(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063687
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】作業機械およびブルドーザ
(51)【国際特許分類】
E02F 3/76 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
E02F3/76 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173653
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加美川 忍
(57)【要約】
【課題】良好な整地性を確保でき、かつブレードのアングル動作時においてもブレードと履帯装置との間の距離を十分に確保できる作業機械およびブルドーザを提供する。
【解決手段】左右1対の支持部材7a、7bの各々は、本体15と履帯装置20との間に配置され、本体15とブレード6とに接続される。1対の支持部材7a、7bの各々は、第1フレーム1と、第2フレーム2と、第1シリンダ3とを有する。第1フレーム1はブレード6に動作可能に支持され、第2フレーム2は第1フレーム1と本体15との各々に動作可能に支持されている。第1シリンダ3は本体15に対して第2フレーム2を動作させる。1対の支持部材7a、7bの各々の第1シリンダ3は互いに独立して駆動する。第1シリンダ3の駆動により第1フレーム1および第2フレーム2が前後方向に動作する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の前方に位置するブレードと、
前記本体を挟み込む1対の履帯装置と、
各々が前記本体と前記履帯装置との間に配置され、かつ前記本体と前記ブレードとに接続される1対の支持部材と、を備え、
前記1対の支持部材の各々は、
前記ブレードに動作可能に支持された第1フレームと、
前記第1フレームと前記本体との各々に動作可能に支持された第2フレームと、
前記本体に対して前記第2フレームを動作させる第1シリンダと、を有し、
前記1対の支持部材の各々の前記第1シリンダは互いに独立して駆動し、前記第1シリンダの駆動により前記第1フレームおよび前記第2フレームが前後方向に動作する、作業機械。
【請求項2】
前記1対の支持部材の各々は、前記第2フレームに対して前記第1フレームを動作させる第2シリンダをさらに有する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記1対の支持部材の各々の前記第2シリンダが互いに独立して駆動する、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記1対の支持部材の各々は、前記第1フレームに対して前記ブレードを動作させる第3シリンダをさらに有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記1対の支持部材の各々の前記第3シリンダが互いに独立して駆動する、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記第2フレームは前記第1フレームに接続された先端部を有し、
前記第1シリンダの伸長により前記第2フレームの前記先端部および前記ブレードが上下方向の下側へ移動する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の作業機械よりなる、ブルドーザ。
【請求項8】
本体と、
前記本体の前方に位置するブレードと、
前記本体を挟み込む1対の履帯装置と、
各々が前記本体と前記履帯装置との間に配置され、かつ前記本体と前記ブレードとに接続される1対の支持部材と、を備え、
前記1対の支持部材の各々は、
前記ブレードに動作可能に支持された第1フレームと、
前記第1フレームと前記本体との各々に動作可能に支持された第2フレームと、
前記本体に対して前記第2フレームを動作させる第1シリンダと、を有し、
前記第2フレームは前記第1フレームに接続された先端部を有し、
前記第1シリンダの伸長により前記第2フレームの前記先端部および前記ブレードが上下方向の下側へ移動する、ブルドーザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械およびブルドーザに関する。
【背景技術】
【0002】
インサイドフレームタイプのブルドーザが、たとえば特開2010-126932号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1に記載のブルドーザは、ブレードを駆動するための1対のアングルシリンダと、1対のリフトシリンダと、チルトシリンダとを有している。アングルシリンダおよびリフトシリンダは、車体フレームとトラックフレームとの間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型のブルドーザにおいて凹凸の大きい現場で良好な整地性を確保するためには、ブレードを履帯装置の近くに配置する方法が考えられる。しかし履帯装置の接地長さを増大させるとブルドーザの重量が増大し、ブルドーザのパワーを増大させる必要が生じる。
