のコールドスタートでエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行い、かつコールドスタート段階の作業条件特徴パラメータ値を計算するステップS2と、
【0009】
20℃~40℃の間、5℃おきにCLTCエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストを行い、異なる温度でのエアコンのエネルギー消費量補正係数k、アイドリングエアコンの瞬時エネルギー消費量iを計算するステップS3と、
実験室の回転ハブに、複数回のRDEテスト曲線に追従し、エアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行うステップS4と、
【0010】
RDE回転ハブデータに対してショートセグメント分割を行い、セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度およびエアコンエネルギー消費量を計算し、異なるエネルギー消費量bin区間を分割し、エネルギー消費量分布MAPを得るステップS5と、
【0011】
車両運転の最初300s作業条件特徴を計算し、当該特徴と異なる作業条件コールドスタート特徴の相互情報値を計算し、相互情報値の最大作業条件に対応するエアコンエネルギー消費量を車両コールドスタートエネルギー消費量f1とするステップS6と、
車両運転データに対してショートセグメント分割を行い、アイドリングセグメントと運動セグメントに分けるステップS7と、
車両運転段階の合計アイドリング時間tを計算し、低電力運転段階のアイドリングエアコンエネルギー消費量はf2=i*tであるステップS8と、
【0012】
運動セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度を計算し、エネルギー消費量分布MAPに基づき、各運動セグメントのエアコンエネルギー消費量を計算し、累積加算を行って全ての運動セグメントのエアコンエネルギー消費量f3を得るステップS9と、
ステップS3を結合し、環境温度と標準温度差値に基づいて温度補正係数kを得るステップS10と、
ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS10を結合して車両エアコンのエネルギー消費量式を得るステップS11とを含む。
【0013】
さらに、ステップS2における前記作業条件特徴はそれぞれ平均速度、アイドリング割合、平均加速度および平均減速度を含む。
【0014】
さらに、ステップS11における前記車両エアコンのエネルギー消費量式はF=k(f1+f2+f3)である。
【0015】
さらに、ステップS7における前記ショートセグメント分割は、
車両の一回の停車開始から次の起動開始までの運動をアイドリングセグメントとして定義するステップA1と、
車両の一回の起動から次の停車までの運動をショートストロークセグメントとして定義するステップA2とを含む。
【0016】
従来技術に対し、本発明に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量予測方法は以下の利点を有し、
【0017】
(1)本発明に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法は、設計が合理的であり、本発明の特徴は、実際の道路収集の従来方法の代わりに、実際のユーザの運転中に発生した遠隔伝送データを基礎とし、データカバー範囲、収集周期、収集コストの面でいずれも顕著な優位性があり、エアコンのエネルギー消費量に対する環境温度、コールドスタート、運転状況の影響を考慮して、一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法を確立することである。当該方法はエアコンエネルギー消費量を比較的正確に予測することができ、省エネルギー運転と企業製品の最適化設計および政府監視に支持を提供する。
【0018】
本発明の他の目的は、従来技術における車両エアコンのエネルギー消費量が外部環境温度、エアコン設定温度、コールドスタート、車両走行作業条件などの多くの要因に影響され、実際の走行プロセスにおけるエアコンエネルギー消費量を評価する装置に欠け、省エネルギー排出削減政策の実施、企業技術の進歩、およびユーザの車両使用コストの削減に不利であることに対処するために、作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測装置を提供することである。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の技術的解決手段は以下のように実現される。
【0020】
作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測装置は、電源モジュールにいずれも電気的に接続されたOBDモジュール、GPSモジュール、データ記憶モジュール、ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、bin計算および比較モジュール、温度受信モジュール、温度補正モジュールおよびエアコンエネルギー消費量計算モジュールを含み、前記OBDモジュール、GPSモジュールはいずれもデータ記憶モジュールの入力端に信号で接続され、データ記憶モジュールの出力端は順次ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、bin計算および比較モジュールに信号で接続され、bin計算および比較モジュールの出力端はエアコンエネルギー消費量計算モジュールに信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールに2つの入力端が設けられ、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端1はbin計算および比較モジュールの出力端に信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端2は温度補正モジュールの出力端に信号で接続され、温度補正モジュールの入力端は温度受信モジュールの出力端に信号で接続される。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に対し、本発明に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測装置は、
