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特開2023-6374検体管理方法、薬品管理方法およびホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006374
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】検体管理方法、薬品管理方法およびホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/28 20060101AFI20230111BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
G01N1/28 J
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108944
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】504473946
【氏名又は名称】正晃テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜田 龍則
(72)【発明者】
【氏名】田川 文隆
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AD52
2G052DA12
2G052DA32
2G052HB04
2G058GC03
2G058GC05
(57)【要約】
【課題】前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による検体管理方法は、病理診断の対象となる検体を管理する検体管理方法であって、収容する工程と、記憶する工程と、判定する工程と、を含む。収容する工程は、RFタグが搭載されたホルダにセットされ、ホルマリンの入った容器に検体を収容する。記憶する工程は、RFタグに記憶されるRFタグ情報と、検体に対する病理診断の病理検査依頼書に印される病理検査依頼書タグ情報と、検体を前処理するためのカセットに印されるカセットタグ情報とを紐付けて記憶部に記憶する。判定する工程は、検体を容器またはカセットから取り出して前処理する際に、記憶部に記憶される情報に基づいて、RFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報が照合するか否かを判定する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病理診断の対象となる検体を管理する検体管理方法であって、
RFタグが搭載されたホルダにセットされ、ホルマリンの入った容器に前記検体を収容する工程と、
前記RFタグに記憶されるRFタグ情報と、前記検体に対する病理診断の病理検査依頼書に印される病理検査依頼書タグ情報と、前記検体を前処理するためのカセットに印されるカセットタグ情報とを紐付けて記憶部に記憶する工程と、
前記検体を前記容器または前記カセットから取り出して前処理する際に、前記記憶部に記憶される情報に基づいて、前記RFタグ情報、前記病理検査依頼書タグ情報および前記カセットタグ情報が照合するか否かを判定する工程と、
を含む検体管理方法。
【請求項2】
前記判定する工程の判定結果を作業者に報知する工程、
をさらに含む
請求項1に記載の検体管理方法。
【請求項3】
前記病理検査依頼書タグ情報は、前記病理検査依頼書に印されるバーコードであり、
前記カセットタグ情報は、前記カセットに印されるバーコードである
請求項1または2に記載の検体管理方法。
【請求項4】
前記病理検査依頼書タグ情報および前記カセットタグ情報を読み取るカメラを用いて、前記検体を前記容器または前記カセットから取り出して前処理する際の様子を記録する工程、
をさらに含む
請求項3に記載の検体管理方法。
【請求項5】
前記記録する工程は、前記ホルダにセットされる前記容器の周囲の様子を記録する工程を含む
請求項4に記載の検体管理方法。
【請求項6】
複数の容器に入ったホルマリンを管理する薬品管理方法であって、
個別のRFタグが固定される複数のホルダに複数の前記容器をそれぞれセットする工程と、
前記ホルダにセットされた前記容器を病理診断を依頼する部署に送付する際に、送付される部署と前記RFタグに記憶されるRFタグ情報とを紐付けて記憶部に記憶する工程と、
病理診断の対象となる検体が前記容器に収容されて返却された際に、返却された前記容器の前記RFタグ情報を読み取って前記記憶部に記憶する工程と、
を含む薬品管理方法。
【請求項7】
洗浄可能な材質で構成され、ホルマリンの入った容器を脱着可能に構成される本体部と、
前記本体部に固定され、個別のRFタグ情報を記憶するRFタグと、
を備えるホルダ。
【請求項8】
前記本体部は、樹脂で構成され、断面視で略C字形状を有する
