(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063802
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】現地光度測定機
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20230428BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230428BHJP
G01J 1/00 20060101ALN20230428BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230428BHJP
【FI】
G01J1/02 S
G01J1/02 F
F21S2/00 664
G01J1/00 C
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173824
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】中村 宗明
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA01
2G065AA03
2G065AA04
2G065AB28
2G065BA01
2G065BB42
2G065BD01
2G065DA03
2G065DA05
2G065DA20
(57)【要約】
【課題】 本発明は、閃光灯が設置された現地にて、閃光灯の光度測定が可能な可搬性を有する現地光度測定機を提供する。
【解決手段】 光度測定部2と制御部30からなり、光度測定部2は空港などの現地に設置された閃光灯80の光出射面と合体して、閃光灯80の光源95から出射される光の照度を測定し、測定データを制御部30に送信し、基準データと比較することにより、閃光灯80の光源95の異常診断を行う現地光度測定機である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光度測定部と制御部からなり、
前記光度測定部は現地に設置された閃光灯の光出射口と着脱自在に合体し、前記閃光灯の出射光の照度を測定して、照度の測定データを前記制御部に送信し、
前記制御部は、前記光度測定部から送信された前記測定データを受信し、基準データと比較して、前記測定データと前記基準データとの間に一定の乖離がある場合に、前記閃光灯を異常と診断することを特徴とする現地光度測定機。
【請求項2】
さらに、前記測定データは、前記閃光灯の消灯時における照度の測定データと、前記閃光灯周辺の温度の測定データを含むことを特徴とする請求項1に記載の現地光度測定機。
【請求項3】
前記制御部は、前記測定データに基づいて、前記基準データにおける照度の補正をして新たに照度の基準データを設定し、
補正後の前記基準データに基づいて、前記閃光灯の異常診断を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の現地光度測定機。
【請求項4】
前記光度測定部は積分球と保護カバーを備え、
前記積分球は半球状であって最大径部に開口と前記開口の周方向に円環状の縁部を有し、
前記保護カバーは、当接板と背面板と側板とを有し、
前記当接板は前記積分球の開口と略同形の開口を有し、前記積分球の開口と一致するように前記縁部に固定され、
前記背面板は前記当接板と略平行に対峙して配置され、
前記側板は前記背面板と前記当接板とを架橋するように、前記背面板と前記当接板との間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項5】
前記閃光灯は筐体を有し、前記筐体の開口の周囲には円環部が設けられ、
前記円環部はクランプを備え、前記クランプにより前記円環部と前記当接板とが着脱自在に合体されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項6】
前記制御部は、上面に把手を有する略直方体の形状をなす可搬性の筐体と、
前面側に配置されたタッチパネル付ディスプレイと温度表示パネルと給電用コネクタと、
背面側に配置された測定用コネクタを備え、
前記タッチパネル付ディスプレイは各種データを表示するとともに、前記制御部を操作可能であり、
前記温度表示パネルは前記温度の測定データを表示し、
前記給電用コネクタは前記閃光灯の閃光灯側コネクタと給電用ケーブルを介して前記閃光灯に給電し、
前記積分球の積分球側コネクタは積分球用ケーブルを介して前記測定用コネクタに前記測定データを送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項7】
前記光度測定部は、照度計を備え、
前記照度計は前記積分球の底部に配置され、前記底部に配置された積分球側コネクタと接続する積分球用ケーブルを介して前記制御部の測定用コネクタと導通し、
前記閃光灯の出射光の照度を測定して、照度の測定データを前記制御部に送信し、
前記タッチパネル付ディスプレイは前記制御部から送信された制御データを表示することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項8】
前記光度測定部と前記制御部は防水性を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項9】
