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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063307
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】熱移動型放熱材
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20230427BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230427BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20230427BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20230427BHJP
   B32B 15/01 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
H01L23/36 M
B32B9/00 A
B32B15/01 J
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023021169
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2018155819の分割
【原出願日】2018-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】510163396
【氏名又は名称】オゾンセーブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中西 孝太郎
(57)【要約】
【課題】比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる、熱移動型放熱材を提供すること。
【解決手段】発熱部位と、放熱許容部位とを有する装置のための熱移動型放熱材であって、前記熱移動型放熱材は、シート状基材と、前記シート状基材の一面側に設けられた電気絶縁層と、前記電気絶縁層の内部に設けられた熱移動層と、を有する熱移動型放熱材であって、前記熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されている、熱移動型放熱材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部位と、放熱許容部位とを有する装置のための熱移動型放熱材であって、
前記熱移動型放熱材は、
シート状基材と、
前記シート状基材の一面側に設けられた電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の内部に設けられた熱移動層と、
を有する熱移動型放熱材であって、
前記熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されている、熱移動型放熱材。
【請求項2】
前記シート状基材が、断熱積層体である、請求項1に記載の熱移動型放熱材。
【請求項3】
前記熱移動層が、カーボンシートから形成されている、請求項1または2に記載の熱移動型放熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱移動型放熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、ゲーム機器、ラジオ、ICレコーダなど、二次電池や乾電池などの低電流の電源によって駆動する比較的小さな電子機器などの装置では、装置内の集積回路(IC)や中央演算処理装置(CPU)などの部位が発熱し、その熱によって電子部品や電子機器の性能が低下することがある、または熱暴走を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
デスクトップパソコンなどの比較的大きな電子機器であれば、冷却ファンやヒートシンクなどの放熱・冷却部材によって発熱部位から生じた熱を拡散して冷却することができるが、上記のような比較的小さな電子機器では、このような冷却部材を設置することが困難である。
【0004】
そこで、本発明は、比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる、熱移動型放熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る熱移動型放熱材は、
発熱部位と、放熱許容部位とを有する装置のための熱移動型放熱材であって、
前記熱移動型放熱材は、
シート状基材と、
前記シート状基材の一面側に設けられた電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の内部に設けられた熱移動層と、
を有する熱移動型放熱材であって、
前記熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されていることを特徴とする。
本発明に係る熱移動型放熱材によれば、比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる。
【0006】
本発明に係る熱移動型放熱材の一実施形態では、前記シート状基材が、断熱積層体である。
【0007】
本発明に係る熱移動型放熱材の一実施形態では、前記熱移動層が、カーボンシートから形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる、熱移動型放熱材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材の構成を示した断面模式図である。
