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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063757
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】戸パネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/70 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173751
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505201515
【氏名又は名称】辻産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一範
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 美帆
(72)【発明者】
【氏名】辻 将士
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA00
2E016JA01
2E016KA00
2E016LA01
2E016LB05
2E016LB09
2E016RA01
(57)【要約】
【課題】戸幅方向に沿う寸法が小さい縦フレームにも引手部材を取付可能でありながらも、引手部材の戸幅方向に沿う寸法の小型化を図り得る戸パネルを提供する。
【解決手段】戸パネル1は、四周のフレーム6内に板状部材3が設けられたパネル本体2と、このパネル本体の戸先側端部の少なくとも戸厚方向一方側に取り付けられる引手部材20と、を備えており、前記引手部材は、前記パネル本体の戸先側の縦フレーム10の戸尻側に向く内側面11から戸尻側に離間した位置において戸高方向に延びるように設けられ、かつ該内側面とによって手指受入凹部19の戸幅方向両側を区画する手掛部21と、該手掛部の戸高方向両端部から戸先側に延びるように設けられ、前記縦フレームに固定される固定部25と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周のフレーム内に板状部材が設けられたパネル本体と、このパネル本体の戸先側端部の少なくとも戸厚方向一方側に取り付けられる引手部材と、を備えており、
前記引手部材は、前記パネル本体の戸先側の縦フレームの戸尻側に向く内側面から戸尻側に離間した位置において戸高方向に延びるように設けられ、かつ該内側面とによって手指受入凹部の戸幅方向両側を区画する手掛部と、該手掛部の戸高方向両端部から戸先側に延びるように設けられ、前記縦フレームに固定される固定部と、を備えていることを特徴とする戸パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記固定部は、前記縦フレームの内側面に突き合わせられて該縦フレームに固定されることを特徴とする戸パネル。
【請求項3】
請求項2において、
前記固定部には、前記縦フレームの内側面を構成する側壁部に形成された位置決め凹部に差し込まれる位置決め突起と、前記縦フレームの戸幅方向外側から止着される固着具の止着部と、が設けられていることを特徴とする戸パネル。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記縦フレームの内側面は、戸厚方向外側から前記板状部材に向かうに従い戸尻側となるように傾斜する傾斜面状とされ、前記固定部の突き合わせ面は、該内側面に沿う傾斜面状とされていることを特徴とする戸パネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記引手部材は、戸高方向両側の前記固定部間に亘って設けられ、前記手指受入凹部の底部を構成する底板部を備えていることを特徴とする戸パネル。
【請求項6】
請求項5において、
前記縦フレームの内側面と前記底板部との互いの突き合わせ部には、これらの間における透光を遮断する光遮断部が設けられていることを特徴とする戸パネル。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記縦フレームの内側面及び該内側面に対向する前記手掛部の対向面は、戸厚方向外側から前記板状部材に向かうに従い近接する側となるように傾斜する傾斜面状とされていることを特徴とする戸パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、四周のフレーム内に透光部材等の板状部材が設けられたパネル本体の縦フレームの戸厚方向一方面に引手部材が取り付けられた戸パネルが知られている。このような戸パネルにおいては、縦フレームの戸幅方向に沿う寸法が小さくなれば、縦フレームの戸厚方向一方面に引手部材を取り付け難くなる懸念があった。
