(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063750
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ボルト検査装置およびボルト検査システム
(51)【国際特許分類】
B07C 5/10 20060101AFI20230428BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230428BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B07C5/10
G01N21/88 Z
B65G47/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173741
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】512189451
【氏名又は名称】株式会社岡部機械工業
(71)【出願人】
【識別番号】502316913
【氏名又は名称】大和軌道製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 英昭
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩通
(72)【発明者】
【氏名】丸山 元祥
(72)【発明者】
【氏名】竹林 正輝
(72)【発明者】
【氏名】高馬 幸洋
(72)【発明者】
【氏名】花崎 哲也
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
3F080
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051CA04
2G051DA01
2G051DA13
2G051GC15
3F079AD01
3F079CA18
3F079CA31
3F079CB29
3F079DA02
3F080AA24
3F080BA01
3F080BC03
3F080CB03
(57)【要約】
【課題】 ボルトの各部を検査するために検査位置を変更する自由度が高いボルト検査装置を提供する。
【解決手段】 軸心が縦向きとなるようにボルト受け具に支持されたボルトを上下方向から把持する把持装置と、把持装置の動作を制御する制御装置と、を備え、把持装置は、ボルトの下端に当接する下当接部材を有する下部把持機構と、ボルトの上端に当接する上当接部材を有する上部把持機構と、下当接部材と上当接部材とで上下方向から把持した状態のボルトを上下動させる昇降機構と、下当接部材と上当接部材とで上下方向から把持した状態のボルトを回転させる回転機構と、を有し、制御装置は、ボルトが所定の角度位置および高さ位置に到達したことを検出して当該ボルトをその角度位置および前記高さ位置で停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心が縦向きとなるようにボルト受け具に支持されたボルトを上下方向から把持する把持装置と、
前記把持装置の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記把持装置は、前記ボルトの下端に当接する下当接部材を有する下部把持機構と、前記ボルトの上端に当接する上当接部材を有する上部把持機構と、前記下当接部材と前記上当接部材とで上下方向から把持した状態の前記ボルトを上下動させる昇降機構と、前記下当接部材と前記上当接部材とで上下方向から把持した状態の前記ボルトを回転させる回転機構と、を有し、
前記制御装置は、前記ボルトが所定の角度位置および高さ位置に到達したことを検出して当該ボルトを前記角度位置および前記高さ位置で停止させる、ボルト検査装置。
【請求項2】
前記昇降機構は、前記下当接部材を上下動させる高さ位置を制御できる単軸ロボットを有している、請求項1に記載のボルト検査装置。
【請求項3】
前記下部把持機構は、前記下当接部材と前記単軸ロボットとの間に当該下当接部材を回転させる回転機構を有し、
前記上部把持機構は、前記上当接部材の上下動を許容する流体圧シリンダを備え、前記上当接部材は、前記ボルトと当接する部分に回転部を有している、請求項2に記載のボルト検査装置。
【請求項4】
前記ボルト受け具で支持した前記ボルトの揺れを止める揺れ止め装置をさらに備えている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項5】
前記ボルトは、頭部に軸方向と交差する方向のピン孔を有し、
前記ボルトを挟んで対向するように配置された投光器とカメラセンサとを有するピン孔検出装置と、前記投光器の光軸と同一方向に軸心が配置された検査ピンを有するピン挿入装置と、を有するピン孔検査装置をさらに備え、
前記ピン孔検出装置と前記ピン挿入装置とは、前記投光器の光軸と前記検査ピンの軸心とが上下方向に離間するように配置され、
前記制御装置は、前記把持装置で前記ボルトの前記頭部を前記投光器の高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを回転させ、前記投光器から前記ボルトの前記頭部に投光した光軸上に前記ピン孔の軸線が位置したことを前記カメラセンサが検出した角度で前記ボルトの回転を止め、前記把持装置で前記ピン孔を前記検査ピンの高さに配置し、前記検査ピンを前記ピン孔に挿通させて当該ピン孔を検査するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項6】
前記ピン挿入装置の所定高さに配置した前記ボルトの軸位置を保つ定位置保持装置をさらに備えている、請求項5に記載のボルト検査装置。
【請求項7】
前記ピン挿入装置は、前記検査ピンの軸心を所定範囲で移動可能なように保持する保持部を有している、請求項5または6に記載のボルト検査装置。
【請求項8】
前記ピン挿入装置は、前記検査ピンを案内するピンガイドと、前記検査ピンと前記ピンガイドを進退させる駆動部と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記検査ピンを前記ピン孔に挿通させるときには前記駆動部で前記検査ピンと前記ピンガイドを前記ボルトに向けて進出させ、前記検査ピンを前記ピン孔から抜くときには前記駆動部で前記検査ピンを先に後退させるように構成されている、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項9】
前記ボルトの側頭部を所定高さ位置で検出する距離センサと、前記距離センサの前記ボルトの軸心に対する検出軸と所定角度で前記ボルトの軸心と対向する撮影軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの前記撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、を有する側頭部検査装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトの頭部を前記距離センサの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記側頭部の不良を検査する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項10】
前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器をさらに備え、
前記投光器は、光軸が前記画像処理カメラの前記撮影軸と同軸上となるように配置され、
前記制御装置は、前記距離センサで前記頭部の側頭部と正対する位置を検出し、前記回転機構で前記ボルトを前記側頭部が前記検出軸と正対する所定角度で回転させ、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記頭部のピン孔の位置検査をする、請求項9に記載のボルト検査装置。
【請求項11】
前記距離センサの高さに配置した前記ボルトを、その位置で回転可能に保持するローラチャック装置をさらに備えている、請求項9または10に記載のボルト検査装置。
【請求項12】
前記ボルトの軸心に対向する撮影軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器と、を有する軸部検査装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトの軸部を前記画像処理カメラの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で順次回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記軸部の不良を検査するとともに、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記軸部の直径を検査する、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項13】
