(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063246
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】電力コンバータのウォームアップ期間を決定するシステム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
F03D 17/00 20160101AFI20230427BHJP
F03D 80/80 20160101ALI20230427BHJP
F03D 7/04 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
F03D17/00
F03D80/80
F03D7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161310
(22)【出願日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21382955.9
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニー・ペロン
(72)【発明者】
【氏名】トーマ・ジャン・ピカール
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB02
3H178BB56
3H178CC25
3H178DD12X
3H178DD52X
3H178DD54X
3H178DD63X
3H178EE03
3H178EE24
(57)【要約】
【課題】 電力コンバータのウォームアップ期間を決定する
【解決手段】
本開示は、風力タービン(1)の電力コンバータ(20)のウォームアップ期間を決定する方法(300)に関する。方法(300)は、電力コンバータ(20)が非アクティブであった時間を示す第1のインジケータを決定するステップ(301)を含む。さらに、方法(300)は、第1のインジケータに基づいて少なくとも部分的にウォーミングアップする期間を決定する(302)ことを含む。電力コンバータアセンブリも開示される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン(1)の電力コンバータ(20)をウォームアップする期間を決定するための方法(300)であって、
電力コンバータ(20)が非アクティブであった時間を示す第1のインジケータを決定するステップ(301)と、
第1のインジケータに基づいて、少なくとも部分的にウォーミングアップする期間を決定するステップ(302)と、
を含む方法。
【請求項2】
第1のインジケータは、冷却システムが非アクティブであった時間に基づいて決定される、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項3】
風力タービンがグリッド停止期間にあり、第1のインジケータが、補助発電機がオンにされた時点と、風力タービンがグリッドに接続された時点との間の期間に基づいて決定される、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項4】
風力タービンがグリッド停止期間中であり、第1のインジケータが、グリッド停止開始のタイムスタンプとグリッド停止終了のタイムスタンプとを比較することによって決定される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項5】
電力コンバータの冷却媒体の温度の決定するステップ(503)と、
少なくとも部分的に冷却媒体温度に基づいてウォームアップ期間を決定するステップと、
をさらに含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項6】
ウォームアップ期間は、所定の冷却媒体温度閾値より高い冷却媒体温度についてはゼロである、請求項5に記載の方法(300)。
【請求項7】
露点を推定するステップと、
推定された露点と冷却媒体温度との差に基づいてウォームアップ期間を決定するステップと、
をさらに含む、請求項5または6に記載の方法(300)。
【請求項8】
ウォームアップ期間を示す第2のインジケータが、冷却媒体温度と推定された露点との間の差に基づいて決定され、ウォームアップ期間が第1のインジケータ又は第2のインジケータのいずれかに基づいて決定される、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項9】
