(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063692
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】留め具
(51)【国際特許分類】
F16B 19/10 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
F16B19/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173661
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】390025243
【氏名又は名称】ポップリベット・ファスナー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慎
【テーマコード(参考)】
3J036
【Fターム(参考)】
3J036AA03
3J036BA01
3J036BB01
3J036DA06
3J036DB05
3J036FA01
(57)【要約】
【課題】ピン及び本体から構成される留め具の製造コストを改善する。
【解決手段】留め具は、ピンと、前記ピンを挿入するように構成された本体とを備える。前記ピンは、ピンフランジと、前記ピンフランジから垂直方向に延びるピン軸部とを有し、前記本体は、底部と、前記ピンを挿入するために前記底部に形成された開口部と、被取付部材に係止するために、前記開口部に沿って前記底部から垂直方向に形成された被取付部材係止部と、被取付部材に取り付ける前に、前記底部に対して前記被取付部材係止部と反対側の第1の位置において前記ピンフランジを仮止めするためのピンフランジ仮保持部と、前記被取付部材に取り付けた状態で、前記第1の位置より前記底部に近い第2の位置において前記ピンフランジを係止するためのピンフランジ係止部とを有する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンと、前記ピンを挿入するように構成された本体とを備える留め具であって、
前記ピンは、
ピンフランジと、
前記ピンフランジから垂直方向に延びるピン軸部とを有し、
前記本体は、
底部と、
前記ピンを挿入するために前記底部に形成された開口部と、
被取付部材に係止するために、前記開口部に沿って前記底部から垂直方向に形成された被取付部材係止部と、
被取付部材に取り付ける前に、前記底部に対して前記被取付部材係止部と反対側の第1の位置において前記ピンフランジを仮止めするためのピンフランジ仮保持部と、
前記被取付部材に取り付けた状態で、前記第1の位置より前記底部に近い第2の位置において前記ピンフランジを係止するためのピンフランジ係止部とを有する、留め具。
【請求項2】
前記本体は、前記底部の周囲から前記被取付部材係止部とは反対側に延びる側壁を更に有し、
前記ピンフランジ係止部と前記ピンフランジ仮保持部は、前記側壁に形成されている、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
前記ピンフランジ仮保持部は、一対の保持爪として前記側壁において対向する位置に形成されており、
前記ピンフランジ係止部は、一対の係止爪として前記側壁において対向する位置に形成されている、請求項2に記載の留め具。
【請求項4】
前記本体は、更に、前記底部に対して前記被取付部材係止部の反対側に前記底部から延びており、外径が前記開口部の径より大きいリング状の本体側環状部を有し、
前記ピンは、更に、前記ピンフランジから前記ピンの先端方向に向かって延びるリング状のピン側環状部を有し、
前記被取付部材に取り付けた状態で、前記本体側環状部の外面と前記ピン側環状部の内面が面接触する、請求項1から3のいずれか1項に記載の留め具。
【請求項5】
前記本体は、更に、前記開口部に沿って前記底部から垂直方向に前記被取付部材係止部とは異なる位置に延びており、前記ピン軸部を支持するためのピン軸部支持部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のパネル等の被取付部材に、バンパーリテーナ、プロテクター、内装部品等の取付部材を取り付けるのに用いる留め具に関する。より詳細には、ピンを本体に押し込んで締結する留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のパネル等の被取付部材に、バンパーリテーナ、プロテクター、内装部品等の取付部材を取り付けるのに留め具(クリップ)を用いる。ピンと本体(グロメット)との組み合わせからなり、本体の胴部の開口部にピンを圧入し、胴部に設けられた係止爪を拡径させて被取付部材の取付孔に係止する留め具が多く用いられている。このような留め具は、ピンを本体の中空部に押し込むだけで、簡単に被取付部材に取付部材を取り付けることが出来る。
【0003】