【0005】
またブレードを履帯装置の近くに配置すると、アングル動作時におけるブレードと履帯装置との間の隙間が小さくなり、アングル動作時にブレードが履帯装置に干渉する可能性が高くなる。
【0006】
本開示の目的は、良好な整地性を確保でき、かつブレードのアングル動作時においてもブレードと履帯装置との間の距離を十分に確保できる作業機械およびブルドーザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の作業機械は、本体と、ブレードと、1対の履帯装置と、1対の支持部材とを備える。ブレードは、本体の前方に位置する。1対の履帯装置は、本体を挟み込む。1対の支持部材の各々は、本体と履帯装置との間に配置され、かつ本体とブレードとに接続される。1対の支持部材の各々は、第1フレームと、第2フレームと、第1シリンダとを有する。第1フレームは、ブレードに動作可能に支持されている。第2フレームは、第1フレームと本体との各々に動作可能に支持されている。第1シリンダは、本体に対して第2フレームを動作させる。1対の支持部材の各々の第1シリンダは互いに独立して駆動し、第1シリンダの駆動により第1フレームおよび第2フレームが前後方向に動作する。
【0008】
本開示のブルドーザは、本体と、ブレードと、1対の履帯装置と、1対の支持部材とを備える。ブレードは、本体の前方に位置する。1対の履帯装置は、本体を挟み込む。1対の支持部材の各々は、本体と履帯装置との間に配置され、かつ本体とブレードとに接続される。1対の支持部材の各々は、第1フレームと、第2フレームと、第1シリンダとを有する。第1フレームは、ブレードに動作可能に支持されている。第2フレームは、第1フレームと本体との各々に動作可能に支持されている。第1シリンダは、本体に対して第2フレームを動作させる。第1シリンダの伸長により第2フレームの先端部およびブレードが上下方向の下側へ移動する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、良好な整地性を確保でき、かつブレードのアングル動作時においてもブレードと履帯装置との間の距離を十分に確保できる作業機械およびブルドーザを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態におけるブルドーザの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1のブルドーザにおけるブレードのリフト動作を説明する側面図である。
【
図3】
図1のブルドーザにおけるブレードのリフト動作を説明する側面図である。
【
図4】
図1のブルドーザにおけるブレードのピッチ動作を説明する側面図である。
【
図5】
図1のブルドーザにおけるブレードのチルト動作を説明する側面図(A)と正面図(B)である。
【
図6】
図1のブルドーザにおけるブレードのアングル動作を説明する側面図(A)と平面図(B)である。
【
図7】比較例として特許文献1の
図5(c)に示されたブレードのアングル動作と同様の動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。
【0012】
以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、
図1に示す運転室12内の運転席14に着座したオペレータを基準とした方向である。
【0013】
<ブルドーザの構成>
図1は、一実施形態におけるブルドーザの構成を概略的に示す斜視図である。
図1に示されるように、本実施形態のブルドーザは、作業機10と、本体15と、左右1対の履帯装置20とを主に有している。
【0014】
本体15は、本体フレーム11と、運転室12と、エンジンフード13とを主に有している。運転室12は、本体フレーム11の後上部に配置されている。本体フレーム11は、運転室12を支持している。
【0015】
運転室12は、内部空間を有している。運転室12の内部空間には、オペレータが着座するための運転席14が配置されている。運転室12は、運転席14を囲むように構成されている。
【0016】
エンジンフード13は、本体フレーム11の前上部に配置されている。エンジンフード13は、運転室12の前方に配置されている。エンジンフード13によりエンジン室が覆われている。エンジン室内には、エンジン(図示せず)などが収容されている。
【0017】
左右1対の履帯装置20は、本体15を左右方向(車幅方向)に挟み込んでいる。左右1対の履帯装置20の各々は、本体15の本体フレーム11に取り付けられている。左右1対の履帯装置20の各々は、履帯21を有している。左右1対の履帯装置20の各々は、エンジンからの駆動力を得て動作する。左右1対の履帯装置20の動作によりブルドーザは走行可能である。
