(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063789
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ネックポップラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 1/08 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
G09F1/08 L
G09F1/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173802
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】岡 裕二
(57)【要約】
【課題】4方向への情報表示が可能であり、かつ表示効果の高いネックポップラベルを提供する。
【解決手段】上側の第一シートと下側の第二シート30とが、強粘着部により接合されたネックポップラベルにおいて、強粘着部は、ネックポップラベルの第一の方向における両端部に設けられる。第一シートは、第一の方向と交差する第二の方向に延びる分割線を有し、第二シートは、第一の方向に延びる主切込み41と、主切込みの両端部から延びる副切込み42、43とを有する。各々の副切込みは、主切込みから離れるにつれて互いに離間する一対の切込みを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側の第一シートと下側の第二シートとが、強粘着部により接合されたネックポップラベルであって、
前記強粘着部は、前記ネックポップラベルの第一の方向における両端部に設けられ、
前記第一シートは、前記第一の方向と交差する第二の方向に延びる分割線を有し、
前記第二シートは、
前記第一の方向に延びる主切込みと、前記主切込みの両端部から延びる副切込みとを有し、
各々の前記副切込みは、前記主切込みから離れるにつれて互いに離間する一対の切込みを有する、
ネックポップラベル。
【請求項2】
前記強粘着部が設けられていない部位において、前記第一シートと前記第二シートとが、ホットメルト接着剤により前記強粘着部よりも低い強度で接合されている、
請求項1に記載のネックポップラベル。
【請求項3】
前記副切込みは、前記主切込みから遠い側の端部に折り返し部を有する、
請求項1に記載のネックポップラベル。
【請求項4】
前記ネックポップラベルの幅方向端部と前記折り返し部との間に、複数の切込みを有するアジャスターが設けられている、
請求項3に記載のネックポップラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の首部に掛けるネックポップラベル、より詳しくは、首部に掛けた際に4方向に情報を表示できるネックポップラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者に購買を訴求したり、各種情報を表示したりする目的で、陳列されるペットボトル等の容器に取り付けるネックポップラベルが知られている。
特許文献1には、容器の首部にかけることにより、4つの面が起立する首架けラベルが記載されている。この首架けラベルは、第1基材と第2基材とが接着された構成を有し、第2基材に形成されたH形状の切り線に首部を通すことにより容器に装着でき、4つの面により、4方向に情報等を表示できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の首架けラベルでは、容器から抜けることを抑制するための切り線が起立する4つの面のうちの2つに形成されている。切り線より下の部位は容器の首や蓋等の下方に潜り込む結果、情報表示に使用できる面積が減ってしまうため、改善の余地がある。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、4方向への情報表示が可能であり、かつ表示効果の高いネックポップラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上側の第一シートと下側の第二シートとが、強粘着部により接合されたネックポップラベルである。強粘着部は、ネックポップラベルの第一の方向における両端部に設けられている。
第一シートは、第一の方向と交差する第二の方向に延びる分割線を有する。
