(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006327
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】制御装置、加温脱水システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/12 20190101AFI20230111BHJP
C02F 11/121 20190101ALI20230111BHJP
C02F 11/14 20190101ALI20230111BHJP
C02F 11/13 20190101ALI20230111BHJP
C02F 11/06 20060101ALI20230111BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20230111BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20230111BHJP
F23G 5/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C02F11/12
C02F11/121 ZAB
C02F11/14
C02F11/13
C02F11/06 Z
G05B11/36 505A
F23G5/50 Q
F23G5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108871
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】深澤 淳基
(72)【発明者】
【氏名】倭 常郎
(72)【発明者】
【氏名】富 雄暉
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 伸弘
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
4D059
5H004
【Fターム(参考)】
3K062AB01
3K062AC02
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB01
3K062DA35
3K062DB30
3K065AB01
3K065AC02
3K065BA02
3K065BA06
3K065CA10
4D059AA03
4D059BB02
4D059BD11
4D059BE04
4D059BE15
4D059BE26
4D059BE38
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4D059BE61
4D059BF15
4D059BJ04
4D059CA06
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4D059EA01
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4D059EA20
4D059EB01
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4D059EB20
5H004GA14
5H004GB01
5H004HA10
5H004HB01
5H004HB03
5H004JA03
5H004JA11
5H004JA29
(57)【要約】
【課題】汚泥脱水機において汚泥温度が変化した場合でも安定した含水率の脱水汚泥が排出されるよう汚泥脱水機を運転することが可能な制御装置、加温脱水システム、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得部と、前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得部と、前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定部と、前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御部と、を備える制御装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得部と、
前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得部と、
前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定部と、
前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記目標値決定部は、前記脱水汚泥の目標含水率を前記第1の目標値として用いて、前記汚泥脱水機の回転駆動部における軸トルクの目標値である目標軸トルクを前記第2の目標値として決定する目標軸トルク決定部、又は前記汚泥脱水機の回転駆動部における目標軸トルクを前記第1の目標値として用いて、前記軸トルク以外の前記汚泥脱水機の運転パラメータの目標値である目標運転パラメータを前記第2の目標値として決定する目標運転パラメータ決定部の少なくともいずれか一方を備える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記目標値決定部は、前記目標軸トルク決定部のみを備え、
前記目標値取得部は、前記目標含水率を取得し、
前記目標軸トルク決定部は、前記取得された目標含水率と前記取得された汚泥情報の関係から前記目標軸トルクを決定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記回転駆動部の軸トルクが前記決定された目標軸トルクとなるように制御された結果に基づき、前記汚泥脱水機の運転パラメータを調整するためのフィードバック制御を行う、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記汚泥脱水機で脱水される汚泥に注入される凝集剤の添加率を前記運転パラメータとして調整する、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、モデル予測制御によって前記フィードバック制御を行う、
請求項4又は請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記目標値決定部は、前記目標運転パラメータ決定部のみを備え、
前記目標値取得部は、前記目標軸トルクを取得し、
前記目標運転パラメータ決定部は、前記取得された目標軸トルクと前記取得された汚泥情報の関係から前記目標運転パラメータを決定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記取得された目標軸トルクに応じた前記制御対象の制御結果に基づき、前記決定された目標運転パラメータを調整するためのフィードバック制御を行う、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記目標値決定部は、前記目標軸トルク決定部及び前記目標運転パラメータ決定部を備え、
前記目標値取得部は、前記目標含水率を取得し、
前記目標軸トルク決定部は、前記取得された目標含水率と前記取得された汚泥情報の関係から前記目標軸トルクを決定し、
前記目標運転パラメータ決定部は、前記決定された目標軸トルクと前記取得された汚泥情報の関係から前記目標運転パラメータを決定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記目標運転パラメータ決定部は、前記汚泥脱水機で脱水される汚泥に注入される凝集剤の添加率の目標値を前記目標運転パラメータとして決定する、
請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記決定された目標軸トルクに応じた前記制御対象の制御結果に基づき、前記決定された目標運転パラメータを調整するためのフィードバック制御を行う、
請求項9又は請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記汚泥脱水機で脱水される汚泥に注入される凝集剤の添加率を前記決定された目標運転パラメータとして調整する、
請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、モデル予測制御によって前記フィードバック制御を行う、
請求項11又は請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記目標軸トルク決定部は、前記脱水汚泥の含水率及び前記脱水汚泥の汚泥情報と前記回転駆動部の軸トルクとの関係性を機械学習された学習済みモデルを用いて前記目標軸トルクを決定する、
請求項2から請求項6及び請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記目標運転パラメータ決定部は、前記回転駆動部の軸トルク及び前記脱水汚泥の汚泥情報と運転パラメータとの関係性を機械学習された学習済みモデルを用いて前記目標運転パラメータを決定する、
請求項2及び請求項7から請求項14のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記決定された目標運転パラメータが複数ある場合、各目標運転パラメータに対応する制御対象を制御する優先度を決定する制御対象優先度決定部、
をさらに備える、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の制御装置を備える加温脱水システム。
【請求項18】
目標値取得部が、汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得過程と、
汚泥情報取得部が、前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得過程と、
目標値決定部が、前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定過程と、
制御部が、前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御過程と、
を含む制御方法。
【請求項19】
コンピュータを、
汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得手段と、
前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得手段と、
前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定手段と、
前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、加温脱水システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリュープレスや遠心脱水機などの汚泥脱水機において、汚泥脱水機から排出される汚泥(以下、「脱水汚泥」とも称される)の含水率は、スクリュー軸の軸トルクに基づき推定することが可能である。推定された含水率に応じてトルク一定制御を行うことで、脱水汚泥の含水率を一定に保つことが試みられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、軸トルク以外のパラメータを用いて、遠心式の脱水機から排出される脱水ケーキの含水率を推定する技術が開示されている。複数のパラメータには、例えば、ボウルやスクリューの回転に関する値や、汚泥や分離水の量や固形物濃度に関する値や、凝集剤の量に関する値などが含まれるが、汚泥の温度に関する値は含まれていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、汚泥は、汚泥温度の変化によりその粘性が変化したり、汚泥温度の変化による汚泥性状の変化によって粘性に変化が生じたりする。このように汚泥温度の変化によって汚泥の粘性に変化が生じることで、汚泥脱水機の軸トルクと脱水汚泥の含水率との関係性にも変化が生じる。そのため、汚泥脱水機において汚泥温度が変化する場合、脱水汚泥の含水率を一定に保つためには汚泥温度の変化も考慮することが好ましい。
