(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063766
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】光学レンズ系
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20230428BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173771
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 和弘
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA06
2H087PA07
2H087PA19
2H087PB09
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レンズ枚数やレンズ間の空間部を減らしてレンズ全長の短縮化を図り、レンズ全長を短縮化及び大口径化しても光学性能が維持できる小型軽量化を実現可能な光学レンズ系を提供する。
【解決手段】被写体OBJ側から結像面IMG側へ第1レンズ群G1、光学絞り部STO及び第2レンズ群G2がこの順に配置された光学レンズ系Uであって、第2レンズ群G2は、接合レンズL4、正レンズL5及び接合レンズL6及び単レンズL7をこの順に近接配置してなり、結像面IMG側に最も近い位置に配置された単レンズL7の少なくとも一つの面が非球面である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から結像面側へ第1レンズ群、光学絞り部及び第2レンズ群がこの順に配置された光学レンズ系であって、
前記第2レンズ群は、接合レンズ、正レンズ、接合レンズ及び単レンズをこの順に配置してなり、結像面側に最も近い位置に配置された単レンズの少なくとも一つの面が非球面であることを特徴とする光学レンズ系。
【請求項2】
前記第2レンズ群の結像面側に最も近い位置に配置された単レンズは、両面が曲率中心を結像面側に向けた非球面である請求項1記載の光学レンズ系。
【請求項3】
前記第2レンズ群に含まれる結像面側に最も近い位置に配置された単レンズは負のメニスカスレンズである請求項1又は請求項2記載の光学レンズ系。
【請求項4】
前記第2レンズ群に含まれる結像面側に最も近い位置に配置された単レンズは正のメニスカスレンズである請求項1又は請求項2記載の光学レンズ系。
【請求項5】
前記第1レンズ群は、物体側から順に少なくとも2枚の正レンズと最も結像面側に、当該結像面側に凹面を向けた負レンズを有し、物体側に最も近い第1レンズの少なくとも一つの面が非球面である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学レンズ系。
【請求項6】
前記第1レンズ群のうち少なくとも前記第1レンズは正レンズである請求項5記載の光学レンズ系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大口径標準レンズに備える物体側から結像面側へ第1レンズ群、光学絞り部及び第2レンズ群がこの順に配置された光学レンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、写真及びビデオ撮影用機器等に用いる交換レンズであって、特に、大口径標準レンズでは、色収差が目立ち始める焦点距離域でありながら、ある程度の画角を持つ性質があり、レンズ全長を短くした場合には、色収差が大きくなるのみならず、他の諸収差にも影響を及ぼす問題がある。このため、この種の大口径レンズでは、光学性能を高める場合、レンズ全長が長くなる傾向があり、十分な光学性能を確保しつつレンズのコンパクト化を図るには限界がある。
【0003】
従来、この問題に対処した光学レンズ系としては、特許文献1に開示される光学レンズ系が知られている。光軸に沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する前側レンズ群GFと、正の屈折力を有する後側レンズ群GRとを有し、前側レンズ群GFは、最も物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ成分G1と、正の屈折力を有する第2レンズ成分G2と、を有し、後側レンズ群GRは、物体側より順に、正レンズG8及び負レンズG9を貼り合わせた接合レンズG89を有している。これにより、画面全体の諸収差、特に色収差を補正し、画面全体にわたり高い光学性能を実現している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す光学レンズ系は、ガウスタイプの変形であり、絞りの前後のレンズが略対称形状をしている。この対称性により、歪曲収差の補正が容易となるが、更なる大口径化を図る場合には、コマ収差等が十分に補正できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、このような背景技術に存在する課題を解決し、レンズ枚数やレンズ間の空間部を減らしてレンズ全長の短縮化を図り、レンズ全長を短縮化及び大口径化しても光学性能が維持できる小型軽量化を実現可能な光学レンズ系を提供することにある。