前記ボルトの軸心に対向する検出軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器と、を有するネジ部検査装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトのネジ部を前記画像処理カメラの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記ネジ部の不良を検査するとともに、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記ネジ部の寸法を検査する、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項14】
前記ボルト受け具を外周部に所定の角度間隔で複数設けた回転テーブルを有するボルト送り装置をさらに備え、
前記ボルト受け具は、前記ボルトの軸部を水平方向に通過させる開口部と、前記頭部を下方から支持する載置部と、を有し、
前記制御装置は、前記回転テーブルを所定の前記角度間隔で回転させ、前記ボルトを前記ボルト受け具で順次支持するように構成されている、請求項5乃至13のいずれか1項に記載のボルト検査装置。
【請求項15】
前記回転テーブルに設けられた前記ボルト受け具の角度間隔と同じ角度間隔で少なくともピン孔検査装置または側頭部検査装置を備え、
前記ピン孔検査装置または前記側頭部検査装置の位置に前記把持装置が配置されている、請求項14に記載のボルト検査装置。
【請求項16】
前記ボルト受け具に支持された前記ボルトを下方から上昇させる上昇機構と、前記上昇機構で上昇させた前記ボルトを前記回転テーブルの外方向へ押し出す排出機構と、を備えたボルト排出装置をさらに備え、
前記ボルト排出装置は、少なくとも前記ボルトの頭部検査の後流側に配置されている、請求項15に記載のボルト検査装置。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のボルト検査装置を備え、
前記ボルトを前記ボルト検査装置の前記ボルト受け具に供給するボルト供給装置と、前記ボルト供給装置に前記ボルトを投入するボルト投入装置と、を備え、
前記ボルト投入装置は、複数の前記ボルトが投入されたトレイを揺動させて前記ボルトを前記ボルト供給装置に送る揺動機構を有し、
前記ボルト供給装置は、前記ボルトの頭部を下方から支持して前記ボルト検査装置の方向に送る移送機構と、前記移送機構で移送された前記ボルトの頭部を下方から支持して所定間隔で前記ボルト検査装置の前記ボルト受け具に供給する供給機構と、を有している、ボルト検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ボルトの検査装置とそれを備えたボルト検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品において、使用前に部品の状態を検査する場合がある。例えば、用途が限られたボルト(この明細書および特許請求の範囲の書類中における「ボルト」は、六角ボルト、Tボルトなどを含み、総称する場合は単に「ボルト」という)などは全数検査が行われる場合がある。しかし、ボルトの頭部、軸部などを全数検査する場合、作業者が行うと多くの時間と労力を要する。
【0003】
このため、この種の先行技術として、1つの連続した搬送路上でボルトを搬送しながら、頭部の長さと軸部の長さをタッチセンサーで検出し、不良品と判別すると搬送装置を停止させて対応するランプを点灯させるボルトの不良品検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の先行技術として、ボルト頭部に向けて直角に投光し、ボルト頭部の部分を通過した光からボルト頭部の欠陥を検出するボルトの連続高速品質検査法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59-95402号公報
【特許文献2】特開昭63-42452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、タッチセンサーによる頭部と軸部の長さしか検出できず、頭部の欠損などを適切に検出することは難しい。また、上記特許文献2では、投光して頭部の部分を通過した光でしか欠陥を検出できず、光が通過しない小さな欠損などを適切に検出することは難しい。したがって、上記先行技術文献では、ボルトの限られた箇所の検査しかできない。
【0007】
そこで、本願発明は、ボルトの頭部など各部を検査するために、ボルトの検査位置を変更する自由度が高いボルト検査装置と、それを備えたボルト検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明に係るボルト検査装置は、軸心が縦向きとなるようにボルト受け具に支持されたボルトを上下方向から把持する把持装置と、前記把持装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記把持装置は、前記ボルトの下端に当接する下当接部材を有する下部把持機構と、前記ボルトの上端に当接する上当接部材を有する上部把持機構と、前記下当接部材と前記上当接部材とで上下方向から把持した状態の前記ボルトを上下動させる昇降機構と、前記下当接部材と前記上当接部材とで上下方向から把持した状態の前記ボルトを回転させる回転機構と、を有し、前記制御装置は、前記ボルトが所定の角度位置および高さ位置に到達したことを検出して当該ボルトを前記角度位置および前記高さ位置で停止させる。
【0009】
この構成により、軸心が縦向きとなるように支持されたボルトの上端と下端を把持装置によって上下方向から把持し、その状態のボルトを昇降機構で高さ位置を変更でき、回転機構で角度位置を変更することができる。よって、ボルト検査装置で検査するボルトを、側方から周囲の検査が可能な状態で、所定の高さ位置および角度位置に変更して各部の検査ができる。
【0010】
また、前記昇降機構は、前記下当接部材を上下動させる高さ位置を制御できる単軸ロボットを有していてもよい。このように構成すれば、把持機構によって下端と上端で把持されたボルトを、昇降機構の単軸ロボットで上下動させて正確な高さ位置に配置することができる。
【0011】
また、前記下部把持機構は、前記下当接部材と前記単軸ロボットとの間に当該下当接部材を回転させる回転機構を有し、前記上部把持機構は、前記上当接部材の上下動を許容する流体圧シリンダを備え、前記上当接部材は、前記ボルトと当接する部分に回転部を有していてもよい。この明細書および特許請求の範囲の書類中における「流体圧シリンダ」は、「油圧」、「空圧」などの流体圧を用いるシリンダをいう。このように構成すれば、下部把持機構の下当接部材と上部把持機構の上当接部材とによって上端と下端とで把持したボルトは、流体圧シリンダと単軸ロボットで把持された状態を保ちながら、回転機構で回転部との間で回転させることができる。
【0012】
また、前記ボルト受け具で支持した前記ボルトの揺れを止める揺れ止め装置をさらに備えていてもよい。このように構成すれば、ボルト受け具で支持したボルトに対し、揺れ止め装置で揺れを止めることで検査を迅速に進めることができる。
【0013】
また、前記ボルトは、頭部に軸方向と交差する方向のピン孔を有し、前記ボルトを挟んで対向するように配置された投光器とカメラセンサとを有するピン孔検出装置と、前記投光器の光軸と同一方向に軸心が配置された検査ピンを有するピン挿入装置と、を有するピン孔検査装置をさらに備え、前記ピン孔検出装置と前記ピン挿入装置とは、前記投光器の光軸と前記検査ピンの軸心とが上下方向に離間するように配置され、前記制御装置は、前記把持装置で前記ボルトの前記頭部を前記投光器の高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを回転させ、前記投光器から前記ボルトの前記頭部に投光した光軸上に前記ピン孔の軸線が位置したことを前記カメラセンサが検出した角度で前記ボルトの回転を止め、前記把持装置で前記ピン孔を前記検査ピンの高さに配置し、前記検査ピンを前記ピン孔に挿通させて当該ピン孔を検査するように構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、頭部にピン孔が設けられたボルトであっても、ボルトの上端と下端を把持装置で把持し、ピン孔検出装置の位置でボルトの頭部に投光器から投光した光でピン孔の位置を検出し、ピン挿入装置の位置でピン孔に検査ピンを挿入してピン孔を検査することができる。よって、ボルトの頭部に設けられたピン孔を機械的に検査することができる。
【0015】
また、前記ピン挿入装置の所定高さに配置した前記ボルトの軸位置を保つ定位置保持装置をさらに備えていてもよい。このように構成すれば、ピン挿入装置の位置に移動させたボルトの軸位置を定位置保持装置で保つことができ、ピン挿入装置による検査時にボルトが傾かないようにボルトの軸位置を保つことができる。
【0016】
また、前記ピン挿入装置は、前記検査ピンの軸心を所定範囲で移動可能なように保持する保持部を有していてもよい。このように構成すれば、ピン孔とピン挿入装置の挿入ピンの軸心に多少のズレが生じても、挿入ピンが保持部の移動可能な範囲で移動してピン孔に挿入される。よって、ピン挿入装置に配置するボルトの位置精度をより広くできる。
【0017】