請求項7に記載のホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検体管理方法、薬品管理方法およびホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病理診断を目的として人体の臓器などから摘出された検体を前処理する際に、かかる検体の取り違えを抑制することができる技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-59727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の技術では、病理診断用の検体を前処理する際に、かかる検体の取り違えを抑制するという点でさらなる改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による検体管理方法は、病理診断の対象となる検体を管理する検体管理方法であって、収容する工程と、記憶する工程と、判定する工程と、を含む。収容する工程は、RFタグが搭載されたホルダにセットされ、ホルマリンの入った容器に前記検体を収容する。記憶する工程は、前記RFタグに記憶されるRFタグ情報と、前記検体に対する病理診断の病理検査依頼書に印される病理検査依頼書タグ情報と、前記検体を前処理するためのカセットに印されるカセットタグ情報とを紐付けて記憶部に記憶する。判定する工程は、前記検体を前記容器または前記カセットから取り出して前処理する際に、前記記憶部に記憶される情報に基づいて、前記RFタグ情報、前記病理検査依頼書タグ情報および前記カセットタグ情報が照合するか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る管理方法の概要を説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る管理方法の概要を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る管理システムの構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る作業台の構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る容器情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るホルダの一例を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る搬送トレイの一例を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る検体情報記憶部の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る撮像データ記憶部の一例を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る報知処理の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る報知処理の別の一例を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る管理システムが実行する薬品管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る管理システムが実行する検体管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する検体管理方法、薬品管理方法およびホルダの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0010】
<管理方法の概要>
最初に、実施形態に係る管理方法の概要について、図1および図2を参照しながら説明する。図1および図2は、実施形態に係る管理方法の概要を説明するための図である。
【0011】
実施形態に係る管理方法は、以下のステップS01~S15を含んでいる。最初に、病理部門の作業者は、ホルマリンの入った複数の容器71(図6参照)を複数のホルダ72(図6参照)にそれぞれセットし(ステップS01)、複数のホルダ付き容器70(図6参照)を準備する。
【0012】
かかるホルダ72には、個別のRFタグ情報が記憶されているRFタグ74が固定される。このRFタグ情報には、たとえば、個別のRFタグIDなどが含まれる。
【0013】
すなわち、ステップS01の処理では、個別のIDが付されていない容器71にホルダ72をセットすることで、複数の容器71にそれぞれ個別のIDを付することができる。かかるホルダ72の詳細については後述する。
【0014】
次に、病理部門の作業者は、複数のホルダ付き容器70が内視鏡検査部門などに送付される際に、送付されるホルダ付き容器70のRFタグ情報を受付端末50(図3参照)のRFタグリーダ51(図3参照)で読み取るとともに、かかるホルダ付き容器70が送付される部署に関する情報を入力する。
【0015】
そして、サーバ装置10(図3参照)は、送付されるホルダ付き容器70のRFタグ情報と、かかるホルダ付き容器70が送付される部署とを紐付けて、記憶部30(図3参照)に記憶する(ステップS02)。
【0016】
次に、病理部門の作業者は、ホルマリンの入ったホルダ付き容器70を送付依頼のあった部署(たとえば、内視鏡検査部門など)に送付する(ステップS03)。かかるステップS03の処理は、たとえば、複数のホルダ付き容器70が収容された搬送トレイ75(図7参照)を用いて行われる。かかる搬送トレイ75の詳細については後述する。
【0017】
次に、ホルマリンの入ったホルダ付き容器70を受け取った部署(図1の例では内視鏡検査部門)において、作業者は、採取された病理診断用の検体を、ホルマリンの入ったホルダ付き容器70に収容する(ステップS04)。これにより、採取された検体の腐食を抑制することができる。
【0018】
次に、内視鏡検査部門の作業者は、ステップS04で収容された検体に対する病理診断を病理部門に依頼するため、病理検査依頼書タグ情報が印された病理診断の病理検査依頼書80(図4参照)を作成する(ステップS05)。この病理検査依頼書タグ情報は、たとえば、2次元バーコードなどのバーコードであり、個別の病理検査依頼書IDなどが含まれる。
【0019】
