(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063744
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
F23L 5/02 20060101AFI20230428BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20230428BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20230428BHJP
F23J 11/02 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
F23L5/02
F24H9/02 301D
F23L1/00 B
F23J11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173732
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
【テーマコード(参考)】
3K023
3K261
3L037
【Fターム(参考)】
3K023BA02
3K023BA10
3K023BA13
3K023HA15
3K023HA16
3K023HA20
3K261MA06
3K261MA12
3K261MA20
3L037AA02
3L037AC01
3L037AC05
3L037AC11
(57)【要約】
【課題】サイズが大きい専用部材を用いることなく、簡易な構成によって所定のモータを効果的に冷却することが可能な温水装置を提供する。
【解決手段】燃焼装置8を有する温水装置本体部Aと、ファン1およびその駆動用のモータMと、外装ケース3の上壁部31に取付けられた給気アダプタ4と、を備えており、燃焼装置8およびモータMは、外装ケース3内の上部寄り領域に位置し、かつ平面視において、給気アダプタ4とファン1との相互間に燃焼装置8の少なくとも一部が位置している、温水装置WHであって、給気アダプタ4の空気流出口42は、略水平方向かつモータMと正対する方向を避けて開口しており、空気流出口42から流出した空気が、外装ケース3の側壁部32cによって向きを変えて進行することによりモータMの位置に到達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水加熱用の熱交換器およびこの熱交換器に燃焼ガスを供給するための燃焼装置を有する温水装置本体部と、
前記燃焼装置に燃焼用の混合気または空気を供給するためのファンおよびその駆動用のモータと、
前記温水装置本体部、前記ファンおよび前記モータを収容する収容空間部を形成する上壁部および側壁部を有する外装ケースと、
前記上壁部に取付けられ、かつ前記外装ケース内に外部の空気を流出させる空気流出口を有する給気アダプタと、
を備えており、
前記燃焼装置および前記モータは、前記外装ケース内の上部寄り領域に位置し、かつ平面視において、前記給気アダプタと前記ファンとの相互間に前記燃焼装置の少なくとも一部が位置している、温水装置であって、
前記給気アダプタの前記空気流出口は、略水平方向かつ前記モータと正対する方向を避けて開口しており、前記空気流出口から流出した空気が、前記外装ケースの前記側壁部によって向きを変えて進行することにより前記モータの位置に到達する構成とされていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記空気流出口は、前記側壁部に対して斜めに対向しており、前記空気流出口から流出した空気は、前記側壁部に当たり、かつ少なくともその一部が反射されることにより前記モータの位置に到達する構成とされている、温水装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水装置であって、
前記空気流出口から流出して前記側壁部に当たった空気を、前記モータに向けて進行させるようにガイドするガイド部材を、さらに備えている、温水装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温水装置であって、
前記温水装置本体部は、前記熱交換器によって熱回収を終えた排ガスを前記外装ケースの外部に導くための排ガス流路形成部材を備えており、
前記ガイド部材は、前記排ガス流路形成部材に設けられている、温水装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の温水装置であって、