例えば、下記特許文献1には、縦框のガラス嵌入溝に設けられたビード取付用突起と係合する係合壁面が設けられ、ガラス嵌入溝に嵌入されて取り付けられる把手の取付構造が開示されている。この取付構造の把手のガラス側の反対面には、指を掛ける2条の指掛部が突設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58-56293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された取付構造では、把手の戸幅方向両側に指掛部が突設されているため、把手の戸幅方向に沿う寸法が大きくなる懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、戸幅方向に沿う寸法が小さい縦フレームにも引手部材を取付可能でありながらも、引手部材の戸幅方向に沿う寸法の小型化を図り得る戸パネルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る戸パネルは、四周のフレーム内に板状部材が設けられたパネル本体と、このパネル本体の戸先側端部の少なくとも戸厚方向一方側に取り付けられる引手部材と、を備えており、前記引手部材は、前記パネル本体の戸先側の縦フレームの戸尻側に向く内側面から戸尻側に離間した位置において戸高方向に延びるように設けられ、かつ該内側面とによって手指受入凹部の戸幅方向両側を区画する手掛部と、該手掛部の戸高方向両端部から戸先側に延びるように設けられ、前記縦フレームに固定される固定部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る戸パネルは、上述のような構成としたことで、戸幅方向に沿う寸法が小さい縦フレームにも引手部材を取付可能でありながらも、引手部材の戸幅方向に沿う寸法の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る戸パネルの一例を模式的に示し、(a)は、概略正面図、(b)、(c)は、(a)におけるZ1部に対応させた一部破断概略拡大正面図である。
図2】(a)は、図1(b)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略横断面図、(b)、(c)は、図1(b)におけるX2-X2線矢視に対応させた一部破断概略横断面図である。
図3】(a)、(b)は、同戸パネルが備える引手部材の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図4】(a)は、同戸パネルの一変形例が備える引手部材の一例を模式的に示す一部破断概略斜視図、(b)は、同引手部材の成形方法の一例を模式的に示す一部破断概略横断面図である。
図5】(a)、(b)は、同戸パネルの他の変形例をそれぞれ模式的に示し、図2(a)におけるZ2部に対応させた一部を省略した一部破断概略拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、本実施形態に係る戸パネルを施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
【0010】
図1図5は、本実施形態に係る戸パネルの一例及び変形例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る戸パネル1は、図1(a)に示すように、四周のフレーム(四周フレーム)6内に板状部材3が設けられたパネル本体2と、このパネル本体2の戸先側端部の少なくとも戸厚方向一方側に取り付けられる引手部材20と、を備えている。この戸パネル1は、例えば、パネル本体2の上端部に、上レールに吊下支持されるランナーが連結されて引戸として建て付けられてもよい。この場合は、パネル本体2の下端部に、床や隣接する戸パネル等に設けられるガイドピンが挿入されるガイド溝が設けられていてもよい。戸パネル1は、このような上レールに吊下支持される構成に限られず、床側の走行対象を走行する戸車等が下端部に設けられた構成でもよい。戸パネル1は、当該戸パネル1のみ、つまり、1枚の戸パネル1によって出入口を開閉するように片引き状に建て付けられる構成に限られず、他の戸パネル1とによって出入口を開閉するように引分状や引違状に建て付けられてもよい。