さらに、内視鏡検査部門の作業者は、かかる病理検査依頼書80を作成する際に、病理検査依頼書作成用の端末などに接続されるRFタグリーダを用いて、検体が収容されるホルダ付き容器70のRFタグ情報を読み取る。
【0020】
そして、サーバ装置10は、病理診断の病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報と、かかる病理診断の対象となる検体が収容されるホルダ付き容器70のRFタグ情報とを紐付けて、記憶部30に記憶する(ステップS06)。
【0021】
次に、内視鏡検査部門の作業者は、検体が収容されたホルダ付き容器70およびかかる検体に付随する病理検査依頼書80をセットにして病理部門に送付する(ステップS07)。かかるステップS07の処理は、たとえば、複数のホルダ付き容器70が収容された搬送トレイ75を用いて行われる。
【0022】
次に、病理部門の作業者は、返却されたホルダ付き容器70のRFタグ情報を受付端末50のRFタグリーダ51で読み取るとともに、送付された病理検査依頼書80の病理検査依頼書タグ情報を受付端末50のバーコードリーダ52(図3参照)で読み取る(ステップS08)。これにより、病理部門において検体に対する病理診断の依頼が受理される。
【0023】
そして、サーバ装置10は、返却されたホルダ付き容器70のRFタグ情報を記憶部30に記憶する(ステップS09)。これにより、ホルマリンの入った容器71がいつどこからどれだけの本数返却されたかについての情報を随時更新することができる。
【0024】
ここまで説明したように、実施形態では、ホルマリンの入った容器71をホルダ72にセットしてホルダ付き容器70を形成し、かかるホルダ付き容器70のRFタグ情報に基づいてホルマリンの使用実績を管理する。これにより、ホルマリンの使用実績を簡便かつ精度よく管理することができる。
【0025】
なお、図1の例では、RFタグ情報と病理検査依頼書タグ情報とを紐付けるため、検体が収容されるホルダ付き容器70のRFタグ情報を内視鏡検査部門の作業者が読み取る例について示したが、本開示はかかる例に限られない。
【0026】
たとえば、上述したステップS08の処理において、病理部門の作業者がRFタグリーダ51でRFタグ情報を読み取った後に、サーバ装置10がRFタグ情報と病理検査依頼書タグ情報とを紐付けて、記憶部30に記憶してもよい。
【0027】
次に、図2に示すように、病理部門の作業者は、カセットタグ情報が印されたカセット90(図4参照)を準備する(ステップS10)。この「カセット」とは、検体が前処理される際に用いられる部材であり、たとえば、検体から水分などを除去するための網状の部位と、検体を内部に閉じ込めるための蓋とを有する。
【0028】
また、かかるカセット90に印されるカセットタグ情報は、たとえば、2次元バーコードなどのバーコードであり、個別のカセットIDなどが含まれる。さらに、かかるステップS10の処理の際には、あらかじめ(たとえば、ステップS08の処理で)読み取られた病理検査依頼書80の病理検査依頼書タグ情報に紐付けられたカセットタグ情報が、カセット90に印される。
【0029】
これにより、サーバ装置10は、カセット90を準備する際に生成されるカセットタグ情報と、かかるカセット90に対応する病理診断の病理検査依頼書タグ情報およびRFタグ情報とを紐付けて、記憶部30に記憶する(ステップS11)。
【0030】
次に、病理部門の作業者は、検体の前処理を行うため、検体の入ったホルダ付き容器70と、病理検査依頼書80と、カセット90とを前処理用の作業台60(図3参照)に移動させる。
【0031】
そして、ホルダ付き容器70、病理検査依頼書80およびカセット90が所定の位置にセットされることにより、サーバ装置10は、作業台60で3種のタグ情報(RFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報)を読み取る(ステップS12)。
【0032】
次に、サーバ装置10は、記憶部30に記憶される情報に基づいて、読み取られた3種のタグ情報が照合するか否かを判定する(ステップS13)。そして、サーバ装置10は、作業台60の表示部65(図3参照)などを用いて、ステップS13の処理の判定結果を病理部門の作業者に通知する(ステップS14)。
【0033】
ここまで説明したように、実施形態では、検体の前処理において、作業台60で容器71からカセット90に検体を移す作業を行う際に、3種のタグ情報が照合するか否かを判定し、この判定結果を作業者に報知する。
【0034】
これにより、検体の取り違えが発生しやすい状況である、容器71(ホルダ付き容器70)から検体が取り出されてカセット90に移される際に、作業台60にある容器71、病理検査依頼書80およびカセット90が照合していることを簡便かつ精度よく確認することができる。
【0035】
したがって、実施形態によれば、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【0036】
次に、サーバ装置10は、バーコードリーダとしても用いられる作業台60のカメラ61~63(図3参照)を用いて、作業台60上の様子を記録する(ステップS15)。これにより、作業台60で検体が前処理されている様子をエビデンスとして残すことができる。なお、このステップS15の処理では、作業台60上の様子が動画で記録されてもよいし、静止画で記録されてもよい。
【0037】
<管理システムの構成例>
次に、管理システム1の構成例について、図3を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る管理システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0038】