前記温水装置本体部は、前記熱交換器によって熱回収を終えた排ガスを前記外装ケースの外部に導くための排ガス流路形成部材として、前記外装ケースの上壁部に取付けられた排気アダプタと接続され、かつ前記外装ケース内の上部寄り領域に設けられた排気ダクトカバーを、備えており、
前記給気アダプタの前記空気流出口は、上下高さ方向において、前記排気ダクトカバーの上面部と前記外装ケースの前記上壁部との相互間に位置している、温水装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の温水装置であって、
前記給気アダプタから前記モータまでの空気の進行経路中に、前記モータとは別の冷却対象部材が配置されている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置などの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の温水装置は、外装ケース内に、温水装置本体部が収容されている。この温水装置本体部は、湯水加熱用の熱交換器、およびこの熱交換器に燃焼ガスを供給するための燃焼装置を有し、かつ熱交換器によって燃焼ガスから熱回収を行なうことにより、熱交換器に送り込まれている湯水が加熱され、温水が生成可能である。また、外装ケースの上壁部には、外部の空気を外装ケース内に取り込むための給気アダプタが設けられている他、外装ケース内には、燃焼装置に燃料ガスと空気とが混合された混合気を供給するためのファンおよびその駆動用のモータも収容されている。
【0003】
前記モータには、熱に弱いICやコンデンサなどの電子部品が内蔵されている場合が多く、これを保護する必要がある。
そこで、特許文献1においては、給気アダプタの空気流出口から流出する空気を、モータの上方まで導いてから、モータに向けて進行させるダクト状の給気ボックスが、外装ケース内に組み込まれている。このような構成によれば、外装ケース内に取り込まれる空気を利用してモータを冷却し、モータが熱的ダメージを受けることを抑制することが可能である。
【0004】
前記した給気ボックスを用いず、たとえば外装ケース内に取り込まれる空気が、給気アダプタの空気流出口から単に下方に流出しただけでは、モータを効果的に冷却することは困難である。また、給気アダプタの下方に燃焼装置が存在する場合、この燃焼装置の外面部は、温水装置の運転中に比較的高温となるため、給気アダプタから下方に流出した空気は、燃焼装置の外面部に触れることにより、その温度が上昇する。したがって、このような空気がその後にモータに向けて進行したとしても、モータを効率よく冷却することはできない。特許文献1によれば、そのようなことも解消することが可能である。
【0005】
しかしながら、前記従来技術においては、モータを冷却するための手段として、給気アダプタの空気流出口から流出する空気をモータの上方まで導いてからモータに向けて進行させるための給気ボックスを用いているが、この給気ボックスは比較的大きなサイズのダクト状である。給気アダプタからモータまでの距離が長い場合、給気ボックスはより大きなサイズとなる。このため、製造コストの上昇や重量の増加を招き、さらには給気ボックスを取付けるためのスペースを確保するのに苦慮するといった不具合を生じ易い。したがって、このようなことを解消することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6730112号公報
【特許文献2】特公平4-74609号公報
【特許文献3】特開平9-329323号公報
【特許文献4】特開2014-159889号公報
【特許文献5】実開昭53-14233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、サイズが大きい専用部材を用いることなく、外部から外装ケース内に取り込んだ空気を利用して所定のモータを効果的に冷却することが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される温水装置は、湯水加熱用の熱交換器およびこの熱交換器に燃焼ガスを供給するための燃焼装置を有する温水装置本体部と、前記燃焼装置に燃焼用の混合気または空気を供給するためのファンおよびその駆動用のモータと、前記温水装置本体部、前記ファンおよび前記モータを収容する収容空間部を形成する上壁部および側壁部を有する