(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063677
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】積層鉄心及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C23C 8/18 20060101AFI20230428BHJP
C21D 9/46 20060101ALI20230428BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20230428BHJP
H01F 3/02 20060101ALI20230428BHJP
H01F 27/245 20060101ALI20230428BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
C23C8/18
C21D9/46 501A
C21D9/00 S
H01F3/02
H01F27/245
H01F41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173640
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】馬場 愼太郎
(72)【発明者】
【氏名】賀来 大貴
【テーマコード(参考)】
4K033
4K042
5E062
【Fターム(参考)】
4K033RA02
4K033SA01
4K033UA01
4K042AA25
4K042BA06
4K042BA12
4K042DA03
4K042DA06
4K042DB07
4K042DC02
4K042DC03
4K042DC04
5E062AC05
5E062AC11
5E062AC13
5E062AC15
(57)【要約】
【課題】内部における赤錆の発生を十分に抑制することが可能な積層鉄心を提供すること。
【解決手段】電磁鋼板Wの積層体10Aと、マグネタイトを含有し、積層体10Aの側面20を覆う粒状の酸化物と、を備え、粒状の酸化物で覆われる側面20の上に水滴を滴下してから20分間経過するまでの水滴の接触角が80°以上である、積層鉄心10を提供する。粒状の酸化物で覆われる側面20のXRD測定で2θが41~42°及び38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをそれぞれH1及びH2としたときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である、積層鉄心10を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板の積層体と、マグネタイトを含有し、前記積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備え、
前記粒状の酸化物で覆われる前記側面の上に水滴を滴下してから20分間経過するまでの前記水滴の接触角が80°以上である、積層鉄心。
【請求項2】
前記マグネタイトの少なくとも一部が結晶質である、請求項1に記載の積層鉄心。
【請求項3】
電磁鋼板の積層体と、結晶質のマグネタイトを含有し、前記積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備える積層鉄心であって、
前記粒状の酸化物で覆われる前記側面のXRD測定で2θが41~42°及び38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをそれぞれH1及びH2としたときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である、積層鉄心。
【請求項4】
前記粒状の酸化物は300nm以上の粒径を有する粒子を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層鉄心。
【請求項5】
前記積層体の前記側面が前記粒状の酸化物を含む酸化膜に覆われている、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層鉄心。
【請求項6】
前記粒状の酸化物は結晶質のヘマタイトを含有しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層鉄心。
【請求項7】
前記電磁鋼板は打ち抜き鋼板を含み、
積層方向に隣り合う前記打ち抜き鋼板同士は、カシメによって互いに締結されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層鉄心。
【請求項8】
酸素を含む雰囲気を有するブルーイング炉において、水蒸気を導入しながら電磁鋼板の積層体を加熱して前記積層体の側面を酸化することを含み、