従来技術では、特許文献1のように、ピンを本体に仮保持及びロックするための構造をピン先端側に設けているが、構造上アンダーカットになる部分が形成されるため金型にスライドコアを設ける必要があり製造コストの改善が求められていた。
一方、製造コストを低減しながら、留め具の品質を向上させることも求められている。例えば、ピンと本体の間のシール性は十分とは言えず、防水性を必要とする部分には使用できないという事情がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、ピン及び本体から構成される留め具の製造コストを改善することである。また、本発明の更なる目的は、留め具の製造コストを改善しつつ、留め具の防水性能等の品質を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明の第1の態様は、
ピンと、前記ピンを挿入するように構成された本体とを備える留め具であって、
前記ピンは、
ピンフランジと、
前記ピンフランジから垂直方向に延びるピン軸部とを有し、
前記本体は、
底部と、
前記ピンを挿入するために前記底部に形成された開口部と、
被取付部材に係止するために、前記開口部に沿って前記底部から垂直方向に形成された被取付部材係止部と、
被取付部材に取り付ける前に、前記底部に対して前記被取付部材係止部と反対側の第1の位置において前記ピンフランジを仮止めするためのピンフランジ仮保持部と、
前記被取付部材に取り付けた状態で、前記第1の位置より前記底部に近い第2の位置において前記ピンフランジを係止するためのピンフランジ係止部とを有する、留め具である。
【0007】
前記留め具において、好ましくは、前記本体は、前記底部の周囲から前記被取付部材係止部とは反対側に延びる側壁を更に有し、前記ピンフランジ係止部と前記ピンフランジ仮保持部は、前記側壁に形成されている。
【0008】
前記留め具において、好ましくは、前記ピンフランジ仮保持部は、一対の保持爪として前記側壁において対向する位置に形成されており、前記ピンフランジ係止部は、一対の係止爪として前記側壁において対向する位置に形成されている。
【0009】
前記留め具において、好ましくは、前記本体は、更に、前記底部に対して前記被取付部材係止部の反対側に前記底部から延びており、外径が前記開口部の径より大きいリング状の本体側環状部を有し、前記ピンは、更に、前記ピンフランジから前記ピンの先端方向に向かって延びるリング状のピン側環状部を有し、前記被取付部材に取り付けた状態で、前記本体側環状部の外面と前記ピン側環状部の内面が面接触する。
【0010】
前記留め具において、好ましくは、前記本体は、更に、前記開口部に沿って前記底部から垂直方向に前記被取付部材係止部とは異なる位置に延びており、前記ピン軸部を支持するためのピン軸部支持部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ピン及び本体から構成される留め具の製造コストを改善することができる。また、留め具の防水性能等の品質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態による留め具の本体の上方向からの斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態による留め具のピンの上方向からの斜視図である。
【
図15】
図1の本体と
図9のピンとを仮係合した状態の留め具の上方向からの斜視図である。
【
図16】
図1の本体と
図9のピンとを仮係合した状態の留め具の下方向からの斜視図である。
【
図23】本係合した状態の
図16のA-A線と同じ断面に沿った断面図である。
【
図24】本係合した状態の
図16のB-B線と同じ断面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の実施形態による留め具は、
図1から8に示す合成樹脂製の本体100と、
図9から14に示す合成樹脂製のピン200とからなる。本体100の開口部にピン200を押し込んで、
図15から22に示す仮係合状態で保管される。被取付部材500の取付孔に、仮係合状態の留め具10を挿入し、本体100にピン200を更に押し込んで、
図23及び
図24に示す本係合状態として、被取付部材500に留め具10を取り付ける。
【0014】
留め具10は、バンパーリテーナ、プロテクター、保護カバー、ブラケット等の取付部材を、自動車のボディパネル等の被取付部材500に取り付けるのに使用される。留め具10の本体100は、バンパーリテーナの一部として構成してもよいし、本体100は、バンパーリテーナと別部品として構成し、本体100をバンパーリテーナに固定することもできる。
【0015】
[本体]
図1から8を参照して、本体100について説明する。
図1は、本発明の実施形態による留め具10の本体100の上方向から見た斜視図、
図2は下方向から見た斜視図である。
図3は上面図、