前記制御部は前記閃光灯、前記光度測定器及び前記制御部を駆動可能なバッテリを搭載することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【請求項10】
航空機着陸誘導用の閃光灯に用いられることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の現地光度測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現地光度測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、空港等において、着陸する航空機の滑走路への誘導に供するため、滑走路に複数の閃光灯が設置されている(特許文献1参照)。また、閃光灯としてLED等の発光素子を用いたものも知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-182495号公報
【特許文献2】特開2007-137187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空港の滑走路等に設置された閃光灯は、特に、LED等の発光素子を用いた閃光灯の光度は、使用により初期値から減衰していく傾向があるため、定期的な光度確認が必要である。しかしながら、これまでの光度確認は、現地に設置された閃光灯を取り外して、光度測定装置が設置された測定室に運び、そこで、光度測定をする必要があった。
【0005】
本発明は、閃光灯が設置された現地において光度測定が可能な現地光度測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の現地光度測定機は、光度測定部と制御部からなり、前記光度測定部は現地に設置された閃光灯の光出射口と着脱自在に合体し、前記閃光灯の出射光の照度を測定して、照度の測定データを前記制御部に送信し、前記制御部は、前記光度測定部から送信された前記測定データを受信し、基準データと比較して、前記測定データと前記基準データとの間に一定の乖離がある場合に、前記閃光灯を異常と診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可搬性を有する現地光度測定機を用いることにより、閃光灯が設置された現地での簡単なセッティングで閃光灯の光度測定ができるため、測定のための閃光灯の取外しや再設置をする必要がなく、短時間で検査ができ、検査者の作業負担を軽減するなど、工数面、費用面などで大きな改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1の光度測定部の背面側からみた斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の制御部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の閃光灯の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の光度測定部と閃光灯との合体状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の光度測定部と閃光灯との合体状態を示す断面斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の制御部の前面図である。
【
図7】
図7は光度測定部と閃光灯との合体状態を示す一部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の現地光度測定機について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。また、以下の
図1から
図7において、同一部材には同一符号を付している。
【0010】
ここで、光度と照度の関係について述べる。光度とは、ある方向への単位立体角当たりの光束(光の量)を指し、各方向への光の強さを表す。単位は、cd(カンデラ)、lm/sr(sr:ステラジアン)である。光度が1000cdの場合、1mの照射距離の直下照度は1000lx(ルクス)となる。
【0011】
照度とは、単位面積当たりに入射する光束の量であり、光源によって照らされている面の明るさの程度を表す。計算式は、E(照度)=C(光度)/D2、光源からの距離をD(m)である。単位はlx(ルクス)である。
【0012】
本実施形態の現地光度測定機は、閃光灯80の客観的な出射能力の指標である光度を基準として、閃光灯80の出射機能を評価するものである。
光度測定は、閃光灯80と一定の距離をおくところに照度計20を配置し、閃光灯80の出射光の照度を測定することによって行う。光度と照度が上述のような一定の相関関係を有することを用いて、測定された照度を光度に換算することにより、閃光灯80の光度の経年劣化等をはじめとする異常診断を行う。
【0013】
本発明の現地光度測定機は、閃光灯と合体可能な光度測定部と、制御部から構成される。また、本発明の現地光度測定機の測定対象となる閃光灯は、リフレクタと、LEDからなる光源を有する。光源は、基本的にリフレクタの底部に配置されており、基板に実装されたLEDの実装面が、リフレクタの光出射側の開口(光出射口)側に向けられている。
【0014】