前記ブルーイング炉では、酸素濃度が500ppm未満、且つ加熱温度が400~600℃の条件で前記積層体を加熱して、前記積層体の側面にマグネタイトを含有する粒状の酸化物を生成させる、積層鉄心の製造方法。
【請求項9】
前記ブルーイング炉の露点は10℃以上である、請求項8に記載の積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層鉄心及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルーイング炉において、鉄系積層製品の表面に酸化皮膜を生成する技術が知られている。例えば、特許文献1では、ハウジングの内面又はステータコアの外周面に、大気中、500~550℃でブルーイング処理を施して酸化皮膜を形成する技術が提案されている。特許文献2では、入口側からで出口側に向かって次第に降温するブルーイング炉に不活性ガスよりも酸素濃度の高いドライ不活性ガスを装入して、被処理物に酸化皮膜を形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-42015号公報
【特許文献2】特公平7-42508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
積層鉄心は、種々の環境下で使用される。水及び空気(酸素)と接触すると積層鉄心に赤錆が生じる。積層鉄心の内部に赤錆が生じると、積層鉄心の性能低下の要因となる。そこで、本開示では、内部における赤錆の発生を十分に抑制することが可能な積層鉄心及びそのような積層鉄心の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る積層鉄心は、電磁鋼板の積層体と、マグネタイトを含有し、積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備える積層鉄心であって、側面を被覆する粒状の酸化物の上に水滴を滴下してから20分間経過するまでの水滴の接触角が80°以上である。
【0006】
上記積層鉄心における電磁鋼板の積層体の側面は、マグネタイトを含有する粒状の酸化物で覆われている。このように、マグネタイトを含有する粒状の酸化物で覆われているため、当該側面における赤錆の発生を十分に抑制することができる。また、側面を覆われる粒状の酸化物の上に水滴を滴下してから20分間経過するまでの水滴の接触角が80°以上であることから、高い撥水性を有する。このように側面が高い撥水性を有することから、積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。このため、積層鉄心の側面のみならず内部における赤錆の発生も十分に抑制することができる。
【0007】
本開示の一側面に係る積層鉄心は、電磁鋼板の積層体と、結晶質のマグネタイトを含有し、積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備える積層鉄心であって、粒状の酸化物で被覆される側面のXRD測定で2θが41~42°及び38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをそれぞれH1及びH2としたときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である。
【0008】
上記積層鉄心における電磁鋼板の積層体の側面は、結晶質のマグネタイトを含有する粒状の酸化物で覆われている。このように、結晶質のマグネタイトを含有する粒状の酸化物で覆われているため、当該側面における赤錆の発生を十分に抑制することができる。そして、粒状の酸化物で被覆される側面のXRDを測定したときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である。ここで、2θが41~42°の間に検知されるピークには結晶質のマグネタイトと結晶質のヘマタイトのそれぞれに由来する回折ピークを含む。一方、2θが38~39°の間に検知されるピークには、結晶質のヘマタイトに由来する回折ピークが含まれる一方で、結晶質のマグネタイトに由来する回折ピークは含まれない。このため、H1/(H1+H2)が0.8以上である場合、粒状の酸化物に含まれる、結晶質のヘマタイトに対する結晶質のマグネタイトの割合が十分に高い。このように結晶質のマグネタイトの割合が十分に高い酸化物で覆われる側面は、高い撥水性を有する。したがって、積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。このため、積層鉄心の側面のみならず内部における赤錆の発生も十分に抑制することができる。
【0009】
本開示の一側面に係る積層鉄心の製造方法は、酸素を含む雰囲気を有するブルーイング炉において、水蒸気を導入しながら電磁鋼板の積層体を加熱して積層体の側面を酸化することを含む。ブルーイング炉では、酸素濃度が500ppm未満、且つ加熱温度が400~600℃の条件で積層体を加熱して、積層体の側面にマグネタイトを含有する粒状の酸化物を生成させる。