図4は底面図、
図5は正面図、
図6は右側面図である。
図7は
図2のA-A線に沿った断面図である。
図8は、
図2のB-B線に沿った断面図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本体100は、外形がほぼ正方形の底部170と、底部170の各端部から上方へ延びる側壁190とを有する。底部170の上面は4つの側壁190で囲まれている。
【0017】
本発明の実施形態では、本体100はバンパーリテーナと一体であり、側壁190の横にバンパーリテーナが広がっている(図示せず)。側壁190の形状は、バンパーリテーナの形状によって変わり得るものである。例えば、底部170は、円形であっても良く、その場合、側壁も円筒状に形成してもよい。
【0018】
図3及び
図4に示すように、底部170の中央部は、後述するピン200を収容するための開口部115が設けられている。底部170の上面の開口部115の周りには、リング状の本体側環状部160が設けられている。本体側環状部160の外面は、被取付部材に取り付けられた状態で、後述するピン200のピン側環状部230の内面と面接触するように構成されており、当該構成により、本体100とピン200が密着し、本体100の側壁190の内側に浸入してきた水分がピン200のピン軸部270に浸入することを防ぐことが可能となる。
【0019】
図1及び
図3に示すように、被取付部材に取り付ける前の仮係合状態において、後述するピンフランジ220を仮止めするために、ピンフランジ仮保持部120が、側壁190に形成されている。
また、被取付部材に取り付けた本係合状態でピンフランジ220を係止するために、ピンフランジ係止部140が、側壁190においてピンフランジ仮保持部120よりも底部170に近い位置に形成されている。
【0020】
本実施形態では、ピンフランジ仮保持部120は、一対の保持爪として側壁190において対向する位置に形成されており、ピンフランジ係止部140も同様に、一対の係止爪として側壁190において対向する位置に形成されている。この点、ピンフランジ仮保持部120の保持爪とピンフランジ係止部140の係止爪は、それぞれ3つ以上の爪により構成されていてもよく、例えば、3つの爪が側壁190にそれぞれ等間隔で配置することができる。また、ピンフランジ仮保持部120とピンフランジ係止部140とを互いに近接させて上下の2段に配置する構成とすることができる。
【0021】
なお、本実施形態では、ピンフランジ仮保持部120及びピンフランジ係止部140は、側壁190に形成されているが、本体100の底部170の上方に形成されていればよく、他の構成であっても良い。後述するピン200は、タッピングスクリューに比べて製造コストが高く、コスト削減が求められていた。したがって、本発明のように、ピンフランジ仮保持部120及びピンフランジ係止部140が、従来のようにピン200に形成されているよりもむしろ、本体100に形成されていることによって、ピン200の構成をシンプルなものとすることが可能となり、製造コストを低減することができる。
【0022】
被取付部材に係止するための係止部130は、底部170に形成された開口部115に沿って開口部115から下方に延びている。係止部130は、一対の係止爪により構成されており、ピン200の乗り上げ面260により押されて、開脚することができる。なお、開脚とは、係止部130の一対の係止爪の先端部が、相互に離れるように開くことをいう。被取付部材に取り付けられた状態では、係止部130の係止爪の付け根部は、被取付部材の取付孔に係合する。開脚した係止爪により、被締結部材に保持することが出来る。本実施形態では、係止部130は、一対の係止爪により構成されているが、底部170との間で被取付部材に係止できるように構成されていれば、他の係止構造であってもよい。
【0023】
また、ピン200を支持するための支持部150は、底部170に形成された開口部115に沿って開口部115から下方に係止部130とは異なる位置に延びている。例えば、支持部150は、一対の支持脚として、係止部130の一対の係止爪の間に形成することができる。
図8に示すように、支持脚の一方は、係止部130の係止爪とほぼ同じ長さである。
図4に示すように、支持部150の一対の支持脚について外側の面はほぼ平面であり、内側の面の横方向中央部はピン200のピン軸部270と適合するように、断面が円弧状になっている。本発明の実施形態では、一方の支持脚と他方の支持脚の形状は異なっているが、支持脚の形状は、実施形態に示したものに限定されない。支持脚の形状は、支持脚を被取付部材の取付孔に挿入することができ、一対の支持脚の内側にピン軸部270を案内することができればよい。
【0024】