しかしながら、上記特許文献1の技術では、汚泥温度の変化までは考慮されていない。そのため、汚泥脱水機において汚泥温度が変化する場合、上記特許文献1の技術のように脱水汚泥の含水率を制御する方法では、汚泥脱水機から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことは困難である。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、汚泥脱水機において汚泥温度が変化した場合でも安定した含水率の脱水汚泥が排出されるよう汚泥脱水機を運転することが可能な制御装置、加温脱水システム、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得部と、前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得部と、前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定部と、前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る加温脱水システムは、制御装置を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る制御方法は、目標値取得部が、汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得過程と、汚泥情報取得部が、前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得過程と、目標値決定部が、前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定過程と、制御部が、前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御過程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、前記汚泥脱水機の制御に関する第1の目標値を取得する目標値取得手段と、前記脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する汚泥情報取得手段と、前記取得された第1の目標値と前記取得された汚泥情報の関係から、前記第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する目標値決定手段と、前記決定された第2の目標値に応じて、前記制御対象を制御する制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、汚泥脱水機において汚泥温度が変化した場合でも安定した含水率の脱水汚泥が排出されるよう汚泥脱水機を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る制御盤100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る制御盤100における入出力の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る制御盤100の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る制御盤100aの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第2の実施形態に係る制御対象の優先度の一例を示す図である。
【
図7】第2の実施形態に係る制御盤100aにおける入出力の一例を示す図である。
【
図8】第2の実施形態に係る制御盤100aの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態に係る制御盤100bの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態に係る制御盤100bにおける入出力の一例を示す図である。
【
図11】第3の実施形態に係る制御盤100bの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】第4の実施形態に係る制御盤100cの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】第4の実施形態に係る制御盤100cにおける入出力の一例を示す図である。
【
図14】第4の実施形態に係る制御盤100cの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第5の実施形態に係る制御盤100dの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】第5の実施形態に係る制御盤100dにおける入出力の一例を示す図である。
【
図17】第5の実施形態に係る制御盤100dの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18】第6の実施形態に係る制御盤100eの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図19】第6の実施形態に係る制御盤100eにおける入出力の一例を示す図である。
【
図20】第6の実施形態に係る制御盤100eの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、汚泥脱水機において安定した含水率の脱水汚泥が排出されるよう汚泥脱水機の運転を制御するシステムに関する。
【0014】
以下の実施形態において、第1の目標値は、汚泥脱水機で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉の運転状態に応じて決定される、汚泥脱水機の制御に関する目標値である。
第1の目標値は、例えば、脱水汚泥の含水率であり、焼却炉にて所望されている脱水汚泥の含水率である。また、第1の目標値は、例えば、汚泥脱水機の回転駆動部の軸トルクであり、焼却炉にて所望されている含水率の脱水汚泥を得るために必要な軸トルクであってもよい。
第2の目標値は、第1の目標値と汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する目標値である。例えば、第1の目標値が脱水汚泥の含水率である場合、第2の目標値は、当該含水率の脱水汚泥を得るために必要な軸トルクである。また、第1の目標値が汚泥脱水機の回転駆動部の軸トルクである場合、第2の目標値は、汚泥脱水機の回転駆動部の軸トルク以外の汚泥脱水機の運転パラメータである。運転パラメータは、例えば、凝集剤の添加率、圧入圧力、背圧閉止率、差速、遠心加速度、汚泥供給量、熱媒温度、熱媒流量、高分子凝集剤薬注率などである。
【0015】
汚泥情報は、汚泥脱水機で脱水されている汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む情報である。汚泥情報には、汚泥温度の他に、例えば、汚泥混合比、汚泥供給量、高分子凝集剤薬注率、高分子凝集剤粘度、凝集剤添加率などである。
制御対象は、例えば、回転駆動部を含む汚泥脱水機の制御可能な部位の他に、汚泥脱水機に汚泥、高分子凝集剤、及び温水等を供給するポンプなどである。
【0016】
本発明では、第1の目標値と汚泥情報の関係から第2の目標値を決定し、決定された第2の目標値に応じて、制御対象の制御が行われる。第2の目標値の決定は、目標軸トルク決定モデル又は目標運転パラメータ決定モデルの少なくともいずれか一方を用いて行われる。
【0017】
目標軸トルク決定モデルは、第1の目標値として脱水汚泥の目標含水率を用い、当該目標含水率と汚泥情報から汚泥脱水機の回転駆動部における軸トルクの目標値である目標軸トルクを第2の目標値として決定するモデルである。
目標運転パラメータ決定モデルは、第1の目標値として汚泥脱水機の回転駆動部における目標軸トルクを用いて、当該目標軸トルクと汚泥情報から軸トルク以外の汚泥脱水機の運転パラメータの目標値である目標運転パラメータを第2の目標値として決定するモデルである。
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0019】
<<1.第1の実施形態>>
図1から
図4を参照して、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、第2の目標値の決定に目標軸トルク決定モデルのみを用いる例について説明する。
【0020】
<1-1.加温脱水システムの構成>
まず、
図1を参照して、第1の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る加温脱水システムの構成の一例を示す図である。
第1の実施形態において、加温脱水システム1は、凝集装置10、濃縮装置20、濃縮汚泥供給ポンプ30、凝集剤供給ポンプ40、凝集剤流量計45、圧入圧力センサ48、加温脱水機50、トルクセンサ51、サーモ温度計52、脱水汚泥ホッパ55、熱媒供給ポンプ60、熱媒流量計65、脱水汚泥供給ポンプ70、汚泥流量計78、焼却設備80、制御盤100を含む。
【0021】
凝集装置10は、下水処理場等から発生して供給された混合生汚泥等の有機性汚泥Aに高分子凝集剤Bを添加して凝集する凝集槽を有する。凝集槽では、有機性汚泥Aと高分子凝集剤Bとを撹拌する撹拌機能を有する。有機性汚泥Aと高分子凝集剤Bは、撹拌混合され、凝集する。凝集装置10は、凝集された有機性汚泥Aを凝集汚泥Cとして、濃縮装置20に供給する。
【0022】
濃縮装置20は、凝集装置10によって凝集した凝集汚泥Cを濃縮する。例えば、濃縮装置20は、内部に濃縮濾過スクリーンを有しており、凝集装置10から供給された凝集汚泥Cを、この濃縮濾過スクリーンによって水分を分離して濃縮する。
濃縮汚泥供給ポンプ30は、濃縮装置20から排出される濃縮汚泥を加温脱水機50に濃縮汚泥Dとして供給する。
【0023】
凝集剤供給ポンプ40は、その出力側が濃縮汚泥供給ポンプ30と加温脱水機50とを接続する経路に接続されている。凝集剤供給ポンプ40は、濃縮汚泥供給ポンプ30から加温脱水機50に供給される濃縮汚泥Dに対して凝集剤を供給する。供給される凝集剤は、高分子凝集剤と無機凝集剤とのうち少なくともいずれか一方である。第1の実施形態においては、無機凝集剤Eが供給される場合について説明する。この無機凝集剤は、例えば、ポリ硫酸第二鉄(PFS)を用いることができる。
凝集剤流量計45は、凝集剤供給ポンプ40から濃縮汚泥Dに供給される凝集剤の供給量を測定し、測定結果を制御盤100に出力する。
圧入圧力センサ48は、加温脱水機50に供給される濃縮汚泥Dの圧入圧力を検出し、検出結果を制御盤100に出力する。
【0024】
加温脱水機50は、汚泥を加温する機能を有する汚泥脱水機であり、濃縮汚泥供給ポンプ30から供給される濃縮汚泥Dを脱水する。加温脱水機50は、凝集剤供給ポンプ40によって濃縮汚泥Dに無機凝集剤が供給されている場合には、無機凝集剤が注入された後の濃縮汚泥Dを脱水する。
第1の実施形態において、加温脱水機50が縦型のスクリュープレスである場合について説明するが、濃縮汚泥を脱水することができる脱水機であれば、横型のスクリュープレス、ロータリープレスであってもよい。
【0025】
加温脱水機50において、ケーシング50A内に濃縮汚泥Dを濾過する濾過スクリーン50Bが配置されており、この濾過スクリーン50Bによって分けられたケーシング50A内の複数の空間のうち、第1の空間50A1に濃縮汚泥Dが供給される。
【0026】
また、加温脱水機50は、内濾過スクリーン50Baと、外濾過スクリーン50Bbと、リボンスクリュー50dとを備えている。内濾過スクリーン50Baは、第2の上記濾過スクリーン50Bとして、ケーシング50Aと同軸の縦方向に延びる軸線を中心とした円筒状または円錐状をなしてケーシング50A内に配設される。外濾過スクリーン50Bbは、当該内濾過スクリーン50Baと同軸の円筒状または円錐状をなして内濾過スクリーン50Baの外側に間隔をあけてケーシング50A内に配設される。リボンスクリュー50dは、上記軸線回りに捩れる螺旋状をなして内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbとの間に収容され、モーター等である回転駆動部50cによって上記軸線を中心に内濾過スクリーン50Ba及び外濾過スクリーン50Bbに対して相対的に回転させられる。
【0027】
ケーシング50Aは、上記軸線を中心とした有底円筒状である。内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbは、例えば、ウェッジワイヤーやパンチングメタル等によって形成される。
そして、これら内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbとの間の空間に、上記第1の空間50A1とされて濃縮汚泥Dが供給される。
外濾過スクリーン50Bbの外側であってケーシング50Aの内周側の空間が、第2の空間50A2である。
内濾過スクリーン50Baの内側の空間が第3の空間50A3である。
【0028】
加温部50A4は、加温脱水機50内の濃縮汚泥Dを加温する。例えば、加温部50A4は、濃縮汚泥Dが収容された収容部を外周側から加温する。この実施形態では、加温部50A4は、外濾過スクリーン50Bbの外側であってケーシング50Aの内周側の空間(すなわち第2の空間50A2)に、熱媒供給ポンプ60から温水Hが供給されることで、濾液と温水Hとが混合され、その結果、濾液の温度が上がり、第2の空間50A2の温度が上がるため、外濾過スクリーン50Bbを介して濃縮汚泥Dに熱が伝達され、濃縮汚泥Dを加温することができる。このようにして、収容部は、外周側から加温される。
ここで、収容部は、濾過スクリーン50Bである場合について説明するが、加温脱水機50の外部から供給される濃縮汚泥Dを加温することができればよい。収容部は、濃縮汚泥Dが収容されていれば、例えば、濾過スクリーン50Bにおいて上記軸線方向に濾過スクリーンが形成されていない収容部位を設け、その収容部位を加温するようにしてもよい。また、その収容部位と濾過スクリーン50Bとの両方を加温するようにしてもよい。
【0029】
なお、加温部50A4は、収容部全体を加温してもよいが、上記軸線方向において一部の領域を加温するようにしてもよいし、周方向の一部の領域を加温するようにしてもよい。
【0030】