【0010】
上記製造方法によれば、マグネタイトの割合が高い酸化物で電磁鋼板の積層体の側面を覆うことができる。したがって、当該側面における赤錆の発生を十分に抑制することができる。また、マグネタイトの割合が十分に高い酸化物で覆われる側面は、高い撥水性を有する。したがって、積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。このため、積層鉄心の側面のみならず内部における赤錆の発生も十分に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
内部における赤錆の発生を十分に抑制することが可能な積層鉄心及びそのような積層鉄心の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】積層鉄心を積層方向に沿って切断したときの断面構造を模式的に示す断面図である。
【
図3】積層体の側面上に滴下された水滴の接触角を模式的に示す図である。
【
図4】(A)及び(B)は、それぞれ、粒状の酸化物で覆われる側面のXRD測定結果の例を示す図である。
【
図6】実施例1~4の水滴の接触角yの経時変化を示す図である。
【
図7】実施例5,6及び比較例1~3の水滴の接触角yの経時変化を示す図である。
【
図8】実施例7,8の水滴の接触角yの経時変化を示す図である。
【
図9】実施例2~6の積層鉄心における積層体の側面の写真である。
【
図10】実施例2,3,4の積層鉄心における積層体の側面及び断面の写真である。
【
図11】実施例5,7の積層鉄心における積層体の側面及び断面の写真である。
【
図12】比較例1,2の積層鉄心における積層体の側面及び断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、場合により図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0014】
一実施形態に係る積層鉄心は、電磁鋼板の積層体と、マグネタイトを含有し、積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備える。粒状の酸化物で覆われる上記側面の上に水滴を滴下してから20分間経過するまでの水滴の接触角yが80°以上である。撥水性を一層向上する観点から、水滴を滴下してから20分間経過するまでの接触角yは100°以上であってもよい。水滴を滴下してから20分間経過するまでの接触角yの上限は、例えば140°であってよい。すなわち、水滴を滴下してから20分間経過するまでの水滴の接触角yの一例は、80~140°である。接触角yは、ブルーイング工程の条件を変えることで調整することができる。例えば、酸素濃度を所定の範囲に制御しつつ、加熱時間を長くすること、又は、加熱温度を高くすることによって、接触角yを大きくすることができる。このように撥水性を高くすることによって、積層体の積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。これによって、積層鉄心の内部における赤錆の発生を十分に抑制することができる。
【0015】
撥水性を一層向上する観点から、粒状の酸化物で覆われる積層体の側面の上に水滴を滴下してから40分間経過するまでの水滴の接触角yは80°以上であってよく、85°以上であってもよい。積層体の側面の上に水滴を滴下してから40分間経過するまでの水滴の接触角yの上限は、例えば140°であってよい。すなわち、水滴を滴下してから40分間経過するまでの水滴の接触角yの一例は、80~140°である。
【0016】
マグネタイトの少なくとも一部は結晶質であってよい。これによって、撥水性が十分に高くなり、積層鉄心の内部における赤錆の発生を十分に抑制することができる。酸化物に含まれるマグネタイトの全てが結晶質であってよく、酸化物に含まれるマグネタイトが結晶質と非晶質の両方を含んでいてもよい。
【0017】
上記粒状の酸化物で覆われる積層体の側面のXRD測定で2θが41~42°及び38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをそれぞれH1及びH2としたときに、H1/(H1+H2)は0.8以上であってよい。2θが41~42°の範囲内には、結晶質のマグネタイト(Fe3O4)の最も高い回折ピークと、ヘマタイト(Fe2O3)の回折ピークのうち、2番目に高い回折ピークが検知される。一方、2θが38~39°の範囲内には、結晶質のヘマタイトの回折ピークのうち、最も高い回折ピークが検知される。したがって、H1/(H1+H2)の値が大きいほど、結晶質のヘマタイトと結晶質のマグネタイトの合計に対するマグネタイトの割合が高くなる。このように結晶質のマグネタイトの割合が十分に高い酸化物で覆われる側面は、高い撥水性を有する。撥水性を高くすることによって、積層体の積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。
