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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063352
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230427BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25B23/14 620J
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033051
(22)【出願日】2023-03-03
(62)【分割の表示】P 2021085148の分割
【原出願日】2014-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩治
(57)【要約】
【課題】工具を用いた作業の状態を把握することのできる作業管理システムを提供する。
【解決手段】作業管理システム1は、制御装置2と、上位装置5と、を備える。制御装置2は、通信部23と、処理部24とを有する。通信部23は、工具3との間、撮像装置41、及び上位装置5との間でそれぞれ通信を行う。処理部24は、工具3により締結部品に与えられる締付トルクと、撮像装置41により撮像された撮像画像とに基づいて、締結部品が正しく締め付けられているか否かを判定する判定処理を実行する。上位装置5は、制御装置2から送信される締付トルクのデータ及び撮像画像のデータを作業毎に記憶することで、作業の履歴を管理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
上位装置と、を備え、
前記制御装置は、
締結部品を締め付ける作業の際に用いられる工具との間、前記作業が行われる作業箇所を撮像する撮像装置、及び前記上位装置との間でそれぞれ通信を行う通信部と、
前記工具により前記締結部品に与えられる締付トルクと、前記撮像装置により撮像された撮像画像とに基づいて、前記締結部品が正しく締め付けられているか否かを判定する判定処理を実行する処理部とを有し、
前記上位装置は、
前記制御装置から送信される前記締付トルクのデータ及び前記撮像画像のデータを前記作業毎に記憶することで、前記作業の履歴を管理する
ことを特徴とする作業管理システム。
【請求項2】
前記上位装置は、前記制御装置から送信される前記工具の情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1記載の作業管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、位置特定サービスを用いて前記制御装置の位置を特定し、
前記上位装置は、前記制御装置から送信される前記制御装置の位置の情報を管理する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に作業管理システム、より詳細には工具を用いた作業の管理を行う作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルト等の締結部品を対象物の予め決められた位置に締め付ける作業において、締め忘れを防ぐための機器や機構を備えた締付工具や締付管理システムが知られており、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の締付管理システムは、締付工具であるトルクレンチと、締付位置情報を管理する管理装置とを備えている。
【0003】
トルクレンチは、締結部品を締め付けた締付トルクを無線通信により管理装置に出力する。また、トルクレンチは、トルクレンチを移動させた場合に、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサから出力される信号に基づいて締付位置を特定し、その締付位置を示す締付位置情報を無線などの通信媒体により管理装置に出力する。管理装置は、トルクレンチから出力された締付位置情報と、締付トルクとを通信媒体により取得し、取得した締付位置情報及び締付トルクを管理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-188858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例では、作業者が工具を用いて締結部品を締め付けた(すなわち、作業者が工具を用いて作業を行った)位置を知ることはできるが、工具を用いた作業の状態を把握することができないという問題があった。例えば、作業者が締結部品を締め付けたと思っていても、実際には締結部品が正しく締め付けられていない場合がある。このような場合、上記従来例では、締結部品が正しく締め付けられているか否かの状態(すなわち、工具を用いた作業の状態)を把握することができない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みて為されており、工具を用いた作業の状態を把握することのできる作業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の作業管理システムは、制御装置と、上位装置と、を備える。前記制御装置は、通信部と、処理部とを有する。前記通信部は、締結部品を締め付ける作業の際に用いられる工具との間、前記作業が行われる作業箇所を撮像する撮像装置、及び前記上位装置との間でそれぞれ通信を行う。前記処理部は、前記工具により前記締結部品に与えられる締付トルクと、前記撮像装置により撮像された撮像画像とに基づいて、前記締結部品が正しく締め付けられているか否かを判定する判定処理を実行する。前記上位装置は、前記制御装置から送信される前記締付トルクのデータ及び前記撮像画像のデータを前記作業毎に記憶することで、前記作業の履歴を管理する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、工具を用いた作業の状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る制御装置及び作業管理システムの概略ブロック図である。
図2】実施形態に係る作業管理システムの一例を示す概略図である。
図3】実施形態に係る作業管理システムにおける工具の一例を示す概略図である。
図4】実施形態に係る作業管理システムにおける工具の一例を示す概略図である。
図5】実施形態に係る作業管理システムの動作を示すフローチャート図である。
図6図6Aは、実施形態に係る作業管理システムにおいて、ねじが正常に締め付けられている状態を示す図で、図6Bは、実施形態に係る作業管理システムにおいて、ねじが正常に締め付けられていない状態を示す図である。