【0022】
(1)本発明に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測装置は設計が合理的で、本発明はより正確で、作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法の予測装置を提供する。当該装置はGPSモジュール、OBDモジュール、温度受信モジュール作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、ショートストローク分割モジュール、bin計算および比較モジュール、温度補正モジュール、エネルギー消費量計算モジュールを含み、実際の道路データをドラムに移行してテストを行い、テスト精度を保証すると同時に、テストコストを削減し、かつ本予測装置は操作しやすく、経済的で実用的であり、普及しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置のエアコンエネルギー消費量を予測するフローチャートである。
図2】本発明の実施例に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置の機器構造概略図である。
図3】本発明の実施例に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置のエアコンコールドスタートのエネルギー消費量の概略図である。
図4】本発明の実施例に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置の作業条件のエアコンのエネルギー消費量の概略図である。
図5】本発明の実施例に記載の作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法および予測装置のショートストローク分割の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一部を形成する添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の例示的な実施例およびそれらの説明は、本発明を説明するために使用され、本発明に対する不当な制限を構成しない。
なお、矛盾がない場合、本発明の実施例および実施例の特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0025】
本発明の説明において、なお、用語「中央」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「内側」、「外側」などで示される向きまたは位置関係は、図面に示す向きまたは位置関係に基づくものであり、本発明を説明し、説明を簡略化するためのものであり、装置または要素は特定の向きを持たなければならず、特定の向きで構築および操作されなければならないように示したり暗示したりするのではなく、したがって本発明の限定として理解することはできない。また、「第1」および「第2」という用語は、説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を示すかまたは暗示する、または示された技術的特徴の数を暗黙的に示すと理解できない。そのため、「第1」および「第2」で定義された特徴は、当該特徴の1つ以上が明示的または暗黙的に含んでもよい。なお、本発明の説明において、「複数」とは、特に明記しない限り、2つ以上を意味する。
【0026】
本発明の説明において、なお、特に明記および限定されない限り、用語「取り付け」、「連結」および「接続」は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続または一体接続であってもよく、機械的接続であってもよく、または電気的接続であってもよく、直接連結であってもよく、仲介者を介して間接的に連結されてもよく、2つの部材内部の連通であってもよい。当業者にとって、本発明における上記の用語の特定の意味は、特定の状況に応じて理解することができる。
【0027】
以下、図面を参照して実施例と組み合わせて本発明について詳細に説明する。
【0028】
(名詞解釈)
JC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75とは、異なるタイプの自動車サイクルテスト作業条件の時間-車速データである。
【0029】
bin:ヒストグラムのbinの意味:色ヒストグラムの計算には、色空間をいくつかの小さな色区間、即ちヒストグラムのbinに分割する必要があり、色の小区間ごとの画素を計算することで色ヒストグラムが得られ、binが多いほど、ヒストグラムの色に対する分解能は強くなるが、コンピュータの負荷が増大する。即ち(上図の10個の縦棒領域に分割され、各縦棒領域は1つのbinと呼ばれる)。
【0030】
(2)簡単に言えば、ヒストグラムは、データを統計し、統計値を一連の事前に定義されたbinにまとめたものである。binの値は、勾配、方向、色、又は任意の他の特徴などのデータから計算された特徴の統計値である。いずれにしても、ヒストグラムは、データ分布の統計的プロットとして得られる。ヒストグラムは、実際には画像の特徴を表すのに便利な手段である。
MAP:マップ。
RDEとは、実際の道路排出テストである。
【0031】
図1図5に示すように、作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法は、
車両の実際の道路走行データを収集するステップS1と、
【0032】
