(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006352
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】断熱ボード
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20230111BHJP
B32B 15/06 20060101ALI20230111BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20230111BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
B32B5/18
B32B15/06 Z
B32B7/027
F16L59/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108908
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】596105644
【氏名又は名称】株式会社東北イノアック
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 梓
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
【Fターム(参考)】
3H036AB18
3H036AB25
3H036AC03
3H036AE01
4F100AB01A
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4F100YY00G
(57)【要約】
【課題】良好な難燃性を有する新規な構成の断熱ボードの提供を目的とする。
【解決手段】芯材11の少なくとも片面に金属板21が接着剤25で接着された断熱ボード10であって、芯材11は、発泡体13の両面に被覆材15が接着されたラミネートボードで構成されている。発泡体13は、ポリイソシアヌレート発泡体が好ましい。被覆材15は、金属箔または難燃性が付与された紙類を含む面材が好ましい。金属箔の例として、アルミニウム箔を挙げる。難燃性が付与された紙類として、水酸化アルミニウム紙、炭酸カルシウム紙等を挙げる。金属板21は、溶融金属めっき鋼板あるいは塗装溶融金属鋼板が好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の少なくとも片面に金属板が接着された断熱ボードにおいて、
前記芯材は、発泡体の両面に被覆材が接着されたラミネートボードであることを特徴とする断熱ボード。
【請求項2】
前記発泡体は、ポリイソシアヌレート発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の断熱ボード。
【請求項3】
前記被覆材は、金属箔を含む面材であることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱ボード。
【請求項4】
前記被覆材は、難燃性が付与された紙類を含む面材であることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱ボード。
【請求項5】
前記金属板は溶融金属めっき鋼板であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の断熱ボード。
【請求項6】
前記金属板は塗装溶融金属めっき鋼板であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の断熱ボード。
【請求項7】
前記芯材と前記金属板とを接着する接着剤の量は50~600g/m2であることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の断熱ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内装などに用いられる断熱ボードとして、ポリウレタン発泡体からなる芯材パネルの少なくとも片面に金属板からなる面材を接着したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、良好な難燃性を有する新規な構成の断熱ボードが求められている。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、良好な難燃性を有する新規な構成の断熱ボードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は、芯材の少なくとも片面に金属板が接着された断熱ボードにおいて、前記芯材は、発泡体の両面に被覆材が接着されたラミネートボードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、芯材を、発泡体の両面に被覆材が接着されたラミネートボードで構成したことにより、被覆材の無い場合よりも良好な難燃性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る断熱ボードの断面図である。
【
図2】比較例及び各実施例について構成とコーンカロリーメータ試験の測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示す本発明の一実施形態に係る断熱ボード10は、芯材11に金属板21が接着剤25で接着されている。金属板21は、この実施形態のように芯材21の両面に接着されたものに限られず、片面のみに接着される場合もある。
