(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063253
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】蛍光X線による測定対象物の測定方法及び測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/223 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
G01N23/223
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022167235
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】10 2021 127 537.7
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ライプフリッツ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA04
2G001CA01
2G001FA03
2G001HA09
2G001KA11
2G001PA03
2G001PA11
2G001QA01
2G001SA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蛍光X線による測定装置の測定テーブルの測定対象物の測定方法および測定装置に関する。
【解決手段】少なくとも一つの測定対象物27が測定テーブル21に載置される。測定テーブルの測定対象物の領域のオーバービュー画像が、光学装置によって取得され、測定対象物の種類が、オーバービュー画像から、又は測定対象物に設けられるか又は測定テーブルに隣接して配置される識別子から、確定され、測定テーブルの測定対象物の位置及び/又は配置が、オーバービュー画像から確定される。データ処理装置に記憶された測定タスクが、検出された測定対象物に対して選択され、開始され、測定対象物の測定位置P1、P2、P3、P4、P5が、蛍光X線装置の測定点と位置合わせされ、少なくとも1つの測定値が確定される。測定対象物測定値とデータ処理装置に記憶された設定値とを比較し、良否判定結果(複数可)が出力される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光X線を用いて測定装置(11)の測定テーブル(21)の測定対象物(27)を測定する方法であって、
少なくとも一つの測定対象物(27)が前記測定テーブル(21)に載置され、
前記少なくとも1つの測定対象物(27)が載置されている前記測定テーブル(21)の少なくとも1つの領域のオーバービュー画像が、光学装置(33)によって取得され、
前記測定対象物(27)の種類が、オーバービュー画像から、又は前記少なくとも1つの測定対象物(27)に設けられるか、又は前記測定テーブル(21)に隣接して配置される、識別子(38)から、確定され、
前記測定テーブル(21)の前記少なくとも1つの測定対象物(27)の位置及び/又は配置が、前記オーバービュー画像から確定され、
データ処理装置(32)に記憶された測定タスクが、検出された前記少なくとも1つの測定対象物(27)に対して選択され、開始され、
前記少なくとも1つの測定対象物(27)の少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)が、蛍光X線装置(23)の測定点(26)と位置合わせされ、少なくとも1つの測定値が、前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)から確定され、
前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)の前記少なくとも1つの測定値と、前記データ処理装置(32)に記憶された設定値とを比較した値と、を比較し、前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)に応じた測定結果が出力される、方法。
【請求項2】