ウォーミングアップ期間の第1の値は第1のインジケータに基づいており、ウォーミングアップ期間の第2の値は第2のインジケータに基づいており、ウォーミングアップ期間は第1の値及び第2の値のうち最も小さいものとして選択される(506)、請求項8に記載の方法(300)。
【請求項10】
ウォームアップ期間の第1の値は、第1のインジケータが最小閾値を下回るときにはゼロであり、温度差が温度差閾値より大きいときには、ウォームアップ期間の第2の値はゼロである、請求項9に記載の方法(300)。
【請求項11】
ウォームアップ期間の第2の値は、冷却媒体温度と露点との間の温度差の関数として線形的に減少する、請求項9または10に記載の方法(300)。
【請求項12】
温度及び湿度が、電力コンバータ(20)内の複数の位置で測定され、ウォームアップ期間の第2の値の決定が、冷却媒体温度と露点との間の最小の差に基づいて行われる、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項13】
決定されたウォーミングアップ期間の間、暖流体を電力コンバータ(20)に通過させることによって、風力タービン(1)の電力コンバータ(20)をウォーミングアップするステップをさらに含む、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法(300)。
【請求項14】
ウォームアップの期間を決定するように構成された電力コンバータアセンブリであって、
電力コンバータが非アクティブである時間の第1のインジケータを決定するように構成されたプロセッサを含み、
プロセッサは、第1のインジケータに基づいて少なくとも部分的にウォームアップする期間を決定するようにさらに構成される、電力コンバータ。
【請求項15】
電力コンバータの冷却媒体の温度を測定するように構成された温度センサと、
空気の温度を測定するように構成された温度センサと、
空気の湿度を測定するために構成された湿度センサと、
をさらに含み、
プロセッサはさらに、測定された空気の温度と湿度に基づいて露点を推定し、冷却媒体の温度と露点との間の温度差にも基づいてウォームアップ期間を決定するように構成される、請求項14に記載の電力コンバータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風力タービンの電力コンバータのウォームアップ期間を決定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、風力タービンは、一般に電力グリッド(電力網)に電力を供給するために使用されている。この種の風力タービンは、一般に、タワーと、タワー上に配置されたロータとを含む。ロータは、典型的には、ハブ及び複数のブレードを含み、ブレードに対する風の影響下で回転するように設定される。この回転は、通常、ロータ軸を介して発電機に直接(「直接駆動」)又はギアボックスを使用して伝達されるトルクを発生する。このようにして、発電機は電力グリッドに供給することができる電気を発生させる。さらに、風力タービンは、発電機によって発電された電力を変換して電力グリッドに適合するようにする電力コンバータ(電力変換器)を含む。
【0003】
風力タービンが何らかの理由で停止した場合、例えば、電源の故障、系統の乱れ、又は保守を行うために、風力タービン発電機や風力タービン電力コンバータなどの風力タービン部品の湿度が制御されず、これらの部品に結露が生じる可能性がある。これは、風力タービンが洋上風力タービンである場合に特に関連し得る。
【0004】
コンバータ内の結露により、トラッキング面(tracking surface)が接地することがあり、発電機を再起動する前にコンバータの電子機器が乾燥していないと、地絡を引き起こす可能性がある。同様に、完全な動作電圧及び電流は、これらが特定の温度及び湿度で動作する場合、コンバータ内のパワー半導体に損傷を与える可能性がある。さらに、断熱層又は除湿装置による湿度吸収は、これらが正常に動作している場合、急速な蒸気膨張のために吸収材を剥離させる可能性があり、これは、長期的に断熱材を劣化させる可能性がある。また、吸水によって絶縁体の誘電特性が著しく低下することがある。絶縁体を乾燥させずに電力コンバータを再初期化すると、絶縁破壊の原因となる。
【0005】
したがって、電力コンバータを安全に再起動するためには、まず、電力コンバータを加熱して乾燥させる必要がある。コンバータの状態を検証するためのいくつかの方法があり、例えば、風力タービンの再始動に電力コンバータが適合するかどうかをチェックするために手動検査を実施する。これは厄介な作業であり、さらに、手動検査は、アクセスの制限により、洋上風力タービンではかなり困難である。
