(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063777
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】磁気センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20230428BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01D5/245 B
G01B7/30 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173786
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸 昇示
(72)【発明者】
【氏名】吉田 聖哉
【テーマコード(参考)】
2F063
2F077
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA08
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
2F077AA41
2F077JJ01
2F077JJ07
2F077JJ23
2F077UU12
2F077VV02
2F077VV23
(57)【要約】
【課題】磁気センサで磁界の変化を正確に検出することができるとともに、ヨークに対する各マグネットを正確に位置決めすることができる磁気センサユニットとを提供することを目的とする。
【解決手段】磁気センサユニット50は、基板21に対して相対的に変位するロータ13に固定されたヨーク30と、ヨーク30に固定され、ロータ13の相対的な変位方向に離間して配置されたマグネット34およびマグネット35と、基板21に固定され、マグネット34およびマグネット35により形成される磁界の変化を検出する磁気センサ22とを備える。ヨーク30は、マグネット34とマグネット35との間に突出した凸部38を有する。凸部38は、マグネット34が当接する当接部383と、マグネット35が当接する当接部385とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に対して相対的に変位する第2部材に固定された磁性体と、
前記磁性体に固定され、前記第2部材の相対的な変位方向に離間して配置された少なくとも2つのマグネットと、
前記第1部材に固定され、前記各マグネットにより形成される磁界の変化を検出する磁気センサと、を備え、
前記磁性体は、前記2つのマグネットの間に突出した凸部を有し、
前記凸部は、前記各マグネットが当接する当接部を有する磁気センサユニット。
【請求項2】
前記磁性体には、前記各マグネットが固定される部分に凹部が設けられており、
前記各凹部により、前記磁性体の前記2つのマグネットの間が相対的に前記凸部となる、請求項1に記載の磁気センサユニット。
【請求項3】
前記磁性体は、板状をなし、
前記各当接部の前記磁性体の板厚方向に沿った長さは、前記磁性体の板厚の25%以上100%以下である、請求項2に記載の磁気センサユニット。
【請求項4】
前記磁性体は、板状をなし、
前記各当接部の前記磁性体の板厚方向に沿った長さは、前記磁性体の板厚の25%以上50%以下である、請求項3に記載の磁気センサユニット。
【請求項5】
前記各当接部は、前記マグネットと面接触する、請求項1に記載の磁気センサユニット。
【請求項6】
前記各凹部は、前記当接部側の深さが、その他の部分の深さよりも深い、請求項2に記載の磁気センサユニット。
【請求項7】
前記磁性体は、前記変位方向に延設され、該変位方向の途中に前記凸部が配置された平面部と、前記変位方向における前記平面部の両端部から前記平面部と交差する方向に屈曲する2つの屈曲部とを有する、請求項1に記載の磁気センサユニット。
【請求項8】
前記2つのマグネットのうちの一方のマグネットは、N極が前記磁性体側に臨み、他方のマグネットは、S極が前記磁性体側に臨む、請求項7に記載の磁気センサユニット。
【請求項9】
前記磁気センサは、前記平面部に対向して配設される、請求項8に記載の磁気センサユニット。
【請求項10】
前記第2部材は、回転中心を中心として回転変位し、
前記平面部は、前記回転中心に対して略垂直である、請求項9に記載の磁気センサユニット。
【請求項11】
前記第2部材は、二輪車のハンドルのスロットル操作によって回転し、