また、前記ピン挿入装置は、前記検査ピンを案内するピンガイドと、前記検査ピンと前記ピンガイドを進退させる駆動部と、をさらに備え、前記制御装置は、前記検査ピンを前記ピン孔に挿通させるときには前記駆動部で前記検査ピンと前記ピンガイドを前記ボルトに向けて進出させ、前記検査ピンを前記ピン孔から抜くときには前記駆動部で前記検査ピンを先に後退させるように構成されていてもよい。このように構成すれば、ピン孔に検査ピンを挿入するときには、検査ピンとともにピンガイドをボルトに向けて進出させてピンガイドで検査ピンをガイドし、ピン孔検査後の検査ピンはピン孔から抜かれた後にピンガイドを後退させてピンガイドで後退させる検査ピンをガイドするようにできる。
【0018】
また、前記ボルトの側頭部を所定高さ位置で検出する距離センサと、前記距離センサの前記ボルトの軸心に対する検出軸と所定角度で前記ボルトの軸心と対向する撮影軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの前記撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、を有する側頭部検査装置をさらに備え、前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトの頭部を前記距離センサの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記側頭部の不良を検査する、ようにしてもよい。この明細書および特許請求の範囲の書類中における「画像処理カメラ」は、カメラで撮影した画像を制御装置で画像処理するカメラを含む。また、「同軸照明」は、カメラ軸(「撮影軸」ともいう)と同軸上に光軸を有する照明(疑似同軸照明)をいう。
【0019】
この構成によれば、ボルトの上端と下端を把持装置で把持し、距離センサでボルトの側頭部が同軸照明の位置に配置されたことを検出し、そのボルトを所定角度で回転させながら同軸照明から投光して画像処理カメラで得られた画像から、側頭部の打痕、錆などの不良を検査することができる。よって、ボルトの側頭部における不良を機械的に検査することができる。
【0020】
また、前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器をさらに備え、前記投光器は、光軸が前記画像処理カメラの前記撮影軸と同軸上となるように配置され、前記制御装置は、前記距離センサで前記頭部の側頭部と正対する位置を検出し、前記回転機構で前記ボルトを前記側頭部が前記検出軸と正対する所定角度で回転させ、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記頭部のピン孔の位置検査をする、ようにしてもよい。このように構成すれば、側頭部にピン孔が設けられたボルトに対し、側頭部に対して投光器から投光して画像処理カメラで得られた画像からピン孔の位置を検査することができる。よって、ボルトの側頭部に設けられたピン孔を画像処理でも検査することができる。
【0021】
また、前記距離センサの高さに配置した前記ボルトを、その位置で回転可能に保持するローラチャック装置をさらに備えていてもよい。このように構成すれば、距離センサの高さに配置したボルトをローラチャック装置で保持し、ボルトを軸心位置が安定した状態で回転可能に保持できる。
【0022】
また、前記ボルトの軸心に対向する撮影軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器と、を有する軸部検査装置をさらに備え、前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトの軸部を前記画像処理カメラの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で順次回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記軸部の不良を検査するとともに、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記軸部の直径を検査する、ようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、画像処理カメラの高さに配置して所定角度で順次回転させるボルトの軸部に対し、同軸照明から投光して画像処理カメラで得た画像から軸部の打痕や錆などの不良を検査し、投光器から投光して画像処理カメラで得た画像から軸部の直径が基準値以内か否かを検査することができる。
【0024】
また、前記ボルトの軸心に対向する検出軸を有する画像処理カメラと、前記画像処理カメラと前記ボルトの間に配置され、前記画像処理カメラの撮影軸と光軸が同一の同軸照明と、前記ボルトを挟んで前記画像処理カメラと対向するように配置された投光器と、を有するネジ部検査装置をさらに備え、前記制御装置は、前記昇降機構で前記ボルトのネジ部を前記画像処理カメラの高さに配置し、前記回転機構で前記ボルトを所定角度で回転させ、前記同軸照明から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記ネジ部の不良を検査するとともに、前記投光器から投光して前記画像処理カメラで得た画像から前記ネジ部の寸法を検査する、ようにしてもよい。
【0025】
この構成によれば、画像処理カメラの高さに配置して所定角度で順次回転させるボルトの軸部に対し、同軸照明から投光して画像処理カメラで得た画像からネジ部の打痕や錆などの不良を検査し、投光器から投光して画像処理カメラで得た画像からネジ部の寸法が基準値以内か否かを検査することができる。
【0026】
また、前記ボルト受け具を外周部に所定の角度間隔で複数設けた回転テーブルを有するボルト送り装置をさらに備え、前記ボルト受け具は、前記ボルトの軸部を水平方向に通過させる開口部と、前記頭部を下方から支持する載置部と、を有し、前記制御装置は、前記回転テーブルを所定の前記角度間隔で回転させ、前記ボルトを前記ボルト受け具で順次支持するように構成されていてもよい。このように構成すれば、ボルト送り装置の回転テーブルに複数設けられたボルト受け具によってボルトを順次支持し、回転テーブルを回転させることで、所定の角度間隔で設けられたボルト受け具に支持されているボルトを順次検査装置に送ることができる。よって、回転テーブルの周囲に複数の検査装置を配置すれば、回転テーブルを回転させてボルトに対する複数の検査を順次および/または同時に行うことができる。
【0027】
また、前記回転テーブルに設けられた前記ボルト受け具の角度間隔と同じ角度間隔で少なくともピン孔検査装置または側頭部検査装置を備え、前記ピン孔検査装置または前記側頭部検査装置の位置に前記把持装置が配置されていてもよい。このように構成すれば、回転テーブルに設けられたボルト受け具で支持したボルトを、所定の角度間隔で配置されたピン孔検出装置または側頭部検査装置で順次および/または同時に検査することができる。よって、ボルト検査装置をコンパクトに形成し、ボルトの検査を効率良く行うことができる。
【0028】
また、前記ボルト受け具に支持された前記ボルトを下方から上昇させる上昇機構と、前記上昇機構で上昇させた前記ボルトを前記回転テーブルの外方向へ押し出す排出機構と、を備えたボルト排出装置をさらに備え、前記ボルト排出装置は、少なくとも前記ボルトの頭部検査の後流側に配置されていてもよい。このように構成すれば、検査によって不良品と判定されたボルトは、上昇機構によって頭部がボルト受け具から浮かされ、排出機構によって回転テーブルの外方向へ押し出される。よって、複数の検査を行う構成であれば、不良品と判定されたボルトを検査の途中で排出することができる。
【0029】
一方、本願発明に係るボルト検査システムは、前記いずれかのボルト検査装置を備え、前記ボルト検査装置に前記ボルトを供給するボルト供給装置と、前記ボルト供給装置に前記ボルトを投入するボルト投入装置と、を備え、前記ボルト投入装置は、複数の前記ボルトが投入されたトレイを揺動させて前記ボルトを前記ボルト供給装置に送る揺動機構を有し、前記ボルト供給装置は、前記ボルトの頭部を下方から支持して前記ボルト検査装置の方向に送る移送機構と、前記移送機構で移送された前記ボルトの頭部を下方から支持して所定間隔で前記ボルト検査装置の前記ボルト受け具に供給する供給機構と、を有している。
【0030】
この構成により、ボルト投入装置においてボルトが均され、ボルト投入装置からボルト供給装置に送られたボルトは、頭部を下方から支持した状態で移送機構によって所定間隔でボルト検査装置の方向に送られ、供給機構によってボルトの頭部を下方から支持した状態でボルト検査装置のボルト受け具に供給される。よって、ボルト検査装置のボルト受け具に対してボルトを適切に供給することができる。
【発明の効果】
【0031】
