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特開2023-63762ロータリーバルブ、充填機、およびロータリーバルブの洗浄または殺菌方法
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  • 特開-ロータリーバルブ、充填機、およびロータリーバルブの洗浄または殺菌方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063762
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ロータリーバルブ、充填機、およびロータリーバルブの洗浄または殺菌方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/078 20060101AFI20230428BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
F16K11/078 Z
B65B39/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173763
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 喜与士
【テーマコード(参考)】
3E055
3H067
【Fターム(参考)】
3E055AA01
3E055BB01
3E055CA08
3E055DA04
3H067AA23
3H067CC36
3H067CC54
3H067DD08
3H067DD13
3H067DD32
3H067DD33
3H067EA06
3H067ED06
3H067FF11
3H067GG12
3H067GG19
3H067GG27
(57)【要約】
【課題】分解の必要なく、洗浄が必要な領域の全体を洗浄可能なロータリーバルブ、それを備えた充填機、およびロータリーバルブの洗浄または殺菌方法を提供すること。
【解決手段】所定の軸線を中心にロータが回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブは、流路の一部をなす部分流路が形成されているロータと、ロータを収容するハウジングと、を備える。部分流路は、ロータの外周部における軸線の周りの複数の箇所に開口を有する。ロータは、回転方向の位相に応じて開口を開閉可能である第1の位置と、開閉位置に対して軸線の方向にシフトした第2の位置と、に進退移動可能に構成されている。ハウジングの内側には、第1の位置にあるロータが収容されている収容領域と、収容領域から第2の位置に向けて移動されるロータを受け入れ、かつ、洗浄用または殺菌用の媒体が導入される空隙と、が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸線を中心にロータが回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブであって、
前記流路の一部をなす部分流路が形成されている前記ロータと、
前記ロータを収容するハウジングと、を備え、
前記部分流路は、前記ロータの外周部における前記軸線の周りの複数の箇所に開口を有し、
前記ロータは、回転方向の位相に応じて前記開口を開閉可能である第1の位置と、前記第1の位置に対して前記軸線の方向にシフトした第2の位置と、に進退移動可能に構成され、
前記ハウジングの内側には、
前記第1の位置にある前記ロータが収容されている収容領域と、
前記収容領域から前記第2の位置に向けて移動される前記ロータを受け入れ、かつ、洗浄用または殺菌用の媒体が導入される空隙と、が形成されている、
ロータリーバルブ。
【請求項2】
前記部分流路は、
第1の前記位相において開放される第1の前記開口と、
第2の前記位相において開放される第2の前記開口と、
前記第1の前記位相または前記第2の位相において開放される第3の前記開口と、を有する、
請求項1に記載のロータリーバルブ。
【請求項3】
前記ハウジングは、
前記流路を流れる流動物の供給源に接続され、前記位相に応じて前記第1~第3の開口から選択される一の前記開口に対向する供給ポートと、
前記流動物を計量する計量部に接続され、前記位相に応じて前記第1~第3の前記開口から選択される一の前記開口に対向する計量ポートと、
前記流動物を吐出する吐出部に接続され、前記位相に応じて前記第1~第3の前記開口から選択される一の前記開口に対向する吐出ポートと、を備える、
請求項2に記載のロータリーバルブ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記収容領域から前記軸線の方向に離れた位置で前記空隙に連通する洗浄ポートをさらに備える、
請求項3に記載のロータリーバルブ。
【請求項5】
前記ロータは、
前記開口が形成されているバルブ部と、
前記ハウジングに形成されている貫通部を貫通するシャフト部と、を備え、
前記ハウジングは、前記貫通部と前記シャフト部との間を封止し、前記シャフト部に対して摺動可能であるシール部材を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のロータリーバルブ。
【請求項6】
前記ロータを回転駆動する回転駆動部と、
前記ロータを進退駆動する進退駆動部と、
前記回転駆動部および前記進退駆動部と、前記ハウジングとの間で前記シャフト部を回転可能に支持する軸受と、を備える、
請求項5に記載のロータリーバルブ。
【請求項7】
所定の軸線を中心に回転駆動されるロータおよび前記ロータを収容するハウジングを含む複数のロータリーバルブと、
