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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063684
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】エレベータ綱車用ブレーキの検査方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173649
(22)【出願日】2021-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深本 道成
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA13
3F304EA29
(57)【要約】
【課題】 ブレーキの最大静止回転トルクを正確に測定することができるエレベータ綱車用ブレーキの検査方法を提供する。
【解決手段】 エレベータ綱車用ブレーキの検査方法は、エレベータの綱車を制動するブレーキを検査する、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法であって、綱車に巻き掛けられるかごロープの張力を排除する張力排除工程と、ブレーキを動作させつつ、綱車に回転方向への力を加える加力工程と、回転方向への力の大きさを出力する出力工程と、を含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの綱車を制動するブレーキを検査する、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法であって、
前記綱車に巻き掛けられるかごロープの張力を排除する張力排除工程と、
前記ブレーキを動作させつつ、前記綱車に回転方向への力を加える加力工程と、
前記回転方向への力の大きさを出力する出力工程と、を含む、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法。
【請求項2】
力を測定する測定計を前記綱車に接続する接続工程をさらに含み、
前記加力工程において、前記測定計を介して、前記綱車に回転方向への力を加え、
前記出力工程において、前記測定計で測定する力を出力する、請求項1に記載のエレベータ綱車用ブレーキの検査方法。
【請求項3】
前記接続工程において、固定材を前記綱車に固定し、前記固定材に前記測定計を接続し、
前記固定材は、前記綱車の直径方向に沿って延びるように、前記綱車に固定される棒状体である、請求項2に記載のエレベータ綱車用ブレーキの検査方法。
【請求項4】
前記測定計は、引っ張り力を測定し、
前記接続工程において、前記固定材が水平方向に沿って延びるように、前記固定材を配置し、
前記加力工程において、前記測定計を介して、前記固定材に上方向への引っ張り力を加える、請求項3に記載のエレベータ綱車用ブレーキの検査方法。
【請求項5】
前記エレベータは、
前記かごロープに接続されるかごと、
前記かごをガイドするかごレールと、
前記かごを前記かごレールに停止させる停止装置と、を備え、
前記張力排除工程において、前記停止装置によって前記かごを前記かごレールに停止させる、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ綱車用ブレーキの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、かごと、釣合錘と、かごと釣合錘とを接続するかごロープと、かごロープに巻き掛けられる綱車と、綱車を制動するブレーキとを備えている。そして、ブレーキの検査方法は、例えば、張力を有するかごロープが綱車に巻き掛けられた状態で、ブレーキの制動力を測定している(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1に係るブレーキの検査方法においては、張力を有するかごロープが綱車に巻き掛けられているため、綱車に加えられる回転トルクを正確に把握することができない。しかも、ブレーキを徐々に開放することによって、ブレーキの摩擦力が演算されているため、ブレーキで制動可能な綱車の最大回転トルク、即ち、ブレーキの最大静止回転トルクを正確に測定することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-127261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、ブレーキの最大静止回転トルクを正確に測定することができるエレベータ綱車用ブレーキの検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータ綱車用ブレーキの検査方法は、エレベータの綱車を制動するブレーキを検査する、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法であって、前記綱車に巻き掛けられるかごロープの張力を排除する張力排除工程と、前記ブレーキを動作させつつ、前記綱車に回転方向への力を加える加力工程と、前記回転方向への力の大きさを出力する出力工程と、を含む。
【0007】
また、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法は、力を測定する測定計を前記綱車に接続する接続工程をさらに含み、前記加力工程において、前記測定計を介して、前記綱車に回転方向への力を加え、前記出力工程において、前記測定計で測定する力を出力する、という方法でもよい。