図7図7Aは、部品管理システムの概略図で、図7Bは、実施形態に係る作業管理システムを適用した部品管理システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る制御装置2は、図1図2に示すように、通信部23と、処理部24とを備えている。通信部23は、締結部品(例えば、ねじ10)を締め付ける作業の際に用いられる工具3との間、及び作業が行われる作業箇所を撮像する撮像装置41との間でそれぞれ通信を行う。処理部24は、工具3により締結部品に与えられる締付トルクと、撮像装置41により撮像された撮像画像とに基づいて、作業が正常に行われているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る作業管理システム1は、図1図2に示すように、本実施形態の制御装置2と、工具3と、ウェアラブル端末(wearable device)4とを備えている。工具3は、締付トルクのデータを制御装置2に向けて送信する通信部32を有する。ウェアラブル端末4は、撮像装置41及び撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する通信装置43を有する。
【0012】
以下、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1について詳細に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
本実施形態の作業管理システム1は、図1に示すように、制御装置2と、工具3と、ウェアラブル端末4とを備えている。また、本実施形態の作業管理システム1は、制御装置2との間で通信を行う上位装置5を備えている。
【0014】
制御装置2は、表示部21と、記憶部22と、通信部23と、処理部24とを備えている。表示部21は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成されており、作業者W1に対する指示内容などの各種情報を文字及び画像の少なくとも一方を用いて表示する。本実施形態の制御装置2では、表示部21は、タッチパネル型の液晶ディスプレイで構成されている。
【0015】
記憶部22は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリで構成されており、処理部24で起動するアプリケーション等の各種情報を記憶する。また、記憶部22は、工具3から送信される締付トルクのデータと、ウェアラブル端末4で撮像された撮像画像のデータとを作業箇所毎に記憶する。その他、記憶部22は、締結部品を締め付ける際に要求されるトルク(目標トルク)と、作業者W1が作業を行うべき作業箇所を示す画像(指示画像)のデータと、締結部品が正常に締め付けられた状態を示す画像(目標画像)とを作業箇所毎に記憶する。なお、締結部品とは、例えばねじ10(図6A参照)やボルト等の部材である。
【0016】
記憶部22で記憶するデータの一例を表1に示す。表1は、作業者W1が締結部品としてねじ10を締め付ける作業を行う場合のデータを表している。表1において、「番号」は、それぞれ作業者W1が作業を行う作業箇所毎に付された番号である。また、「規格」は、作業箇所毎に要求される締結部品の規格(例えば、‘M8’,‘M10’等)である。
【0017】
【表1】
【0018】
通信部23は、有線通信の規格及び無線通信の規格(例えば、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標))に対応した通信モジュールで構成されている。本実施形態の制御装置2では、通信部23は、工具3との間、及び上位装置5との間ではそれぞれ無線通信を行い、ウェアラブル端末4との間ではケーブルCA1(図2参照)を介して有線通信を行っている。勿論、通信部23は、ウェアラブル端末4との間でも無線通信を行ってもよいし、工具3との間、及び上位装置5との間でそれぞれケーブル(図示せず)を介して有線通信を行ってもよい。
【0019】
処理部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成されており、記憶部22に記憶されているアプリケーションを起動することで各種処理を実現する。具体的には、処理部24は、記憶部22から指示内容のデータを読み出してウェアラブル端末4に向けて指示信号を送信する処理を実行する。また、処理部24は、工具3により締結部品に与えられる締付トルクと、ウェアラブル端末4で撮像された撮像画像とに基づいて、作業者W1による作業が正常に行われているか否かを判定する判定処理を実行する。判定処理の詳細については後述する。
【0020】
本実施形態の制御装置2は、図2に示すように、タブレット型の携帯端末で構成されている。したがって、本実施形態の制御装置2は、作業者W1が携帯しながら作業を行うことが可能であり、利便性に優れている。勿論、制御装置2をタブレット型の携帯端末に限定する趣旨ではない。例えば、制御装置2は、スマートフォンで構成されていてもよい。また、制御装置2は、携帯端末の他にも、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)や、PC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)等で構成されていてもよい。更に、制御装置2は、少なくとも通信部23と処理部24とを備えていればよく、表示部21及び記憶部22を備えるか否かは任意である。例えば、制御装置2は、表示部21を備えずに、作業者W1に対する作業の指示内容を音声で出力する音声出力部(図示せず)を備えていてもよい。勿論、制御装置2は、音声出力部と表示部21との両方を備えていてもよい。
【0021】
工具3は、締結部品に所定のトルクを与えることで、締結部品をワーク11(図6A参照)に締め付けるように構成されている。なお、ワーク11は、例えば木板や鉄板のように、作業(ここでは、締結部品を締め付ける作業)の対象となる部材を表す。工具3は、図1に示すように、締結部品に与えられる締付トルクを測定する測定部31と、制御装置2との間で通信を行う通信部32とを備えている。
【0022】
工具3としては、例えばトルクレンチや、電動式のインパクトドライバ等が挙げられる。その他、工具3としては、電動式のインパクトレンチなどが挙げられる。なお、インパクトドライバやインパクトレンチは、電動式でなくてもよく、例えば圧縮空気を動力源とした工具であってもよい。更に、工具3は、手動式のスクリュードライバであってもよい。何れの工具3でも、通信部32を有している。なお、工具3は測定部31を有している必要はない。工具3が測定部31を有さない場合は、例えばトルクリミッタ(後述する)で設定された設定トルクを締付トルクとして制御装置2に送信してもよい。