【0018】
撥水性を一層高くする観点から、H1/(H1+H2)は0.9以上であってよく、0.95以上であってよく、0.98以上であってもよい。H1/(H1+H2)の値は、ブルーイング工程の条件を変えることで調整することができる。例えば、加熱時間を長くすること、加熱温度を高くすること、又は露点を高くすることによって、H1/(H1+H2)の値を大きくすることができる。本明細書におけるXRD(X線回折)測定には、CuKα線を用いた市販のX線回折測定装置(例えば、BRUKER製のD8 DISCOVER(商品名))を用いることができる。
【0019】
別の実施形態に係る積層鉄心は、電磁鋼板の積層体と、結晶質のマグネタイトを含有し、積層体の側面を覆う粒状の酸化物と、を備え、粒状の酸化物で覆われる側面のXRD測定で2θが41~42°及び38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをそれぞれH1及びH2としたときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である。このような積層体の側面は、結晶質のヘマタイトと結晶質のマグネタイトの合計に対するマグネタイトの割合が高い粒状の酸化物で覆われている。このような積層体の側面は高い撥水性を有する。高い撥水性を有することによって、積層体の積層方向に隣り合う電磁鋼板の隙間に水が浸入することを抑制できる。したがって、電磁鋼板の内部に赤錆が発生することを十分に抑制できる。
【0020】
上記各実施形態において、積層体の側面を覆う粒状の酸化物は0.3μm以上の粒径を有する粒子を含んでよい。このような酸化物粒子は高い結晶性を有することから、側面の撥水性を一層向上することができる。撥水性をさらに高める観点から、上記粒径は、0.4μm以上であってよく、0.5μm以上であってよい。上記粒径の上限は、側面への付着強度を高くする観点から3μmであってよく、2μmであってもよい。酸化物粒子の粒径は、積層体の側面を拡大して示すSEM画像において、一つの粒子の外縁上の最も離れた二点間の距離として測定することができる。
【0021】
上記各実施形態において、積層体の側面が粒状の酸化物を含む酸化膜に覆われていてよい。これによって、積層体の側面及び内部における赤錆の発生をより一層抑制することができる。粒状の酸化物を含む酸化膜の厚みは0.1~2μmであってよい。この厚みは、積層体の積層方向に沿って切断して得られる切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、撮影したSEM写真において側面に直交する方向の長さとして測定することができる。酸化膜の厚みの下限は、0.1μmであってよく、0.2μmであってよく、0.3μmであってもよい。これによって、積層体の側面の耐食性を十分に高くすることができる。一方、酸化膜の厚みの上限は、2μmであってよく、1μmであってもよい。これによって、酸化膜のはく離を十分に抑制することができる。酸化膜のはく離を抑制する観点から、酸化膜は空洞を有しないことが好ましい。
【0022】
上記各実施形態において、積層体の側面を覆う粒状の酸化物は結晶質のヘマタイトを含有しなくてよい。これによって、積層体の側面に撥水性を十分に高くすることができる。なお、ヘマタイトの有無は上述のXRD測定による回折ピークの有無で判定することができる。粒状の酸化物は、粒状の酸化鉄であってもよい。積層体の側面を覆う粒状の酸化物は、結晶質及び非晶質のヘマタイトを含有しなくてもよい。すなわち、ヘマタイトを全く含有しなくてもよい。
【0023】
上記各実施形態において、積層体を構成する電磁鋼板は打ち抜き鋼板を含んでよい。打ち抜き鋼板の側面は、せん断加工によって原子配列に乱れが生じている。このため、ブルーイング処理によって、積層体の側面に粒状の酸化物を円滑に形成することができる。したがって、積層鉄心の耐食性を向上することができる。
【0024】
上記各実施形態において、打ち抜き鋼板同士は、カシメによって互いに締結されていてよい。カシメによって互いに締結される一対の打ち抜き鋼板の間には、接着剤によって接着される一対の打ち抜き鋼板の間よりも、隙間が生じやすい。このため、水が侵入し易く、積層体の内部で赤錆が発生し易い。本実施形態では、積層体の側面の撥水性が十分に高いことから、カシメによって締結されていても、水の侵入を十分に低減し、内部に赤錆が発生することを十分に抑制することができる。
【0025】
一実施形態に係る積層鉄心の製造方法は、酸素を含む雰囲気を有するブルーイング炉において、水蒸気を導入しながら電磁鋼板の積層体を加熱して積層体の側面を酸化することを含み、ブルーイング炉では、酸素濃度が500ppm未満、加熱温度が400~600℃、及び、加熱温度における加熱時間が10分間以上の条件(ブルーイング処理条件)で積層体を加熱して、積層体の側面にマグネタイトを含有する粒状の酸化物を生成させる。