図3に示すように、管理システム1には、サーバ装置10と、受付端末50と、作業台60とが含まれる。なお、図3には、管理システム1に1つの受付端末50および1つの作業台60が含まれる場合について示したが、管理システム1に含まれる受付端末50および作業台60の数は、図示した例に限られることはなく、任意の数の受付端末50および作業台60を含むことができる。
【0039】
また、サーバ装置10、受付端末50および作業台60の間は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワークNには、有線または無線を問わず、たとえば、インターネットを始め、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの任意の種類の通信網を用いることができる。
【0040】
実施形態の管理システム1は、たとえば、病理業務支援サービスを提供するシステム内に実装することができる。以下の実施形態においては、病理業務支援サービスを提供するシステム内に管理システム1が実装されている場合について説明する。
【0041】
サーバ装置10は、受付端末50および作業台60に上述の管理サービスを提供するコンピュータである。さらに、サーバ装置10は、病理業務支援サービスのサーバ機能も備えており、ネットワークNへの接続機能を有する受付端末50および作業台60に、病理業務支援サービスを提供する。なお、実施形態において、サーバ装置10以外のサーバ装置が病理業務支援サービスを提供してもよい。
【0042】
受付端末50は、サーバ装置10から上述の管理サービスおよび病理業務支援サービスの提供を受けるコンピュータである。
【0043】
たとえば、受付端末50は、上述の病理業務支援サービスの利用が許可されたアカウントを通じてサーバ装置10へのログイン認証に成功したコンピュータである。たとえば、受付端末50は、デスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータなどの情報処理装置である。さらに、受付端末50は、このような据置き型の端末のみならず、各種の携帯端末装置であってもよい。
【0044】
なお、ここで言う「携帯端末装置」には、一例として、スマートフォン、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの移動体通信端末、さらには、PDA(Personal Digital Assistants)やタブレット端末などがその範疇に含まれる。
【0045】
図3に示すように、受付端末50は、RFタグリーダ51と、バーコードリーダ52とを有する。RFタグリーダ51は、ホルダ付き容器70が送付部署に送付される際や、ホルダ付き容器70が送付部署から返却された際などに、かかるホルダ付き容器70のRFタグ情報を読み取る。
【0046】
バーコードリーダ52は、検体の病理診断が依頼された際などに、病理検査依頼書80の病理検査依頼書タグ情報を読み取る。また、バーコードリーダ52は、検体の前処理のためカセット90が準備される際などに、カセット90のカセットタグ情報を読み取る。
【0047】
作業台60は、たとえば、検体の前処理に関する各種の作業を行うテーブルである。作業台60は、3台のカメラ61~63と、RFタグリーダ64と、表示部65とを有する。かかる作業台60の一例について、図4を参照しながら説明する。
【0048】
図4に示すように、3台のカメラ61~63は、作業台60における作業スペースの異なる箇所をそれぞれ撮像可能に配置される。また、作業台60では、検体の前処理の際に、ホルダ付き容器70、病理検査依頼書80およびカセット90を置く場所がそれぞれ決まっている。
【0049】
たとえば、カメラ61の直下にホルダ付き容器70が置かれ、カメラ62の直下に病理検査依頼書80が置かれ、カメラ63の直下にカセット90が置かれる。
【0050】
カメラ61は、検体の前処理の際にホルダ付き容器70の周囲を撮像する。また、カメラ61は、容器71にバーコードである容器タグ情報が印されている場合に、かかる容器タグ情報を読み取るバーコードリーダとしても機能する。
【0051】
カメラ62は、検体の前処理の際に病理検査依頼書80の周囲を撮像するとともに、かかる病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報を読み取るバーコードリーダとしても機能する。
【0052】
カメラ63は、検体の前処理の際にカセット90の周囲を撮像するとともに、かかるカセット90に印されるカセットタグ情報を読み取るバーコードリーダとしても機能する。
【0053】
また、ホルダ付き容器70が置かれる場所の近傍には、RFタグリーダ64が配置される。かかるRFタグリーダ64は、検体の前処理の際に、ホルダ付き容器70のRFタグ情報を読み取る。
【0054】
表示部65は、検体の前処理を行う作業者が目視可能な位置に配置され、検体の前処理において、3種のタグ情報が照合するか否かの判定結果が表示される。
【0055】
表示部65は、たとえば、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネルなどの表示装置である。表示部65は、サーバ装置10の制御に基づいて画像を表示する。
【0056】
図3に戻り、実施形態におけるサーバ装置10の機能構成について説明する。サーバ装置10は、通信部20と、記憶部30と、制御部40とを備える。
【0057】