芯材11は、発泡体13の両面に被覆材15が接着されたラミネートボードで構成されている。
発泡体13の厚みは適宜設定されるが、例として10~200mmを挙げる。
発泡体13の材質としては、断熱性に優れる硬質ポリウレタン発泡体やポリイソシアヌレート発泡体などが好ましい。ポリイソシアヌレート発泡体は、難燃性にも優れるため、断熱ボード10における芯材11の構成材として好適なものである。
【0009】
ポリイソシアヌレート発泡体は、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、ポリイソシアネート、助剤等を含む組成物から発泡形成されるものであり、特定の触媒を使用し、ポリイソシアネートを過剰に配合する点で硬質ポリウレタン発泡体とは相違する。ポリイソシアヌレート発泡体の密度は、25~60kg/m3であり、好ましくは30~45kg/m3である。この範囲よりも密度が小さいものは、発泡体の強度が弱く、密度が大きいものは、断熱性能が低下したり、単位面積当たりの重量が重くなり、作業性が悪くなる。
【0010】
ポリイソシアヌレート発泡体用組成物を構成する成分について説明する。
ポリオールは、公知のものを使用することができ、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールの何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を併用してもよい。
【0011】
ポリエーテルポリオールの例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。
【0012】
ポリエステルポリオールの例として、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
【0013】
ポリエーテルエステルポリオールの例として、ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
【0014】
発泡剤は、化学発泡剤である水、あるいは物理発泡剤であるペンタンなどの炭化水素、ハイドロフルオロオレフィンを、単独または組み合わせて使用できる。発泡剤として水を使用する場合、ポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって組成物の発泡がなされる。発泡剤の量は適宜とされる。
【0015】
触媒は、三量化触媒単独あるいは三量化触媒とウレタン化触媒を併用することができる。
三量化触媒の例として、1)酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;2)メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム等のアルコキシド類;3)酢酸カリウム、2-エチルヘキサンカリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;4)2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、N,N′,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類;5)エチレンイミンの誘導体;6)アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの三量化触媒は、単独、又は2種以上を混合して使用することができる。それらのなかでも、有機金属塩類や4級アンモニウム塩を使用することがより好ましい。有機金属塩類として好適には、酢酸カリウムとオクチル酸カリウムの組み合わせが挙げられる。
【0016】
ウレタン化触媒の例として、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン等のアミン触媒、スタナスオクトエート等のスズ系触媒、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。
触媒の好ましい量は、組成物100重量部中に0.8~7重量部である。
【0017】
整泡剤は、公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤等を挙げることができる。整泡剤の量は、組成物100重量部中に0.2~3.0重量部であるのが好ましい。
【0018】
ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネートの例として、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)等を挙げることができる。ポリイソシアネートは、2種以上を併用してもよい。
【0019】
ポリイソシアネートの量は、イソシアネートインデックスが300~1000となるようにするのが好ましく、400~900となるようにするのがより好ましい。イソシアネートインデックスが300未満の場合には、ポリイソシアヌレート発泡体が燃えやすく熱収縮しやすくなり、それに対して1000より大の場合には、ポリイソシアヌレート発泡体がもろくなり、圧縮強度や曲げ物性などが低下して構造体として好ましくない。イソシアネートインデックスの定義は、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[(ポリイソシアネート重量部/ポリイソシアネートのNCO当量)/(活性水素成分重量/活性水素当量)×100]で計算される。
【0020】