【0026】
結晶質のマグネタイトの生成を促進する観点、及び、ヘマタイトの生成を抑える観点から、上記ブルーイング処理条件における酸素濃度は200ppm以下であってよく、50ppm以下であってよく、30ppm以下であってよい。本明細書における酸素濃度は、市販の酸素濃度計によって測定される、標準状態(温度:298.15K、圧力:105Pa)における体積基準の濃度である。上記ブルーイング処理条件における酸素濃度の下限は、粒状の酸化物の生成を促進する観点から、5ppmであってよい。
【0027】
結晶質のマグネタイトの生成を促進する観点、及び、積層体の表面に設けられる絶縁皮膜のダメージを低減する観点から、上記ブルーイング処理条件における加熱温度の上限は580℃であってよい。ブルーイング工程の時間短縮の観点から、上記ブルーイング処理条件における加熱温度の下限は450℃であってよく、500℃であってもよい。
【0028】
積層体の表面に設けられる絶縁皮膜のダメージを低減する観点、及びブルーイング工程の時間短縮の観点から、上記加熱温度における加熱時間は、10時間以下であってよく、5時間以下であってもよい。結晶質のマグネタイトの生成を促進する観点から、上記加熱温度における加熱時間は、30分間以上であってよく、1時間以上であってもよい。
【0029】
上記ブルーイング炉(ブルーイング処理条件)の露点は10℃以上であってよい。この露点は、ブルーイング炉に導入する水蒸気の流量を変えることで調整することができる。水蒸気を加えて露点を高くすることによって、積層体の側面における酸化物(酸化膜)の生成を促進して側面における赤錆の発生を抑制することができる。上記露点は、積層鉄心における積層体の側面における酸化物(酸化膜)の生成を促進して赤錆の発生を十分に抑制する観点から、20℃以上であってよく、40℃以上であってもよい。露点の上限も、同様の観点から、100℃であってよく、80℃であってもよい。
【0030】
図1は、上記各実施形態の積層鉄心の一例を示している。積層鉄心10は、固定子積層鉄心であり、円筒形状を呈している。積層鉄心10の中央部分には、中心軸Axに沿って延びる貫通孔10aが設けられている。貫通孔10a内には、図示しない回転子鉄心(ロータ)を配置することができる。積層鉄心10は、回転子鉄心と共に電動機(モータ)を構成してよい。
【0031】
積層鉄心10は、互いに同じ形状を有する複数の電磁鋼板Wが積み重ねられた積層体10Aを備える。ヨーク部12及びティース部13にはそれぞれカシメ部12a及びカシメ部13aが設けられている。カシメ部12a及びカシメ部13aは、複数の電磁鋼板Wのうち隣り合う2つの電磁鋼板W同士を互いに締結する。積層体10Aは、環状のヨーク部12とヨーク部12の内側にティース部13を有する。
【0032】
ヨーク部12は、円環状を呈しており、中心軸Axを囲むように延びている。ヨーク部12の径方向における幅、内径、外径及び厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定してよい。ティース部13は、ヨーク部12の内縁から中心軸Ax側に向かうようにヨーク部12の径方向に沿って延びている。積層体10Aにおいては、12個のティース部13がヨーク部12と一体的に形成されている。各ティース部13は、ヨーク部12の周方向において、等間隔で並んでいる。隣り合うティース部13の間には、巻線(図示せず)を配置するための空間であるスロット14が画定されている。
【0033】
積層体10Aは側面20として、外側面21(外周面)と、内側面とを有する。内側面は、スロット14を確定する内壁面23と、ティース部13の先端において回転子鉄心に対向する対向面22とを有する。外側面21、内側面(対向面22、内壁面23)のいずれもが、結晶質のマグネタイトを含有する粒状の酸化物で覆われている。端面15及び隣り合う電磁鋼板Wの対向面は、有機物と無機物を含む絶縁皮膜で覆われていてよい。
【0034】
図2は、積層体10Aを積層方向に沿って切断したときの断面構造を模式的に示す断面図である。
図2では、符号の向きに示されるように、側面20を上向きにした状態を示している。積層体10Aは、n枚の電磁鋼板W1,W2・・・Wnが積層されて構成される。隣り合う電磁鋼板W1,W2同士は、
図1に示すカシメ部12a,13aによって締結される。積層体10Aの側面20は、結晶質のマグネタイトを含有する酸化物で構成される酸化膜30で覆われている。撥水性の高い酸化膜30を有することによって、側面20における水の接触面積を小さくすることができる。また、水が酸化膜30を浸透して隣接する電磁鋼板の間に侵入することを抑制できる。酸化膜30は、300nm以上の粒径を有する酸化物粒子31を含んでいてよい。酸化物粒子31は酸化鉄粒子であってもよい。
【0035】
酸化膜30の膜厚は、
図2に示すような断面を示すSEM写真において、電磁鋼板Wの積層方向に直交する方向Xに沿って計測される。方向Xに沿って測定される酸化膜30の厚み(膜厚)の範囲は上述したとおりである。接触角yは、