通信部20は、有線または無線を問わず、受付端末50など、その他のコンピュータなどとの通信を制御する。通信部20は、たとえばNIC(Network Interface Card)などの通信インタフェースなどである。
【0058】
記憶部30は、たとえば制御部40が実行するプログラムなどの各種データなどを記憶する。記憶部30は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。また、記憶部30は、容器情報記憶部31と、検体情報記憶部32と、撮像データ記憶部33とを有する。
【0059】
容器情報記憶部31は、ホルマリンの入った容器71の管理履歴を記憶する。図5は、実施形態に係る容器情報記憶部31の一例を示す図である。図5に示す容器情報記憶部31は、「RFタグ情報」、「送付部署」、「送付日時」、「返却の有無」、「返却日時」といった項目を有する。
【0060】
「RFタグ情報」は、ホルマリンの入った容器71がセットされるホルダ72に固定されるRFタグ74のRFタグ情報を示す。「送付部署」は、ホルマリンの入った容器71が送付された部署を示す。「送付日時」は、ホルマリンの入った容器71が送付された日時を示す。
【0061】
「返却の有無」は、送付された容器71が送付された部署から返却されているか否かの情報を示す。「返却日時」は、送付された容器71が送付された部署から返却されている場合に、かかる返却された日時を示す。
【0062】
ここで、ホルマリンの入った容器71がセットされるホルダ72の詳細について、図6および図7を参照しながら説明する。図6は、実施形態に係るホルダ72の一例を示す斜視図であり、図7は、実施形態に係る搬送トレイ75の一例を示す斜視図である。
【0063】
図6に示すように、実施形態では、ホルマリンの入った容器71とホルダ72とでホルダ付き容器70が形成される。また、実施形態に係るホルダ72は、本体部73と、RFタグ74とを有する。
【0064】
本体部73は、洗浄可能な材質で構成され、ホルマリンの入った容器71を脱着可能に構成される。本体部73は、たとえば、樹脂で構成され、断面視で切欠部が上方を向いた略C字形状を有する。そして、本体部73は、この切欠部で容器71を挟み込むことにより、かかる容器71を保持する。
【0065】
また、本体部73は、樹脂などの洗浄可能な材質で構成されることにより、洗浄することで別の容器71に対してもくり返し使用することができる。したがって、実施形態によれば、検体の前処理において検体が汚染されることを抑制することができるとともに、容器71に個別のIDを付するためのコストを低減することができる。
【0066】
また、本体部73は、樹脂などの弾性体で構成されることにより、高い弾性力で容器71を強固に保持することができるとともに、容器71から簡便に取り外すことができる。さらに、本体部73は、樹脂などの弾性体で構成されることにより、異なるサイズの容器71を脱着可能に構成することができる。
【0067】
また、本体部73は、平面視で矩形状であるとよい。これにより、図7に示すように、搬送トレイ75に複数のホルダ付き容器70を隙間なく並べて配置することができることから、複数のホルダ付き容器70を効率よく搬送することができる。
【0068】
RFタグ74は、本体部73に固定され、個別のRFタグ情報が記憶されている。RFタグ74は、本体部73の内部に埋め込まれていてもよいし、本体部73の表面に貼り付けられていてもよい。
【0069】
RFタグ74が本体部73の内部に埋め込まれる場合、本体部73は、電波を透過する材質で構成されているとよい。また、RFタグ74が本体部73の表面に貼り付けられる場合、RFタグ74には防水加工が施されるとよい。
【0070】
図3の説明に戻る。記憶部30の検体情報記憶部32は、病理診断の対象となる検体の管理履歴を記憶する。図8は、実施形態に係る検体情報記憶部32の一例を示す図である。図8に示す検体情報記憶部32は、「RFタグ情報」、「病理検査依頼書タグ情報」、「依頼日時」、「カセットタグ情報」といった項目を有する。
【0071】
「RFタグ情報」は、検体が収容された容器71がセットされるホルダ72に固定されるRFタグ74のRFタグ情報を示す。「病理検査依頼書タグ情報」は、検体に対する病理診断を依頼するための病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報を示す。
【0072】
「依頼日時」は、検体に対する病理診断が依頼された日時を示す。「カセットタグ情報」は、検体に対する前処理に用いられるカセット90に印されるカセットタグ情報を示す。なお、1つの検体に対する前処理に複数のカセット90が用いられる場合、検体情報記憶部32には、1行に複数のカセットタグ情報が記憶されていてもよい。
【0073】
また、図8の例では、検体情報記憶部32が「RFタグ情報」、「病理検査依頼書タグ情報」、「依頼日時」および「カセットタグ情報」といった項目を有する例について示したが、検体情報記憶部32に記憶される項目はかかる例に限られない。たとえば、検体情報記憶部32は、検体を病理診断した日時やかかる検体に対する所見などを項目として有していてもよい。
【0074】
図3の説明に戻る。記憶部30の撮像データ記憶部33は、検体が前処理される際に記録される撮像データの管理履歴を記憶する。図9は、実施形態に係る撮像データ記憶部33の一例を示す図である。図9に示す撮像データ記憶部33は、「病理検査依頼書タグ情報」、「撮像データ情報」といった項目を有する。
【0075】
