(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063653
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】プレス加工装置およびプレス加工方法
(51)【国際特許分類】
B30B 1/34 20060101AFI20230428BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B30B1/34 B
B21D22/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173603
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】592243357
【氏名又は名称】株式会社高木製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】森薗 亮支
(72)【発明者】
【氏名】森倉 清
【テーマコード(参考)】
4E090
4E137
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB02
4E090BA01
4E090CA01
4E090HA02
4E090HA03
4E137AA26
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA24
4E137CA26
4E137EA01
4E137EA05
4E137EA08
4E137GA01
4E137GA15
4E137GA17
4E137HA06
(57)【要約】
【課題】装置のコンパクト化を図ること、また、装置のコンパクト化と品質の向上との両立を図ること。
【解決手段】プレス加工装置1は、複数のアクチュエータ4,4,4,・・・が固定されたフレーム2と、金型ユニット6と、を備える。金型ユニット6は、ダイセット20と、当該ダイセット20に配置された載置台21と、複数のダイ22,24および複数のパンチ26,28,30,32,34と、を備える。載置台21は、素材BLを載置可能な載置面21aを有する。ダイ22,24およびパンチ26,28,30,32,34それぞれには、各アクチュエータ4,4,4,・・・が接続される。当該プレス加工装置1によれば、素材BLを載置面21aに載置した状態のまま当該素材BLに複数の折り曲げ加工を施すことが可能であるため、装置のコンパクト化を図ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の素材から完成品を成形可能なプレス加工装置であって、
型ベースと、
前記素材を載置可能な載置面を有し、前記型ベースに固定配置された載置部と、
前記載置面に載置された前記素材に第1プレス加工を施すことが可能なよう前記型ベースに摺動可能に配置された第1パンチと、
前記載置面に載置された前記素材であって、前記第1プレス加工が施された第1プレス済素材に第2プレス加工を施すことが可能なよう前記型ベースに摺動可能に配置された第2パンチと、
前記第1および第2パンチを駆動可能なよう該第1および第2パンチに接続された第1および第2駆動部と、
を備えるプレス加工装置。
【請求項2】
装置フレームをさらに備え、
前記型ベースは、前記装置フレームに取り外し可能に配置され、
前記第1および第2パンチは、前記型ベースを介して前記装置フレームに取り外し可能であり、
前記第1および第2駆動部は、前記装置フレームに固定されている
請求項1に記載のプレス加工装置。
【請求項3】
前記載置面に載置された前記素材であって,前記第2プレス加工が施された第2プレス済素材に第3プレス加工を施すことが可能な第3パンチと、該第3パンチを駆動可能なよう該第3パンチに接続された第3駆動部と、をさらに備え、
前記載置面は、前記素材の第1部分を除く第2部分が張り出した状態で、前記素材を載置可能であり、
前記第2部分は、前記素材の延在方向の1つである第1延在方向の少なくとも第1の方向に張り出す第3部分と、前記載置面を含む仮想平面に直交する第1直交方向および前記第1延在方向の両方向に直交する第2直交方向の第2の方向に張り出す第4部分と、を有しており、
前記第4部分は、前記第1部分に沿って延在する第5部分と、前記第3部分に沿って延在する第6部分と、を有しており、
前記第1パンチは、前記第3部分を前記第1直交方向のうち第3の方向に折り曲げ可能なよう前記第1直交方向に往復摺動可能に前記型ベースに配置され、
前記第2パンチは、前記第5部分の少なくとも一部を前記第3の方向に折り曲げ可能なよう、または、前記第5部分を前記第3の方向に折り曲げ可能であると共に前記第6部分の少なくとも一部を前記第1の方向とは反対方向の第4の方向に折り曲げ可能なよう前記第1直交方向に往復摺動可能に前記型ベースに配置され、
前記第3パンチは、前記第5部分の残部を前記第3の方向に折り曲げ可能であると共に前記第6部分を前記第4の方向に折り曲げ可能なよう、または、前記第6部分の残部を前記第4の方向に折り曲げ可能なよう前記第1延在方向に往復摺動可能に前記型ベースに配置されている
請求項1または2に記載のプレス加工装置。
【請求項4】
前記第3パンチは、前記型ベースを介して前記装置フレームに取り外し可能であり、
前記第3駆動部は、前記装置フレームに固定されている
請求項2に従属する請求項3に記載のプレス加工装置。
【請求項5】