助剤としては、難燃剤や着色剤等を挙げることができる。難燃剤としては、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリマー、リン酸エステルやハロゲン化リン酸エステル化合物、あるいはメラミン樹脂やウレア樹脂などの有機系難燃剤、酸化アンチモンや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤等を挙げることができる。難燃剤の量は、組成物100重量部中に0.5~20重量部が好ましく、より好ましくは5~16重量部、さらに好ましくは8~16重量部である。
着色剤としては、顔料、染料、カーボン等を挙げる。
【0021】
組成物は、公知の発泡装置で混合されることにより、反応して発泡し、ポリイソシアヌレート発泡体を形成する。
なお、硬質ポリウレタンフォーム用組成物の場合は、組成物が公知の発泡装置で混合されることにより、反応して発泡し、硬質ポリウレタン発泡体を形成する。
【0022】
被覆材15は、金属箔を含む面材や難燃性が付与された紙類を含む面材などの薄い材質で構成される。
金属箔は、材質が限定されるものではなく、例えばアルミニウム箔、銅箔、黄銅箔、ステンレス箔、錫箔、鉄箔、ニッケル箔等を挙げることができる。アルミニウム箔は、扱い易く安価なため、好適な金属箔である。金属箔の厚みは6~100μmが好ましい。金属箔が厚すぎると断熱ボード10が重くなり、扱い難くなる。
【0023】
難燃性が付与された紙類は、不燃紙または難燃紙が好ましい。不燃紙は、水酸化アルミニウムや炭酸カルシウムが含浸あるいは充填されたもの、例えば、水酸化アルミニウム紙、炭酸カルシウム紙等が挙げられる。難燃紙は、難燃剤が配合されたものや難燃剤が塗布されたものが挙げられる。なお、不燃紙と難燃紙の両方を含めて「不燃紙」あるいは「難燃紙」と称されることもある。
【0024】
発泡体13と被覆材15の積層接着は、所定距離離した2つの被覆材15、15間に組成物を混合して注入し、発泡させることにより発泡体を形成すると共に、発泡時の接着性によって発泡体13の両面に被覆材15を接着することができる。
【0025】
金属板21は、断熱ボード10の剛性及び耐久性を高める作用がある。金属板21としては、各種の鋼板が好ましく、溶融金属めっき鋼板あるいは塗装溶融金属めっき鋼板等が挙げられる。
【0026】
溶融金属めっき鋼板としては、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)、溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(GL鋼板、登録商標))等を挙げることができる。
溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板((ガルバリウム鋼板(GL鋼板、登録商標))は、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)よりも耐熱性に優れるため、好ましい鋼板である。
【0027】
塗装溶融金属めっき鋼板は、鋼板の表面が塗装されているため、装飾性の付与や耐食性の向上を図ることができる。
塗装溶融金属めっき鋼板としては、例えば、塗装溶融亜鉛めっき鋼板(塗装GI鋼板)、塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(塗装ガルバリウム鋼板(塗装GL鋼板、登録商標))等を挙げることができる。
塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(塗装GL鋼板)は、塗装溶融亜鉛めっき鋼板(塗装GI鋼板)よりも耐熱性に優れるため、好ましい鋼板である。
【0028】
金属板21は、接着剤25によって芯材11の表面に接着されている。接着剤25は、金属板の接着に使用できるものであれば特に限定されるものではなく、クロロプレンゴム(CR)系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤等を挙げることができる。
【0029】
芯材11と金属板21の接着は、芯材11あるいは金属板21の一方又は両方に接着剤25を塗布し、塗布した接着剤25を介して芯材11と金属板21を積層し、接着剤25を硬化させることにより行われる。
接着剤25の塗布方法は、限定されるものではなく、例えばスプレーによる塗布やロールコーターによる塗布等を挙げる。
接着剤25の量は50~600g/m2が好ましく、より好ましい接着剤の量は100~400g/m2である。接着剤25の量が少なすぎると芯材11と金属板21の接着力が低下し、逆に接着剤25の量が多すぎると難燃性の低下を生じるようになる。
【0030】
断熱ボード10の難燃性は、コーンカロリーメータ試験(ISO5660準拠)の測定結果によって判断される。
コーンカロリーメータ試験は、輻射電気ヒーターによって50kW/m2をサンプルに照射して加熱し、発熱量等を測定して評価基準にしたがって不燃材料等を評価する試験である。
【0031】
コーンカロリーメータ試験の結果に対する評価要件には、次の(1)~(3)がある。
(1)総発熱量が8MJ/m2以下であること。
(2)防火上有害な裏面まで貫通する亀裂・穴がないこと。
(3)最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えないこと。
評価要件(1)~(3)の全てを満たすことができる継続時間によって、以下のように不燃、準不燃、難燃に区分される。
【0032】
不燃の基準は、加熱開始後1200秒(20分)間において、(1)~(3)の全てを満たすことである。
準不燃の基準は、加熱開始後600秒(10分)間において、(1)~(3)の全てを満たすことである。
