(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063508
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】体内で泌尿器を制御するための植込み可能なデバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/04 20130101AFI20230427BHJP
【FI】
A61F2/04
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041476
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2021104773の分割
【原出願日】2009-10-09
(31)【優先権主張番号】0802154-5
(32)【優先日】2008-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】61/227,831
(32)【優先日】2009-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ピーター
(57)【要約】
【課題】泌尿器を制御して膀胱を空にする、不随意の尿閉を予防または治療するための植
込み可能な装置を提供する。
【解決手段】患者の膀胱30の内部に植え込まれるように適合された、尿を排出させるた
めの拡張可能な部材20と、拡張可能な部材の容積を制御する制御装置50を備える。制
御装置は、膀胱の壁を通して拡張可能な部材に接続されるように適合される。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の尿道を通って哺乳動物の膀胱から尿を排出させることによって患者の尿閉を
治療する装置であって、
-患者の膀胱の内側に植え込むように適合された拡張可能な部材、
-前記拡張可能な部材が膀胱から尿を排出させるのを補助するための動力付き作動デバ
イスを有し、前記膀胱を空にするために前記拡張可能な部材の容積を制御するように適合
された制御デバイス、
を備え、
前記動力付き作動デバイスは、前記拡張可能な部材において、水柱50cmを超える圧
力を生成するように適合され、それにより尿の排出を補助する、
装置。
【請求項2】
前記制御デバイスは、皮下に配置したスイッチを含む体内制御ユニットを備える、請求
項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御デバイスは、少なくとも1つのモータまたはポンプを備える、請求項1または
2に記載の装置。
【請求項4】
-前記拡張可能な部材は、液圧式に制御され、液圧流体用の空洞を備え、
-前記制御デバイスは、液圧流体用の植込み可能な膀胱作動リザーバを備え、
-前記拡張可能な部材および前記制御デバイスは、前記相互接続デバイス経由で膀胱の
壁を通して液圧式に接続されるように適合され、相互接続デバイスは、液圧式接続を作る
ため、および膀胱作動リザーバと空洞の間で液圧流体を輸送するための植込み可能なチュ
ーブを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記拡張可能な部材は、前記空洞から前記膀胱作動リザーバに前記液圧流体を輸送する
と、前記膀胱の尿によって加えられる圧力によって空になるよう適合されている、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御デバイスは、空洞と膀胱作動リザーバとの間で液圧流体を輸送する植込み可能
な作動デバイスを備え、前記作動デバイスは、尿を排出させるのに適切な尿の圧力を得る
ために前記拡張可能な部材の空洞に液圧流体を輸送することができる、請求項5に記載の
装置。
【請求項7】
前記作動デバイスは、尿を排出させるのに適切な尿の圧力を得るために少なくとも水柱
50cmの前記拡張可能な部材内の圧力を得るために前記拡張可能な部材の空洞に液圧流
体を輸送することができる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記作動デバイスは動力付きポンプである、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記作動デバイスは、少なくとも1つの:液圧流体量の較正または前記拡張可能な部材
を作動するよう適合された注入ポートを備える、請求項6~8のいずれか一項に記載の装
置。
【請求項10】
前記液圧流体は、細菌の増殖を抑制する薬を含む、請求項4~9のいずれか一項に記載
の装置。
【請求項11】
前記膀胱から尿を排出させるときに患者の各尿管を閉じるように適合されている植え込
み可能な制限デバイスをさらに備え、
前記制限デバイスは、液圧流体によって作動可能である、請求項1~10のいずれか一
項に記載の装置。
【請求項12】
前記制限デバイスは、前記拡張可能な部材の空洞に宿る液圧流体によって作動可能であ
る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御デバイスは、膀胱の筋肉を電気的に刺激して収縮させる植込み可能なデバイス
を更に備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記拡張可能な部材は、少なくとも1つの:空洞から膀胱作動リザーバに液圧流体を輸
送するために加えられる圧力、前記拡張可能な部材と前記膀胱作動リザーバの第2の接続
による空洞から膀胱作動リザーバに液圧流体を輸送するために加えられる圧力によって空
になるように適合され、第2の接続部は、開いているときは、ポンプがポンプ輸送する体
積能力が、前記第2の接続部の空にする能力より大幅に大きくなるように寸法設定され、
前記拡張可能な部材は、前記第2の接続部によって液圧流体を空洞から膀胱作動リザーバ
に輸送するように、膀胱の尿によって加えられる圧力によって空になるようにされている
、請求項4-13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記制御デバイスは、無線遠隔操作から信号を受信するよう構成された内部制御ユニッ
トを備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
患者の物理パラメータの少なくとも1つを検出するためのセンサをさらに備える、請求
項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記装置に関係する機能パラメータの少なくとも1つを検出するためのセンサをさらに
備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
エネルギーを、患者の体外から体内へと無線で伝送して、前記動力付き作動デバイスの
動作のためおよび植込み可能な当該装置中の他のエネルギー消費部分の動作のために使用
できるようにする、体外エネルギー伝送デバイスをさらに備える、請求項1~17のいず
れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記患者の体外から前記エネルギー伝送装置によって、侵襲的におよび無線で付勢され
るよう適合された内部エネルギー・レシーバを更に備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の装置を有するシステムであって、さらに,
前記動力付き作動デバイスの動作と無線エネルギーの伝送に関係する少なくともひとつ
の機能パラメータを検出または測定するように適合されたセンサおよび/または測定器と
、
前記機能パラメータに関するフィードバック情報を前記制御デバイスに送信するフィー
ドバック・デバイスと
を備え、
前記制御デバイスは、前記フィードバック情報に基づいて、前記動力付き作動デバイス
の動作と前記無線エネルギーの供給との少なくとも1つを制御するように適合されている
、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泌尿器を制御し、膀胱を空にし、それにより、不随意の尿閉を予防または治
療するための植込み可能な装置に関する。より詳細には、本発明は、液圧流体の移動後に
膀胱から尿を排出させるための植込み可能な被制御液圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に脊髄の損傷によって引き起こされる排尿障害は不随意の尿閉を伴い、その状況は
尿路感染症、腎障害、または尿路障害に関連する。尿閉の一般的な治療は継続的カテーテ
ル法または間欠的カテーテル法である。患者には不便な上に、カテーテルには常に感染症
にかかるリスクがある。あるいは、提案されている治療法は、筋収縮させ膀胱を空にする
ための膀胱の電気刺激を含む(例えば米国特許第6,393,323号参照)。膀胱の電
気刺激は、尿道括約筋を電気で刺激して収縮させ、パルス刺激が必要になるが、そのため
尿が制御されずに尿道を通って噴出する虞が生じることを考慮する必要がある。米国特許
第4,044,401号には、尿道に用いられ尿管につなげられた全体的に人工の膀胱が
開示されている。こうした人工の膀胱は、手動で拡張可能なバルーンによって空になる。
しかし、膀胱を空にするのに十分なサイズの皮下に配置したリザーバは非現実的に大きく
なる。
【発明の概要】
【0003】
この開示から、便利で手動の動作なしに思いのままになる、完全な膀胱を備える患者用
植込み式装置が必要であることが明らかである。さらに、こうした装置は、最も露出した
植込み式部分をより良く体内に配置し、さらに患者に最小の介入で交換する方法を考慮し
て設計する必要がある。本発明は、こうした要件を満たす装置を概説するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概略的には、本発明は、患者の膀胱の内側に植え込むように適合された拡張可能な部材
と、拡張可能な部材の容積を制御する植込み可能な制御デバイスとを備える、膀胱から尿
を排出させることによって患者の尿閉を治療する装置に関する。制御デバイスは、膀胱の
壁を通して拡張可能な部材に接続されるように適合されている。拡張可能な部材を拡張す
ると、膀胱から尿道を通して尿が排出される。こうした概略的な実施形態に加えて、その
制御デバイスは、拡張可能な部材が膀胱から尿を排出させるのを補助するための動力付き
作動デバイスを備え、その装置はさらに体外エネルギー伝送デバイスを備え、その体外エ
ネルギー伝送デバイスは、動力付き作動デバイス、およびエネルギーを消費する植込み可
能な、この装置の他の部分を動作させるのと関連して使用するように、患者の体外から患
者の体内にエネルギーを無線で伝送できる。
【0005】
用語「制御デバイス」は膀胱からの尿の排出を補助する装置の液圧構成要素および電気
構成要素の両方を含む意味を有することが以下に説明する本発明から明らかになるであろ
う。それらの構成要素は、植込み可能な構成要素、および患者の体外にあることが意図さ
れた構成要素の両方を含む。この文脈では、制御デバイスを液圧制御デバイスと電気制御
デバイスに分けることもできることが確認されるであろう。次に、電気制御デバイスは、
電力供給機能および電気制御機能ならびに無線エネルギー受信器を含むことができる。体
外制御デバイスは、無線エネルギーを伝送し、植込み式構成要素からフィードバック情報
を受信する、体外制御ユニットとして説明することもできる。したがって、この文献のう
ち制御デバイスを説明するどの位置でも、関連がある場合はいつでもこの用語の代わりに
上記のいずれかを用いることもできる。一実施形態では、制御デバイスは、皮下に配置し
たスイッチ、電子回路、モータまたはポンプのうち少なくとも1つを備えた体内制御ユニ
ットを備え、前記体内制御ユニットが患者の体外から動作可能である。
【0006】
拡張可能な部材は、好ましくは、取外し可能な継ぎ手によって制御デバイスに解放可能
に取り付けられる。そのために、拡張可能な部材は、好ましくは、第1の結合部分を備え
、その第1の結合部分は制御デバイスの第2の結合部分と嵌合する。その結合部分は雄型
/雌型部分の組合せとすることができ、それらの部分が互いに、拡張可能な部材と制御デ
バイスを簡単に取付けまたは取外しする解放可能な継ぎ手を設ける。好ましくは、結合部
分は一緒に拡張可能な部材の尿道を通した交換を単純にするスナップ・ロック式継ぎ手を
設ける。したがって、拡張可能な部材は、適切な外科的器具で補助される、尿道を通した
輸送を可能にする本質的に円筒形の細長い形状を想定できるように設計される。拡張可能
な部材は、植え込みのために挿入されるときに、制御された拡張および圧壊を受けるベロ
ーズまたは同様の構造を備えることができる。好ましくは、拡張可能な部材は、液圧式に
制御され、液圧流体用の空洞を備え、制御デバイスは、液圧流体用の膀胱作動リザーバを
備える。したがって、拡張可能な部材および制御デバイスは、膀胱の壁を通して液圧式に
接続されるように適合されている。そのために、制御デバイスは、好ましくは、液圧接続
部を設け、膀胱作動リザーバと空洞の間で液圧流体を輸送するチューブを備える。一実施
形態では、取外し可能な継ぎ手は液圧接続部に接続可能にすることができ、その結合部分
は、拡張可能な部材と膀胱作動リザーバの間に接続部を設け、したがって、膀胱が再度満
たされたときに尿を排出させるために拡張可能な部材との間で液圧流体を輸送することが
できる。
【0007】
動力付き作動デバイスは、空洞と膀胱作動リザーバとの間で液圧流体を輸送する。一動
作モードでは、拡張可能な部材は、空洞から膀胱作動リザーバに液圧流体を輸送するため
に、膀胱の尿によって加えられる圧力によって空になるように適合されている。作動デバ
イスは、尿を排出させるのに適切な尿の圧力を得るために拡張可能な部材の空洞に液圧流
体を輸送することができる。好ましくは、尿を排出させるための少なくとも50水柱cm