前記第1直交方向に往復摺動可能に前記型ベースに配置されたダイと、該ダイを駆動可能なよう該ダイに接続された第4駆動部と、をさらに備え、
前記ダイは、前記第1部分に当接可能に前記載置面に対向配置された第1面と、前記第1プレス加工の際に前記第1パンチと対向する位置に配置されると共に前記第3部分が当接可能な第2面と、前記第2および第3プレス加工の際に前記第2および第3パンチと対向する位置に配置されると共に前記第4部分が当接可能な第3面と、を有している
請求項3または4に記載のプレス加工装置。
【請求項6】
前記第4駆動部は、前記装置フレームに固定されている
請求項2に係る請求項3に従属する請求項5、または、請求項4に従属する請求項5に記載のプレス加工装置。
【請求項7】
型ベースと、
板状の素材を載置可能な載置面を有し、前記型ベースに固定配置された載置部と、
前記載置面に載置された前記素材に第1プレス加工を施すことが可能なよう前記型ベースに摺動可能に配置された第1パンチと、
前記載置面に載置された前記素材であって、前記第1プレス加工が施された第1プレス済素材に第2プレス加工を施すことが可能なよう前記型ベースに摺動可能に配置された第2パンチと、
前記載置面に載置された前記素材であって,前記第2プレス加工が施された第2プレス済素材に第3プレス加工を施すことが可能なよう前記型ベースに摺動可能に配置された第3パンチと、
前記第1、第2パンチおよび第3パンチを駆動可能なよう該第1、第2および第3パンチに接続された第1、第2および第3駆動部と、
を備えるプレス加工装置を用いて前記素材から完成品を成形可能なプレス加工方法であって、
(a)前記素材の第1部分を除く第2部分が張り出した状態で前記素材を前記載置面に載置し、
(b)前記第1駆動部を駆動して前記第1パンチを作動させて、前記第2部分のうち前記素材の延在方向の1つである第1延在方向の少なくとも第1の方向に張り出す第3部分を、前記載置面を含む仮想平面に直交する第1直交方向のうち第3の方向に折り曲げ、
(c)前記第2駆動部を駆動して前記第2パンチを作動させて、前記第2部分のうち前記第1直交方向および前記第1延在方向の両方向に直交する第2直交方向の少なくとも第2の方向に張り出す第4部分であって前記第1部分に沿って延在する第5部分の少なくとも一部を前記第3の方向に折り曲げ、または、前記第5部分を前記第3の方向に折り曲げると共に前記第4部分であって前記第3部分に沿って延在する第6部分の少なくとも一部を前記第1の方向とは反対方向の第4の方向に折り曲げ、
(d)前記第3駆動部を駆動して前記第3パンチを作動させて、前記第5部分の残部を前記第3の方向に折り曲げると共に前記第6部分を前記第4の方向に折り曲げ、または、前記第6部分の残部を前記第4の方向に折り曲げる
ことによって、前記完成品を成形する
プレス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の素材から完成品を成形可能なプレス加工装置およびプレス加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平11-33645号公報(特許文献1)には、初工程目から最終工程目まで順番に並べて配置された複数の金型を備え、1回の型閉じおよび型開きを1サイクルとして、1サイクル毎に全工程(全金型上)の加工対象を次工程(一つ後に配置された金型)に自動で搬送することで、加工対象に順次プレス加工を施して、完成品(製品)を成形可能なプレス加工装置が記載されている。
【0003】
当該プレス加工装置は、工程ごとに単発でプレス加工を行う単工程加工に比べて、生産性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載のプレス加工装置では、複数の金型を同時に型締めしてプレス加工を実施するため、単工程加工に比べて大きな加圧力が必要となり、加圧ユニットが大型化してしまう。また、複数の金型を加工順に並べて配置する必要があるため、加工対象の搬送方向に複数の金型を配置するためのスペースが必要となるのみならず、加工対象を次工程に順次搬送する搬送機構が必要となる。このように、上述した公報に記載のプレス加工装置は、装置のコンパクト化という点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、装置のコンパクト化に資する技術を提供することを目的の一つとする。また、本発明は、装置のコンパクト化と品質の向上との両立に資する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプレス加工装置の好ましい形態によれば、板状の素材から完成品を成形可能なプレス加工装置が構成される。当該プレス加工装置は、型ベースと、当該型ベースに固定配置された載置部と、当該型ベースに摺動可能に配置された第1および第2パンチと、第1および第2パンチに接続された第1および第2駆動部と、を備えている。載置部は、素材を載置可能な載置面を有している。第1パンチは、素材に第1プレス加工を施すことが可能である。第2パンチは、載置面に載置された素材であって、第1プレス加工が施された第1プレス済素材に第2プレス加工を施すことが可能である。そして、第1および第2駆動部は、第1および第2パンチを駆動可能である。ここで、本発明における「第1および第2パンチに接続された」とは、第1および第2駆動部が第1および第2パンチに直接接続される態様の他、第1および第2駆動部が第1および第2パンチに間接的に接続される態様を好適に包含する。