【0023】
以下、工具3の例として、トルクレンチ300及びインパクトドライバ310について図面を用いて簡単に説明する。
【0024】
トルクレンチ300は、図3に示すように、ヘッド301と、腕部303と、把持部304と、ケース308とを備えている。また、腕部303の内部には、磁歪式のロードセル(検出部)305が設けられている。また、ケース308の内部には、CPU(トルク演算部)306と、通信I/F(インタフェース)307とが収納されている。
【0025】
ヘッド301は、作業者W1による締め付け作業の際に、回転中心となる部位である。ヘッド301には、ソケット302Aが取り付けられる差込角302が設けられている。ソケット302Aは、例えばボルト等の締結部品に嵌める部材である。このソケット302Aを差込角302に取り付けた状態でソケット302Aを締結部品に嵌め、ヘッド301を回転させることにより締結部品に所定のトルクを与えることが可能となる。言い換えれば、ヘッド301は、締結部品の規格に応じたソケット302Aが装着され、回転によりソケット302Aを介して締結部品にトルクを与える。なお、差込角302には、締結部品の規格に応じたソケット302Aを適宜取り付けることができる。
【0026】
把持部304は、締結部品を締め付ける際に作業者W1が握る部材であり、作業者W1が握り易い形状に形成されている。腕部303は、把持部304に加えられた力を、ヘッド301を介して締結部品に伝達する棒状の部材である。腕部303の内部には、トルクリミッタ(図示せず)が設けられている。
【0027】
トルクリミッタは、締結部品に加えられるトルクが予め設定されている設定トルクに達すると作動し、過大なトルクが締結部品に加えられないように制限する機構である。なお、トルクリミッタは従来周知の機構であるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、トルクリミッタが作動する設定トルクは、例えば調整摘み(図示せず)により設定することが可能である。このような調整摘みも従来周知であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0028】
ロードセル305は、歪ゲージ(図示せず)を備えている。ロードセル305は、締結部品を締め付ける際に加えられるトルクに応じて僅かに変形する。そして、ロードセル305は、変形することで生じる歪みを歪ゲージにて検出し、この歪みに比例した電気信号をCPU306に出力する。つまり、ロードセル305は、締結部品に加えられるトルクに応じた電気信号を出力する。CPU306は、ロードセル305の出力する電気信号に基づいて、締付トルクを演算する。つまり、トルクレンチ300において、ロードセル305及びCPU306が測定部31に相当する。
【0029】
通信I/F307は、無線通信の規格(例えば、Bluetooth(登録商標))に対応した通信モジュールで構成されている。ここでは、通信I/F307は、アンテナ(図示せず)を用いた無線通信により、CPU306で算出した締付トルクのデータを含む信号を制御装置2に向けて送信するように構成されている。つまり、トルクレンチ300において、通信I/F307が通信部32に相当する。なお、通信I/F307は、ケーブル(図示せず)を介した有線通信により、CPU306で算出した締付トルクのデータを含む信号を制御装置2に向けて送信するように構成されていてもよい。
【0030】
なお、トルクレンチ300は、締付トルク等の情報を表示する液晶ディスプレイ(図示せず)を、ケース308の一面から露出する形で備えていてもよい。この構成では、作業者W1が締付トルクを直ぐに確認することができるので、好ましい。
【0031】
インパクトドライバ310は、図4に示すように、インパクト機構311と、モータ312と、出力軸314と、磁歪式のトルクセンサ316(第1検出部)と、加速度センサ315(第2検出部)と、制御回路317(トルク演算部)とを備えている。また、インパクトドライバ310は、筒形状の胴部318と、胴部318の周面から出力軸314の軸方向と交差する向き(図4における下向き)に突出する握り部319とを備えている。
【0032】
握り部319の一端(図4における下端)には、樹脂製のケース内に充電池321を収納した電池パック320が着脱自在に取り付けられる。インパクトドライバ310は、この充電池321から供給される電力により動作する。具体的には、モータ312及び制御回路317の各々に充電池321から電線323,324を介して電力が供給されることで、インパクトドライバ310が動作する。
【0033】
また、握り部319には、作業者W1が押し込み可能な操作レバー325が設けられている。操作レバー325には、スイッチ回路(図示せず)が機械的に接続されている。スイッチ回路は、作業者W1による操作レバー325の押し込み操作に応じて、操作信号を制御回路317に出力するように構成されている。
【0034】
インパクト機構311は、モータ312の軸313と連結されており、軸313の回転に応じてパルス状の衝撃力を発生させ、発生させた衝撃力を出力軸314に印加するように構成されている。つまり、インパクト機構311は、パルス状の衝撃力を発生させる。モータ312は、例えばブラシ付きのDC(Direct Current)モータ、またはブラシレスのDCモータで構成される。モータ312は、軸313が胴部318の軸線と一致するように、胴部318の内部に収納されている。モータ312には、制御回路317から電線324を介して駆動電流が供給される。また、モータ312の軸313の回転数や回転速度は、制御回路317により制御される。
【0035】
出力軸314は、胴部318の軸線と一致するように、胴部318の一端(図4における左端)に回転自在に取り付けられている。出力軸314は、インパクト機構311から印加される衝撃力により回転するように構成されている。出力軸314の先端には、例えばねじ10やボルト等の締結部品の規格に応じたビット314Aが装着される。このビット314Aを出力軸314に取り付けた状態でビット314Aを締結部品に嵌めることで、インパクトドライバ310を用いて締結部品に所定のトルクを与えることが可能となる。つまり、出力軸314は、締結部品の規格に応じたビット314Aが装着されてインパクト機構311から印加される衝撃力により回転する。
【0036】
トルクセンサ316は、締結部品を締め付ける際に、出力軸314にトルクが加わることで出力軸314に発生する歪みを非接触で検出する。そして、トルクセンサ316は、この歪みに比例した電気信号を、電線322を介して制御回路317に出力する。つまり、トルクセンサ316は、出力軸314に加わるトルクを検出する。