【0006】
このような場合、コンバータが乾燥していること、及び風力タービンが安全に再起動されることを確実にするための可能な方法は、ある時間の間、温流体をコンバータに通すようにポンプで送り出すことである。このような期間は、例えば、8時間から24時間の間であり得る。風力タービンはウォームアップ期間(暖機期間)が終了するまで運転を開始しない。ウォームアップ期間が低すぎると、コンバータの再起動が安全でない可能性がある。ウォームアップ期間が長すぎると、風力タービンの年間エネルギー収量が過度に減少する可能性がある。本開示の例は、コンバータの適切なウォームアップ期間を決定するための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、風力タービンの電力コンバータをウォームアップする期間を決定する方法が開示される。本方法は、電力コンバータが非アクティブであった時間を示す第1のインジケータ(第1の指標)を決定するステップを含む。さらに、この方法は、第1のインジケータに基づいて少なくとも部分的にウォーミングアップする期間を決定することも含む。
【0008】
この第1の態様によれば、この方法は、更なる測定を行う必要なしに、電力力コンバータが非アクティブであった期間に応じてウォームアップのための適切な期間を決定することを可能にする。これは、温度又は湿度センサに依存しない、かなり単純で堅牢な方法をもたらす。さらに、この方法は、複雑で時間のかかる目視検査を行うことなく、ウォーミングアップのための期間を確立することができる。
【0009】
別の態様では、電力コンバータアセンブリ(電力コンバータ組立体)が開示される。電力コンバータアセンブリは、ウォームアップの期間を決定するように構成される。電力コンバータは、電力コンバータが非アクティブであった時間の第1のインジケータを決定するように構成されたプロセッサを含む。プロセッサはまた、少なくとも部分的に第1のインジケータに基づいてウォーミングアップの期間を決定するように構成される。
【0010】
この追加の態様によれば、電力コンバータアセンブリは、決定するのが容易で、堅牢(ロバスト)であり、周辺のハードウェアに依存しないパラメータからウォームアップ期間を決定することができる。これはまた、電力コンバータアセンブリの組立時間を簡素化し、潜在的な誤動作のリスクを低減する。
【0011】
本開示を通して、「電力コンバータ」及び「コンバータ」という用語は、交換可能に使用される。さらに、ウォームアップのための期間(又は暖機期間)は、一連の加熱及び/又は乾燥プロセスであり得ることが理解され得る。したがって、ウォームアップ期間は、所定の加熱プロセスによる固有の期間、又は異なる加熱及び乾燥プロセスによる複数の期間を含むことができる。
【0012】
本開示の非限定的な例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施例による風力タービンの斜視図を示す。
【
図2】一実施例による風力タービンのナセルの詳細な内部図を示す。
【
図3】電力コンバータウォームアップする期間の持続時間を決定するための例示的方法の流れ図である。
【
図4】一実施例による露点温度差に対する冷却媒体の関数としてのウォームアップ期間の第2の値を示す。
【
図5】電力コンバータをウォームアップする期間の持続時間を決定する別の例示的方法の流れ図である。
【0014】
これらの図では、同じ構成要素を示すために同じ参照符号が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、風力タービン1の一例の斜視図を示す。図示するように、風力タービン1は、支持面3から延びるタワー2と、タワー2に取り付けられたナセル4と、ナセル4に結合されたロータ5とを含む。ロータ5は、回転可能なハブ6と、ハブ6に結合され、ハブ6から外側に延びる少なくとも1つのロータブレード7とを含む。例えば、図示の例では、ロータ5は、3つのロータブレード7を含む。しかしながら、別の実施形態では、ロータ5は、3つ以上又は3つ未満のロータブレード7を含むことができる。各ロータブレード7は、風からの運動エネルギーが利用可能な機械的エネルギーに伝達され、その後、電気エネルギーに伝達されることを可能にするように、ロータ5の回転を容易にするためにハブ6から離間されてもよい。例えば、ハブ6は、ナセル4内に配置された又はナセルの一部を形成する発電機10(
図2)に回転可能に結合されて、電気エネルギーを発生させることができる。この例では、風力タービンは陸上風力タービンであり、他の例では、洋上風力タービンであってもよい。
【0016】