【0011】
パネル本体2は、上下(戸高)方向に長尺な略矩形平板状とされている。このパネル本体2の戸高寸法(長さ寸法)は、戸パネル1によって開閉される出入口の開口高に応じた寸法としてもよい。このパネル本体2の戸高寸法は、例えば、1800mm~2100mm程度でもよく、または、床から天井までの天井高と略同高さ、例えば、2400mm~3000mm程度であってもよい。パネル本体2の幅寸法は、出入口を開閉する戸パネル1の枚数に応じて、出入口の開口幅に応じた寸法となるように適宜の寸法としてもよく、例えば、600mm~1200mm程度でもよい。
【0012】
板状部材3は、パネル本体2と同様、上下方向に長尺な略矩形平板状とされている。この板状部材3は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂系材料やガラス等の透光性材料から形成され、透光性を有した透光板とされている。つまり、この板状部材3は、採光部を構成する。この板状部材3は、例えば、2枚のガラス板を厚さ方向に接合した合わせガラスでもよい。この板状部材3は、略無色透明に限られず、有色透明や半透明でもよい。この板状部材3としては、例えば、透明材料に着色剤が添加されて有色透明とされていてもよく、樹脂フィルム等が積層されて有色透明とされていてもよい。この板状部材3としては、スモークガラス状やすりガラス状とされていてもよく、また、2枚の透明(透光)パネル間に、和紙等のシート材を介在させた構成とされていてもよい。板状部材3としては、ハーフミラー状とされていてもよく、さらには、厚さ方向両側が鏡とされていてもよく、その他の不透光な板体でもよく、また、厚さ方向両面が略平坦面状とされた構成に限られず、凹凸が設けられていてもよい。
【0013】
この板状部材3は、図2(a)~(c)に示すように、その四周の端部3aが四周フレーム6に設けられた受入溝15に差し込まれて四周フレーム6に保持されている。図2では、後記する戸先側の縦フレーム(戸先側縦フレーム)10の受入溝15のみを図示しているが、後記する他のフレームにも同様な受入溝が設けられている。板状部材3の端部3aは、その端部3aが嵌め込まれたガスケット(グレイジングガスケット)4を介して受入溝15に保持されている。このようなガスケット4としては、断面略C字状とされたいわゆるグレイジングチャンネルや戸厚方向に分離されたグレイジングビードでもよい。板状部材3の端部3aを四周フレーム6に保持させる態様としては、このような態様に限られず、その他、種々の態様の採用が可能である。
【0014】
四周フレーム6は、図1(a)に示すように、パネル本体2の上端部を構成する上フレーム7と、パネル本体2の下端部を構成する下フレーム8と、を備えている。四周フレーム6は、パネル本体2の戸尻側端部を構成する戸尻側の戸尻側縦フレーム9と、パネル本体2の戸先側端部を構成する戸先側の戸先側縦フレーム10と、を備えている。
上フレーム7及び下フレーム8は、戸幅方向に長尺状とされている。これら上フレーム7及び下フレーム8には、互いに向き合う方向に向けて開口するように、かつそれぞれの全長に亘って延びるように受入溝が設けられている。
戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10は、戸高方向に長尺状とされている。これら戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10には、互いに向き合う方向に向けて開口するように、かつそれぞれの全長に亘って延びるように受入溝15が設けられている。
【0015】
これら上フレーム7、下フレーム8、戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸厚方向に沿う寸法は、板状部材3の厚さ寸法よりも大とされている。これら上フレーム7、下フレーム8、戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸厚方向に沿う寸法は、互いに略同寸法とされていてもよく、一般的な戸パネルの厚さと概ね同様な寸法であってもよく、例えば、30mm~40mm程度でもよい。
上フレーム7及び下フレーム8の戸高方向に沿う寸法並びに戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸幅方向に沿う寸法は、強度上の観点や見栄え上の観点等から適宜の寸法としてもよい。上フレーム7及び下フレーム8の戸高方向に沿う寸法と戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸幅方向に沿う寸法とは、互いに略同寸法でもよい。本実施形態では、上フレーム7及び下フレーム8の戸高方向に沿う寸法を、戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸幅方向に沿う寸法よりも大としている。