の尿の圧力を得ることができる。
【0008】
好ましくは、作動デバイスは動力付きポンプである。さらに、作動デバイスは注入ポー
トを備えており、液圧流体の量を較正するためにその作動デバイスをその注入ポートに接
続することができる。作動デバイスを注入ポートによって手動で動作させることができ、
前記注入ポートを満たすかまたは空にすることによって体外から動作させることができる
。
【0009】
さらに、その装置は、植込み可能な制限デバイスを備えることができ、その制限デバイ
スは、腎臓へ向かう尿の逆流を防止するために、膀胱から尿を排出させるときに尿管を閉
じるように適合されている。制限デバイスは、好ましくは、尿管を開閉するように適合さ
れており、液圧流体によって液圧式に動作可能である。適切な実施形態では、作動用液圧
流体は膀胱作動リザーバから移動する。そのために、膀胱作動リザーバは、制限デバイス
を操作する液圧流体のための封止した拡張可能な/圧潰可能な部分を含むことができる。
好ましくは、これらの制限デバイスは、作動デバイスの動きによって開閉する。
【0010】
装置はやはり制限デバイスを備えることができ、その制限デバイスは、尿道括約筋に機
能障害のある患者を補助するために、尿道を開閉するように適合されている。こうしたデ
バイスの尿路に適切な制限デバイスおよび無線制御は、参照として本明細書に援用される
、欧州特許第EP1253880号、第EP1284691号、および第EP12633
55号にさらに記載されている。
【0011】
制御デバイスは制御アセンブリを備え、その制御アセンブリは、制御デバイスの他の部
分に接続されて患者の皮下または腹腔に植え込まれるように適合されている。制御アセン
ブリは、作動デバイスおよび制御デバイスの他のエネルギー消費部分に電力を供給するエ
ネルギー源を備える。列挙した装置を含む本発明によるシステムの文脈で、さらにそれら
の部分を説明する。制御アセンブリはさらに、膀胱作動リザーバに接続された、液圧流体
を受けるための注入ポートを備えることができる。
【0012】
装置は、植込み可能な部材の内側の圧力を測定するなど、膀胱中の尿の圧力を直接また
は間接的に測定する植込み可能な圧力センサを含むこともできる。
【0013】
液圧流体は、抗生物質など、細菌の増殖を抑制する薬を含むことができる。
【0014】
尿の排出をさらに補助するために、制御デバイスはさらに、膀胱から尿を排出させるよ
うに拡張可能な部材と協働するように、膀胱の筋肉を電気的に刺激して収縮させる植込み
可能なデバイスを備えることができる。
【0015】
好ましくは、電気刺激デバイスは、膀胱の筋肉に取り付けられた複数の電極ストリップ
を備える。
【0016】
一代替形態では、装置は、拡張可能な部材と膀胱作動リザーバとの間に第2の液圧接続
部を備えることができる。第2の接続部は、開いているときは、ポンプがポンプ輸送する
体積能力が、前記第2の接続部の空にする能力より大幅に大きくなるように寸法設定され
る。この代替形態の機構によれば、拡張可能な部材は、前記第2の接続部によって液圧流
体を空洞から膀胱作動リザーバに輸送するように、膀胱の尿によって加えられる圧力によ
って空になるように適合されている。特別な実施形態では、第2の接続部は、拡張可能な
部材を制御デバイスに引き合わせるときに2つの結合部分が互いに接続するときに設けら
れる取外し可能な継ぎ手の中の通路である。こうした機構では、主液圧接続部が閉じてい
るときに、第2の接続部を開いておくことができる。
【0017】
本発明はまた、説明した装置を植え込む方法にも関するものであり、その方法は、針状
のチューブを患者の腹部に挿入するステップと、前記チューブを通して腹部をガスで満た
し、それにより腹腔を膨張させるステップと、少なくとも2つの腹腔鏡トロカールを患者
の体内に配置し、前記トロカールの一方を通して腹部にカメラを挿入するステップと、ト
ロカールを通して少なくとも1つの切開器具を挿入し、患者の膀胱のうち少なくとも1つ
の部分の領域を切開するステップと、膀胱の壁を切開して開口部を作るステップと、拡張
可能な部材を膀胱の内側に配置するステップと、制御デバイスを膀胱の外側に配置するス
テップと、拡張可能な部材と制御デバイスを相互接続デバイスによって相互接続するステ
ップとを含む。その方法はさらに、拡張可能な部材の空洞と制御デバイスの膀胱作動リザ
ーバとの間に液圧接続部を設けながら膀胱の壁を穿孔する位置に相互接続デバイスを固定
するために、膀胱の壁自体に縫合することによってトンネルを作製するステップを含む。
さらに、その方法は、組織の内方成長を助け、したがって少なくとも部分的にトンネルを
カバーするように適合されているネットを配置するステップを含む。
【0018】
本発明は、装置を植え込む代替方法にも関するものであり、その代替方法は、皮膚を切
るステップと、患者の膀胱の少なくとも1つの部分の領域を切開するステップと、膀胱の
壁を切開して開口部を作るステップと、拡張可能な部材を膀胱の内側に配置するステップ
と、制御デバイスを膀胱の外側に配置するステップと、拡張可能な部材と制御デバイスを
相互接続デバイスによって相互接続するステップとを含む。その方法はさらに、制御デバ
イスの電力を供給するための電力源を体内に配置するステップと、液圧膀胱作動リザーバ
を配置するステップと、膀胱から尿を排出させるために膀胱作動リザーバと拡張可能な部
材の間で流体をポンプ輸送するためのポンプを体内に配置するステップのうちの少なくと
も1つのステップを含むことができる。
【0019】
本発明はさらに装置を動作させる方法を含み、その方法は、制御デバイスの制御アセン
ブリを作動させるステップと、拡張可能な部材の容積を増大させるステップと、尿道を通
して尿を排出させるステップとを含む。その方法はさらに、尿管を一時的に閉じるように
制限デバイスを作動させるステップ、および/または尿道もしくは膀胱のネック部の制限
を一時的に解放するように制限デバイスを作動させるステップを含むステップを含むこと
ができる。その方法では、制御アセンブリは、膀胱または拡張可能な部材中の尿の圧力を
測定する圧力センサからの信号を受信することができる。制御アセンブリは、患者に警告
信号を与えるように適合されている警告システムを備え、無線遠隔制御装置または皮下に
植込み可能なスイッチなど、患者の体外から制御される制御ユニットからの信号によって
前記制御アセンブリを作動させることができる。その方法はさらに、前記膀胱作動リザー
バから拡張可能な部材に液圧流体を輸送するためのポンプを作動させるステップを含むこ
とができる。
【0020】
本発明はさらに、尿閉を治療するための、前に説明した装置の拡張可能な部材を交換す
る方法に関するものであり、その方法は、尿道を通して拡張可能な部材を動作させるよう
に適合されている機器を挿入するステップと、拡張可能な部材を制御デバイスから解放す
るステップと、圧潰した拡張可能な部材を機器によって移動させるステップと、圧潰した
拡張可能な部材を、尿道を通して体外に輸送するステップとを含む。さらに、その方法は
、新しい圧潰した拡張可能な部材を、尿道を通して挿入するステップと、拡張可能な部材
を継ぎ手の位置に制御デバイスによって移動させるステップと、拡張可能な部材を制御デ
バイスに取外し可能な継ぎ手によって取り付けるステップとを含む。取外し可能な継ぎ手
は2つの結合部分を備え、第1の結合部分は拡張可能な部材の近位部分にあり、第2の結
合部分は制御デバイス上にある。
【0021】
本発明はさらに、前に説明した装置のモードまたは実施形態を含む、尿失禁を治療する
システムに関するものである。システムの部分または構成要素を明細書の以下の段落で説
明する。それらは本明細書の前の部分で概略を説明したどの装置にも適用可能であると見
なすべきである。
【0022】
好ましい実施形態では、そのシステムは、装置を手動でかつ非侵襲的に制御する患者に
植込み可能な少なくとも1つのスイッチを備える。
【0023】
好ましい実施形態では、そのシステムは、装置を動作させる液圧作動デバイスを備える
。
【0024】
一実施形態では、そのシステムは、装置を動作させるモータまたはポンプを備える。
【0025】
そのシステムは、植込み可能な液圧リザーバが装置に液圧式に接続されている液圧デバ
イスを備えることができ、その装置は、手動で液圧リザーバを押すことによって非侵襲的
に調整されるように適合されている。こうした液圧デバイスは、前の段落で説明したよう
な装置の制御デバイスおよび拡張可能な部材に接続されることが意図されている。
【0026】
システムは、装置を非侵襲的に制御するための無線遠隔制御装置を備えることができる
。無線遠隔制御装置は、好ましくは、少なくとも1つの体外信号伝送器および/または受
信器を備え、好ましくは、体外信号伝送器によって伝送される信号を受信するか、または
信号を体外信号受信器に伝送する、患者に植込み可能な体内信号受信器および/または伝
送器をさらに備える。無線遠隔制御装置は、好ましくは、装置を制御するための少なくと
も1つの無線制御信号を伝送する。無線制御信号は、周波数、振幅、もしくは位相を変調
した信号、またはそれらの組合せを含むことができる。あるいは、無線遠隔制御装置は、
制御信号を搬送するための電磁気搬送波信号を伝送する。制御信号は、電場、磁場、電場
と磁場の組合せのうちの1つを含むことができる。あるいは、制御信号は、アナログ信号
、デジタル信号、またはアナログ信号とデジタル信号の組合せを含む。
【0027】
システムの無線エネルギー伝送デバイスは、装置の植込み可能なエネルギー消費構成要
素に無線エネルギーで非侵襲的にエネルギー供給するように適合されている。この点で、
無線エネルギーは、音波信号、超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号、紫外
線信号、レーザ光線信号、マイクロ波信号、電波信号、x線照射信号、およびガンマ線照
射信号から選択された波動信号を含むことができる。あるいは、無線エネルギーは、電場
、磁場、電場と磁場の組合せのうちの1つを含むことができる。
【0028】
電力の供給に関しては、システムは、装置の植込み可能なエネルギー消費構成要素に電
力を供給するための植込み可能な体内エネルギー源を備えることができる。一実施形態で
は、体外エネルギー源は、無線モードで伝達されたエネルギーで体内エネルギー源を充填
するように無線モードのエネルギーを伝達する。こうしたシステムはさらに、体内エネル
ギー源を充填するためのエネルギー伝達に関連する関数パラメータを感知または測定する
センサまたは測定デバイスと、患者の体内から体外にフィードバック情報を送信するフィ
ードバック・デバイスとを備えることができ、そのフィードバック情報は、センサによっ
て感知されるかまたは測定デバイスによって測定された関数パラメータに関連する。
【0029】
概略的に説明したシステムは、患者の体内から体外にフィードバック情報を送信するフ
ィードバック・デバイスをさらに備えることができ、そのフィードバック情報は、膀胱中
の圧力など、患者の物理的パラメータ、および装置に関する関数パラメータのうちの少な
くとも1つに関連する。
【0030】
概略的にシステムはさらに、センサおよび/または測定デバイス、ならびに植込み可能
な体内制御ユニットを備えることができ、その体内制御ユニットは、センサによって感知
されたか、または測定デバイスによって測定された患者の物理的パラメータ、ならびにセ
ンサによって感知されたか、または測定デバイスによって測定された装置に関連する関数
パラメータのうちの少なくとも1つに関連する情報に応答して装置を制御する。物理的パ
ラメータは、膀胱中の圧力または運動などの圧力である。
【0031】
概略的にシステムはさらに、体外データ通信器と、体外データ通信器と通信する植込み
可能な体内データ通信器とを備えることができ、体内通信器は装置もしくは患者に関する
データを体外データ通信器に供給し、かつ/または体外データ通信器はそのデータを体内
データ通信器に供給する。
【0032】
システムが装置を動作させるための作動デバイスを備える実施形態では、作動デバイス
はサーボ機構を備えることができ、そのサーボ機構は、作動デバイスが装置を動作させる
のに必要な力を低減し、そのためその代わりに作動デバイスが長く作用し、決められた動
作のための時間を延長するように設計されている。
【0033】
システムが装置を動作させる作動デバイスと、無線エネルギーを伝送するエネルギー伝
送デバイスとを備える実施形態では、無線エネルギーがエネルギー伝送デバイスによって
伝送されており、すなわち装置が直接電力を供給されるので、こうしたエネルギーを無線
状態で使用して、装置の動作のための運動エネルギーを生み出すために作動デバイスに直
接電力を供給することができる。
【0034】
システムは、無線エネルギー伝送デバイスを備えるときは、エネルギー伝送デバイスに
よって伝送された無線エネルギーを第1の形態から第2の形態エネルギーに変換するエネ
ルギー変換デバイスをさらに備えることができる。エネルギー変換デバイスは、エネルギ
ー伝送デバイスによって伝送された第1の形態のエネルギーを第2の形態エネルギーに変
換するときに、装置の植込み可能なエネルギー消費構成要素に第2の形態エネルギーで直
接電力を供給する。この点で、第2の形態のエネルギーは、直流、脈動直流電流、および
交流のうちの少なくとも1つを含む。そのように説明したシステムは、植込み可能なアキ
ュムレータを備えることができ、第2の形態エネルギーは、アキュムレータを充填するた
めに少なくとも部分的に使用される。概略的には、第1または第2の形態のエネルギーは
、磁気エネルギー、運動エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー
、電磁エネルギー、光エネルギー、原子エネルギー、熱エネルギー、非磁気エネルギー、
非運動エネルギー、非化学エネルギー、非音響エネルギー、非原子エネルギー、および非