また、収容部を加温する媒体は、温水Hである場合について説明するが、収容部を加温することができれば、他の媒体を用いるようにしてもよい。また、ヒーター等を用いるようにしてもよい。
【0031】
温水Hの温度は、濃縮汚泥Dの温度よりも高い温度であればよい。温水Hの温度は、例えば、50℃以上100℃未満の範囲、望ましくは60℃以上90℃以下の範囲である。
ここで、上記温水Hの温度が50℃未満であると、上述したような濃縮汚泥Dの粘度の低下や水分の分離による効果を十分に得ることができない。また、温水Hの温度が100℃を上回ると取り扱いの難易度が上がる。なお、温水Hの温度は、高いほど濃縮汚泥Dの粘度の低下と蛋白質の熱変性による水分分離を促すことができるが、上述のように有機性汚泥Aの処理設備内で使用される温水を温水Hとして使用する場合は、60℃以上90℃以下の温度範囲が現実的である。
【0032】
このような温水Hは、ケーシング50Aの底部からケーシング50A内の第2の空間50A2に供給される。こうして第2の空間50A2に供給された温水Hは、第1の空間50A1内の濃縮汚泥Dを加温する。温水Hを熱媒として、濃縮汚泥Dが加温されることで、濃縮汚泥Dの蛋白質が熱変性することにより保水されていた水分が分離する。温水Hを熱媒として、濃縮汚泥Dが加温されることで、濃縮汚泥Dの粘度が低下する。そして濃縮汚泥Dは、内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbによって濾過される。
濾液は、第2の空間50A2から立ち上げられた排水管50Hから排水Jとして排出される。また、濃縮汚泥Dを加温することにより冷却された温水Hは、濾液とともに、排水管50Hから排水Jとして排出される。
【0033】
連結板50eは、内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbの底部を連結する。連結板50eの形状は、円環板状である。この連結板50eには、供給管50fが連結されている。
供給管50fは、濃縮汚泥供給ポンプ30から供給される濃縮汚泥Dを第1の空間50A1内にケーシング50Aの底部から供給する。供給管50fから供給された濃縮汚泥Dは、リボンスクリュー50dの相対的な回転によって上方に搬送されながら、内濾過スクリーン50Baと外濾過スクリーン50Bbによって水分が分離される。ここでは、濾過面積を大きく確保することができるため、一層効率的な濾過を図ることができる。
【0034】
また、ケーシング50A内の上部には、円環板状の基板50Cが配設されている。外濾過スクリーン50Bbは、この基板50Cの内周部に取り付けられて固定される。さらに、この基板50Cよりも上方のケーシング50Aの上部開口部には、蓋体50Dが配設され、内濾過スクリーン50Baは、この蓋体50Dに取り付けられて固定される。
回転駆動部50cは、この蓋体50D上に配置され、内濾過スクリーン50Baの上部を覆う円筒状のスクリュー支持体を介してリボンスクリュー50dを回転させる。
なお、第1の実施形態では、このように内濾過スクリーン50Baおよび外濾過スクリーン50Bbがケーシングに固定されて、リボンスクリュー50dが回転駆動部50cにより回転されるが、逆にリボンスクリュー50dを固定して内濾過スクリーン50Ba及び外濾過スクリーン50Bbを回転させてもよく、リボンスクリュー50dと内濾過スクリーン50Ba及び外濾過スクリーン50Bbとを互いに逆方向に回転させるようにしてもよい。
【0035】
また、ケーシング50A内において、基板50Cと蓋体50Dの間の上部の空間は排出室50Eとされるとともに、この排出室50Eにおける第1の空間50A1の円環状の上部開口部は排出口50Fとされる。この排出口50Fには、外周側に向かうに従い上方に向かう上記軸線を中心とした円錐台状の外周面を有する背圧板50Gが配設されている。
リボンスクリュー50dによって第1の空間50A1を上方に搬送されつつ水分が分離して濃縮汚泥Dから脱水された脱水汚泥Iは、排出口50Fから背圧板50Gにより圧搾されながら排出室50Eに流出して排出される。
背圧板50Gには、背圧板駆動部が取り付けられている。背圧板駆動部は、制御盤100からの指示に応じた開度となるように背圧板を上記軸線の長手方向に移動させる。
背圧センサ50Gsは、背圧板の開度を検出する。
【0036】
トルクセンサ51は、加温脱水機50における軸トルクを測定する。例えば、トルクセンサ51は、回転駆動部50cのトルクを測定可能に設けられる。トルクセンサ51は、回転駆動部50cのトルクを加温脱水機50における軸トルクとして測定し、測定結果を制御盤100へ出力する。
【0037】
サーモ温度計52は、加温脱水機50にて脱水された汚泥の温度(汚泥温度)を測定する。例えば、サーモ温度計52は、脱水されて排出室50Eに排出された脱水汚泥Iの温度を測定可能に設けられる。サーモ温度計52は、排出室50Eに排出された脱水汚泥Iの汚泥温度を測定し、測定結果を制御盤100へ出力する。
【0038】
脱水汚泥ホッパ55には、加温脱水機50から排出された脱水汚泥Iが一時的に貯留される。脱水汚泥ホッパ55に貯留された脱水汚泥Iは、脱水汚泥供給ポンプ70にて焼却設備80へ供給される。
脱水汚泥ホッパ55には重量計(不図示)が設けられている。脱水汚泥ホッパ55に設けられた重量計は、脱水汚泥ホッパ55の重量を測定し、測定結果を制御盤100へ出力する。例えば、当該重量計は、脱水汚泥Iの供給開始前の脱水汚泥ホッパ55の重量と、脱水汚泥Iの供給開始後に脱水汚泥Iの供給を一時停止した状態の脱水汚泥ホッパ55の重量とを測定する。これら重量の差分より、焼却設備80へ供給された脱水汚泥Iの供給量を算出可能である。
【0039】
熱媒供給ポンプ60は、加温脱水システム1から排出された汚泥が燃焼することで得られる熱によって加温された熱媒を、加温脱水機50(例えば加温部50A4)に供給する。
熱媒流量計65は、熱媒供給ポンプ60から加温部50A4に供給される温水Hの量を測定し、測定結果を制御盤100に出力する。
【0040】
脱水汚泥供給ポンプ70は、脱水汚泥ホッパ55に貯留された脱水汚泥Iを焼却設備80に供給する。
汚泥流量計78は、脱水汚泥供給ポンプ70から焼却設備80へ供給される汚泥(脱水汚泥I)の供給量(汚泥供給量)を測定し、測定結果を制御盤100に出力する。
【0041】
焼却設備80は、加温脱水機50から排出される脱水汚泥Iを焼却する。焼却設備80は、焼却炉81、ボイラ82、排煙処理塔83を含む。焼却炉81は、加温脱水機50から供給される脱水汚泥Iを焼却する。焼却炉81では、脱水汚泥Iの含水率が自燃点付近となるように運転することができれば、補助燃料を用いることなく当該脱水汚泥Iを燃焼させることができる。そのため、脱水汚泥Iの含水率の変動が少ない方が好ましい。また、脱水汚泥Iの含水率が自燃点付近から変動しないことが、補助燃料を用いる必要がなく、かつ、散水等により焼却炉81内の温度を低下させる必要もなくなり、無駄な脱水(含水率の下げ過ぎ)を抑制することもできる。
【0042】
ボイラ82は、焼却炉81からの燃焼排ガスの熱を利用し、熱交換器によって熱媒体を加温する。熱媒体としては、例えば、排煙処理塔83から供給される水を用いることができる。排煙処理塔83から供給される水は、排煙処理塔83において加温されているが、ボイラ82は、この水をさらに加温した上で、熱媒供給ポンプ60に供給する。これにより、燃焼排ガスの熱を利用して加温された熱媒体を加温脱水機50に供給することができる。
【0043】
排煙処理塔83は、外部から供給された水を噴霧することにより、ボイラ82から供給される燃焼排ガスから、粉塵・不純物等の所定の物質を除去し、燃焼排ガスを煙突から排気する。また、排煙処理塔83は、外部から供給される水を、燃焼排ガスの熱によって加温し、ボイラ82に供給する。
制御盤100は、加温脱水システム1内の各部を制御する。制御盤100は、コンピュータ等によって構成される。
【0044】
<1-2.制御盤の機能構成>
以上、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成について説明した。続いて、
図2を参照して、第1の実施形態に係る制御盤100の機能構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る制御盤100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、制御盤100は、通信部110、目標値取得部120、汚泥情報取得部130、記憶部140、目標値決定部150、及び制御部160を備える。
【0045】
(1)通信部110
通信部110は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部110は、加温脱水システム1の各部と通信を行う。
【0046】
(2)目標値取得部120
目標値取得部120は、加温脱水機50で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。例えば、目標値取得部120は、焼却炉81にて所望される脱水汚泥の含水率(以下、「目標含水率」とも称される)を第1の目標値として取得する。一例として、目標値取得部120は、焼却設備80に設けられた焼却設備80の制御装置等から出力される目標含水率を取得する。
【0047】
(3)汚泥情報取得部130
汚泥情報取得部130は、加温脱水機50で脱水されている汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。例えば、汚泥情報取得部130は、サーモ温度計52から汚泥温度を汚泥情報として取得する。
なお、汚泥情報取得部130は、汚泥温度以外の情報を汚泥情報として取得してもよい。例えば、汚泥情報取得部130は、汚泥混合比、汚泥供給量、高分子凝集剤薬注率(前段又は後段)、高分子凝集剤粘度、及び凝集剤(例えばポリ硫酸第二鉄)の添加率を汚泥情報として取得してもよい。汚泥情報取得部130が取得する汚泥情報の優先度は、例えば、汚泥温度=汚泥混合比>凝集剤の添加率>高分子凝集剤薬注率(前段及び後段)>高分子凝集剤粘度>汚泥供給量の順である。
汚泥情報取得部130が取得する汚泥混合比は、例えば、加温脱水機50に供給される汚泥についての初沈汚泥、余剰汚泥、消化汚泥などの混合比率である。
汚泥情報取得部130が取得する汚泥供給量は、例えば、加温脱水機50に供給される汚泥の供給量である。
汚泥情報取得部130が取得する高分子凝集剤薬注率は、例えば、高分子凝集剤供給装置(不図示)より有機性汚泥Aや濃縮汚泥Dに供給される高分子凝集剤Bの添加率である。ここで、高分子凝集剤薬注率の前段は、例えば有機性汚泥Aへの薬注率であり、高分子凝集剤薬注率の後段は、例えば、濃縮汚泥Dへの薬注率である。
汚泥情報取得部130が取得する高分子凝集剤粘度は、例えば、高分子凝集剤供給装置(不図示)より有機性汚泥Aや濃縮汚泥Dに供給される高分子凝集剤Bの粘度である。
汚泥情報取得部130が取得する凝集剤の添加率は、例えば、濃縮汚泥Dに供給される凝集剤の添加率(濃縮汚泥Dに対する凝集剤の割合)である。
【0048】
(4)記憶部140
記憶部140は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部140は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、NAS(Network Attached Storage)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
図2に示すように、記憶部140は、目標軸トルク決定モデル141を有する。
【0049】
(4-1)目標軸トルク決定モデル141
目標軸トルク決定モデル141は、脱水汚泥の目標含水率と汚泥情報に基づき、加温脱水機50の回転駆動部50cにおける目標軸トルクを決定する。目標軸トルク決定モデル141は、例えば、脱水汚泥の含水率及び汚泥情報と回転駆動部50cの軸トルクとの関係性を機械学習された学習済みモデルである。
即ち、目標軸トルク決定モデル141は、入力データとして脱水汚泥の含水率及び汚泥情報が入力されると、出力データとして回転駆動部50cの軸トルクを出力可能である。
【0050】
目標軸トルク決定モデル141の入力データとして用いられる汚泥情報は、具体的に、汚泥温度、汚泥混合比、汚泥供給量、高分子凝集剤薬注率、高分子凝集剤粘度、凝集剤の添加率などであり、少なくとも汚泥温度を含む。
【0051】
目標軸トルク決定モデル141には、任意の機械学習の手法が適用されてよい。任意の機械学習の手法とは、例えば、線形回帰、サポートベクターマシン回帰、ガウス過程回帰、決定木、ニューラルネットワークなどである。
なお、目標軸トルク決定モデル141は、機械学習された学習済みモデルに限定されない。例えば、目標軸トルク決定モデル141は、回帰モデル、回帰演算式、分類モデルなどであってもよい。
【0052】
(5)目標値決定部150
目標値決定部150は、目標値取得部120によって取得された第1の目標値と汚泥情報取得部130によって取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。
図2に示すように、目標値決定部150は、目標軸トルク決定部151のみを備える。
【0053】
(5-1)目標軸トルク決定部151