【0008】
本発明によれば、素材を載置面に載置した状態のまま、第1および第2プレス加工を施すことが可能である。即ち、第1および第2プレス加工のための各金型を加工順に並べて配置して、第1および第2プレス加工を施す際に、第1プレス加工のための金型から第2プレス加工のための金型に素材を搬送する必要がないため、素材の搬送方向の省スペース化を図ることができる。また、第1および第2パンチを各別の駆動部(第1および第2駆動部)で駆動するため、第1および第2駆動部は、第1および第2プレス加工それぞれに必要な加圧力を有していれば良い。これにより、駆動部のコンパクト化を図ることができる。この結果、プレス加工装置のコンパクト化を図ることができる。
【0009】
本発明に係るプレス加工装置の更なる形態によれば、装置フレームをさらに備えている。型ベースは、装置フレームに取り外し可能に配置されている。また、第1および第2パンチは、型ベースを介して装置フレームに取り外し可能である。そして、第1および第2駆動部は、装置フレームに固定されている。
【0010】
本形態によれば、型ベースや第1および第2パンチを種類別毎に用意して、当該型ベースや第1および第2パンチを交換するのみで形態の異なる複数種類の素材をプレス加工することができる。これにより、複数種類のプレス加工装置を配置する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0011】
本発明に係るプレス加工装置の更なる形態によれば、第3パンチと、当該第3パンチに接続された第3駆動部と、をさらに備えている。第3パンチは、載置面に載置された素材であって、第2プレス加工が施された第2プレス済素材に、第3プレス加工を施すことが可能である。第3駆動部は、第3パンチを駆動可能である。載置面は、素材の第1部分を除く第2部分が張り出した状態で、当該素材を載置可能である。第2部分は、素材の延在方向の1つである第1延在方向の少なくとも第1の方向に張り出す第3部分と、載置面を含む仮想平面に直交する第1直交方向および第1延在方向の両方向に直交する第2直交方向の第2の方向に張り出す第4部分と、を有している。第4部分は、第1部分に沿って延在する第5部分と、第3部分に沿って延在する第6部分と、を有している。第1パンチは、第3部分を第1直交方向のうち第3の方向に折り曲げ可能なように、第1直交方向に往復摺動可能に型ベースに配置されている。第2パンチは、第5部分および第6部分の少なくとも一部を第3の方向および第1の方向とは反対方向の第4の方向に折り曲げ可能、または、第5部分の少なくとも一部を第3の方向に折り曲げ可能なように、第1直交方向に往復摺動可能に前記型ベースに配置されている。そして、第3パンチは、第5部分の残部を第3の方向に折り曲げ可能であると共に第6部分を第4の方向に折り曲げ可能なように、または、第6部分の残部を第4の方向に折り曲げ可能なように、第1延在方向に往復摺動可能に型ベースに配置されている。ここで、本発明における「第3パンチに接続された」とは、第3駆動部が第3パンチに直接接続される態様の他、第3駆動部が第3パンチに間接的に接続される態様を好適に包含する。
【0012】
本形態によれば、板状の素材をL字状に折り曲げた後、当該L字状の素材のL字状に折り曲げられた縁部をさらにL字状に折り曲げるという複雑なプレス加工を、プレス加工装置のコンパクト化を図りながら実現することができる。しかも、L字状に折り曲げられた縁部をL字状に折り曲げる工程を、第2パンチによる第2プレス加工と第3パンチによる第3プレス加工との二工程に分けて行うため、縁部をL字状に折り曲げるプレス加工を一工程で行う場合に比べて、縁部がL字状に折り曲げられる際に、当該縁部に生じる圧縮応力に起因する「しわ」の発生を抑制することができる。これにより、品質の向上を図ることができる。
【0013】
型ベースが装置フレームに取り外し可能に配置され、かつ、第3パンチおよび第3駆動部をさらに備える態様の本発明に係るプレス加工装置の更なる形態によれば、第3パンチは、型ベースを介して装置フレームに取り外し可能である。そして、第3駆動部は、装置フレームに固定する構成されている。
【0014】
本形態によれば、第3を型ベースと共に種類別毎に用意して、当該第3パンチや型ベースを交換するのみで形態の異なる複数種類の素材をプレス加工することができる。これにより、複数種類のプレス加工装置を配置する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0015】
本発明に係るプレス加工装置の更なる形態によれば、第1直交方向に往復摺動可能に型ベースに配置されたダイと、当該ダイを駆動可能なよう当該ダイに接続された第4駆動部と、をさらに備えている。ダイは、第1面と、第2面と、第3面と、を有している。第1面は、第1部分に当接可能に載置面に対向配置されている。第2面は、第1プレス加工の際に第1パンチと対向する位置に配置されると共に第3部分が当接可能である。第3面は、第2および第3プレス加工の際に第2および第3パンチと対向する位置に配置されると共に第4部分が当接可能である。ここで、型ベースが、装置フレームに取り外し可能に配置される場合には、第4駆動部は、装置フレームに固定する構成とすることができる。本発明における「ダイに接続された」とは、第4駆動部がダイに直接接続される態様の他、第4駆動部がダイに間接的に接続される態様を好適に包含する。