本願発明によれば、ボルトの頭部など各部を検査するために、ボルトの検査位置を変更する自由度が高いボルト検査装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本願発明の一実施形態に係るボルト検査装置を含むボルト検査システムの平面図と、ボルトの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すボルト検査装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すボルト検査装置のボルト受け具を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すボルト検査装置の頭頂部検査装置の部分を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示すボルト検査装置の把持装置の部分を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す把持装置の構成を示す詳細図であり、(a)は上部把持機構の部分を示す側面図、(b)は下部把持機構の部分を示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示すボルト検査装置のピン孔検査装置の部分を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示すピン孔検査装置の定位置保持装置を示す図面であり、(a)は保持前の状態を示す平面図、(b)は保持状態を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示すピン孔検査装置の揺れ止めチャックを示す図面であり、(a)は揺れ止め前の状態を示す平面図、(b)は揺れ止め時の状態を示す平面図、(c)は側面図である。
【
図10】
図10は、
図7に示すピン孔検査装置によってピン孔を検査する状態を示す図面であり、(a)はピン孔を検出するときの側面図、(b)はピン孔を検査する前の側面図、(c)はピン孔の検査時の側面図である。
【
図11】
図11は、
図10(c)に示すピン孔検査装置によるピン孔の検査状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11に示すピン孔の検査状態から検査ピンを抜く状態を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、
図2に示すボルト検査装置の側頭部検査装置の部分を示す図面であり、(a)は側頭部検査装置の斜視図、(b)は構成の配置を示す平面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示す側頭部検査装置のローラチャック装置を示す図面であり、(a)は保持前の状態を示す平面図、(b)は保持状態を示す平面図である。
【
図15】
図15は、
図13に示す側頭部検査装置による側頭部の検査状態を示す図面であり、(a)はボルトの位置を検出する状態の斜視図、(b)は側頭部を検査する状態の斜視図である。
【
図16】
図16は、
図2に示すボルト検査装置の軸部検査装置の部分を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、
図2に示すボルト検査装置のネジ部検査装置の部分を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、
図2に示すボルト検査装置のボルト排出装置の部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本願発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、ボルト200に対して複数の検査を順次行うことができるボルト検査装置2を例に説明する。以下の実施形態では、ボルト200の一例として六角ボルトを例に説明する。なお、ボルト検査装置2は、以下の実施形態における一部の検査を行う装置であってもよく、以下の実施形態に限定されるものではない。また、ボルト200は、六角ボルトの他、Tボルトなども含む。この明細書および特許請求の範囲の書類中における上流側および下流側の概念は、
図1に示す回転テーブル10の回転方向Rの前方を上流側、後方を下流側とする。
【0034】
(ボルト検査システムの構成)
図1は、一実施形態に係るボルト検査装置2を含むボルト検査システム1の平面図と、ボルトの斜視図である。この実施形態のボルト検査システム1は、ボルト検査装置2と、ボルト検査装置2にボルト200を供給するボルト供給装置3と、ボルト供給装置3にボルト200を投入するボルト投入装置4と、を備えている。ボルト検査装置2、ボルト供給装置3およびボルト投入装置4の動作は、制御装置5によって制御されている。
【0035】
この実施形態で検査されるボルト200は、六角の頭部201と軸部203とネジ部204を有している。頭部201は、頭頂部201aと側頭部201bを有している。頭部201には、ピン孔202が設けられている。軸部203の軸心205の延びる方向を、軸方向という。
【0036】
この実施形態のボルト検査装置2は、検査するボルト200の頭部201を下方から支持するボルト受け具11と、このボルト受け具11が外周部に所定の角度間隔θで複数設けられた平面視が円形の回転テーブル10と、この回転テーブル10の周囲に備えられた複数の検査装置20,50,70,80,90とを有している。回転テーブル10は、図示しない駆動装置によって所定の角度間隔θで回転方向Rの方向に回転させられ、ボルト200を下流側へ送る。この構成がボルト送り装置である。ボルト受け具11の配置、各検査装置20,50,70,80,90の詳細は後述する。
【0037】
ボルト投入装置4は、複数のボルト200が溜められたボックス4aと、このボックス4aからボルト200が投入されるトレイ4bとを有している。トレイ4bは、前後方向に揺動して複数のボルト200をボルト供給装置3へ送る揺動機構(例えば、トレイ4bをカムを用いて揺動させる機構:図示略)を有している。このボルト投入装置4により、トレイ4bに投入されたボルト200がボルト供給装置3へ送られる。
【0038】
ボルト供給装置3は、ボルト供給装置3から供給されたボルト200の頭部201を下方から支持してボルト検査装置2の方向に送る移送機構3aと、移送機構3aで移送されたボルト200の頭部201を下方から支持して所定間隔でボルト検査装置2のボルト受け具11に供給する供給機構3bとを有している。供給機構3bは、ボルト200を送る送り板3cを有している。
【0039】
これにより、ボルト投入装置4からボルト供給装置3に送られたボルト200を、頭部201を下方から支持した状態でボルト検査装置2に送ることができる。そして、頭部201を下方から支持した状態のボルト200を、ボルト検査装置2の各ボルト受け具11に供給することができる。供給機構3bの詳細は、後述する。
【0040】
(ボルト検査装置の全体構成)
図2は、
図1に示すボルト検査装置2の全体構成を示す平面図である。
図3は、
図2に示すボルト検査装置2のボルト受け具11を示す図面であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0041】
図2に示すように、この実施形態のボルト検査装置2は、外周部に所定の角度間隔θで複数のボルト受け具11が設けられた回転テーブル10を有している。図では、一部のボルト受け具11が見える状態となっているが、ボルト受け具11は、回転テーブル10の全周に所定の角度間隔θで設けられている。そして、回転テーブル10のボルト受け具11が設けられた所定の角度間隔θで、複数の検査装置20,50,70,80,90が設けられている。回転テーブル10の周囲には、検査装置20,50,70,80,90以外に後述する他の装置30,100も設けられている。回転テーブル10は円形で形成されており、中心点O
1から全てのボルト受け具11の中心O
2(支持したボルト200の軸心205:
図3)までの距離は同一となっている。各ボルト受け具11は、制御装置5によって位置制御されている。よって、制御装置5は、どのボルト受け具11に支持されたボルト200が、どの検査装置によって検査されているかの管理、およびその検査結果などを管理する。なお、制御装置5は、図では単独の構成で示しているが、複数の構成であっても、一部の処理を行うパーソナルコンピュータなどを含む構成であってもよい。
【0042】
図3(a)、(b)に示すように、ボルト受け具11は、回転テーブル10の外周方向にボルト200の軸部203を通過させる開口部11aと、この開口部11aを通過させたボルト200の頭部201を載置する載置部11bとを有している。載置部11bは、ボルト受け具11の上面から所定深さの凹状に形成されている。ボルト200は、軸部203が開口部11aを通過すると、頭部201の下面が載置部11bに支持される。ボルト200は、ボルト受け具11に頭部201が支持された状態では、軸心205が縦向きとなる。
【0043】
図2に示すように、この実施形態のボルト検査装置2は、ボルト受け具11に向けて図の左方向に備えられたボルト供給装置3からボルト200が供給される。この実施形態のボルト供給装置3は、ボルト200の頭部201を下方から支持してボルト検査装置2の方向に送る移送機構3aと、この移送機構3aで移送されたボルト200の頭部201を下方から支持する平面視が円形の送り板3cを有する供給機構3bとを有している。送り板3cは、周囲に所定間隔でボルト200の頭部201を下方から支持して送る。この送り板3cを回転させることで、ボルト200を所定間隔でボルト検査装置2の方向に送ることができる。送り板3cに支持されたボルト200は、頭部201がボルト受け具11の上面よりも高い位置で送られる。