第二シートは、第一の方向に延びる主切込みと、主切込みの両端部から延びる副切込みとを有する。各々の副切込みは、主切込みから離れるにつれて互いに離間する一対の切込みを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、4方向への情報表示が可能であり、かつ表示効果の高いネックポップラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るネックポップラベルを示す模式側面図である。
【
図2】同ネックポップラベルを構成する第一シートを示す平面図である。
【
図3】同ネックポップラベルを構成する第二シートを示す平面図である。
【
図4】同ネックポップラベルが装着された容器を示す図である。
【
図5】同ネックポップラベルの変形例に係る第二シートを示す平面図である。
【
図6】同ネックポップラベルの変形例に係る第二シートを示す平面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係るネックポップラベルの第二シートを示す平面図である。
【
図8】同ネックポップラベルが装着された容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第一実施形態について、
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るネックポップラベル1を示す模式側面図である。ネックポップラベル1は、上側の第一シート10と下側の第二シート30とが接合されて構成されている。
第一シート10および第二シート30の材質としては、コート紙を含む各種の紙や、合成樹脂等を例示できる。第一シート10および第二シート30は、同一の材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
【0010】
図2は、第一シート10を示す平面図である。第一シート10は、略角丸長方形であり、長手方向(第一の方向)における中央部に分割線21を有する。分割線21は、第一シート10を厚さ方向に貫通しており、長手方向と略直角をなす幅方向(第二の方向)に延びている。分割線21は、概ね幅方向にわたって延びているが、幅方向の両端部間に少なくとも一つの非連続部位22を有している。これにより、第一シートにおいて分割線21を挟んで対向する第一領域11と第二領域12とは、完全に切り離されず、1枚のシートである状態を保持している。
後述する使用時において、第一領域11および第二領域12は、各種情報を表示する表示面として機能する。したがって、第一領域11および第二領域12の上側、すなわち第二シート30と接合されない側の面には、所望の文字や図柄等が印刷等により設けられる。
【0011】
図3は、第二シート30を示す平面図である。本実施形態の第二シート30は、第一シート10と同形同大の平面視形状を有する。
第二シート30は、第二シート30を厚さ方向に貫通する切込み部40を有する。切込み部40は、幅方向中央部に設けられた主切込み41と、主切込み41の両端部に設けられた副切込み42および43とを有する。切込み部40にも、分割線21と同様に、非連続部位が設けられている。
【0012】
主切込み41は、長手方向と平行に延びている。副切込み42は、幅方向の第一の端部に向かって延びる第一切込み42aと、幅方向の第二の端部に向かって延びる第二切込み42bとを有する。第一切込み42aと第二切込み42bとは、延びる方向が異なることにより、主切込み41から離れるにつれて徐々に離間する位置関係にある。
副切込み43も、副切込み42と同様に、第一切込み43aおよび第二切込み43bを有している。
【0013】
切込み部40によって、第二シート30には4つの領域が設けられている。第一切込み42a、主切込み41、および第一切込み43aに囲まれた第三領域31と、第二切込み42b、主切込み41、および第二切込み43bに囲まれた第四領域32は、各種情報を表示する表示面として機能する。このため、第三領域31および第四領域32の上側、すなわち第一シート10と接合される側の面には、所望の文字や図柄等が印刷等により設けられる。
副切込み42に囲まれた第五領域33および副切込み43に囲まれた第六領域34は、後述するように容器に係止する抜け止めとして機能する。
【0014】
第一シート10と第二シート30とは、長手方向両端部に設けられた強粘着部2により、強固に接合されている。強粘着部2における接合強度は、少なくとも後述する容器への装着時および装着後に剥がれることがない程度である。
第一シート10および第二シート30において、強粘着部2が設けられていない部位の少なくとも一部は、不図示のホットメルト接着剤により、強粘着部2の接合強度よりも小さい接合強度で軽く接合されている。ホットメルト接着剤の接合強度は、後述する容器への装着動作によって大きな抵抗なく剥がれる程度である。