【0016】
本形態によれば、ダイの第1面と載置面との間に素材を挟んだ状態で、第1,第2および第3パンチを摺動させることで素材から完成品を成形するため、安定して素材にプレス加工を施すことができる。これにより、品質の向上を図ることができる。
【0017】
本発明に係るプレス加工方法の好ましい形態によれば、型ベースと、当該型ベースに固定配置された載置部と、当該型ベースに摺動可能に配置された第1,第2および第3パンチと、第1,第2および第3パンチに接続された第1,第2および第3駆動部と、を備えるプレス加工装置を用いて板状の素材から完成品を成形可能なプレス加工方法が構成される。載置部は、素材を載置可能な載置面を有している。第1パンチは、素材に第1プレス加工を施すことが可能である。第2パンチは、載置面に載置された素材であって、第1プレス加工が施された第1プレス済素材に第2プレス加工を施すことが可能である。第3パンチは、載置面に載置された素材であって、第2プレス加工が施された第2プレス済素材に、第3プレス加工を施すことが可能である。そして、第1,第2および第3駆動部は、第1および第2パンチを駆動可能である。当該プレス加工方法は、(a)素材の第1部分を除く第2部分が張り出した状態で素材を前記載置面に載置し、(b)第1駆動部を駆動して第1パンチを作動させて、第2部分のうち素材の延在方向の1つである第1延在方向の少なくとも第1の方向に張り出す第3部分を、載置面を含む仮想平面に直交する第1直交方向のうち第3の方向に折り曲げ、(c)第2駆動部を駆動して第2パンチを作動させて、第2部分のうち第1直交方向および第1延在方向の両方向に直交する第2直交方向の少なくとも第2の方向に張り出す第4部分であって第1部分に沿って延在する第5部分の少なくとも一部を第3の方向に折り曲げ、または、第5部分を第3の方向に折り曲げると共に第4部分であって第3部分に沿って延在する第6部分の少なくとも一部を第1の方向とは反対方向の第4の方向に折り曲げ、(d)第3駆動部を駆動して第3パンチを作動させて、第5部分の残部を第3の方向に折り曲げると共に第6部分を第4の方向に折り曲げ、または、第6部分の残部を第4の方向に折り曲げることによって、完成品を成形する。
【0018】
本発明によれば、素材を載置面に載置した状態のまま、第1および第2プレス加工を施すことが可能である。即ち、第1および第2プレス加工のための各金型を加工順に並べて配置して、第1および第2プレス加工を施す際に、第1プレス加工のための金型から第2プレス加工のための金型に素材を搬送する必要がないため、素材の搬送方向の省スペース化を図ることができる。また、第1および第2パンチを各別の駆動部(第1および第2駆動部)で駆動するため、第1および第2駆動部は、第1および第2プレス加工それぞれに必要な加圧力を有していれば良いため、駆動部のコンパクト化を図ることができる。これにより、プレス加工装置のコンパクト化を図ることができる。さらに、板状の素材をL字状に折り曲げた後、当該L字状の素材のL字状に折り曲げられた縁部をさらにL字状に折り曲げるという複雑なプレス加工を、プレス加工装置のコンパクト化を図りながら実現することができる。しかも、L字状に折り曲げられた縁部をL字状に折り曲げる工程を、第2パンチによる第2プレス加工と第3パンチによる第3プレス加工との二工程に分けて行うため、縁部をL字状に折り曲げるプレス加工を一工程で行う場合に比べて、縁部がL字状に折り曲げられる際に、当該縁部に生じる圧縮応力に起因する「しわ」の発生を抑制することができる。これにより、品質の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置のコンパクト化を図ることができる。また、本発明によれば、装置のコンパクト化と品質の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係るプレス加工装置1の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図2】金型ユニット6の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図3】金型ユニット6の構成の概略を示す概略構成図である。
【
図6】載置面21aに載置された状態の素材BLの様子を示す説明図である。
【
図7】載置面21aに素材BLを載置した際の、素材BLとパンチ26,28,30,32,34との位置関係を上方から見た説明図である。
【
図8】ダイ22によって素材BLが載置面21aに押さえられた様子を示す説明図である。
【
図9】パンチ26によって第2部分BL2が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図10】第2部分BL2が折り曲げられた素材BLを示す外観図である。
【
図11】ダイ24がセットされた状態を示す説明図である。
【
図12】パンチ28によって舌片Tpが折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図13】舌片Tpが折り曲げられた素材BLを示す外観図である。
【
図14】舌片Tpを折り曲げた後、パンチ28が元の位置に戻った状態を示す説明図である。
【
図15】パンチ30を上昇させた状態を示す説明図である。
【
図16】パンチ32を上昇させる直前の様子を示す説明図である。
【