【0008】
また、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法は、前記接続工程において、固定材を前記綱車に固定し、前記固定材に前記測定計を接続し、前記固定材は、前記綱車の直径方向に沿って延びるように、前記綱車に固定される棒状体である、という方法でもよい。
【0009】
また、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法においては、前記測定計は、引っ張り力を測定し、前記接続工程において、前記固定材が水平方向に沿って延びるように、前記固定材を配置し、前記加力工程において、前記測定計を介して、前記固定材に上方向への引っ張り力を加える、という方法でもよい。
【0010】
また、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法においては、前記エレベータは、前記かごロープに接続されるかごと、前記かごをガイドするかごレールと、前記かごを前記かごレールに停止させる停止装置と、を備え、前記張力排除工程において、前記停止装置によって前記かごを前記かごレールに停止させる、という方法でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、エレベータの概要図である。
図2図2は、停止装置の概要図である。
図3図3は、巻上装置の正面図である。
図4図4は、同巻上装置の側面図である。
図5図5は、一実施形態に係るブレーキの検査方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法における一実施形態について、図1図5を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0013】
まず、エレベータ綱車用ブレーキの検査方法を説明することに先立って、検査対象のブレーキを備えるエレベータについて、図1図4を参照しながら説明する。なお、エレベータの構成は、以下の構成に限定されない。
【0014】
図1に示すように、エレベータ10は、例えば、人が乗るためのかご11と、かご11に接続されるかごロープ12と、かごロープ12に接続される釣合錘13と、かごロープ12を駆動してかご11を走行させる巻上装置20と、エレベータ10の各部を制御する制御装置14とを備えていてもよい。
【0015】
図1に係るエレベータ10においては、巻上装置20は、昇降路X1の上部に設けられる機械室X2の内部に配置されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置20は、昇降路X1の内部に配置されている、という構成でもよい。
【0016】
また、図1においては、かごロープ12の一端がかご11に固定され、かごロープ12の他端が釣合錘13に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ12の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ12がかご11のシーブ及び釣合錘13のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ12がかご11及び釣合錘13にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0017】
また、エレベータ10は、例えば、図1に示すように、かご11を案内するかごレール15,15と、釣合錘13を案内する錘レール16,16と、かご11の走行速度を検出する調速機17と、かごレール15,15にかご11を停止させる停止装置18とを備えていてもよい。
【0018】
調速機17は、例えば、図1に示すように、かご11に接続される無端環状のガバナロープ17aと、かご11の速度を検出するために、ガバナロープ17aが巻き掛けられるガバナ車17bと、ガバナロープ17aに張力を付与するために、ガバナロープ17aに吊り下げられる張り車17cと、ガバナロープ17aを把持する把持部17dとを備えていてもよい。これにより、調速機17は、ガバナ車17bの回転速度に基づいて、かご11の走行速度を検出する。
【0019】
停止装置18は、例えば、図1及び図2に示すように、かご11に固定される固定子18aと、固定子18aに対して可動な可動子18bと、可動子18bを動作させる動作部18cとを備えていてもよい。可動子18bは、例えば、固定子18aと接触することによって固定子18aと協働してかご11をかごレール15に停止させる停止位置と、停止位置よりも下方の待機位置との間で、固定子18aに対して可動であってもよい。
【0020】
特に限定されないが、可動子18bは、例えば、図2に示すように、楔状に形成されていてもよい。なお、可動子18bは、図2に示すように、かごレール15の一方側に配置されている、という構成だけでなく、例えば、かごレール15を挟むように両側に配置されている、という構成でもよい。そして、例えば、可動子18bが停止位置に位置するときに、可動子18bが、固定子18aと協働してかごレール15に加圧して接触することによって、かご11は、かごレール15に停止する、という構成でもよい。
【0021】