前記複数のロータリーバルブのそれぞれの前記ロータが同一軸線上に連結されてなるシャフトと、を備え、
前記複数のロータリーバルブはそれぞれ、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータリーバルブに相当し、
前記複数のロータリーバルブのそれぞれの前記ロータは、前記シャフトに伝達される進退駆動力により同期して進退移動し、
前記複数のロータリーバルブのそれぞれの前記ハウジングは、互いに連続している、あるいは、互いに分離している、ロータリーバルブ集合体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のロータリーバルブ、または、請求項7に記載のロータリーバルブ集合体と、
前記流路を流れる流動物の供給源であって、前記位相に応じて一の前記開口に接続されるタンクと、
前記位相に応じて一の前記開口に接続され、前記流動物を吐出して充填する吐出部を有する充填ノズルと、を備える、充填機。
【請求項9】
所定の軸線を中心にロータが回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブを洗浄または殺菌する方法であって、
前記ロータに形成されて前記流路の一部をなす部分流路は、前記ロータの外周部における前記軸線の周りの複数の箇所に開口を有し、
前記ロータを収容するハウジングの内側で、前記ロータの回転方向の位相に応じて前記開口を開閉可能である第1の位置から、前記ロータを前記軸線の方向に第2の位置まで移動させるステップと、
前記軸線の方向にシフトしている前記外周部および前記ハウジングの内周部に洗浄用または殺菌用の媒体を供給するステップと、を含む、ロータリーバルブの洗浄または殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路の切り替えが可能なロータリーバルブ、当該ロータリーバルブを備える充填機、および当該ロータリーバルブを洗浄または殺菌する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状や粉粒状等の流動物を供給するために、ハウジングと、ハウジングに対して軸線周りに回転するロータと、ロータを駆動するモータとを備えたロータリーバルブが広く用いられている(例えば、特許文献1)。典型的なロータリーバルブのロータの外周部には、軸線に対して放射状に複数のベーンが形成されている。ロータの回転速度を制御することにより、流動物を一定あるいは可変の流量で供給することが可能である。
【0003】
その他の用途として、ロータリーバルブは、特許文献2に示すように、カレールー等の流動物をタンクから容器に充填するにあたり、流動物が通過する流路を切り替えるために用いられている。かかるロータリーバルブのロータの内部には、T字状の流路が形成されている。ロータの回転の位相に応じてT字状流路の向きが変わることにより、タンクから計量シリンダへと流動物が流れる第1流路、および計量シリンダから充填ノズルへと流動物が流れる第2流路のいずれか一方が開通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-52711号公報
【特許文献2】特開2000-219204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータリーバルブを含むラインは、生産の停止時や、製造ラインにあっては製品の切り替え時等の適宜なタイミングで洗浄、殺菌される。例えば、ロータリーバルブを含む充填機については、カレールー等の製品液に代えて、洗浄用の液体をラインの配管を通じてタンクや充填ノズル等の内部に導入する定置洗浄(CIP;Cleaning In Place)が実施される。このとき、ロータリーバルブのロータの内部流路にも洗浄用の液体が流れるので、ロータの内部流路は洗浄される。
【0006】
ロータの内部流路だけでなく、ロータの外周部やハウジングの内周部等を含め、製品液が付着する可能性のある領域の全体を洗浄するためには、手作業により、ロータリーバルブを分解する必要がある。作業手順としては、例えば、複数のボルトを取り外してハウジングを充填ノズルや支持部材等から取り外し、さらに複数のボルトを取り外すことでハウジングからロータを軸方向に抜き取る。そうして互いに分離した状態のロータおよびハウジングを洗浄する。
充填ラインの制御により自動的に実施される定置洗浄に加え、充填機に備わる多数のロータリーバルブのそれぞれを分解洗浄する作業が必要であるから、ロータリーバルブの分解洗浄は、充填ラインの洗浄の自動化を妨げている。
【0007】
以上より、本開示は、分解の必要なく、ロータリーバルブを洗浄や殺菌が必要な領域の全体に亘り洗浄することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、所定の軸線を中心にロータが回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブであって、流路の一部をなす部分流路が形成されているロータと、ロータを収容するハウジングと、を備える。
部分流路は、ロータの外周部における軸線の周りの複数の箇所に開口を有する。
ロータは、回転方向の位相に応じて開口を開閉可能である第1の位置と、第1の位置に対して軸線の方向にシフトした第2の位置と、に進退移動可能に構成されている。
ハウジングの内側には、第1の位置にあるロータが収容されている収容領域と、収容領域から第2の位置に向けて移動されるロータを受け入れ、かつ、洗浄用または殺菌用の媒体が導入される空隙と、が形成されている。
【0009】