図17】パンチ32を上昇させた状態を示す説明図である。
【
図18】パンチ30,32によって第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部が折り曲げられる様子を示す説明図である。
【
図19】第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部が折り曲げられた素材BLを示す外観図である。
【
図20】第4部分BL4の折り曲げが完了した様子を示す説明図である。
【
図21】第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部の折り曲げが完了した様子を示す説明図である。
【
図22】パンチ34によって第6部分BL32の残部を折り曲げる様子を示す説明図である。
【
図23】第6部分BL32の残部の折り曲げが完了した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0022】
本実施の形態に係るプレス加工装置1は、
図1に示すように、フレーム2と、当該フレーム2に支持された複数のアクチュエータ4,4,4,・・・と、フレーム2に着脱可能に装着される金型ユニット6と、を備えており、
図4に示す板状の素材BLから
図5に示す完成品FPを成形する。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、
図1の紙面手前方向を、「前側」ないし「前方」として規定し、
図1の紙面奥方向を、「後側」ないし「後方」として規定し、
図1の上方向を、「上側」ないし「上方」として規定し、
図1の下方向を、「下側」ないし「下方」として規定し、
図1の左方向を、「左側」ないし「左方」として規定し、
図1の右方向を、「右側」ないし「右方」として規定する。
【0023】
フレーム2は、
図1に示すように、上壁12と、下壁14と、当該上壁12および下壁14を接続する左壁16および右壁18と、を有している。フレーム2は、中央に前後方向に開口された金型ユニット配置領域DAを有している。上壁12、下壁14、左壁16および右壁18は、金型ユニット配置領域DAまで貫通する開口(
図1では上壁12の開口12aのみ記載されている)を有している。なお、下壁14は、前方に突出した形状を有している。フレーム2は、本発明における「装置フレーム」に対応する実施構成の一例である。
【0024】
アクチュエータ4,4,4,・・・は、本実施の形態では、図示しないシリンダと、当該シリンダに出没可能に支持されたロッドR,R,R,・・・(
図2または
図3に記載)と、を備え、油圧によってロッドR,R,R,・・・が出没する油圧シリンダを用いる構成とした。アクチュエータ4,4,4,・・・は、ロッドR,R,R,・・・が上壁12、下壁14、左壁16および右壁18の各開口を通過可能なように、上壁12、下壁14、左壁16および右壁18に配置される。
【0025】
金型ユニット6は、
図1ないし
図3に示すように、ダイセット20と、当該ダイセット20に摺動可能に支持されたダイ22,24(
図2のみに記載)およびパンチ26,28,30,32,34(
図2または
図3のみに記載)と、を有している。ダイセット20は、
図2および
図3に示すように、中央にプレス加工を行うプレス加工領域PAを有している。当該プレス加工領域PAには、素材BLを載置可能な載置面21aを有する載置台21が配置されている。ダイセット20は、本発明における「型ベース」に対応する実施構成の一例である。また、載置台21は、本発明における「載置部」に対応する実施構成の一例である。
【0026】
ダイ22は、アクチュエータ4のロッドRに接続されており、アクチュエータ4によって、上下方向(
図2の上下方向)に往復摺動可能である。また、ダイ22は、押え面22a(
図2参照)と、受面22b(
図8参照)と、受面22c,22d(
図18参照)と、を有している。押え面22aは、
図2に示すように、載置面21aに対向配置されており、アクチュエータ4によってダイ22が下降(
図2の下方)されることで、素材BL、具体的には、後述する第1部分BL1に当接する。これにより、素材BL(第1部分BL1)は、押え面22aと載置面21aとの間に挟持される。受面22bは、
図8および
図9に示すように、素材BLの後述する第2部分BL2を折り曲げ加工する際に、パンチ26と対向する位置に配置されている。これにより、アクチュエータ4によってパンチ26が上昇(
図2、
図8および
図9の上方に摺動)されることで、上方(
図2、
図8および
図9の上方)に折り曲げられる素材BLの第2部分BL2が受面22bに当接する。さらに、受面22c,22dは、
図18に示すように、素材BLの後述する第3部分BL3および第4部分BL4を折り曲げ加工する際に、パンチ30,32と対向する位置に配置されている。これにより、アクチュエータ4によってパンチ30,32が上昇(
図18の上方に摺動)されることで、上方(
図5および
図18の上方)に折り曲げられる第3および第4部分BL3,BL4が受面22c,22dに当接する。押え面22aは、本発明における「第1面」に対応し、受面22b,22cは、それぞれ本発明における「第2面」および「第3面」に対応する実施構成の一例である。また、ダイ22に接続されるアクチュエータ4は、本発明における「第4駆動部」に対応する実施構成の一例である。
【0027】
ダイ24は、