前記磁気センサは、前記磁界の変化に応じて、スロットル開度を検出する、請求項1に記載の磁気センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マグネットにより形成される磁界の変化を磁気センサで検出する磁気センサユニットが知られている(特許文献1)。例えば、一方の部材にマグネットを固定するとともに、他方の部材に磁気センサを固定し、両部材が相対的に変位したときの磁界の変化を磁気センサで検出した結果から、両部材の相対的な変位が取得される。検出対象の変位を検出可能な範囲は、マグネットが形成する磁界の範囲に依存する。
【0003】
特許文献1には、円筒状のヨークと、ヨークの内周部に固定された2つのマグネットと、ヨークの回転中心に配置された磁気センサと、備える回転角度検出ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、2つのマグネットがヨークの周方向に互いに離間して配置されている。そのため、マグネット同士の間には、空間が形成された状態となる。この空間では、マグネット同士の間の空間の大きさに応じて、磁束密度の低下が生じ易くなり、外部の磁界からの影響を受け易くなる。従って、磁気センサは、前記磁界の変化を正確に検出するのが困難となる。また、特許文献1に記載の発明では、ヨークに対する各マグネットの正確な位置決めが困難となる。
【0006】
本発明は、磁気センサで磁界の変化を正確に検出することができるとともに、ヨークに対する各マグネットを正確に位置決めすることができる磁気センサユニットとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の磁気センサユニットは、第1部材に対して相対的に変位する第2部材に固定された磁性体と、磁性体に固定され、第2部材の相対的な変位方向に離間して配置された少なくとも2つのマグネットと、第1部材に固定され、各マグネットにより形成される磁界の変化を検出する磁気センサと、を備え、磁性体は、2つのマグネットの間に突出した凸部を有し、凸部は、各マグネットが当接する当接部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、磁気センサで磁界の変化を正確に検出することができるとともに、ヨークに対する各マグネットを正確に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】磁気センサユニットが適用されるスロットルグリップ装置の模式図である。
【
図2】スロットルグリップ装置が備える基板およびロータの外観斜視図である。
【
図3】基板およびロータに支持される磁気センサユニットの要部の斜視図である。
【
図4】磁気センサユニットの要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0011】
図1に示すスロットルグリップ装置100は、一例として、自動二輪車のハンドルバー14の右方に延出した部分に取り付けられる。スロットルグリップ装置100が適用される車体としては、自動二輪車に限定されず、例えば、バータイプのハンドルを備える3輪や4輪のバギーの他、スノーモービル、水上オートバイク(水上バイク)等の各種の車体が挙げられる。スロットルグリップ装置100は、グリップ部10およびハウジング11を備える。ハンドルバー14の方向(X方向)については、ハンドルバー14の先端側を+X側、車体中央側を-X側とする。グリップ部10は、ハンドルバー14の先端部を含む領域に配置される。グリップ部10は、ゴム材等で構成される。ハウジング11は、グリップ部10に対して、-X側(車体中央側)に隣接して配置されている。
【0012】
ハンドルバー14には、スロットルパイプ12が支持されている。スロットルパイプ12は、略円筒状をなし、ハンドルバー14の回転中心C1回りに、ハンドルバー14の外周面に沿って回動可能である。なお、回転中心C1は、X方向と平行である。また、スロットルパイプ12の外周には、グリップ部10が配置されている。スロットルパイプ12は、運転手によるグリップ部10の回転操作に応じてハンドルバー14の回転中心C1回りに回転する。
【0013】
ハウジング11内には、基板(第1部材)21と、基板21に対して相対的に回転中心C1を中心として回転変位するロータ(第2部材)13と、磁気センサユニット50とが収容される(
図2参照)。
図3に示すように、磁気センサユニット50は、磁気センサ22、マグネット(第1マグネット)34、マグネット(第2マグネット)35、ヨーク(磁性体)30を備える。なお、磁気センサユニット50は、本実施形態では2つのマグネット(マグネット34、マグネット35)を備えているが、マグネットの数は、2つに限定されず、例えば、3つ以上であってもよい。また、ハウジング11は、外壁を有し、その外壁のうち、二輪車の車体に近い側(-X側)の壁が外壁11aであり、グリップ部10に近い側(+X側)の壁が外壁11bである。X方向において、外壁11aに近い順に、ヨーク30、マグネット34、35、磁気センサ22が位置している。これにより外部磁界による磁気センサ22への影響をヨーク30で効果的に軽減でき、ハウジング11の小型化に寄与することができる。なお、ヨーク30、マグネット34、35、磁気センサ22の配置は、磁気センサ22と磁気センサ22に近い側の外壁との間にヨーク30が配設されていればよい。なお、ヨーク30、マグネット34、35、磁気センサ22の配置は、