前記光学装置(33)によって前記測定テーブル(21)の全体のオーバービュー画像が取得されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定テーブル(21)に配置された、または前記測定対象物(27)に配置された前記識別子(38)が認識されると、前記識別子(38)が読み出され、前記識別子(38)に格納された前記測定タスクが、前記データ処理装置(32)から読み出され、制御装置(31)によって開始され、実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記測定の開始前に、前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)の許容範囲が、前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)に、前記測定タスクごとに割り当てられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定対象物(27)の位置及び/又は配置は、X´/Y´測定対象物座標系において確定され、前記X´/Y´測定対象物座標系は、X/Y測定テーブル座標系に変換されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記X´/Y´測定対象座標系を前記X/Y測定テーブル座標系に変換した後、前記少なくとも1つの測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)は、制御装置(31)によって、前記測定テーブル(21)のX方向及び/又はY方向でのトラバース移動によって制御され、前記測定点(26)と逐次的に位置合わせされることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)によって確定された前記測定結果が、前記測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)に割り当てられた良否表示と共に出力されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの測定対象物(27)と共に前記測定テーブル(21)の少なくとも1つの領域を含む、前記光学装置(33)によって確定される前記オーバービュー画像において、前記良否表示が、前記測定対象物(27)の前記少なくとも1つの測定点(P1、P2、P3、P4、P5)に割り当てられて出力されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
確定された前記測定値が、前記測定対象物(27)の関連する前記測定位置(P1、P2、P3、P4、P5)に追加的に表示されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
実行される前記測定タスクの検出または確定の後、前記測定タスクが開始される前に、実行される前記測定タスクの機能としての前記測定装置(11)の補正が開始され、実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ハウジング(12)の測定チャンバ(18)が、実行される前記測定タスクの開始時に開けられ、前記測定テーブル(21)に前記少なくとも1つの測定対象物(27)が載置された後、開始信号により前記測定タスクが開始され、前記ハウジング(12)の前記測定チャンバ(18)が閉じられ、前記測定タスクにしたがい前記測定が行われ、前記測定タスクが実行された後、前記ハウジング(12)の前記測定チャンバ(18)が開けられて前記少なくとも1つの測定対象物(27)を取り出すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ハウジング(12)の前記測定チャンバ(18)は、モータ(34)により回動、摺動または移動可能に制御されるハウジングカバー(16)によって開閉されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの測定対象物(27)を積み降ろしするために、前記測定テーブル(21)を、前記測定テーブル(21)が前記ハウジング(12)の閉鎖可能な前記測定チャンバ(18)から少なくとも部分的に案内される積み降ろし位置(35)に移動させ、前記測定タスクを行うために、前記測定テーブル(21)を前記測定チャンバ(18)の内側に位置する作業位置(37)に移動させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
実行すべき前記測定タスクは、ハウジング(12)のボタン要素(36)によって開始されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
蛍光X線を用いて測定対象物(27)を測定する測定装置であって、
ハウジング(12)と、
前記ハウジング(12)に設けられ、ハウジング(12)の測定点(26)に対して移動可能な測定テーブル(21)と、
前記測定点(26)に位置合わせされた放射線源(24)及び検出器(28)を含む蛍光X線装置(23)と、
前記ハウジング(12)の測定チャンバ(18)を開閉するための、ハウジングカバー(16)又はハウジング開口であって、前記測定テーブル(21)が、少なくとも1つの前記測定対象物(27)と共に前記測定テーブル(21)を積み降ろしするために前記ハウジング(12)が開いているときにアクセス可能である、前記ハウジングカバー(16)又は前記ハウジング開口と、を備え、