【0044】
供給機構3bでボルト検査装置2の回転テーブル10のボルト受け具11近傍に送られたボルト200は、ボルト受け具11と対向する位置で送り板3cからボルト受け具11に受け渡される。ボルト200の受け渡しは、固定テーブル15に設けられたボルト引込みシリンダ16で、送り板3cに支持された頭部201をボルト受け具11の方向に引き込むようになっている。これにより、ボルト200の軸部203がボルト受け具11の開口部11aを通過して頭部201が凹状の載置部11bに落とし込まれて支持される。なお、この実施形態では六角ボルトを例にしているが、Tボルトの場合も、送り板3cに支持された頭部をボルト引込みシリンダ16でボルト受け具11の方向に引き込むことができる。
【0045】
このようにして、ボルト200は、ボルト供給装置3からボルト検査装置2のボルト受け具11に供給することができる。ボルト検査装置2は、回転テーブル10の回転方向Rが図示するように左回転であり、ボルト供給装置3からボルト受け具11に供給されたボルト200は、左回転で下流側へと送られる。
【0046】
この実施形態のボルト検査装置2は、回転テーブル10の回転方向Rの上流側には、ボルト200の頭頂部201aを検査する頭頂部検査装置20が備えられている。その下流側には、ボルト200を上端と下端で把持して上下動および回転させる把持装置30を有し、ボルト200の頭部201に設けられたピン孔202を検査するピン孔検査装置50と、ボルト200の頭部201の側頭部201bを検査する側頭部検査装置70と、が備えられている。その下流側には、ボルト200の軸部203を検査する軸部検査装置80と、ボルト200のネジ部204を検査するネジ部検査装置90が備えられている。また、この実施形態では、軸部検査装置80とネジ部検査装置90との間に不良ボルトを排出するボルト排出装置100が備えられている。また、ネジ部検査装置90の後流側には、不良ボルトを排出するボルト排出装置100と、良品ボルトを排出するボルト排出装置100とが備えられている。
【0047】
各装置20,30,50,70,80,90,100は、回転テーブル10の外周部に所定の角度間隔θで設けられたボルト受け具11と同じ角度間隔θで備えられているため、複数の装置20,30,50,70,80,90,100のそれぞれで同時に異なる作業を行うことができる。回転テーブル10の上方には、定位置に固定された円形の固定テーブル15が設けられている。固定テーブル15は、回転テーブル10の中心部分に設けられており、固定テーブル15には各装置20,30,50,70,80,90,100の一部の構成が設けられている。
【0048】
このようなボルト検査装置2は、制御装置5によって各装置20,30,50,70,80,90,100の動作が制御される。制御装置5は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリおよびI/Oインターフェース等を有する。制御装置5による各装置20,30,50,70,80,90,100の動作制御は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。
【0049】
以下、ボルト検査装置2に備えられた各装置20,30,50,70,80,90,100について説明する。なお、各装置20,30,50,70,80,90,100を説明する図面は、図が煩雑になるのを防止するために周囲の構成については図示を省略し、その図に示された構成のみを説明する。
【0050】
(頭頂部検査装置)
図4は、
図2に示すボルト検査装置2の頭頂部検査装置20の部分を示す斜視図である。この実施形態では、回転テーブル10のボルト受け具11で支持されたボルト200に対し、最初に頭頂部検査装置20で頭頂部201aの検査が行われる。
【0051】
頭頂部検査装置20は、頭頂部201aに向けて投光する同軸照明21と、同軸照明21の光軸22と同一の撮影軸で撮影する画像処理カメラ23とを有している。同軸照明21は、固定テーブル15に固定されており、上方からボルト200の頭頂部201aに向けて投光するように設けられている。画像処理カメラ23は、固定側の支持台24に備えられている。画像処理カメラ23は、同軸照明21の上方に設けられており、同軸照明21から頭頂部201aに投光した反射光を撮影するように設けられている。
【0052】
また、頭頂部検査装置20の位置には、ボルト受け具11で同軸照明21の光軸上に送られたボルト200の揺れを止める揺れ止め装置25が設けられている。揺れ止め装置25は、ボルト200の頭部201に向けて進退する押え部材26と、この押え部材26を進退させる流体圧シリンダ27とを有している。
【0053】
このような頭頂部検査装置20によれば、ボルト受け具11に支持されたボルト200は、頭頂部検査装置20の位置まで送られて停止する。その後、揺れ止め装置25の押え部材26が流体圧シリンダ27で頭頂部201aに向けて進出させられ、頭頂部201aを押える。これにより、ボルト200が揺れていたとしても、その揺れが止められる。揺れ止め装置25によってボルト200の揺れを迅速に止めるため、その後の検査を効率良く行うことができる。
【0054】
その後、同軸照明21から頭頂部201aに向けて投光され、画像処理カメラ23によって撮影される。画像処理カメラ23で撮影された画像は、制御装置5によって画像処理されて頭頂部201aの打痕、錆などの不良について検査される。同軸照明21を用いることで、画像処理カメラ23で凹凸のある部分は黒っぽく撮影されるため、錆や打痕を検査することができる。
【0055】
(把持装置)
図5は、
図2に示すボルト検査装置2の把持装置30の部分を示す斜視図である。
図6は、
図5に示す把持装置30の構成を示す詳細図であり、(a)は上部把持機構31の部分を示す側面図、(b)は下部把持機構36の部分を示す側面図である。
【0056】
図示するように、この実施形態の把持装置30は、ボルト200の下端に当接する下当接部材37を有する下部把持機構36と、ボルト200の上端に当接する上当接部材32を有する上部把持機構31とを有している。下部把持機構36は、回転機構41と昇降機構45とを有している。下当接部材37および上当接部材32は、樹脂材料を用いればボルト200を傷付けないようにできる。
【0057】
下部把持機構36は、下当接部材37が下ロッド39と連結されている。下ロッド39は、周囲に縦溝39aが形成されたロッドであり、回転機構41の中央部分に挿通され、下端に回転部材38が設けられている。回転部材38は、下ロッド39と連結された部分は回転可能であり、下昇降ベース40と連結された部分は固定されている。回転部材38は、例えば、下昇降ベース40に固定された構成の中心部分に回転可能な回転部を有するものを用いることができる。回転機構41は、下ロッド39の周囲に形成された縦溝39aに係合し、下ロッド39の上下移動は許容する係合部材41aを有している。下ロッド39と係合部材41aは、例えば、スプライン構造で係合される。スプライン構造とすることで、係合部材41aで下ロッド39を回転させることができ、かつ定位置の係合部材41aに対して下ロッド39を上下動させることができる。回転機構41は、駆動モータ42によって駆動されるタイミングベルト42aによって係合部材41aを回転させることで、下ロッド39を正確な角度位置に回転させることができる。下昇降ベース40は、単軸ロボット43に連結されている。これにより、下昇降ベース40は、単軸ロボット43によって正確な上下位置の制御が可能となっている。単軸ロボット43としては、例えば、モータを回転させることでボールネジがスライダを移動させる直交ロボットを用いることができる。
【0058】
上部把持機構31は、上当接部材32が回転部材33を介して上ロッド34と連結されている。回転部材33は、上ロッド34と連結された部分は固定され、上当接部材32と連結された部分は回転可能となっている。回転部材33は、例えば、上ロッド34と連結された構成の中心部分に回転可能な回転部を有するものを用いることができる。これにより、上ロッド34は回転することなく上当接部材32は回転可能となっている。上ロッド34は、ガイドレール35aに沿って上下動する上昇降ベース35に連結されており、上昇降ベース35は流体圧シリンダ35bによって上下動可能となっている。これにより、流体圧シリンダ35bで上昇降ベース35を上下動させることで、上ロッド34を介して上当接部材32が上下動させられる。この実施形態の昇降機構45は、下当接部材37を上下動させる下昇降ベース40および単軸ロボット43と、上当接部材32の上下動を許容する上昇降ベース35および流体圧シリンダ35bとを有している。上部把持機構31および下部把持機構36の一部の構成は、ベース板44に備えられている。ベース板44および下部把持機構36の一部の構成は、固定側の支持台46に備えられている。なお、図示する揺れ止めチャック63は後述する。
【0059】
このような把持装置30によれば、制御装置5からの制御信号に基づいて、回転テーブル10のボルト受け具11に支持されたボルト200を、下部把持機構36の下当接部材37を単軸ロボット43で上昇させ、上部把持機構31の上当接部材32を流体圧シリンダ35bで下降させることで、上下方向から把持することができる。