図1に示す配置に限定されない。
【0014】
基板21は、不図示の固定部材を介してハウジング11に固定されている。基板21には、磁気センサ22が実装されて(固定されて)いる。変位の検出対象となるロータ13は、スロットルパイプ12に固定されている。ロータ13には、ヨーク30が固定されている。ヨーク30には、マグネット34、マグネット35が固定されている。従って、グリップ部10が回転すると、スロットルパイプ12と連動して、ロータ13、ヨーク30、マグネット34、マグネット35が一括して回転する。このスロットルパイプ12の回転角は、アクセルポジションセンサ(APS)としての磁気センサユニット50で検出される。
【0015】
図3、
図4に示すように、ヨーク30は、板状の部材で構成されている。ヨーク30の構成材料としては、例えば、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ等の軟磁性材料が用いられる。これにより、ヨーク30は、マグネット34、マグネット35からの磁界によって容易に磁化される。このヨーク30は、ロータ13の変位方向、すなわち、回転方向に沿って延設された平面部31と、変位方向における平面部31の一端部から屈曲する屈曲部32と、他端部から屈曲する屈曲部33と、を有する。
図6、
図7に示すように、平面部31は、回転中心C1を中心とする円弧状をなし、回転中心C1に対して略垂直である。これにより、ヨーク30は、ロータ13の回転に伴って、マグネット34およびマグネット35とともに安定して回転することができる。円弧状をなす平面部31の中心角θ30は、例えばマグネットを2個使用する場合、90°以上180°以下が好ましく、90°以上120°以下がより好ましい。屈曲部32および屈曲部33は、それぞれ、平面部31と交差する方向、すなわち、+X側に突出して(起立して)いる。屈曲部32の突出高さH32と、屈曲部33の突出高さH33とは、同じである。
【0016】
平面部31の+X側には、屈曲部32と屈曲部33との間に、マグネット34およびマグネット35が固定されている。マグネット34は、屈曲部32側に位置し、マグネット35は、屈曲部33側に位置する。マグネット34およびマグネット35は、それぞれ、直方体の永久磁石であり、平面部31に対して磁力によって固定される。なお、平面部31に対する固定方法としては、磁力による方法に限定されず、例えば、マグネット34およびマグネット35とヨーク30とを樹脂で覆うモールド成形を、磁力による方法と併用してもよい。マグネット34とマグネット35とは、平面部31の長手方向(ロータ13の相対的な変位方向)に離間して配置されている。また、マグネット34、マグネット35のうちの一方のマグネットは、N極がヨーク30側に臨み、他方のマグネットは、S極がヨーク30側に臨む。本実施形態では、マグネット34のN極がヨーク30の平面部31側に臨み、マグネット35のS極がヨーク30の平面部31側に臨んでいる。このように、互いに隣接するマグネット34とマグネット35とは、平面部31と当接する磁極が逆となるように配置されている。
【0017】
図6に示すように、マグネット34とマグネット35とは、最短距離(直線距離)で隙間D1を保って配置されている。マグネット34は、屈曲部32に対して、最短距離で隙間D2を保って配置されている。マグネット35は、屈曲部33に対して、最短距離で隙間D3を保って配置されている。隙間D1、隙間D2、隙間D3は、互い同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図7に示すように、マグネット34の+X側の面341と、マグネット35の+X側の面351と、屈曲部32の+X側の面321と、屈曲部33の+X側の面331とは、同一平面上に位置する。
【0018】
前述したように、基板21には、磁気センサ22が固定されている。
図3(
図6、
図7も同様)に示すように、磁気センサ22は、平面部31に対向して配設されている。磁気センサ22は、マグネット34、マグネット35により形成される磁界の変化を検出する。運転手によるグリップ部10の回転操作は、スロットル操作である。このスロットル操作によって、前述したように、ヨーク30とマグネット34およびマグネット35とがロータ13とともに回転する。磁気センサ22は、磁界の変化に応じて、ロータ13の回転変位を検出し、当該回転変位をスロットル開度として検出する。そして、スロットル開度に応じて、エンジンの吸入空気量が調整されて、エンジンの出力やエンジン回転数が制御されることとなる。