図2は、直接駆動風力タービン1のナセル4の一例の簡略化された内部図を示す。図に示すように、発電機10は、ナセル4内に配置してもよいし、ナセル4とロータ5との間に配置してもよい。一般に、発電機10は、風力タービン1のロータ5に結合されて、ロータ5によって生成される回転エネルギーから電力を生成することができる。例えば、風力タービンのロータ5は、それと共に回転する発電機10のロータ12に結合されたハブ6を含むことができる。従って、ハブ6の回転は、発電機10のロータ12を駆動することができる。
【0017】
図2では、風力タービンロータ5は、2つのロータベアリング8を介して支持フレーム9に回転可能に取り付けられてもよい。他の例では、支持フレーム9はハブ6を貫通せず、ロータは、一般に主軸受と呼ばれる単一のロータベアリング8によって支持される。
【0018】
発電機10は、ロータ12及びステータ13を含むことができる。ステータは、支持フレーム9に強固に取り付けられてもよい。ロータは、ロータがステータに対して軸の周りに回転するように、発電機ベアリング14を介してステータに回転可能に取り付けられてもよい。
【0019】
発電機10は、コンバータ20に電気的に結合されてもよい。風力タービンコンバータ20は、発電機の出力電力を電力グリッドの要件に適合させることができる。この例では、コンバータ20は、ナセル4の内部に配置されるが、他の例では、風力タービンの他の場所、例えば、上部タワー部分又は下部タワー部分に配置されてもよい。大規模な洋上風力タービンでは、コンバータは、例えば、2kV~5kVの公称電圧を有する中電圧コンバータであってもよく、電気損失及び高価なケーブルを低減する。
【0020】
図3は、風力タービンの電力コンバータをウォームアップする期間を決定するための例示的な方法の流れ図である。方法300は、ブロック301において、電力コンバータが非アクティブであった時間を示す第1のインジケータを決定するステップを含む。さらに、方法300は、ブロック302において、第1のインジケータに基づいて少なくとも部分的にウォーミングアップする期間を決定することを含む。風力タービンの電力コンバータのウォームアップは、決定されたウォームアップ期間の間、温水等の暖液体(warm liquid)を暖液体導管を介して電力コンバータに通過させることによって行われてもよい。
【0021】
いくつかの例では、第1のインジケータの決定は、冷却ポンプが非アクティブ(不活性)であった時間(停止していた時間)に基づいてもよい。従って、電力コンバータが非アクティブであっても、電力コンバータの温度(及び湿度)を制御する冷却ポンプ又は冷却システムが連続運転中である場合には、ウォームアップ期間を短縮又は解消することができる。冷却ポンプは補助電源に接続することができるので、電力コンバータの運転休止は必ずしも冷却ポンプが非アクティブであることを意味しない。特定のグリッドロス状況では、冷却ポンプは電力コンバータと共に運転休止であってもよいが、補助電源が接続されると電力を回復することがある。したがって、他の実施例では、第1のインジケータは、補助発電機が起動された時点と、風力タービンが電力グリッドに接続された時点との間の期間に基づいて決定されてもよい。さらなる例において、第1のインジケータは、電力グリッド停止開始のタイムスタンプを電力グリッド停止終了のタイムスタンプと比較することによって決定されてもよい。上記の比較は、ネットワーク障害検出器のような専用装置によって提供されてもよいし、電力コンバータアセンブリのプロセッサのような他の電子部品によって行われてもよい。
【0022】
また、ウォームアップ期間の第1の値(V1)は、第1のインジケータに基づいてもよい。さらに、第1の値(V1)は、第1のインジケータに基づいて複数の離散値(discrete value)から選択され得る。より正確には、ウォームアップ期間の第1の値(V1)は、第1のインジケータが最小しきい値を下回っているとき、すなわち、電力コンバータが非アクティブであった時間の第1のインジケータが60分を下回っているときに、0であってもよい。45分、75分、又はより短い時間、より大きい時間、及び中間時間などの最小しきい値の他の大きさも実装することができる。さらに、第1のインジケータは、例えば、冷却ポンプが非アクティブであった時間など、開示された前述の実施例のいずれかに基づくことができる。
【0023】
【0024】