熱エネルギーのうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
一般用語で上記に説明したシステムはさらに、少なくとも1つの電圧レベル・ガードお
よび/または少なくとも1つの定電流ガードを含む植込み可能な電気的構成要素を備える
ことができる。
【0036】
システムは、無線エネルギー伝送デバイスを備えるときは、エネルギー伝送デバイスか
らの無線エネルギーの伝送を制御する制御デバイスと、伝送された無線エネルギーを受信
する植込み可能な体内エネルギー受信器とをさらに備えることができ、その体内エネルギ
ー受信器は、受信したエネルギーを直接または間接的に装置の植込み可能なエネルギー消
費構成要素に供給するためにそのエネルギー消費構成要素に接続され、そのシステムはさ
らに、体内エネルギー受信器によって受信されるエネルギーと、装置の植込み可能なエネ
ルギー消費構成要素のために使用されるエネルギーとの間のエネルギー・バランスを決定
するように適合された決定デバイスを備え、制御デバイスは、決定デバイスによって決定
されたエネルギー・バランスに基づいて体外エネルギー伝送デバイスからの無線エネルギ
ーの伝送を制御する。一モードでは、決定デバイスは、エネルギー・バランスの変化を検
出するように適合されており、制御デバイスは、検出されたエネルギー・バランスの変化
に基づいて無線エネルギーの伝送を制御する。別のモードでは、決定デバイスは、体内エ
ネルギー受信器によって受信されたエネルギーと、装置の植込み可能なエネルギー消費構
成要素のために使用されるエネルギーとの差を検出するように適合されており、制御デバ
イスは、検出されたエネルギーの差に基づいて無線エネルギーの伝送を制御する。
【0037】
特別な実施形態では、システムが無線エネルギー伝送デバイスを備えるときに、エネル
ギー伝送デバイスは、人体外に配置されたコイルを備える。そのとき、システムはさらに
、人体内に配置される植込み可能なエネルギー受信器と、無線エネルギーを伝送するよう
に電気パルスによって体外コイルに電力を供給する電気回路とを備える。電気パルスは立
ち上がりおよび立ち下がりを有し、電気回路は、伝送された無線エネルギーの電力を変更
するために、電気パルスの連続する立ち上がりと立ち下がりの間の第1の時間間隔および
/または連続する立ち下がりと立ち上がりの間の第2の時間間隔を変更するように適合さ
れている。そのとき、伝送された無線エネルギーを受信するエネルギー受信器は、変更さ
れた電力を有する。一モードでは、電気回路は、第1のおよび/または第2の時間間隔を
変更することを除いて変更されないままであるように、電気パルスを送出するように適合
されている。別のモードでは、電気回路は、時定数を有し、第1の時定数の範囲内でのみ
第1および第2の時間間隔を変更するように適合されており、したがって、第1および/
または第2の時間間隔の長さが変更されるときは、コイル上を伝送する電力が変更される
。
【0038】
上記で説明したようなフィードバック・デバイスを含むシステムの実施形態はさらに、
無線エネルギーを受信する植込み可能な体内エネルギー受信器を備えることができる。エ
ネルギー受信器は、好ましくは、第1の体内コイルと、第1のコイルに接続された第1の
電子回路とを有する。システムはさらに、無線エネルギーを伝送する体外エネルギー伝送
器を備え、その体外エネルギー伝送器は、好ましくは第2の体外コイルと、第2のコイル
に接続された第2の電子回路とを有し、エネルギー伝送器の第2の体外コイルは、エネル
ギー受信器の第1のコイルによって受信される無線エネルギーを伝送する。こうしたシス
テムはさらに、第1の電子回路に対する第1の体内コイルの接続のオンとオフを切り換え
る電力スイッチを備えることができ、電力スイッチが、第1の電子回路に対する第1の体
内コイルの接続のオンとオフを切り換えるときに、第1のコイルの電荷に関するフィード
バック情報が、第2の体外コイルの負荷のインピーダンスの変化の形態で体外エネルギー
伝送器によって受信される。あるいは、こうしたシステムでは、フィードバック情報とし
て第1のコイルで受信したエネルギー量を通信するように、フィードバック・デバイスを
適合することができ、第2の電子回路は決定デバイスを含み、その決定デバイスは、フィ
ードバック情報を受信し、第1のコイルと第2のコイルとの間の結合係数を得るために、
第2のコイルによって伝達されたエネルギー量を第1のコイルで受信したエネルギー量に
関するフィードバック情報と比較する。エネルギー伝送器は、好ましくは、得られた結合
係数に応答して伝送されるエネルギーを調整する。一実施形態では、第2の体外コイルは
、結合係数が最大になる第2のコイルの最適な移動を確立するために、第1の体内コイル
に関して移動するように適合されている。別の実施形態では、第2の体外コイルは、結合
係数が最大になる前に決定デバイスのフィードバック情報を実現するように、伝達される
エネルギー量を較正するように適合されている。
【0039】
次に、添付の図面を参照しながら非限定的な例によって本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の装置が植え込まれた患者の概略図である。
【
図2b】装置の部分間の取外し可能な継ぎ手を示す、
図2aの装置の一部である。
【
図3】膀胱から尿道を通して尿を排出させる動作モードの
図2aの装置の図である。
【
図4】膀胱作動リザーバが尿管制限デバイスに液圧式に接続されている特別な実施形態をさらに示す、膀胱が再度尿で満たされているときの
図2aの装置の図である。
【
図6】患者に植え込まれた本発明の装置を概略的に含む、本発明によるシステムを示す。
【
図7】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図8】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図9】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図10】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図11】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図12】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図13】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図14】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図15】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図16】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図17】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図18】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図19】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図20】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図21】
図1に示す装置に無線で電力を供給するシステムの様々な実施形態を概略的に示す。
【
図22】
図6に示す装置の動作のために使用される正確な量のエネルギーを供給する機構を示す概略ブロック図である。
【
図23】装置がワイヤ接続されたエネルギーで動作する、システムの実施形態を概略的に示す。
【
図24】
図6に示す装置の動作のために使用される無線エネルギーの伝送を制御するための機構の詳細ブロック図である。
【
図25】可能な実装例による
図19に示す機構のための回路である。
【
図26】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図27】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図28】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図29】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図30a】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図30b】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図30c】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図31】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図32a】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図32b】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【
図32c】患者に植え込まれた装置の液圧または空気圧による電力供給を行う様々な方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1および
図2aを参照すると、その装置は、液圧流体を収容するための空洞を有する
拡張可能な部材20を有し、その拡張可能な部材20は、尿管32A、32Bから到達し
た尿を収容する膀胱30の内側に配置されている。制御デバイス50が、拡張可能な部材
の拡張、それにより容積を操作する。制御デバイス50は制御アセンブリ52を有し、そ
の制御アセンブリ52は液圧流体用の膀胱作動リザーバ54に接続されており、その膀胱
作動リザーバ54は、膀胱作動リザーバ54と拡張可能な部材20との間で液圧流体を輸
送するための相互接続デバイス56によって拡張可能な部材に接続されている。ポンプ5
3は流体の輸送を助けている。相互接続デバイス56は、膀胱の壁を外科的に切開して通
したチューブ形のデバイスであり、膀胱の壁をそれ自体に縫合するトンネル作製技術によ
ってそれに取り付けられている。相互接続デバイスは、組織の内方成長を可能にすること
によって封止式に固定するネット58によって支持される。
図2aでは、相互接続デバイ
ス56は、取外し可能な継ぎ手55に取り付けられており、以下に
図2bで説明するよう
に、その継ぎ手55により膀胱作動リザーバが拡張可能な部材に取り付けられている。制
御アセンブリ52は、患者の体内に配置され、液圧流体のための作動ポンプ529、作動
ポンプおよび装置の他のエネルギー消費部分を駆動するエネルギー源521など、装置を
動作させるのに必要な機能要素を複数含む。体外エネルギー供給装置60が無線エネルギ
ーをエネルギー変換デバイス522に伝達し、したがって、エネルギー源521を補うこ
とができる。体外制御ユニット70が、装置を動作させるための体内制御ユニット523
と無線通信する。また、圧力センサ57は、制御アセンブリのセンサ制御機能524に接
続されている。制御アセンブリ52は、言及した機能を含む体内部分52Aと、注入ポー
ト521Bおよび手動で動作可能なスイッチ522Bを含む体外部分52Bとを有する。
皮下にまたは腹腔もしくは骨盤領域あるいは体内の他の任意の適切な部位に、制御デバイ
スの1つまたは複数の部分を植え込むことができる。
図2aに示す実施形態は、尿道括約
筋が常に閉鎖する合併症の患者に適合されている。そのため、装置の拡張可能な部材20
は、膀胱から外に尿を押し出すために高い圧力(約60~80水柱cm)を加える必要が
あり、それにより、尿が尿管32A、32Bを通って逆流する可能性があり、これは腎臓
を損傷する潜在的リスクを伴う。こうした合併症を防止するために、制御デバイスが制限
デバイス59A、59Bを備え、それらの制限デバイス59A、59Bは、尿管を一時的
に収縮させ、拡張可能な部材による尿の排出動作中に尿管を閉じるように構成されている
。制限デバイスは、排出を行う間に一時的に収縮するようにして制御アセンブリによって
動作する。適切な機械式または液圧式に動作する制限デバイスならびにそれらの制御は、
EP1253880、EP1284691、およびEP1263355により詳細に記載
されていることを理解されたい。尿管中の尿の圧力は通常約50水柱cmであるが、短期
間の圧力上昇は腎臓を損傷することがほとんどなく、したがって、制限デバイス59Aお
よび59Bを省略することができる。
【0042】
ポンプ53が拡張可能な部材を満たすようにポンプ輸送していないときに、膀胱作動リ
ザーバと拡張可能な部材との間の通路56が自由である場合は、拡張可能な部材は膀胱を
満たす尿によって空になる。別の代替形態では、ポンプ53が、段階的に始動して、例え
ば他で言及したような他の任意の入力センサで制御された圧力によって拡張可能な部材を
空にする。拡張可能な部材20と膀胱作動リザーバ54との間に第2の接続部56Bが導
入されている。第2の接続部は、それが閉じているときに部材20から膀胱作動リザーバ
への流体の輸送を可能にするように適合されている。ポンプ輸送の体積能力が第2の接続
部の空にする能力よりずっと大きい場合は、さらにポンプ53が膀胱作動リザーバ54か
ら部材20に流体を輸送するときは、この接続部を常に開いたままにすることができる。
第2の接続部の導入は装置の任意選択の代替形態と見なされるものである。
【0043】
図2bは、
図2aの取外し可能な継ぎ手55およびその2つの結合部分55Aおよび5
5Bのより近接した図である。第1の結合部分55Aは制御デバイス50の一部であり、