ステップS2であって、30℃の環境温度でJC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75作業条件のコールドスタートでエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行い、かつコールドスタート段階の作業条件特徴パラメータ値を計算し、ステップS2における前記作業条件特徴はそれぞれ平均速度、アイドリング割合、平均加速度および平均減速度を含み、具体的な実施例において、特定の車種について、30℃の環境温度でJC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75の最初300秒のコールドスタートでエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行い、JC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75は、いずれも自動車サイクルテスト作業条件であり、かつコールドスタート段階の平均速度、アイドリング割合、平均加速度、平均減速度およびエアコンエネルギー消費量(エアコンのオン・オフのエネルギー消費量差)を計算するステップS2と、
【0033】
20℃~40℃の間、5℃おきにCLTCエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストを行い、異なる温度でのエアコンのエネルギー消費量補正係数k、アイドリングエアコンの瞬時エネルギー消費量iを計算するステップS3と、
実験室の回転ハブに、複数回のRDEテスト曲線に追従し、エアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行うステップS4と、
【0034】
RDE回転ハブデータに対してショートセグメント分割を行い、セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度およびエアコンエネルギー消費量を計算し、異なるbin区間を分割し、エネルギー消費量分布MAPを得るステップS5と、
【0035】
車両運転の最初300s作業条件特徴を計算し、当該特徴と異なる作業条件コールドスタート特徴の相互情報値を計算し、相互情報値の最大作業条件に対応するエアコンエネルギー消費量を車両コールドスタートエネルギー消費量f1とするステップS6と、
車両運転データに対してショートセグメント分割を行い、アイドリングセグメントと運動セグメントに分けるステップS7と、
車両運転段階の合計アイドリング時間tを計算し、低電力運転段階のアイドリングエアコンエネルギー消費量はf2=i*tであるステップS8と、
【0036】
運動セグメントの時間、平均速度、相対的な正加速度を計算し、エネルギー消費量分布図に基づき、各運動セグメントのエアコンエネルギー消費量を計算し、累積加算を行って全ての運動セグメントのエアコンエネルギー消費量f3を得るステップS9と、
ステップS3を結合し、現在の環境温度と標準温度差値に基づいて温度補正係数kを得るステップS10と、
ステップS6、ステップS8、ステップS9、ステップS10を結合して車両エアコンのエネルギー消費量式を得るステップS11とを含む。
【0037】
ステップS11における前記車両エアコンのエネルギー消費量式はF=k(f1+f2+f3)である。本発明の特徴は、実際の道路収集の従来方法の代わりに、実際のユーザの運転中に発生した遠隔伝送データを基礎とし、データカバー範囲、収集周期、収集コストの面でいずれも顕著な優位性があり、実際の道路データをドラムに移行してテストを行い、テスト精度を保証すると同時に、テストコストを削減し、エアコンのエネルギー消費量に対する環境温度、コールドスタート、運転状況の影響を考慮して、一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法を確立することである。当該方法はエアコンエネルギー消費量を比較的正確に予測することができ、省エネルギー運転と企業製品の最適化設計および政府監視に支持を提供する。
【0038】
ステップS7における前記ショートセグメント分割は、
車両の一回の停車開始から次の起動開始までの運動をアイドリングセグメントとして定義するステップA1と、
車両の一回の起動から次の停車までの運動をショートストロークセグメントとして定義する(図5における運動セグメント)ステップA2とを含む。
【0039】
図1はエアコンエネルギー消費量の予測フローであり、まず車両温度センサによって現在の環境温度情報を取得し、計算によって現在作業条件の平均速度、平均加速度、平均アイドリング時間を取得して現在作業条件の特徴情報を取得し、ステップ1、ステップ5を結合し、現在作業条件のコールドスタートエネルギー消費量f1を得、ステップ2、ステップ6、ステップ7を結合してアイドリングセグメントエアコンエネルギー消費量f2を得、ステップ8を結合して現在作業条件の運動セグメントのエアコンエネルギー消費量f3を得る。最後にステップ3で得られた温度補正係数kを結合し、f1、f2、f3を重み付けして現在の作業条件でのエアコンの総合エネルギー消費量を得る。
【0040】
作業条件識別に基づく一車用エアコンのエネルギー消費量の予測装置は、電源モジュールにいずれも電気的に接続されたOBDモジュール、GPSモジュール、データ記憶モジュール、ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール(事前にモデルトレーニングを完了する)、bin計算および比較モジュール、温度受信モジュール(温度センサを装着する)、温度補正モジュール(事前にmap図を入力する)およびエアコンエネルギー消費量計算モジュールを含み、前記OBDモジュール、GPSモジュールはいずれもデータ記憶モジュールの入力端に信号で接続され、データ記憶モジュールの出力端は順次ショートストローク分割モジュール、作業条件特徴計算モジュール、作業条件識別モジュール、bin計算および比較モジュールに信号で接続され、bin計算および比較モジュール(事前にmap図を入力する)の出力端はエアコンエネルギー消費量計算モジュールに信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールに2つの入力端が設けられ、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端1はbin計算および比較モジュールの出力端に信号で接続され、エアコンエネルギー消費量計算モジュールの入力端2は温度補正モジュールの出力端に信号で接続され、温度補正モジュールの入力端は温度受信モジュールの出力端に信号で接続される。