難燃の基準は、加熱開始後300秒(5分)間において、(1)~(3)の全てを満たすことである。
【0033】
本発明の断熱ボード10は、発泡体13の両面に被覆材15が接着されたラミネートボードで芯材11を構成したことにより、コーンカロリーメータ試験における総発熱量の値が、発泡体13の両面に被覆材15が存在しない場合よりも小さくなり、難燃性が向上したものになる。
【実施例0034】
図2に示す各比較例と各実施例の断熱ボードを以下のようにして作製した。
下型と上型で構成されるモールド(発泡成形型)を用い、下型のキャビティの底面と上型の型面に、それぞれ被覆材を配置し、15℃に温調した組成物を5000rpmのプロペラ攪拌機で10秒撹拌してキャビティに所要量注入し、発泡させることにより、発泡体の両面に被覆材が接着されたラミネートボードを作製し、実施例の芯材とした。
【0035】
モールドのキャビティは、300mm×300mmの平面寸法を有し、厚み(深さ)が、
図2における芯材の構成欄に示す厚みからなる。
キャビティへの組成物の注入量は、
図2における芯材の構成欄に示す密度となるように調整する。
また、被覆材は、
図2における芯材の構成欄に示すアルミニウム箔を含む面材、または難燃紙を含む面材を用いた。アルミニウム箔を含む面材は、発泡体13側からエポキシ系樹脂コーティング層3.0g/m
2、アルミニウム箔の厚みが実施例1~3,15は20μm、実施例4~7,9~11は35μmの株式会社UACJ社製のアルミニウム面材を使用し、また、実施例12,13は発泡体13側からポリエチレンフィルム45μm、クラフト紙120g/m
2、ポリエチレンフィルム20μm、アルミニウム7μm、ポリエチレンフィルム15μmを貼り合わせた日本マタイ株式会社製のアルミクラフト面材を使用した。難燃紙を含む面材は、実施例8,14では大日本印刷株式会社が加工した発泡体13側からポリエチレンフィルム50μm、炭酸カルシウム紙150g/m2の積層品を使用した。なお、比較例1~4の芯材については、被覆材を型に配置することなく発泡を行い、得られる発泡体のみで芯材を構成した。
【0036】
組成物の各成分は、以下に示すとおりである。なお、以下において「組成物全体量」とは、次のポリエステルポリオールからポリイソシアネートまでの全成分が配合されたものをいう。
ポリエステルポリオール:芳香族ポリエステルポリオール、水酸基価:400mgKOH/g、官能基数2、品名;MAXIMOL RDK-142、川崎化成社製・・100重量部
ジエチレングリコール:水酸基価1057mgKOH/g・・・3.0重量
整泡剤:シリコーン系、品名;Niax Slicone L-6638、MOMENTIVE社製・・4.5重量部
発泡剤:シクロペンタン・・組成物全体量を100重量部としたときに6.5重量部含有となるように調整
触媒:三量化触媒、品名;TMR-7、エボニックジャパン株式会社製・・組成物全体量を100重量部としたときに3.0重量部含有となるように調整
難燃剤:トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、品名;レバガードPP、LANXESS社製・・組成物全体量を100重量部としたときに、
図2の難燃剤含有量となるように調整
ポリイソシアネート:ポリメリックMDI、NCO%;31.3、品名;ルプラネートM20S、BASF社製
なお、実施例1~14、比較例1~4はイソシアネートインデックス(INDEX)が425となるように調整し、実施例15はイソシアネートインデックス(INDEX)が860となるように調整した。
【0037】
芯材の両面に塗布する接着剤として、実施例7については、ウレタン系の接着剤、品名;オーシカダインTU-318、オーシカ社製を使用し、他の実施例及び比較例については、クロロプレンゴム系(CR系)の接着剤、品名8240NTH、ノーテープ工業株式会社製を使用した。接着剤は、
図2に示す量をロールコーター法によって塗布し、5分間乾燥させた。その後、
図2に示す種類の金属板を接着剤上に配置し、1kg/m
2の力で圧締(プレス)し、12時間後に解圧して断熱ボードを得た。なお、
図2の金属板の種類における「塗装GL鋼板」は、塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(JFE鋼板社製)であり、「塗装GI鋼板」は、塗装溶融亜鉛めっき鋼板(JFE鋼板社製)であり、「GL鋼板」は、無塗装の溶融55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(JFE鋼板社製)である。
【0038】
各比較例及び各実施例について、株式会社東洋精機製作所製コーンカロリーメータC4を用い、コーンカロリーメータ試験をISO5660に準拠して行った。コーンカロリーメータ試験によって得られた5分、10分、20分の総発熱量及び最大発熱量を
図2に示す。
【0039】
以下に各比較例及び各実施例の構成および総発熱量及び最大発熱量について説明する。
・比較例1
比較例1は、発泡体の両面に被覆材がない例であり、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量11%、芯材の密度36kg/m2、接着剤がCR系、接着剤の量300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
比較例のコーンカロリーメータ試験結果は、総発熱量の値が5分間で5.32MJ/m2、10分間で5.84MJ/m2、20分間で6.20MJ/m2、最大発熱速度が18.05kW/m2であった。