図2図2は、図1の熱移動型放熱材の使用態様の一例を示した断面模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材に使用し得る、シート状基材としての断熱積層体の一例の構成を示した模式図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材に使用し得る、シート状基材としての断熱積層体の他の例の構成を示した模式図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材の形状を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。これらの記載は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0011】
(熱移動型放熱材)
本発明に係る熱移動型放熱材は、
発熱部位と、放熱許容部位とを有する装置のための熱移動型放熱材であって、
前記熱移動型放熱材は、
シート状基材と、
前記シート状基材の一面側に設けられた電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の内部に設けられた熱移動層と、
を有する熱移動型放熱材であって、
前記熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されていることを特徴とする。
本発明に係る熱移動型放熱材によれば、比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる、熱移動型放熱材を提供することができる。
【0012】
本発明において、「放熱許容部位」とは、放熱されることを許容する部位を意味する。すなわち、放熱許容部位は、発熱部位からの熱を受け取っても装置の性能に影響がない部位である。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材の構成を示した断面模式図であり、例えば、後述する図5の(a)のA-A線での断面図である。図1の熱移動型放熱材1は、シート状基材10と、電気絶縁層としてのポリビニルアルコール層20と、ポリビニルアルコール層20内の熱移動層30とを有する。
【0014】
図2は、図1の熱移動型放熱材の使用態様の一例を示した断面模式図である。図2では、装置の基板100が発熱部位110と放熱許容部位120を有している。そして、図1の熱移動型放熱材1の電気絶縁層であるポリビニルアルコール層20がこれら両方の部位に接するように、ポリビニルアルコール層20が貼りつけられている。図2中の矢印は熱の移動方向を表しており、発熱部位110からの熱が、ポリビニルアルコール層20内の熱移動層30を伝わって熱移動層30内を移動し、放熱許容部位120に接しているポリビニルアルコール層20から放熱許容部位120に放熱されている。
【0015】
上述したように、電池などの低電流の電源によって駆動する比較的小さな電子機器などの装置では、発生する熱量は、それほど大きくないが、発熱部位の近傍に位置する素子などの電子部品にとっては悪影響を及ぼし得る。これに対して、本発明の熱移動型放熱材を用いると、発熱部位からの熱を発熱部位の近傍、すなわち保護対象の電子部品周辺に放熱させずに、保護対象の電子部品から離れた放熱許容部位に放熱させることができる。このような比較的小さな装置では、発生する熱量が小さいため、保護対象の電子部品から離れた放熱許容部位に放熱するだけで、発熱部位近傍に位置する電子部品を熱から保護することができる。
【0016】
本発明に係る熱移動型放熱材の厚みは、適宜調節すればよく、例えば、0.3~2.0mmとすることができる。
【0017】
以下、本発明に係る熱移動型放熱材の各部材について例示説明する。
【0018】
<シート状基材>
シート状基材は、電気絶縁層の基材となる部材である。シート状基材としては、公知のシート状基材を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂シート、板紙、熱収縮シート、後述する断熱積層体などが挙げられる。これらの中でも断熱積層体が好ましい。
【0019】
シート状基材の厚み、寸法および形状は特に限定されず、適宜選択または調節することができる。
【0020】
本発明に係る熱移動型放熱材の一実施形態では、前記シート状基材が、断熱積層体であることが好ましい。これにより熱移動型放熱材の厚み方向(絶縁層側からシート状基材側への)の断熱性をより高めることができる。以下、当該断熱積層体につき、例示説明する。
【0021】
[断熱積層体]
上記断熱積層体は、
第1の基材と、
断熱接着材層と、
第2の基材または機能層と、
がこの順序で積層されてなり、
前記断熱接着材層は、水溶性ポリマーと、当該水溶性ポリマー中に分散したシリカエアロゲルとを含むことが好ましい。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材に使用し得る、シート状基材としての断熱積層体の一例の構成を示した模式図である。図3の断熱積層体200は、第1の基材210と、断熱接着材層220と、第2の基材230とがこの順序で積層されてなる3層構成の断熱積層体である。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材に使用し得る、シート状基材としての断熱積層体の他の例の構成を示した模式図である。図4の断熱積層体200は、第1の基材210と、断熱接着材層220と、機能層240とがこの順序で積層されてなる3層構成の断熱積層体である。
【0024】
[[第1の基材]]