【0018】
作業機10は、本体15の本体フレーム11に取り付けられている。作業機10は、運転室12の前方に配置されている。作業機10は、ブレード6と、左右1対の支持部材7a、7bとを有している。
【0019】
ブレード6は、本体15および履帯装置20の前方に配置されている。ブレード6はたとえば整地などに用いられる。左右1対の支持部材7a、7bの各々は、本体15とブレード6とに接続されている。左右1対の支持部材7a、7bの各々は、ブレード6の背面に接続されている。
【0020】
左右1対の支持部材7a、7bの各々は、本体15と履帯装置20との間に配置された部分を有している。具体的には、支持部材7aは、本体15と、本体15の左側に位置する履帯装置20との間に配置された部分を有している。支持部材7bは、本体15と、本体15の右側に位置する履帯装置20との間に配置された部分を有している。
【0021】
左右1対の支持部材7a、7bの各々は、本体15よりも前方に延びる部分を有している。左右1対の支持部材7a、7bの各々は、本体15よりも前方でブレード6に接続されている。
【0022】
左右1対の支持部材7a、7bの各々は、第1フレーム1と、第2フレーム2と、第1シリンダ3と、第2シリンダ4と、第3シリンダ5とを有している。左右1対の支持部材7a、7bの動作によりブレード6が駆動する。
【0023】
第1フレーム1は、基端部1aと先端部1bとを有している。第1フレーム1は、先端部1bにおいてブレード6に回転可能に取り付けられている。これによりブレード6は、第1フレーム1の先端部1bを中心として回転可能である。ブレード6は、左右方向(車幅方向)に延びる回転軸を中心として第1フレーム1に対して回転可能である。またブレード6は、左右方向に直交する方向に延びる回転軸を中心として第1フレーム1に対して回転可能である。このようにブレード6は、第1フレーム1に対して相対的に動作可能である。
【0024】
第2フレーム2は、基端部2aと先端部2bとを有している。第2フレーム2は、基端部2aにおいて本体15に回転可能に取り付けられている。これにより第2フレーム2の先端部2bは、第2フレーム2の基端部2aを中心として回転可能である。第2フレーム2の先端部2bは、第2フレーム2の基端部2aにおいて左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。第2フレーム2は、前後方向と上下方向とを含む面内で回転可能である。このように第2フレーム2は、本体15に対して相対的に動作可能である。
【0025】
第2フレーム2は、先端部2bにおいて第1フレーム1の基端部1aに回転可能に取り付けられている。これにより第1フレーム1の先端部1bは、第1フレーム1の基端部1aを中心として回転可能である。このように第1フレーム1は、第2フレーム2に対して相対的に動作可能である。第1フレーム1の先端部1bは、第1フレーム1の基端部1aにおいて左右方向に延びる回転軸を中心として回転可能である。第1フレーム1は、前後方向と上下方向とを含む面内で回転可能である。
【0026】
第1シリンダ3は、本体15と第2フレーム2とに接続されている。具体的には第1シリンダ3の一方端は本体15に回転可能に取り付けられており、第1シリンダ3の他方端は第2フレーム2に回転可能に取り付けられている。第1シリンダ3と本体15との接続部は、第2フレーム2と本体15との接続部よりも上方に位置している。
【0027】
第1シリンダ3は、伸縮可能である。第1シリンダ3は伸縮することにより、本体15に対して第2フレーム2を動作させる。第1シリンダ3の伸縮により第2フレーム2の先端部2bは、基端部2aを中心として本体15に対して回転動作する。
【0028】
第2シリンダ4は、第1フレーム1と第2フレーム2とに接続されている。具体的には第2シリンダ4の一方端は第2フレーム2に回転可能に取り付けられており、第2シリンダ4の他方端は第1フレーム1に回転可能に取り付けられている。第1フレーム1と第2フレーム2とに接続部は、第2シリンダ4よりも上方に位置している。
【0029】
第2シリンダ4は、伸縮可能である。第2シリンダ4は伸縮することにより、第2フレーム2に対して第1フレーム1を動作させる。第2シリンダ4の伸縮により第1フレーム1の先端部1bは、基端部1aを中心として第2フレーム2に対して回転動作する。
【0030】
第3シリンダ5は、第1フレーム1とブレード6とに接続されている。具体的には第3シリンダ5の一方端は第1フレーム1に回転可能に取り付けられており、第3シリンダ5の他方端はブレード6に回転可能に取り付けられている。第3シリンダ5とブレード6との接続部は、第1フレーム1とブレード6との接続部よりも上方に位置している。
【0031】
第3シリンダ5は、伸縮可能である。第3シリンダ5は伸縮することにより、第1フレーム1に対してブレード6を動作させる。第3シリンダ5の伸縮によりブレード6は、ブレード6への第1フレーム1の取付部を中心として第1フレーム1に対して回転動作する。