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
物体側から結像面側へ第1レンズ群、光学絞り部及び第2レンズ群がこの順に配置された光学レンズ系であって、
前記第2レンズ群は、接合レンズ、正レンズ、接合レンズ及び単レンズをこの順に配置してなり、結像面側に最も近い位置に配置された単レンズの少なくとも一つの面が非球面であることを特徴とする。
これにより、光学絞り部より結像面側に配置される第2レンズ群が6枚のレンズを近接配置して構成されるため、部品点数を減らしてレンズ全長の短縮化を図り小型軽量化を実現することができる。特に、結像面側に最も近くに非球面を含んだ単レンズを配置したことで、大口径化しても光学的な収差を補正し光学特性を維持することができる。
【0008】
前記第2レンズ群の結像面側に最も近い位置に配置された単レンズは、両面が曲率中心を結像面側に向けた非球面であってもよい。
具体的には、前記第2レンズ群に含まれる結像面側に最も近い位置に配置された単レンズは負のメニスカスレンズであってもよいし、或いは正のメニスカスレンズであってもよい。
この位置に非球面レンズを配置することにより、大口径化に伴い発生する収差の補正を行い、光学特性を維持することができる。
【0009】
前記第1レンズ群は、物体側から順に少なくとも2枚の正レンズと最も結像面側に、当該結像面側に凹面を向けた負レンズを有し、物体側に最も近い第1レンズの少なくとも1つの面は非球面であってもよい。
これにより、物体側に凸となる複数の正レンズを近接配置することで、光軸方向における各レンズ間の間隔を最小化することができ、かつ物体側に最も近い第1レンズの少なくとも1つの面を非球面としたことで、限られたスペースの中でコマ、歪曲等の収差補正を可能としている。
【0010】
前記第1レンズ群のうち少なくとも前記第1レンズは正レンズであることが好ましい。これにより、第1レンズに正レンズを含むことでレンズの大口径化に伴う収差補正に寄与することができる。
【0011】
光学レンズ系の全系の焦点距離をfとし、物体側に最も近い第1凸レンズの第1面から結像面IMGまでの距離(トータルトラック)をTTとすると、TT/f<1.72となっている。光学レンズ系の大口径化により焦点距離fが長くなるとトータルトラックTTが大きくなり易いが、本発明では比較的に小さく抑えることができた。
【0012】
光学レンズ系の全系の焦点距離をfとし結像面に最も近い単レンズの焦点距離をfleとすると、、-0.33<f/fle<0.53となっている。このように、光学レンズ系全体の焦点距離fに対して結像面側に最も近く配置される単レンズのパワーは小さく抑えられている。
【発明の効果】
【0013】
レンズ枚数やレンズ間の空間部を減らしてレンズ全長の短縮化を図り、レンズ全長を短縮化しても光学性能が維持できる小型軽量化を実現可能な光学レンズ系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施例に係る光学レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図2】
図1の光学レンズ系の縦収差図であって、(a)は球面収差図、(b)は非点収差図、(c)は歪曲収差図である。
【
図3】第2実施例による光学レンズ系の構成を示す断面図である。
【
図4】
図3の光学レンズ系の縦収差図であって、(a)は球面収差図、(b)は非点収差図、(c)は歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、光学レンズ系の好適な実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に示す光学レンズ系は、写真撮影、ビデオ撮影用の光学機器に用いられるものであって、全系の焦点距離F=50mm、Fno(エフナンバー)1.0の大口径標準レンズに用いられる光学レンズ系Uを例示して説明する。
【0016】
[第1実施例]
図1に示すように、光学レンズ系Uは、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第1レンズ群G1、光学絞り部STO及び第2レンズ群G2がこの順に配置されている。
【0017】
第1レンズ群G1は、物体OBJ側から順に少なくとも2枚の正レンズと最も結像面側に、当該結像面側に凹面を向けた負レンズを有し、物体側に最も近い第1レンズの少なくとも1つの面は非球面である。