「病理検査依頼書タグ情報」は、検体に対する病理診断を依頼するための病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報を示す。「撮像データ情報」は、検体に対する前処理の様子を記録したデータに関する情報(たとえば、撮像データのファイル名など)を示す。
【0076】
制御部40は、サーバ装置10の全体的な処理を司る処理部である。制御部40は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などによって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0077】
また、制御部40は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されるようにしてもよい。
【0078】
制御部40は、取得部41と、紐付け部42と、判定部43と、報知部44と、記録部45を有し、以下に説明する制御処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部40の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する制御処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0079】
取得部41は、通信部20を通じて、受付端末50や作業台60などから各種の情報を取得する。取得部41が取得する情報には、たとえば、RFタグ情報や病理検査依頼書タグ情報、カセットタグ情報、容器71の送付部署に関する情報、容器71の送付日時に関する情報、返却の有無に関する情報、返却日時に関する情報、病理診断の依頼日時に関する情報、前処理の撮像データに関する情報などが含まれる。
【0080】
紐付け部42は、取得部41が取得した各種の情報を、容器情報記憶部31、検体情報記憶部32および撮像データ記憶部33に紐付けて記憶する。
【0081】
紐付け部42は、たとえば、図1に示したステップS06の処理において、病理診断の病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報と、かかる病理診断の対象となる検体が収容されるホルダ付き容器70のRFタグ情報とを紐付けて、検体情報記憶部32に記憶する。
【0082】
また、紐付け部42は、たとえば、図2に示したステップS11の処理において、カセット90から読み取られたカセットタグ情報と、かかるカセット90に対応する病理診断の病理検査依頼書タグ情報およびRFタグ情報とを紐付けて、検体情報記憶部32に記憶する。
【0083】
さらに、紐付け部42は、たとえば、取得部41が取得した各種の情報を、対応する容器情報記憶部31、検体情報記憶部32および撮像データ記憶部33に記憶する。
【0084】
実施形態では、紐付け部42が、容器71の送付部署に関する情報、容器71の送付日時に関する情報、返却の有無に関する情報および返却日時に関する情報を容器情報記憶部31に随時記憶することにより、ホルマリンの使用実績を簡便かつ精度よく管理することができる。
【0085】
また、実施形態では、容器情報記憶部31においてRFタグ情報に送付日時および返却日時が紐付けられているため、ホルダ72を別の容器71に付け替えてくり返し使用した場合でも、かかる別の容器71の使用履歴が前の容器71の使用履歴と誤認されることを抑制することができる。
【0086】
判定部43は、作業台60でRFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報が読み取られた際に、検体情報記憶部32に記憶される情報に基づいて、これらの3種のタグ情報が照合するか否かを判定する。
【0087】
報知部44は、判定部43で判定された結果を作業台60の作業者に報知する。たとえば、3種のタグ情報が照合している場合、報知部44は、図10に示すように、表示部65に病理検査依頼書80、検体(ホルダ付き容器70)およびカセット90が照合している旨を表示する。
【0088】
また、3種のタグ情報が照合していない場合、報知部44は、図11に示すように、表示部65に病理検査依頼書80、検体(ホルダ付き容器70)およびカセット90が照合していない旨を表示する。これにより、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【0089】
また、実施形態では、図11に示すように、病理検査依頼書80、検体(ホルダ付き容器70)およびカセット90のうち、どの部材が照合していないかを作業者に報知するとよい。これにより、病理検査依頼書80、検体(ホルダ付き容器70)およびカセット90の照合状態を再確認する際の手間を削減することができる。
【0090】
図3の説明に戻る。記録部45は、作業台60のカメラ61~63で撮像される、検体の前処理が行われる作業台60上の様子を記録する。記録部45は、たとえば、容器71から検体が取り出される直前の作業台60の様子を静止画で記録するとともに、容器71からカセット90に検体が移された直後の作業台60の様子を静止画で記録する。
【0091】
また、記録部45は、記録された撮像データを記憶部30に記憶する。これにより、作業台60上で検体が前処理されている様子をエビデンスとして残すことができる。
【0092】
また、実施形態では、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報を読み取るバーコードリーダとしても機能するカメラ62、63を用いて、検体の前処理が行われる作業台60上の様子を記録するとよい。
【0093】
これにより、3種のタグ情報の照合処理と、作業台60上の記録処理とを一括で行うことができることから、作業者が意識することなく、検体が前処理されている様子をエビデンスとして残すことができる。