外装ケースと、前記上壁部に取付けられ、かつ前記外装ケース内に外部の空気を流出させる空気流出口を有する給気アダプタと、を備えており、前記燃焼装置および前記モータは、前記外装ケース内の上部寄り領域に位置し、かつ平面視において、前記給気アダプタと前記ファンとの相互間に前記燃焼装置の少なくとも一部が位置している、温水装置であって、前記給気アダプタの前記空気流出口は、略水平方向かつ前記モータと正対する方向を避けて開口しており、前記空気流出口から流出した空気が、前記外装ケースの前記側壁部によって向きを変えて進行することにより前記モータの位置に到達する構成とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
まず、給気アダプタを介して外装ケース内に取り込まれる外部の空気は、給気アダプタの空気流出口から略水平方向に流出するため、給気アダプタの下方に向けて多くの空気が流れることはない。このため、前記空気が燃焼装置の外面部に触れて温度上昇することを防止または抑制し、温度上昇した空気がモータに供給されることを適切に回避することができる。
一方、平面視において、給気アダプタとファンとの相互間には、燃焼装置の少なくとも一部が位置しているため、たとえば単に給気アダプタからモータに向けて空気を直接流出させただけでは、ファンの吸気作用によって前記空気の多くが燃焼装置の外面部に触れるように流れる結果、温度上昇する虞がある。これでは、モータに対して温度が低い空気を適切に供給することが困難となる。これに対し、本発明によれば、給気アダプタの空気流出口からモータとは異なる向きに空気が流出し、かつこの空気は、外装ケースの側壁部を利用してその向きが変えられることにより、モータの位置に到達する。このため、前記空気の進行経路を、燃焼装置の上側を通過しない、あるいは極力通過しない迂回経路とすることができる。つまり、給気アダプタからモータに向けて空気が進行する過程において、この空気が燃焼装置による影響を強く受けて大きく温度上昇しないようにした上で、この空気をモータに作用させることが可能である。したがって、モータを効果的に冷却し、保護することが可能である。
このように、本発明によれば、空気をモータの位置に導くための手段として、外装ケースの側壁部を利用しており、特許文献1で用いられていたサイズが大きいダクト状の給気ボックスを用いる必要はない。このため、製造コストの上昇や重量の増加を抑制することができる。また、給気ボックスを取付けるためのスペースを確保するのに苦慮するといった不具合も解消することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記空気流出口は、前記側壁部に対して斜めに対向しており、前記空気流出口から流出した空気は、前記側壁部に当たり、かつ少なくともその一部が反射されることにより前記モータの位置に到達する構成とされている。
【0012】
このような構成によれば、外装ケースの側壁部を空気の反射壁として利用し、モータの位置に空気を効果的に供給することが可能である。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記空気流出口から流出して前記側壁部に当たった空気を、前記モータに向けて進行させるようにガイドするガイド部材を、さらに備えている。
【0014】
このような構成によれば、モータに向けて進行する空気の量を多くし、モータの冷却効率を高める上で、一層好ましいものとなる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記温水装置本体部は、前記熱交換器によって熱回収を終えた排ガスを前記外装ケースの外部に導くための排ガス流路形成部材を備えており、前記ガイド部材は、前記排ガス流路形成部材に設けられている。
【0016】
このような構成によれば、ガイド部材の取付け構造の合理化ならびに容易化が図られる。また、排ガス流路形成部材は、燃焼装置と比較すると、その外面部の温度は低いために、ガイド部材自体が高温になって、このガイド部材によってガイドされる空気が温度上昇することはない。また、ガイド部材によってガイドされる空気が排ガス流路形成部材に触れたとしても、やはり温度上昇することは抑制され、この空気を利用したモータの冷却を適切に行なうことができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記温水装置本体部は、前記熱交換器によって熱回収を終えた排ガスを前記外装ケースの外部に導くための排ガス流路形成部材として、前記外装ケースの上壁部に取付けられた排気アダプタと接続され、かつ前記外装ケース内の上部寄り領域に設けられた排気ダクトカバーを、備えており、前記給気アダプタの前記空気流出口は、上下高さ方向において、前記排気ダクトカバーの上面部と前記外装ケースの前記上壁部との相互間に位置している。