具体的には、
図1に示すように、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第1正レンズ(正のメニスカスレンズ)L1、第2正レンズ(正のメニスカスレンズ)L2、第3負レンズ(負のメニスカスレンズ)L3がこの順に近接配置されている。各レンズL1~L3のレンズ面の面番号(第1面及び第2面、第3面及び第4面、第5面及び第6面)を、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって1,2,3,4,5,6とする。
【0018】
これらのうち第1正レンズL1の物体OBJ側に最も近い位置に相当するレンズ面(第1面:面番号1)は曲率中心を結像面IMG側に向けた非球面に形成されている。非球面データについては後述する。このように、第1レンズ群G1のうち少なくとも第1正レンズL1に正のメニスカスレンズを含むことで、大口径化に伴う収差補正に寄与することができる。
【0019】
また、光学レンズ系Uの全系の焦点距離をfとし第1正レンズL1の第1面から結像面IMGまでの距離(トータルトラック)をTTとすると、TT/f<1.72となっている。光学レンズ系の大口径化によりトータルトラックTTが大きくなり易いが、本実施例では比較的に小さく抑えることができた。
このように、第1レンズ群G1を構成するレンズL1~L3を、物体OBJ側に凸となる第1正レンズL1、第2正レンズL2、第3負レンズL3を近接配置することで、光軸方向における各レンズ間の間隔を最小化することができ、かつ物体OBJ側に最も近い第1正レンズL1の第1面を非球面としたことで、限られたスペースの中でコマ、歪曲等の収差補正が可能となっている。尚、第1正レンズL1の第1面を非球面としたが第2面が非球面であってもよく、更には両面(第1面及び第2面)が非球面であってもよい。
【0020】
第2レンズ群G2は、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第4接合レンズL4(第4負レンズL4fと第4正レンズL4rの接合レンズ)、第5正レンズL5、第6接合レンズL6(第6正レンズL6fと第6負レンズL6rの接合)、第7単レンズ(負のメニスカスレンズ)L7がこの順に配置されている。各レンズL4~L7のレンズ面の面番号(第8面、第9面及び第10面、第11面及び第12面、第13面、第14面及び第15面、第16面及び第17面)を、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって8,9,10,11,12,13,14,15,16,17とする。尚、面番号7は光学絞り部STOとする。
【0021】
上記結像面IMG側に最も近い位置に配置された第7単レンズ(負のメニスカスレンズ)L7の少なくとも一つの面(第16面又は第17面)が非球面であることが好ましい。これにより、大口径化しても光学的な収差を補正し光学特性を維持することができるからである。
本実施例では第7単レンズ(負のメニスカスレンズ)L7の両面(第16面及び第17面:面番号16,17)は、曲率中心を結像面IMG側に向けた非球面となっている。非球面データについては後述する。
また、光学レンズ系Uの全系の焦点距離をfとし第7単レンズL7の焦点距離をfleとすると、-0.33<f/fle<0.53となっている。光学レンズ系U全体の焦点距離fに対して結像面IMG側に最も近く配置される第7単レンズL7の負のパワーが小さく抑えられている。
このように、光学絞り部STOより結像面側に配置される第2レンズ群G2が6枚のレンズを近接配置して構成されるため、部品点数を減らしてレンズ全長の短縮化を図り小型軽量化を実現することができる。特に、結像面側に最も近い第7単レンズL7の両面を非球面としたことで、第4接合レンズL4、第5正レンズL5、第6接合レンズL6では補正しきれない軸外収差を補正できるため、大口径化しても光学的な収差を補正し光学特性を維持することができる。尚、第7単レンズL7の両面を非球面としたがいずれか一方の面(第16面又は第17面)を非球面としてもよい。
【0022】
ここで、
図1に示す全系の焦点距離f=50mm、Fno(エフナンバー)1.0の光学レンズ系Uのレンズデータを表1及び表2に示す。
表1において、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiとし、この面番号は、