例えば、第二シート30の表面に厚さ20μmのホットメルト接着剤層を設け、さらにホットメルト接着剤層上に厚さ2μmの剥離ニス層を設け、これらの層を第一シート10と第二シート30の間に介在させるようにすると、上述した接合強度を実現できる。
【0015】
上記のように構成された本実施形態のネックポップラベル1の使用時の動作について、ペットボトルの首部に装着する場合を例にとり説明する。
まず使用者は、第二シート30をペットボトル側に向けて、ネックポップラベル1を上方からペットボトルに接近させる。
【0016】
強粘着部2により接合された長手方向両端部を把持しつつ、ペットボトルに向かってネックポップラベル1を押し込むと、ペットボトルは切込み部の非連続部位を破壊して切込み部40内に進入する。
ペットボトルの進入に伴い、主切込み41を挟んで対向する第三領域31と第四領域32は、ペットボトルに押されて徐々に立ち上がっていく。
【0017】
立ち上がる第三領域31と第四領域32は、第一シート10を上方に押す。その結果、分割線21の非連続部位22が破壊されて分割線が一続きになり、第一シートが第一領域11と第二領域12とに分割される。分割された第一領域および第二領域は、ペットボトルが切込み部40内に進入するにつれて立ち上がる第三領域31および第四領域32にさらに押されて立ち上がる。
【0018】
ペットボトルの蓋部が切込み部40を通過して第二シート30よりも上方に移動すると、ネックポップラベル1がペットボトルに装着される。
図4にネックポップラベル1がペットボトルPBに装着された状態の一例を示す。ペットボトルPBに装着された状態においてはネックポップラベル1のうち、第一領域11、第二領域12、第三領域31(不図示)、および第四領域32が立ち上がっており、4方向に情報等を表示可能な状態が確立されている。
【0019】
第五領域33および第六領域34は、第一シート10に軽く接合されているため、第一領域11、第二領域12が立ち上がり始めてからしばらくは、追従して立ち上がるが、第三領域31および第四領域32に押されてはいないため、しばらくすると第一シート10から剥がれて水平に近い状態に戻る。第五領域33および第六領域34は、副切込み42および43の形状により、切込み部40内に進入したペットボトルの首部に向かって突出する形状となっているため、これを首部の下に潜り込ませることにより、ネックポップラベル1が容器から外れることを抑制する抜け止めとして機能させることができる。
【0020】
以上説明したように、本実施形態に係るネックポップラベル1は、取り付けられる容器が通過する主切込み41に向かって突出する第五領域33および第六領域34を有するため、容器から抜けることを抑制するための切り線を第三領域31および第四領域32に設ける必要がない。その結果、容器への装着時に立ちあがる4つの面のより多くの領域を表示に活用することができ、4方向への表示効果を高めることができる。
【0021】
第一領域11および第二領域12は、第三領域31および第四領域32のうち、副切込みに対応する辺に沿って立ち上がるため、垂直には立ち上がらず、切込み部40を通過したペットボトルに向かって少し傾斜した状態となる。このため、ペットボトルと接触して押し上げられる第三領域31および第四領域32に加えて、第一領域11および第二領域12の上部もペットボトルと接触した状態で装着される。その結果、立ち上がる4つの面すべての上端部がペットボトルと接触して摩擦を生じるため、装着後にネックポップラベルが回転して、意図したものと異なる外観となることを抑制できる。
【0022】
また、強粘着部2により接合されていない部分においても、第一シート10と第二シート30とがホットメルト接着剤で軽く接合されているため、容器に装着されるまでは第一シート10と第二シート30とが離間しない状態を確保できる。
第一シート10と第二シート30とが強粘着部2のみにより接合されている構成では、残部において、第一シートと第二シートとが容易に離間する。この場合、ネックポップラベルをラベラー等の機械で取り付けようとする際に離間部位が機械に引っかかる等のトラブルが発生する可能性が高くなるが、本実施形態のネックポップラベル1は、容器に押し当てられるまでは、第一シート10と第二シート30とが全体にわたり一体となった状態が保持されるため、ラベラー等の機械で取り付ける場合でも引っ掛かり等のトラブルが生じにくい。したがって、ネックポップラベル1は、機械等を用いた大量かつ高速な容器への装着にも好適に適用できる。