【0040】
・実施例1
実施例1は、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量11%、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み20μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板の例である。
実施例1に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で1.31MJ/m2、10分間で2.22MJ/m2、20分間で2.67MJ/m2、最大発熱速度が12.55kW/m2であり、比較例1と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも小になり、難燃性が高くなっている。
【0041】
・実施例2
実施例2は、金属板を塗装GI鋼板とした例であり、他の構成は、実施例1と同様である。
実施例2に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で4.17MJ/m2、10分間で7.38MJ/m2、20分間で8.13MJ/m2、最大発熱速度が23.63kW/m2であり、金属板に塗装GL鋼板を使用した実施例1と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも大きくなり、難燃性が低下している。
・比較例2
比較例2は、発泡体の両面に被覆材がない例であり、他の構成は、実施例2と同様である。
比較例2に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で5.67MJ/m2、10分間で9.41MJ/m2、20分間で10.58MJ/m2、最大発熱速度が32.42kW/m2であり、実施例2と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも大きくなり、難燃性が低下している。
【0042】
・実施例3
実施例3は、金属板を無塗装GL鋼板とした例である。他の構成は、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量0.6%、芯材の密度32kg/m2、被覆材が厚み20μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2である。
実施例3に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で0.11MJ/m2、10分間で0.23MJ/m2、20分間で0.54MJ/m2、最大発熱速度が1.74kW/m2であり、金属板に塗装GL鋼板を使用した実施例1及び実施例2と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも小であり、難燃性が高くなっている。
【0043】
・実施例4~6
実施例4~6は、芯材の厚みと難燃剤含有量を変化させた例である。
実施例4は、芯材の厚み20mm、難燃剤含有量11%、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み35μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
実施例4に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で2.50MJ/m2、10分間で3.48MJ/m2、20分間で4.31MJ/m2、最大発熱速度が13.40kW/m2である。
【0044】
実施例5は、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量8%、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み35μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
実施例5に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で1.30MJ/m2、10分間で2.50MJ/m2、20分間で2.87MJ/m2、最大発熱速度が6.44kW/m2である。
実施例5は、芯材の厚みが実施例4の20mmから50mmに増大したことにより、総発熱量及び最大発熱速度の何れも実施例4と比べて小になり、難燃性が高くなった。
【0045】
実施例6は、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量5%、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み35μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
実施例6に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で3.50MJ/m2、10分間で3.95MJ/m2、20分間で4.31MJ/m2、最大発熱速度が7.97kW/m2である。
実施例6は、難燃剤含有量が実施例5の8%から5%に減量したことにより、総発熱量及び最大発熱速度の何れも実施例5と比べて大になり、難燃性が低下した。
【0046】
・実施例7
実施例7は、芯材と金属板の接着剤にウレタン系を使用した例であり、芯材の厚み20mm、難燃剤含有量11%、芯材の密度40kg/m2、被覆材が厚み35μmのアルミニウム箔、接着剤がウレタン系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