また、本開示は、所定の軸線を中心にロータが回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブを洗浄または殺菌する方法であって、ロータに形成されて流路の一部をなす部分流路は、ロータの外周部における軸線の周りの複数の箇所に開口を有し、ロータの回転方向の位相に応じて開口を開閉可能である第1の位置から、ロータを収容するハウジングの内側でロータを軸線の方向に第2の位置まで移動させるステップと、軸線方向にシフトしている外周部およびハウジングの内周部に洗浄用または殺菌用の媒体を供給するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ハウジングの内側でロータが軸線の方向に移動可能に構成されていることにより、ロータリーバルブを分解することなく、ロータリーバルブの洗浄または殺菌が必要な領域の全体に亘り洗浄液を供給して洗浄を行うことができる。そのため、手作業によるロータリーバルブの分解を伴う分解洗浄作業が必要ないので、定置洗浄、定置殺菌の工程の自動化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る充填機の一部を模式的に示す図である。
図2図1のII-II線矢視によりロータリーバルブを示す縦断面図である。ロータは軸線方向において生産時の位置にある。
図3図2のIII-III線矢視図である。計量時の状態を示している。
図4】充填時の状態を示す図である。図3に示す状態からロータが90°回転している。
図5図2に示す状態からロータが軸線方向に移動した状態を示す縦断面図である。
図6図5のVI-VI線矢視図である。
図7】本開示のロータリーバルブ集合体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
〔全体構成〕
図1に一部を示す充填機1は、製品液を図示しない容器(包材を含む)充填して密封する充填ラインを構成している。容器は、例えばボトルであり、パウチ包装等であってもよい。
充填機1は、製品液を貯留するタンク2と、容器を搬送する図示しない搬送機構と、容器に製品液を充填する多数の充填部3と、充填機1を制御する制御装置5とを備えている。搬送機構は、例えば、回転体を含む回転式の搬送機構、あるいは、リニアモータ式の搬送機構である。搬送機構には、複数の容器をそれぞれ把持する図示しないグリッパが設けられている。
【0013】
充填機1は、搬送機構により容器を搬送しながら、搬送機構に設けられて容器と共に移動される充填部3により製品液を各容器に充填する。あるいは、所定位置に設置された充填部3により、充填部3の位置に搬送される容器に対して製品液を充填する。
製品液は、例えば、カレーやシチュー等のルー、野菜や肉等から調合されたピューレ、ソース等の液状の流動物に該当する。こうした流動物は、水等の液体と比べて粘度が高い。充填部3は、計量された規定量の製品液を吐出して容器に充填する。
【0014】
〔充填部の構成例〕
充填部3は、例えば、図1図3に示すように、タンク2から受け入れる製品液を計量する計量シリンダ31(計量部)と、計量シリンダ31から容器の口の位置まで製品液を導く充填ノズル32と、充填ノズル32の先端部を開閉する開閉機構33と、タンク2、計量シリンダ31、および充填ノズル32に接続されるロータリーバルブ10とを備えている。
【0015】
ロータリーバルブ10は、製品液が流れる流路をロータ11の回転位相に応じて切り替える。ロータリーバルブ10は、ロータ11と、ロータ11を収容するハウジング20と、シール部材41~43と、1つ以上のボールベアリングである軸受44,45と、回転駆動部50と、進退駆動部55とを備えている。ハウジング20の内側には、ロータ11を収容する収容領域21と、収容領域21に付加されている空隙22とが形成されている。
【0016】
ハウジング20には、図3に示すように、製品液の供給源であるタンク2の底部2Aに接続される供給ポート201と、計量シリンダ31に接続される計量ポート202と、充填ノズル32に接続される吐出ポート203と、空隙22に連通する洗浄ポート204とが設けられている。
【0017】
計量シリンダ31は、タンク2の底部2Aよりも下方に設置されるシリンダ311と、シリンダ311に挿入されるピストン312と、シリンダ311の内壁とピストンヘッドとの間を封止する環状シール312Aと、ピストン312を押し引き動作させる図示しない駆動装置とを備えている。
シリンダ311は、水平に配置され、計量ポート202と連通している。ピストン312をシリンダ311から所定のストロークだけ引き込むことで、タンク2から規定量の製品液がシリンダ311内に引き込まれたならば、ピストン312を充填ノズル32へと押し出す。
【0018】
充填ノズル32は、吐出ポート203の位置から、容器の口の近傍に位置する吐出口32Aまで延びている。
開閉機構33は、エアシリンダ331および弁332を備えている。開閉機構33は、弁332を昇降させることで吐出口32Aを適時に開閉する。
なお、開閉機構33は必ずしも必要ではなく、計量シリンダ31のピストン312により製品液を押し出すことで、製品液が直接的に吐出口32Aから吐出されていてもよい。
【0019】
製品液に加えて固形物が同一の容器に充填される場合は、吐出口32Aの近傍に、固形物を容器に投入する機構を設けることができる。
【0020】
回転駆動部50により軸線Xを中心にロータ11を回転駆動させると、タンク2、計量シリンダ31、および充填ノズル32の間の製品液の流路が切り替えられる。計量シリンダ31のピストン312の押し引き、ロータ11の回転による流路の切り替え、開閉機構33による弁332の昇降、および容器の充填位置への搬送が、制御装置5により同期して行われることで、計量および充填が繰り返し行われて容器入り製品が生産される。