【0060】
そして、下当接部材37と上当接部材32とで把持されたボルト200は、単軸ロボット43で下昇降ベース40を上下動させることで正確な高さ位置に移動させることができる。単軸ロボット43でボルト200を上下動させる時には、上昇降ベース35に連結された流体圧シリンダ35bは内圧制御されて上当接部材32の上下動を許容している。流体圧シリンダ35bの内圧を制御することで、ボルト200は下当接部材37と上当接部材32とで把持する力が保たれた状態で上下動する。また、下当接部材37と上当接部材32とで把持されたボルト200は、回転機構41で下ロッド39を回転させることで、下当接部材37と下ロッド39を含む回転部材38から上方と、上当接部材32を含む回転部材33から下方の間を回転させることができる。単軸ロボット43によるボルト200の高さ位置の制御、回転機構41によるボルト200の回転角度の制御は、制御装置5(
図2)によって制御される。
【0061】
このような把持装置30を備えたボルト検査装置2によれば、下当接部材37と上当接部材32とで上下方向から把持した状態のボルト200の高さ位置の変更および角度位置の変更ができ、ボルト200に対する側方からの検査を適切に行うことが可能となる。よって、ボルト200の頭部201、軸部203およびネジ部204など各部を検査するために、ボルト200の検査位置を変更する自由度が高いボルト検査装置2を構成することが可能となる。
【0062】
(ピン孔検査装置の構成)
図7は、
図2に示すボルト検査装置2のピン孔検査装置50の部分を示す斜視図である。
図8は、
図7に示すピン孔検査装置50の定位置保持装置61を示す図面であり、(a)は保持前の状態を示す平面図、(b)は保持状態を示す平面図である。
図9は、
図7に示すピン孔検査装置50の揺れ止めチャック63を示す図面であり、(a)は揺れ止め前の状態を示す平面図、(b)は揺れ止め時の状態を示す平面図、(c)は側面図である。
【0063】
図7に示すように、ピン孔検査装置50は、上記把持装置30を備えている。把持装置30は、
図5に示す構成と同一であるため、その説明は省略し、
図5の符号を付して説明する。ピン孔検査装置50は、把持装置30で把持されたボルト200の頭部201に設けられたピン孔202を検出するピン孔検出装置51と、そのピン孔202を検査するピン挿入装置55とを有している。ピン孔検出装置51は、ボルト200を挟んで対向するように設けられた投光器たる面発光照明52とカメラセンサ54とを有している。面発光照明52は、固定テーブル15に設けられている。ピン挿入装置55は、面発光照明52の光軸53と同一方向の軸心57となった検査ピン56を有している。ピン孔検出装置51とピン挿入装置55とは、面発光照明52の光軸53と検査ピン56の軸心57とが上下方向に離間するように配置されている。この実施形態では、ピン孔検出装置51が上方に備えられ、ピン挿入装置55が下方に備えられている。
【0064】
検査ピン56は、ベース板58の上部に設けられた保持部59に保持されている。保持部59は、検査ピン56の軸心57を所定範囲で移動可能なように保持している。保持部59による検査ピン56の保持は、検査ピン56の軸心57が所定範囲で移動可能なような保持となっている。この実施形態では、保持部59に対して検査ピン56を調整バネ59a(図は筒状に示している)で保持している。これにより、検査ピン56は、調整バネ59aの撓む範囲で水平方向に移動可能となっている。検査ピン56を所定範囲で移動可能に保持する構成は、この実施形態に限定されない。
【0065】
保持部59は、ベース板58の上部に設けられたガイドレール58aに沿って進退する。保持部59は、ベース板58に設けられた駆動部たる流体圧シリンダ58bで進退させられる。駆動部は、他のアクチュエータを用いることもできる。
【0066】
また、ベース板58の上部には、検査ピン56を進退させるときにガイドするピンガイド60が設けられている。ピンガイド60は、ベース板58の上部に設けられたガイドレール58aに沿って進退する。ピンガイド60は、ベース板58に設けられた駆動部たる流体圧シリンダ58bで進退させられる。駆動部は、他のアクチュエータを用いることもできる。また、ベース板58の上部には、ピンガイド60が当接するストッパ58cが設けられている。ストッパ58cは、ピンガイド60がボルト200の頭部201に当接しない位置で止まるように設けられている。また、ベース板58の上部には、所定高さに配置されたボルト200の軸が傾かないようにボルト200を保持する定位置保持装置61が備えられている。ベース板58は、固定側の支持台66に備えられている。
【0067】
図8(a)、(b)に示すように、定位置保持装置61は、頭部201のピン孔202を検査する時に、ボルト200の軸が傾かないように軸部203を保持する装置である。定位置保持装置61は、保持装置本体61aがベース板58に固定されており、保持装置本体61aは、ボルト200の軸部203を左右方向から保持するチャック部62を有している。チャック部62は、水平方向に開閉するようになっており、軸部203を左右方向から挟持するようになっている。定位置保持装置61により、把持装置30で上下方向から保持されたボルト200が、検査時に検査ピン56で押されても軸が傾かないように保持することができる。定位置保持装置61で保持されたボルト200は、回転可能な状態で保持される。また、保持装置本体61aには、上記検査ピン56が頭部201のピン孔202を貫通したことを検知する貫通検知部67が備えられている。
【0068】
また、
図9(a)、(b)、(c)に示すように、ピン孔検査装置50の位置には、ボルト200の揺れを止める揺れ止め装置たる揺れ止めチャック63が設けられている。揺れ止めチャック63は、水平方向に開閉するチャック部64と、チャック部64を回転テーブル10の下方から半径方向に進退させるスライド部65とを有している。スライド部65は、流体圧シリンダなどで進退させられる。揺れ止めチャック63は、回転テーブル10でピン孔検査装置50の位置に送られたボルト200に対し、回転テーブル10の下方からボルト200に向けてチャック部64を進出させ、チャック部64でボルト200の軸部203を左右方向から把持して揺れを止める。揺れ止めチャック63は、上述した
図5に示すように、把持装置30のベース板44に設けられている。
【0069】
このようなピン孔検査装置50によれば、制御装置5からの制御信号に基づいて、回転テーブル10の回転によってピン孔検査装置50に送られてきたボルト200は、揺れ止めチャック63で把持されて揺れが止められる(
図9)。その後、ボルト200は、把持装置30で上下方向から把持されてボルト受け具11から上昇させられ、以下のようにしてピン孔202が検査される。
【0070】
(ピン孔検査装置による検査)
図10は、
図7に示すピン孔検査装置50によってピン孔202を検査する状態を示す図面であり、(a)はピン孔202を検出するときの側面図、(b)はピン孔202を検査する前の側面図、(c)はピン孔202の検査時の側面図である。
図11は、
図10(c)に示すピン孔検査装置50によるピン孔202の検査状態を示す斜視図である。
図12は、
図11に示すピン孔202の検査状態から検査ピン56を抜く状態を示す斜視図である。ピン孔検査装置50によるピン孔202の検査は、ピン孔検出装置51によってピン孔202を検出し、その後、ピン挿入装置55の検査ピン56をピン孔202に挿入する検査が行われる。なお、以下の説明は、揺れ止めチャック63で揺れ止めされたボルト200を把持装置で把持して上昇させた後を説明する。
【0071】
図10(a)に示すように、ピン孔検出装置51によるピン孔202の検出は、面発光照明52とカメラセンサ54とによって行われる。制御装置5によって、把持装置30で把持されたボルト200は、頭部201が面発光照明52の光軸53の位置まで上昇させられる。その後、面発光照明52から頭部201に向けて発光され、ボルト200は把持装置30によって回転させられる。そして、ピン孔202を通過する面発光照明52の光をカメラセンサ54で検出し、光が真円となる位置でボルト200の回転が止められる。この状態は、ピン孔202の軸線が面発光照明52の光軸53上に位置した状態である。ピン孔202の軸線を面発光照明52の光軸53上に位置させるためのボルト200の回転は、ピン孔202をカメラセンサ54が検出するまで高速回転させ、カメラセンサ54がピン孔202を検出した後は低速逆回転とすることで検出精度を上げることができる。
【0072】
その後、
図10(b)に示すように、ボルト200は
図10(a)に示す角度の状態で把持装置30によってピン孔202の位置が検査ピン56の位置となるまで下降させられる。この状態で、定位置保持装置61のチャック部62でボルト200の軸部203が保持される。これにより、ボルト200の軸位置がズレないように保持される。
【0073】
その後、
図10(c)に示すように、ピン挿入装置55によって検査ピン56がピン孔202に挿入される。この時、検査ピン56の軸心57とピン孔202の軸心に多少のズレがあったとしても、検査ピン56は保持部59の調整バネ59aによってそのズレを吸収することができる。このピン孔202の検査において、ピン孔202が正常であれば、図示するように検査ピン56がピン孔202を貫通して、貫通検知部67で検査ピン56が検知される。