請求項1に記載の方法を実行するための制御装置(31)が設けられていることを特徴とする、測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光X線による測定装置の測定テーブルの測定対象物の測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製造の多くの分野では、測定対象の品質をチェックし、監視する必要がある。品質管理の場合、一方では材料分析を行うことができる。一方、測定対象のコーティング、特にコーティング厚さの測定は、品質チェックに基づいて形成することができる。層厚を確定し、被覆または測定対象の材料を分析するために、一般に、蛍光X線法を使用することが知られている。このプロセスでは、一次放射線が、蛍光X線装置の放射線源から、測定テーブルの測定点に向けられる。測定テーブルの測定点には、測定対象物が配置されているか、測定対象物が載置されている。測定対象物の測定面から放射される二次放射線は、蛍光X線装置の検出器によって検出され、検出結果は制御装置または評価装置に送信される。
【0003】
放射線防護規則により、このような測定装置は、測定対象が測定されている間は測定チャンバを閉じる必要がある。従って、このような測定装置は、測定対象物を測定チャンバにアクセスできるように開閉できるハウジングカバー又はハウジング開口を有する。
【0004】
品質チェックを行う場合、測定対象の個々の測定点に近づいて測定を行うために、測定対象物を手動で、かつ、所定の位置及び配置で測定テーブルに置く。このような品質チェックは、測定テーブルの測定対象物の所定の配置のため、時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、蛍光X線を用いて測定装置の測定テーブルの少なくとも1つの測定対象物を測定する方法及びその方法を実行する測定装置を提案することであり、測定対象物に対する品質管理を効率的に実行することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、測定対象物が載置されている測定テーブルの少なくとも1つの領域のオーバービュー画像を光学装置によって撮像する方法であって、前記測定対象物の種類が、前記オーバービュー画像から、又は前記少なくとも1つの測定対象物に設けられているか、又は前記少なくとも1つの測定対象物に隣接して配置されている識別子から確定され、前記少なくとも1つの測定対象物の前記位置及び/又は前記測定テーブルの前記少なくとも1つの測定対象物の配置が、前記オーバービュー画像から確定され、前記少なくとも1つの検出された測定対象物について、前記制御装置によってデータ処理装置に記憶されている測定タスクが選択され、前記少なくとも1つの検出された測定対象物について開始され、前記少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの測定位置が、蛍光X線装置の測定点に配置され、前記測定対象物の前記少なくとも1つの測定位置から測定値が検出され、前記少なくとも1つの測定値が前記少なくとも1つの測定値である方法によって達成される、方法によって達成される。測定対象物は、データ処理装置に格納された設定値と比較され、少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの測定位置についての測定結果が出力される/出力される。
【0007】
測定対象物の識別により、1つまたは複数の測定対象物を任意に測定装置の測定テーブルに配置することができる。これは、手動またはハンドリング装置によって行うことができる。この任意の配置および/または測定テーブルの少なくとも1つの測定対象物の配置により、測定テーブルを載置するときに時間の節約を可能にすることができる。その上で、少なくとも1つの測定対象物が、オーバービュー画像によって光学的に検出され、タイプに従って認識されるか、または測定対象物に割り当てられた識別子によって検出される。少なくとも1つの測定対象物の位置及び/又は配置は、オーバービュー画像からも確定することができ、従って、全ての前提条件は、放出された二次放射線によって測定対象物の種々の測定位置から測定値を取得し評価するために、測定装置の測定テーブルの測定点に対して少なくとも1つの測定対象物の1つ以上の測定位置が逐次的に位置合わせされる、自動測定を引き続いて実行するために存在する。少なくとも1つの測定対象物の少なくとも1つの測定位置から取得された測定値を、記憶された公称値と比較することによって、測定結果を、品質チェックの基準として使用される値範囲の内側にあるか外側にあるかに関して出力し、表示することができる。
【0008】