図2に示すように、アクチュエータ4のロッドRに接続されており、アクチュエータ4によって、所定の傾斜角度をもって上下方向(
図2の上下方向)に往復摺動可能である。また、ダイ24は、
図11に示すように、受面24aと、受面24b(
図18も併せて参照)と、を有している。受面24aは、
図11に示すように、素材BLの舌片Tpを折り曲げ加工する際に(
図5参照)、ダイ22の受面22bと対向する位置に配置されており、アクチュエータ4によってダイ24が下降(
図2の左斜め下方に摺動)されることで、上方(
図2、
図8および
図9の上方)に折り曲げられた素材BLの第2部分BL2に当接する。これにより、素材BL(第2部分BL2)は、受面22bと受面24aとの間に挟持される。受面24bは、
図18に示すように、後述する第1の方向(
図13および
図14の右方向)に折り曲げられた舌片Tpが当接する面である。
【0028】
パンチ26は、
図2に示すように、接続片CP1を介してアクチュエータ4のロッドRに接続されており、アクチュエータ4によって、上下方向(
図2の上下方向)に往復摺動可能である。パンチ26は、
図9に示すように、アクチュエータ4によって上昇(
図9の上方に摺動)されることで、素材BLの第2部分BL2に当接し、当該第2部分BL2が受面22bに当接するまで当該第2部分BL2を折り曲げ可能である。パンチ26は、本発明における「第1パンチ」に対応する実施構成の一例である。また、パンチ26に接続されるアクチュエータ4は、本発明における「第1駆動部」に対応する実施構成の一例である。
【0029】
パンチ28は、
図12に示すように、接続片CP2を介してアクチュエータ4のロッドRに接続可能であり、アクチュエータ4によって、左右方向(
図12の左右方向)に往復摺動可能である。パンチ28は、
図12に示すように、アクチュエータ4によって右方向(
図12の右方向)に摺動されることで、素材BLの舌片Tpに当接し、当該舌片Tp(
図5参照)がダイ24に当接するまで当該舌片Tpを折り曲げ可能である。即ち、パンチ28は、舌片Tpを後述する第1の方向(
図12の右方向)に折り曲げ可能である。
【0030】
パンチ30,32は、
図2および
図3に示すように、それぞれアクチュエータ4,4のロッドR,Rに接続されており、アクチュエータ4,4によって、上下方向(
図2および
図3の上下方向)に往復摺動可能である。パンチ30,32は、
図18に示すように、アクチュエータ4,4によって上昇(
図2、
図3および
図18の上方向に摺動)されることで、それぞれ素材BLの後述する第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部に当接し、当該第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部がダイ22の受面22c,22dに当接するまで当該第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部を折り曲げ可能である。即ち、パンチ30,32は、第4部分BL4のうち後述する第7部分BL41および第5部分BL31を上方(
図5および
図18の上方)に折り曲げ可能であると共に、第4部分BL4のうち後述する第8部分BL42および第6部分BL32を左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げ可能である。パンチ32,34は、それぞれ本発明における「第2パンチ」および「第3パンチ」に対応し、パンチ32,34に接続されるアクチュエータ4,4は、それぞれ本発明における「第2駆動部」および「第3駆動部」に対応する実施構成の一例である。
【0031】
パンチ34は、
図3に示すように、アクチュエータ4のロッドRに接続されており、アクチュエータ4によって、左右方向(
図3の左右方向)に往復摺動可能である。パンチ34は、
図22に示すように、アクチュエータ4によって右方向(
図22の右方向)に摺動されることで、素材BLの後述する第6部分BL32に当接し、当該第6部分BL32がダイ22の受面22cに当接するまで当該第6部分BL32を折り曲げ可能である(
図5,
図18および
図23参照)。即ち、パンチ34は、第6部分BL32を左方(
図5の左方向、
図18の紙面手前方向および
図23の右方向)に折り曲げ可能である。
【0032】
載置台21の載置面21aは、
図6に示すように、素材BLの第1部分BL1を除く第2部分BL2、第3部分BL3および第4部分BL4が張り出した状態で、素材BLを載置可能に構成されている。第2部分BL2は、素材BLのうち、素材BLの延在方向の1つである長手方向(
図6の上下方向)の第1の方向(
図6の上方向)に張り出した部分である。また、第3部分は、素材BLのうち、素材BLの長手方向(
図6の上下方向)に直交する直交方向(
図6の左右方向)の第2の方向(
図6の左方向)に張り出した部分である。第3部分BL3は、第1部分BL1に沿って延在する第5部分BL31と、第2部分BL2に沿って延在する第6部分BL32と、を有している。換言すれば、第3部分BL3は、素材BLのうち第1の方向に配置された縁部であって、素材BLの長手方向全域に亘って延在している部分であると言うことができる。さらに、第4部分は、素材BLのうち、素材BLの直交方向(
図6の左右方向)の第3の方向(