目標軸トルク決定部151は、目標値取得部120によって取得された目標含水率(第1の目標値)と汚泥情報取得部130によって取得された汚泥情報の関係から目標軸トルクを決定する。例えば、目標軸トルク決定モデル141を用いて目標軸トルクを決定する。第1の実施形態では、目標軸トルク決定部151は、機械学習された目標軸トルク決定モデル141を用いるものとする。具体的に、目標軸トルク決定部151は、目標含水率と汚泥情報を入力データとして目標軸トルク決定モデル141へ入力して出力される軸トルクを、目標軸トルクと決定する。
【0054】
(6)制御部160
制御部160は、目標軸トルク決定部151によって決定された目標軸トルク(第2の目標値)に応じて、制御対象を制御することで回転駆動部50cの軸トルクを制御(トルク制御)する。例えば、制御部160は、加温脱水機50の回転駆動部50cの軸トルクが目標軸トルクとなるような運転パラメータを決定し、制御対象を制御する。一例として、制御部160は、目標軸トルクに応じて凝集剤の添加率(運転パラメータの一例)を決定し、凝集剤供給ポンプ40(制御対象の一例)を制御する。
また、制御部160は、目標軸トルクに応じて制御対象の凝集剤の添加率を制御した結果に基づき、フィードバック制御を行う。例えば、制御部160は、凝集剤供給ポンプ40の制御後の凝集剤の添加率が目標添加率(決定した運転パラメータ)となっていない場合、制御後の凝集剤の添加率が目標添加率に近づくように、凝集剤供給ポンプ40を制御する。
制御部160は、例えば、PID(Proportional Integral Differential)制御やモデル予測制御によってフィードバック制御を行う。
【0055】
<1-3.制御盤における入出力>
以上、第1の実施形態に係る制御盤100の機能構成について説明した。続いて、
図3を参照して、第1の実施形態に係る制御盤100における入出力について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る制御盤100における入出力の一例を示す図である。
【0056】
図3に示すように、目標軸トルク決定モデル141には、目標含水率と汚泥情報が入力される。目標含水率は、目標値取得部120によって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130によって取得されたものである。
目標軸トルク決定モデル141は、入力された脱水汚泥の目標含水率と汚泥情報に基づき、加温脱水機50の回転駆動部50cにおける目標軸トルクを出力する。目標軸トルク決定モデル141から出力された目標軸トルクは、制御部160へ入力される。
制御部160は、入力された目標軸トルクに応じて、例えば、凝集剤の添加率(運転パラメータ)を制御することで、回転駆動部50cの軸トルクを制御(トルク制御)する。この場合の制御対象は具体的に、凝集剤供給ポンプ40から供給される凝集剤の供給量である。
制御部160は、制御対象の制御後の凝集剤の添加率を取得し、フィードバック制御を行う。
【0057】
<1-4.制御盤の動作>
以上、第1の実施形態に係る制御盤100における入出力について説明した。続いて、
図4を参照して、第1の実施形態に係る制御盤100の動作について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る制御盤100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、まず、制御盤100の目標値取得部120は、目標含水率を取得する(ステップS101)。例えば、目標値取得部120は、焼却設備80から目標含水率を取得する。
【0059】
次いで、制御盤100の汚泥情報取得部130は、汚泥情報を取得する(ステップS102)。例えば、汚泥情報取得部130は、サーモ温度計52が測定する汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。
【0060】
次いで、制御盤100の目標軸トルク決定部151は、目標軸トルクを決定する(ステップS103)。例えば、目標軸トルク決定部151は、制御盤100の記憶部140に記憶されている目標軸トルク決定モデル141を用いて、目標軸トルクを決定する。具体的に、目標軸トルク決定部151は、目標値取得部120によって取得された目標含水率と汚泥情報取得部130によって取得された汚泥情報を入力データとして目標軸トルク決定モデル141から出力される軸トルクを、目標軸トルクに決定する。
【0061】
次いで、制御盤100の制御部160は、制御対象制御を行う(ステップS104)。例えば、制御部160は、目標軸トルク決定部151によって決定された目標軸トルクに応じて凝集剤供給ポンプ40から供給される凝集剤の供給量を制御する。
【0062】
次いで、制御部160は、フィードバック制御を行う(ステップS105)。例えば、制御部160は、凝集剤の添加率の制御後に凝集剤流量計によって測定される凝集剤の添加量を取得し、当該凝集剤の添加率が目標の添加率に近づくようにフィードバック制御を行う。
【0063】
以上説明したように、第1の実施形態に係る制御盤100(制御装置)は、目標値取得部120、汚泥情報取得部130、目標値決定部150、及び制御部160を備える。
目標値取得部120は、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130は、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150は、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160は、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0064】
かかる構成により、第1の実施形態に係る制御盤100は、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0065】
よって、第1の実施形態に係る制御盤100は、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0066】
また、第1の実施形態に係る制御盤100は、目標軸トルク決定モデル141を用いて目標軸トルクを決定する目標軸トルク決定部151を備える。これにより、制御盤100は、精度よく目標軸トルクを決定することができる。
【0067】
<<2.第2の実施形態>>
以上、第1の実施形態について説明した。続いて、
図5から
図8を参照して、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、第2の目標値の決定に目標運転パラメータ決定モデルのみを用いる例について説明する。なお、以下では、第1の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0068】
<2-1.加温脱水システムの構成>
第2の実施形態に係る加温脱水システムの構成は、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0069】
<2-2.制御盤の機能構成>
以上、第2の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明した。続いて、
図5を参照して、第2の実施形態に係る制御盤100aの機能構成について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る制御盤100aの機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御盤100aは、通信部110、目標値取得部120a、汚泥情報取得部130a、記憶部140a、目標値決定部150a、制御部160a、及び制御対象優先度決定部170を備える。
【0070】
(1)通信部110
第2の実施形態に係る通信部110の機能は、第1の実施形態に係る通信部110の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0071】
(2)目標値取得部120a
目標値取得部120aは、例えば、焼却炉81にて所望されている含水率の脱水汚泥を得るために必要な軸トルク(以下、「目標軸トルク」とも称される)を第1の目標値として取得する。一例として、目標値取得部120は、焼却設備80に設けられた焼却設備80の制御装置等から出力される目標軸トルクを取得する。
【0072】
(3)汚泥情報取得部130a
汚泥情報取得部130aは、例えば、汚泥温度、汚泥混合比、汚泥供給量などを汚泥情報として取得する。汚泥情報取得部130aが取得する汚泥情報の優先度は、例えば、汚泥温度=汚泥混合比>>汚泥供給量の順である。
【0073】
(4)記憶部140a
図5に示すように、記憶部140aは、目標運転パラメータ決定モデル142を有する。
【0074】
(4-1)目標運転パラメータ決定モデル142
目標運転パラメータ決定モデル142は、加温脱水機50の回転駆動部50cの目標軸トルクと汚泥情報に基づき、目標運転パラメータを決定する。目標運転パラメータ決定モデル142は、例えば、回転駆動部50cの軸トルク及び汚泥情報と運転パラメータとの関係性を機械学習された学習済みモデルである。
即ち、目標運転パラメータ決定モデル142は、入力データとして回転駆動部50cの軸トルク及び汚泥情報が入力されると、出力データとして運転パラメータを出力可能である。
【0075】
目標運転パラメータ決定モデル142の入力データとして用いられる汚泥情報は、具体的に、汚泥温度、汚泥混合比、汚泥供給量などであり、少なくとも汚泥温度を含む。
運転パラメータは、凝集剤の添加率、圧入圧力、背圧閉止率、差速、遠心加速度、汚泥供給量、熱媒温度、熱媒流量、高分子凝集剤薬注率などである。
【0076】
目標運転パラメータ決定モデル142が出力する運転パラメータは、例えば、汚泥脱水機の種類に応じて設定される。例えば、汚泥脱水機全般においては、凝集剤の添加率、汚泥供給量、及び高分子凝集剤薬注率が目標運転パラメータ決定モデル142から出力されるように設定される。また、汚泥脱水機が金属ろ材系脱水機である場合、圧入圧力及び背圧閉止率が目標運転パラメータ決定モデル142から出力されるように設定される。また、汚泥脱水機が遠心脱水機である場合、差速及び遠心加速度が目標運転パラメータ決定モデル142から出力されるように設定される。また、汚泥脱水機が加温脱水機である場合、熱媒温度及び熱媒流量が目標運転パラメータ決定モデル142から出力されるように設定される。
【0077】
目標運転パラメータ決定モデル142には、任意の機械学習の手法が適用されてよい。任意の機械学習の手法とは、例えば、線形回帰、サポートベクターマシン回帰、ガウス過程回帰、決定木、ニューラルネットワークなどである。
なお、目標運転パラメータ決定モデル142は、機械学習された学習済みモデルに限定されない。例えば、目標運転パラメータ決定モデル142は、回帰モデル、回帰演算式、分類モデルなどであってもよい。
【0078】
(5)目標値決定部150a
目標値決定部150aは、目標値取得部120aによって取得された第1の目標値と汚泥情報取得部130aによって取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。
図5に示すように、目標値決定部150aは、目標運転パラメータ決定部152のみを備える。
【0079】
(5-1)目標運転パラメータ決定部152
目標運転パラメータ決定部152は、目標値取得部120aによって取得された目標軸トルク(第1の目標値)と汚泥情報取得部130aによって取得された汚泥情報の関係から目標運転パラメータを決定する。例えば、目標運転パラメータ決定モデル142を用いて目標運転パラメータを決定する。第2の実施形態では、目標運転パラメータ決定部152は、機械学習された目標運転パラメータ決定モデル142を用いるものとする。具体的に、目標運転パラメータ決定部152は、目標軸トルクと汚泥情報を入力データとして目標運転パラメータ決定モデル142へ入力して出力される運転パラメータを、目標運転パラメータと決定する。
【0080】
(6)制御部160a
制御部160aは、目標運転パラメータ決定部152によって決定された目標運転パラメータ(第2の目標値)に応じて、制御対象を制御することで回転駆動部50cの軸トルクを制御する。
例えば、運転パラメータに凝集剤の添加率が含まれる場合、制御部160aは、凝集剤供給ポンプ40(制御対象)を制御することで、凝集剤供給ポンプ40から供給される凝集剤の量を調整して凝集剤の添加率を調整する。
また、運転パラメータに圧入圧力が含まれる場合、制御部160aは、リボンスクリュー50d(制御対象)の回転数を制御することで、圧入圧力を調整する。
また、運転パラメータに背圧閉止率が含まれる場合、制御部160aは、背圧板50G(制御対象)を制御することで、背圧板50Gの開度を調整して背圧閉止率を調整する。
また、運転パラメータに差速が含まれる場合、制御部160aは、遠心脱水機においてスクリューコンベア(制御対象)の回転速度を制御することで、差速を調整する。
また、運転パラメータに遠心加速度が含まれる場合、制御部160aは、遠心脱水機においてボウル(制御対象)の速度を制御することで、遠心加速度を調整する。