【0016】
上フレーム7及び下フレーム8の戸高方向に沿う寸法は、例えば、20mm~50mm程度でもよい。上フレーム7の戸高方向に沿う寸法は、ランナーの固定部を覆うように上フレーム7に取り付けられるカバーを含む寸法でもよい。
戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の戸幅方向に沿う寸法は、10mm~30mm程度でもよい。
上フレーム7及び下フレーム8と戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10とは、ねじ等の適宜の固着具によって接合されていてもよい。上フレーム7及び下フレーム8と戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10とは、縦勝状に接合されていてもよく、横勝状に接合されていてもよい。
これら上フレーム7、下フレーム8、戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10は、適宜の金属系材料から形成された押出成形品でもよい。これら上フレーム7、下フレーム8、戸尻側縦フレーム9及び戸先側縦フレーム10の表面は、化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理によって化粧面とされていてもよい。
【0017】
引手部材20は、図1(b)に示すように、戸先側縦フレーム10の戸尻側に向く内側面11から戸尻側に離間した位置において戸高方向に延びるように設けられ、かつ内側面11とによって手指受入凹部19の戸幅方向両側を区画する手掛部21を備えている。このような構成とすれば、手掛部21と戸先側縦フレーム10の内側面11とによって手指受入凹部19を形成することができ、戸幅方向両側に指掛部を設けた構成と比べて、引手部材20の戸幅方向に沿う寸法の小型化を図ることができる。これにより、引手部材20を、戸先側縦フレーム10と一体感のある外観とすることができる。
引手部材20は、手掛部21の戸高方向両端部から戸先側に延びるように設けられ、戸先側縦フレーム10に固定される固定部25,25を備えている。このような構成とすれば、手掛部21から戸先側に延びる固定部25,25によって引手部材20を戸先側縦フレーム10の戸尻側に固定することができ、戸先側縦フレーム10の戸幅方向に沿う寸法が小さい場合にも取付可能となる。
【0018】
これら固定部25,25は、図2(b)に示すように、戸先側縦フレーム10の内側面11に突き合わせられて戸先側縦フレーム10に固定される。このような構成とすれば、板状部材3の端部3aを受け入れる受入溝15に嵌入される取付部を設けた構成と比べて、引手部材20を戸先側縦フレーム10に対して容易に固定することができる。また、受入溝15に嵌入される取付部によって板状部材3の端部3aを保持する保持部材を構成するガスケット4が分断されるようなことを抑制することができる。
これら固定部25,25には、図1(c)、図2(c)及び図3(a)、(b)に示すように、戸先側縦フレーム10の内側面11を構成する側壁部16に形成された位置決め凹部18,18に差し込まれる位置決め突起28,28が設けられている。これら固定部25,25には、戸先側縦フレーム10の戸幅方向外側から止着される固着具5,5の止着部29,29が設けられている。このような構成とすれば、固定部25の位置決め突起28を戸先側縦フレーム10の位置決め凹部18に差し込んで位置合わせした状態で、固定部25の止着部29にねじ等の固着具5を止着することができ、引手部材20の取付位置のずれ等を抑制することができる。また、引手部材20の戸高方向両端の固定部25,25のそれぞれを固着具5,5によって戸先側縦フレーム10に強固に固定することができ、また、固着具5,5を取り外すことで引手部材20の交換も容易に可能となる。
【0019】
上記した戸先側縦フレーム10の内側面11は、戸厚方向外側から板状部材3に向かうに従い戸尻側となるように傾斜する傾斜面状とされている。このような構成とすれば、戸先側縦フレーム10自体の戸幅方向に沿う寸法を確保しながらも、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面(見付面)の戸幅方向に沿う寸法を小さくすることができ、すっきりとした印象を与えることができる。