図6の右方向)に張り出した部分である。第4部分BL4は、第1部分BL1に沿って延在する第7部分BL41と、第3部分BL3に沿って延在する第8部分BL42と、を有している。換言すれば、第4部分BL4は、素材BLのうち第3の方向に配置された縁部であって、第1部分BL1から第2部分BL2の途中まで延在している部分であると言うことができる。第2部分BL2は、本発明における「第2部分」および「第3部分」に対応し、第3部分BL3は、本発明における「第2部分」および「第4部分」に対応し、第5部分BL31は、本発明における「第2部分」、「第4部分」および「第5分部分」に対応し、第6部分BL32は、本発明における「第2部分」、「第4部分」および「第6分部分」に対応し、第4部分BL4、第7部分BL41および第8部分BL42は、それぞれ本発明における「第2部分」に対応する実施構成の一例である。また、素材BLの長手方向は、本発明における「第1延在方向」に対応し、第1の方向(
図6の上方向)は、本発明における「第1の方向」に対応し、プレス加工装置1の上下方向(
図1の上下方向)は、本発明における「第1直交方向」に対応し、素材BLの長手方向に直交する直交方向(
図6の左右方向)は、本発明における「第2直交方向」に対応し、第2の方向(
図6の左方向)は、本発明における「第2の方向」に対応する実施構成の一例である。
【0033】
図7は、載置面21aに素材BLを載置した際の、素材BLとパンチ26,28,30,32,34との位置関係を上方から見た説明図である。パンチ26は、第2部分BL2の下方に配置されており、パンチ28は、第7部分BL41の上方であって第2部分BL2が折り曲げられた際の舌片Tpに対向する位置に配置されており、パンチ30は、第4部分BL4の下方に配置されており、パンチ32は、一部が第6部分BL32の下方まで延在する態様で第5部分BL31の下方に配置されており、パンチ34は、第2部分BL2が折り曲げられた際の第6部分32に対向する位置に配置されている。
【0034】
こうして構成された金型ユニット6は、下壁14の突出した部分の上面に仮置きされた後(
図1参照)、後方へ移動されて、フレーム2の適切な位置にセットされる。このように、金型ユニット6をフレーム2に対して取り外し可能な構成とすることによって、種類別毎に金型を用意して、当該金型を交換するのみで形態の異なる複数種類の素材BLをプレス加工することができるため、複数種類のプレス加工装置1を配置する必要がない。これにより、省スペース化を図ることができる。
【0035】
次に、こうして構成された本実施形態に係るプレス加工装置1の動作、特に、素材BLから完成品FPを成形する際の動作について説明する。まず、
図2、
図3および
図6に示すように、素材BLを載置台21の載置面21a上にセットする。このとき、素材BLは、載置面21aの所定位置に位置決めされる。
【0036】
素材BLの載置面21a上へのセットが完了したら、プレス加工装置1のプレス加工開始スイッチをオンにする。これにより、アクチュエータ4,4,4,・・・の駆動が開始される。まず、
図8に示すように、アクチュエータ4によって、押え面22aが素材BL(第1部分BL1)に当接するまで、ダイ22が下降(
図8の下方向へ摺動)される。これにより、素材BLの第1部分BL1が、載置面21aと押え面22aによって挟持される。
【0037】
続いて、
図9に示すように、アクチュエータ4によって、パンチ26が上昇(
図9の上方向へ摺動)される。これにより、素材BLの第2部分BL2が受面22bに当接するまで、上方(
図9の上方向)に折り曲げられる(
図10参照)。さらに、当該状態のまま、
図11に示すように、アクチュエータ4によって、受面24aが折れ曲がった第2部分BL2に当接するまで、ダイ24が下降(
図11の左下方向へ摺動)される。当該状態で、
図12に示すように、アクチュエータ4によって、パンチ28が右方向(
図12の右方向)に摺動される。これにより、
図13に示すように、素材BLの舌片Tpが第1の方向(
図13および
図14の右方向)に折れ曲がる。このとき、舌片Tpは、
図18に示すように、ダイ24の受面24bに当接される。パンチ26によって素材BLの第2部分BL2を上方(
図9の上方向)に折り曲げる加工は、本発明における「第1プレス加工」に対応し、第2部分BL2が上方(
図9の上方向)に折り曲げられた素材BLは、本発明に鋳おける「第1プレス済素材」に対応する実施構成の一例である。また、上方(
図9の上方向)は、本発明における「第3の方向」に対応する実施構成の一例である。
【0038】
こうしてパンチ28によって舌片Tpを第1の方向に折り曲げるプレス加工が素材BLに施されると、続いて、
図14に示すように、アクチュエータ4によって、パンチ28が左方向(
図14の左方向)に摺動されて、元の位置に戻される。そして、
図15に示すように、アクチュエータ4によって、パンチ30が上昇(
図15の上方向に摺動)されると共に、アクチュエータ4によって、パンチ32が、
図16に示す位置(状態)から
図17に示す位置(状態)まで、上昇(
図16および
図17の上方向に摺動)される。これにより、素材BLの第3部分BL3の一部と素材BLの第4部分BL4とが、
図18に示すように、折り曲げられる。より具体的には、パンチ30の上昇(
図15の上方向に摺動)によって、第4部分BL4のうちの第7部分BL41が上方(