図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径をR、光軸上の面間隔をD、レンズの屈折率nd、レンズのアッベ数νdの絶対値をそれぞれ示す。nd及びνdはd線(587.56〔nm〕)に対する数値である。光軸上面間隔Dは相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、曲率半径Rと面間隔Dの単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは光学絞り部、IMGは結像面の位置を示す。曲率半径RのINFは平面であり、面番号の後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。また、屈折率ndとアッベ数νdの空欄は空気であることを示す。
【0023】
【0024】
表2は、第1実施例における非球面としての面形状(非球面係数)を示す。この場合、面の中心を原点とし、光軸方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは下記数式1により定義される。数式1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10,A12,A14は、それぞれ4次,6次,8次,10次,12次,14次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表2において、「E」は「×10」を意味する。
【0025】
【0026】
【0027】
さらに、
図2には、第1実施例に係る光学レンズ系Uの縦収差図を示す。この縦収差図は、左側から、(a)球面収差図(656.27nm,587.56nm,435.83nm)、(b)非点収差図(587.6nm)、(c)歪曲収差図(587.6nm)である。なお、各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.00%である。いずれも良好な収差を得ていることを確認できる。
【0028】
[第2実施例]
次に、
図1に示す光学レンズ系Uの他例について、
図3を参照して説明する。第1実施例と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
図3に示すように、光学レンズ系Uは物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第1レンズ群G1、光学絞り部STO及び第2レンズ群G2がこの順に配置されているのは同様である。
【0029】
第1レンズ群G1は、物体OBJ側から順に少なくとも2枚の正レンズと最も結像面側に、当該結像面側に凹面を向けた負レンズを有し、物体側に最も近い第1レンズの少なくとも1つの面は非球面である。
具体的には、
図3に示すように、第1レンズ群G1は、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第1正レンズ(正のメニスカスレンズ)L1、第2正レンズ(正のメニスカスレンズ)L2、第3負レンズ(負のメニスカスレンズ)L3がこの順に近接配置されている。これらのうち第1正レンズL1の物体OBJ側に最も近い位置に相当するレンズ面(第1面:面番号1)は曲率中心を結像面側に向けた非球面に形成されている。非球面データは後述する。このように、第1レンズ群G1のうち少なくとも第1正レンズL1に正のメニスカスレンズを含むことで、レンズの大口径化に伴う収差補正に寄与することができる。
尚、光学レンズ系Uの全系の焦点距離をfとし第1正レンズL1の第1面から結像面IMGまでの距離(トータルトラック)をTTとすると、TT/f<1.72となっている構成は第1実施例と同様である。
【0030】
このように、第1レンズ群G1を構成するレンズL1~L3を、物体OBJ側に凸となる第1正レンズL1、第2正レンズL2、第3負レンズL3を近接配置することで、光軸方向における各レンズ間の間隔を最小化することができ、かつ物体OBJ側に最も近い第1正レンズL1の第1面を非球面としたことで、限られたスペースの中でコマ、歪曲等の収差補正が可能となっている。尚、第1正レンズL1の第1面を非球面としたが第2面が非球面であってもよく、更には両面(第1面及び第2面)が非球面であってもよい。
【0031】
第2レンズ群G2は、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって第4接合レンズL4(第4負レンズL4fと第4正レンズL4rの接合レンズ)、第5正レンズ(正のメニスカスレンズ)L5´、第6接合レンズL6(第6正レンズL6fと第6負レンズL6rの接合)、第7単レンズ(正のメニスカスレンズ)L7´がこの順に配置されている。各レンズL4~L7´のレンズ面の面番号(第8面第9面及び第10面、第11面及び第12面、第13面、第14面及び第15面、第16面及び第17面)を、物体OBJ側から結像面IMG側へ向かって8,9,10,11,12,13,14,15,16,17とする。尚、面番号7は光学絞り部STOとする。
【0032】