図2に示すように、側面20を覆う酸化物粒子31の上に水滴50を滴下して測定することができる。
【0036】
図3は、積層体の側面20の上に滴下された水滴50の接触角yを示す図である。接触角yの範囲は上述したとおりである。接触角yは、次のようにして測定する。測定環境及び水の温度を25℃とする。シリンジで50μlの水を採取する。側面20が上向きになるように積層鉄心を固定し、シリンジから側面20に対して水滴を滴下する。このとき、側面20からシリンジの先端の高さを10mmとする。側面20における酸化膜30の表面上に滴下された水滴の接触角の経時変化を測定する。測定には、マイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ VHX-5000(装置名)を用いることができる。
【0037】
図4は、粒状の酸化物で覆われる側面20のX線回折(XRD)測定結果の例を示す図である。
図4のチャート(A)では、どちらも、2θが41~42°の範囲内にピークP1と、2θが38~39°の範囲内にピークP2が示されている。ピークP1の高さH1は、41~42°の範囲内に複数のピークが含まれる場合、最大高さとして求められる。ピークP2の高さH2も、38~39°の範囲内に複数のピークが含まれる場合、最大高さとして求められる。
図4のチャート(A)及びチャート(B)を比べると、ピークP2の高さH2に対するピークP1の高さH1は、チャート(A)の方が大きくなっている。したがって、チャート(A)の側面を覆う粒状の酸化物の方が、結晶質のマグネタイトの割合が高くなっている。なお、高さH1,H2は、ともに、ベースラインを基準とする高さである。
【0038】
図5は、積層鉄心10の製造方法の一例を示している。積層鉄心10の製造方法では、まず、電磁鋼板(鉄心片)の積層体10Aを準備する。積層体10Aは、公知の方法で製造することができる。例えば、電磁鋼板の母材を、プレス機で打ち抜いて複数の電磁鋼板(鉄心片)を得る。これらを積層し、カシメ加工等によって隣り合う電磁鋼板(鉄心片)を締結する。
【0039】
搬送治具75の上に積層体10Aを複数並べ、焼鈍設備70内に搬送する。焼鈍設備70には、上流から下流に向かって、バーンオフ工程を行う脱油炉71、アニール工程を行う焼鈍炉72、及び、ブルーイング工程を行うブルーイング炉73がこの順に並んでいる。バーンオフ工程では、例えば、窒素などの不活性ガス雰囲気中で積層体10Aを加熱して、電磁鋼板に付着する打ち抜き油を揮発させる。アニール工程では、窒素などの不活性ガス雰囲気中で積層体10Aを加熱して焼きなます。これによって、鉄損を回復させる。
【0040】
ブルーイング工程では、焼きなまされた積層体10Aを、酸素及び水を含有する雰囲気中で加熱する。ブルーイング炉73の運転条件(ブルーイング処理条件)は、上述したとおりである。ブルーイング工程において、積層体10Aの側面20に、結晶質のマグネタイトを含有する酸化物粒子31が形成される。このようにして、側面20が粒状の酸化物で覆われる。これによって、水滴を滴下して20分間経過したときの水滴の接触角yが80°以上である積層鉄心10を得ることができる。また、粒状の酸化物で覆われる側面20のXRDを測定したときに、2θが41~42°の範囲内に検知されるピークの高さをH1、及び、2θが38~39°の範囲内に検知されるピークの高さをH2としたときに、H1/(H1+H2)が0.8以上である積層鉄心10を得ることができる。このような積層鉄心10は、側面のみならず内部における赤錆の発生を十分に抑制されている。
【0041】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、積層鉄心の形状及び構造は
図1のものに限定されない。すなわち、積層体10A、ヨーク部12及びティース部13の構造及び形状は一例である。積層体は、例えば、それぞれ1つのヨークと、1つのティースを有する部材を、周方向に沿って連結することによって形成されてもよい。また、ヨーク部12及びティース部13の一方のみがカシメ部を有していてもよい。
【実施例0042】
実施例及び比較例を参照して本開示の内容をより詳細に説明するが、本開示は下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
[積層鉄心の製造]
(実施例1)
電磁鋼板(打ち抜き鋼板:厚み:0.25mm)が約50枚積層された積層体を準備した。この積層体において上下に隣り合う電磁鋼板同士は、カシメによって互いに締結されていた。
図5に示すような焼鈍設備に、この積層体を導入して、バーンオフ工程、アニール工程及びブルーイング工程を順次行った。ブルーイング工程では、所定の酸素濃度及び露点となるように、不活性ガスとともに、水蒸気及び空気を導入した。ブルーイング工程は、ブルーイング炉における加熱温度、酸素濃度及び露点を、それぞれ、温度計、酸素濃度計及び露点計で監視しながら行った。ブルーイング工程における処理条件(加熱温度、加熱時間、雰囲気中の酸素濃度及び露点)は表2に示すとおりとした。このようにして、固定子積層鉄心を製造した。