また、運転パラメータに汚泥供給量が含まれる場合、制御部160aは、濃縮汚泥供給ポンプ30(制御対象)を制御することで、濃縮汚泥供給ポンプ30から供給される濃縮汚泥Dの量を調整して汚泥供給量を調整する。
また、運転パラメータに熱媒温度が含まれる場合、制御部160aは、例えば熱媒供給設備(不図示、制御対象)からボイラ82へ供給する熱媒の量を制御することで、熱媒温度を調整する。
また、運転パラメータに熱媒流量が含まれる場合、制御部160aは、熱媒供給ポンプ60を制御することで、熱媒供給ポンプ60から供給される熱媒(温水H)の量を調整して熱媒流量を調整する。
また、運転パラメータに高分子凝集剤薬注率が含まれる場合、制御部160aは、高分子凝集剤供給ポンプ(不図示、制御対象)を制御することで、有機性汚泥A又は濃縮汚泥Dに供給される高分子凝集剤Bの量を調整して高分子凝集剤薬注率を調整する。
【0081】
また、制御部160aは、目標運転パラメータに応じて制御対象を制御した結果に基づき、フィードバック制御を行う。一例として、制御部160aは、凝集剤供給ポンプ40の制御後の凝集剤の添加率が目標運転パラメータとなっていない場合、制御後の凝集剤の添加率が目標運転パラメータに近づくように、凝集剤供給ポンプ40を制御する。他の制御対象に対するフィードバック制御も同様である。
【0082】
(7)制御対象優先度決定部170
制御対象優先度決定部170は、決定された目標運転パラメータが複数ある場合、各目標運転パラメータに対応する制御対象を制御する優先度を決定する。
【0083】
ここで、
図6を参照して、制御対象の優先度について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る制御対象の優先度の制御の一例を示す図である。
図6に示すグラフの縦軸には各制御対象の制御出力、横軸には制御部の制御出力が示されている。なお、
図6には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0084】
図6に示すように、制御出力の優先度(即ち制御対象の優先度)は、優先度が高い方から順に圧入圧力、背圧閉止率、凝集剤の添加率と設定されている。
優先度は、コストや制御性を考慮して設定される。コストを考慮する場合、コストが高い制御出力は優先度が低く設定され、コストが低い制御出力は優先度が高く設定される。例えば、
図6に示す凝集剤の添加率の場合、凝集剤の添加率を上げるために凝集剤を添加する必要があるが、凝集剤のコストが高いため、優先度が低く設定されている。制御性を考慮する場合、制御性が高い制御出力の優先度が高く設定され、制御性が低い制御出力の優先度が低く設定される。例えば、制御量の変化と制御対象のトルクの変化との関係の再現性が高い制御出力や、応答が速い制御出力は制御性が高いと評価される。
各制御対象の制御出力の動作開始及び動作終了のタイミングや、制御量の変化率である傾きは、設備の特性や対象汚泥の状況により調整される。
制御開始時の制御出力は、目標運転パラメータ決定モデル142によって、入力される目標軸トルクに適した出力がされる。目標運転パラメータ決定モデル142の精度による誤差は、制御部160aによるトルク制御(フィードバック制御)によって調整される。
目標運転パラメータ決定部152は、目標運転パラメータ決定モデル142を用いることで、過去の運転データや運転員のノウハウから最適な制御量を瞬時に出力するこができる。
制御盤100aによる自動制御を介する前に、手動で各制御量をバラバラに操作している場合、制御盤100aによる自動制御を開始することで標準的な運転に切り替えることが可能である。なお、
図6に示す制御をIF・THENルールのように条件分岐しても良い。
【0085】
<2-3.制御盤における入出力>
以上、第2の実施形態に係る制御盤100aの機能構成について説明した。続いて、
図7を参照して、第2の実施形態に係る制御盤100aにおける入出力について説明する。
図7は、第2の実施形態に係る制御盤100aにおける入出力の一例を示す図である。なお、
図7には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0086】
図7に示すように、目標運転パラメータ決定モデル142には、目標軸トルクと汚泥情報が入力される。目標軸トルクは、目標値取得部120aによって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130aによって取得されたものである。
目標運転パラメータ決定モデル142は、入力された目標軸トルクと汚泥情報に基づき、目標運転パラメータを出力する。目標運転パラメータ決定モデル142から出力された目標運転パラメータは、制御対象優先度決定部170へ入力される。
制御対象優先度決定部170は、制御対象優先度に応じて、目標運転パラメータを制御部160aへ入力する。
制御部160aは、入力された目標運転パラメータに応じて、制御対象を制御する。また、制御部160aは、各制御後に各制御対象にて測定される運転パラメータの測定値を取得し、当該測定値が目標運転パラメータに近づくようにフィードバック制御を行う。
【0087】
<2-4.制御盤の動作>
以上、第2の実施形態に係る制御盤100aにおける入出力について説明した。続いて、
図8を参照して、第2の実施形態に係る制御盤100aの動作について説明する。
図8は、第2の実施形態に係る制御盤100aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図8に示すように、まず、制御盤100aの目標値取得部120aは、目標軸トルクを取得する(ステップS201)。例えば、目標値取得部120aは、焼却設備80から目標軸トルクを取得する。
【0089】
次いで、制御盤100aの汚泥情報取得部130aは、汚泥情報を取得する(ステップS202)。例えば、汚泥情報取得部130aは、サーモ温度計52が測定する汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。
【0090】
次いで、制御盤100aの目標運転パラメータ決定部152は、目標運転パラメータを決定する(ステップS203)。例えば、目標運転パラメータ決定部152は、制御盤100の記憶部140aに記憶されている目標運転パラメータ決定モデル142を用いて、目標運転パラメータを決定する。具体的に、目標運転パラメータ決定部152は、目標値取得部120aによって取得された目標軸トルクと汚泥情報取得部130aによって取得された汚泥情報を入力データとして目標運転パラメータ決定モデル142から出力される運転パラメータを、目標運転パラメータに決定する。
【0091】
次いで、制御盤100aの制御対象優先度決定部170は、各目標運転パラメータに対応する制御対象を制御する優先度を決定する(ステップS204)。
【0092】
次いで、制御盤100aの制御部160aは、制御対象の制御を行う(ステップS205)。例えば、制御部160aは、制御対象優先度決定部170によって決定された優先度に応じて、目標運転パラメータ決定部152によって決定された目標運転パラメータに応じた各制御対象を制御する。
【0093】
次いで、制御部160aは、フィードバック制御を行う(ステップS206)。例えば、制御部160aは、各制御後に各制御対象にて測定される測定値を取得し、当該測定値が目標運転パラメータに近づくようにフィードバック制御を行う。
【0094】
以上説明したように、第2の実施形態に係る制御盤100a(制御装置)は、目標値取得部120a、汚泥情報取得部130a、目標値決定部150a、及び制御部160aを備える。
目標値取得部120aは、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130aは、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150aは、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160aは、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0095】
かかる構成により、第2の実施形態に係る制御盤100aは、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0096】
よって、第2の実施形態に係る制御盤100aは、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0097】
また、第2の実施形態に係る制御盤100aは、目標運転パラメータ決定モデル142を用いて目標運転パラメータを決定する目標運転パラメータ決定部152を備える。これにより、制御盤100aは、運転パラメータの制御によって軸トルクが目標軸トルクに到達するまでの時間を短縮することができる。
【0098】
<<3.第3の実施形態>>
以上、第2の実施形態について説明した。続いて、
図9から
図11を参照して、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第2の目標値の決定に目標軸トルク決定モデル141及び目標運転パラメータ決定モデル142を用いる例について説明する。なお、以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0099】
<3-1.加温脱水システムの構成>
第3の実施形態に係る加温脱水システムの構成は、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0100】
<3-2.制御盤の機能構成>
以上、第3の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明した。続いて、
図9を参照して、第3の実施形態に係る制御盤100bの機能構成について説明する。
図9は、第3の実施形態に係る制御盤100bの機能構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、制御盤100bは、通信部110、目標値取得部120、汚泥情報取得部130b、記憶部140b、目標値決定部150b、制御部160b、及び制御対象優先度決定部170を備える。
【0101】
(1)通信部110
第3の実施形態に係る通信部110の機能は、第1の実施形態に係る通信部110の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0102】
(2)目標値取得部120
第3の実施形態に係る目標値取得部120の機能は、第1の実施形態に係る目標値取得部120の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0103】
(3)汚泥情報取得部130b
汚泥情報取得部130bは、例えば、第1の実施形態に係る汚泥情報取得部130の機能と第2の実施形態に係る汚泥情報取得部130aの機能とを有する。そのため、重複する説明は省略する。
【0104】
(4)記憶部140b
図9に示すように、記憶部140bは、目標軸トルク決定モデル141及び目標運転パラメータ決定モデル142を有する。
【0105】
(4-1)目標軸トルク決定モデル141
第3の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能は、第1の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0106】
(4-2)目標運転パラメータ決定モデル142
第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能は、第2の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142は、目標値取得部120が取得した目標軸トルクを入力データに用いない。第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142は、目標軸トルク決定モデル141によって決定された目標軸トルクと汚泥情報取得部130bによって取得された汚泥情報とを入力データとして用いる。
【0107】
(5)目標値決定部150b
目標値決定部150bは、目標値取得部120によって取得された第1の目標値と汚泥情報取得部130bによって取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。
図9に示すように、目標値決定部150bは、目標軸トルク決定部151及び目標運転パラメータ決定部152を備える。
【0108】
(5-1)目標軸トルク決定部151
第3の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能は、第1の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0109】
(5-2)目標運転パラメータ決定部152
第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能は、第2の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152は、目標値取得部120が取得した目標軸トルクを目標運転パラメータ決定モデル142の入力データとして用いない。第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152は、目標軸トルク決定モデル141によって決定された目標軸トルクと汚泥情報取得部130bによって取得された汚泥情報とを目標運転パラメータ決定モデル142の入力データとして用いる。