また、底部170の下側面には、底部170の端に被取付部材に載せることができるように構成された4つの被取付部材当て部110が形成されている。被取付部材に精度良く安定して取り付けることができるように4つの被取付部材当て部110の高さは一定である。底部170の端にそれぞれ配置された被取付部材当て部110の間には、被取付部材に取り付ける際に後述するパッキン300を配置することができる。
【0025】
図1及び
図3に示すように、本体側環状部160の内側と開口部115の間には、対向する一対のピン解除リブ180が設けられている。ピン解除リブ180は、本体側環状部160の中心に向かって、本体側環状部160より高さが高くなっている。ピン解除リブ180は、ピン200を本係合から仮係合した状態に戻すときに使用されるものである。
【0026】
図4に示されるように、係止部130の一対の係止爪と、支持部150の一対の支持脚を合わせた断面の外形は、ほぼ長方形であり、被取付部材500の取付孔に適合するように形成されており、一対の係止爪と、一対の支持脚は、被取付部材500の取付孔に挿入することができるようになっている。
【0027】
また、本体100の開口部115は、係止部130一対の係止爪と、支持部150の一対の支持脚とにより囲まれた空間である。ピン200のピン軸部270は、本体100の開口部115内に案内されるようになっている。
【0028】
支持部150の一対の支持脚の間隔は、ピン軸部270の外径と等しいかそれよりやや大きく、一対の支持脚は、ピン軸部270を外側から支持できるように構成されている。
【0029】
[ピン]
図9から14を参照して、ピン200について説明する。
図9は、本発明の実施形態による留め具10のピン200の上方向から見た斜視図、
図10は下方向から見た斜視図である。
図11は上面図、
図12は正面図、
図13は底面図、
図14は断面図である。
【0030】
ピン200は、上部の円板状のピンフランジ220と、ピンフランジ220の外側から下方に延びるリング状のピン側環状部230と、ピンフランジ220の中央部から下方に延びるピン軸部270とを有する。
【0031】
図9に示すように、ピンフランジ220の中央部の上面には十字溝210が形成されている。ドライバーの先端部を十字溝210に挿入して、ピン200を回転させ、本係合から仮係合の状態に戻すことが出来るようになっている。十字溝210は、
図14に示すように、ピン軸部270の乗り上げ面260の位置まで深く形成されていてもよい。
【0032】
図10及び
図13に示すように、ピンフランジ220の下側のピン軸部270の周りには、4つのピン解除片240が等間隔で形成されている。ピン解除片240はピンフランジ220の半径方向に一定の厚さを有し、外面は直角三角形の形状で、下面は斜面となっている。この斜面は、時計回りに高さが次第に低くなっている。ピン200を本係合から仮係合の状態に戻すために回転させると、ピン解除片240の斜面が本体100のピン解除リブ180上を摺動して、ピン200が押し上げられるようになっている。
【0033】
図12に示すように、ピンフランジ220の中央部分の下には、ピン200の中心軸に沿ってピン軸部270が延びている。ピン軸部270は、ピン200の回転を規制するピン回転位置規制リブ250と、本体100の係止部130の先端を開脚させて乗り上げる乗り上げ面260を含んでいる。
【0034】
ピン200は、ピンフランジ220の外側からピン200の先端方向に向かって延びるリング状のピン側環状部230を有している。ピン側環状部230は、後述するように、被取付部材500に留め具10を取り付けた本係合状態で、本体100の本体側環状部160の外面とピン側環状部230の内面が面接触するように構成されており、当該構成により、本係合状態において、本体100とピン200が密着し、ピン200の外側からピン200のピン軸部270への水分の浸入を防ぐことが可能となる。
【0035】
また、ピン200は、
図12及び
図14に示されるように、ピン先端部にアンダーカットになる形状が存在しない。従来技術では、ピンを本体に仮保持及び係止(ロック)するための構造において、ピン先端部にアンダーカットになる部分が形成されており、この場合、金型にスライドコアを設ける必要があった。これに対して、本発明では、ピン200を本体100に仮保持及び係止(ロック)するための構造を、本体100に形成しており、ピン200の構造においてアンダーカットになる部分を排除する構造となっており、金型にスライドコアを設ける必要がなくなり、製造コストの削減が可能となっている。
【0036】
[仮係合状態]
本発明に係る留め具10によれば、被取付部材に留め具10を取り付ける前に、留め具10は、本体100とピン200とを組み立てて仮係合させた状態で保管されており、その後、被取付部材に取り付けるために組み立て部門に納入される。
図15は、本体100とピン200とを仮係合させた状態の留め具10の上方向から見た斜視図、
図16は下方向から見た斜視図である。
図17は上面図、
図18は下面図、
図19は正面図、
図20は右側面図である。
図21は