好ましくは、閉鎖されたハウジング内部の測定チャンバに配置された測定テーブル全体のオーバービュー画像が取得されることが提供される。このようにして、光学装置は、測定テーブルに配置された全ての測定対象物を、たった1つの画像で取得することができる。同時に、測定テーブルの少なくとも1つの測定対象物の位置および/または配置は、画像評価アルゴリズムによって確定することができる。
【0009】
特に、測定テーブルに配置された識別子又は測定対象物に付着した識別子を認識した場合には、この識別子を読み出し、この識別子に記憶されている測定タスクを開始して実行することが規定されている。このような識別子は、例えば、QRコード、バーコード等とすることができる。
【0010】
さらに、次の測定タスク毎に許容範囲が割り当てられ、その中で測定対象物の1つ以上の測定位置が問い合わせされることが有利になる場合がある。測定タスクまたは品質要件にしたがって、許容範囲を大きくするか、小さくするかを選択できる。例えば、いくつかの測定位置に同じ許容範囲を割り当てたり、同じ測定対象のさらに別の測定位置にこれらから逸脱した許容範囲を割り当てたりすることができる。これにより、測定対象の機能に合わせた品質チェックも行うことができる。
【0011】
特に、測定対象物座標系は、少なくとも1つの測定対象物の位置及び/又は配置から確定されることが提供される。測定対象座標系の座標は、測定テーブルの座標系に変換される。このようにして、制御装置は、測定テーブル面のX及び/又はY方向への測定テーブルの移動を制御することができ、測定対象物の個々の測定位置は、蛍光X線装置の一次放射線が配置される測定点に対して規定された方法で位置合わせすることができる。
【0012】
有利には、測定対象の少なくとも1つの測定位置から測定値を取得した後、測定値が良好または不良な指示で出力されることが提供される。これにより、操作担当者は、測定テーブルのどの測定対象物を不良品として拒否するかを簡単に確認できる。さらに、測定対象のどの測定位置が許容範囲外にあるかを出力することができる。複数の測定対象物が同じ測定位置のために不良品として拒絶された場合、測定対象物の生産において起こり得る誤差について特定の結論を引き出すことができる。
【0013】
特に、オーバービュー画像において、測定対象物の各測定位置には、測定テーブルの領域または測定テーブル全体の領域が割り当てられ、良否の表示が出力されることが規定される。好ましくは、確定された測定値は、当該測定位置において追加的に出力される。例えば、いわゆるパス/フェイル表示を設けることができ、これは操作担当者によって容易に理解することができる。許容範囲内にある測定位置には「パス」、指定された許容範囲外にある測定位置での測定値には「フェイル」と表示される。
【0014】
少なくとも1つの測定対象に対して実行される測定タスクの検出または確定の後に、実行される測定タスクに対する測定装置の補正を、有利には、測定タスクが開始される前に開始して実行することができる。これにより、選択した測定タスクにしたがい補正を実行できるという利点があり、これにより、測定品質の向上が達成できる。
【0015】
測定タスクの開始時に、ハウジングの測定チャンバが開放され、測定テーブルが少なくとも1つの測定対象物を載置された後に、開始信号によって測定タスクが開始され、ハウジングの測定チャンバが閉鎖され、測定タスクが実行され、測定タスクが実行された後に、少なくとも1つの測定対象物を取り出すためにハウジングの測定チャンバが開放されることが好ましい。このようにして、測定テーブルに静止している測定対象物の測定を自律的に行うことができるので、例えば、別の測定装置を監視したり、別の測定に備えたりするために、操作担当者は、測定が行われている間、利用可能な時間を有することができる。
【0016】
更に、ハウジングの測定チャンバが、モータで回動可能、摺動可能又は移動可能に制御されたハウジングカバーによって開閉されることが好ましい。これにより、このような測定を実行する際の自動化の度合いが増す可能性がある。
【0017】
さらに、好ましくは、測定テーブルに配置されるべき測定対象物の積み下ろしを容易にするために、測定テーブルがハウジングの閉鎖可能な測定チャンバから少なくとも部分的に案内される積み降ろし位置に移動される。この積み降ろし位置における測定テーブルの移動は、モータを介して行うことができ、このモータはまた、検出される少なくとも1つの測定位置に対して少なくとも1つの測定対象物の測定チャンバを移動するために、移動のための測定テーブルを制御する。
【0018】
選択された測定タスクを実行するための方法は、好ましくは、ハウジングのボタン要素によって開始され、簡単な操作が可能である。
【0019】