【0023】
ホットメルト接着剤を使用する利点の一つとして、多湿環境下でも機械等を用いてネックポップラベルを自動掛けしやすい点が挙げられる。例えば、水系や水分散の接着剤は、多湿環境下において粘着性を発現しやすく、粘着性を発現すると第一シートと第二シートとが剥離しにくくなって自動掛けが困難となる。ホットメルト接着剤は、多湿環境下でも常温であれば粘着性が低いため、第一シートと第二シートとが剥離しにくくなる事態が起きにくく、自動掛けを円滑に行える。
特に、常温下においてより粘着性の低いオレフィン系のホットメルト接着剤を使用すると、第三領域31や第四領域32へのごみや汚れ付着を防止でき、かつ消費者が触れた際に粘着性による不快感を与えにくい。加えて、自動的掛けの際に、機械や生産ラインへの糊溜まりが発生しにくく、自動掛け作業の中断等の可能性を低減できる。
【0024】
本実施形態において、副切込みは、
図5に示す変形例のように、折り返し部45を有してもよい。このようにすると、4つの面が立ち上がる際に主切込みから最も離れた副切込みの終点に作用する応力を緩和して、装着時におけるネックポップラベルの破れ等を防止できる。折り返し部は、折り返し部45のようにごく短いものでもよいし、
図6に示す変形例の折り返し部145のように、一定の長さを有してもよい。
【0025】
本発明の第二実施形態について、
図7および
図8を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
図7は、本実施形態のネックポップラベルに係る第二シート130を示す平面図である。副切込み42、43から延びる折り返し部145と、第二シート130の幅方向端部との間には、折り返し部145の終点から一定の範囲にわたり、アジャスター150が形成されている。
【0027】
本実施形態のアジャスター150は、折り返し部145および幅方向端部から延びる一対の切込みと、折り返し部145と幅方向端部との間で折り返し部145および幅方向端部に達しないように延びる一本の切込みとの組を複数回繰り返し設けることによって形成されている。
【0028】
本実施形態に係るネックポップラベル101がペットボトルPBに装着された状態を
図8に示す。ネックポップラベル101の装着動作は、第一実施形態のネックポップラベル1と概ね同様である。
ネックポップラベル101が備えるアジャスター150は、切込みが開くことにより伸びてネックポップラベル101の長手方向における寸法が増大する。その結果、第五領域33と第六領域34との距離が増大する。
これにより、装着対象の容器において首部の寸法が大きい等の場合でも装着可能となり、汎用性を高めることができる。
【0029】
本実施形態において、アジャスターの態様は上述したものには限定されず、切込みが開くことにより長手方向における寸法が増大できるように構成されていればよい。例えば、折り返し部から延びる切込みと幅方向端部から延びる切込みとを交互に繰り返し設けた態様等でもよい。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0031】
・本発明に係るネックポップラベルにおいて、強粘着部で接合されていない部位がホットメルト接着剤で接合されることは必須ではない。例えば、ネックポップラベルが作業員により手動で容器に装着される等の場合は、ホットメルト接着剤による接合が行われなくてもよい。
【0032】
・主切込みが延びる第一の方向と分割線が延びる第二の方向とが交差する関係にあれば、容器への取り付け操作により第一領域および第二領域が立ち上がるため、分割線と主切込みとは、必ずしも直交していなくてもよく、90度と異なる角度をなしてもよい。
【0033】
・分割線や切込み部には、非連続部位が設けられなくてもよい。分割線に非連続部位が無いと、第一シートは第一領域と第二領域とが一続きの状態を保てないため、分割線は非連続部位を有することが好ましいが、切込み部に非連続部位が無くても、第二シートは1枚の状態を保持できるため、非連続部位のない切込み部が設けられてもほとんど問題は生じない。
【0034】
・本発明に係るネックポップラベルの平面視形状は、上述した角丸長方形には限られず、正方形や円形等、適宜設定できる。
【符号の説明】
【0035】
1、101 ネックポップラベル
10 第一シート
11 第一領域
12 第二領域
21 分割線
30、130 第二シート
31 第三領域
32 第四領域
33 第五領域
34 第六領域
40 切込み部
41 主切込み
42、43 副切込み
45、145 折り返し部
150 アジャスター