【0037】
加速度センサ315は、例えば出力軸314の一部にDカット加工を施すことにより形成された溝(図示せず)に貼り付ける形で設けられている。加速度センサ315は、出力軸314の円周方向の加速度及び出力軸314の角速度の少なくとも一方を検出する。なお、加速度センサ315は、出力軸314の円周方向の加速度に加えて、出力軸314の径方向の加速度を検出するように構成されていてもよい。
【0038】
また、加速度センサ315に電力を供給し、且つ加速度センサ315の検出値を制御回路317に送信するために、出力軸314には、一対の通信コイル(図示せず)が設けられている。一方の通信コイル(第1通信コイル)は出力軸314の円周面に固定されている。他方の通信コイル(第2通信コイル)は、円筒状に形成されており、その中心に出力軸314が通され、且つ第1通信コイルと対向するように配置されている。
【0039】
制御回路317が第2通信コイルに交流電流を流すと、相互誘導によって第1通信コイルに交流電流が流れる。加速度センサ315は、第1通信コイルに流れる交流電流を直流に変換した後に、例えばコンデンサ(図示せず)に電荷を蓄えておくことで、動作電力を確保する。また、加速度センサ315は、制御回路317から入力される交流電流とは周波数が異なるパルス信号を第1通信コイルに流すことで、第2通信コイル及び電線322を介して制御回路317に検出値を送信する。
【0040】
制御回路317は、マイコン(マイクロコントローラ)と、無線通信の規格(例えば、Bluetooth(登録商標))に対応した通信モジュールとで構成されている。制御回路317は、操作レバー325の押し込み操作に応じてスイッチ回路から出力される操作信号に基づいて、モータ312の軸313の回転を制御する機能を備えている。
【0041】
このインパクトドライバ310では、制御回路317は、トルクセンサ316の検出値と、加速度センサ315の検出値から求めた出力軸314及びビット314Aの慣性トルクとに基づいて、締付トルクを演算する。つまり、インパクトドライバ310において、トルクセンサ316及び加速度センサ315、並びに制御回路317が測定部31に相当する。また、制御回路317は、算出した締付トルクが予め設定された設定トルクに達するとモータ312の動作を停止させる機能を備えている。
【0042】
更に、制御回路317は、アンテナ(図示せず)を用いた無線通信により、算出した締付トルクのデータを含む信号を制御装置2に向けて送信する機能を備えている。つまり、インパクトドライバ310において、制御回路317が通信部32に相当する。なお、制御回路317は、ケーブル(図示せず)を介した有線通信により、算出した締付トルクのデータを含む信号を制御装置2に向けて送信するように構成されていてもよい。
【0043】
ウェアラブル端末4は、例えば眼鏡やゴーグル、ヘルメットといった作業者W1の頭部に装着する機器に撮像装置41及び表示装置42を取り付けて構成されている。本実施形態の作業管理システム1では、ウェアラブル端末4は、図2に示すように眼鏡型の端末で構成されており、撮像装置41と、表示装置42と、通信装置43と、処理装置44とが一体に設けられている。
【0044】
撮像装置41は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いて構成されている。撮像装置41は、その撮像する範囲が表示装置42の表示範囲とほぼ一致しており、且つウェアラブル端末4を装着する作業者W1の視界とほぼ一致するように設けられている。したがって、撮像装置41は、作業者W1の視界に近い範囲を撮像することができる。なお、撮像装置41で撮像する範囲は、厳密には作業者W1の視界とは一致しないため、撮像画像に補正処理を施すことで、撮像した範囲と作業者W1の視界とを一致させるのが好ましい。また、撮像装置41は、図6Aに示すように、撮像画像がワーク11(作業箇所)を施工面に直交する方向(同図における紙面に直交する方向)から見た画像となるように撮像する。なお、「直交」は、厳密な意味で「直交」でなくてもよい。
【0045】
表示装置42は、例えばヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display:HMD)等で構成されており、作業者W1に対する各種情報を文字及び画像の少なくとも一方を用いて表示する。ヘッドマウントディスプレイは、ハーフミラー等を利用して虚像を形成することで映像を観察可能とする投影方式であってもよいし、目の水晶体を利用して網膜に直接結像させる投影方式であってもよい。
【0046】
通信装置43は、有線通信の規格に対応したモジュールで構成されており、ケーブルCA1を介して制御装置2との間で通信を行う。なお、通信装置43は、無線通信の規格(例えば、Bluetooth(登録商標))に対応したモジュールで構成されていてもよい。この場合、制御装置2とウェアラブル端末4との間で無線通信を行うことが可能である。
【0047】
処理装置44は、例えばCPUで構成されており、プログラムを実行することで各種処理を実現する。具体的には、処理装置44は、制御装置2から送信される指示信号に基づいて、撮像装置41に作業箇所を撮像させる処理を実行する。また、処理装置44は、制御装置2から送信される指示信号に含まれるデータに基づいて、作業者W1に対する指示内容を表示装置42に表示させる処理を実行する。その他、処理装置44は、撮像装置41で撮像した撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する処理を実行する。
【0048】
上位装置5は、例えばPLCや、PC、サーバ等で構成されている。上位装置5は、制御装置2との間で通信を行う機能を有している。本実施形態の作業管理システム1では、制御装置2は、上位装置5が備える無線アクセスポイント51(図2参照)を介して上位装置5との間で無線通信を行う。また、上位装置5は、制御装置2から送信されるデータを一括して管理する機能を有している。具体的には、上位装置5は、制御装置2から送信される締付トルクのデータ及び撮像画像のデータを作業毎に記憶することで、作業者W1により行われた作業の履歴を管理する。
【0049】
なお、制御装置2が上位装置5に向けてデータを送信するタイミングは任意である。例えば、制御装置2は、定期的に上位装置5に向けてデータを送信してもよいし、全ての作業が終了した時点で上位装置5に向けてデータを送信してもよい。その他、制御装置2は、上位装置5からデータの送信を要求された時点で、上位装置5に向けてデータを送信してもよい。
【0050】
