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特開2023-636176-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063617
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 309/30 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
C07D309/30 Z CSP
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020057804
(22)【出願日】2020-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000242002
【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森田 元章
(72)【発明者】
【氏名】大橋 拓実
(72)【発明者】
【氏名】大野 竜太
【テーマコード(参考)】
4C062
【Fターム(参考)】
4C062BB14
(57)【要約】
【課題】農園芸分野の殺菌剤の製造において、重要な中間体となる2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルを簡便且つ効率良く製造する方法を提供すること。
【手段】フッ素化された2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体とビニル化合物を反応させることを特徴とする、一般式(1)で示される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体及びそれらを製造する方法
(式中、R1、R、R、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)

【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】
(式中、R1はC~Cアルキル基を表し、RはC~Cアルキル基を表し、RはC~Cアルキル基、置換されていてもよいフェニル基(該基はハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基の群からなる同一又は異なった基がモノ置換あるいはポリ置換していてもよい)、置換されていてもよいC3-C6シクロアルキル基(該基はハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロアルキル基の群からなる同一又は異なった基がモノ置換あるいはポリ置換していてもよい)を表し、Rはフッ素原子が置換しているC~Cアルキル基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体
【請求項2】
下記式(2)
【化2】
(式中、R1、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で表されるフッ素化された2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体(2)と、下記式(3)
【化3】
(式中、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)で表されるビニル化合物を反応させることを特徴とする、下記式(1)
【化4】
(式中、R1、R、R、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)で表される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農薬の製造中間体として有用な6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに2-(フルオロアルキル)ニコチン酸アミド誘導体が農園芸分野における殺菌剤として有用であることが知られており、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルが、それらの製造中間体であることが知られている(特許文献1~5)。
【0003】
ところで、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルの製造方法としては、特許文献6、特許文献7、非特許文献1に、4位がフッ素置換したアセト酢酸エステルとN,N-ジアルキルホルムアミドから調製したVilsmeier試薬、並びにアルキル(ビニル)エーテルを反応させた後に、アンモニアなどの窒素源試薬と反応させることによって、製造できることが知られている。
【0004】
また、特許文献8と非特許文献2、非特許文献3には、2-ハロニコチン酸エステルとトリフルオロメタンやフッ素化アルキル有機金属化合物等との反応によって、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルが合成できることが記載されている。
【0005】
また、特許文献9と非特許文献4には、ニコチン酸エステルとフッ素化アルキルスルフィン酸との反応によって、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルが合成できることが記載されている。
【0006】
また、非特許文献5には、4位がフッ素化されたアミノクロトン酸エステルとアクロレインを反応させることによって、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステルが合成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2006/097490号公報
【特許文献2】WO2017/042142号公報
【特許文献3】WO2016/131739号公報
【特許文献4】WO2014/095675号公報
【特許文献5】WO2015/197530号公報
【特許文献6】WO2009/054742号公報
【特許文献7】WO2015/197530号公報
【特許文献8】WO2015/0284341号公報
【特許文献9】WO2013/082028号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Organic Letters、10巻、9号、1835~1837ページ、2008年
【非特許文献2】Journal of Organic Chemistry,78巻、22号、11126-11146ページ、 2013年
【非特許文献3】Organic Letters、16号、6巻、1744-1747ページ、2014年
【非特許文献4】Journal of the American Chemical Society,134巻、3号、1494-1497ページ、2012年
【非特許文献5】Synthesis,16号,2751-2757ページ、2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、農園芸分野の殺菌剤等の製造において、重要な中間体となる2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステル誘導体を簡便且つ効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討したところ、2-(フルオロアルキル)ニコチン酸エステル誘導体は、6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体から簡便且つ効率良く製造できること、および、フッ素化された2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体とビニル化合物を反応させることにより当該カルボン酸エステル誘導体を簡便且つ効率良く製造できること見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本出願に係る発明の第1の態様は、下記式(1)
【化1】
(式中、R1はC~Cアルキル基を表し、RはC~Cアルキル基、を表し、RはC~Cアルキル基、置換されていてもよいフェニル基(該基はハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基の群からなる同一又は異なった基がモノ置換あるいはポリ置換していてもよい)、置換されていてもよいC3-C6シクロアルキル基(該基はハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロアルキル基の群からなる同一又は異なった基がモノ置換あるいはポリ置換していてもよい)を表し、Rはフッ素原子が置換しているC~Cアルキル基を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体に関するものである。
【0012】