同様に、ウォームアップ期間の第1のゼロでない離散値は、第1のインジケータが最小閾値を超えたときに決定される。実施例では、表1に示すように、電力コンバータが非アクティブであった時間を示す第1のインジケータが60分(1時間)を超える場合、第1のゼロでない離散値は2時間であってもよい。さらに、第1のインジケータに関連するウォームアップ期間のゼロ以外の複数の離散値は、第1のインジケータにおける増分と共に変化し得る。したがって、ウォームアップ期間の第1の値(V1)は、1時間から4時間の間のインジケータ値については2時間、4時間から8時間の間のインジケータ値については4時間、8時間から16時間の間のインジケータ値については8時間とすることができる。さらに、第1のインジケータに関連するウォーミングアップのための期間の複数の離散値は、24時間の最大の第1の値を含むことができる。最大ウォームアップ期間は、24時間を超える第1のインジケータの大きさ、すなわち、冷却ポンプが24時間を超えて非アクティブであった期間、又はそれ以外の期間に関連することができる。他の実施例では、ウォームアップ期間の期間は、第1のインジケータにおける一定の増分、すなわち第1のインジケータにおける3時間ごとの増分で2倍にすることができる。
【0025】
さらに、方法300は、電力コンバータの冷却媒体(Tc)の温度を決定することをさらに含むことができる。冷却媒体(Tc)の温度は、冷却媒体(冷媒:冷却剤)自体の温度を測定することによって、又は冷却媒体導管の温度などの他のパラメータに基づいて温度を推定することによって決定することができる。方法300はまた、少なくとも部分的に冷却媒体温度に基づいてウォームアップ期間を決定することを含んでもよい。したがって、ウォームアップ期間の値は、決定された冷却媒体温度(Tc)の絶対値に基づいてもよい。さらに、方法300は、露点(Dp)を推定し、冷却媒体温度(Tc)と推定露点(Dp)との差に基づいて少なくとも部分的にウォームアップ期間を決定することを含んでもよい。
【0026】
いくつかの例では、露点(Dp)は、電力コンバータ内の空気温度及び湿度を測定することによって決定され得る。これは、電力コンバータの内部又は周囲で行うことができる。さらなる例では、ウォームアップ期間は、所定の冷却媒体温度閾値(Tth)よりも高い冷却媒体温度(Tc)については0であってもよい。所定の冷却媒体温度閾値(Tth)は、約25°Cであってもよいが、他の温度は、大気条件又は電力コンバータ内の電子部品の性質及び配置に応じて選択されてもよい。
【0027】
さらに、方法300では、ウォームアップ期間を示す第2のインジケータ(第2の指標)が、冷却媒体温度(Tc)と推定露点(Dp)との差に基づいて決定される。また、ウォームアップ期間は、第1のインジケータ又は第2のインジケータに基づいて選択的に設定することができる。
【0028】
また、ウォームアップ期間の第1の値(V1)は第1のインジケータに基づいていてもよく、ウォームアップ期間の第2の値(V2)は第2のインジケータに基づいていてもよい。このように、ウォームアップ期間は、第1及び第2の値のうち最も低い値(V1、V2)として選択することができる。
【0029】
また、ウォームアップ期間の第2の値(V2)は、冷却媒体温度(Tc)と露点(Dp)との温度差の関数として直線的に減少してもよい。
【0030】
図4は、第2の値(V2)と前述の温度差との間に存在し得る線形関係の例を示す。したがって、冷却媒体温度(Tc)と露点(Dp)との差が6度より大きい場合、ウォームアップ期間の第2の値(V2)は0であってもよい。6度の差は、例示的な温度閾値を表すが、より大きい又はより小さい温度差を温度閾値として選択することができる。一方、冷却水温(Tc)と露点(Dp)との差が0に近い場合、ウォームアップ期間の第2の値(V2)は6時間であってもよい。所定の冷却媒体温度閾値(Tth)に関連して論じたように、電力コンバータの構成要素の特定の仕様は、温度差とウォームアップ期間との間の異なる関係を必要とする場合がある。したがって、
図4に示される関係は、上方又は下方にシフトされてもよく、異なる傾きを有してもよく、又は1次多項式とは異なる関数によって定義されてもよい。
【0031】
さらに、いくつかの例では、温度及び湿度は、電力コンバータの内部又は周囲の複数の位置で測定されてもよい。この場合、ウォームアップ期間の第2の値(V2)の決定は、冷却媒体温度(Tc)と露点(Dp)との間の最小差に基づいてもよい。
【0032】
図5は、システム停止期間の後に風力タービンの電力コンバータのウォームアップ期間を決定する方法500の別の例の流れ図である。特に、