膀胱作動リザーバ54に接続されている。第2の結合部分55Bは拡張可能な部材20上
に配置されている。2つの結合部分は、拡張可能な部材を制御デバイス50に対して好都
合に取付けまたは取外しするために、簡単に取付け可能であり取外し可能である。したが
って、拡張可能な部材は、適切な器具による尿道を通した介入によって簡単に交換可能に
なる。そのために、拡張可能な部材は、好都合に尿道を貫通するために本質的に円筒形の
細長い形状を想定することができる。
図2bに、取外し可能な継ぎ手の一部として第2の
接続部56Bも示す。
【0044】
図2aおよび
図3を参照すると、装置は、遠隔制御装置70からの信号に応答すること
によって動作可能である制御アセンブリ54の作動ポンプを始動することによって動作す
る。膀胱の尿の圧力をモニタリングするための圧力センサ57に制御アセンブリを接続す
ることもできる。例えば、膀胱の壁の伸長もしくは湾曲または圧力を決定するか、または
例えば膀胱内の容積または圧力を感知するために、いくつかの異なるタイプの入力センサ
を使用することができる。多くの場合、それらのセンサは、膀胱を空にする時間であるこ
とを知らせる警告を患者に与えることによって、単に間接的に膀胱を空にしている。こう
した警告は音響的または視覚的に生成される。遠隔制御装置70は、膀胱を空にすること
を制御するか、またはワイヤとして使用される体を介してもしくは無線通信によって通信
するための皮下スイッチ525を制御することができる。次に、ポンプは、液圧流体を膀
胱作動リザーバ54から相互接続デバイス56を介して拡張可能な部材20の空洞に輸送
し、それにより膀胱の体積が増大し、尿道括約筋の閉じる力に打ち勝つ圧力で尿道を通し
て尿を排出し、したがって膀胱の排尿が実現される。こうした動作中には、制御アセンブ
リは、尿管中の尿の逆流を防止するために制限デバイス59A、59Bを閉じるように動
作する。排出の実行が終了し、作動ポンプが停止すると、制限デバイス59A、59Bが
ゆるめられ、したがって尿が膀胱を再度満たすことができる。続いて、圧力センサによっ
てモニタリングされる新規の実行のために準備ができると、拡張可能な部材20は、再度
満たされる尿の圧力によって
図2に示すような形状を保持するようにつぶれる。
【0045】
尿閉の患者には尿失禁の者もいる。こうした場合には、そのシステムには別個の尿道括
約筋が含まれ、制限デバイスが、患者が排尿したくなるまで尿道を閉じている。こうした
場合は、膀胱内の圧力により、括約筋を開くために力が必要ないので、膀胱を空にするに
はより低い圧力しか必要とされない。その場合は、制限デバイス59Aおよび59Bを省
略することができる。
【0046】
膀胱作動リザーバ54を体内のどの位置に配置してもよいが、腹腔中が好ましく、膀胱
の上または骨盤領域に配置することができる。膀胱作動リザーバ中の液体の量を、注入ポ
ート521Bと、体内の特別な注入ポートの針の到達範囲内に配置された皮下リザーバ5
26とを使用することによって、流体で較正することができる。皮下リザーバを省略する
こともでき、拡張可能な部材を満たし空にするために注入ポートのみを使用することもで
きる。説明した実施形態では、尿の排出プロセスの期間/力を制御するためには、例えば
、尿の圧力、またはより簡単には膀胱の拡張可能な部材の内側の圧力を測定する圧力セン
サからのデータにより、制御アセンブリの論理によって作動ポンプを制御することも考え
られる。拡張可能な部材はその部材内で使用される圧力の範囲内では伸縮性があってもよ
く、単に可撓性しかなくてもよいことに留意されたい。
図3に、尿を排出させるときの図
2の装置を(制御デバイス50なしで)示す。次に、制限デバイス59A、59Bは、尿
管32A、32Bを閉じ、尿道括約筋59Cを開く。
図4に、膀胱が尿で再度満たされて
おり、液圧流体が膀胱作動リザーバ54に戻っているときの
図3の装置を示す。今は、制
限デバイス59A、59Bは開いており、尿道括約筋59Cが閉じている。
図4に、尿管
用の制限デバイスが、膀胱作動リザーバの特別な部分からの液圧流体によって液圧式に動
作する実施形態も示す。拡張可能な部材に加えられる尿の圧力の結果リザーバの残りの部
分が満たされるときに、制限デバイスを動作させるための液圧流体をリザーバから移動さ
せることができる。
図5に、
図2aの装置の別の実施形態を示す。ここでは、膀胱作動リ
ザーバ54は、液圧流体を拡張可能な部材20にポンプ輸送するように動作する、制御ア
センブリ52のポンプ527に液圧式に接続される。
【0047】
説明した実施形態を添付の特許請求の範囲内で改変できることを理解されたい。
【0048】
図6に、概略的に説明するかまたは
図1から
図5に示した、本発明の装置10によって
尿失禁を治療するシステムを示す。そのシステムは患者の腹部に配置される。植込み式エ
ネルギー変換デバイス302が、装置のエネルギー消費構成要素に電力供給ライン303
を介してエネルギーを供給するように適合されている。装置10に非侵襲的にエネルギー
供給する体外エネルギー伝送デバイス304が、少なくとも1つの無線エネルギー信号に
よってエネルギーを伝送する。植込み式エネルギー変換デバイス1002は、無線エネル
ギー信号からのエネルギーを電力供給ライン1003に供給される電気エネルギーに変換
する。
【0049】
無線エネルギー信号は、音波信号、超音波信号、電磁波信号、赤外線信号、可視光信号
、紫外線信号、レーザ光線信号、マイクロ波信号、電波信号、x線照射信号、およびガン
マ線照射信号から選択された波動信号を含むことができる。あるいは、無線エネルギー信
号は、電場もしくは磁場、または電場と磁場の組合せを含むことができる。
【0050】
無線エネルギー伝送デバイス1004は、無線エネルギー信号を搬送するための搬送信
号を伝送することができる。こうした搬送信号は、デジタル信号、アナログ信号、または
デジタル信号とアナログ信号の組合せを含むことができる。その場合は、無線エネルギー
信号は、アナログ信号またはデジタル信号、あるいはアナログ信号とデジタル信号の組合
せを含む。
【0051】
概略的には、エネルギー変換デバイス1002が、エネルギー伝送デバイス1004に
よって伝送される第1の形態の無線エネルギーを、典型的には第1の形態のエネルギーと
は異なる第2の形態のエネルギーに変換するために設けられる。植込み式装置10は、第
2の形態のエネルギーに応答して動作可能である。エネルギー変換デバイス1002は、
エネルギー伝送デバイス1004によって伝送される第1の形態エネルギーを第2の形態
エネルギーに変換するときに、第2の形態エネルギーで装置に直接電力を供給することが
できる。そのシステムはさらに、植込み可能なアキュムレータを含むことができ、アキュ
ムレータを充填するために第2の形態エネルギーが少なくとも部分的に使用される。
【0052】
あるいは、エネルギー伝送デバイス1004によって伝送される無線エネルギーを使用
して、無線エネルギーがエネルギー伝送デバイス1004によって伝送されているときに
、装置に直接電力を供給することができる。そのシステムが、以下に詳細に説明するよう
に、装置を動作させるための作動デバイスを備える場合は、エネルギー伝送デバイス10
04によって伝送される無線エネルギーを使用して、作動デバイスに直接電力を供給して
、装置の動作のための運動エネルギーを生み出すことができる。
【0053】
第1の形態の無線エネルギーは音波を含むことができ、エネルギー変換デバイス100
2は、音波を電気エネルギーに変換するための圧電素子を含むことができる。第2の形態
のエネルギーは、直流もしくは脈動直流電流または直流と脈動直流電流の組合せ、あるい
は交流または直流と交流の組合せの形態の電気エネルギーを含むことができる。通常、装
置は、電気エネルギーでエネルギー供給される電気構成要素を備える。システムの他の植
込み可能な電気構成要素は、装置の電気構成要素に接続された少なくとも1つの電圧レベ
ル・ガードまたは少なくとも1つの定電流ガードでよい。
【0054】
任意選択で、第1の形態のエネルギーおよび第2の形態のエネルギーの一方は、磁気エ
ネルギー、運動エネルギー、音響エネルギー、化学エネルギー、放射エネルギー、電磁エ
ネルギー、光エネルギー、原子エネルギー、または熱エネルギーを含むことができる。好
ましくは、第1の形態のエネルギーおよび第2の形態のエネルギーの一方は、非磁気、非
運動、非化学、非音響、非原子力、または非熱である。
【0055】
電磁気の無線エネルギーを放出するようにエネルギー伝送デバイスを患者の体の外から
制御することができ、放出された電磁気の無線エネルギーは装置を動作させるために使用
される。あるいは、エネルギー伝送デバイスは、非磁気無線エネルギーを放出するように
患者の体の外から制御され、放出された非磁気無線エネルギーは装置を動作させるために
使用される。
【0056】
体外エネルギー伝送デバイス1004は無線遠隔制御装置も含み、その無線遠隔制御装
置は、装置を非侵襲的に制御するための無線制御信号を伝送する体外信号伝送器を有する
。制御信号は植込み式信号受信器によって受信され、その信号受信器は、植込み式エネル
ギー変換デバイス1002に組み込まれてもよく、それとは別個でもよい。
【0057】
無線制御信号は、周波数、振幅、もしくは位相を変調した信号、またはそれらの組合せ
を含むことができる。あるいは、無線制御信号は、アナログ信号もしくはデジタル信号、
またはアナログ信号とデジタル信号の組合せを含む。あるいは、無線制御信号は、電場も
しくは磁場、または電場と磁場の組合せを含む。
【0058】
無線遠隔制御装置は、無線制御信号を搬送する搬送信号を伝送することができる。こう
した搬送信号は、デジタル信号、アナログ信号、またはデジタル信号とアナログ信号の組
合せを含むことができる。制御信号がアナログ信号もしくはデジタル信号、またはアナロ
グ信号とデジタル信号の組合せを含む場合は、無線遠隔制御装置は、好ましくは、デジタ
ル制御信号またはアナログ制御信号を搬送する電磁気の搬送波信号を伝送する。
【0059】
図7に、より概略的なブロック図の形態で
図6のシステムを示し、この図は、装置10
と、電力供給ライン1003を介して装置10に電力を供給するエネルギー変換デバイス
1002と、体外エネルギー伝送デバイス1004を示す。垂直の線で概略的に示す患者
の皮膚1005により、線の右側の患者の体内が線の左側の患者の体外から分けられてい
る。
【0060】
図8に、例えば分極エネルギーによって動作可能な電気スイッチ1006の形態の反転
デバイスも装置10を反転させるために患者に植え込まれていることを除いて、
図7の実
施形態と同一の本発明の実施形態を示す。スイッチが分極エネルギーによって動作すると
きは、体外エネルギー伝送デバイス1004の無線遠隔制御装置は、分極エネルギーを搬
送する無線信号を伝送し、植込み式エネルギー変換デバイス1002は、電気スイッチ1
006を動作させるために無線分極エネルギーを分極電流に変換する。植込み式エネルギ
ー変換デバイス1002によって電流の極性が変更されると、電気スイッチ1006は、
装置10によって実行される機能を反転させる。
【0061】
図9に、装置10を動作させるための患者に植え込まれた作動デバイス1007が、植
込み式エネルギー変換デバイス1002と装置10との間に設けられていることを除いて
図7の実施形態と同一の実施形態を示す。こうした作動デバイスは、電気サーボモータな
どのモータ1007の形態でよい。モータ1007は、体外エネルギー伝送デバイス10
04の遠隔制御装置が無線信号を、植込み式エネルギー変換デバイス1002の受信器に
伝送するときに、植込み式エネルギー変換デバイス1002からのエネルギーで電力供給
される。
【0062】
図10に、モータ/ポンプ・ユニット1009および流体リザーバ1010を含むアセ
ンブリ1008の形態であり、患者に植え込まれた、作動デバイスを備えることを除いて
図7の実施形態と同一の実施形態を示す。この場合は、装置10が液圧式に動作し、すな
わち、液圧流体は、装置を動作させるためにモータ/ポンプ・ユニット1009によって
流体リザーバ1010から導管1011を通って装置10までポンプ輸送され、装置を始
動位置に戻すためにモータ/ポンプ・ユニット1009によって装置10から流体リザー
バ1010に戻されるようにポンプ輸送される。植込み式エネルギー変換デバイス100
2は、電力供給ライン1012を介してモータ/ポンプ・ユニット1009に電力を供給
するために、無線エネルギーを電流、例えば分極電流に変換する。
【0063】
液圧式に動作する装置10の代わりに、作動デバイスが空気圧作動デバイスを備えるこ
とも想定される。その場合、液圧流体は調整のために使用される加圧空気でよく、流体リ
ザーバの代わりに空気室が用いられる。
【0064】
これら全ての実施形態では、エネルギー変換デバイス1002は、無線エネルギーによ
って充填されるバッテリまたはコンデンサのような充填可能なアキュムレータを含むこと
ができ、システムの任意のエネルギー消費部分にエネルギーを供給する。
【0065】
代替形態として、上記で説明した無線遠隔制御装置の代わりに、患者の手によって、多
くの場合に間接的に、例えば皮膚の下に配置された押しボタンによって接触する、植込み
式部分の手動制御を用いることができる。
【0066】
図11に、無線遠隔制御装置を有する体外エネルギー伝送デバイス1004と、この場
合は液圧式に動作する装置10と、植込み式エネルギー変換デバイス1002とを備え、
全て患者に植え込まれている、液圧流体リザーバ1013と、モータ/ポンプ・ユニット
1009と、液圧バルブ・シフト・デバイス1014の形態の反転デバイスとをさらに備
える、本発明の実施形態を示す。当然、液圧動作は、ポンプ輸送の方向を変更するだけで
簡単に実行することもでき、したがって液圧バルブを省略することができる。遠隔制御装
置は、体外エネルギー伝送デバイスとは別個のデバイスでもよく、それに含まれてもよい