【0110】
(6)制御部160b
制御部160bは、例えば、第1の実施形態に係る制御部160の機能と第2の実施形態に係る制御部160aの機能とを有する。そのため、重複する説明は省略する。
【0111】
(7)制御対象優先度決定部170
第3の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能は、第2の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0112】
<3-3.制御盤における入出力>
以上、第3の実施形態に係る制御盤100bの機能構成について説明した。続いて、
図10を参照して、第3の実施形態に係る制御盤100bにおける入出力について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る制御盤100bにおける入出力の一例を示す図である。なお、
図10には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0113】
図10に示すように、目標軸トルク決定モデル141には、目標含水率と汚泥情報が入力される。目標含水率は、目標値取得部120によって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130bによって取得されたものである。
目標運転パラメータ決定モデル142には、目標軸トルクと汚泥情報が入力される。目標軸トルクは、目標軸トルク決定モデル141によって決定されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130bによって取得されたものである。
目標運転パラメータ決定モデル142は、入力された目標軸トルクと汚泥情報に基づき、目標運転パラメータを出力する。目標運転パラメータ決定モデル142から出力された目標運転パラメータは、制御対象優先度決定部170へ入力される。
制御対象優先度決定部170は、制御対象優先度に応じて、目標運転パラメータを制御部160bへ入力する。
制御部160bは、入力された目標運転パラメータに応じて、制御対象を制御する。また、制御部160bは、各制御後に各制御対象にて測定される運転パラメータの測定値を取得し、当該測定値が目標運転パラメータに近づくようにフィードバック制御を行う。
【0114】
<3-4.制御盤の動作>
以上、第3の実施形態に係る制御盤100bにおける入出力について説明した。続いて、
図11を参照して、第3の実施形態に係る制御盤100bの動作について説明する。
図11は、第3の実施形態に係る制御盤100bの動作の一例を示すフローチャートである。
【0115】
図11に示すように、まず、制御盤100bの目標値取得部120は、目標含水率を取得する(ステップS301)。例えば、目標値取得部120は、焼却設備80から目標含水率を取得する。
【0116】
次いで、制御盤100bの汚泥情報取得部130bは、汚泥情報を取得する(ステップS302)。例えば、汚泥情報取得部130bは、サーモ温度計52が測定する汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。
【0117】
次いで、制御盤100bの目標軸トルク決定部151は、目標軸トルクを決定する(ステップS303)。例えば、目標軸トルク決定部151は、制御盤100bの記憶部140bに記憶されている目標軸トルク決定モデル141を用いて、目標軸トルクを決定する。具体的に、目標軸トルク決定部151は、目標値取得部120によって取得された目標含水率と汚泥情報取得部130bによって取得された汚泥情報を入力データとして目標軸トルク決定モデル141から出力される軸トルクを、目標軸トルクに決定する。
【0118】
次いで、制御盤100bの目標運転パラメータ決定部152は、目標運転パラメータを決定する(ステップS304)。例えば、目標運転パラメータ決定部152は、制御盤100bの記憶部140bに記憶されている目標運転パラメータ決定モデル142を用いて、目標運転パラメータを決定する。具体的に、目標運転パラメータ決定部152は、目標軸トルク決定モデル141によって決定された目標軸トルクと汚泥情報取得部130bによって取得された汚泥情報を入力データとして目標運転パラメータ決定モデル142から出力される運転パラメータを、目標運転パラメータに決定する。
【0119】
次いで、制御盤100bの制御対象優先度決定部170は、各目標運転パラメータに対応する制御対象を制御する優先度を決定する(ステップS305)。
【0120】
次いで、制御盤100bの制御部160bは、制御対象の制御を行う(ステップS306)。例えば、制御部160bは、制御対象優先度決定部170によって決定された優先度に応じて、目標運転パラメータ決定部152によって決定された目標運転パラメータに応じた各制御対象を制御する。
【0121】
次いで、制御部160bは、フィードバック制御を行う(ステップS307)。例えば、制御部160bは、各制御後に各制御対象にて測定される測定値を取得し、当該測定値が目標運転パラメータに近づくようにフィードバック制御を行う。
【0122】
以上説明したように、第3の実施形態に係る制御盤100b(制御装置)は、目標値取得部120、汚泥情報取得部130b、目標値決定部150b、及び制御部160bを備える。
目標値取得部120は、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130bは、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150bは、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160bは、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0123】
かかる構成により、第3の実施形態に係る制御盤100bは、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0124】
よって、第3の実施形態に係る制御盤100bは、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0125】
また、第3の実施形態に係る制御盤100bは、目標軸トルク決定モデル141を用いて目標軸トルクを決定する目標軸トルク決定部151と目標運転パラメータ決定モデル142を用いて目標運転パラメータを決定する目標運転パラメータ決定部152を備える。これにより、制御盤100bは、第1の実施形態に係る制御盤100と第2の実施形態に係る制御盤100aと比較し、軸トルクの制御に加えて運転パラメータの制御も行うことで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率をより精度高く制御することができる。
【0126】
<<4.第4の実施形態>>
以上、第3の実施形態について説明した。続いて、
図12から
図14を参照して、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、第2の目標値の決定に目標軸トルク決定モデル141のみを用いる場合に、制御対象の運転パラメータを調整することで軸トルクを制御した結果に基づき、制御対象の運転パラメータを再調整する例について説明する。なお、以下では、第1~第3の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0127】
<4-1.加温脱水システムの構成>
第4の実施形態に係る加温脱水システムの構成は、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0128】
<4-2.制御盤の機能構成>
以上、第4の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明した。続いて、
図12を参照して、第4の実施形態に係る制御盤100cの機能構成について説明する。
図12は、第4の実施形態に係る制御盤100cの機能構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、制御盤100cは、通信部110、目標値取得部120、汚泥情報取得部130、記憶部140、目標値決定部150、制御部160c、及び制御対象優先度決定部170を備える。
【0129】
(1)通信部110
第4の実施形態に係る通信部110の機能は、第1の実施形態に係る通信部110の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0130】
(2)目標値取得部120
第4の実施形態に係る目標値取得部120の機能は、第1の実施形態に係る目標値取得部120の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0131】
(3)汚泥情報取得部130
第4の実施形態に係る汚泥情報取得部130の機能は、第1の実施形態に係る汚泥情報取得部130の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0132】
(4)記憶部140
第4の実施形態に係る記憶部140の機能は、第1の実施形態に係る記憶部140の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図12に示すように、第4の実施形態に係る記憶部140は、目標軸トルク決定モデル141を有する。
【0133】
(4-1)目標軸トルク決定モデル141
第4の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能は、第1の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0134】
(5)目標値決定部150
第4の実施形態に係る目標値決定部150の機能は、第1の実施形態に係る目標値決定部150の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図12に示すように、第4の実施形態に係る目標値決定部150は、目標軸トルク決定部151を備える。
【0135】
(5-1)目標軸トルク決定部151
第4の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能は、第1の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0136】
(6)制御部160c
制御部160cは、第1~第3の実施形態の各制御部の機能と同様の機能を有するため、重複する説明は省略する。
【0137】
制御部160cは、制御対象の運転パラメータを調整することで回転駆動部50cの軸トルクが決定された目標軸トルクとなるように制御された結果に基づき、制御対象の運転パラメータを再調整するためのフィードバック制御を行う機能をさらに有する。即ち、制御部160cは、目標軸トルクに基づくトルク制御によって軸トルクが目標軸トルクとならなかった場合に、トルク制御のフィードバック制御によって運転パラメータを調整することで、軸トルクを目標軸トルクに近づける制御を行う。これにより、制御部160cは、軸トルクが目標軸トルクとなるまでの時間を短縮することができる。
制御部160cは、例えば、PID制御やモデル予測制御によってフィードバック制御を行う。
制御部160cのフィードバック制御によって制御される運転パラメータは、例えば、凝集剤の添加率、圧入圧力、背圧閉止率、差速、遠心加速度、汚泥供給量、熱媒温度、熱媒流量、高分子凝集剤薬注率などである。
【0138】
(7)制御対象優先度決定部170
第4の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能は、第2の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第4の実施形態に係る制御対象優先度決定部170は、制御部160cによって決定された目標運転パラメータに基づき制御対象の優先度を決定する。
【0139】
<4-3.制御盤における入出力>
以上、第4の実施形態に係る制御盤100cの機能構成について説明した。続いて、
図13を参照して、第4の実施形態に係る制御盤100cにおける入出力について説明する。
図13は、第4の実施形態に係る制御盤100cにおける入出力の一例を示す図である。なお、
図13には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0140】
図13に示すように、目標軸トルク決定モデル141には、目標含水率と汚泥情報が入力される。目標含水率は、目標値取得部120によって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130によって取得されたものである。