引手部材20の固定部25,25の突き合わせ面27,27は、内側面11に沿う傾斜面状とされている。このような構成とすれば、戸先側縦フレーム10の内側面11及び固定部25,25の突き合わせ面27,27が板状部材3表面に対して垂直面状とされた構成と比べて、互いの隙間を目立ち難くすることができる。
【0020】
具体的には、引手部材20は、図2に示すように、戸厚方向両側に設けられている。これら戸厚方向両側の引手部材20,20が沿わせられる戸先側縦フレーム10の戸厚方向両側の内側面11,11は、戸厚方向両外側縁部から戸厚方向中心側となる板状部材3側に向かうに従い戸尻側となるように傾斜面状とされた傾斜面12,12を備えている。これら戸厚方向両側の傾斜面12,12を含む戸厚方向両側の内側面11,11及び戸厚方向両側の引手部材20,20は、横断面視において、戸厚方向中心線を対称軸として線対称状とされているので、以下では、戸厚方向一方側の内側面11及び引手部材20を例にとって説明する。なお、詳細な図示及び説明を省略するが、上記した上フレーム7、下フレーム8及び戸尻側縦フレーム9の内側面も戸先側縦フレーム10の内側面11と略同様の構成とされている。戸尻側縦フレーム9と戸先側縦フレーム10とは、略同様の構成とされていてもよい。
【0021】
傾斜面12は、手指受入凹部19の戸先側を区画する。この傾斜面12は、内側面11の戸厚方向外側縁部から板状部材3までの戸厚方向の大半に亘って設けられている。傾斜面12は、横断面視において、略円弧状とされた凹湾曲面状とされている。この傾斜面12の戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面とのなす角度や曲率半径等は、手掛性の観点等から適宜の角度や曲率半径とされていてもよい。図1(b)、(c)に示すように、この傾斜面12を戸厚方向に見た状態の戸幅方向に沿う寸法は、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面の戸幅方向に沿う寸法と略同寸法とされている。つまり、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面の戸幅方向に沿う寸法は、戸先側縦フレーム10自体の戸幅方向に沿う寸法の約1/2の寸法とされている。
内側面11の板状部材3側の端部となる内側面端部13は、板状部材3の表面に対して略垂直面状とされている。つまり、内側面11は、戸厚方向の全体に亘って傾斜面状とされおらず、内側面端部13が戸尻側に向く略垂直面状とされている。このような態様に代えて、内側面11は、戸厚方向の全体に亘って傾斜面状とされていてもよい。
【0022】
内側面11(図例では、傾斜面12)には、図1(c)に示すように、引手部材20の戸高方向両側の固定部25,25に設けられた位置決め突起28,28が差し込まれる位置決め凹部18,18が戸高方向に間隔を空けて設けられている。図例では、固定部25,25のそれぞれに設けられた1つの位置決め突起28,28が差し込まれる2つの位置決め凹部18,18を内側面11に設けた例を示している。
これら位置決め凹部18,18は、軸方向が戸幅方向となるように設けられている。図例では、位置決め凹部18,18は、開口方向(戸幅方向)に見て、丸穴状とされている。これら位置決め凹部18,18は、図例では、戸厚方向外側部位から戸厚方向中心側に向けて内側面11と略平行状に延びるように形成された側壁部16を戸幅方向に貫通するように設けられた例を示しているが、このような例に限られない。上記した受入溝15の溝幅方向両側は、戸厚方向両側の側壁部16,16の互いに向き合う延出方向先端面によって区画されている。
【0023】
戸先側縦フレーム10には、引手部材20の戸高方向両側の固定部25,25に設けられた止着部29,29に止着される固着具5,5が挿通される挿通孔17,17が設けられている。図例では、固定部25,25のそれぞれに設けられた1つの止着部29,29に止着される固着具5,5が挿通される2つの挿通孔17,17を、戸先側縦フレーム10を戸幅方向に貫通させるように設けた例を示している。これら挿通孔17,17は、戸先側縦フレーム10の戸幅方向外側に向く面及び内側面11(図例では、傾斜面12)において開口するように設けられている。これら挿通孔17,17は、戸幅方向外側部位が固着具5,5の頭部を収容する大径状とされ、内側面11側部位が固着具5,5の軸部が挿通される小径状とされている。これら挿通孔17,17の戸幅方向外側部位に固着具5,5の頭部を覆うキャップ状部材が取り付けられる構成でもよい。図例では、引手部材20の位置決め突起28,28及び止着部29,29にそれぞれ応じた位置となるように、各位置決め凹部18,18の戸高方向外側に位置するように挿通孔17,17が設けられた例を示しているが、このような例に限られない。