【0044】
(実施例2~4)
ブルーイング工程における加熱時間を表2に示すとおりに変えたこと以外は、実施例1と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0045】
(実施例5)
ブルーイング工程における加熱温度を表3に示すとおりに変えたこと以外は、実施例2と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0046】
(実施例6)
ブルーイング工程における加熱温度を表3に示すとおりに変えたこと以外は、実施例3と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0047】
(比較例1)
ブルーイング工程における加熱時間及び酸素濃度を表3に示すとおりに変えたこと以外は、実施例5と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0048】
(比較例2)
ブルーイング工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0049】
(実施例7)
ブルーイング工程における露点を表4に示すとおりに変えたこと以外は、実施例1と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。露点の調整は、ブルーイング炉に導入する水蒸気の量を変えることによって行った。
【0050】
(実施例8)
ブルーイング工程における露点を表4に示すとおりに変えたこと以外は、実施例2と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。露点の調整は、ブルーイング炉に導入する水蒸気の量を変えることによって行った。
【0051】
(比較例3)
焼鈍設備で加熱を行わなかったこと以外は、実施例1と同じ手順で固定子積層鉄心を製造した。
【0052】
[積層鉄心の評価]
<XRD測定>
各実施例及び各比較例で製造した積層鉄心の側面のXRD測定を行った。XRD測定には、X線回折装置(BRUKER製、装置名:D8 DISCOVER、CuKα)を用いた。測定条件は、以下のとおりとした。
測定範囲(2θ):22°~47°
測定時間:600秒
管球:Co管球
測定径:φ0.5mm
【0053】
2θが41~42°の範囲内に検知されるピークP1の高さH1と、2θが38~39°の範囲内に検知されるピークP2の高さH2とをそれぞれ求めた。ピークP2がベースライン付近のノイズに埋もれて検知できない場合は、H2=0とした。求めた高さH1とH2とから、H1/(H1+H2)の値を算出した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0054】
表1に示すとおり、実施例1~8では、いずれも積層体の側面に結晶質のマグネタイトを含む酸化物が生成していることが確認できた。一方、雰囲気中の酸素濃度が高い比較例1では、結晶質のマグネタイトの他に、結晶質のヘマタイトが生成していることが確認された。比較例2では、結晶質のマグネタイト及び結晶質のヘマタイトの存在を示す明確なピークは検知されず、H1もH2も0であった。焼鈍設備での加熱を行わなかった比較例3も、比較例2と同様に結晶質のマグネタイト及び結晶質のヘマタイトが存在しないと考えられる。
【0055】
【0056】
<接触角の測定>
各実施例及び各比較例で製造した積層鉄心を、積層体の側面の一部が上方を向くようにクランプで固定した。25℃の環境下で、積層体の側面のうち、上方を向いている部分に、シリンジで50μlの水(25℃)を滴下した。このとき、側面からシリンジの先端の高さは10mmであった。側面に滴下した水滴の接触角y(
図3)の経時変化を測定した。測定には、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のデジタルマイクロスコープ VHX-5000(装置名))を用いた。水滴を滴下してからの経過時間と接触角のデータは、表2、表3及び表4に示すとおりであった。
図6、
図7及び
図8にも経過時間と接触角yの関係を示す。
【0057】
表2、表3及び表4、並びに、
図6、
図7及び
図8に示すとおり、各実施例の積層鉄心における積層体の側面は、各比較例よりも接触角yが大きく高い撥水性を示した。ブルーイング工程の加熱温度が高いほど、接触角yが大きく撥水性が高い傾向にあった。一方、酸素濃度が高い比較例1は、各実施例よりも接触角yが小さく撥水性が低かった。このように撥水性が低い要因として、ヘマタイトが生成していたことが挙げられる。
【0058】
<錆加速試験>