【0021】
生産の停止時、あるいは、生産する製品の切替時には、水や、洗浄用の液体である洗浄用媒体(以下、洗浄液)を使用し、充填機1の定置洗浄(CIP;Cleaning In Place)が行われる。定置洗浄の工程の一部において、ロータ11は、進退駆動部55により、生産時の位置から軸線Xの方向における空隙22側に向けて移動される。
【0022】
〔ロータリーバルブの詳細構成〕
以下、ロータリーバルブ10の詳細な構成を説明する。
(ロータ)
ロータ11は、略円筒状のバルブ部110と、バルブ部110から軸線Xの方向に延びるシャフト部120とを備えている。バルブ部110には、外周部110Aに第1~第3開口101~103を有した部分流路11Fが形成されている。生産時において外周部110Aは、ハウジング20の内周部20Aにより包囲されている。
【0023】
部分流路11Fは、ロータ11の回転の中心である軸線Xに対して直交する同一断面上に配置されている。
軸線Xの方向をx方向と称する。部分流路11Fは、x方向に対して直交するy-z平面上に配置されている。本実施形態におけるz方向は鉛直方向に相当する。x方向およびy方向は水平面に対して平行である。
【0024】
第1~第3開口101~103は、外周部110Aにおける軸線Xの周りの複数の箇所に並び、いずれも円形に形成されている。本実施形態の第1~第3開口101~103のそれぞれの径は、同一である。
ロータ11の回転方向における第1開口101の位置が0°であるとすると、第2開口102は90°に位置し、第3開口103は180°に位置している。
部分流路11Fは、軸線Xの位置を通り第1開口101と第3開口103とを結ぶ区間104と、区間104に対して直角に軸線Xの位置から延びる区間105とを備えている。部分流路11Fは、区間104,105の全体として略T字状に形成されている。
【0025】
第1~第3開口101~103は、バルブ部110の回転方向(x軸回転方向)の位相に応じて開閉される。第1~第3開口101~103の開閉状態に応じて、部分流路11Fを含む流路における製品液の流れが切り替えられる。
例えば、図3に示すように第1位相φ1のとき、第1開口101は、供給ポート201に対向しているので、第1開口101は開放されている。また、第2開口102も、計量ポート202に対向していることで開放されている。このとき第3開口103は、ハウジング20の内周部20Aにより閉鎖されている。第1位相φ1のときは、タンク2から計量シリンダ31へと向かう第1流路R1を通じて、製品液がシリンダ311内へと引き込まれるので、製品液を計量可能である。
【0026】
図4に示すように第2位相φ2のときは、第1開口101が計量ポート202に対向し、第3開口103が吐出ポート203に対向しているので、第1開口101および第3開口103は開放されている。このとき第2開口102は、ハウジング20の内周部20Aにより閉鎖されている。第2位相φ2のときは、ピストン312により押し出される製品液が、シリンダ311から充填ノズル32へと向かう第2流路R2を流れるので、製品液を充填可能である。
【0027】
部分流路11Fは、T字状には限らず、他の形状に形成されていてもよい。また、部分流路11Fの開口の数は、必ずしも3つには限られない。
【0028】
バルブ部110の外周部110Aとハウジング20の内周部20Aとの間には、所定のクリアランスが設定されている。バルブ部110の一端側x1の縮径部110Bには、バルブ部110とハウジング20との間を封止する環状のシール部材41が設けられている。バルブ部110の他端側x2の端部110Cにも、同様の環状のシール部材42が設けられている。シール部材41,42は、バルブ部110に形成された溝に配置されている。
シール部材41は、シャフト部120とハウジング20との間を封止するシール部材43が設けられている場合は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0029】
ロータ11は、軸線Xを中心に回転可能であることに加え、第1の位置である開閉位置P1と、開閉位置P1に対して軸線Xの方向にシフトした第2の位置である外周洗浄位置P2(図5)とに進退移動可能に構成されている。
ロータ11は、少なくとも生産時には、回転により開口101~103の開閉が可能な開閉位置P1にある。このとき、バルブ部110はハウジング20の収容領域21に配置されている。
【0030】
(ハウジング)
ハウジング20は、少なくとも生産時にバルブ部110が配置される収容領域21と、定置洗浄時にバルブ部110を受け入れ可能な空隙22とを内包しているとともに、シャフト部120が貫通する貫通孔23と、ポート201~203をそれぞれ部分流路11Fに連通させる第1~第3連通孔24~26と、洗浄ポート204と空隙22とを連通させる第4連通孔27とを備えている。
ハウジング20は、複数のボルト46により計量シリンダ31と固定され、複数のボルト47により充填ノズル32と固定されている。
【0031】
収容領域21は、バルブ部110を包囲するハウジング20の内周部20Aよりも内側の略円筒状の空間に相当し、ハウジング20の内部空間におけるx方向の一端側x1を占めている。
空隙22は、バルブ部110の他端側x2への移動を許容するため、開閉位置P1から外周洗浄位置P2までの移動ストロークStに相応の長さが与えられている。
【0032】
x方向の長さを含め、空隙22の大きさは、定置洗浄時に空隙22に移動したバルブ部110の外周部110Aおよびハウジング20の内周部20Aを洗浄液が流動可能な適宜な大きさに設定される。空隙22のy方向およびz方向の寸法のいずれも、内周部20Aの径に対して、拡径部28を経て拡大されている。