以下、本実施形態の作業管理システム1の動作について図5を用いて説明する。先ず、作業者W1が作業を開始すべく制御装置2を操作すると、制御装置2の処理部24は、作業内容のデータを含む指示信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する(S1)。なお、制御装置2の処理部24は、作業者W1による工具3及びウェアラブル端末4の何れかの操作をトリガとして‘S1’のフローを実行するように構成されていてもよい。
【0051】
ウェアラブル端末4の処理装置44は、指示信号を受信すると、指示信号に含まれる作業箇所を表す指示画像のデータ、及び作業に必要な指示データ(例えば、ねじ10の規格や規定の締付トルク)を表示装置42に投影(表示)させる処理を実行する(S2)。作業者W1は、表示装置42に投影された指示画像を見ることで、作業箇所を特定する。また、作業者W1は、指示データを見ることで、工具3を用いた作業に必要な準備を行う(S3)。例えば、工具3がインパクトドライバ310であれば、作業者W1は、ねじ10の規格に応じたビット314Aを出力軸314に取り付けたり、設定トルクを設定したりする。
【0052】
次に、作業者W1は、ウェアラブル端末4の撮像装置41を操作する。この操作により、処理装置44は、作業箇所及び作業箇所の周辺を撮像装置41に撮像させる撮像処理を実行する(S4)。このとき、作業者W1は、撮像の前に、作業箇所が視界の中央に位置するように、頭部を動かす等して撮像装置41の位置を調整するのが好ましい。また、表示装置42に撮像範囲の指標となる枠を表示する場合は、作業者W1は、当該枠内に作業箇所が収まるように、頭部を動かす等して撮像装置41の位置を調整する。そして、処理装置44は、撮像した撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する処理を実行する。
【0053】
制御装置2の処理部24は、撮像画像のデータを受信すると、予め記憶してある作業箇所の指示画像と撮像画像とを比較し、作業者W1が正しい作業箇所で作業を行おうとしているか否かを確認する確認処理を実行する(S5)。この確認処理では、例えば撮像画像のデータと、指示画像のデータとを比較して類似度を求める。そして、この確認処理では、求めた類似度が予め設定されている閾値以上であれば正常(作業者W1が正しい作業箇所で作業を行おうとしている)と判定し、閾値未満であれば異常(作業者W1が誤った作業箇所で作業を行おうとしている)と判定する。正常と判定した場合、処理部24は、作業者W1に作業を開始するように指示する開始信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する(S6)。
【0054】
ここで、「類似度」は、撮像画像のデータと指示画像のデータとがどれだけ似ているかを数値化したパラメータであればよい。例えば、撮像画像と指示画像との差分画像を求め、差分画像において濃淡値が所定値よりも小さい画素数を類似度として求めてもよい。また、例えば、撮像画像と指示画像との差分画像を求め、更に差分画像を2値化して2値画像を求め、当該2値画像をラベリングし、ラベリングされた領域の面積を類似度として求めてもよい。
【0055】
なお、異常と判定した場合は、処理部24は、作業者W1に作業箇所を再度撮像するように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する。そして、作業者W1が正しい作業箇所で作業を行おうとしていることを確認できるまで、上述の‘S1’,‘S2’,‘S4’,‘S5’のフローを繰り返す。
【0056】
ウェアラブル端末4の処理装置44は、開始信号を受信すると、作業者W1に作業の開始を促す画像やメッセージを表示装置42に投影させる処理を実行する(S7)。作業者W1は、表示装置42に投影された画像又はメッセージを見ることで、工具3を用いた作業を開始する(S8)。ここでは、作業者W1は、工具3を用いてねじ10をワーク11に締め付ける作業を行う。このとき、工具3の測定部31は、ねじ10を締め付ける際に、ねじ10に与えられる締付トルクを測定する。作業が終了すると、工具3の通信部32は、測定部31で測定された締付トルクのデータを制御装置2に向けて送信する処理を実行する(S9)。
【0057】
締付トルクのデータを受信すると、制御装置2の処理部24は、作業者W1による作業が終了したと判定し、作業者W1に作業後の作業箇所を撮像するように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する(S10)。当該信号を受信すると、ウェアラブル端末4の処理装置44は、作業者W1に作業箇所を撮像するように促す画像やメッセージを表示装置42に投影させる処理を実行する。
【0058】
作業者W1は、表示装置42に表示された画像又はメッセージを見ることで、撮像装置41を操作する。この操作により、処理装置44は、作業箇所及び作業箇所の周辺を撮像装置41に撮像させる撮像処理を実行する(S11)。このとき、作業者W1は、‘S4’のフローと同様に、撮像の前に頭部を動かす等して撮像装置41の位置を調整するのが好ましい。そして、処理装置44は、撮像した撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する処理を実行する。
【0059】
なお、上述の‘S4’,‘S11’のフローでは、作業者W1が撮像装置41を操作することで作業箇所及び作業箇所の周辺を撮像しているが、撮像装置41が自動的に撮像する構成であってもよい。例えば、表示装置42に表示されている枠内に作業箇所が収まった時点で撮像装置41が自動的に撮像する構成であってもよい。
【0060】
撮像画像のデータを受信すると、制御装置2の処理部24は、既に取得してある締付トルクと撮像画像のデータとに基づいて、作業が正常に行われたか否かを判定する判定処理を実行する(S12)。正常と判定した場合(S13:YES)、処理部24は、現在の作業箇所での作業が終了したと判定し、次の作業箇所に関する指示信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する。異常と判定した場合(S13:NO)、処理部24は、作業を正しく行うように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する。そして、作業者W1が作業を正常に行ったと判定するまで、上述の‘S6’~‘S13’のフローを繰り返す。そして、全ての作業箇所について作業が終了するまで、上記の‘S1’~‘S13’のフローを繰り返す。
【0061】
なお、ここでは、‘S13’のフローにおいて異常と判定した場合、制御装置2の処理部24は、同じ作業を再度行うように作業者W1に指示しているが、この指示を行うか否かは任意である。また、制御装置2の処理部24は、全ての作業箇所について作業を終えた後に、異常と判定された作業の各々について、同じ作業を再度行うように作業者W1に指示するように構成されていてもよい。