【0094】
また、実施形態では、バーコードリーダとしても機能するカメラ62、63に加えて、検体の前処理の際にホルダ付き容器70の周囲を撮像するカメラ61を作業台60に設置するとよい。これにより、検体が前処理されている様子をさらに精度よく記録することができる。
【0095】
また、実施形態では、容器71にバーコードである容器タグ情報が印されている場合に、かかる容器タグ情報を読み取るバーコードリーダとしてカメラ61を機能させてもよい。これにより、ホルダ72のRFタグ74に不具合が生じた場合でも、容器71の容器タグ情報に基づいて、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【0096】
<管理方法の処理手順>
つづいて、実施形態に係る管理方法の処理手順について、図12および図13を参照しながら説明する。図12は、実施形態に係る管理システム1が実行する薬品管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0097】
実施形態に係る薬品管理処理では、最初に、病理部門の作業者が、ホルマリンの入った複数の容器71を複数のホルダ72にそれぞれセットし(ステップS101)、複数のホルダ付き容器70を形成する。
【0098】
次に、取得部41は、別部署に送付されるホルダ付き容器70について、かかるホルダ付き容器70のRFタグ情報と、送付される部署に関する情報とを取得する(ステップS102)。これらの情報は、たとえば、病理部門の作業者などによって受付端末50から入力される。
【0099】
次に、紐付け部42は、送付されるホルダ付き容器70のRFタグ情報と、かかるホルダ付き容器70の送付部署とを紐付けて、容器情報記憶部31に記憶する(ステップS103)。
【0100】
次に、取得部41は、別部署から返却されたホルダ付き容器70のRFタグ情報を取得する(ステップS104)。この情報は、たとえば、病理部門の作業者などによって受付端末50から入力される。
【0101】
最後に、紐付け部42は、返却されたホルダ付き容器70のRFタグ情報を容器情報記憶部31に記憶して(ステップS105)、一連の薬品管理処理を終了する。
【0102】
図13は、実施形態に係る管理システム1が実行する検体管理処理の手順の一例を示すフローチャートである。実施形態に係る検体管理処理では、最初に、内視鏡検査部門の作業者が、ホルマリンの入ったホルダ付き容器70に、採取された検体を収容する(ステップS201)。
【0103】
次に、内視鏡検査部門の作業者は、ステップS201の処理で採取された検体の病理診断を依頼するために、病理検査依頼書タグ情報が印された病理診断の病理検査依頼書80を作成する(ステップS202)。なお、かかる病理検査依頼書80の作成の際などに、検体が収容されたホルダ付き容器70のRFタグ情報が読み取られ、取得部41は、かかるRFタグ情報を取得する。
【0104】
次に、紐付け部42は、病理診断の病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報と、かかる病理診断の対象となる検体が収容されたホルダ付き容器70のRFタグ情報とを紐付けて、検体情報記憶部32に記憶する(ステップS203)。
【0105】
次に、病理部門の作業者は、病理診断の依頼を受け付ける際に、受け付ける検体が収容されたホルダ付き容器70のRFタグ情報と、病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報とを読み取る(ステップS204)。この際、紐付け部42は、依頼を受け付けた日時を、対応するRFタグ情報および病理検査依頼書タグ情報に紐付けて、検体情報記憶部32に記憶する。
【0106】
次に、病理部門の作業者は、検体の前処理に先立って、カセットタグ情報が印されたカセット90を準備する(ステップS205)。なお、かかるカセット90の準備の際に、あらかじめ読み取られた病理検査依頼書80の病理検査依頼書タグ情報に紐付けられたカセットタグ情報が、カセット90に印される。
【0107】
次に、紐付け部42は、カセット90に印されるのカセットタグ情報と、かかるカセット90に属する病理検査依頼書80の病理検査依頼書タグ情報およびホルダ付き容器70のRFタグ情報とを紐付けて、検体情報記憶部32に記憶する(ステップS206)。
【0108】
次に、取得部41は、検体の前処理の際に、作業台60の所定の位置に置かれたホルダ付き容器70、病理検査依頼書80およびカセット90から、3種のタグ情報(RFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報)を取得する(ステップS207)。
【0109】
次に、判定部43は、検体情報記憶部32に記憶される情報に基づいて、ステップS206の処理で取得された3種のタグ情報(RFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報)が照合するか否かを判定する(ステップS208)。そして、報知部44は、かかる判定結果を作業者に報知する(ステップS209)。
【0110】
最後に、記録部45は、カメラ61~63で撮像される作業台60上の様子を記録して(ステップS210)、一連の検体管理処理を終了する。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上述の実施形態では、報知部44が、3種のタグ情報の照合結果を表示部65に表示して作業者に報知する例について示したが、本開示はかかる例に限られない。