本実施例において、図2に示すように、電源モジュールは車載シガレットライタから電力を取り、機器が正常に動作することを保証するために用いられ、OBDモジュールは車両全体のCANバスと通信し、CAN信号を取得するために用いられ、GPSモジュールは外付けGPSを接続し、車速、緯度経度、勾配情報を取得するために用いられ、データ記憶モジュールは機器がOBDおよびGPSモジュールから読み取ったデータを記憶するために用いられ、ショートストローク分割モジュールは読み取ったデータを前処理し、無効データおよび異常値を取り除き、続いてデータをショートストロークセグメントに分割するために用いられ、作業条件特徴計算モジュールはショートストロークセグメントの特徴パラメータを計算するために用いられ、作業条件識別モジュールは作業条件特徴計算モジュールの計算結果と標準作業条件特徴を比較し、それによりショートストロークにより近い標準作業条件を見つけるために用いられ、bin計算、比較モジュールはショートストロークアイドリング、運動セグメント、コールドスタート燃料消費量を計算するために用いられ、温度受信モジュールは現在の環境温度値を取得するために用いられ、温度補正モジュールは温度補正係数を計算するために用いられ、エアコンエネルギー消費量計算モジュールはエアコンエネルギー消費量を計算するために用いられる。
(実施例1)
【0041】
以下は図面を参照しながら、発明方法についてさらに詳細に説明し、図2は一車用エアコンのエネルギー消費量の予測方法の全体フローである。
【0042】
図3は5種類の典型的な作業条件(30℃)でのコールドスタートエアコンのエネルギー消費量である。現在の作業条件特徴と5種類の典型的な作業条件の作業条件特徴を比較し、現在の作業条件特徴に最も近い典型的な作業条件のコールドスタートエアコンエネルギー消費量を選択して現在の作業条件でのコールドスタートエアコンエネルギー消費量値とする。
【0043】
図4は異なる温度でのCLTC作業条件でのエアコンのエネルギー消費量結果であり、異なる温度での温度補正係数kおよびCLTC作業条件でのエアコンのアイドリング瞬時エネルギー消費量iを決定するために用いられる。
【0044】
(データ収集)
【0045】
テストは自律運転法を採用してある20台の純電動B級車の実際の運転データを収集し、収集時間は2020年5月1日から2020年11月30日までであり、積算走行距離は10.6万キロメートルである。テストシステムは車載データ収集端末(サンプリング周波数が20Hzである)およびデータ管理プラットフォームという2つの部分で構成される。車載データ収集端末は収集情報を統一されたデータプロトコルに基づいて符号化し、かつGPRSネットワークを介して作業条件データ管理プラットフォームにリアルタイムに送信する。エアコンエネルギー消費量の予測に用いられるパラメータはGPS車速を含む。
【0046】
(データ処理)
データをリサンプリングし、データ周波数を1Hzにする。車両走行データをショートストロークに切断し、切断規則は以下のとおりであり、
【0047】
車両は発進から目的地まで停車するが、道路交通状況に影響され、その間に複数回の発進、停車操作が行われる。車両が一回の停車開始から次の起動開始までの運動をアイドリングセグメントと定義し、車両が一回の起動から次の停車までの運動をショートストロークセグメント(運動セグメント)と定義する。このように車両は一回のストロークで様々なセグメントの組み合わせとみなすことができる。ショートストロークの概略図を図5に示す。
【0048】
(モデルパラメータの計算)
【0049】
特定の車種に対して、30℃の環境温度でJC08、NEDC、WLTC、CLTC、FTP75の最初300秒のコールドスタートでエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストをそれぞれ行い、かつコールドスタート段階のエアコンのエネルギー消費量f1を計算する。
【0050】
図3に示すように、20℃~40℃の間、5℃おきにCLTCエアコンのオン・オフのエネルギー消費量テストを行い、異なる温度でのエアコンのエネルギー消費量補正係数k、アイドリングエアコンの瞬時エネルギー消費量iを計算する。
【0051】
(エアコンエネルギー消費量予測)
【0052】
図4に示すように、現在の作業条件に基づき、当該作業条件と典型的な作業条件の相互情報値を計算し、計算によって現在の作業条件とNEDC作業条件の特徴がより合致することを得て、図3を参照し、当該車両のコールドスタートエネルギー消費量f1=2.19L/100kmを決定する。
【0053】
現在の環境温度(32℃)、現在の作業条件のアイドリングセグメント時間t、CLTC作業条件でのアイドリングエアコン瞬時エネルギー消費量iに基づき、現在のエアコンアイドリングエネルギー消費量f2=i*t=0.6L/100kmを得て、温度補正係数k=1.1である。
【0054】
現在の運動セグメントの運動時間、平均速度、相対的な正加速度に基づいてステップ4で得られたエネルギー消費量図を結合し、当該運動セグメントのエアコンエネルギー消費量f3=0.3L/100kmを計算する。
【0055】
現在のエアコンエネルギー消費量=1.1*(2.19+0.6+0.3)=3.4L/100kmである。
【0056】
上記は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではなく、本発明の精神と原則内で行われる任意の修正、同等の置換、および改善などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5