各実施例及び各比較例の固定子積層鉄心を積層方向に沿ってカットしてサンプルを得た。このサンプルを恒温恒湿槽(温度:50℃,湿度:90%RH)に入れた。恒温恒湿槽に入れる前のサンプルの温度は25℃であったため、恒温恒湿槽に入れると結露が発生し、これによってサンプルに錆が発生し易い状態となった。恒温恒湿槽に入れてから24時間経過後、恒温恒湿槽からサンプルを取り出して、積層体の側面の外観検査を行った。
【0059】
図9には、実施例2~6の側面のマイクロスコープの写真を示した。この
図9に示されるように、450℃よりも550℃の方が側面に生じる赤錆を低減できることが確認された。また、加熱時間が長い方が、側面の赤錆の発生面積を低減できることが確認された。
【0060】
各実施例及び各比較例のサンプル(積層体)の側面及び内部における赤錆の発生量を、以下の基準で評価した。なお、積層体の内部は、積層体を分解し積層体の内部に含まれていた電磁鋼板を一枚サンプリングし、その表面(主面)における赤錆の発生量を評価した。
【0061】
A:赤錆はほぼ発生していなかった。
B:実施例2よりも赤錆の発生面積が小さく、少量の赤錆が発生していた。
C:赤錆の発生面積が実施例2と同等であり、比較例2よりも、赤錆の発生、面積は明らかに小さかった。
D:赤錆の発生面積は実施例2よりも大きく、比較例2よりも小さかった。
E:赤錆の発生面積は、比較例2と同等であった。
【0062】
表2、表3及び表4に示すとおり、実施例1~8の積層体の側面における赤錆の発生面積は、いずれも比較例2,3よりも小さくなっていた。そして、実施例1~8の積層体の内部、すなわち電磁鋼板の主面も、側面と同様に、比較例2,3よりも赤錆の発生面積が小さくなっていた。比較例1の積層体の側面には、赤錆はほぼ発生していなかったものの、積層体の内部には多くの赤錆が発生していた。これは、側面を覆う酸化物がヘマタイトを含んでおり、撥水性が低いために、積層鉄心の内部に大量の水分が侵入したことによるものと考えられる。
【0063】
このように、実施例1~8では、積層鉄心における積層体の内部における赤錆の発生を、比較例1~3よりも抑制できることが確認された。また、表4に示すとおり、露点を高くしても、側面及び内部の赤錆の発生を抑制できることが確認された。露点以外は条件が同じである実施例1と実施例7、及び、実施例2と実施例8とを比べると、接触角yはあまり大きく変わらなかった。
【0064】
<側面及び断面のSEM観察>
実施例1~8及び比較例1,2の固定子積層鉄心における積層体の側面及び断面のSEM観察を行った。なお、一部の実施例及び比較例のSEM観察は、断面のみSEM観察を行った。断面観察は、積層体の積層方向に沿って切断した後、切断したサンプルの外周面付近にて行った。
図10に、実施例2,3,4の側面のSEM写真(2万倍)と、断面のSEM写真(3万倍)をそれぞれ示す。
図11及び
図12に、実施例5,7のSEM写真を、
図12に比較例1,2のSEM写真をそれぞれ示す。
図10、
図11及び
図12には、側面のマイクロスコープによる写真も併せて示している。
【0065】
各実施例及び各比較例の側面のSEM写真に基づいて、側面に付着する酸化物の粒子の粒径を測定した。撮影したSEM写真において最も大きい酸化物の粒子の粒径は、表2、表3及び表4に示すとおりであった。加熱温度が高いほど、また、加熱時間が長いほど、粒子の粒径が大きくなる傾向にあった。なお、各表中「-」は未測定を示す。
【0066】
各実施例及び各比較例の側面の断面のSEM写真に基づいて、積層鉄心の積層体の側面において酸化物が膜状に形成されているか否かを判定した。膜状に形成されている場合、すなわち酸化膜が形成されている場合、SEM写真に基づいてその厚み(膜厚)の測定を行った。膜厚を測定した実施例及び比較例については、測定結果を表2、表3及び表4に示した。測定していない実施例については空欄とした。側面に酸化物粒子が点在しており、酸化物が膜状に形成されていない場合、酸化膜は「無し」と評価した。
【0067】
結果は表2、表3及び表4の下部に示すとおりであった。表2、表3及び表4に示すとおり、実施例1~8では、積層体の側面の全体が酸化膜で覆われていた。これらの錆加速試験の「内部」の評価結果は、「A」,「B」又は「C」であり、積層鉄心を構成する電磁鋼板の主面において赤錆の発生が十分に抑制されていた。このことは、マグネタイトを含む酸化膜が、内部の赤錆の発生抑制に効果的に作用したことを示している。比較例1の積層体の側面の全体も酸化膜で覆われていたものの、酸化膜の中に空洞が生じている箇所があった。そして、錆加速試験の「内部」の評価結果は、「D」であった。
【0068】
【0069】
【0070】
10…積層鉄心、10A…積層体、10a…貫通孔、12…ヨーク部、13…ティース部、12a,13a…カシメ部、14…スロット、15…端面、20…側面、21…外側面、22…対向面、23…内壁面、30…酸化膜、31…酸化物粒子、50…水滴、70…焼鈍設備、71…脱油炉、72…焼鈍炉、73…ブルーイング炉、75…搬送治具、Ax…中心軸、W…電磁鋼板。