本発明の目的は、さらに、蛍光X線を用いて測定対象物を測定する測定装置であって、前記測定装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記ハウジング内の蛍光X線装置の測定点に対して移動可能な測定テーブルとを備え、前記ハウジング内の放射線源が前記測定点に位置合わせされ、かつ、前記ハウジングが、前記測定テーブルが配置可能な測定チャンバを開閉するためのハウジングカバー又はハウジング開口を備え、前記測定装置は、前記実施形態のいずれかに係る方法を実行するためのデータ処理装置を備えた制御装置を有することを特徴とする、蛍光X線装置により達成される。
【0020】
このような測定装置は、少なくとも1つの測定対象物に対する測定タスクの取り扱い及び実行を簡素化する。さらに、測定タスクを引き続き起動して実行するために、測定対象の種類、少なくとも1つの測定対象の位置及び/又は配置を光学装置のオーバービュー画像から検出することができるので、オートメーションの度合いを増すことができる。
【0021】
本発明および他の有利な実施形態およびその開発を、以下に、図面に示される例を参照して、より詳細に説明し説明する。明細書及び図面から取るべき特徴は、本発明に従い、個々に又は任意の組合せで使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】測定対象物を備えた
図1記載の測定装置の測定テーブルの模式図を示す。
【
図4】測定対象物とその選択された測定位置とを備えた測定テーブルの概略部分図を示す。
【
図5】測定対象物と測定位置に割り付けられた測定結果とを有する測定テーブルの概略部分図を示す。
【
図6】
図1に係る測定装置で測定を行うための概略フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、測定装置11の斜視図を示す。
図2は、
図1に係る計測装置の側面模式図を断面図で示す。この測定装置11は、蛍光X線による測定対象物の測定を行うためのものである。蛍光X線による測定は、測定対象物のコーティングの層厚を測定するため、および/または測定対象物の材料を分析するために使用することができる。
【0024】
測定装置11は、下ハウジング部14と上ハウジング部15とを有するハウジング12と、ハウジングカバー16とを備える。ハウジングカバー16は、例えば、ハウジング12内に設けられた測定チャンバ18にアクセスできるように、旋回軸17を中心として旋回可能に取り付けられている。代替的に、ハウジングカバー16は、更なる機構によってハウジング12に対して移動可能又は変位可能とすることもできる。また、旋回可能なハウジングカバー16の代わりに、測定チャンバ18へのアクセスを可能にするハウジング開口を設けることができる。
【0025】
下ハウジング部14には、上側に移動可能に測定テーブル21が収容されている。この測定テーブル21は、モータ22によってX方向及びY方向に移動するように駆動される。好ましくは、測定テーブル21は、下ハウジング部14に対して移動可能に案内できるようにクロステーブル等によって案内される。
【0026】
上ハウジング部15には蛍光X線装置23が設けられている。これは、一次放射線25が測定点26に向けられる放射線源24を含む。シャッタ、一次フィルタ及び/又はコリメータのような一次放射線25内に配置された個々の構成要素は、より詳細に示されていない。例えば測定テーブル21に静止している個々の測定対象物27を、測定を行うために測定点26に配置することができる。放射線源24に隣接して、検出器28が設けられ、これにより、測定対象物27によって放射される二次放射線29が検出される。放射線源24と検出器28の両方が制御装置31に接続されている。
【0027】
蛍光X線装置23は、一次放射線を測定点26に上方又は下方から向けるために、測定点26の上方又は下方のいずれかに配置することができる。
【0028】
制御装置31は、データ処理装置32を備え、測定タスクを記憶および呼び出し、および/または確定された測定値を、ディスプレイなどに記録、記憶および/または評価および/または出力できるようにすることができる。
【0029】
上ハウジング部15には、CCDカメラのような光学装置33が設けられており、これによって、測定テーブル21の少なくとも1つの領域、又は好ましくは測定テーブル21全体のオーバービュー画像を取得することができる。光学装置33は、例えば、偏向ミラー20を介して測定点26及び/又は測定テーブル21の画像を取得することができる。ハウジングカバー16は、モータ34を介して自動的に開閉することができ、これは次に制御装置31に接続される。これにより、測定チャンバ18へのアクセスが容易になる。下ハウジング部14には、ボタン要素36が設けられていることが好ましく、これにより、制御装置31を起動又は停止させること及び/又は制御することができる。
【0030】
有利には、ディスプレイ、スクリーン等が測定装置11に接続可能である。ハウジング12には、インジケータ、ディスプレイ又はスクリーンを設けることもできる。
【0031】