【0062】
以下、‘S12’のフローにおける判定処理について詳細に説明する。先ず、制御装置2の処理部24は、工具3から送信された締付トルクと目標トルクとを比較する処理を実行する。例えば、表1の番号‘1’に対応する作業であれば、工具3で測定された締付トルクが19.8(N・m)であり、目標トルクである20±10%(N・m)の範囲に収まっている。したがって、この場合、処理部24は、ねじ10が十分に締め付けられていると判定する。なお、締付トルクが目標トルクの範囲内に収まっていない場合は、処理部24は、異常(作業が正常に行われていない)と判定する。
【0063】
ここで、締結部品(ここでは、ねじ10)が十分に締め付けられている場合でも、作業が正常に行われているとは限らない。例えば、図6Aに示すように、ワーク11(作業箇所)を施工面に直交する方向(同図における紙面に直交する方向)から見て、ねじ10が傾いていない場合、ねじ10は正しく締め付けられている(つまり、作業が正常に行われている)。一方、図6Bに示すように、ワーク11を施工面に直交する方向から見て、ねじ10が傾いている場合、ねじ10は正しく締め付けられていない(つまり、作業が正常に行われていない)。なお、「直交」は、厳密な意味で「直交」でなくてもよい。
【0064】
そこで、締結部品が十分に締め付けられていると判定した場合、次に処理部24は、撮像画像のデータと目標画像のデータとを比較する処理を実行する。この処理では、例えば‘S5’のフローと同様に、撮像画像のデータと、目標画像のデータとを比較して類似度を求める。そして、この処理では、求めた類似度が予め設定されている閾値以上であれば正常(作業が正常に行われている)と判定し、閾値未満であれば異常(作業が正常に行われていない)と判定する。例えば、表1の番号‘1’に対応する作業であれば、処理部24は、目標画像のデータB(1)と撮像画像のデータC(1)とを比較して求めた類似度が閾値以上であれば、正常(ねじ10がワーク11に正しく締め付けられている)と判定する。一方、処理部24は、求めた類似度が閾値未満であれば、異常(ねじ10がワーク11に対して正しく締め付けられていない)と判定する。
【0065】
なお、判定処理において、処理部24は、撮像画像のデータと目標画像のデータとを比較することで、ねじ10の頭部100の径が規格(例えば、‘M8’や‘M10’等)と一致しているか否かを判定してもよい。例えば、‘M10’の規格のねじを締め付けなければならない作業箇所で、誤って‘M8’の規格のねじを締め付けた場合、処理部24は、異常と判定する。この場合、処理部24は、作業箇所に応じた適切な規格のねじ10を締め付けているか否かを判定することができる。
【0066】
また、判定処理において、締付トルクが目標トルクを大幅に上回る等、異常な値を示す場合に、処理部24は、工具3の測定部31に異常があると判定してもよい。この場合、工具3の測定部31に異常がある旨を工具3又はウェアラブル端末4を通じて作業者W1に通知することで、工具3の修理や交換を促すことができる。その他、判定処理において、処理部24は、作業を開始してから終了するまでの間(作業期間)、締付トルクを定期的に工具3から取得し、その時系列のデータに基づいて締め付けが正常に行われているか否かを判定してもよい。例えば、作業期間中、締付トルクがほぼ一定であれば、処理部24は、正常に締め付けられていると判定することができる。一方、作業期間中、締付トルクが不連続に変化すれば、処理部24は、正常に締め付けられていないと判定することができる。
【0067】
上述のように、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1では、工具3により締結部品に与えられる締付トルクと、撮像装置41により撮像された作業箇所の撮像画像とに基づいて、作業者W1による作業が正常に行われているか否かを判定する。したがって、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1は、締結部品が正しく締め付けられているか否かの状態(すなわち、工具3を用いた作業の状態)を把握することができる。このため、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1では、作業の状態に応じて適切な指示を作業者W1に与えることで、作業効率を向上することができる。更に、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1では、作業の状態を把握することにより、作業者W1によるミスを低減することができるので、作業による作製される製品の品質の向上を図ることができるという利点もある。
【0068】
特に、本実施形態の制御装置2では、処理部24は、判定処理において、作業箇所において締結部品が正常に締め付けられた状態を示す目標画像と撮像画像とを比較して類似度を求めている。且つ、処理部24は、作業で要求される目標トルクと締付トルクとの比較結果と、類似度と予め設定されている閾値との比較結果とに基づいて、作業が正常に行われているか否かを判定している。この構成では、締結部品が正しく締め付けられているか否かの状態をより的確に把握することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0069】
また、本実施形態の制御装置2では、締付トルクのデータを受信すると、処理部24は、作業者W1による作業が終了したと判定し、作業者W1に作業後の作業箇所を撮像するように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行してもよい。そして、ウェアラブル端末4の撮像装置41は、当該信号を受信すると、作業箇所を自動的に撮像してもよい。つまり、本実施形態の制御装置2では、工具3からの信号をトリガとして撮像装置41による撮像のタイミングを決定してもよい。この構成では、作業者W1が工具3を用いて作業を終える際に撮像装置41による撮像が行われるので、作業者W1の手を煩わせずに作業箇所を撮像できるという利点がある。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0070】
また、本実施形態の制御装置2は、作業者W1に対する作業の指示内容を、文字及び画像の少なくとも一方を用いて表示する表示部21を備えている。この構成では、作業者W1に指示内容を視覚により伝えることができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0071】