また、空隙22の形状は、バルブ部110に干渉しない適宜な形状に定められている。
本実施形態の空隙22は、直方体状の空間に相当する。但し、本実施形態には限らず、例えば、空隙22は円筒状の空間であってもよい。
【0033】
本実施形態においては、開閉位置P1から外周洗浄位置P2までロータ11を移動させると、内周部20Aに対向していたバルブ部110の略全体が収容領域21からx方向に離れて空隙22に配置される。そのため、移動ストロークStの長さは、バルブ部110のx方向の長さに相当する。但し、本実施形態に限らず、移動ストロークStは、バルブ部110のx方向の長さに対して長くても短くてもよい。例えば、図5に示すように開閉位置P1の近傍に外周洗浄位置P2-1が設定されるため移動ストロークStが短く、これに対応して空隙22のx方向の長さが短い場合であっても、外周部110Aおよび内周部20Aに洗浄液が流動可能であることを限度として許容される。
【0034】
つまり、ロータ11を必ずしも最大の移動ストロークStで移動させる必要はなく、進退駆動部55がx方向の移動量を調整可能である場合は、適宜な移動ストロークでロータ11を移動させることができる。
【0035】
ハウジング20には、収容領域21および空隙22を内包し、かつ、ポート201~204や軸受44,45の設置に適した壁29が与えられている。
本実施形態のハウジング20は、直方体状の外観に形成されている。ハウジング20は、xy面に沿った上壁20xy1および下壁20xy2と、yz面に沿った左壁20yz1および右壁20yz2と、zx面に沿った前壁20zx1および後壁20zx2とを備えている。但し、この限りではなく、ハウジング20の外観は、例えば円筒状であってもよい。
上記の上壁、下壁、左壁、右壁、前壁、および後壁を区別しない場合は、壁29と称する。
【0036】
図1および図5等において、ハウジング20の形状は模式的に示されている。ハウジング20は、加工や組み立てを考慮して適宜に分割されていてもよい。例えば、前壁20zx1および後壁20zx2がハウジング20の他の部位に対して分割されていたり、ハウジング20が、直径に沿って二分割された半割体から構成されていたりしてもよい。
ロータ11も同様に、適宜な位置で分割して構成することができる。
【0037】
貫通孔23は、x1側に位置する左壁20yz1を厚さ方向に貫通している。ハウジング20にロータ11が収容されると、シャフト部120が貫通孔23を通りハウジング20の外側に突出する。シャフト部120は、左壁20yz1に設けられる軸受44,45により回転可能に支持される。軸受44,45は、複数のボルト48により左壁20yz1に締結されている。
左壁20yz1には、シャフト部120と貫通孔23の内壁との間の隙間を封止する環状のシール部材43が設けられている。シール部材43は、貫通孔23の内壁に形成された溝に配置されている。
ロータ11が開閉位置P1と外周洗浄位置P2との間を移動するとき、シール部材43は、シャフト部120に対して摺動する。
【0038】
第1連通孔24は、供給ポート201に対応しており、収容領域21の位置で上壁20xy1を貫通している。
第2連通孔25は、計量ポート202に対応しており、収容領域21の位置で後壁20zx2を貫通している。第3連通孔26は、吐出ポート203に対応しており、収容領域21の位置で前壁20zx1を貫通している。計量ポート202および吐出ポート203の位置に基づいて、計量された製品液は、ハウジング20の後側から前側に向けて押し出される。
第4連通孔27は、洗浄ポート204に対応しており、収容領域21から軸線Xの方向に離れた位置で下壁20xy2を貫通している。
【0039】
第1~第3連通孔24~26の径は、部分流路11Fの開口101~103と同等の径に設定されている。第1~第4連通孔24~27にそれぞれ接続されるポート201~204の径は、同一でも相違していてもよい。本実施形態の供給ポート201および洗浄ポート204の径は、計量ポート202および吐出ポート203の径よりも大きい。
【0040】
ポート201~204は、例えば、ハウジング20の壁29の外側に接合された管である。ポート201~204は、壁29に対して直交する向きに配置され、接続対象のタンク2等に接続される。但し、ポート201~204がハウジング20に一体に形成されていてもよい。
【0041】
(回転駆動部および進退駆動部)
回転駆動部50は、軸受44,45を超えてx1側に延びるシャフト部120の周りに結合している従動プーリ51と、駆動プーリ52と、従動プーリ51および駆動プーリ52に掛け回されるベルト53と、駆動プーリ52にトルクを出力するモータ54とを備えている。駆動プーリ52は、図示しない機構によりシャフト部120に係脱可能に結合している。駆動プーリ52は、少なくとも、シャフト部120のx方向への移動時にはシャフト部120から離脱している。
【0042】
回転駆動部50は、ベルトおよびプーリ用いるものに限らず、例えば、チェーンおよびスプロケットを用いるもの、あるいは歯車列を用いるもの等、シャフト部120に回転駆動力を伝達することが可能な適宜な機構であってよい。
【0043】
進退駆動部55としてのエアシリンダは、従動プーリ51よりもx1側に配置されるシリンダ551と、シャフト部120に一体に結合しているピストンロッド552とを備えている。シリンダ551に設けられているポート551A,551Bを通じて圧縮空気の供給および排出が行われることにより、ピストンロッド552およびロータ11がx1側またはx2側に向けて移動する。