上記第1の基材は、従来公知の板紙、フィルム、カーボンシートなどを適宜選択して用いることができる。
【0025】
板紙は、例えば、JIS P0001に規定の板紙を用いることができる。板紙としては、例えば、白板紙、チップボール、黄色板紙、色板紙などが挙げられる。
【0026】
第1の基材の厚みは、例えば、0.05~2.0mmであればよく、嵩を低くしながら、基材として機能させるために0.1~2.0mmが好ましい。
【0027】
[[断熱接着材層]]
上記断熱接着材層は、水溶性ポリマーと、当該水溶性ポリマー中に分散したシリカエアロゲルとを含み、断熱性と接着性を有する層である。
【0028】
水溶性ポリマーは、断熱接着材層のバインダーとして機能する成分である。水溶性ポリマーとしては、公知の水溶性ポリマーを用いることができる。水溶性ポリマーとしては、例えば、デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、水性ウレタンなどをカチオン化処理および/または両性化処理したものが挙げられるが、特に、PVAが好ましい。水溶性ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
カチオン化デンプンと両性デンプンは、例えば、特開2003-64101号公報(カチオン化デンプン)、特開2001-19701号公報(両性デンプン)などに記載の方法を用いることで得られる。また、カチオン化デンプンは、市販されているものを使用してもよい。例えば、日本食品化工社製のネオタック(登録商標)シリーズなどを使用してもよい。
【0030】
シリカエアロゲルは、シリカ(疎水化などの修飾または変性がされていないシリカ)からなるエアロゲルであり、断熱接着材層に断熱性を付与する成分である。上記断熱積層体では、シリカエアロゲルを用いることによって、シリカエアロゲル以外のエアロゲル、例えば、メチルシリケートからなるエアロゲルやシリカ・アルミナからなるエアロゲルを用いた場合に比べて、優れた断熱性が得られる。シリカエアロゲルとしては、公知のシリカエアロゲルを用いることができる。シリカエアロゲルは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
シリカエアロゲルの密度は、適宜調節すればよいが、例えば、0.5g/cm未満がよく、10~150mg/cmが好ましい。
【0032】
シリカエアロゲルの熱伝導率は、例えば、0.15W/(m・K)以下がよく、0.1W/(m・K)以下が好ましく、0.018~0.06W/(m・K)がより好ましい。
【0033】
シリカエアロゲルの多孔率は、適宜調節すればよいが、例えば、粒子強度と断熱性の観点から、50.0~99.8%であればよく、70~99.8%が好ましく、86~99.8%がより好ましい。
【0034】
シリカエアロゲルの平均粒径は、適宜調節すればよいが、例えば、断熱積層体の嵩を低くしながら、十分な断熱性を得る観点から、2~140μmであればよい。
【0035】
シリカエアロゲルの比表面積は、適宜調節すればよいが、例えば、十分な断熱性を得る観点から、400m/g以上であればよく、断熱積層体の嵩を低くしながら、十分な断熱性を得る観点から、500~1000m/gが好ましく、600~1000m/gがより好ましい。
【0036】
シリカエアロゲルの市販品としては、例えば、キャボット コーポレーション社製の商品名P200からMT1100などが挙げられる。
【0037】
断熱接着材層における水溶性ポリマーとシリカエアロゲルの量は、適宜調節すればよいが、例えば、シリカエアロゲルの質量に対して、水溶性ポリマーの質量を0.1~40質量%とすることができる。断熱接着材層の断熱性を高めながら水溶性ポリマーのバインダーとしての機能を確保する観点から、シリカエアロゲルの質量に対して、水溶性ポリマーの質量が2~30質量%であることが好ましい。
【0038】
断熱接着材層の厚みは、適宜調節すればよいが、例えば、0.05~2.0mmとすればよく、薄さと断熱性の観点から、0.1~1mmが好ましい。
【0039】
断熱接着材層の調製方法は、上述したように、水溶性ポリマーと、当該水溶性ポリマー中に分散したシリカエアロゲルとを含む層を形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、水に水溶性ポリマーを添加して撹拌し、次いでその水溶液にシリカエアロゲルを添加して撹拌してスラリーを得て、そのスラリーを第1の基材、第2の基材、機能層などの基材に塗布して乾燥させることで形成することができる。
【0040】
[[第2の基材]]
上記第2の基材の種類と厚みは、第1の基材と同様である。第1の基材と第2の基材は、種類と厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0041】
[[機能層]]
上記機能層は、上記断熱接着材層とは異なる機能を有する層である。機能層は、それ自体が接着性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0042】
上記断熱積層体は、第1の基材と、断熱接着材層と、第2の基材または機能層とがこの順序で積層されていればよく、第1の基材の断熱接着材層側とは反対側の面、第1の基材と断熱接着材層との間、第2の基材もしくは機能層と断熱接着材層との間、または第2の基材もしくは機能層の断熱接着材層側とは反対側の面に、直接または第2の断熱接着材層やその他の従来公知の接着剤層を介して、第3の基材または第2の機能層などの追加の層が積層されていてもよい。第2の断熱接着材層や第3の基材、第2の機能層などは、それぞれ、上述した断熱接着材層、第1の基材、機能層と材料および厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。断熱積層体を構成する層数は、少なくとも上記3層(第1の基材、断熱接着材層、第2の基材または機能層)を含めばよく、3層、4層、5層、6層、7層またはこれ以上の層数のいずれであってもよい。