後続の測定タスクのために少なくとも1つの測定対象物27と共に測定テーブル21の載置を容易にするために、測定テーブル21を積み降ろし位置35に移すことができる。この積み降ろし位置35では、測定テーブル21は、下ハウジング部14に対して少なくとも部分的に出ている。下ハウジング部14から持ち上げることができるハウジングカバー16は、積み降ろし位置35に配置された測定テーブル21へのアクセスを改善することができる。この測定テーブルの積み降ろし位置35を
図1に示す。
【0032】
次の測定タスクを実行するために、測定テーブル21は、積み降ろし位置35から作業位置37に移動される。この作業位置37は、
図2に示されており、測定テーブル21は、完全に測定チャンバ18の内側に配置されている。ハウジングカバー16を閉じた後、測定テーブル21は、閉じた測定チャンバ18内に完全に配置される。
【0033】
あるいは、積み降ろし位置35と作業位置37とが同じ位置であるようにすることができる。この場合、ハウジングカバー16は、下ハウジング部14に対して持ち上げ可能又は横方向に変位可能であることが好ましく、その結果、少なくとも1つの測定対象物27と共に測定テーブル21を積み降ろすために、再び良好なアクセスが提供される。(複数可である)測定対象物27は、例えば制御可能及び/又はプログラム可能なハンドリング装置を用いて、手動又は自動化された態様で測定テーブル21に配置することができる。
【0034】
図3は、測定テーブル21の上方からの概略図を示しており、その上には、いくつかの測定対象物27が配置されている。好ましくは、検査されるべき製造バッチからの幾つか又は全ての測定対象物27を測定テーブル21に配置することができる。位置及び/又は配置は、ここで任意であり得る。測定テーブル21の測定対象物27のいわゆる無秩序なレイアウトを設けることができ、ここで、これらは、測定テーブル21に、または、互いに対向して配置させない。
【0035】
さらに、識別子38を測定テーブル21に配置可能とすることができる。このような識別子38は、測定対象物27上又は中に設けることもできる。識別子38は、測定テーブル21に別個に配置することもできる。この識別子38は、様々な情報を含むことができる。例えば、特定の測定対象物27に対する記憶された測定タスクがデータ処理装置32で呼び出されるコード、または、測定対象の種類及び/又は測定タスクのような情報、及び/又は測定タスクの基礎として使用される公差を含めることができる。このような識別子38は、例えば、QRコード又はバーコード又は他の識別子であってもよい。このような識別子38は、光学装置33によって検出されるので、検出されたデータは、その後の測定タスクのために制御装置31に渡される。
【0036】
図4は、測定テーブル21の1つの測定対象物27の概略図を示す。測定テーブル21は、X/Y測定テーブル座標系で移動させることができる。各測定対象物27は、X´軸及びY´軸を有する独自の座標系を有する。自動化された態様で測定タスクを実行するために、X´/Y´測定対象物座標系はX/Y測定テーブル座標系に変換され、その結果、少なくとも1つの測定位置P1、P2、P3、P4、P5で測定を行うために、例えば、測定対象物27の少なくとも1つの測定位置P1、P2、P3、P4、P5を測定点26に配置するために、制御装置31によって測定テーブル21の目標トラバース移動を制御することができる。測定対象物27の少なくとも1つの測定位置の位置だけでなく、各測定対象物27の測定位置の数は、測定タスク及び/又は品質管理に依存し、各測定対象物27に対して任意に選択及び確定することができる。
【0037】
図5は、測定が実行され、測定値が評価された後の測定対象物27の概略図を、記憶された目標値と比較することによって示す。表示は、インジケータ、ディスプレイ又はスクリーンで出力することができる。
【0038】
例示的な場合、測定値は、いわゆるパス/フェイル表示によって提示される。例えば、「パス」(合格または良)という語は、測定対象物27の測定位置P1、P3、P4およびP5に追加される。すなわち、これらの測定位置が良好であるか、または測定位置の検出された測定値が、特定の関連付けられた設定値の許容範囲内にあることが判明する。
【0039】
測定対象物27の測定位置P2は、「フェイル」(不合格または否)という名称を有する。すなわち、測定位置P2における検出された測定値が、関連する設定値の許容範囲外である。これにより、操作担当者は、測定テーブル21のどの測定対象物27が良品または不良品であるかを容易に認識することができる。また、測定対象物27のどの測定位置が要件を満たしていないかを認識することも容易である。
【0040】
この