【0018】
このような構成によれば、給気アダプタの空気流出口から流出した空気は、排気ダクトカバーの上面部と外装ケースの上壁部との相互間領域を進行してモータに向かうこととなる。排気ダクトカバーは、燃焼装置と比較すると、その上面部(外面部)の温度は低い。したがって、前記空気を温度上昇が抑制された状態でモータの位置に向かわせることができる。また、排気ダクトカバーには、空気流出口から流出した空気が下向きに進行することを阻止する空気下降防止用の部材として機能させることも可能である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記給気アダプタから前記モータまでの空気の進行経路中に、前記モータとは別の冷却対象部材が配置されている。
【0020】
このような構成によれば、モータとは別の冷却対象部材も冷却することができるため、合理的である。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る温水装置の一例を示す要部断面概略正面図である。
【
図2】
図1に示す温水装置の概略構成を模式的に示す説明図である。
【
図4】
図1に示す温水装置において用いられている給気アダプタの斜視図である。
【
図5】
図1に示す温水装置において用いられているガイド部材付きの排気ダクトカバー(排ガス流路形成部材)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1および
図2に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、温水装置本体部A、ファン1およびその駆動用のモータM、外装ケース3、給気アダプタ4、排気アダプタ78、ならびにガイド部材6が設けられた排気ダクトカバー7(
図2では省略しており、
図3では網点模様を付している)を備えている。
【0025】
外装ケース3は、略直方体の中空状であり、温水装置本体部A、ファン1、モータM、および排気ダクトカバー7など、温水装置WHの主な構成部材を収容するための収容空間部30を内部に形成している。この外装ケース3は、たとえば薄肉の金属板を用いて形成された上壁部31、複数の側壁部32、および下壁部33を有している。複数の側壁部32は、左右一対の横側壁部32a,32b、後側壁部32c、前側壁部32d(
図3参照)に区分される。前側壁部32dは、外装ケース3の他の部分に対して着脱可能ないわゆるフロントパネルである。
【0026】
ファン1は、たとえば遠心式ファンであり、下面部に設けられた吸気口側に予混合装置19が接続され、かつ上面部には、駆動用のモータMが取付けられている。ファン1が駆動すると、予混合装置19内には、外装ケース3内の空気が吸気されるとともに、この予混合装置19に接続されている燃料ガス供給管(不図示)から燃料ガスが流入し、これら燃料ガスと空気とが混合した燃焼用の混合気が生成される。この混合気は、ファン1の吐出口から温水装置本体部Aの後述する予混合式の燃焼装置8に供給される。
【0027】
温水装置本体部Aは、燃焼装置8、1次および2次熱交換器9a,9b、ならびに排気ダクト79を備えている。
燃焼装置8は、既述したように、予混合式であり、バーナ80、バーナ80を囲むバーナ上側ケース81、およびバーナメインケース82を備えている。バーナ80は、複数の通気孔80aを有する多孔状プレート80bを具備する構成である。バーナ上側ケース81は、ファン1の吐出口側と接続されており、ファン1から吐出される燃焼用の混合気を多孔状プレート80bに対してその上方から供給可能とする。バーナ80には、点火用プラグ(不図示)などが付属して設けられている。前記混合気は、複数の通気孔80aを通過し、多孔状プレート80bの下方において燃焼する。バーナメインケース82内は、燃焼室に相当する。
【0028】
1次および2次熱交換器9a,9bは、伝熱管方式であり、燃焼装置8の下側に設けられている。燃焼装置8によって発生された燃焼ガスは、1次および2次熱交換器9a,9bに作用し、顕熱および潜熱が順次回収されることにより、1次および2次熱交換器9a,9bの各伝熱官内を通過する湯水は加熱される。このことにより温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。