進退駆動部55は、電動シリンダであってもよい。その他、適宜な直動機構を進退駆動部55に採用することができる。
【0044】
〔定置洗浄の工程〕
定置洗浄は、充填機1を生産時とほぼ同様に稼働させながら、タンク2、計量シリンダ31、充填ノズル32、ロータリーバルブ10等を含むCIP流路に、製品液に代えて洗浄液を流すことで行われる。CIP流路には、必要に応じてポンプが設けられる。また、多くの場合、洗浄液は加熱して用いられる。定置洗浄時には、開閉機構33の弁332が開かれ、充填ノズル32の吐出口32Aに洗浄液の回収用配管が装着されることで、洗浄液が流通する回路としてのCIP流路が設定される。
【0045】
以下、定置洗浄の工程の一例を説明する。かかる定置洗浄工程は、生産時とほぼ同様に、例えば、ロータ11の回転駆動、計量シリンダ31の押し引き動作を同期して行いつつ、洗浄液が接触するタンク2や配管等の内壁を洗浄する内部洗浄ステップS01を含む。当該ステップS01は、図1に示すように、開閉位置P1にロータ11が位置している状態で、タンク2から計量シリンダ31に洗浄液を充填し、ロータ11の回転により流路を切り替え、ピストン312により洗浄液を充填ノズル32に向けて流すことを複数回繰り返すことで行われる。
【0046】
内部洗浄ステップS01を行うことで、ロータリーバルブ10の部分流路11Fにも製品液が流れるので、部分流路11Fの内壁、ポート201~204の内壁等は洗浄される。しかし、洗浄液が、開口101~103とポート201~203とのそれぞれのクリアランスからシール部材41,42の間の範囲に漏れ出るとしても、内部洗浄ステップS01により、バルブ部110の外周部110Aと、外周部110Aに近接しているハウジング20の内周部20Aとの間に存在する製品液を十分に洗浄することは難しい。
【0047】
そこで、当該定置洗浄工程は、所定の移動ストロークStだけロータ11を移動させた状態で、主に、バルブ部110の外周部110Aおよびハウジング20の内周部20Aを洗浄する外周洗浄ステップS02(図5)を含む。
外周洗浄ステップS02においては、進退駆動部55により、開閉位置P1から、空隙22に向けて外周洗浄位置P2までロータ11を移動させる。そうすると、例えば、図5に示すように外周部110Aが内周部20Aからx方向に離れる。このとき、収容領域21には、内周部20Aよりも径が小さいシャフト部120が配置されているので、ポート201~203と、空隙22とは、収容領域21を介して連通している。ポート204は、空隙22を介して他のポート201~203と連通している。
【0048】
したがって、ポート201~204のうちの任意のポートから他の任意へのポートに向けてハウジング20内に導入される洗浄液により空隙22および収容領域21の全体を満たし、外周部110Aおよび内周部20Aを含めた、ハウジング20内の全域に洗浄液を供給して洗浄することが可能となる。
【0049】
例えば、供給ポート201から洗浄ポート204に向けてハウジング20内に洗浄液が導入されるものとする。
このとき、例えば、破線の矢印で示すように、バルブ部110の外周部110Aおよびハウジング20の内周部20Aの全体に亘り洗浄液が流動する。洗浄液の流動により、例えば、開口101~103の周縁や、シール部材41,42、内周部20A等に付着した製品液を洗い流すことができる。ロータ11を外周洗浄位置P2まで移動させていることにより、ポート201~203のいずれもロータ11により閉鎖されておらず、ロータ11の開口101~103のいずれも空隙22に開放されている。このとき、ロータ11の位相は、必ずしも、図6に示す第3位相φ3である必要はなく、例えば、第2位相φ2(図4)や、第1位相φ1(図3)であってもよい。
なお、洗浄液は、洗浄ポート204から供給ポート201に向けて導入することもできる。
【0050】
外周洗浄ステップS02においては、ハウジング20に設けられているシール部材43によりシャフト部120の周りの隙間が封止されているので、ハウジング20の外側への洗浄液の漏出を防いで、ハウジング20内に洗浄液が満たされた状態を維持しつつ、ハウジング20内の全域に亘り洗浄することができる。
【0051】
ところで、外周洗浄ステップS02においては、ロータ11を外周洗浄位置P2に移動させた状態で、計量シリンダ31のピストン312を往復動作させるとともに、回転駆動部50によりロータ11を回転させるようにしてもよい。
ピストン312の往復移動や、部分流路11Fの回転による撹拌作用により、ハウジング20内における洗浄液の流動が促進されることで、外周部110Aおよび内周部20Aの洗浄効果を高めることができる。なお、外周洗浄ステップS02においては、ピストン312の往復動作、ロータ11の回転動作、および開閉機構33の往復動作のうちの1つ以上を選択して行うことができる。ピストン312、ロータ11、および開閉機構33のそれぞれの動作速度は、生産時の動作速度とは相違していてもよい。
【0052】
定置洗浄工程として、例えば、それぞれに決められた時間に亘り内部洗浄ステップS01および外周洗浄ステップS02を行うことができる。外周洗浄ステップS02を終えた後、進退駆動部55によりロータ11を開閉位置P1まで戻すとよい。
内部洗浄ステップS01および外周洗浄ステップS02は、適宜な順序で行うことができる。内部洗浄ステップおよび外周洗浄ステップを交互に繰り返し行うことも可能である。
【0053】
以上で説明したように、ロータリーバルブ10の内側(部分流路11F)の洗浄だけでなく、外側(外周部110Aおよび内周部20A)の洗浄をも充填機1の定置洗浄の一工程として行うことができる。
【0054】
〔本実施形態による効果〕