また、例えば、図2に示すように、動作部18cは、かご11に回転可能に接続される回転体18dを備え、回転体18dは、ガバナロープ17a及び可動子18bに接続されている、という構成でもよい。そして、例えば、かご11の速度が設定速度を超えた場合に、把持部17d(図1参照)がガバナロープ17aを把持し、ガバナロープ17aの走行が停止し且つかご11が下方へ移動することによって、停止装置18が作動する、即ち、可動子18bが停止位置へ移動する、という構成でもよい。
【0022】
巻上装置20は、例えば、図3及び図4に示すように、かごロープ12が巻き掛けられる綱車21と、綱車21と一体的に回転するディスク22と、綱車21を制動するために、ディスク22に加圧して接触するブレーキ23と、昇降路X1に固定される本体部24と、綱車21を回転させる駆動源(例えば、内部モータ)25とを備えていてもよい。なお、綱車21の回転中心21aは、例えば、第1横方向D1視において、ディスク22の回転中心と同じになっていてもよい。
【0023】
ブレーキ23は、例えば、綱車21及びディスク22の回転軸方向である第1横方向D1でディスク22を挟むことによって、ディスク22に加圧して接触する、という構成でもよい。なお、ブレーキ23は、例えば、ディスク22の外周面に加圧して接触する、という構成でもよい。また、ブレーキ23の個数は、特に限定されないが、例えば、図3及び図4においては、三つとしている。
【0024】
ディスク22の外径は、例えば、綱車21の外径よりも大きくなっており、円環状で且つ板状に形成されていてもよい。そして、ディスク22は、例えば、ブレーキ23に加圧して接触される一対のブレーキ面を備えていてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係るブレーキ23の検査方法について、図5を参照しながら説明する。なお、ブレーキ23の検査方法は、以下の方法に限定されない。
【0026】
<張力排除工程>
まず、かごロープ12の張力が排除されてもよい。例えば、把持部17dでガバナロープ17aを把持させることによって、かご11は、停止装置18(図1及び図2参照)によって、かごレール15に停止されてもよく、そして、釣合錘13は、例えば、吊上装置(図示していない。例えば、チェーンブロック。)によって吊り上げられてもよく、また、例えば、持上装置(図示していない。例えば、ジャッキ。)によって持ち上げられてもよい。
【0027】
これにより、綱車21に加えられる力から、測定できない力(具体的には、かごロープ12からの力)を排除することができる。しかも、エレベータ10の既存装置である停止装置18によって、かご11がかごレール15に停止されるため、かごロープ12の張力を排除させる作業を容易に行うことができる。
【0028】
<接続工程>
そして、図5に示すように、例えば、固定材1は、綱車21に固定されてもよく、測定計2は、固定材1に接続されてもよく、加力装置3は、測定計2に接続されてもよい。なお、接続工程は、例えば、張力排除工程よりも後でもよく、また、例えば、張力排除工程よりも前でもよく、また、例えば、張力排除工程と同時進行でもよい。
【0029】
固定材1は、例えば、本実施形態のように、棒状体としてもよい。例えば、本実施形態のように、綱車21に固定される固定材1は、綱車21の直径方向に沿って延びていてもよい。具体的には、固定材1は、第1横方向D1視において、綱車21の回転中心21aと重なっていてもよい。そして、綱車21を回転することによって、固定材1は、例えば、水平方向に沿って延びるように、配置されていてもよい。
【0030】
なお、特に限定されないが、固定材1は、例えば、弾性変形をしないような剛性を有する材質(例えば、金属)で形成されていてもよい。また、限定されないが、固体材1は、例えば、綱車21の雌ネジと螺合するボルト4によって、綱車21に固定されていてもよい。
【0031】
測定計2は、例えば、本実施形態のように、引っ張り力を測定してもよい。特に限定されないが、測定計2は、例えば、ばね式吊り測りとすることができる。なお、測定計2は、測定した力を、例えば、デジタル表示してもよく、また、例えば、アナログ表示(例えば、針)してもよく、また、例えば、外部装置(例えば、別の表示装置)へ向けて出力(送信)してもよい。
【0032】
そして、例えば、本実施形態のように、固定材1は、綱車21よりも外方の位置に、測定計2に接続される接続部1aを備え、測定計2は、固定材1の接続部1aに接続されることによって、固定材1を介して綱車21に接続されている、という構成でもよい。これにより、綱車21の回転中心21aと接続部1aとの距離は、綱車21の回転中心21aとブレーキ23との距離よりも、大きくなっている。
【0033】
したがって、例えば、固定材1に加える力の変化が小さくても、綱車21に加える回転トルクの変化を大きくすることができる。また、例えば、綱車21の回転量が、接続部1aの移動量へと、大きな量へ変換されるため、綱車21の回転が開始したことを容易に認識することができる。
【0034】
<加力工程>
そして、例えば、ブレーキ23が動作した状態で、加力装置3によって綱車21に回転方向への力が加えられてもよい。なお、特に限定されないが、ブレーキ23は、例えば、一つのみを動作させていてもよく、また、例えば、複数のうち、一部(例えば、二つ)を動作させていてもよく、また、例えば、複数のうち、全部(例えば、三つ)を動作させていてもよい。
【0035】