目標軸トルク決定モデル141は、入力された脱水汚泥の目標含水率と汚泥情報に基づき、加温脱水機50の回転駆動部50cにおける目標軸トルクを出力する。目標軸トルク決定モデル141から出力された目標軸トルクは、制御部160cへ入力される。
制御部160cは、目標軸トルク決定モデル141から入力された目標軸トルクと、制御対象の制御後に測定された軸トルクとの少なくともいずれかに基づき、目標運転パラメータを出力する。制御部160cから出力された目標運転パラメータは、制御対象優先度決定部170へ入力される。
制御対象優先度決定部170は、制御対象優先度に応じて、目標運転パラメータを制御部160cへ入力する。
制御部160cは、入力された目標運転パラメータに応じて、制御対象を制御することでトルク制御を行う。制御部160cは、制御対象の制御後の軸トルクの測定値を取得し、フィードバック制御を行う。
【0141】
<4-4.制御盤の動作>
以上、第4の実施形態に係る制御盤100cにおける入出力について説明した。続いて、
図14を参照して、第4の実施形態に係る制御盤100cの動作について説明する。
図14は、第4の実施形態に係る制御盤100cの動作の一例を示すフローチャートである。
【0142】
図14に示すステップS401からステップS403の処理は、
図4を参照して説明したステップS101からステップS103の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0143】
ステップS403の後、制御盤100cの制御部160cは、目標運転パラメータを決定する(ステップS404)。例えば、制御部160cは、目標軸トルクに基づき、目標運転パラメータを決定する。
【0144】
次いで、制御盤100cの制御対象優先度決定部170は、制御部160cが決定した各目標運転パラメータに対応する制御対象を制御する優先度を決定する(ステップS405)。
【0145】
次いで、制御盤100cの制御部160cは、制御対象の制御を行う(ステップS406)。例えば、制御部160cは、制御対象優先度決定部170によって決定された優先度に応じて、制御部160cによって決定された目標運転パラメータに応じた各制御対象を制御する。
【0146】
次いで、制御部160cは、フィードバック制御を行う(ステップS407)。例えば、制御部160bは、各制御後に各制御対象にて測定される測定値を取得し、当該測定値が目標軸トルクや目標運転パラメータに近づくようにフィードバック制御を行う。
【0147】
以上説明したように、第4の実施形態に係る制御盤100c(制御装置)は、目標値取得部120、汚泥情報取得部130、目標値決定部150、及び制御部160cを備える。
目標値取得部120は、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130は、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150は、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160cは、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0148】
かかる構成により、第4の実施形態に係る制御盤100cは、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0149】
よって、第4の実施形態に係る制御盤100cは、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0150】
また、第4の実施形態に係る制御盤100cの制御部160cは、目標軸トルク決定モデル141が決定した目標軸トルクに基づく運転パラメータの調整後に測定する軸トルクに基づき、フィードバック制御を行う。これにより、制御盤100cは、トルク制御後の軸トルクの測定値に基づき運転パラメータを再調整することで、軸トルクが目標軸トルクに到達するまでの時間を短縮することができる。
【0151】
<<5.第5の実施形態>>
以上、第4の実施形態について説明した。続いて、
図15から
図17を参照して、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第2の目標値の決定に目標運転パラメータ決定モデル142のみを用いる場合に、制御対象の運転パラメータを調整することで軸トルクを制御した結果に基づき、制御対象の運転パラメータを再調整(補正)する例について説明する。なお、以下では、第1~第4の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0152】
<5-1.加温脱水システムの構成>
第5の実施形態に係る加温脱水システムの構成は、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0153】
<5-2.制御盤の機能構成>
以上、第5の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明した。続いて、
図15を参照して、第5の実施形態に係る制御盤100dの機能構成について説明する。
図15は、第5の実施形態に係る制御盤100dの機能構成の一例を示すブロック図である。
図15に示すように、制御盤100dは、通信部110、目標値取得部120d、汚泥情報取得部130、記憶部140d、目標値決定部150d、制御部160d、及び制御対象優先度決定部170を備える。
【0154】
(1)通信部110
第5の実施形態に係る通信部110の機能は、第1の実施形態に係る通信部110の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0155】
(2)目標値取得部120d
第5の実施形態に係る目標値取得部120dの機能は、第2の実施形態に係る目標値取得部120aの機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0156】
(3)汚泥情報取得部130
第5の実施形態に係る汚泥情報取得部130の機能は、第1の実施形態に係る汚泥情報取得部130の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0157】
(4)記憶部140d
第5の実施形態に係る記憶部140dの機能は、第1の実施形態に係る記憶部140の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図15に示すように、第5の実施形態に係る記憶部140dは、目標運転パラメータ決定モデル142を有する。
【0158】
(4-1)目標運転パラメータ決定モデル142
第5の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能は、第2の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0159】
(5)目標値決定部150d
第5の実施形態に係る目標値決定部150dの機能は、第2の実施形態に係る目標値決定部150aの機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図15に示すように、第5の実施形態に係る目標値決定部150dは、目標運転パラメータ決定部152を備える。
【0160】
(5-1)目標運転パラメータ決定部152
第5の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能は、第2の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0161】
(6)制御部160d
制御部160dは、第1~第4の実施形態の各制御部の機能と同様の機能を有するため、重複する説明は省略する。
制御部160dは、目標軸トルクに応じた制御対象の制御結果に基づき、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータを調整(補正)するためのフィードバック制御を行う機能をさらに有する。即ち、制御部160dは、目標軸トルクに基づくトルク制御によって軸トルクが目標軸トルクとならなかった場合に、トルク制御のフィードバック制御により運転パラメータを調整することで、軸トルクを目標軸トルクに近づける制御を行う。これにより、制御部160dは、軸トルクが目標軸トルクとなるまでの時間を短縮することができる。
制御部160dは、例えば、PID制御やモデル予測制御によってフィードバック制御を行う。
制御部160dのフィードバック制御によって制御される運転パラメータは、例えば、凝集剤の添加率、圧入圧力、背圧閉止率、差速、遠心加速度、汚泥供給量、熱媒温度、熱媒流量、高分子凝集剤薬注率などである。
【0162】
(7)制御対象優先度決定部170
第5の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能は、第2の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第5の実施形態に係る制御対象優先度決定部170は、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータが制御部160dによって補正された後の目標運転パラメータに基づき、制御対象の優先度を決定する。
【0163】
<5-3.制御盤における入出力>
以上、第5の実施形態に係る制御盤100dの機能構成について説明した。続いて、
図16を参照して、第5の実施形態に係る制御盤100dにおける入出力について説明する。
図16は、第5の実施形態に係る制御盤100dにおける入出力の一例を示す図である。なお、
図16には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0164】
図16に示すように、制御部160dは、入力された目標軸トルクに応じて、制御対象のトルクを制御(トルク制御)する。
目標運転パラメータ決定モデル142には、目標軸トルクと汚泥情報が入力される。目標軸トルクは、目標値取得部120dによって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130によって取得されたものである。
目標運転パラメータ決定モデル142は、入力された目標軸トルクと汚泥情報に基づき、目標運転パラメータを出力する。
制御部160dは、制御対象の制御後の軸トルクの測定値を取得し、フィードバック制御を行う。制御部160dは、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータを補正する補正値を当該フィードバック制御によって取得する。制御部160dは、取得した補正値で補正した目標運転パラメータを制御対象優先度決定部170へ入力する。
制御対象優先度決定部170は、制御対象優先度に応じて、目標運転パラメータを制御部160dへ入力する。
制御部160dは、入力された目標軸トルクや目標運転パラメータに応じて、制御対象を制御する。制御部160dは、制御対象の制御後の軸トルクの測定値を取得し、フィードバック制御を行う。
【0165】
<5-4.制御盤の動作>
以上、第5の実施形態に係る制御盤100dにおける入出力について説明した。続いて、
図17を参照して、第5の実施形態に係る制御盤100dの動作について説明する。
図17は、第5の実施形態に係る制御盤100dの動作の一例を示すフローチャートである。
【0166】
図17に示すステップS501からステップS503の処理は、
図8を参照して説明したステップS201からステップS203の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0167】
図17に示すステップS504からステップS506の処理は、
図14を参照して説明したステップS405からステップS407の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0168】
次いで、制御部160dは、目標運転パラメータを補正する(ステップS507)。例えば、制御部160dは、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータの補正値をフィードバック制御によって取得する。制御部160dは、取得した補正値で目標運転パラメータを補正する。そして、制御部160dは、補正後の目標運転パラメータを制御対象優先度決定部170へ入力する。
【0169】
以上説明したように、第5の実施形態に係る制御盤100d(制御装置)は、目標値取得部120d、汚泥情報取得部130、目標値決定部150d、及び制御部160dを備える。
目標値取得部120dは、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130は、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150dは、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160dは、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0170】
かかる構成により、第5の実施形態に係る制御盤100dは、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0171】