【0074】
図11、
図12に示すように、ピン孔202の検査時には、検査ピン56がピンガイド60によってガイドされる。
図11に示すように、
図10(c)に示すピン孔202の検査時には、検査ピン56が保持された保持部59とピンガイド60は一緒に進出させられる。これにより、検査ピン56はピンガイド60に基部がガイドされた状態でピン孔202に挿入される。ピンガイド60は、ストッパ58cに当接した位置で止まる。図示する状態は、検査ピン56がピン孔202を貫通しており、ピン孔202が正常な状態である。
図12に示すように、ピン孔202を検査した後は、ピンガイド60はストッパ58cに当接させた状態のままで、保持部59を後退させる。これにより、検査ピン56はピンガイド60にガイドされた状態でピン孔202から抜かれる。検査ピン56をピン孔202から抜いた後は、ピンガイド60が後退させられる。このようなピン孔202の検査は、頭部201に複数本のピン孔202が設けられている場合は、それぞれのピン孔202について順次行われる。
【0075】
このように、ピン孔検査装置50によれば、ボルト200の頭部201に設けられたピン孔202が良品であることを機械的に検査することができる。
【0076】
(側頭部検査装置の構成)
図13は、
図2に示すボルト検査装置2の側頭部検査装置70の部分を示す図面であり、(a)は側頭部検査装置70の斜視図、(b)は構成の配置を示す平面図である。
図14は、
図13に示す側頭部検査装置70のローラチャック装置78を示す図面であり、(a)は保持前の状態を示す平面図、(b)は保持状態を示す平面図である。
【0077】
図13(a)に示すように、側頭部検査装置70も、上記把持装置30を備えている。把持装置30は、
図5に示す構成と同一であるため、その説明は省略し、
図5の符号を付して説明する。また、側頭部検査装置70の位置のボルト受け具11および
図9に示す揺れ止めチャック63は、図示を省略している。
【0078】
側頭部検査装置70は、ベース板73に、ボルト200の側頭部201bを所定高さ位置で検出する距離センサ71を備えている。距離センサ71は、ボルト200の軸心205に対向する検出軸72で設けられている。距離センサ71は、カメラ内蔵レーザ変位センサを用いることができる。また、
図13(b)にも示すように、ベース板73には、距離センサ71の検出軸72に対して、所定角度αでボルト200の軸心205と対向する撮影軸を有する画像処理カメラ74と、光軸76を有する同軸照明75とが備えられている。所定角度αは、距離センサ71の検出軸72がボルト200の1つの側頭部201bと正対した状態で、画像処理カメラ74の撮影軸および同軸照明75の光軸76が他の側頭部201bと正対する角度に設定される。この実施形態の所定角度αは、ボルト200の頭部201が六角であるため、距離センサ71の検出軸72に対して120度となっている。また、ボルト200を挟んで画像処理カメラ74と対向するように配置された投光器たる面発光照明77を備えている。面発光照明77は、光軸76と同じ光軸で、固定テーブル15に配置されている。ベース板73は、固定側の支持台79に備えられている。
【0079】
また、側頭部検査装置70には、ボルト200を回転可能な状態で保持するローラチャック装置78が備えられている。
図14に示すように、ローラチャック装置78は、距離センサ71の高さに頭部201が位置するように配置したボルト200の軸部203を、回転テーブル10の半径方向から挟んで保持するようになっている。この実施形態のローラチャック装置78は、ボルト200の軸部203に半径方向内方から接する内側ローラ78aと、半径方向外方から接する外側ローラ78bとを有している。内側ローラ78aは、伸縮シリンダ78cで半径方向に進退させられる。外側ローラ78bは、伸縮シリンダ78dで半径方向に進退させられる。このローラチャック装置78により、距離センサ71の高さに配置したボルト200を、軸心位置が安定した状態で回転可能に保持することができる。
【0080】
(側頭部検査装置による検査)
図15は、
図13に示す側頭部検査装置70による側頭部201bの検査状態を示す図面であり、(a)はボルト200の位置を検出する状態の斜視図、(b)は側頭部201bを検査する状態の斜視図である。
図15では、頭部201にピン孔202を有するボルト200の側頭部検査を説明する。
【0081】
側頭部検査装置70では、頭部201の6面全ての側頭部201bについて検査される。側頭部検査装置70によれば、制御装置5からの制御信号に基づいて、回転テーブル10の回転によって側頭部検査装置70に送られてきたボルト200は、揺れ止めチャック63で把持されて揺れが止められる(
図9)。その後、ボルト200は、把持装置30で上下方向から把持されて、ボルト受け具11から上昇させられる。
【0082】
図15(a)に示すように、把持装置30で上昇させられたボルト200は、頭部201が距離センサ71の高さに配置される。そして、ボルト200は、回転させられて距離センサ71の検出軸72が頭部201の1つ側頭部201bと正対する位置で止められる。この状態では、頭部201の他の側頭部201bが同軸照明75および画像処理カメラ74と正対した位置となっている。この状態で同軸照明75から発光され、同軸照明75と正対する側頭部201bの画像が画像処理カメラ74で撮影される。その後、把持装置30の回転機構41(
図5)によってボルト200を60°回転させ、次の側頭部201bが画像処理カメラ74と正対した状態で同軸照明75から発光され、その側頭部201bの画像が撮影される。この操作を繰り返すことで、6面の側頭部201bの画像を得ることができる。画像処理カメラ74で撮影した画像は制御装置5で画像処理され、全ての側頭部201bにおける表面の打痕、錆などの不良の有無が検査される。よって、側頭部検査装置70によれば、ボルト200の側頭部201bにおける不良を機械的に検査することができる。
【0083】
また、
図15(b)に示すように、この実施形態では、側頭部検査装置70によって側頭部201bに設けられているピン孔202の検査をすることができる。制御装置5は、画像処理カメラ74と各側頭部201bとが正対しているときに、面発光照明77から投光して画像処理カメラ74で各側頭部201bの画像が撮影される。面発光照明77から投光したときに得られる画像は、ピン孔202が設けられた側頭部201bであれば、ピン孔202を通過した光が撮影される。制御装置5は、面発光照明77から投光して得られた画像から、側頭部201bにおけるピン孔202の位置検査をすることができる。ピン孔202の位置検査は、面発光照明77で得られたピン孔202を通過した光の位置から行える。よって、ボルト200の側頭部201bに設けられたピン孔202を画像処理で検査することができる。
【0084】
このように、側頭部検査装置70によれば、ボルト200の頭部201における側頭部201bの不良の有無と、ピン孔202があればその位置検査を機械的に行うことができる。なお、頭部201にピン孔202の無いボルトの側頭部検査であれば、側頭部201bを同軸照明75と正対した位置にしなくてもよい。
【0085】
(軸部検査装置)
図16は、
図2に示すボルト検査装置2の軸部検査装置80の部分を示す斜視図である。なお、軸部検査装置80も、上記した
図5に示す把持装置30が備えられているが、同一の構成であるため、その説明は省略する。
【0086】
軸部検査装置80は、ボルト200の軸心205に対向する撮影軸を有する画像処理カメラ81と、この画像処理カメラ81とボルト200の間に配置されており、画像処理カメラ81の撮影軸と同一の光軸83で配置された同軸照明82とを有している。また、ボルト200を挟んで画像処理カメラ81と対向するように配置された投光器たる面発光照明84を有している。面発光照明84は、固定テーブル15に設けられている。画像処理カメラ81と同軸照明82が設けられたベース板85は、固定側の支持台86に設けられている。画像処理カメラ81、同軸照明82および面発光照明84は、同じ高さ位置に設けられている。
【0087】
このような軸部検査装置80によれば、制御装置5からの制御信号に基づいて、回転テーブル10の回転によって軸部検査装置80に送られてきたボルト200は、揺れ止めチャック63で把持されて揺れが止められる(
図9)。その後、ボルト200は、把持装置30で上下方向から把持されて、ボルト受け具11から上昇させられる。
【0088】
把持装置30で上昇させられたボルト200は、軸部203が画像処理カメラ81の高さに配置される。その後、ボルト200は、回転機構41(
図5)によって所定角度で順次回転させられるとともに、各所定角度でボルト200の軸部203に対して同軸照明82から投光して画像処理カメラ81で各所定角度の画像が撮影される。軸部検査装置80における所定角度は、例えば、10°~15°程度にできる。そして、画像処理カメラ81で撮影した画像は制御装置5で画像処理され、軸部203における表面の打痕、錆などの不良の有無が検査される。
【0089】