図16のA-A線に沿った断面図、
図22は
図16のB-B線に沿った断面図である。
【0037】
図15及び
図22に示されるように、仮係合させた状態では、ピン200のピンフランジ220は、本体100のピンフランジ仮保持部120の一対の爪により仮止めされており、ピン200は本体100に保持された状態で保管することができるようになっている。
【0038】
また、仮係合させた状態では、
図21に示すように、ピン200の先端は、本体100の係止部130の上側に収まっており、一対の係止爪は開脚されていない。また、
図22に示すように、本体100の支持部150の一対の支持脚は、ピン200のピン軸部270を支持している。
【0039】
[本係合状態]
図15から22に示す仮係合状態から、本体100の底部170に形成された開口部115に対して被取付部材500の取付孔の位置を合わせた状態において、ピン200を下方に押し込むことにより、被取付部材500に留め具10を取り付けて本係合した状態とすることができる。
【0040】
図23は、被取付部材500に留め具10を取り付けて本係合した状態の
図16のA-A線と同じ断面に沿った断面図である。また、
図24は、本係合した状態の
図16のB-B線と同じ断面に沿った断面図である。
【0041】
仮係合状態から、ピン200を下方に押し込むことにより、ピンフランジ仮保持部120に保持されていたピンフランジ220は、下方に移動し、
図24に示されるように、ピンフランジ係止部140の一対の係止爪により係止され、本係合状態となる。
【0042】
本係合状態では、
図23に示されるように、ピン200の先端が、係止部130の一対の係止爪の間から突出することにより、一対の係止爪が開脚し、係止部130の開脚した一対の係止爪の付け根部により、被取付部材500に係止するように構成される。
【0043】
また、本係合状態では、
図24に示されるように、本体100の支持部150の一対の支持脚は、ピン200のピン軸部270を支持している。
【0044】
また、本係合状態では、
図23及び24に示されるように、ピン200のリング状のピン側環状部230の内面は、本体100のリング状の本体側環状部160の外面と面接触するように構成されている。当該構成により、本体100とピン200が密着し、ピン200の図の上側からの水分の浸入を防ぐことが可能となる。従来の留め具では、止水性を十分に考慮しておらず、ピン側の可撓性を有する薄肉フランジを本体側に線接触させるような構成であった。これに対して、本発明では、ピン側環状部230と本体側環状部160とを面接触させることにより、接触部分320の面積が増え、止水性を向上させることが可能となる。また、
図24に示すように接触部分320において面接触した状態では、ピン側環状部230を本体側環状部160の開口部に被せる構造となるため、ピンフランジ220付近に浸入した水分がピン200の内部に浸入するには、水分はピン側環状部230の図の下端側から面接触の部分に入り、更に面接触の部分を図の上向きに進む必要があり、水分の浸入を困難にする浸入経路となり、防水効果を高めることができる。
【0045】
本発明において、ピン200は、上述の通り、構造上、アンダーカットになる部分を排除しており、また、止水性を向上させるべく、ピンフランジ220からピン200の先端方向に向かって延びるリング状のピン側環状部230の構造を有するものである。すなわち、ピン200は、アンダーカットが存在せずシンプルな構造を維持しつつ、止水性向上という機能を併せ持つものであり、留め具の製造コストの低減と機能性向上の両者に寄与するものである。
【0046】
また、被取付部材当て部110の内側には、被取付部材500に接触するパッキン300を有しており、パッキン300は、被取付部材500上で留め具の外側からの水分の浸入を防ぎ、止水性を向上させる。
【0047】
本発明は、上述の通り、ピン先端のアンダーカットになる形状を無くすことで製造コストを低減することができるものである。この点、本発明では、アンダーカット形状を無くすことでピン先端での仮保持及び係止(ロック)ができなくなるが、本体100側にピンフランジ仮保持部120及びピンフランジ係止部140を2段に設けることによってこれらを解決するものである。本発明では、更に、ピンフランジと本体を面接触させることにより接触面積が増え、止水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 留め具
100 本体
110 被取付部材当て部
115 開口部
120 ピンフランジ仮保持部
130 係止部
140 ピンフランジ係止部
150 支持部
160 本体側環状部
170 底部
180 ピン解除リブ
190 側壁
200 ピン
210 十字溝
220 ピンフランジ
230 ピン側環状部
240 ピン解除片
250 ピン回転位置規制リブ
260 乗り上げ面
270 ピン軸部
300 パッキン
500 被取付部材