。モータ/ポンプ・ユニット1009のモータは電気モータである。体外エネルギー伝送
デバイス1004の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、植込み式エネルギー変
換デバイス1002は、制御信号によって搬送されたエネルギーからのエネルギーでモー
タ/ポンプ・ユニット1009に電力を供給し、それにより、モータ/ポンプ・ユニット
1009は、液圧流体リザーバ1013と装置10の間で液圧流体を分配する。体外エネ
ルギー伝送デバイス1004の遠隔制御装置は、装置を動作させるために流体がモータ/
ポンプ・ユニット1009によって液圧流体リザーバ1013から装置10にポンプ輸送
される一方の方向と、装置を始動位置に戻すために流体がモータ/ポンプ・ユニット10
09によって装置10から液圧流体リザーバ1013に戻るようにポンプ輸送されるもう
一方の反対の方向との間で、液圧流体の流動方向をシフトするように液圧バルブ・シフト
・デバイス1014を制御する。
【0067】
図7に、無線遠隔制御装置を有する体外エネルギー伝送デバイス1004と、装置10
と、植込み式エネルギー変換デバイス1002と、体外エネルギー伝送デバイス1004
の無線遠隔制御装置によって制御される植込み式体内制御ユニット1015と、植込み式
アキュムレータ1016と、植込み式コンデンサ1017とを備える本発明の実施形態を
示す。体内制御ユニット1015は、エネルギーを装置10に供給するアキュムレータ1
016に、植込み式エネルギー変換デバイス1002から受信した電気エネルギーを貯蔵
する。体外エネルギー伝送デバイス1004の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答し
て、体内制御ユニット1015は、アキュムレータ1016からの電気エネルギーを放出
し、放出したエネルギーを電力線1018および1019を介して伝達するか、または電
気エネルギーを植込み式エネルギー変換デバイス1002から電力線1020、電流を安
定させるコンデンサ1017、電力線1021、および装置10の動作のための電力線1
019を介して直接伝達する。
【0068】
体内制御ユニットは、好ましくは、患者の体の外からプログラム可能である。好ましい
実施形態では、体内制御ユニットは、予めプログラムされた時間スケジュール、または患
者の任意の可能な物理的パラメータもしくはシステムの任意の関数パラメータを感知する
任意のセンサからの入力に従って、装置10を調整するようにプログラムされる。
【0069】
代替形態によれば、
図12の実施形態のコンデンサ1017を省略することができる。
別の代替形態によれば、この実施形態のアキュムレータ1016を省略することができる
。
【0070】
図13に、装置10の動作のためにエネルギーを供給するためのバッテリ1022と、
装置10の動作を切り換えるための電気スイッチ1023も患者に植え込まれていること
を除いて
図7の実施形態と同一の実施形態を示す。バッテリ1022が使用されていない
オフ・モードから、バッテリ1022が装置10の動作のためにエネルギーを供給するオ
ン・モードに切り換えるために、電気スイッチ1023を遠隔制御装置によって制御する
ことができ、植込み式エネルギー変換デバイス1002によって供給されたエネルギーに
よって動作させることもできる。
【0071】
図14に、体外エネルギー伝送デバイス1004の無線遠隔制御装置によって制御され
る体内制御ユニット1015も患者に植え込まれていることを除いて
図13の実施形態と
同一の実施形態を示す。その場合、電気スイッチ1023は、植込み式エネルギー変換デ
バイス1002によって供給されたエネルギーによって、無線遠隔制御装置により体内制
御ユニット1015の制御が防止されバッテリが使用されていないオフ・モードから、装
置10の動作のためにバッテリ1022から電気エネルギーを放出するように遠隔制御装
置が体内制御ユニット1015を制御することが可能である待機モードに切り換えるよう
に動作する。
【0072】
図15に、バッテリ1022の代わりにアキュムレータ1016が用いられ、植込み式
構成要素の相互接続が異なることを除いて
図14の実施形態と同一の実施形態を示す。そ
の場合、アキュムレータ1016は、植込み式エネルギー変換デバイス1002からのエ
ネルギーを貯蔵する。体外エネルギー伝送デバイス1004の無線遠隔制御装置からの制
御信号に応答して、体内制御ユニット1015は、アキュムレータ1016が使用されて
いないオフ・モードから、アキュムレータ1016が装置10の動作のためにエネルギー
を供給するオン・モードに切り換えるように、電気スイッチ1023を制御する。アキュ
ムレータをコンデンサと組み合わせてもよく、アキュムレータの代わりにコンデンサを用
いてもよい。
【0073】
図16に、バッテリ1022も患者に植え込まれており、植込み式構成要素の相互接続
が異なることを除いて
図15の実施形態と同一の実施形態を示す。体外エネルギー伝送デ
バイス1004の無線遠隔制御装置からの制御信号に応答して、体内制御ユニット101
5は、バッテリ1022が使用されていないオフ・モードから、バッテリ1022が装置
10の動作のために電気エネルギーを供給するオン・モードに切り換えるように、電気ス
イッチ1023を動作させるためにエネルギーを送出するようにアキュムレータ1016
を制御する。
【0074】
あるいは、電気スイッチ1023は、無線遠隔制御装置により電気エネルギーを供給す
るようにバッテリ1022を制御することが防止されその無線遠隔制御装置が使用されて
いない、オフ・モードから、無線遠隔制御装置が装置10の動作のために電気エネルギー
を供給するようにバッテリ1022を制御できる待機モードに切り換えるように、アキュ
ムレータ1016によって供給されるエネルギーによって動作することができる。
【0075】
スイッチ1023およびこの出願の他の全てのスイッチを最も範囲が広い実施形態のも
のと解釈すべきであることを理解されたい。これは、トランジスタ、MCU、MCPU、
ASIC、FPGAもしくはDA変換器または他の任意の電子構成要素もしくは回路が電
力のオンとオフを切り換えできることを意味する。好ましくは、スイッチは、体外から制
御されるか、あるいは植込み式体内制御ユニットによって制御される。
【0076】
図17に、モータ1007と、ギア・ボックス1024の形態の機械式反転デバイスと
、ギア・ボックス1024を制御する体内制御ユニット1015も患者に植え込まれてい
ることを除いて
図13の実施形態と同一の実施形態を示す。体内制御ユニット1015は
、(機械式に動作する)装置10によって実行される機能を反転させるようにギア・ボッ
クス1024を制御する。さらに単純なことにモータの方向を電子的に切り換える。最も
範囲が広い実施形態に解釈されるギア・ボックスは、より長い作動ストロークに有利なよ
うに作動デバイスのための力を節約するサーボ機構を表すことができる。
【0077】
図18に、植込み式構成要素の相互接続が異なることを除いて
図24の実施形態と同一
の本発明の実施形態を示す。したがって、その場合は、体内制御ユニット1015は、ア
キュムレータ1016、適切にはコンデンサが電気スイッチ1023を始動させてオン・
モードに切り換えるときに、バッテリ1022によって電力が供給される。電気スイッチ
1023がオン・モードのときは、体内制御ユニット1015は、エネルギー装置10の
動作のためのエネルギーを、供給するように、または供給しないようにバッテリ1022
を制御することが可能である。
【0078】
図19に、様々な通信の選択肢を実現するための、装置の植込み式構成要素の考えられ
る組合せを概略的に示す。基本的に、装置10と、体内制御ユニット1015と、モータ
またはポンプ・ユニット1009と、体外無線遠隔制御装置を含む体外エネルギー伝送デ
バイス1004がある。すでに上記で説明したように、無線遠隔制御装置は、体内制御ユ
ニット1015によって受信された制御信号を伝送し、その体内制御ユニット1015は
装置の様々な植込み式構成要素を制御する。
【0079】
好ましくは、センサまたは測定デバイス1025を備えるフィードバック・デバイスを
、患者の物理的パラメータを感知するために患者に植え込むことができる。物理的パラメ
ータは、圧力、容積、直径、伸長、延長、拡張、移動、湾曲、伸縮性、筋収縮、神経イン
パルス、体温、血圧、血流、心拍、および呼吸からなる群から選択された少なくとも1つ
でよい。センサは、上記の物理的パラメータのいずれも感知することができる。例えば、
センサは圧力センサまたは運動性センサでよい。あるいは、関数パラメータを感知するよ
うにセンサ1025を構成することができる。関数パラメータは、植込み式エネルギー源
を充填するためにエネルギーを伝達するように互いに関連付けることができ、電気、任意
の電気的パラメータ、圧力、容積、直径、伸長、延長、拡張、移動、湾曲、伸縮性、温度
、および流れからなるパラメータの群から選択された少なくとも1つをさらに含むことが
できる。
【0080】
体内制御ユニットに、または好ましくは体内制御ユニットを介して外に体外制御ユニッ
トにフィードバックを送ることができる。エネルギー伝達システム、または受信器および
伝送器を有する別個の通信システムを介して、フィードバックを体外に送出することがで
きる。
【0081】
体内制御ユニット1015、あるいは体外エネルギー伝送デバイス1004の体外無線
遠隔制御装置は、センサ1025からの信号に応答して装置10を制御することができる
。感知した物理的パラメータの情報を体外無線遠隔制御装置に送るために、トランシーバ
をセンサ1025と組み合わせることができる。無線遠隔制御装置は信号伝送器またはト
ランシーバを備えることができ、体内制御ユニット1015は信号受信器またはトランシ
ーバを備えることができる。あるいは、無線遠隔制御装置は信号受信器またはトランシー
バを備えることができ、体内制御ユニット1015は信号伝送器またはトランシーバを備
えることができる。上記のトランシーバ、伝送器、および受信器を使用して、装置10に
関する情報またはデータを患者の体内から体外に送ることができる。
【0082】
モータ/ポンプ・ユニット1009と、モータ/ポンプ・ユニット1009に電力を与
えるバッテリ1022が植え込まれている場合は、バッテリ1022の充填に関する情報
をフィードバックすることができる。より正確にするには、バッテリまたはアキュムレー
タをエネルギーで充填するときに、前記充填プロセスに関するフィードバック情報を送信
し、それに従ってエネルギー供給を変更する。
【0083】
図20に、装置10が患者の体外から調整される代替の実施形態を示す。システム10
00はバッテリ1022を備え、バッテリ1022は皮下の電気スイッチ1026を介し
て装置10に接続されている。したがって、装置10の調整は、手動で皮下スイッチを押
し、それにより装置10の動作がオンとオフで切り換えられることによって、非侵襲的に
実行される。図示の実施形態は単純化したものであり、体内制御ユニットまたは本出願で
開示した他の任意の部分など、追加の構成要素をシステムに追加できることが理解されよ
う。皮下スイッチを2つ使用することもできる。好ましい実施形態では、1つの植込み式
スイッチが、ある所定の動作を実行するように情報を体内制御ユニットに送信し、患者が
再度スイッチを押すと動作が反転する。
【0084】
図21に、システム1000が装置に液圧式に接続された液圧流体リザーバ1013を
備える代替の実施形態を示す。装置に接続された液圧リザーバを手で押すことによって非
侵襲的な調整が行われる。
【0085】
そのシステムは、体外データ通信器と、体外データ通信器と通信する植込み可能な体内
データ通信器を含むことができる。体内通信器が体外データ通信器に装置または患者に関
するデータを供給し、かつ/または体外データ通信器が体内データ通信器にデータを供給
する。
【0086】
図22に、システムの機構を概略的に示し、その機構は、装置10の植込み式エネルギ
ー消費構成要素に接続された植込み式体内エネルギー受信器1002に正確な量のエネル
ギーを供給するために、装置もしくはシステムの少なくとも1つの関数パラメータまたは
患者の物理的パラメータに関するフィードバック情報を提供するように患者の体内から体
外に情報を送信できる。こうしたエネルギー受信器1002は、エネルギー源および/ま
たはエネルギー変換デバイスを含むことができる。簡単に説明すると、無線エネルギーは
、患者の外側に位置する体外エネルギー源1004aから伝送され、患者の内側に位置す
る体内エネルギー受信器1002によって受信される。体内エネルギー受信器は、スイッ
チ1026を介して装置10のエネルギー消費構成要素に受信したエネルギーを直接また
は間接的に供給するように適合されている。エネルギー・バランスは、体内エネルギー受
信器1002によって受信したエネルギーと、装置10のために使用されるエネルギーと
の間で決定され、次いで、無線エネルギーの伝送は、決定されたエネルギー・バランスに
基づいて制御される。したがって、エネルギー・バランスは、適切に、過度の温度上昇な
しに装置10を動作させるのに十分な、必要なエネルギーの正確な量を正確に提示する。
【0087】
図23では、患者の皮膚は垂直の線1005によって示される。ここでは、エネルギー
受信器は、患者の体内に、好ましくは患者の皮膚1005のすぐ下に配置されたエネルギ
ー変換デバイス1002を備える。概略的には、植込み式エネルギー変換デバイス100
2を、腹部、胸郭、(例えば腹壁の)筋膜、皮下に、または他の任意の適切な位置に配置
することができる。植込み式エネルギー変換デバイス1002は、体外エネルギー源10
04aから伝送される無線エネルギーEを受信するように適合されており、その体外エネ