加力装置3は、例えば、本実施形態のように、昇降路X1に取り付けられた吊上装置(例えば、チェーンブロック)としてもよい。これにより、測定計2が加力装置3によって上方向へ引っ張られることによって、測定計2に上方向への力が加えられるため、測定計2を介して、固定材1に上方向への引っ張り力が加えられる。したがって、測定計2を介して、綱車21の直径方向と直交する方向へ、固定材1に力が加えられることになる。
【0036】
<出力工程>
そして、測定計2は、例えば、測定した力、即ち、加力装置3によって引っ張られた力を出力してもよい。これにより、測定計2を介して、綱車21の直径方向と直交する方向へ、固定材1に力が加えられているため、測定計2で測定される力は、綱車21の回転方向への力(具体的には、回転方向に対する接線方向への力)となる。したがって、測定計2で測定した力に基づいて、綱車21に加えられる回転トルクを正確に測定することができる。
【0037】
そして、加力装置3によって綱車21に加える力が、徐々に大きくされることによって、ブレーキ23よる制動に反して、綱車21の回転が開始する。これにより、綱車21の回転が開始したときに測定計2が測定した値に基づいて、ブレーキ23の最大静止回転トルクを正確に測定することができる。
【0038】
なお、例えば、かご11が乗場に停止し、ブレーキ23が動作したときに、ブレーキ23による静止摩擦力が設定値よりも大きい必要がある。そこで、測定したブレーキ23の最大静止回転トルクに基づいて、ブレーキ23の最大静止摩擦力を算出し、ブレーキ23の適合性を点検してもよい。
【0039】
また、例えば、扉が開放された状態で、かご11が移動したときに、ブレーキ23が動作することによって、かご11の移動距離を設定距離以下にするために、ブレーキ23による動摩擦力が設定値よりも大きい必要がある。そこで、ブレーキ23の動摩擦力と最大静止摩擦力との間に一定の関係が存在するため、当該関係と算出したブレーキ23の最大静止回転トルクとに基づいて、ブレーキ23の動摩擦力を算出し、ブレーキ23の適合性を点検してもよい。
【0040】
以上より、本実施形態のように、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法は、エレベータ10の綱車21を制動するブレーキ23を検査する、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法であって、前記綱車21に巻き掛けられるかごロープ12の張力を排除する張力排除工程と、前記ブレーキ23を動作させつつ、前記綱車21に回転方向への力を加える加力工程と、前記回転方向への力の大きさを出力する出力工程と、を含む、という方法が好ましい。
【0041】
斯かる方法によれば、綱車21に巻き掛けられるかごロープ12の張力が排除された後に、ブレーキ23が動作した状態で、綱車21に回転方向への力が加えられる。そして、回転方向への力の大きさが出力されている。これにより、ブレーキ23が動作した状態で、綱車21に加えられる回転トルクを正確に測定することができる。したがって、綱車21の回転が開始したときの回転トルクに基づいて、ブレーキ23の最大静止回転トルクを正確に測定することができる。
【0042】
また、本実施形態のように、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法は、力を測定する測定計2を前記綱車21に接続する接続工程をさらに含み、前記加力工程において、前記測定計2を介して、前記綱車21に回転方向への力を加え、前記出力工程において、前記測定計2で測定する力を出力する、という方法が好ましい。
【0043】
斯かる方法によれば、測定計2が綱車21に接続され、測定計2を介して、綱車21に回転方向への力が加えられる。そして、測定計2で測定する力が出力されている。これにより、測定計2で測定された力に基づいて、綱車21に加えられる回転トルクを測定することができる。
【0044】
また、本実施形態のように、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法は、前記接続工程において、固定材1を前記綱車21に固定し、前記固定材1に前記測定計2を接続し、前記固定材1は、前記綱車21の直径方向に沿って延びるように、前記綱車21に固定される棒状体である、という方法が好ましい。
【0045】
斯かる方法によれば、固定材1は、綱車21の直径方向に沿って延びており、測定計2は、固定材1に接続されている。そして、測定計2を介して、綱車21の直径方向と直交する方向に、固定材1に力が加えられることによって、測定計2で測定される力は、綱車21の回転方向への力となる。これにより、測定計2で測定された力に基づいて、綱車21に加えられる回転トルクを正確に測定することができる。
【0046】
また、本実施形態のように、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法においては、前記測定計2は、引っ張り力を測定し、前記接続工程において、前記固定材1が水平方向に沿って延びるように、前記固定材1を配置し、前記加力工程において、前記測定計2を介して、前記固定材1に上方向への引っ張り力を加える、という方法が好ましい。
【0047】
斯かる方法によれば、固定材1が水平方向に沿って延びており、測定計2を介して、固定材1に上方向への引っ張り力が加えられる。これにより、測定計2で測定される引っ張り力は、綱車21の回転方向への力となる。したがって、測定計2で測定された力に基づいて、綱車21に加えられる回転トルクを容易に且つ正確に測定することができる。