【0024】
引手部材20の固定部25,25は、図2(b)及び図3(a)、(b)に示すように、内側面11に突き合わせられる突き合わせ面27,27が戸厚方向中心側部位から戸厚方向外側に向かうに従い戸先側となるように傾斜面状とされている。これら突き合わせ面27,27は、内側面11に略全面に亘って当接するように内側面11に対して平行状に形成されている。つまり、これら突き合わせ面27,27には、傾斜面12に応じた突湾曲面状の戸厚方向外側の傾斜面と、内側面端部13に応じた戸先側に向く略垂直面状の戸厚方向中心側部位と、が設けられている。
これら固定部25,25の位置決め突起28,28は、突き合わせ面27,27から戸先側に向けて突出するように設けられている。図例では、位置決め突起28,28は、上記した位置決め凹部18,18に対応させて略円柱状とされている。
これら固定部25,25の止着部29,29は、突き合わせ面27,27において開口するように設けられた凹部とされている。これら止着部29,29は、固着具5,5の雄ねじ部がねじ合わされる雌ねじ穴であってもよく、または下穴であってもよい。
【0025】
これら固定部25,25の戸高方向外側に向く面は、板状部材3の表面に対して略垂直面状とされている。
これら固定部25,25の戸厚方向外側に向く表面(見付面)は、戸高方向に沿う寸法が比較的に小さい寸法とされている。図例では、これら固定部25,25の戸厚方向外側に向く表面の戸高方向に沿う寸法を、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面(見付面)の戸幅方向に沿う寸法よりも小とした例を示している。図例では、これら固定部25,25の戸厚方向外側に向く表面を、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面よりも戸厚方向中心側に位置するように設けた例を示しているが、このような例に限られない。
手指受入凹部19の戸高方向両側を区画する固定部25,25の対向側となる面は、戸厚方向外側から板状部材3に向かうに従い互いに近接する側となるように傾斜する傾斜面26,26とされている。これら傾斜面26,26は、図例では、略平坦面状とされているが、このような例に限られない。
【0026】
手指受入凹部19の戸尻側を区画する手掛部21の対向面22は、戸厚方向外側から板状部材3に向かうに従い戸先側となるように傾斜する傾斜面状とされている。つまり、戸先側縦フレーム10の傾斜面12及びこれに対向する手掛部21の対向面22は、戸厚方向外側から板状部材3に向かうに従い近接する側となるように傾斜する傾斜面状とされている。このような構成とすれば、戸先側縦フレーム10の傾斜面12と手掛部21の対向面22とによって戸幅方向両側が区画される手指受入凹部19が戸高方向に見て(横断面視して)、拡開状となり、手指が差し込み易くなる。また、これら傾斜面12及び対向面22が板状部材3の表面に対して垂直面状とされた構成と比べて、手触り性を向上させることができる。
この対向面22は、傾斜面12と同様、横断面視において、略円弧状とされた凹湾曲面状とされている。図例では、これら対向面22と傾斜面12とは、横断面視において、これらから等距離となる線を対称軸として線対称状とされている。つまり、対向面22と傾斜面12とは、これらを戸厚方向に見た状態の戸幅方向に沿う寸法が互いに略同寸法とされている。傾斜面12及び対向面22は、横断面視において、略円弧状とされた凹湾曲面状に限られず、多面形状の傾斜面や略平坦面状の傾斜面でもよく、その他、種々の傾斜面でもよい。
【0027】
手掛部21の戸厚方向外側に向く表面(見付面)は、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面と同様、板状部材3の表面と平行状とされている。引手部材20は、この手掛部21の戸厚方向外側に向く表面を含み、その表面が戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面よりも戸厚方向外側に位置しないように、つまり、戸厚方向外側に突出しないように取り付けられる。図例では、引手部材20は、この手掛部21の戸厚方向外側に向く表面が戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面と略同一平面状となるように戸先側縦フレーム10に取り付けられる例を示している。また、図例では、手掛部21の戸厚方向外側に向く表面の戸幅方向に沿う寸法と戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面の戸幅方向に沿う寸法とを略同寸法とした例を示している。