ルギー源1004aは、植込み式エネルギー変換デバイス1002の近傍の患者の皮膚1
005の外側に位置する体外エネルギー伝送デバイス1004に設けられる。
【0088】
当技術分野でよく知られているように、無線エネルギーEは、一般に、体外エネルギー
源1004aに配置された一次コイルと、植込み式エネルギー変換デバイス1002に配
置された隣接する二次コイルとを含むデバイスなど、任意の適切な経皮エネルギー伝達(
TET)デバイスによって伝達することができる。電流が一次コイルを通して供給される
と、電圧の形態のエネルギーが二次コイルに誘導され、例えば入ってくるエネルギーを蓄
電可能なバッテリまたはコンデンサなどの植込み式エネルギー源に貯蔵した後で、これを
利用して装置の植込み式エネルギー消費構成要素に電力を供給することができる。しかし
、本発明は、概して、どんな特定のエネルギー伝達技法、TETデバイス、またはエネル
ギー源にも限定されず、任意の種類の無線エネルギーを使用することができる。
【0089】
植込み式エネルギー受信器から受信するエネルギー量を、装置の植込み式構成要素によ
って使用されるエネルギーと比較することができる。そのとき、用語「使用されるエネル
ギー」は、装置の植込み式構成要素によって貯蔵されたエネルギーも含むことが理解され
る。制御デバイスが体外制御ユニット1004bを含み、その体外制御ユニット1004
bは、決定されたエネルギー・バランスに基づいて、伝達されるエネルギーの量を調整す
るように体外エネルギー源1004aを制御する。正確なエネルギー量を伝達するために
、エネルギー・バランスおよび要求エネルギー量が、スイッチ1026と装置10の間に
接続された植込み式体内制御ユニット1015を含む決定デバイスによって決定される。
したがって、装置10の特徴を測定する適切なセンサなど(図示せず)によって得られる
様々な測定値を受信するように、体内制御ユニット1015を構成することができ、装置
10の適切な動作のために必要な要求エネルギー量がある程度反映される。さらに、患者
の現在の状態を、患者の状態を反映するパラメータを提供するために適切な測定デバイス
またはセンサによって検出することもできる。したがって、こうした特徴および/または
パラメータは、電力消費、動作モードおよび温度などの装置10の現在の状態ならびに体
温、血圧、心拍、および呼吸などのパラメータに反映された患者の状態に関連してよい。
患者の他の種類の物理的パラメータおよびデバイスの関数パラメータは別に記載する。
【0090】
さらに、アキュムレータ1016の形態のエネルギー源を、任意選択で、装置10が後
で使用する受信エネルギーを蓄積するために、制御ユニット1015を介して植込み式エ
ネルギー変換デバイス1002に接続することができる。あるいは、またはさらに、やは
り要求エネルギー量を反映するこうしたアキュムレータの特徴を測定することもできる。
アキュムレータの代わりに蓄電可能なバッテリを使用することができ、測定した特徴は、
エネルギー消費電圧、温度などの任意の電気的パラメータなど、バッテリの現在の状態に
関するものでよい。十分な電圧および電流を装置10に供給し、さらに過熱を避けるため
に、正確なエネルギー量、すなわち少なすぎず、多すぎない量を植込み式エネルギー変換
デバイス1002から受信することによってバッテリを最適に充填すべきであることが明
確に理解される。アキュムレータは、対応する特徴を有するコンデンサであってもよい。
【0091】
例えば、バッテリの現在の状態を決定するためにバッテリの特徴を定期的に測定するこ
とができ、次いで、それを体内制御ユニット1015の適切な格納手段に状態情報として
格納することができる。したがって、新規の測定が行われるときはいつでも、それに従っ
てバッテリ状態の格納した情報を更新することができる。このようにして、バッテリを最
適な状態に維持するように正確なエネルギー量を伝達することによって、バッテリの状態
を「較正」することができる。
【0092】
したがって、決定デバイスの体内制御ユニット1015は、上記で言及した装置10の
センサまたは測定デバイス、または患者、または使用する場合は植込み式エネルギー源、
あるいはそれらの任意の組合せで行った測定に基づいて、エネルギー・バランスおよび/
または現在の要求エネルギー量(単位時間当たりのエネルギーまたは蓄積されたエネルギ
ー)を決定するように適合されている。体内制御ユニット1015はさらに、体内信号伝
送器1027に接続されており、その体内信号伝送器1027は、決定された要求エネル
ギー量を反映する制御信号を体外制御ユニット1004bに接続された体外信号受信器1
004cに伝送するように構成されている。次いで、受信した制御信号に応答して、体外
エネルギー源1004aから伝送されるエネルギー量を調整することができる。
【0093】
あるいは、決定デバイスは、体外制御ユニット1004bを含むことができる。この代
替形態では、体外制御ユニット1004bに直接センサの測定値を伝送することができ、
エネルギー・バランスおよび/または現在の要求エネルギー量を体外制御ユニット100
4bによって決定することができ、したがって、体内制御ユニット1015の上記で説明
した機能を体外制御ユニット1004bに統合することができる。その場合は、体内制御
ユニット1015を省略することができ、センサの測定値は体内信号伝送器1027に直
接供給され、その体内信号伝送器1027は、それらの測定値を体外信号受信器1004
cおよび体外制御ユニット1004bに対して送信する。次いで、それらのセンサの測定
値に基づいて体外制御ユニット1004bによって、エネルギー・バランスおよび現在の
要求エネルギー量を決定することができる。
【0094】
したがって、
図22の機構による現在の解決策は、要求エネルギーを示す情報のフィー
ドバックを用い、これは、受信エネルギーと比較した、例えば、装置の植込み式エネルギ
ー消費構成要素によって使用されるエネルギーの割合と比較されるエネルギー量、エネル
ギー差、またはエネルギー受信割合を基準にした、実際のエネルギーの使用に基づいてい
るので以前の解決策より効果的である。装置は、消費、または植込み式エネルギー源など
へのエネルギー貯蔵のために受信エネルギーを使用することができる。したがって、関連
がありかつ必要な場合に、さらに実際のエネルギー・バランスを決定するためのツールと
して、上記で説明した異なるパラメータを使用することになる。しかし、特に装置を動作
させるために体内で行われる動作のために、本質的にこうしたパラメータを必要としてよ
い。
【0095】
無線信号、IR(赤外線)信号、または超音波信号など、適切な信号伝達手段を用いて
、体内信号伝送器1027および体外信号受信器1004cを別個のユニットとして実装
することができる。あるいは、基本的に同じ伝送技法を用いてエネルギー伝達に対して逆
方向に制御信号を運ぶように、体内信号伝送器1027および体外信号受信器1004c
を、それぞれ植込み式エネルギー変換デバイス1002および体外エネルギー源1004
aに組み込むことができる。制御信号は、周波数、位相、または振幅に関して変調するこ
とができる。
【0096】
したがって、受信器および伝送器を含む別個の通信システムによって、フィードバック
情報を伝達することもでき、エネルギー・システムに組み込むこともできる。本発明によ
れば、こうした一体型の情報フィードバックおよびエネルギー・システムは、第1の体内
コイルおよび第1のコイルに接続された第1の電子回路を有する、無線エネルギーを受信
するための植込み可能な体内エネルギー受信器を備え、第2の体外コイルおよび第2のコ
イルに接続された第2の電子回路を有する、無線エネルギーを伝送するための体外エネル
ギー伝送器を備える。エネルギー伝送器の第2の体外コイルは、エネルギー受信器の第1
のコイルによって受信される無線エネルギーを伝送する。このシステムはさらに、第1の
電子回路に対する第1の体内コイルの接続のオンとオフを切り換える電力スイッチを備え
、電力スイッチが第1の電子回路に対する第1の体内コイルの接続のオンとオフを切り換
えるときに、第2の体外コイルの負荷のインピーダンスの変化の形態で第1のコイルの電
荷に関するフィードバック情報が体外エネルギー伝送器によって受信される。こうしたシ
ステムを
図17の機構に実装する際に、スイッチ1026は、体内制御ユニット1015
から分離して制御されるか、または体内制御ユニット1015に組み込まれる。スイッチ
1026を最も範囲が広い実施形態に解釈すべきであることを理解されたい。これは、ト
ランジスタ、MCU、MCPU、ASIC、FPGAもしくはDA変換器または他の任意
の電子構成要素もしくは回路が電力のオンとオフを切り換えできることを意味する。
【0097】
結論としては、
図22に示すエネルギー供給機構は、基本的には以下のようにして動作
することができる。エネルギー・バランスは、最初に、決定デバイスの体内制御ユニット
1015によって決定される。要求エネルギー量を反映する制御信号も体内制御ユニット
1015によって生成され、その制御信号は、体内信号伝送器1027から体外信号受信
器1004cに伝送される。あるいは、代わりに上記で言及したように、実装形態に応じ
て体外制御ユニット1004bによってエネルギー・バランスを決定することができる。
その場合は、制御信号は、様々なセンサからの測定結果を搬送することができる。次いで
、決定されたエネルギー・バランスに基づいて、例えば受信した制御信号に応答して、体
外エネルギー源1004aから放出されたエネルギー量を体外制御ユニット1004bに
よって調整することができる。このプロセスは、進行しているエネルギー伝達中に特定の
間隔で間欠的に繰り返すこともでき、エネルギー伝達中にある程度連続して実行すること
もできる。
【0098】
伝達されたエネルギーの量は、概して、電圧、電流、振幅、波動周波数、およびパルス
の特徴など、体外エネルギー源1004aの様々な伝送パラメータを調節することによっ
て調整することができる。
【0099】
このシステムを使用して、体内コイルに関する体外コイルの最適な位置を見つけると共
に、エネルギー伝達を最適化するために、システムをさらに較正するように、TETシス
テムのコイル間の結合係数についての情報を得ることもできる。単純にこの場合に伝達さ
れるエネルギー量を受信するエネルギー量と比較する。例えば、体外コイルが移動する場
合は、結合係数は変わることがあり、移動が正確になると、体外コイルがエネルギー伝達
のための最適な位置を見つけることもできる。好ましくは、体外コイルは、結合係数が最
大になる前に決定デバイスのフィードバック情報を実現するように、伝達されるエネルギ
ー量を較正するように適合されている。
【0100】
この結合係数の情報は、エネルギー伝達中にフィードバックとして使用することもでき
る。こうした場合には、本発明のエネルギー・システムは、第1の体内コイルおよび第1
のコイルに接続された第1の電子回路を有する、無線エネルギーを受信する植込み可能な
体内エネルギー受信器と、第2の体外コイルおよび第2のコイルに接続された第2の電子
回路を有する、無線エネルギーを伝送する体外エネルギー伝送器とを備える。エネルギー
伝送器の第2の体外コイルは、エネルギー受信器の第1のコイルによって受信される無線
エネルギーを伝送する。そのシステムはさらに、フィードバック情報として第1のコイル
で受信されるエネルギー量を通信するフィードバック・デバイスを備え、第2の電子回路
は決定デバイスを含み、その決定デバイスは、フィードバック情報を受信し、第1のコイ
ルと第2のコイルの間の結合係数を得るために、第2のコイルによって伝達されたエネル
ギー量を第1のコイルで受信されたエネルギー量に関するフィードバック情報と比較する
。エネルギー伝送器は、得られた結合係数に応答して、伝送されたエネルギーを調整する
ことができる。
【0101】
図23を参照すると、非侵襲的な操作を可能にするように装置を動作させるためのエネ
ルギーの無線伝達を上記で説明したが、装置はワイヤでつなげたエネルギーでも動作でき
ることが理解されよう。こうした一例を
図18に示し、その図では、体外スイッチ102
6は、装置10を動作させる電気モータ1007など、体外エネルギー源1004aと作
動デバイスの間に相互接続されている。体外制御ユニット1004bが、装置10が適切
な動作を行うように体外スイッチ1026の動作を制御する。
【0102】
図24に、受信したエネルギーを装置10に供給し装置10によって使用できる方法に
関する異なる実施形態を示す。
図17の例と同様に、体内エネルギー受信器1002が、
伝送制御ユニット1004bによって制御される体外エネルギー源1004aから無線エ
ネルギーEを受信する。体内エネルギー受信器1002は、エネルギーを定電圧で装置1
0に供給する定電圧回路を備えることができ、これを図では破線のボックス「定電圧V」
で示している。体内エネルギー受信器1002はさらに、装置10に定電流でエネルギー
を供給する定電流回路を備えることができ、これを図では破線のボックス「定電流C」で
示す。
【0103】
装置10はエネルギー消費部分10aを備え、そのエネルギー消費部分10aは、モー
タ、ポンプ、制限デバイス、または電気動作のためにエネルギーを必要とする他の任意の
医療機器でよい。装置10はさらに、体内エネルギー受信器1002から供給されたエネ
ルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵デバイス10bを備えることができる。したがって、供
給されるエネルギーは、エネルギー消費部分10aによって直接消費されても、エネルギ
ー貯蔵デバイス10bに貯蔵されてもよく、または供給されるエネルギーは、一部が消費
され、一部が貯蔵されてもよい。装置10はさらに、体内エネルギー受信器1002から
供給されたエネルギーを安定化するエネルギー安定化ユニット10cを備えることができ