【0029】
1次および2次熱交換器9a,9bを通過した燃焼ガスの排ガスは、排気ダクト79、および排気ダクトカバー7の後述する筒状部70を通過して、外装ケース3の上壁部31に設けられた排気アダプタ78に到達し、外装ケース3の外部に排気される。排気ダクト79は、2次熱交換器9bの下部側の位置から外装ケース3内の上部領域まで立ち上がるように設けられており、この排気ダクト79の上部に、排気ダクトカバー7が取付けられている。この排気ダクトカバー7は、
図5に示すように、上下高さ方向に起立する筒状部70を備えており、この筒状部70を介して排気ダクト79の上部と排気アダプタ78の下部とは接続され、排気ダクト79から排気アダプタ78に排ガスが流れるようになっている。
なお、排気ダクトカバー7は、本発明でいう排ガス流路形成部材の一例に相当し、たとえば樹脂製である。
【0030】
給気アダプタ4は、たとえば樹脂製であり、排気アダプタ78と同様に、外装ケース3の上壁部31に取付けられている。
図1において、符号99は、給気アダプタ4を覆うためのカバー体を示している。符号98は、排気アダプタ78に接続された外部排気ダクトを示している。
【0031】
給気アダプタ4は、
図4に示すような形態であり、外装ケース3の上壁部31への取付けを図るための水平状のフランジ板部40、およびこのフランジ板部40を上下に貫通するように設けられた略円筒状の本体部41を備えている。本体部41のうち、フランジ板部40よりも下側に位置する下部領域41aは、外装ケース3の上壁部31の下方に突出する領域であり、この下部領域41aの側周面部に、略水平方向を向いて開口した空気流出口42が設けられている。下部領域41aの底部41bは塞がっている。温水装置WHの運転時において、ファン1が駆動されると外装ケース3内に負圧が発生するため、外部空気は給気アダプタ4内にその上部開口部から流入し、空気流出口42から外装ケース3内に流出する。
【0032】
給気アダプタ4は、既述したように、外装ケース3の上壁部31に取付けられている。給気アダプタ4の空気流出口42は、上下高さ方向において、排気ダクトカバー7の上面部と外装ケース3の上壁部31との相互間に位置している。一方、ファン1およびその駆動用のモータM、燃焼装置8のバーナ上側ケース81、ならびに排気ダクトカバー7は、いずれも外装ケース3内の上部寄りに位置しており、これらは、平面視において、
図3に示すような位置関係にある。
【0033】
すなわち、ファン1およびモータMと、給気アダプタ4とは、水平方向に適当な距離だけ離間しているが、平面視において、ファン1と給気アダプタ4との相互間には、バーナ上側ケース81の一部、および排気ダクトカバー7が位置している。
【0034】
これに対し、給気アダプタ4の空気流出口42は、略水平方向に開口し、かつ外装ケース3の側壁部32(後側壁部32c)に対して斜めに対向している。より詳細には、空気流出口42は、空気流出口42から流出した空気が、外装ケース3の後側壁部32cによって反射されることにより、モータMの位置に到達する向きに設定されている。好ましくは、後側壁部32cのうち、給気アダプタ4の空気流出口42が対向する位置Pは、給気アダプタ4の中心Oaと、モータMの中心Obとのそれぞれから位置Pに向けて2本の直線La,Lbを引いた場合に、位置Pを通過する法線NLに対するそれらの直線La,Lbの傾斜角α,βが略同一となる関係である。なお、直線Lbは、排気ダクトカバー7に設けられた筒状部70を横切らない。
【0035】
ガイド部材6は、後側壁部32cによって反射された空気をモータMに向けてガイドし、モータMに向かう空気量を多くするための部材であり、平面視において、前記した直線Lbと略同一の角度で傾いたガイド面60を有している。このガイド部材6は、
図5に示すように、排気ダクトカバー7の上面部に設けられ、かつ上向きに突出した板状である。好ましくは、このガイド部材6は、排気ダクトカバー7に一体成形されている。
【0036】
次に、前記した温水装置WHの作用について説明する。
【0037】