本実施形態のロータリーバルブ10を用いることによれば、ハウジング20の内側でロータ11が軸線Xの方向に移動可能に構成されていることにより、ロータリーバルブ10を分解することなく、ロータリーバルブ10の洗浄が必要な領域の全体に亘り洗浄液を供給して洗浄することができる。そのため、充填機1に備わる多数のロータリーバルブ10の個別の分解洗浄作業、例えば、ボルト46~48を外し、ハウジング20を分解してロータ11をハウジング20から取り出すといった分解作業の後、ロータ11の外周部110Aおよび内周部20Aを洗浄する作業が必要ない。
したがって、大幅な省力化を図りつつ、手作業によるロータリーバルブ10の分解が必要ないことにより、定置洗浄工程の完全自動化を実現することができる。洗浄時にロータリーバルブ10を分解する必要がないことにより、洗浄に要する時間を短縮することができるので、生産時間に対する非生産時間の比率を抑えて生産性を向上させることが可能である。
【0055】
本実施形態のロータリーバルブ10によれば、分解することなく、定置殺菌(SIP;Sterilization In Place))を行うことも可能である。定置殺菌は、充填機1を生産時とほぼ同様に稼働させながら、CIP用の流路とほぼ同様に設定されるSIP流路に殺菌用の媒体を導入することで行われる。殺菌用の媒体は、例えば、薬剤を含む液体、あるいは蒸気等である。
【0056】
定置殺菌工程には、例えば、上述の内部洗浄ステップS01と同様に行われる内部殺菌ステップと、上述の外周洗浄ステップS02と同様に行われる外周殺菌ステップとを含めることができる。
内部殺菌ステップにおいては、ロータ11が開閉位置P1にある状態で、生産時とほぼ同様に、ロータ11の回転駆動、計量シリンダ31の押し引き動作、および開閉機構33の昇降動作を同期して行いつつ、例えば蒸気によりタンク2や配管の内壁、ロータリーバルブ10の部分流路11F等を洗浄する。
また、外周殺菌ステップにおいては、ロータ11を外周洗浄位置P2に移動させた状態で、例えば、供給ポート201から洗浄ポート204に向けてハウジング20内に蒸気を導入する。蒸気等の殺菌媒体は、バルブ部110の外周部110Aおよびハウジング20の内周部20Aの全体に亘り流動し、殺菌媒体に接触した内周部20Aや外周部110Aを殺菌することができる。
【0057】
〔変形例〕
図7は、上記実施形態のロータリーバルブ10に代えて充填機1に備えられるロータリーバルブ集合体100を模式的に示している。かかる集合体100は、2以上のロータリーバルブ10(10-1,10-2)と、ロータリーバルブ10のそれぞれのロータ11が同一軸線X上に連結されてなるシャフト13とを備えている。シャフト13により連結されているロータ11は、同一の駆動機構により駆動することができる。
つまり、2以上のロータリーバルブ10のいずれのロータ11も、回転駆動部50からシャフト13に伝達されるx回転方向の駆動力により同期して回転駆動され、また、進退駆動部55からシャフト13に伝達されるx方向の駆動力により同期して進退駆動される。
【0058】
2以上のロータリーバルブ10のそれぞれのハウジング20は、図7に示すように互いに連続していてもよいし、あるいは、互いに分離していてもよい。
【0059】
複数のロータリーバルブ10はx方向における同じ向きに、つまり、x1側にシャフト部120を向けて連結されている。x2側からx1側に向けて、空隙22、収容領域21、および貫通孔23がこの順序で繰り返し配置されている。
ロータリーバルブ10と同様に、計量シリンダ31、充填ノズル32、および開閉機構33もx方向に並んでいる。
したがって、集合体100によれば、x方向に並んで搬送されるパウチ4等の複数の容器に対して、いずれも開閉位置P1にあるロータ11をx回転方向に回転駆動しつつ、計量された製品液を同時に充填することができる。
【0060】
外周洗浄時あるいは外周殺菌時には、進退駆動部55により所定のストロークだけシャフト13をx方向に駆動することにより、いずれのロータ11をも外周洗浄位置P2へと移動させる。そうすると、複数のロータリーバルブ10のそれぞれのハウジング20の内側に例えば供給ポート201を通じてタンク2から流入する洗浄用媒体あるいは殺菌用媒体が、洗浄ポート204に向けて流れつつ、ロータ11の外周部110およびハウジング20の内周部20Aを洗浄または殺菌する。
【0061】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、ロータ11のシャフト部120が、バルブ部110に対して空隙22側に延びてハウジング20の右壁20yz2を貫通していてもよい。この場合は、ハウジング20よりもx2側に配置される進退駆動部55によりロータ11を空隙22に向けて引っ張ることで、開閉位置P1から外周洗浄位置P2へと移動させることができる。
【0062】
また、ロータ11が、x方向におけるバルブ部110の両側にシャフト部120を備えていてもよい。x方向におけるハウジング20の両側には、それぞれシャフト部120を支持する1つ以上の軸受44,45を設けることができる。シール部材43は、一方のシャフト部120が通る貫通孔23の内壁と、他方のシャフト部120が通る貫通孔23の内壁とに設けることができる。
回転駆動部50および進退駆動部55は、両側のシャフト部120のうちの一方に設けることができる。
【0063】
本開示のロータリーバルブ10は、充填機1に限らず、種々の機械に適用することができる。ロータリーバルブ10により切り替えられる流路を移動する流動物は、粉粒体であってもよい。
【0064】
〔付記〕
以上で説明したロータリーバルブ、充填機、およびロータリーバルブの洗浄または殺菌方法は、以下を開示する。