る。したがって、エネルギーを増減させながら供給することができ、そのため消費または
貯蔵の前にエネルギーを安定化する必要がある。
【0104】
体内エネルギー受信器1002から供給されたエネルギーはさらに、装置10によって
消費および/または貯蔵される前に、装置10の外側に位置する別個のエネルギー安定化
ユニット1028によって蓄積および/または安定化されてよい。あるいは、エネルギー
安定化ユニット1028を体内エネルギー受信器1002に組み込むことができる。いず
れの場合でも、エネルギー安定化ユニット1028は、定電圧回路および/または定電流
回路を備えることができる。
【0105】
図22および
図24に、図示の様々な機能上の構成要素および要素を配置できる方法お
よび互いに接続できる方法に関する、いくつかの可能であるが、非限定的な実装形態の選
択肢を示していることに留意されたい。しかし、本発明の範囲内で多くの変更および改変
を行うことができることを当業者は簡単に理解するであろう。
【0106】
図25に、無線エネルギーの伝送を制御するシステムまたはエネルギー・バランス制御
システムの設計案のうちの1つであるエネルギー・バランス測定回路を概略的に示す。回
路は出力信号を有し、その出力信号は、2.5Vを中心とし、エネルギーのアンバランス
と比例関係にある。こうした信号の導関数は、値が上下しているかどうかと、そうした変
化が生じる速度を示す。受信エネルギー量が装置の植込み式構成要素によって使用される
エネルギーより少ない場合は、より多くのエネルギーが伝達され、したがって、エネルギ
ー源が充填される。回路からの出力信号は、典型的には、A/D変換器に供給され、デジ
タル・フォーマットに変換される。次いで、そのデジタル情報を体外エネルギー伝送デバ
イスに送信し、そこで伝送されたエネルギーのレベルを調節することができる。別の可能
性は、比較器を使用する完全なアナログ・システムを有することであり、その比較器は、
エネルギー・バランスのレベルを特定の最大閾値および最小閾値と比較し、バランスがず
れて最大/最小ウィンドウから出てしまう場合は、情報を体外エネルギー伝送デバイスに
送信する。
【0107】
概略
図25に、誘導性エネルギーの伝達を使用して患者の体外から本発明の装置の植込
み式エネルギー構成要素にエネルギーを伝達するシステムの回路の実装形態を示す。誘導
性エネルギー伝達システムは、典型的には、体外伝送コイルおよび体内受信コイルを使用
する。受信コイルL1は概略
図3に含まれ、システムの伝送部分は含まれない。
【0108】
エネルギー・バランスの概略的な概念および体外エネルギー伝送器への情報の伝送方法
の実装形態は、当然、多数の異なる方法で実装することができる。情報を評価および伝送
する、概略
図25および上記で説明した方法は、制御システムの実装方法の例としてのみ
解釈すべきである。
【0109】
回路の詳細
図25では、記号Y1、Y2、Y3などは、回路内の試験点を記号化して
いる。図の構成要素およびそれぞれの値は、この特定の実装形態で機能する値であり、当
然、これは無数の可能な設計の解決策の一つに過ぎない。
【0110】
回路に電力を供給するエネルギーは、エネルギー受信コイルL1で受信される。植込み
式構成要素へのエネルギーは、この特定の場合には周波数25kHzで伝送される。エネ
ルギー・バランス出力信号は試験点Y1にある。
【0111】
上記のシステムの様々な実施形態を多くの異なる方法で組み合わせることもできると当
業者は認識するであろう。例えば、
図8の電気スイッチ1006を
図11~
図17の実施
形態のいずれかに組み込むこともでき、
図11の液圧バルブ・シフト・デバイス1014
を
図10の実施形態に組み込むこともでき、ギア・ボックス1024を
図9の実施形態に
組み込むこともできる。スイッチは単に任意の電子回路または構成要素を意味することも
できると認識されたい。
【0112】
図22、
図24、および
図25に関連して説明した実施形態は、電気的に動作可能な装
置の植込み式エネルギー消費構成要素への無線エネルギーの伝送を制御する方法およびシ
ステムを特定する。こうした方法およびシステムを以下で概略的に定義する。
【0113】
したがって、上記で説明した装置の植込み式エネルギー消費構成要素に供給される無線
エネルギーの伝送を制御する方法が提供される。無線エネルギーEは、患者の体外に位置
する体外エネルギー源から伝送され、患者の体内に位置する体内エネルギー受信器によっ
て受信され、体内エネルギー受信器は、受信したエネルギーを装置の植込み式エネルギー
消費構成要素に直接または間接的に供給するために、そのエネルギー消費構成要素に接続
される。体内エネルギー受信器によって受信されるエネルギーと、装置のために使用され
るエネルギーとの間でエネルギー・バランスが決定される。次いで、体外エネルギー源か
らの無線エネルギーEの伝送は、決定されたエネルギー・バランスに基づいて制御される
。
【0114】
体外エネルギー源の一次コイルから体内エネルギー受信器の二次コイルに誘導的に無線
エネルギーを伝送ことができる。エネルギー・バランスの変化を決定して、そのエネルギ
ー・バランスの変化に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することができる。体内エネ
ルギー受信器によって受信されたエネルギーと、医療デバイスのために使用されるエネル
ギーとの差を検出して、検出されたエネルギーの差に基づいて無線エネルギーの伝送を制
御することもできる。
【0115】
エネルギー伝送を制御するときに、検出されたエネルギー・バランスの変化が、エネル
ギー・バランスが増大していることを示す場合は、伝送される無線エネルギーの量を低減
させることができ、その逆も可能である。エネルギー伝送の減少/増加はさらに、検出し
た変化量に一致してよい。
【0116】
検出されたエネルギーの差が、受信エネルギーが使用エネルギーより多いことを示す場
合に、伝送される無線エネルギーの量をさらに減少させることができるか、またはその逆
も可能である。そのとき、エネルギー伝送の減少/増加は、検出したエネルギーの差の大
きさと一致してよい。
【0117】
上記で言及したように、医療デバイスのために使用されるエネルギーを、医療デバイス
を動作させるために消費し、かつ/または医療デバイスの少なくとも1つのエネルギー貯
蔵デバイスに貯蔵することができる。
【0118】
医療デバイスの電気的および/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理
的パラメータが決定されるときは、前記パラメータに基づいて決定された単位時間当たり
の伝送速度に従って消費および貯蔵するためにエネルギーを伝送することができる。伝送
された全エネルギー量を前記パラメータに基づいて決定することもできる。
【0119】
体内エネルギー受信器によって受信された全エネルギー量と、消費および/または貯蔵
された全エネルギー量との間で差が検出され、その検出された差が、前記エネルギー・バ
ランスに関する少なくとも1つの測定した電気的パラメータの時間積分に関係するときは
、エネルギー・バランスに関係してモニタリングされた電圧および/または電流に関して
積分を決定することができる。
【0120】
消費および/または貯蔵エネルギーの量に関する測定された電気的パラメータの導関数
がある期間にわたって決定されるときは、エネルギー・バランスに関係するモニタリング
された電圧および/または電流に関して導関数を決定することができる。
【0121】
無線エネルギーを伝送するように第1の電気回路から体外エネルギー源に、立ち上がり
および立ち下がりを有する電気パルスを加え、電気パルスの連続する立ち上がりと立ち下
がりの間の第1の時間間隔の長さ、および/または電気パルスの連続する立ち下がりと立
ち上がりの間の第2の時間間隔の長さを変更し、無線エネルギーを伝送することによって
、体外エネルギー源からの無線エネルギーの伝送を制御することができ、電気パルスから
生じる伝送エネルギーは変更された電力を有し、電力の変化は第1および/または第2の
時間間隔の長さに応じて変わる。
【0122】
その場合は、電気パルスの周波数は、第1のおよび/または第2の時間間隔を変更する
ときは事実上一定でよい。電気パルスを加えるときは、その電気パルスは、第1のおよび
/または第2の時間間隔の変更を除いて変化がないままでよい。電気パルスの振幅は、第
1のおよび/または第2の時間間隔を変更するときは事実上一定でよい。さらに、連続す
る立ち上がりと立ち下がりの間の第1の時間間隔の長さを変更するだけで電気パルスを変
更することができる。
【0123】
2つ以上の電気パルス列を連続して供給することができ、パルス列を印加し、そのパル
ス列が、パルス列の開始点に第1の電気パルスを有し、パルス列の終了点に第2の電気パ
ルスを有するときは、2つ以上のパルス列を連続して供給することができ、第1のパルス
列の第2の電気パルスの立ち下がりと、第2のパルス列の第1の電気パルスの立ち上がり
との間の第2の時間間隔の長さは変更される。
【0124】
電気パルスを印加するときは、電気パルスは、事実上の定電流および事実上の定電圧を
有することができる。電気パルスも事実上の定電流および事実上の定電圧を有することが
できる。さらに、電気パルスは、事実上の定周波数を有することもできる。パルス列内の
電気パルスは、同様に、事実上の定周波数を有することができる。
【0125】
第1の電気回路によって形成された回路および体外エネルギー源は、第1の特性期間ま
たは第1の時定数を有することができ、伝送されるエネルギーを事実上変更するときは、
こうした周波数時間期間は第1の特性期間または時定数の範囲内またはそれより短くてよ
い。
【0126】
したがって、上記で説明したような装置を備えるシステムも、装置の植込み式エネルギ
ー消費構成要素に供給される無線エネルギーの伝送を制御するために設けられる。最も範
囲が広い意味で、そのシステムは、エネルギー伝送デバイスからの無線エネルギーの伝送
を制御するための制御デバイスと、伝送される無線エネルギーを受信するための植込み可
能な体内エネルギー受信器を備え、その体内エネルギー受信器は、受信したエネルギーを
装置の植込み可能なエネルギー消費構成要素に直接または間接的に供給するためにそれら
のエネルギー消費構成要素に接続されている。そのシステムはさらに、体内エネルギー受
信器によって受信されたエネルギーと、装置の植込み可能なエネルギー消費構成要素で使
用されるエネルギーとの間のエネルギー・バランスを決定するように適合された決定デバ
イスを備え、体外制御ユニットは、決定デバイスによって決定されたエネルギー・バラン
スに基づいて体外エネルギー伝送デバイスからの無線エネルギーの伝送を制御する。
【0127】
さらに、そのシステムは以下うちのいずれかを備えることができる。
【0128】
体内エネルギー受信器の二次コイルに誘導して無線エネルギーを伝送するように適合さ
れた、体外エネルギー源中の一次コイル。
【0129】
決定デバイスは、エネルギー・バランスの変化を検出するように適合されており、体外
制御ユニットは、検出されたエネルギー・バランスの変化に基づいて無線エネルギーの伝
送を制御する。
【0130】
決定デバイスは、体内エネルギー受信器によって受信されたエネルギーと、装置の植込
み可能なエネルギー消費構成要素のために使用されるエネルギーとの差を検出するように
適合されており、体外制御ユニットは、検出したエネルギーの差に基づいて無線エネルギ
ーの伝送を制御する。
【0131】
検出したエネルギー・バランスの変化が、エネルギー・バランスが増大していることを
示す場合に、体外制御ユニットは、伝送された無線エネルギーの量を減少させるように体
外エネルギー伝送デバイスを制御し、またはその逆も可能であり、エネルギー伝送の減少
/増加は検出された変化速度に一致する。
【0132】
検出されたエネルギーの差により、受信したエネルギーが使用されるエネルギーより大
きいことが示される場合に、体外制御ユニットは、伝送される無線エネルギーの量を減少
させるように体外エネルギー伝送デバイスを制御し、またはその逆も可能であり、エネル
ギー伝送の減少/増加は、前記検出したエネルギー差の大きさに一致する。
【0133】
装置のために使用されるエネルギーは、装置を動作させるために消費され、かつ/また
は装置の少なくとも1つのエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵される。
【0134】
装置の電気的および/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメ
ータが決定される場合は、エネルギー伝送デバイスは、決定デバイスによって前記パラメ
ータに基づいて決定された単位時間あたりの伝送速度に従って消費および貯蔵するエネル
ギーを伝送する。決定デバイスは、前記パラメータに基づいて伝送される全エネルギー量
も決定する。
【0135】
体内エネルギー受信器によって受信された全エネルギー量と、消費および/または貯蔵
された全エネルギー量との間で差が検出され、その検出された差が、エネルギー・バラン
スに関する少なくとも1つの測定された電気的パラメータの時間積分に関係するときは、
決定デバイスは、エネルギー・バランスに関してモニタリングされた電圧および/または
電流に関する積分を決定する。
【0136】
消費および/または貯蔵したエネルギーの量に関する測定された電気的パラメータの導
関数がある期間にわたって決定されるときは、決定デバイスは、エネルギー・バランスに
関係するモニタリングされた電圧および/または電流に関する導関数を決定する。
【0137】
エネルギー伝送デバイスは、人体外に配置されたコイルを備え、電気回路は、無線エネ
ルギーを伝送するように体外コイルに電気パルスで電力を供給するように設けられる。電
気パルスは、立ち上がりおよび立ち下がりを有し、電気回路は、伝送される無線エネルギ