よって、第5の実施形態に係る制御盤100dは、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0172】
また、第5の実施形態に係る制御盤100dの制御部160dは、目標運転パラメータ決定モデル142が決定した目標運転パラメータを、トルク制御のフィードバック制御の結果に基づき補正する。これにより、制御盤100dは、トルク制御により軸トルクが目標軸トルクに到達するまでの時間を短縮すると共に、より精度高くトルク制御を行うことができる。
【0173】
<<6.第6の実施形態>>
以上、第5の実施形態について説明した。続いて、
図18から
図20を参照して、第6の実施形態について説明する。第6の実施形態では、第2の目標値の決定に目標軸トルク決定モデル141及び目標運転パラメータ決定モデル142を用いる場合に、制御対象の運転パラメータを調整することで軸トルクを制御した結果に基づき、制御対象の運転パラメータを再調整(補正)する例について説明する。なお、以下では、第1~第5の実施形態における説明と重複する説明については、適宜省略する。
【0174】
<6-1.加温脱水システムの構成>
第6の実施形態に係る加温脱水システムの構成は、第1の実施形態に係る加温脱水システム1の構成と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0175】
<6-2.制御盤の機能構成>
以上、第6の実施形態に係る加温脱水システムの構成について説明した。続いて、
図18を参照して、第6の実施形態に係る制御盤100eの機能構成について説明する。
図18は、第6の実施形態に係る制御盤100eの機能構成の一例を示すブロック図である。
図18に示すように、制御盤100eは、通信部110、目標値取得部120、汚泥情報取得部130e、記憶部140e、目標値決定部150e、制御部160e、及び制御対象優先度決定部170を備える。
【0176】
(1)通信部110
第6の実施形態に係る通信部110の機能は、第1の実施形態に係る通信部110の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0177】
(2)目標値取得部120
第6の実施形態に係る目標値取得部120の機能は、第1の実施形態に係る目標値取得部120の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0178】
(3)汚泥情報取得部130e
第6の実施形態に係る汚泥情報取得部130eの機能は、第3の実施形態に係る汚泥情報取得部130bの機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0179】
(4)記憶部140e
第6の実施形態に係る記憶部140eの機能は、第3の実施形態に係る記憶部140bの機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図18に示すように、第6の実施形態に係る記憶部140eは、目標軸トルク決定モデル141及び目標運転パラメータ決定モデル142を有する。
【0180】
(4-1)目標軸トルク決定モデル141
第6の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能は、第3の実施形態に係る目標軸トルク決定モデル141の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0181】
(4-2)目標運転パラメータ決定モデル142
第6の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能は、第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定モデル142の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0182】
(5)目標値決定部150e
第6の実施形態に係る目標値決定部150eの機能は、第3の実施形態に係る目標値決定部150bの機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
図18に示すように、第6の実施形態に係る目標値決定部150eは、目標軸トルク決定部151及び目標運転パラメータ決定部152を備える。
【0183】
(5-1)目標軸トルク決定部151
第6の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能は、第3の実施形態に係る目標軸トルク決定部151の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0184】
(5-2)目標運転パラメータ決定部152
第6の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能は、第3の実施形態に係る目標運転パラメータ決定部152の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0185】
(6)制御部160e
制御部160eは、第1~第5の実施形態の各制御部の機能と同様の機能を有するため、重複する説明は省略する。
制御部160eは、目標軸トルクに応じた制御対象の制御結果に基づき、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータを調整(補正)するためのフィードバック制御を行う機能をさらに有する。即ち、制御部160eは、目標軸トルクに基づくトルク制御によって軸トルクが目標軸トルクとならなかった場合に、トルク制御のフィードバック制御により運転パラメータを調整することで、軸トルクを目標軸トルクに近づける制御を行う。これにより、制御部160eは、軸トルクが目標軸トルクとなるまでの時間を短縮することができる。
制御部160eは、例えば、PID制御やモデル予測制御によってフィードバック制御を行う。
制御部160eのフィードバック制御によって制御される運転パラメータは、例えば、凝集剤の添加率、圧入圧力、背圧閉止率、差速、遠心加速度、汚泥供給量、熱媒温度、熱媒流量、高分子凝集剤薬注率などである。
【0186】
(7)制御対象優先度決定部170
第6の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能は、第2の実施形態に係る制御対象優先度決定部170の機能と同様であるため、重複する説明は省略する。
なお、第6の実施形態に係る制御対象優先度決定部170は、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータが制御部160eによって補正された後の目標運転パラメータに基づき、制御対象の優先度を決定する。
【0187】
<6-3.制御盤における入出力>
以上、第6の実施形態に係る制御盤100eの機能構成について説明した。続いて、
図19を参照して、第6の実施形態に係る制御盤100eにおける入出力について説明する。
図19は、第6の実施形態に係る制御盤100eにおける入出力の一例を示す図である。なお、
図19には、加温脱水機50が金属ろ材系脱水機であって、運転パラメータを凝集剤の添加率と圧入圧力と背圧閉止率とする場合の例が示されている。
【0188】
図19に示すように、目標軸トルク決定モデル141には、目標含水率と汚泥情報が入力される。目標含水率は、目標値取得部120によって取得されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130eによって取得されたものである。目標軸トルク決定モデル141は、入力された目標含水率と汚泥情報から目標軸トルクを出力する。当該目標軸トルクは、制御部160eと目標運転パラメータ決定モデル142へ入力される。
制御部160eは、入力された目標軸トルクに応じて、制御対象のトルクを制御(トルク制御)する。
目標運転パラメータ決定モデル142には、目標軸トルクと汚泥情報が入力される。目標軸トルクは、目標軸トルク決定モデル141によって決定されたものである。汚泥情報は、汚泥情報取得部130eによって取得されたものである。目標運転パラメータ決定モデル142は、入力された目標軸トルクと汚泥情報に基づき、目標運転パラメータを出力する。
制御部160eは、制御対象の制御後の軸トルクの測定値を取得し、フィードバック制御を行う。制御部160eは、目標運転パラメータ決定モデル142によって決定された目標運転パラメータを補正する補正値を当該フィードバック制御によって取得する。制御部160eは、取得した補正値で補正した目標運転パラメータを制御対象優先度決定部170へ入力する。
制御対象優先度決定部170は、制御対象優先度に応じて、目標運転パラメータを制御部160eへ入力する。
制御部160eは、入力された目標軸トルクや目標運転パラメータに応じて、制御対象を制御する。制御部160eは、制御対象の制御後の軸トルクの測定値を取得し、フィードバック制御を行う。
【0189】
<6-4.制御盤の動作>
以上、第6の実施形態に係る制御盤100eにおける入出力について説明した。続いて、
図20を参照して、第6の実施形態に係る制御盤100eの動作について説明する。
図20は、第6の実施形態に係る制御盤100eの動作の一例を示すフローチャートである。
【0190】
図20に示すステップS601からステップS603の処理は、
図4を参照して説明したステップS101からステップS103の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
図20に示すステップS604からステップS608の処理は、
図17を参照して説明したステップS503からステップS507の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0191】
以上説明したように、第6の実施形態に係る制御盤100e(制御装置)は、目標値取得部120、汚泥情報取得部130e、目標値決定部150e、及び制御部160eを備える。
目標値取得部120は、加温脱水機50(汚泥脱水機)で脱水された脱水汚泥を焼却する焼却炉81の運転状態に応じて決定される、加温脱水機50の制御に関する第1の目標値を取得する。汚泥情報取得部130eは、脱水汚泥の温度である汚泥温度を少なくとも含む汚泥情報を取得する。目標値決定部150eは、取得された第1の目標値と取得された汚泥情報の関係から、第1の目標値と相関関係のある制御対象の制御に関する第2の目標値を決定する。制御部160eは、決定された第2の目標値に応じて、制御対象を制御する。
【0192】
かかる構成により、第6の実施形態に係る制御盤100eは、加温脱水機50における汚泥の汚泥温度の変化に応じて加温脱水機50の運転を制御することで、加温脱水機50から排出される脱水汚泥の含水率を一定に保つことができる。
【0193】
よって、第6の実施形態に係る制御盤100eは、汚泥温度が変化した場合も安定した含水率で脱水機を運転することを可能とする。
【0194】
また、第6の実施形態に係る制御盤100eの制御部160dは、目標軸トルク決定モデル141が決定した目標軸トルクに基づき目標運転パラメータ決定モデル142が決定した目標運転パラメータを、トルク制御のフィードバック制御の結果に基づき補正する。これにより、制御盤100eは、トルク制御により軸トルクが目標軸トルクに到達するまでの時間を短縮すると共に、より精度高くトルク制御を行うことができる。
【0195】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述した実施形態における制御盤100及び100a~100e(制御装置)の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0196】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0197】
1…加温脱水システム、10…凝集装置、20…濃縮装置、30…濃縮汚泥供給ポンプ、40…凝集剤供給ポンプ、45…凝集剤流量計、48…圧入圧力センサ、50…加温脱水機、50A…ケーシング、50A1…第1の空間、50A2…第2の空間、50A3…第3の空間、50A4…加温部、50B…濾過スクリーン、50Ba…内濾過スクリーン、50Bb…外濾過スクリーン、50c…回転駆動部、50C…基板、50d…リボンスクリュー、50D…蓋体、50e…連結板、50E…排出室、50f…供給管、50F…排出口、50G…背圧板、50Gs…背圧センサ、50H…排水管、51…トルクセンサ、52…サーモ温度計、55…脱水汚泥ホッパ、60…熱媒供給ポンプ、65…熱媒流量計、70…脱水汚泥供給ポンプ、78…汚泥流量計、81…焼却炉、82…ボイラ、83…排煙処理塔、100,100a~100e…制御盤、110…通信部、120…目標値取得部、120a、120b…目標値取得部、130,130a,130b,130e…汚泥情報取得部、140,140a,140b,140d,140e…記憶部、141…目標軸トルク決定モデル、142…目標運転パラメータ決定モデル、150,150a,150b,150d,150e…目標値決定部、151…目標軸トルク決定部、152…目標運転パラメータ決定部、160,160a~160e…制御部、170…制御対象優先度決定部