また、本実施形態の制御装置2では、撮像画像は、作業箇所を施工面に直交する方向から見た画像である。このため、本実施形態の制御装置2は、締結部品が施工面に直交する方向に締め付けられているか否かを判定することができるので、締結部品が施工面に正しく締め付けられているか否かを容易に判定することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0072】
また、本実施形態の作業管理システム1では、ウェアラブル端末4は、制御装置2から送信される作業者W1に対する作業の指示内容を文字及び画像の少なくとも一方を用いて表示する表示装置42を備えている。このため、本実施形態の作業管理システム1では、作業者W1は、身に着けている表示装置42に目を移すだけで、作業の指示内容を容易に確認することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0073】
また、本実施形態の作業管理システム1では、工具3は、ヘッド301と、ロードセル(検出部)305と、CPU(トルク演算部)306とを備えるトルクレンチ300であるのが好ましい。この構成では、工具3が実際に締結部品に与えたトルクを測定して締付トルクを得ることができるので、作業が正常に行われたか否かの判定を精度良く行うことができる。なお、工具3を上記のトルクレンチ300とするか否かは任意である。
【0074】
また、工具3は、インパクト機構311と、出力軸314と、磁歪式のトルクセンサ316(第1検出部)と、加速度センサ315(第2検出部)と、制御回路317(トルク演算部)とを備えるインパクトドライバ310であってもよい。この構成でも、工具3が実際に締結部品に与えたトルクを測定して締付トルクを得ることができるので、作業が正常に行われたか否かの判定を精度良く行うことができる。なお、工具3を上記のインパクトドライバ310とするか否かは任意である。
【0075】
また、本実施形態の作業管理システム1では、ウェアラブル端末4は、例えば防護用メガネやゴーグル、ヘルメットといった作業者W1の頭部に装着する機器である。この構成では、作業者W1の視界が撮像装置41の撮像範囲と殆ど同じになるため、作業箇所を撮像し易いという利点がある。更に、この構成では、作業者W1が意識せずとも作業者W1の視界にある表示装置42に作業の指示内容などの情報が映し出されるため、作業者W1が作業し易く、また、作業者W1が作業の指示内容を見落としがたいという利点もある。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0076】
また、本実施形態の作業管理システム1では、ウェアラブル端末4及び制御装置2の少なくとも一方は、作業者W1に対する作業の指示内容を音声で出力する機能を備えるのが好ましい。この構成では、聴覚を利用して作業の指示内容を作業者W1に伝えることができるので、作業者W1が作業を中断する必要が無く、作業し易いという利点がある。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
【0077】
また、本実施形態の作業管理システム1では、上位装置5を備えている。そして、上位装置5は、制御装置2から送信される締付トルクのデータ及び撮像画像のデータを作業毎に記憶している。この構成では、上位装置5を用いて作業者W1により行われた作業の履歴を管理することができるので、作業管理と品質管理とを併せて容易に行うことができるという利点がある。
【0078】
更に、本実施形態の作業管理システム1では、上位装置5は、制御装置2に電気的に接続される機器(例えば、工具3やウェアラブル端末4)の情報を記憶するのが好ましい。機器の情報としては、例えば機器の各種パラメータの校正情報や、機器の位置情報、機器を取り扱う作業者W1の情報、機器を用いて作業を行った時刻情報などが挙げられる。この構成では、作業毎の締付トルクの管理だけではなく、制御装置2に接続される機器や、当該機器を取り扱う作業者W1についても管理することができ、よりきめ細やかな作業管理を行うことが可能である。例えば、この構成では、機器を取り扱う作業者W1の作業精度や、作業時間の履歴を参照することで、より精度の良い作業が行われるように作業計画を変更することが可能である。また、この構成では、作業精度の低い作業者W1に対して、作業マニュアルを閲覧させる等の個別指導を行うことも可能である。
【0079】
なお、本実施形態の作業管理システム1が上位装置5を備えるか否かは任意である。本実施形態の作業管理システム1が上位装置5を備えない場合は、制御装置2の記憶部22に、締付トルクのデータ及び撮像画像のデータや機器の情報を作業毎に記憶させればよい。このように構成すれば、制御装置2に上位装置5と同様の機能を持たせることができる。
【0080】
ところで、本実施形態の作業管理システム1は、図7A図7Bに示すような部品管理システム6と連携することも可能である。部品管理システム6は、所定の生産計画に従って、複数の部品箱71から順番に部品P1を取り出し、取り出した部品P1を組み立てる所謂セル生産方式で用いられるシステムである。この部品管理システム6は、図7A図7Bに示すように、複数の部品箱71で構成される部品棚7と、複数の部品箱71に1対1で取り付けられる複数の表示器8と、作業者W1が作業を行う作業台9とを備えている。複数の部品箱71には、それぞれ部品P1が配置されている。部品P1は、部品箱71毎に異なる種類であってもよく、また、幾つかの部品箱71において、同じ種類の部品P1が配置されていてもよい。この部品管理システム6では、本実施形態の制御装置2が複数の表示器8を制御している。
【0081】
表示器8は、ケーブル(図示せず)により制御装置2に電気的に接続されている。表示器8は、制御装置2から送信される信号に応じて点灯するように構成されている。制御装置2は、所定の生産計画に応じて複数の表示器8の何れかを点灯させることにより、当該表示器8に対応する部品箱71から部品P1を取り出すように作業者W1を促すように構成されている。また、表示器8は、作業者W1が操作可能なスイッチ(またはレバー)81を備えている。表示器8が点灯している状態において、このスイッチ81を作業者W1が操作することで、表示器8が消灯する。
【0082】
以下、部品管理システム6における制御装置2の動作について説明する。制御装置2の処理部24は、スイッチ81の操作により表示器8から出力される信号に基づいて、当該表示器8に対応する部品箱71から部品P1が取り出されたと判定する。また、処理部24は、部品P1が取り出されたと判定すると、作業者W1に取り出した部品P1を撮像するように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する。ウェアラブル端末4の処理装置44は、当該信号を受信すると、作業者W1に取り出した部品P1を撮像するように促す画像やメッセージを表示装置42に投影させる処理を実行する。