【0048】
また、本実施形態のように、エレベータ綱車用ブレーキ23の検査方法においては、前記エレベータ10は、前記かごロープ12に接続されるかご11と、前記かご11をガイドするかごレール15と、前記かご11を前記かごレール15に停止させる停止装置18と、を備え、前記張力排除工程において、前記停止装置18によって前記かご11を前記かごレール15に停止させる、という方法が好ましい。
【0049】
斯かる方法によれば、停止装置18によって、かご11がかごレール15に停止されるため、かごロープ12の張力を排除させる作業を容易に行うことができる。これにより、ブレーキ23の最大静止回転トルクを測定する作業を容易に行うことができる。
【0050】
なお、ブレーキ23の検査方法は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ブレーキ23の検査方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0051】
(1)上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、測定計2を介して、綱車21に回転方向への力が加えられる、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、駆動源25は、綱車21に回転方向への力を加え、制御装置14は、モータである駆動源25の電流値を、出力する、という方法でもよい。これにより、駆動源25の電流値に基づいて、綱車21に加えられた回転方向への力を算出して測定することができる。
【0052】
(2)また、上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、測定計2が、綱車21に固定された固定材1に接続され、即ち、綱車21に間接的に接続され、測定計2及び固定材1を介して、綱車21に回転方向への力が加えられる、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、測定計2が、綱車21に直接的に接続され、測定計2を介して、綱車21に回転方向への力が加えられる、という方法でもよい。
【0053】
(3)また、上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、固定材1は、水平方向に沿って延びるように配置され、測定計2を介して、固定材1に上方向への力が加えられる、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、固定材1は、鉛直方向に沿って延びるように配置され、測定計2を介して、固定材1に水平方向への力が加えられる、という方法でもよい。
【0054】
(4)また、上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、測定計2が引っ張り力を測定し、測定計2が加力装置(吊上装置)3によって上方向へ引っ張られることによって、固定材1に上方向への力が加えられる、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、測定計2が押し力を測定し、加力装置3が持上装置(例えば、ジャッキ)であり、測定計2が加力装置3によって上方向へ押されることによって、固定材1に上方向への力が加えられる、という方法でもよい。
【0055】
(5)また、上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、張力排除工程において、かご11は、停止装置18によって、かごレール15に停止する、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、張力排除工程において、かご11は、例えば、吊上装置(例えば、チェーンブロック)によって吊り上げられる、という方法でもよく、また、例えば、持上装置(例えば、ジャッキ)によって持ち上げられる、という方法でもよい。
【0056】
(6)また、上記実施形態に係るブレーキ23の検査方法においては、ブレーキ23は、所謂、ディスク式ブレーキである、という方法である。しかしながら、ブレーキ23の検査方法は、斯かる方法に限られない。例えば、ブレーキ23は、所謂、ドラム式ブレーキやクラッチ式ブレーキ等でもよく、ブレーキ23の機構は、特に限定されない。
【0057】
(7)また、例えば、ブレーキ23の検査方法においては、測定計2は、測定した力のうち、最大値を出力可能(例えば、表示可能)である、という方法でもよい。これにより、綱車21の回転が開始するときに、測定計2で測定する力が最大となることが多いため、例えば、綱車21の回転が開始したときの測定計2の測定値を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…固定材、1a…接続部、2…測定計、3…加力装置、4…ボルト、10…エレベータ、11…かご、12…かごロープ、13…釣合錘、14…制御装置、15…かごレール、16…錘レール、17…調速機、17a…ガバナロープ、17b…ガバナ車、17c…張り車、17d…把持部、18…停止装置、18a…固定子、18b…可動子、18c…動作部、18d…回転体、20…巻上装置、21…綱車、21a…回転中心、22…ディスク、23…ブレーキ、24…本体部、25…駆動源、X1…昇降路、X2…機械室
図1
図2
図3
図4
図5