実施例7に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で7.27MJ/m2、10分間で8.39MJ/m2、20分間で9.69MJ/m2、最大発熱速度が62.50kW/m2である。
実施例7は、金属板と芯材の接着剤にウレタン系接着剤を用いたことにより、CR系接着剤を用いる他の実施例と比べて、総発熱量及び最大発熱速度の何れも大になり、難燃性が低下した。
・比較例3
比較例3は、発泡体の両面に被覆材がない例であり、他の構成は、実施例7と同様である。
比較例3に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で8.15MJ/m2、10分間で10.27MJ/m2、20分間で11.86MJ/m2、最大発熱速度が84.32kW/m2である。
実施例7と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも大きくなり、難燃性が低下している。
【0047】
・実施例8
実施例8は、被覆材に炭酸カルシウム紙を用いた例であり、芯材の厚み50mm、難燃剤含有量11%、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み200μmの炭酸カルシウム紙、接着剤がCR系、接着剤の量が300g/m2、金属板が塗装GL鋼板である。
実施例8に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で1.59MJ/m2、10分間で2.92MJ/m2、20分間で3.59MJ/m2、最大発熱速度が7.62kW/m2である。
【0048】
・実施例9~11
実施例9~11は接着剤の量を変化させた例である。他の構成については、実施例9~11で同一であり、芯材の厚み20mm、芯材の密度36kg/m2、被覆材が厚み35μmのアルミニウム箔、接着剤がCR系、金属板が塗装GL鋼板である。
【0049】
実施例9は、接着剤の量が150g/m2であり、コーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で0.53MJ/m2、10分間で0.67MJ/m2、20分間で0.83MJ/m2、最大発熱速度が4.33kW/m2である。
実施例10は、接着剤の量が400g/m2であり、コーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で3.36MJ/m2、10分間で3.86MJ/m2、20分間で5.20MJ/m2、最大発熱速度が48.61kW/m2である。
実施例11は、接着剤の量が500g/m2であり、コーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で5.29MJ/m2、10分間で6.12MJ/m2、20分間で7.52MJ/m2、最大発熱速度が47.93kW/m2である。
実施例9~11に対するコーンカロリーメータ試験の結果によると、接着剤の量が増大するにしたがい、総発熱量が大きくなり、難燃性が低下するようになる。
【0050】
・比較例4
比較例4は、発泡体の両面に被覆材がない例であり、他の構成は、実施例11と同様である。
比較例4に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で7.86MJ/m2、10分間で8.61MJ/m2、20分間で10.05MJ/m2、最大発熱速度が60.75kW/m2である。
実施例7と比べて総発熱量及び最大発熱速度の何れも大きくなり、難燃性が低下している。
【0051】
・実施例12
実施例12は、被覆材に厚み267μmのアルミクラフト紙を用いた例であり、他の構成は、実施例8と同様である。
実施例12に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で0.95MJ/m2、10分間で1.34MJ/m2、20分間で2.36MJ/m2、最大発熱速度が30.96kW/m2である。
・実施例13
実施例13は、金属板を塗装GI鋼板とした例であり、他の構成は、実施例12と同様である。
実施例13に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で2.16MJ/m2、10分間で2.88MJ/m2、20分間で4.02MJ/m2、最大発熱速度が33.46kW/m2である。
【0052】
・実施例14
実施例14は、金属板を塗装GI鋼板とした例であり、他の構成は、実施例8と同様である。
実施例14に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で3.25MJ/m2、10分間で4.43MJ/m2、20分間で5.37MJ/m2、最大発熱速度が18.50kW/m2である。
【0053】
・実施例15
実施例15は、イソシアネートインデックスを860とした例であり、他の構成は、実施例1と同様である。
実施例15に対するコーンカロリーメータ試験の結果は、総発熱量が5分間で4.50MJ/m2、10分間で4.96MJ/m2、20分間で5.13MJ/m2、最大発熱速度が15.44kW/m2である。
【0054】
このように、本発明の断熱ボードは、芯材を、発泡体の両面に被覆材が接着されたラミネートボードで構成したことにより、良好な難燃性を有する。
なお、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。