【0083】
作業者W1は、表示装置42に表示された画像又はメッセージを見ることで、撮像装置41を操作する。この操作により、処理装置44は、取り出した部品P1を撮像装置41に撮像させる撮像処理を実行する。なお、処理装置44は、制御装置2からの信号を受信すると撮像装置41に自動的に撮像させる処理を実行してもよい。そして、処理装置44は、撮像した撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する処理を実行する。
【0084】
制御装置2の処理部24は、撮像画像のデータを受信すると、予め記憶してある部品P1の画像と撮像画像とを比較し、作業者W1が正しい部品を取り出したか否かを確認する処理を実行する。言い換えれば、処理部24は、取り出した部品P1を撮像装置41で撮像した画像と、予め記憶してある部品P1の画像とを比較することで、正しい部品P1が複数の部品箱71の何れかから取り出されているか否かを判定する処理を実行する。この処理では、例えば撮像画像のデータと、部品P1の画像のデータとを比較して類似度を求める。そして、この処理では、求めた類似度が予め設定されている閾値以上であれば正常(作業者W1が正しい部品P1を取り出した)と判定し、閾値未満であれば異常(作業者W1が誤った部品P1を取り出した)と判定する。
【0085】
正常と判定した場合、処理部24は、次に取り出すべき部品P1が収納されている部品箱71に対応した表示器8を点灯させる処理を実行する。異常と判定した場合、処理部24は、例えば正しい部品P1が収納されている部品箱71に対応する表示器8を点滅させる処理や、正しい部品P1を取り出すように指示する信号をウェアラブル端末4に向けて送信する処理を実行する。
【0086】
この構成では、制御装置2は、取り出した部品P1を組み立てる作業(ここでは、締結部品を締め付ける作業)と、その前段階である部品P1を取り出す作業とを一括して管理することができるという利点がある。更に、この構成では、上記の判定処理により作業者W1が誤った部品P1を取り出したと判定すれば、制御装置2から作業者W1に通知することで、正しい部品P1を取り出すように作業者W1に促すことが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態の制御装置2及び作業管理システム1では、締結部品を締め付ける作業について判定処理を実行しているが、他の作業について判定処理を実行してもよい。例えば、ワーク11に穴をあける作業であれば、工具3は、穴をあける際にワーク11に与えるトルクのデータを制御装置2に向けて送信する。また、撮像装置41は、作業後の穴のあいた作業箇所を撮像する。そして、制御装置2の処理部24は、工具3から送信されるトルクが目標トルクを超えていれば、ワーク11に十分な大きさの穴があけられていると判定する処理を実行する。また、処理部24は、目標画像のデータと撮像画像のデータとを比較して類似度を求め、類似度と予め設定されている閾値とを比較することで、ワーク11に正しく穴があけられているか否かを判定する処理を実行する。
【0088】
また、本実施形態の作業管理システム1では、ウェアラブル端末4に撮像装置41を設けているが、撮像装置41は、例えば工具3に設けていてもよい。この場合、工具3は、制御装置2から送信される指示信号に基づいて撮像装置41に作業箇所を撮像させる処理と、撮像装置41で撮像した撮像画像のデータを制御装置2に向けて送信する処理とを実行する機能を有していればよい。
【0089】
また、本実施形態の作業管理システム1では、制御装置2と上位装置5との間は、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信を行っているが、例えば、WiFi(登録商標)やZigBee(登録商標)等の無線規格を用いた無線通信を行ってもよい。また、制御装置2と上位装置5との間の無線通信には、LTE(Long Term Evolution)など
の携帯電話の通信規格を用いてもよい。携帯電話の通信規格を用いて無線通信を行う場合は、例えば制御装置2が屋外に設置されており、作業者W1が屋外で作業を行う場合に特に有効である。
【0090】
特に、携帯電話の通信規格を用いて無線通信を行う場合は、GPS(Global Positioning System)を用いた位置特定サービスや気象予報などの、携帯電話の回線を利用した既存のサービスを用いることができ、好ましい。つまり、この場合には、GPSにより制御装置2の位置を特定することができるので、上位装置5は、制御装置2や作業者W1の位置を管理することが可能となる。また、この場合には、気象予報により制御装置2が位置する場所での環境(例えば、高温多湿の気候など)を把握することができる。このため、上位装置5は、制御装置2の使用環境に応じた機器(工具3やウェアラブル端末4を含む)の寿命を推定して管理することが可能となる。
【0091】
また、本実施形態の作業管理システム1では、工具3は、インパクトドライバ310のように、充電池(二次電池)321を用いた電池駆動式であってもよい。この構成では、工具3と電源との間、又は工具3と圧縮空気源(エアコンプレッサ)との間を繋ぐケーブルが不要となるため、作業者W1がケーブルを気にせずに工具3を容易に取り扱うことができるという利点がある。
【0092】
また、本実施形態の作業管理システム1では、制御装置2は、1つの工具3及び1つのウェアラブル端末4を制御するように構成されているが、他の構成であってもよい。例えば、制御装置2は、工具3及びウェアラブル端末4を1組として、複数の組の各々を制御するように構成されていてもよい。また、本実施形態の作業管理システム1では、上位装置5は、1つの制御装置2との間で通信を行っているが、複数の制御装置2の各々との間で通信を行うように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 作業管理システム
10 ねじ(締結部品)
2 制御装置
23 通信部
24 処理部
3 工具
32 通信部
300 トルクレンチ
301 ヘッド
302A ソケット
305 ロードセル(検出部)
306 CPU(トルク演算部)
310 インパクトドライバ
311 インパクト機構
314 出力軸
314A ビット
316 トルクセンサ(第1検出部)
315 加速度センサ(第2検出部)
317 制御回路(トルク演算部)
4 ウェアラブル端末
41 撮像装置
42 表示装置
43 通信装置
5 上位装置
6 部品管理システム
71 部品箱
8 表示器
P1 部品
W1 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7