【0043】
断熱積層体の寸法および形状は特に限定されず、適宜調節することができる。
【0044】
[断熱積層体の調製方法]
断熱積層体の調製方法は、第1の基材と、断熱接着材層と、第2の基材または機能層とをこの順序で積層できれば特に限定されない。その他の層を有する場合も、その他の層が適当な位置に積層できればよく、調製方法は特に限定されない。また、断熱積層体の調製方法は、枚葉式でもよいし、連続式でもよい。
【0045】
例えば、第1の基材の一面に上述したシリカエアロゲルと水溶性ポリマーとを含む水溶液を塗布し、乾燥させて、断熱接着材層を形成し、その断熱接着材層上に第2の基材または機能層を貼り付けて圧縮することで、断熱積層体を得ることができる。
【0046】
<電気絶縁層>
電気絶縁層は、後述する熱移動層をコーティングして電気絶縁する層である。このような電気絶縁層の材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。PVAは、わずかではあるが蓄熱性を有し、PVAを電気絶縁層の材料として使用すると、熱移動層の許容量を超える発熱部位からの熱をPVAで一時的に蓄熱する。そのため、PVA以外の材料を用いた場合に比べて、PVAを用いた電気絶縁層は、放熱許容部位への経時的な熱の移動を平均化する機能も有する。
【0047】
電気絶縁層の厚みは、特に限定されず、適宜調節することができる。
【0048】
<熱移動層>
熱移動層は、電気絶縁層中に位置する層であり、発熱部位からの熱をその層内で移動させる機能を有する。本発明に係る熱移動型放熱材の熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されている。
【0049】
熱移動層を形成するカーボン系材料としては、例えば、カーボンシートが挙げられる。
【0050】
熱移動層を形成する非鉄金属としては、例えば、銅が挙げられる。これらの材料は、線状の形態で用いてもよいし、粉状の形態で用いてもよい。粉状の形態で用いる場合は、熱の移動性を十分にするため、粉状体どうしが接触して線状または面状になるように形成するのが好ましい。
【0051】
本発明に係る熱移動型放熱材の一実施形態では、前記熱移動層が、カーボンシートから形成されていることが、取り扱いと熱移動層の製造が容易であることから好ましい。
【0052】
熱移動層の形状および寸法は、特に限定されない。例えば、熱移動層の形状は、二次元的な面状でもよいし、一次元的な線状でもよいし、これらの組み合わせでもよい。例えば、線状の材料が間隔を開けて並行にまたは格子状に配列された熱移動層または格子状の熱移動層であってもよい。
【0053】
熱移動層の厚みは、上記電気絶縁層内に配置される厚みであれば特に限定されず、適宜調節することができる。
【0054】
熱移動型放熱材の寸法および形状は特に限定されず、適宜選択または調節することができる。図5は、本発明の一実施形態に係る熱移動型放熱材の形状を示した平面図である。熱移動型放熱材の平面形状は、例えば、方形(線状を含む)(図5の(a))、角の丸い四角形(図5の(b))、円形(図5の(c))、フレーム型(図5の(d))、ドーナツ型(図5の(e))、アーチ型(図5の(f))、L字型(図5の(g))、十字型(図5の(h))、およびパイ(円形の一部切り欠き)型(図5の(i))などが挙げられる。
【0055】
<熱移動型放熱材の製造方法>
熱移動型放熱材の製造方法は、シート状基材の一面側に電気絶縁層が位置し、その電気絶縁層内に熱移動層が位置することができる方法であれば特に限定されない。例えば、シート状基材の一面側に、想定厚みの半分の量の電気絶縁層の材料を塗布または配置し、その電気絶縁層上にカーボンシートなどの熱移動層の材料を配置し、そのカーボンシートを挟み込むように残りの電気絶縁層の材料を塗布または配置して、適宜乾燥させることにより、熱移動型放熱材を製造することができる。熱移動型放熱材の製造方法は、枚葉式でもよいし、連続式でもよい。
【符号の説明】
【0056】
1:熱移動型放熱材
10:シート状基材
20:ポリビニルアルコール層(電気絶縁層)
30:熱移動層
100:装置の基板
110:発熱部位
120:放熱許容部位
200:断熱積層体
210:第1の基材
220:断熱接着材層
230:第2の基材
240:機能層
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、比較的小さな電子機器などの装置の発熱部位に貼り付けて、熱に対して弱い素子などの部品を保護することができる、熱移動型放熱材を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部位と、放熱許容部位とを有する装置のための熱移動型放熱材であって、
前記熱移動型放熱材は、
シート状基材と、
前記シート状基材の一面側に設けられた電気絶縁層と、
前記電気絶縁層の内部に設けられた熱移動層と、
を有する熱移動型放熱材であって、
前記熱移動層は、カーボン系材料、非鉄金属およびこれらの組み合わせからなる群より選択される材料から形成されており、
前記熱移動層が、カーボンシートから形成されており、
前記熱移動層は、前記電気絶縁層によって電気絶縁されている、熱移動型放熱材。
【請求項2】
前記シート状基材が、断熱積層体である、請求項1に記載の熱移動型放熱材。
【請求項3】
前記電気絶縁層が、ポリビニルアルコールからなる、請求項1または2に記載の熱移動型放熱材。