手掛部21の戸尻側に向く面は、板状部材3の表面に対して略垂直面状とされている。
【0028】
引手部材20は、図1(b)及び図2(a)に示すように、戸高方向両側の固定部25,25間に亘って設けられ、手指受入凹部19の底部を構成する底板部23を備えている。このような構成とすれば、底板部23によって引手部材20の強度を向上させることができる。この底板部23は、手掛部21の板状部材3側の端部から戸先側に向けて延出するように設けられている。この底板部23は、薄板状とされている。この底板部23の戸先側の端部が戸先側縦フレーム10の内側面端部13に突き合わせられる。図例では、底板部23の厚さ寸法を、内側面端部13の戸厚方向に沿う寸法と略同寸法とした例を示している。また、底板部23の戸幅方向に沿う寸法を、手掛部21の戸厚方向外側に向く表面の戸幅方向に沿う寸法と略同寸法とした例を示している。つまり、図1(b)に示すように、戸先側縦フレーム10の戸厚方向外側に向く表面、傾斜面12、底板部23、対向面22及び手掛部21の戸厚方向外側に向く表面は、戸厚方向に見た状態における戸幅方向に沿う寸法がいずれも略同寸法とされている。
【0029】
この引手部材20は、図1(a)に示すように、手掛けし易い高さ位置となるように戸パネル1の戸高方向途中位置に取り付けられる。
この引手部材20は、図2(a)、(b)に示すように、板状部材3の表面と平行状の平坦面状とされた板状部材3側に向く裏面と板状部材3の表面との間に隙間が形成されるように戸先側縦フレーム10に取り付けられる。この隙間は、0.5mm~1.0mm程度であってもよい。このような態様に代えて、引手部材20は、その裏面を板状部材3の表面に当接させて取り付けられてもよい。
この引手部材20及び戸先側縦フレーム10の傾斜面12によって区画される手指受入凹部19の戸幅方向に沿う幅寸法や戸厚方向に沿う深さ寸法、戸高方向に沿う長さ寸法は、指先の差込が可能なように、また、手掛性の観点等から適宜の寸法としてもよい。手指受入凹部19の深さ寸法及び手指受入凹部19の開口側部位の幅寸法は、例えば、10mm以上でもよく、30mm以下でもよい。手指受入凹部19の長さ寸法は、例えば、50mm以上でもよく、300mm以下でもよい。
この引手部材20は、適宜の金属系材料から形成された鋳造成形品(ダイカスト)でもよく、適宜の合成樹脂系材料から形成された射出成形品でもよい。この引手部材20の表面は、化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理によって化粧面とされていてもよい。
【0030】
次に、戸パネルの変形例について、図4及び図5を参照しながら説明する。
上記した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。上記した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0031】
図4(a)は、第1変形例に係る戸パネル1Aの一例が備える引手部材20Aの一例を模式的に示している。
本変形例では、引手部材20Aは、位置決め突起28Aの構成が上記した例とは異なる。この位置決め突起28Aは、固定部25の突き合わせ面27から戸厚方向に沿って突出するように設けられている。この位置決め突起28Aは、その突出方向先端面が当該引手部材20Aの裏面と面一状となるように設けられている。このような位置決め突起28Aを設けた場合には、図示は省略しているが、戸先側縦フレーム10の側壁部16に、戸厚方向中心側に向けて開口する切欠状の位置決め凹部18を設けた構成としてもよい。
本変形例に係る引手部材20Aは、例えば、図4(b)に示すように、第1金型31と第2金型35とを有した金型30によって成形するようにしてもよい。図例では、射出部32が設けられた第1金型31に引手部材20Aの裏面側形状に応じた凹部33や位置決め突起28Aを形成する突起形成凹所34を設けた例を示している。また、第2金型35に、引手部材20Aの表面側形状に応じた突部36を設けた例を示している。
【0032】