【0019】
次に、マグネット34、35の磁力線と、磁気センサ22での検出との関係について説明する。
図7では、マグネット34および35と、ヨーク30とによって形成される磁束ベクトルを模式的に示している。
【0020】
図7に示すように、マグネット35の面351のN極からマグネット34の面341のS極にかけて磁力線M1が形成される。また、マグネット34のN極が平面部31に当接している。これにより、マグネット34に近い屈曲部32の面321側の極性がN極となり、当該面321のN極からマグネット34の面341のS極にかけて磁力線M2が形成される。一方、マグネット35のS極が平面部31に当接している。これにより、マグネット35に近い屈曲部33の面331の極性はS極となり、マグネット35の面351のN極から屈曲部33の面331のS極にかけて磁力線M3が形成される。
【0021】
スロットル操作によって、磁気センサ22に対して相対的に、ヨーク30と、マグネット34およびマグネット35とが回転中心C1回りに回転変位する。このとき、磁気センサ22を通る磁界の大きさや磁力線の方向が変化する。
【0022】
ここで、屈曲部32および屈曲部33がヨーク30から省略されている場合について、考えてみる。この場合、磁力線M2および磁力線M3に相当する磁力線は、ほとんど形成されず、主に磁力線M1だけが形成される。従って、ロータ13の回転変位の検出範囲は、マグネット34とマグネット35との間が磁気センサ22に対向する範囲内に限定されてしまう。
【0023】
一方、本実施形態では、磁力線M1だけでなく磁力線M2および磁力線M3も形成される。従って、ロータ13の回転変位の検出範囲を、屈曲部32と屈曲部33との間が磁気センサ22に対向する範囲まで拡大することができる。
【0024】
また、ヨーク30は、磁性体であることにより、シールド機能を果たす。これにより、-X側からの磁気センサ22への外部の磁界からの影響を抑制することができ、よって、ロータ13の回転変位の検出精度が高まる。また、ヨーク30により、磁力線を磁気センサ22側に集中させることができ、マグネット34、マグネット35の小型化も可能となる。前述したように、マグネット34とマグネット35とは、隙間D1分だけ、離間して配置されている。マグネット34は、屈曲部32に対して、隙間D2分だけ、離間して配置されている。マグネット35は、屈曲部33に対して、隙間D3分だけ、離間して配置されている。このような配置により、ヨーク30の長手方向の磁界の範囲が大きくなるので、検出範囲を広くとることが容易となる。また、マグネット34とマグネット35とは、平面部31と当接する磁極が逆となっているので、検出範囲をより広くとることができる。
【0025】
前述したように、マグネット34とマグネット35とは、離間して配置されている。そのため、マグネット34とマグネット35との間には、空間が形成された状態となる。この空間では、マグネット34とマグネット35との間の空間の大きさに応じて、磁束密度の低下が生じ易くなり、外部の磁界からの影響を受け易くなるおそれがある。この場合、磁気センサ22は、ロータ13の回転に伴う磁界の変化を正確に検出するのが困難となるおそれがある。また、ヨーク30に対するマグネット34およびマグネット35の正確な位置決めが行われていない場合、ロータ13の回転変位の検出が困難となるおそれがある。
【0026】
そこで、磁気センサユニット50は、このような不具合を低減可能に構成されている。以下、この構成および作用について説明する。
【0027】
図4に示すように、ヨーク30の平面部31には、マグネット34が固定される部分に凹部(第1凹部)36と、マグネット35が固定される部分に凹部(第2凹部)37と、が設けられている。そして、凹部36と凹部37とにより、ヨーク30のマグネット34とマグネット35との間およびその周囲が相対的に凸部38となる。従って、ヨーク30は、マグネット34とマグネット35との間、すなわち、平面部31の長手方向の途中に突出した凸部38を有することとなる。なお、凹部36および凹部37は、例えばプレス加工によって形成されている。
【0028】
凸部38は、マグネット34が当接する当接部(第1当接部)383と、マグネット35が当接する当接部(第2当接部)385と、を有する。
図6に示すように、当接部383と当接部385とは、これらの間の中点C2と回転中心C1とを通る仮想線VL1を対称の軸として線対称に配置されている。
【0029】