【0032】
第1シリンダ3、第2シリンダ4および第3シリンダ5の各々は、たとえば油圧シリンダであるが、これに限定されず電動シリンダであってもよい。
【0033】
<作業機10の動作>
次に、
図1に示す作業機10の動作について
図2~
図6を用いて説明する。
【0034】
図2および
図3の各々は、
図1のブルドーザにおけるブレードのリフト動作を説明する側面図である。
図4は、
図1のブルドーザにおけるブレードのピッチ動作を説明する側面図である。
図5は、
図1のブルドーザにおけるブレードのチルト動作を説明する側面図(A)と正面図(B)である。
図6は、
図1のブルドーザにおけるブレードのアングル動作を説明する側面図(A)と平面図(B)である。
【0035】
図2に示されるように、ブレード6のリフト動作は、第1シリンダ3の伸縮動作により行われる。具体的には左右1対の支持部材7a、7bの双方の第1シリンダ3を伸長させることによりブレード6を上下方向下側に駆動させることができる。より具体的には、第1シリンダ3の伸長に伴い、第2フレーム2の先端部2bが下降し、ブレード6が上下方向の下側へ移動する。また左右1対の支持部材7a、7bの双方の第1シリンダ3を縮退させることによりブレード6を上下方向上側に駆動させることができる。
【0036】
図3に示されるように、ブレード6のリフト動作は、第2シリンダ4の伸縮動作により行われてもよい。具体的には左右1対の支持部材7a、7bの双方の第2シリンダ4を伸長させることによりブレード6を上下方向上側に駆動させることができる。また左右1対の支持部材7a、7bの双方の第2シリンダ4を縮退させることによりブレード6を上下方向下側に駆動させることができる。
【0037】
またブレード6のリフト動作は、第1シリンダ3および第2シリンダ4の双方の伸長動作により行なわれてもよい。
【0038】
図4に示されるように、ブレード6のピッチ動作は、第3シリンダ5の伸縮動作により行われる。具体的には左右1対の支持部材7a、7bの双方の第3シリンダ5を伸長させることによりブレード6をピッチダンプ側に駆動させることができる。また左右1対の支持部材7a、7bの双方の第3シリンダ5を縮退させることによりブレード6をピッチバック側に駆動させることができる。
【0039】
図5(A)に示されるように、ブレード6のチルト動作は、たとえば支持部材7aを実線で示す状態とし、かつ支持部材7bを破線で示す状態とすることにより実施される。
【0040】
ブレード6のチルト動作は、第1シリンダ3、第2シリンダ4および第3シリンダ5の各々を伸縮動作させることにより行われる。たとえば支持部材7aを実線で示す状態とし、かつ支持部材7bを破線で示す状態とするために、支持部材7aの第1シリンダ3に対して支持部材7bの第1シリンダ3が縮退した状態とされる。また支持部材7aの第2シリンダ4および第3シリンダ5のそれぞれに対して支持部材7bの第2シリンダ4および第3シリンダ5が伸長した状態とされる。これにより
図5(B)に示されるように、左右方向においてブレード6の支持部材7aが接続された側が支持部材7bが接続された側よりも上下方向下側に位置するようにブレード6がチルト動作する。
【0041】
なおブレード6のチルト動作は、
図5(A)に示されるように、たとえば支持部材7aを破線で示す状態とし、かつ支持部材7bを実線で示す状態とすることにより実施されてもよい。この場合には、
図5(B)に示されるように、左右方向においてブレード6の支持部材7aが接続された側が支持部材7bが接続された側よりも上下方向上側に位置するようにブレード6がチルト動作する。
【0042】
またブレード6のチルト動作時には、第3シリンダ5が伸縮動作せずに、第1シリンダ3および第2シリンダ4のみが伸縮動作してもよい。
【0043】
図6(A)に示されるように、ブレード6のアングル動作は、たとえば支持部材7aを実線で示す状態とし、かつ支持部材7bを破線で示す状態とすることにより実施される。
【0044】
ブレード6のアングル動作は、第1シリンダ3、第2シリンダ4および第3シリンダ5の各々を伸縮動作させることにより行われる。たとえば支持部材7aを実線で示す状態とし、かつ支持部材7bを破線で示す状態とするために、支持部材7aの第1シリンダ3および第2シリンダ4のそれぞれに対して支持部材7bの第1シリンダ3および第2シリンダ4が伸長した状態とされる。また支持部材7aの第3シリンダ5に対して支持部材7bの第3シリンダ5が伸長または縮退した状態とされる。これにより
図6(B)に示されるように、左右方向においてブレード6の支持部材7bが接続された側が支持部材7aが接続された側よりも前後方向前側に位置するようにブレード6がアングル動作する。よって、この場合には
図6(A)に示されるように、支持部材7bの前端FE2は支持部材7aの前端FE1よりも前方に位置する。
【0045】
なおブレード6のアングル動作は、