ます、給気アダプタ4を介して外装ケース3内に取り込まれる外部の空気は、給気アダプタ4の空気流出口42から略水平方向に流出して、外装ケース3の後側壁部32cに当たり、この後側壁部32cによって反射されてからモータMに向かう。温水装置WHの運転中には、バーナ上側ケース81の上面部はかなりの高温になるが、前記した経路で空気が流れると、前記空気がバーナ上側ケース81に触れて温度上昇を生じてからモータMに
向かうことはない。したがって、モータMには、バーナ上側ケース81に起因した温度上昇を生じていない空気を作用させ、モータMを効果的に冷却することが可能である。モータMには、ICチップやコンデンサなどが組み込まれているが、これらが熱的ダメージを受けないようにすることが可能である。
【0038】
給気アダプタ4の空気流出口42から流出した空気が、外装ケース3の後側壁部32cに当たって反射される場合、実際には、この空気流れは整然とした流れとはならず、後側壁部32cからの反射の向きなどにはバラツキが生じる。これに対し、ガイド部材6は、そのような空気をモータMに向けて流れさせるようにガイドする。したがって、モータMに作用する空気の量を多くし、モータMの冷却効果をより高めることが可能である。
ガイド部材6は、排気ダクトカバー7に設けられているが、この排気ダクトカバー7は、バーナ上側ケース81とは異なり、さほど高温にはならない。したがって、ガイド部材6にガイドされる空気が大きく温度上昇するといった不具合もない。また、排気ダクトカバー7は、空気流出口42から略水平方向に流出した空気が、下向きに進行することを抑制する役割を果たし、このこともモータMに向けての空気供給量を大きくするのに役立つ。
【0039】
このように、本実施形態によれば、空気をモータMの位置に導いて冷却するための手段として、外装ケース3の後側壁部32cを利用している。したがって、たとえばサイズが大きいダクト状の給気ボックスを用いる手段と比較すると、製造コストの低減や、重量の軽減などを好適に図ることが可能である。
本実施形態においては、ガイド部材6が設けられているものの、このガイド部材6は、排気ダクトカバー7に一体成形されているため、その製造コストは廉価であり、またガイド部材6を取付けるための専用のビス止め手段なども不要である。さらに、ガイド部材6は、比較的小サイズの単なる板状であればよく、このガイド部材6を取付けるためのスペースを確保するのに苦慮することもない。
【0040】
なお、温水装置WHにおいては、
図3に仮想線で示すように、モータMとは別の冷却対象部材95を、給気アダプタ4からモータMまでの空気の進行経路の途中に配置した構成とすることもできる。冷却対象部材95の種類は限定されないが、たとえば熱に弱い電気部品、電子部品などを対象とすることができる。
【0041】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0042】
上述の実施形態においては、給気アダプタ4の空気流出口42から流出する空気を、外装ケース3の後側壁部32cに当てて反射させているが、本発明は、これに限定されない。本発明においては、外装ケースの後側壁部とは異なる側壁部に空気を当て、反射させるように構成することもできる。
また、本発明においては、外装ケースの側壁部によって空気を反射させるだけではなく、これに代えて、または加えて、空気を外装ケースの側壁部に沿わせて流れさせることにより、モータに向かわせるように構成することもできる。
要は、空気流出口は、略水平方向かつ前記モータと正対する方向を避けて開口し、空気流出口から流出した空気が、外装ケースの側壁部によって向きを変えて進行することによりモータの位置に到達する構成とされていればよい。
【0043】
上述の実施形態においては、燃焼装置として、予混合式のものが用いられているが、これに限定されない。燃焼装置が予混合式でない場合、ファンから燃焼装置には、燃焼用の混合気に代えて、燃焼用の空気が供給される。
本発明においては、ファンやその駆動用モータの具体的な種類なども限定されない。ガ
イド部材は、排気ダクトカバーとは別体に形成されていてもよい他、たとえば外装ケースの側壁部に取付けられた構成とすることも可能である。
本発明に係る温水装置は、一般給湯用に限らず、たとえば風呂給湯用や、温水暖房用などとすることもできる。
【符号の説明】
【0044】
A 温水装置本体部
M モータ
WH 温水装置
1 ファン
3 外装ケース
30 収容空間部
31 上壁部
32 側壁部
32(32c) 後側壁部
4 給気アダプタ
42 空気流出口
6 ガイド部材
7 排気ダクトカバー(排ガス流路形成部材)
8 燃焼装置
9a,9b 1次および2次熱交換器(熱交換器)