ーの電力を変更するように、電気パルスの連続する立ち上がりと立ち下がりの間の第1の
時間間隔および/または連続する立ち下がりと立ち上がりの間の第2の時間間隔を変更す
るように適合されている。その結果、伝送される無線エネルギーを受信するエネルギー受
信器は変更された電力を有する。
【0138】
電気回路は、第1および/または第2の時間間隔を変更することを除いて変化がないま
まである電気パルスを送出するように適合されている。
【0139】
電気回路は、時定数を有し、第1および第2の時間間隔を第1の時定数の範囲でのみ変
更するように適合されており、そのため、第1および/または第2の時間間隔の長さが変
更されるときに、コイル上を伝送される電力が変更される。
【0140】
電気回路は、電気パルスの連続する立ち上がりと立ち下がりとの間の第1の時間間隔の
長さを変更するだけで変更される電気パルスを送出するように適合されている。
【0141】
電気回路は、2つ以上の電気パルス列を連続して供給するように適合されており、前記
列は、パルス列の開始点に第1の電気パルスを有し、パルス列の終了点に第2の電気パル
スを有する。
【0142】
連続する第1のパルス列の第2の電気パルスの立ち下がりと、第2のパルス列の第1の
電気パルスの立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さは、第1の電子回路によって変更
される。
【0143】
電気回路は、事実上一定の高さおよび/または振幅および/または強度および/または
電圧および/または電流および/または周波数を有するパルスとして電気パルスを供給す
るように適合されている。
【0144】
電気回路は、時定数を有し、第1および第2の時間間隔を第1の時定数の範囲でのみ変
更するように適合されており、そのため、第1および/または第2の時間間隔の長さが変
更されるときに、第1のコイル上を伝送される電力が変更される。
【0145】
電気回路は、第1の時定数の大きさと比較して、第1および/または第2の時間間隔の
長さを第1の時定数を含むかまたは第1の時定数に比較的近い範囲内でのみ変更する電気
パルスを供給するように適合されている。
【0146】
図26~
図29に、より詳細なブロック図に、本発明に従って植込み式装置に液圧式ま
たは空気圧式に電力を供給する、4つの異なる方法を示す。
【0147】
図26に、上記で説明したシステムを示す。そのシステムは、植込み式装置10を備え
、別個の調整リザーバ1013、1方向ポンプ1009、および交互バルブ1014をさ
らに備える。
【0148】
図27に、装置10および流体リザーバ1013を示す。調整リザーバの壁を移動する
か、または他の任意の異なる方法でそのサイズを変更することによって、リザーバの壁を
移動することでいつでも流体のない単なる通路によって、バルブなしで装置の調節を行う
ことができる。
【0149】
図28に、装置10、2方向ポンプ1009、および調整リザーバ1013を示す。
【0150】
図29に、第2の閉じたシステムを制御する第1の閉じたシステムを有する反転サーボ
・システムのブロック図を示す。サーボ・システムは、調整リザーバ1013およびサー
ボ・リザーバ1050を備える。サーボ・リザーバ1050は、機械式相互接続部105
4を介して植込み式装置10を機械式に制御する。装置は拡張可能/接触可能な空洞を有
する。その空洞は、好ましくは、装置10と流動的接続したより大きい調節可能なリザー
バ1052から液圧流体を供給することによって拡張または収縮する。あるいは、空洞は
圧縮性のガスを収容し、そのガスは、サーボ・リザーバ1050の制御下で圧縮および膨
張することができる。
【0151】
サーボ・リザーバ1050は、装置自体の一部とすることもできる。
【0152】
一実施形態では、調整リザーバは、皮下に患者の皮膚の下に配置されており、指でその
外面を押すことによって動作する。このシステムを
図30a~
図30cに示す。
図30a
では、可撓性皮下調整リザーバ1013は、導管1011によってバルジ形のサーボ・リ
ザーバ1050に接続されていることが示されている。こうしたベロー形のサーボ・リザ
ーバ1050は可撓性装置10に含まれる。
図25aに示す状態では、サーボ・リザーバ
1050は最少の流体を収容し、ほとんどの流体は調整リザーバ1013内にある。サー
ボ・リザーバ1050と装置10の間の機械式相互接続によって、装置10の外形は収縮
し、すなわち、最大容積より小さい容積しか占有しない。この最大容積を図では破線で示
す。
【0153】
図30bに、装置が植え込まれた患者などのユーザが、調整リザーバ1013を押し、
そのため内部に収容された流体が導管1011を通って流れ、ベロー形のおかげで長手方
向に延びるサーボ・リザーバ1050まで運ばれる状態を示す。次いで、こうした拡張は
装置10を拡張させ、その結果その最大容積を占め、それによりそれが接触する胃壁(図
示せず)を伸長させる。
【0154】
調整リザーバ1013は、好ましくは、圧迫後にその形状を維持する手段1013aを
備える。したがって、この手段は、図には概略的に示しており、ユーザが調整リザーバを
解放するときにも装置10を伸長した姿勢に維持する。このようにして、調整リザーバは
、本質的には、システムのためのオン/オフスイッチとして動作する。
【0155】
次に、
図31および
図32a~
図32cを参照しながら液圧または空気圧動作の代替の
実施形態を説明する。
図31に示すブロック図は、第2の閉じたシステムを制御する第1
の閉じたシステムを備える。第1のシステムは、調整リザーバ1013およびサーボ・リ
ザーバ1050を備える。サーボ・リザーバ1050は、機械式相互接続部1054を介
してより大きい調節可能なリザーバ1052を機械式に制御する。次いで、拡張可能/接
触可能な空洞を有する植込み式装置10が、装置10に流動的接続したより大きい調節可
能なリザーバ1052から液圧流体を供給することによって、より大きい調節可能なリザ
ーバ1052によって制御される。
【0156】
次に、
図32a~
図32cを参照しながらこの実施形態の例を説明する。前の実施形態
のように、調整リザーバは、皮下に患者の皮膚の下に配置されており、指でその外面を押
すことによって動作する。調整リザーバ1013は、導管1011によってベロー形のサ
ーボ・リザーバ1050と流動的接続されている。
図31aに示す第1の閉じたシステム
1013、1011、1050では、サーボ・リザーバ1050は最少の流体を収容し、
ほとんどの流体は調整リザーバ1013内にある。
【0157】
サーボ・リザーバ1050は、より大きい調節可能なリザーバ1052に機械式に接続
されており、そのリザーバ1052は、やはりベロー形であるが、直径がサーボ・リザー
バ1050より大きい。より大きい調節可能なリザーバ1052は装置10と流動的接続
している。これは、ユーザが調整リザーバ1013を押し、それにより、流体が調整リザ
ーバ1013からサーボ膀胱作動リザーバ1050に移動すると、サーボ・リザーバ10
50の拡張により、より多くの容積の流体がより大きい調節可能なリザーバ1052から
装置10に移動することを意味する。言い換えると、このような反転したサーボ機構では
、調整リザーバのより小さい容積がより大きい力で圧迫され、これにより、単位面積当た
りより小さい力でより大きい全体の領域を移動させる。
【0158】
図32a~
図32cを参照しながら上記で説明した前の実施形態のように、調整リザー
バ1013は、好ましくは、圧迫後にその形状を維持する手段1013aを備える。した
がって、図に概略的に示したこの手段は、ユーザが調整リザーバを解放するときにも装置
10を伸長した姿勢に維持する。このようにして、調整リザーバは、本質的には、システ
ムのためのオン/オフスイッチとして動作する。
【符号の説明】
【0159】
20 拡張可能な部材; 30 膀胱30; 50 制御デバイス; 52 制御アセン
ブリ; 54 膀胱作動リザーバ; 56 相互接続デバイス; 60 体外エネルギー
供給装置; 70 体外制御ユニット。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の尿道を通って哺乳動物の膀胱から尿を排出させることによって患者の尿閉を治療する装置であって、
-患者の膀胱の内側に植え込むように適合された拡張可能な部材、
-前記膀胱を空にするために前記拡張可能な部材の容積を制御するように適合された制御デバイス、
-前記膀胱から尿を排出させるときに前記患者の尿道を開くようにされている植込み可能な人工的な括約筋、
を備える、装置。
【請求項2】
前記制御デバイスは、皮下に配置したスイッチを含む体内制御ユニットを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御デバイスは、少なくとも1つのモータまたはポンプを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御デバイスは、前記患者の体外から動作可能な体内制御を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
-前記拡張可能な部材は、液圧式に制御され、液圧流体用の空洞を備え、
-前記制御デバイスは、液圧流体用の植込み可能な膀胱作動リザーバを備え、
-前記拡張可能な部材および前記制御デバイスは、相互接続デバイス経由で前記膀胱の壁を通して液圧式に接続されるように適合され、前記相互接続デバイスは、液圧式接続を作るため、および膀胱作動リザーバと空洞の間で液圧流体を輸送するための植込み可能なチューブを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記拡張可能な部材は、前記空洞から前記膀胱作動リザーバに前記液圧流体を輸送すると、前記膀胱の尿によって加えられる圧力によって空になるよう適合されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御デバイスは、空洞と膀胱作動リザーバとの間で液圧流体を輸送する植込み可能な作動デバイスを備え、前記作動デバイスは、尿を排出させるのに適切な尿の圧力を得るために前記拡張可能な部材の空洞に液圧流体を輸送することができる、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記作動デバイスは、尿を排出させるのに少なくとも水柱50cmの尿の圧力を得るために前記拡張可能な部材の空洞に液圧流体を輸送することができる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記作動デバイスは動力付きポンプである、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記作動デバイスは、少なくとも1つの:液圧流体量の較正または前記拡張可能な部材を作動するよう適合された注入ポートを備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記液圧流体は、細菌の増殖を抑制する薬を含む、請求項5~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記膀胱から尿を排出させるときに患者の各尿管を閉じるように適合されている植え込み可能な制限デバイスをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記制限デバイスは、液圧流体によって作動可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記制限デバイスは、前記拡張可能な部材の空洞に宿る液圧流体によって作動可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
第2のリザーバをさらに備え、前記制限デバイスは、前記第2のリザーバに宿る液圧流体によって作動可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記制御デバイスは、前記膀胱の筋肉を電気的に刺激して収縮させる植込み可能なデバイスを更に備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記拡張可能な部材は、少なくとも1つの:空洞から膀胱作動リザーバに液圧流体を輸送するために加えられる圧力、前記拡張可能な部材と前記膀胱作動リザーバの第2の接続による空洞から前記膀胱作動リザーバに液圧流体を輸送するために加えられる圧力によって空になるように適合され、第2の接続部は、開いているときは、ポンプがポンプ輸送する体積能力が、前記第2の接続部の空にする能力より大幅に大きくなるように寸法設定され、前記拡張可能な部材は、前記第2の接続部によって液圧流体を空洞から前記膀胱作動リザーバに輸送するように、前記膀胱の尿によって加えられる圧力によって空になるようにされている、請求項5に記載の装置。
【請求項18】
前記制御デバイスは、無線遠隔操作から信号を受信するよう構成された内部制御ユニットを備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記患者の体外からエネルギー伝送デバイスによって、非侵襲的におよび無線でエネルギー供給されるよう適合された内部エネルギー・レシーバを更に備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記患者の物理パラメータの少なくとも1つを検出するためのセンサをさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記装置に関係する機能パラメータの少なくとも1つを検出するためのセンサをさらに備える、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。