【0112】
たとえば、報知部44は、警告灯や警告音などで、3種のタグ情報が照合していない旨を作業者に報知してもよい。これによっても、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【0113】
また、上述の実施形態では、容器71にRFタグ74を有するホルダ72を取り付けることで、複数の容器71に入ったホルマリンを管理する技術について示したが、本開示はかかる例に限られない。
【0114】
たとえば、容器71にRFタグ74を直接貼り付けることで、複数の容器71に入ったホルマリンを管理してもよい。これによっても、ホルマリンの使用実績を簡便かつ精度よく管理することができる。
【0115】
以上のように、実施形態に係る検体管理方法は、病理診断の対象となる検体を管理する検体管理方法であって、収容する工程(ステップS201)と、記憶する工程(ステップS206)と、判定する工程(ステップS208)と、を含む。収容する工程(ステップS201)は、RFタグ74が搭載されたホルダ72にセットされ、ホルマリンの入った容器71に検体を収容する。記憶する工程(ステップS206)は、RFタグ74に記憶されるRFタグ情報と、検体に対する病理診断の病理検査依頼書80に印される病理検査依頼書タグ情報と、検体を前処理するためのカセット90に印されるカセットタグ情報とを紐付けて記憶部30に記憶する。判定する工程(ステップS208)は、検体を容器71またはカセット90から取り出して前処理する際に、記憶部30に記憶される情報に基づいて、RFタグ情報、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報が照合するか否かを判定する。これにより、前処理する際における検体の取り違えを抑制することができる。
【0116】
また、実施形態に係る検体管理方法は、判定する工程(ステップS208)の判定結果を作業者に報知する工程(ステップS209)、をさらに含む。これにより、前処理の際に、ホルダ付き容器70、病理検査依頼書80およびカセット90が照合していないことを作業者が容易に認識することができる。
【0117】
また、実施形態に係る検体管理方法において、病理検査依頼書タグ情報は、病理検査依頼書80に印されるバーコードであり、カセットタグ情報は、カセット90に印されるバーコードである。これにより、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報を簡便かつ精度よく取得することができる。
【0118】
また、実施形態に係る検体管理方法は、記録する工程(ステップS210)をさらに含む。記録する工程(ステップS210)は、病理検査依頼書タグ情報およびカセットタグ情報を読み取るカメラ62、63を用いて、検体を容器71またはカセット90から取り出して前処理する際の様子を記録する。これにより、3種のタグ情報の照合処理と、作業台60上の記録処理とを一括で行うことができることから、作業者が意識することなく、検体が前処理されている様子をエビデンスとして残すことができる。
【0119】
また、実施形態に係る検体管理方法において、記録する工程(ステップS210)は、ホルダ72にセットされる容器71の周囲の様子を記録する工程を含む。これにより、検体が前処理されている様子をさらに精度よく記録することができる。
【0120】
また、実施形態に係る薬品管理方法は、複数の容器71に入ったホルマリンを管理する薬品管理方法であって、セットする工程(ステップS101)と、記憶する工程(ステップS103)と、記憶する工程(ステップS105)と、を含む。セットする工程(ステップS101)は、個別のRFタグ74が固定される複数のホルダ72に複数の容器71をそれぞれセットする。記憶する工程(ステップS103)は、ホルダ72にセットされた容器71を病理診断を依頼する部署に送付する際に、送付される部署とRFタグ74に記憶されるRFタグ情報とを紐付けて記憶部30に記憶する。記憶する工程(ステップS105)は、病理診断の対象となる検体が容器71に収容されて返却された際に、返却された容器71のRFタグ情報を読み取って記憶部30に記憶する。これにより、ホルマリンの使用実績を簡便かつ精度よく管理することができる。
【0121】
また、実施形態に係るホルダ72は、本体部73と、RFタグ74と、を備える。本体部73は、洗浄可能な材質で構成され、ホルマリンの入った容器71を脱着可能に構成される。RFタグ74は、本体部73に固定され、個別のRFタグ情報を記憶する。これにより、ホルマリンの入った容器71に個別のIDを簡便に付与することができる。
【0122】
また、実施形態に係るホルダ72において、本体部73は、樹脂で構成され、断面視で略C字形状を有する。これにより、高い弾性力で容器71を強固に保持することができるとともに、容器71から簡便に取り外すことができる。
【0123】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 管理システム
10 サーバ装置
20 通信部
30 記憶部
31 容器情報記憶部
32 検体情報記憶部
33 撮像データ記憶部
40 制御部
41 取得部
42 紐付け部
43 判定部
44 報知部
45 記録部
50 受付端末
60 作業台
61~63 カメラ
64 RFタグリーダ
65 表示部
70 ホルダ付き容器
71 容器
72 ホルダ
73 本体部
74 RFタグ
75 搬送トレイ
80 病理検査依頼書
90 カセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13