当接部383は、マグネット34のマグネット35側の面342と面接触する。これにより、当接部383は、マグネット34との接触面積を広く確保することができる。また、当接部385は、マグネット35のマグネット34側の面352と面接触する。これにより、当接部385は、マグネット35との接触面積を広く確保することができる。そして、
図7に示すように、当接部383と当接部385との間の部分が磁路となって、マグネット34のN極からマグネット35のS極に向かう磁力線M4を集中させることができ、マグネット34とマグネット35との間での磁束密度をより高めることができる。これにより、マグネット34とマグネット35との間の空間では、外部の磁界からの影響が抑制される。そして、磁気センサ22は、マグネット34とマグネット35との間でも、ロータ13の回転に伴う磁界の変化をより正確に検出することができる、すなわち、検出精度がより向上する。
【0030】
また、当接部383には、マグネット34の外側の面343と面接触する壁面(補助当接部)384がつながって形成されている。当接部385には、マグネット35の外側の面353と面接触する壁面(補助当接部)386がつながって形成されている。
【0031】
また、当接部383により、ヨーク30の周方向に対するマグネット34の位置決めを正確に行うことができ、壁面384により、ヨーク30の径方向に対するマグネット34の位置決めを正確に行うことができる。一方、当接部385により、ヨーク30の周方向に対するマグネット35の位置決めを正確に行うことができ、壁面386により、ヨーク30の径方向に対するマグネット35の位置決めを正確に行うことができる。さらに、マグネット34とマグネット35との間に当接部383および当接部385を設けることにより、マグネット34とマグネット35との位置決めを正確に行うことができ、より精度よく変位を検出することができる。
【0032】
なお、当接部383と壁面384との間は、窪んでおり、マグネット34の角部344から逃げる逃げ部387となる(
図6参照)。同様に、当接部385と壁面386との間も、窪んでおり、マグネット35の角部354から逃げる逃げ部388となる。
【0033】
ここで、当接部383および当接部385を有する凸部38がヨーク30から省略された磁気センサユニット50’について考えてみる。この場合、
図8に示すように、凸部38が省略されている分、マグネット34のN極からマグネット35のS極に向かう磁力線M4’が十分に形成され難くなる、すなわち、磁気センサユニット50での磁力線M4よりも磁束密度が乏しくなる。それに伴い、磁束密度M1~磁束密度M3も乏しくなる。例えば、マグネット34(マグネット35)やヨーク30の構成材料、隙間D1の大きさ等の諸条件にもよるが、磁気センサユニット50’(磁力線M4’を生じさせる部分)での磁束密度は、磁気センサユニット50(磁力線M4を生じさせる部分)での磁束密度よりも20~40%程度小さくなることがある。この場合、磁気センサ22によって磁界の変化を正確に検出に影響する可能性がある。また、磁気センサユニット50’では、凸部38が省略されているため、ヨーク30上でのマグネット34およびマグネット35の位置が一定に定まらず、正確な位置決めが困難となる。
【0034】
図4に示すように、凹部36は、当接部383側の深さ(DP1+DP2)が、その他の部分の深さ(DP2)よりも深い。これにより、マグネット34が面接触する当接部383および壁面384を確実に確保することができる。同様に、凹部37は、当接部385側の深さ(DP3+DP4)が、その他の部分の深さ(DP4)よりも深い(
図5参照)。これにより、マグネット35が面接触する当接部385および壁面386を確実に確保することができる。
【0035】
また、凹部37の深さDP3は、ヨーク30の板厚T30の25%以上100%以下が好ましく、25%以上50%以下がより好ましい(凹部36の深さDP1についても同様)。これにより、当接部383とマグネット34と接触範囲、および、当接部385当接部35との接触範囲をそれぞれ十分に確保することができ、凸部38での磁束密度をより高めることができる。
【0036】
なお、磁気センサ22によって変位を検出される変位部材(本実施形態ではロータ13)は、磁気センサ22に対して相対的に変位するものであればよい。従って、磁気センサ22または変位部材のいずれかまたは双方が実際に変位する構成であってもよい。また、相対的な変位部材の変位態様は回転変位に限定されない。
【符号の説明】
【0037】
13 ロータ(第2部材)
21 基板(第1部材)
22 磁気センサ
30 ヨーク
34 マグネット(第1マグネット)
35 マグネット(第2マグネット)
38 凸部
50 磁気センサユニット
383 当接部(第1当接部)
385 当接部(第2当接部)