図18の上方)に折り曲げられると共に、第4部分BL4のうちの第8部分BL42が左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げられる。また、パンチ32の上昇(
図15の上方向に摺動)によって、第3部分BL3のうちの第5部分BL31が上方(
図18の上方)に折り曲げられると共に、第3部分BL3のうちの第6部分BL32の一部が左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げられる(
図19参照)。このとき、第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部は、ダイ22の受面22c,22dに当接される。パンチ32によって第3部分BL3のうちの第5部分BL31を上方(
図18の上方)に折り曲げると共に、第3部分BL3のうちの第6部分BL32の一部を左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げる加工は、本発明における「第2プレス加工」に対応し、第3部分BL3のうちの第5部分BL31が上方(
図18の上方)に折り曲げられると共に、第3部分BL3のうちの第6部分BL32の一部が左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げられた素材BLは、本発明における「第2プレス済み素材」に対応する実施構成の一例である。
【0039】
そして、パンチ30,32による第4部分BL4、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部の折り曲げ加工が完了すると、
図20および
図21に示すように、アクチュエータ4,4によって、パンチ30,32が下降(
図20および
図21の下方向に摺動)されると同時に、
図22に示すように、アクチュエータ4によって、パンチ34が右方向(
図22の右方向)に摺動される。これにより、第3部分BL3のうちの第6部分BL32の残部が左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げられ(
図5参照)、完成品FPの成形が完了する。このとき、第6部分BL32の残部は、ダイ22の受面22cに当接される(
図18の2点鎖線)。パンチ34によって第3部分BL3のうちの第6部分BL32の残部を左方(
図5の左方向および
図18の紙面手前方向)に折り曲げる加工は、本発明における「第3プレス加工」に対応する実施構成の一例である。第6部分BL32および第8部分BL42の折り曲げ方向、即ち、
図5の左方向および
図18の紙面手前方向は、本発明における「第4の方向」に対応する実施構成の一例である。
【0040】
最後に、
図23に示すように、アクチュエータ4,4によって、ダイ22,24が上昇(
図23の上方向に摺動)されると共に、アクチュエータ4によって、パンチ34が左方向(
図23の左方向)に摺動されることで、金型ユニット6の型開きが行われて、完成品FPの取り出しが可能となる。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、素材BLを載置面21aに載置した状態のまま、第2部分BL2や、舌片Tp、第3部分BL3、第4部分BL4の折り曲げ加工を施すことが可能である。即ち、第2部分BL2や、舌片Tp、第3部分BL3、第4部分BL4の折り曲げ加工のための各金型を加工順に並べて配置して、一つの曲げ加工が終わる度に、素材BLを次の曲げ加工のための金型に搬送する必要がないため、素材BLの搬送方向の省スペース化を図ることができる。また、ダイ22,24やパンチ26,28,30,32,34を各別のアクチュエータ4,4,4,・・・で駆動するため、各アクチュエータ4,4,4,・・・は、各プレス加工に必要な加圧力を有していれば良い。これにより、アクチュエータ4,4,4,・・・のコンパクト化を図ることができる。この結果、プレス加工装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0042】
さらに、本実施の形態によれば、第2部分BL2が折り曲げられてL字状となった素材BLの長手方向に延在する縁部の一つである第3部分BL3を折り曲げる工程を、パンチ32によるプレス加工とパンチ34によるプレス加工との二工程に分けて行うため、第3部分BL3を一工程で折り曲げ加工する場合に比べて、第3部分BL3の折り曲げの際に生じる圧縮応力に起因する「しわ」の発生を抑制することができる。これにより、品質の向上を図ることができる。
【0043】
本実施の形態では、金型ユニット6は、曲げ加工のみを行う構成としたが、これに限らない。例えば、金型ユニット6は、曲げ加工に加えて、あるいは、曲げ加工に代えて、せん断加工や抜き加工を行う構成としても良い。
【0044】
本実施の形態では、まず、パンチ32によって、第5部分BL31、および、第6部分BL32の一部を折り曲げ加工した後、パンチ34によって、第6部分BL32の残部を折り曲げ加工することで、第3部分BL3の折り曲げを行う構成としたが、これに限らない。例えば、まず、パンチ34によって、第6部分BL32、および、第5部分BL31の一部を折り曲げ加工した後、パンチ32によって、第5部分BL31の残部を折り曲げ加工することで、第3部分BL3の折り曲げを行う構成としても良い。
【0045】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。