図5による測定対象物27に対する測定結果の提示は、指定された許容範囲外に存在する測定位置についての結論を引き出すことも容易であるという利点を有する。あるいは、実行された測定タスクについての測定結果を提示する代わりに、関連付けられた数字を有する測定点の表を用いた表示も出力することができる。例えば、測定結果は、緑色の背景を有する測定位置及び/又は測定値が、公差範囲内の測定点として提示され、例えば、赤色の背景を有する測定位置及び/又は測定値が、公差範囲外としてラベル付けされる点で、色付き背景を備えることができる。
【0041】
図6に示すシーケンスプログラムは、蛍光X線を用いて測定装置11で少なくとも1つの測定対象物27を自動測定する方法を説明する。測定装置11は、ここでは、測定対象物27の薄層の厚さの測定、すなわち層厚の分析、及び材料分析の両方に使用することができる。以下に述べる手順は同じである。
【0042】
ステップ51では、測定装置11は、その後の測定タスクのために開始位置に移送される。この開始位置は
図1に示されており、ハウジング12が開放され、測定テーブル21がハウジング12に対して少なくとも部分的に延長され、積み降ろし位置35に配置されている。この開始位置から進み、測定テーブル21には、1つまたは複数の測定対象物27が載置される。
【0043】
続いて、ステップ52において、ハウジング12のボタン要素36が作動されて、自動測定が実行される。
【0044】
次のステップ53では、測定テーブル21が作業位置37に移動され、ハウジングカバー16がモータ34によって閉じられる。測定チャンバ18が周囲環境から完全に閉じた後、光学装置33は、ステップ54において、少なくとも1つの測定対象物27がその上に静止した状態で測定テーブル21のオーバービュー画像を生成し、このオーバービュー画像を評価する。例えば
図3に示すオーバービュー画像の評価は、データ処理装置32によって行うことができ、このデータ処理装置では、測定対象物27の特性データを記憶することができるので、検出された画像点の評価によって、測定テーブル21に静止している少なくとも1つの測定対象物27を評価することができる。
【0045】
識別子38が測定テーブル21に配置される場合、又は識別子38が測定対象物27自体に適用される場合、この識別子を読み出すことができ、少なくとも測定対象物27の種類を検出することができる。検出された測定対象物27の種類に応じて、測定タスクが選択され、これがデータ処理装置32からそれに応じて呼び出される。測定タスクは、識別子38からも確定することができる。
【0046】
さらなるステップ55において、少なくとも1つの測定対象物27の位置及び/又は配置又は方向は、画像処理アルゴリズムによって、
図3によるオーバービュー画像から確定される。
【0047】
個々の測定対象物27の測定を行うために測定タスクが実行される前に、測定装置11に対する補正ルーチンを開始することができる。この補正ルーチンでは、測定テーブル21に配置することもできる1つまたは複数の補正基準を、その後の測定タスク用に、蛍光X線装置23を補正するために、測定点26に対して動かすことができる。
【0048】
ステップ56では、ステップ55からのデータに基づいて、当該測定対象物27に対してX´/Y´測定対象物座標系が定義される。X´/Y´測定対象座標系の定義に基づいて、個々の測定位置、例えば、測定位置P1からP5を定義することができる。続いて、X´/Y´測定対象座標系をX/Y測定テーブル座標系に変換する。続いて、当該測定対象物27の個々の測定位置P1~P5は、測定テーブル21のトラバース移動によって接近される。
【0049】
続くステップ57では、当該測定対象物27の個々の測定位置P1~P5の測定値が、データ処理装置32で検出され、評価される。評価は、許容範囲を割り当てることができる所定の設定値に基づいて行われる。個々の測定位置P1~P5における許容範囲または許容値は、ユーザが確定し、個々におよび互いに独立して割り当てることができる。ユーザは、測定タスクを開始する前に、テストプランを介してこの自己を確定することができる。例えば、測定位置P1、P2及びP3に、例えば10%の許容範囲を割り当てることができ、測定位置P4及びP5に、より大きい又はより小さいパーセンテージの許容範囲を割り当てることができる。これは、測定対象物27の測定位置の特定の機能にも依存することができる。
【0050】
さらなるステップ58で、測定結果がログに記録され、出力される。例えば、
図5に示すように、測定結果をディスプレイや指示計に出力したり、あるいは、良品と不良品を同時に評価したり、測定位置を評価したりして、測定結果を表形式で出力したりすることができる。この良し悪しの出力は、カラーマークで指定することもできる。
【0051】
ステップ59では、例えば、ハウジングカバー16が開かれ、測定テーブル21が積み降ろし位置35に移送される。測定対象物27は、測定テーブル21から除かれ、評価に従って良品または不良品として選別される。続いて、測定装置11によって新たな測定を行うことができる。
【外国語明細書】