上記結像面IMG側に最も近い位置に配置された第7単レンズ(正のメニスカスレンズ)L7´の少なくとも一つの面(第16面又は第17面)が非球面であることが好ましい。これにより、大口径化しても光学的な収差を補正し光学特性を維持することができるからである。本実施例では、第7単レンズ(正のメニスカスレンズ)L7´の両面(第16面及び第17面:面番号16,17)が非球面となっている。非球面データについては後述する。
また、光学レンズ系の全系の焦点距離をfとし第7単レンズL7´の焦点距離をfleとすると、-0.33<f/fle<0.53となっている点は第1実施例と同様である。光学レンズ系U全体の焦点距離fに対して結像面に最も近く配置される第7単レンズL7´の正のパワーが比較的に小さく抑えられている。
このように、光学絞り部STOより結像面側に配置される第2レンズ群G2が6枚のレンズを近接配置して構成されるため、部品点数を減らしてレンズ全長の短縮化を図り小型軽量化を実現することができる。特に、結像面側に最も近い第7単レンズL7´の両面(第16面及び第17面)が曲率中心を結像面IMG側に向けた非球面としたことで、第4接合レンズL4、第5正レンズL5´、第6接合レンズL6では補正しきれない軸外収差を補正できるため、大口径化しても光学的な収差を補正し光学特性を維持することができる。
【0033】
ここで、
図3に示す全系の焦点距離f=50mm、Fno(エフナンバー)1.0の光学レンズ系Uのレンズデータを表3及び表4に示す。
表3において、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiとし、この面番号は、
図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径をR、光軸上の面間隔をD、レンズの屈折率nd、レンズのアッベ数νdの絶対値をそれぞれ示す。nd及びνdはd線(587.56〔nm〕)に対する数値である。光軸上面間隔Dは相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、曲率半径Rと面間隔Dの単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは光学絞り部、IMGは結像面の位置を示す。曲率半径RのINFは平面であり、面番号の後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。また、屈折率ndとアッベ数νdの空欄は空気であることを示す。
【0034】
【0035】
表4は、第2実施例における非球面としての面形状(非球面係数)を示す。この場合、面の中心を原点とし、光軸方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは第1実施例の数式1により定義される。数式1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10,A12,A14は、それぞれ4次,6次,8次,10次,12次,14次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表2において、「E」は「×10」を意味する。
【0036】
【0037】
さらに、
図4には、第2実施例に係る光学レンズ系Uの縦収差図を示す。この縦収差図は、左側から、(a)球面収差図(656.27nm,587.56nm,435.83nm)、(b)非点収差図(587.56nm)、(c)歪曲収差図(587.56nm)である。なお、各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.00%である。いずれも良好な収差を得ていることを確認できる。
【0038】
上述した光学レンズ系は、大口径標準レンズとして、デジタルカメラやビデオカメラ等の各種光学機器における専用レンズ或いは交換レンズとして利用ですることができる。
【符号の説明】
【0039】
U 光学レンズ系 G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群 OBJ 物体 STO 光学絞り部 IMG 結像面 L1 第1正レンズ L2 第2正レンズ L3 第3負レンズ L4 第4接合レンズ L4r 第4負レンズ L4r 第4正レンズ L5,L5´ 第5正レンズ L6 第6接合レンズ L6f 第6正レンズ L6r 第6負レンズ L7,L7´ 第7単レンズ 1 レンズ第1面の面番号 2 レンズ第2面の面番号 3 レンズ第3面の面番号 4 レンズ第4面の面番号 5 レンズ第5面の面番号 6 レンズ第6面の面番号 7 レンズ第7面の面番号 8 レンズ第8面の面番号 9 レンズ第9面の面番号 10 レンズ第10面の面番号 11 レンズ第11面の面番号 12 レンズ第12面の面番号 13 レンズ第13面の面番号 14 レンズ第14面の面番号 15 レンズ第15面の面番号 16 レンズ第16面の面番号 17 レンズ第17面の面番号