図6(A)に示されるように、たとえば支持部材7aを破線で示す状態とし、かつ支持部材7bを実線で示す状態とすることにより実施されてもよい。この場合には、
図6(B)に示されるように、左右方向においてブレード6の支持部材7aが接続された側が支持部材7bが接続された側よりも前後方向前側に位置するようにブレード6がアングル動作する。この場合には
図6(A)に示されるように、支持部材7aの前端FE2は支持部材7bの前端FE1よりも前方に位置する。
【0046】
なおブレード6のアングル動作時には、第3シリンダ5が伸縮動作せずに、第1シリンダ3および第2シリンダ4のみが伸縮動作してもよい。
【0047】
<効果>
次に、本実施形態の効果について
図7に示す比較例と対比して説明する。
【0048】
図7は、比較例として特許文献1の
図5(c)に示されたブレードのアングル動作と同様の動作を示す平面図である。
図7に示されるように、比較例においては、平面視におけるブレード6の左右方向の中心点CEを中心としてブレード6がアングル動作を行う。
【0049】
ブルドーザによる整地性を向上させる場合、ブレード6と履帯装置20との前後方向の距離L3を小さくすることが好ましい。しかし比較例のように中心点CEの周りにブレード6がアングル動作を行うと、アングル動作時におけるブレード6の左右方向の端部と履帯21との間の前後方向の距離L4が小さくなる。この場合、ブレード6と履帯21との間に障害物を挟み込む可能性が高くなり、また動作に支障を来しやすくなる。また整地性向上のために距離L3を小さくしようとすると、アングル動作時にブレード6と履帯21とが干渉する可能性が高い。
【0050】
これに対して本実施形態においては、
図1に示されるように、支持部材7aの第1シリンダ3と支持部材7bの第1シリンダ3とが互いに独立して駆動する。このため
図6(A)に示されるように、支持部材7a、7bの一方の第1シリンダ3(たとえば破線で示す第1シリンダ3)を他方の第1シリンダ3(たとえば実線で示す第1シリンダ3)よりも伸長させることができる。これにより支持部材7a、7bの一方の前端FE2が他方の前端FE1よりも前方に押し出されて、
図6(B)に示されるようにブレード6がアングル動作を行う。
【0051】
本実施形態のブレード6のアングル動作は、上記のとおり、支持部材7a、7bの一方の前端FE2が他方の前端FE1よりも前方に押し出されることにより行われる。このため整地性向上のためにブレード6を本体15に近付けて配置しても、アングル動作時におけるブレード6の左右方向の端部と履帯21との前後方向の距離L2は、
図7に示される比較例の距離L4よりも大きくなる。したがってブレード6と履帯21との間に障害物を挟み込む可能性が低くなり、また動作に支障を来し難くなる。また整地性向上のために距離L1を小さくしてブレード6を本体15に近付けても、ブレード6と履帯21とが干渉する可能性が低くなる。よって本実施形態では比較例よりもブレード6を本体15に近付けて配置することが可能となり、前後方向の重心の安定性が向上し、整地性が良好となる。
【0052】
また本実施形態によれば
図1に示されるように、左右1対の支持部材7a、7bの各々は、第2フレーム2に対して第1フレーム1を動作させる第2シリンダ4をさらに有している。第2シリンダ4の動作により
図3に示すリフト動作が可能となる。
【0053】
また本実施形態によれば
図1に示されるように、左右1対の支持部材7a、7bの各々の第2シリンダ4は互いに独立して駆動する。これにより
図5に示すチルト動作および
図6に示すアングル動作が可能となる。
【0054】
また本実施形態によれば
図1に示されるように、左右1対の支持部材7a、7bの各々は、第1フレーム1に対してブレード6を動作させる第3シリンダ5をさらに有している。第3シリンダ5の動作により、
図4に示されるようにブレード6のピッチ動作が可能となる。
【0055】
また本実施形態によれば
図1に示されるように、左右1対の支持部材7a、7bの各々の第3シリンダ5は互いに独立して駆動する。これにより
図5に示すチルト動作および
図6に示すアングル動作をスムーズに実施することが可能となる。
【0056】
また本実施形態によれば
図2に示されるように、第1シリンダ3の伸長により第2フレーム2の先端部2bおよびブレード6の各々が上下方向の下側へ移動する。これにより掘削時には、第1シリンダ3を伸長させて車体重量(本体15の重量)をブレード6に与えながら地面に向けてブレード6を押し付けることができる。このため掘削力を保証することができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 第1フレーム、1a,2a 基端部、1b,2b 先端部、2 第2フレーム、3 第1シリンダ、4 第2シリンダ、5 第3シリンダ、6 ブレード、7a,7b 支持部材、10 作業機、11 本体フレーム、12 運転室、13 エンジンフード、14 運転席、15 本体、20 履帯装置、21 履帯、CE 中心点、FE1,FE2 前端。