また、各所定角度で面発光照明84から投光し、その画像を画像処理カメラ81で撮影している。この面発光照明84から投光して画像処理カメラ81で得られた画像は、制御装置5で画像処理することで軸部203の直径が基準値以内か否かを検査することができる。
【0090】
このように、軸部検査装置80によれば、ボルト200の軸部203における不良の有無および軸部203の直径を機械的に検査することができる。
【0091】
(ネジ部検査装置)
図17は、
図2に示すボルト検査装置2のネジ部検査装置90の部分を示す斜視図である。なお、ネジ部検査装置90も、上記した
図5に示す把持装置30が備えられているが、同一の構成であるため、その説明は省略する。
【0092】
ネジ部検査装置90は、ボルト200の軸心205に対向する撮影軸を有する画像処理カメラ91と、この画像処理カメラ91とボルト200の間に配置されており、画像処理カメラ91の撮影軸と同一の光軸93で配置された同軸照明92とを有している。また、ボルト200を挟んで画像処理カメラ91と対向するように配置された投光器たる面発光照明94を有している。面発光照明94は、固定テーブル15に設けられている。画像処理カメラ91と同軸照明92が設けられたベース板95は、固定側の支持台96に設けられている。画像処理カメラ91、同軸照明92および面発光照明94は、同じ高さ位置に設けられている。
【0093】
このようなネジ部検査装置90によれば、制御装置5からの制御信号に基づいて、回転テーブル10回転によってネジ部検査装置90に送られてきたボルト200は、揺れ止めチャック63で把持されて揺れが止められる(
図9)。その後、ボルト200は、把持装置30で上下方向から把持されて、ボルト受け具11から上昇させられる。
【0094】
把持装置30で上昇させられたボルト200は、ネジ部204が画像処理カメラ91の高さに配置される。その後、ボルト200は、回転機構41(
図5)によって所定角度で順次回転させられるとともに、各角度でボルト200のネジ部204に対して同軸照明92から投光して画像処理カメラ91で各所定角度の画像が撮影される。ネジ部検査装置90における所定角度は、例えば、10°~15°程度にできる。そして、画像処理カメラ91で撮影された画像は制御装置5で画像処理され、ネジ部204における打痕、錆などの不良の有無が検査される。
【0095】
また、各所定角度で面発光照明94から投光し、その画像を画像処理カメラ91で撮影している。この面発光照明94から投光して画像処理カメラ91で得られた画像は、制御装置5で画像処理することでネジ部204の径寸法が基準値以内か否かを検査することができる。
【0096】
このように、ネジ部検査装置90によれば、ボルト200のネジ部204における不良の有無およびネジ部204の径寸法を機械的に検査することができる。
【0097】
(ボルト排出装置)
図18は、
図2に示すボルト検査装置2のボルト排出装置100の部分を示す斜視図である。ボルト排出装置100は、不良品ボルトと良品ボルトの排出位置にそれぞれ備えられている。また、不良品ボルトを排出するボルト排出装置100は、少なくともボルト200の頭部検査の下流側に配置される。
【0098】
この実施形態のボルト排出装置100は、ボルト受け具11に支持されているボルト200を下方か上昇させる上昇機構101と、上昇機構101で上昇させたボルト200を回転テーブル10の外方向へ押し出す排出機構104とを備えている。上昇機構101は、ボルト200の下端を上方に押し上げる押上げ部材102と、この押上げ部材102を上下動させる流体圧シリンダ103とを有している。排出機構104は、ボルト受け具11から押し上げられたボルト200を外方向へ押す押出し板105と、この押出し板105を進退させる流体圧シリンダ106とを有している。排出機構104は、固定テーブル15に備えられている。ボルト排出装置100の位置には、排出機構104で外方向に押し出されたボルト200を排出する排出シュート107が設けられている。
【0099】
このようなボルト排出装置100によれば、検査によって不良品と判定されたボルト200は、ボルト排出装置100の位置に送られると上昇機構101によって押し上げられる。これにより、ボルト200は、頭部201がボルト受け具11から浮かされ、その頭部201が排出機構104の押出し板105によって回転テーブル10の外方へと押し出される。回転テーブル10から外方に押し出されたボルト200は、排出シュート107に落下してボルト検査装置2の外方へと排出される。
【0100】
よって、複数の検査を行うボルト検査装置2において、不良品と判定されたボルト200を検査の途中で機械的に排出することができる。全ての検査を行って良品と判定されたボルト200は、良品を排出する位置に配置されたボルト排出装置100によってボルト検査装置2の外方へと排出される。
【0101】
(まとめ)
以上のようなボルト検査装置2によれば、把持装置30によってボルト200を上下方向から把持し、その状態のボルト200を昇降機構45で高さ位置の変更や、回転機構41で角度位置の変更をすることができる。よって、ボルト検査装置2で検査するボルト200を、側方から周囲の検査が可能な状態で、所定の高さ位置および角度位置に変更して各部の検査を行うことが可能となる。
【0102】
また、上記した実施形態のボルト検査システム1およびボルト検査装置2によれば、回転テーブル10のボルト受け具11に供給されたボルト200は、回転テーブル10を所定の角度間隔θで回転させることで、複数の検査装置20,50,70,80,90による検査を順次行うことができる。また、複数の検査装置20,50,70,80,90によって異なる検査を同時に行うこともできる。そして、検査結果により、不良品ボルトおよび良品ボルトをそれぞれのボルト排出装置100で排出することで、回転テーブル10の1回転でボルト200に対する複数の検査を効率良く行うことが可能となる。
【0103】
また、上記した実施形態のボルト検査装置2は、各装置20,30,50,70,80,90,100を所定の角度間隔θで設けることにより、複数の装置20,30,50,70,80,90,100による検査を並行して同時に行うことができる。よって、多くのボルト200に対する複数の検査を短時間で効率良く行うことが可能となる。これにより、例えば、鉄道軌道などの夜間作業で交換等を行うボルト200について全数検査を行う場合でも、機械的に効率良く行うことができ、作業時間の短縮と労力の軽減を図ることができる。
【0104】
なお、ボルト検査装置2における複数の検査装置20,50,70,80,90としては、上記した実施形態に限定されるものではない。ボルト検査装置2は、一部の検査装置を設けた構成であってもよい。例えば、頭部201にピン孔202の無いボルト200を検査するボルト検査装置2であれば、頭頂部検査装置20、側頭部検査装置70と軸部検査装置80およびネジ部検査装置90が備えられた構成でもよい。また、ボルト200が、頭部201とネジ部204で構成されたものであれば、頭頂部検査装置20、側頭部検査装置70とネジ部検査装置90が備えられた構成でもよい。
【0105】
また、上記した実施形態ではボルト200を検査する例を説明したが、Tボルトの場合も頭頂部、軸部およびネジ部の検査を同様に行うことができ、検査できるボルト200は六角ボルトに限定されない。
【0106】
また、上記した実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は、一例であって、本願発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本願発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0107】
1 ボルト検査システム
2 ボルト検査装置
3 ボルト供給装置
4 ボルト投入装置
5 制御装置
10 回転テーブル
11 ボルト受け具
11a 開口部
11b 載置部
15 固定テーブル
20 頭頂部検査装置
21 同軸照明
22 光軸
23 画像処理カメラ
25 揺れ止め装置
30 把持装置
31 上部把持機構
32 上当接部材
33 回転部材
34 上ロッド
35 上昇降ベース
36 下部把持機構
37 下当接部材
38 回転部材
39 下ロッド
40 下昇降ベース
41 回転機構
43 単軸ロボット
45 昇降機構
50 ピン孔検査装置
51 ピン孔検出装置
52 面発光照明(投光器)
53 光軸
54 カメラセンサ
55 ピン挿入装置
56 検査ピン
57 軸心
59 保持部
59a 調整バネ
60 ピンガイド
61 定位置保持装置
62 チャック部
63 揺れ止めチャック
67 貫通検知部
70 側頭部検査装置
71 距離センサ
72 検出軸
74 画像処理カメラ
75 同軸照明
76 光軸
77 面発光照明(投光器)
78 ローラチャック装置
80 軸部検査装置
81 画像処理カメラ
82 同軸照明
83 光軸
84 面発光照明(投光器)
90 ネジ部検査装置
91 画像処理カメラ
92 同軸照明
93 光軸
94 面発光照明(投光器)
100 ボルト排出装置
101 上昇機構
104 排出機構
200 ボルト
201 頭部
201a 頭頂部
201b 側頭部
202 ピン孔
203 軸部
204 ネジ部
205 軸心
θ 角度間隔
α 所定角度