また、本出願に係る発明の第2の態様は、下記式(2)
【化2】
(式中、R1、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で表されるフッ素化された2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体(2)と、下記式(3)
【化3】
(式中、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)で表されるビニル化合物を反応させることを特徴とする、下記式(1)
【化4】
(式中、R1、R、R、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)で表される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、農薬製造中間体等として有用な6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体(1)、及びそれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体(1)及びそれらの製造方法について詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体(1)について詳細に説明する。
【化5】
(R1又はRで表されるC~Cアルキル基としては、直鎖又は分枝していても良く、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基等を例示することができ、容易に製造できるなどの理由から、好ましくはメチル基又はエチル基等を例示することができる。)
【0016】
で表されるC~Cアルキル基としては、直鎖又は分枝していても良く、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等を例示することができ、好ましくはエチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基等を例示することができる。
【0017】
で表される置換されていてもよいフェニル基としてはフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基等を例示することができる。
【0018】
で表される置換されていてもよいC3-C6シクロアルキル基としては、シクロプルピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基等を例示することができる。
【0019】
で表されるフッ素原子が置換しているC~Cアルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等を例示することができ、好ましくはジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を例示することができる。
【0020】
次に、本発明の6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体(1)の製造方法について詳細に説明する。
【化6】
(式中、R1、R、R、R及びXは、前記と同じ意味を表す。)
【0021】
工程-1は、式(2)で表されるフッ素化された2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体と式(3)で示されるビニル化合物を反応させることによって、6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステル誘導体(1)を製造する工程である。式(2)で表される2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体および式(3)で表されるビニル化合物は、公知であり、市販品を使用することができる。また、2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体(2)は入手可能な試薬から実験化学講座、Organic Synthesesなどに記載の公知の方法に準じて容易に製造することもできる。
本反応では、2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体(2)に対して、0.1~30当量のビニル化合物(3)を用いて反応させることにより、目的物を得ることができる。ビニル化合物(3)の当量は、1当量以上用いることによって、目的物を収率良く得ることができる。
【0022】
本反応は無溶媒下及び溶媒存在下のどちらでも行うことができる。用いる溶媒としては、反応に害を及ぼさない溶媒であれば使用することができ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、水あるいはこれらの混合溶媒を用いることができる。
【0023】
また、0~200度の反応温度の範囲で反応させることによって、目的物を得ることができる。反応させる2-(アルコキシメチリデン)-β-ケトエステル誘導体(2)やビニル化合物(3)、又は反応に使用する溶媒の沸点温度に依存する場合もあるが、20~150度の反応温度の範囲で反応させることによって、目的物を収率良く得ることができる。
【0024】
反応終了後は、通常の後処理操作により目的物を得ることができるが、必要であれば、蒸留あるいはカラムクロマトグラフィー等により精製することもできる。
【0025】
なお、式(1)において表される6-(フルオロアルキル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸エステルの代表例を下記表1にまとめて例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。化合物番号は以後の記載において参照される。
【0026】
表中、「Me」はメチル基、「Et」はエチル基、「nPr」はノルマルプロピル基、「iPr」はイソプロピル基、「nBu」はノルマルブチル基、「sBu」はsec-ブチル基、「iBu」はイソブチル基、「tBu」はtert-ブチル基、「nPen」はノルマルペンチル基、「nHex」はノルマルヘキシル基、「cHex」はシクロヘキシル基、「nOct」はノルマルオクチル基、「Ph」はフェニル基を表す。
【0027】
【表1-1】
【0028】
【表1-2】
【0029】
【表1-3】
【0030】
【表1-4】
【0031】
【表1-5】
【実施例0032】
次に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0033】
〔実施例1〕
(1)エチル 4-エトキシ-2-プロポキシ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-129)
【化7】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にプロピル(ビニル)エーテル(2.20g,25.0mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して標記化合物(収量3.00g、収率75%)を得た。
【0034】
〔実施例2〕
(2)エチル 4-エトキシ-2-イソブトキシ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-132)
【化8】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にイソブチル(ビニル)エーテル(2.50g,25.0mmol)を加え、83℃で7時間半、撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して標記化合物(収量3.00g、収率71%)を得た。
【0035】
〔実施例3〕
(3)エチル 4-エトキシ-2-オクトキシ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-135)
【化9】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にビニル(オクチル)エーテル(2.90g,18.7mmol)を加え、177℃で6時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して標記化合物(収量2.10g、収率43%)を得た。
【0036】
〔実施例4〕
(4)エチル 2-(シクロヘキソキシ)-4-エトキシ-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシレイトの合成(No.1-137)
【化10】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にシクロヘキシル(ビニル)エーテル(3.20g,25.0mmol)を加え、152℃で6時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して標記化合物(収量4.20g、収率92%)を得た。