〔1〕本開示は、所定の軸線Xを中心にロータ11が回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブ10であって、流路の一部をなす部分流路11Fが形成されているロータ11と、ロータ11を収容するハウジング20と、を備える。部分流路11Fは、ロータ11の外周部における軸線Xの周りの複数の箇所に開口101~103を有する。ロータ11は、回転方向の位相に応じて開口101~103を開閉可能である第1の位置(P1)と、第1の位置(P1)に対して軸線Xの方向にシフトした第2の位置(P2)と、に進退移動可能に構成されている。ハウジング20の内側には、第1の位置(P1)にあるロータ11が収容されている収容領域21と、収容領域21から第2の位置(P2)に向けて移動されるロータ11を受け入れ、かつ、洗浄用または殺菌用の媒体が導入される空隙22と、が形成されている。
〔2〕部分流路11Fは、第1の位相において開放される第1の開口101と、第2の位相において開放される第2の開口102と、第1の位相または第2の位相において開放される第3の開口103と、を有する。
〔3〕ハウジング20は、流路を流れる流動物の供給源(2)に接続され、位相に応じて第1~第3の開口101~103から選択される一の開口に対向する供給ポート201と、流動物を計量する計量部(31)に接続され、位相に応じて第1~第3の開口101~103から選択される一の開口に対向する計量ポート202と、流動物を吐出する吐出部32Aに接続され、位相に応じて第1~第3の開口101~103から選択される一の開口に対向する吐出ポート203と、を備える。
〔4〕ハウジング20は、収容領域21から軸線Xの方向に離れた位置で空隙22に連通する洗浄ポート204をさらに備える。
〔5〕ロータ11は、開口101~103が形成されているバルブ部110と、ハウジング20に形成されている貫通部を貫通するシャフト部120と、を備える。ハウジング20は、貫通部とシャフト部120との間を封止し、シャフト部120に対して摺動可能であるシール部材43を備える。
〔6〕ロータリーバルブ10は、ロータ11を回転駆動する回転駆動部50と、ロータ11を進退駆動する進退駆動部55と、回転駆動部50および進退駆動部55と、ハウジング20との間でシャフト部120を回転可能に支持する軸受44,45と、を備える。
〔7〕ロータリーバルブ10の集合体100は、所定の軸線Xを中心に回転駆動されるロータ11およびロータ11を収容するハウジング20を含む複数のロータリーバルブ10と、複数のロータリーバルブ10のそれぞれのロータ11が同一軸線X上に連結されてなるシャフト13と、を備える。複数のロータリーバルブ10はそれぞれ、上述のロータリーバルブ10に相当する。複数のロータリーバルブ10のそれぞれのロータ11は、シャフト13に伝達される進退駆動力により同期して進退移動する。複数のロータリーバルブ10のそれぞれのハウジング20は、互いに連続している、あるいは、互いに分離している。
〔8〕充填機1は、上述のロータリーバルブ10、または、上述のロータリーバルブ10集合体と、流路を流れる流動物の供給源であって、位相に応じて一の開口に接続されるタンク2と、位相に応じて一の開口に接続され、流動物を吐出して充填する吐出部32Aを有する充填ノズル32とを備える。
〔9〕所定の軸線Xを中心にロータ11が回転駆動されることで流路の切り替えが可能なロータリーバルブ10を洗浄または殺菌する方法は、ロータ11に形成されて流路の一部をなす部分流路11Fは、ロータ11の外周部における軸線Xの周りの複数の箇所に開口101~103を有し、ロータ11を収容するハウジング20の内側で、ロータ11の回転方向の位相に応じて開口101~103を開閉可能である第1の位置(P1)から、ロータ11を軸線Xの方向に第2の位置(P2)まで移動させるステップと、軸線Xの方向にシフトしている外周部110Aおよびハウジング20の内周部20Aに洗浄用または殺菌用の媒体を供給するステップと、を含む。
【符号の説明】
【0065】
1 充填機
2 タンク(供給源)
2A 底部
3 充填部
4 パウチ
5 制御装置
10 ロータリーバルブ
11 ロータ
11F 部分流路
20 ハウジング
20A 内周部
20xy1 上壁
20xy2 下壁
20yz1 左壁
20yz2 右壁
20zx1 前壁
20zx2 後壁
21 収容領域
22 空隙
23 貫通孔
24 第1連通孔
25 第2連通孔
26 第3連通孔
27 第4連通孔
28 拡径部
29 壁
31 計量シリンダ(計量部)
32 充填ノズル
32A 吐出口(吐出部)
33 開閉機構
41~43 シール部材
44,45 軸受
46~48 ボルト
50 回転駆動部
51 従動プーリ
52 駆動プーリ
53 ベルト
54 モータ
55 進退駆動部
100 集合体
101 第1開口
102 第2開口
103 第3開口
104,105 区間
110 バルブ部
110A 外周部
110B 縮径部
110C 端部
120 シャフト部
201 供給ポート
202 計量ポート
203 吐出ポート
204 洗浄ポート
311 シリンダ
312 ピストン
312A 環状シール
331 エアシリンダ
332 弁
551 シリンダ
551A,551B ポート
552 ピストンロッド
P1 開閉位置(第1の位置)
P2 外周洗浄位置(第2の位置)
R1 第1流路
R2 第2流路
S01 内部洗浄ステップ
S02 外周洗浄ステップ
St 移動ストローク
X 軸線
x1 一端側
x2 他端側
φ1 第1位相
φ2 第2位相
φ3 第3位相
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7