図5(a)は、第2変形例に係る戸パネル1Bの一例を模式的に示している。
本変形例では、戸先側縦フレーム10Aの内側面11と引手部材20Bの底板部23との互いの突き合わせ部には、これらの間における透光を遮断する光遮断部14,24が設けられている。このような構成とすれば、戸先側縦フレーム10Aの内側面11と底板部23との互いの突き合わせ部における光漏れを抑制することができる。本変形例では、戸先側縦フレーム10Aの側壁部16の先端部の戸尻側縁部に突湾曲面状に形成された部位を、戸先側縦フレーム10A側の光遮断部14としている。底板部23の突き合わせ側となる先端部の板状部材3側の縁部には、側壁部16の突湾曲面状とされた光遮断部14に沿う形状となるように、戸先側に向けて突出し、光遮断部24を構成する突部が設けられている。この光遮断部24を構成する突部は、少なくとも底板部23の戸高方向の全体に亘って設けられていればよく、戸高方向両側の固定部25,25にも設けられていてもよい。このような構成とすれば、底板部23の光遮断部24を構成する突部を、側壁部16の突湾曲面状とされた光遮断部14に沿わせて潜り込ませることができ、この突部によって戸厚方向に沿う光の透過を抑制することができる。
【0033】
図5(b)は、第3変形例に係る戸パネル1Cの一例を模式的に示している。
本変形例においても、第2変形例と同様、戸先側縦フレーム10Bの内側面11と引手部材20Cの底板部23との互いの突き合わせ部に、光遮断部14A,24Aが設けられている。本変形例では、戸先側縦フレーム10Bの戸尻側に向く内側面端部13を、板状部材3側に向くように傾斜する傾斜面状の光遮断部14Aとした例を示している。底板部23の突き合わせ側となる先端面を、戸先側縦フレーム10Bの光遮断部14Aと略平行状となるように、戸厚方向外側に向くように傾斜する傾斜面状の光遮断部24Aとした例を示している。このような構成とすれば、戸先側縦フレーム10Bの光遮断部14Aと底板部23の光遮断部24Aとが突き合わされて隙間が形成された場合にも、戸厚方向に対して互いの突き合わせ部が傾斜しているので、戸厚方向に沿う光の透過を抑制することができる。
【0034】
戸先側縦フレーム10A,10B側及び引手部材20B,20C側に設けられる光遮断部14,14A,24,24Aとしては、上記したような構成に限られない。例えば、戸先側縦フレーム10A,10B及び引手部材20B,20Cのうちの一方に、戸幅方向に開口するように凹部を設け、他方に、この凹部に差し込まれる突部を設けた構成としてもよい。または、戸先側縦フレーム10A,10B及び引手部材20B,20Cのうちの一方に、他方に弾性変形や圧縮変形を伴い接触する軟質部等を設けた構成としてもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
上記各例において説明した互いに異なる構成を、適宜、必要に応じて変形し、組み替えて適用したり、組み合わせて適用したりしてもよい。
【0035】
上記した各例では、引手部材20,20A~20Cに、底板部23を設けた例を示しているが、このような底板部23を設けていない構成としてもよい。つまり、引手部材20,20A~20Cの手指受入凹部19の底部を板状部材3によって構成してもよい。
上記した各例では、戸先側縦フレーム10の内側面11及び手掛部21の対向面22を傾斜面とした例を示しているが、これらのうちの一方または両方が板状部材3の表面に対して略垂直面状とされていてもよい。
上記した各例では、固定部25に、位置決め突起28,28A及び止着部29を設けた例を示しているが、これらのうちの一方または両方が設けられていなくてもよい。
上記した各例では、戸先側端部の戸厚方向両側に引手部材20,20A~20Cが取り付けられた例を示しているが、戸厚方向一方側のみに引手部材20,20A~20Cが取り付けられていてもよい。
上記した各例に係る戸パネル1,1A~1Cの上記した各部材及び各部の構成は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1,1A~1C 戸パネル
2 パネル本体
3 板状部材
6 四周フレーム(四周のフレーム)
10,10A,10B 戸先側縦フレーム(戸先側の縦フレーム)
11 内側面
12 傾斜面(内側面)
14,14A 光遮断部
16 側壁部
18 位置決め凹部
19 手指受入凹部
20,20A~20C 引手部材
21 手掛部
22 対向面
23 底板部
24,24A 光遮断部
25 固定部
27 突き合わせ面
28,28A 位置決め突起
29 止着部
5 固着具
図1
図2
図3
図4
図5