【0037】
〔実施例5〕
(5)エチル 4-エトキシ-2-フェニルスルファニル-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-178)
【化11】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にフェニル(ビニル)スルフィド(3.40g,25.0mmol)を加え、78℃で6時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して標記化合物(収量2.10g、収率45%)を得た。
【0038】
〔実施例6〕
(6)エチル 4-エトキシ-2-エチルスルファニル-6-(トリフルオロメチル)-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-172)
【化12】
2-(エトキシメチレン)-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,12.5mmol)にエチル(ビニル)スルフィド(2.20g,25.0mmol)を加え、91℃で3時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量3.50g、収率84%)を得た。
【0039】
〔実施例7〕
(7)エチル 6-(ジフルオロメチル)-2,4-ジエトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-25)
【化13】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(1.00g,4.50mmol)にエチルビニルエーテル(649mg,9.00mmol)を加え、50℃で8時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮して、黄色油状の標記化合物(収量1.20g、収率91%)を得た。
【0040】
〔実施例8〕
(8)エチル 6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-2-プロポキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-26)
【化14】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にプロピル(ビニル)エーテル(2.30g,27.0mmol)を加え、65℃で2時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量3.70g、収率88%)を得た。
【0041】
〔実施例9〕
(9)エチル 2-ブトキシ-6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-28)
【化15】

2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(500g,2.30mol)にブチル(ビニル)エーテル(271g,2.70mol)を加え、94℃で1時間半撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮して、黄色油状の標記化合物(収量747g、収率100%)を得た。
【0042】
〔実施例10〕
(10)エチル 6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-2-イソブトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-29)
【化16】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にイソブチル(ビニル)エーテル(2.70g,27.0mmol)を加え、83℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、無色油状の標記化合物(収量4.10g、収率94%)を得た。
【0043】
〔実施例11〕
(11)エチル 6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-2-オクトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-32)
【化17】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にビニル(オクチル)エーテル(3.20g,20.3mmol)を加え、160℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量4.20g、収率82%)を得た。
【0044】
〔実施例12〕
(12)エチル 2-(シクロヘキソキシ)-6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-34)
【化18】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にシクロヘキシル(ビニル)エーテル(3.40g,27.0mmol)を加え、152℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量4.10g、収率88%)を得た。
【0045】
〔実施例13〕
(13)エチル 6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-2-フェニルスルファニル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成
(No.1-75)
【化19】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にフェニル(ビニル)スルフィド(3.70g,27.0mmol)を加え、78℃で8時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量2.20g、収率46%)を得た。
【0046】
〔実施例14〕
(14)エチル 6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-2-エチルスルファニル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラートの合成(No.1-69)
【化20】
2-(エトキシメチレン)-4,4-ジフルオロ-3-オキソ酪酸エチル(3.00g,13.5mmol)にエチル(ビニル)スルフィド(2.40g,27.0mmol)を加え、91℃で3時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:5)により精製して、黄色油状の標記化合物(収量3.30g、収率80%)を得た。
【0047】
上記合成例および前記製造方法に基づき製造した本発明に係る化合物のHNMRスペクトル(CDCl)σ(ppm)値および性状等を表2に示す。HNMRデ-タは、JNM-ECS400スペクトロメ-タ-(日本電子株式会社製)により測定した。
【0048】
【表2】
【0049】
[実施例15]
2-ジフルオロメチルニコチン酸エチルの合成
【化21】
エチル 2-ブトキシ-6-(ジフルオロメチル)-4-エトキシ-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボキシラート(1.00g,3.10mmol)に酢酸アンモニウム(478mg,6.21mmol)、20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液(1.58g,4.65mmol)を加え、78℃で2時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認した後、反応溶液に酢酸エチル、水を加えて、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ-(溶出溶剤:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/3)により精製して、橙色透明液体の標記化合物(収量370mg、収率60%)を得た。
HNMRスペクトル(CDCl) σ:8.87(1H,d,J=4.8Hz),8.33(1H,d,J=8.0Hz),7.52(1H,dd,J1=8.0Hz,J2=4.8Hz),7.43(1H,t,J=54.2Hz),4.45(2H,q,J=7.2Hz),1.43(3H,t,J=7.2Hz).
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、農園芸場面用殺菌剤の中間体である2-(フッ素置換アルキル)ニコチンエステル誘導体を効率的に製造、提供することができる。