図5は、方法500が、ブロック501において、電力コンバータが非アクティブであった時間を示す第1のインジケータを決定するステップを含むことを示す。さらに、方法500は、ブロック502において、少なくとも部分的に第1のインジケータに基づいてウォームアップ期間の第1の値(V1)を決定するステップも含む。さらに、この方法は、ブロック503において、電力コンバータの冷却媒体(Tc)の温度を決定するステップも含む。さらに、方法500は、ブロック504において露点(Dp)を推定するステップと、ブロック505において、冷却媒体温度(Tc)と露点(Dp)との差に基づいてウォームアップ期間の第2の値(V2)を決定するステップとを含む。次に、ブロック506で、ウォームアップ期間の期間が、ウォームアップ期間の第1(V1)及び第2(V2)の値の最小値として選択される。
【0033】
いくつかの例では、方法500は、冷却媒体温度(Tc)が所定の冷却媒体温度閾値(Tth)を上回る場合に、ウォームアップ期間の第2の値(V2)にゼロ値を割り当てることを含むことができる。
【0034】
別の態様では、ウォームアップ期間の持続時間を決定するように構成された電力コンバータアセンブリが開示される。電力コンバータアセンブリは、電力コンバータが非アクティブであった時間を示す第1のインジケータ(301)を決定するように構成されたプロセッサを含む。さらに、プロセッサは、少なくとも部分的に第1のインジケータに基づいてウォームアップ期間を決定するように構成される。
【0035】
さらに、電力コンバータアセンブリは、電力コンバータの冷却媒体温度(Tc)を測定するように構成された温度センサと、電力コンバータの内部又は周囲の空気温度を測定するように構成された温度センサと、電力コンバータの内部又は周囲の空気湿度を測定するように構成された湿度センサとを含むことができる。これまでに開示されたセンサからの選択を代替的に含めることができる。さらに、プロセッサは、測定された空気温度及び湿度に基づいて露点(Dp)を推定し、冷却媒体温度(Tc)と露点(Dp)との差にも基づいて少なくとも部分的にウォームアップ期間を決定するように構成されてもよい。
【0036】
他の例では、ウォームアップ期間は、冷却媒体温度(Tc)の絶対値に基づいてもよい。また、プロセッサは、ウォームアップ期間の第1の値(V1)と第2の値(V2)との間の最小値としてウォームアップ期間を選択するように構成されてもよい。
【0037】
電力コンバータアセンブリは、開示された方法の実施例のいずれかに含まれるステップのいずれかを実行するように構成することができ、必要に応じて同じステップを実行する追加のデバイスを含むことができる。
【0038】
この記述された説明は、好ましい実施形態を含む本教示を開示するために、また、任意の装置又はシステムを製造及び使用すること、及び任意の組み込まれた方法を実施することを含む、当業者がそれを実施することを可能にするために、実施例を使用する。特許可能範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に生じる他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの言語と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字どおりの言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。記載された様々な実施形態からの局面、並びにそのような各局面に対する他の既知の等価物は、当業者の1人によって混合及び整合され、本出願の原理に従って追加の実施形態及び技術を構築することができる。図面に関連する参照符号が特許請求の範囲中に括弧書きされている場合は、それらはクレームの理解度を増加させることのみを意図したものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0039】
10:風力タービン 12:地面 14:支持システム 15:タワー 16:ナセル 18:ロータ 20:ハブ 22:ロータブレード 24:ブレード根元部分 26:荷重伝達領域 28:風向 30:ロータ軸 32:ピッチシステム 34:ピッチ軸 36:風力タービン制御装置 38:ヨー軸 40: プロセッサ 42:発電機 44:メインシャフト 46:ギアボックス 48:高速シャフト 50:カップリング 52:メインフレーム 54:デカップリング支持手段 56:ヨー駆動機構 58:気象測定システム 60:主前方支持軸受 62:後方支持軸受 64:駆動列 66:ピッチアセンブリ 68:ピッチ駆動システム 70:センサ 72:ピッチ軸受 74:ピッチ駆動モータ 76:ピッチ駆動ギアボックス 78:ピッチ駆動ピニオン 80:ピッチ制御システム 84:発電機 86:キャビティ 88:内面 90:トランス
【外国語明細書】