本発明の現地光度測定機は、LEDから構成される光源に対応する仕様であるが、キセノンランプを用いた閃光灯等、他のランプを用いた閃光灯の光度測定に用いてもよい。
また、本発明の現地光度測定機は、航空機着陸用の誘導に用いられる閃光灯用の現地光度測定機であるが、これに限定されるものではない。
【0015】
[実施形態1]
まず、本実施形態に用いられる現地光度測定機による光度の測定対象となる閃光灯の一例について説明する。
図3は、本実施形態の現地光度測定機の測定対象となる閃光灯の構成を示す斜視図である。
【0016】
図3に示すように、閃光灯80は、筐体82、光透過性カバー85、リフレクタ90、および複数のLEDからなる光源95を有する。リフレクタ90、光源95は、筐体82の内部に収容されている。
【0017】
リフレクタ90の開口側には、光透過性カバー85が配置されている。また、光透過性カバー85の前面側の縁部には、筐体82の開口(光出射口)を覆うように、リング状の円環部88と、円環部88の頂部付近には、光度測定部2と着脱自在に合体するためのクランプ98が配置されている。また、円環部88には円環部88を筐体82に固着するための複数の取着部材96が設けられている。クランプ98は、円環部88の周りに複数個配置してもよい。
【0018】
本実施形態の閃光灯80は、アーム100および脚部110を備え、脚部110により、現地の滑走路の地面等に設置される。
【0019】
閃光灯80の光源95は、複数のLEDがマトリックス状に実装されたLED基板からなる(図示省略)。閃光灯80の出射光の光度は、適宜設定可能である。また、光源95は複数のLEDがLED基板上に列状、円環状や放射状に実装されたものであってもよい。また、複数のLEDは、白色LEDの他、青色LED、赤色LED、緑色LEDなど複数色のLEDを取り混ぜて用いてもよい。
【0020】
図3において、リフレクタ90は、光源95が光を出射する方向に配置され、光源95から出射された光を、光の出射方向に反射して光透過性カバー85を通して外部に出射する部材である。
【0021】
リフレクタ90は、内壁が反射効率の高い光沢面からなり、光源95から筐体82の開口(光出射口)に向かって広がる半球形状である。リフレクタ90は、半球形状のほか、円錐形状など有効な反射効果を得られる形状のものを用いてもよい。
【0022】
光透過性カバー85は、筐体82内部から出射された光を透過する部材である。光透過性カバー85の形成材料は、光源95から出射された光を透過可能であるガラス、エポキシ樹脂等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
例えば、飛行場に設置される閃光灯80の光透過性カバー85は、例えば、直径15~29cmのものが使用される。
【0024】
本実施形態の閃光灯80は、複数の滑走路を有する大型空港に設置される場合、航空機の進入する方向から滑走路末端に向かって、約30mおきに、8~29灯程度設置される。さらに、航空機が真っ直ぐに滑走路に進入できない空港に設置される閃光灯80の場合には、滑走路への進入路上の要所に、例えば、数kmごとに設置される。
【0025】
図1は、本実施形態の光度測定部2を背面側からみた斜視図である。同図に示すように、光度測定部2は、略直方体の形状を有する保護カバー5に覆われている。保護カバー5は、積分球10(
図5参照)の周囲を覆うことで、光度測定部2の落下による衝撃等によって積分球10が変形し、照度の測定データが変化することで、閃光灯80の照度の測定が不正確になるなどのエラーの発生を防止するための保護カバーである。
【0026】
図1に示すように、保護カバー5は、背面板8、当接板16と、側板18とから構成される。保護カバー5は、アルミ板の加工材が用いられるが、ステンレス板、スチール板など他の金属材料のほか、ABS、PC(ポリカーボネート)などのプラスチック材料を用いてもよい。
【0027】
背面板8は、保護カバー5の上面に、矩形の板材の二カ所の角部を面取りした略六角形の板材からなる。背面板8の対面には、四隅を円弧状に面取りした略四角形の当接板16が背面板8と対峙して略平行に配置されている。側板18は、背面板8と当接板16とを架橋するように、背面板8と当接板16との間に配置されている。なお、背面板8、当接板16ともに、角部の面取りは任意である。
【0028】
図2は、本実施形態の制御部30を示す斜視図である。制御部30は、略直方体形状の可搬性を備えた筐体32である。筐体32の上面には把手35があり、前面には、タッチパネル付ディスプレイ50、温度表示パネル45と給電用コネクタ40が配置されている。筐体32の背面には、給電用コネクタ40(図示省略)が配置され、積分球10と給電用ケーブル60によって接続される。
【0029】
また、筐体32の左側面には、制御部30を水平に載置した場合に使用する複数の載置脚33が設けられている。
図2では、4個の載置脚33が矩形状に配置されているが、数量および配置位置は、これに限定されるものではない。
【0030】
なお、筐体32は、保護カバー5と同様にアルミ板の加工材が用いられるが、ステンレス板、スチール板など他の金属材料のほか、ABS、PC(ポリカーボネート)などのプラスチック材料を用いてもよい。
【0031】
また、筐体32の上面に設けられている把手35に代わり、または、併用して、肩掛けベルトを設け、肩に掛けて運ぶようにしてもよい。
【0032】
図4は、本実施形態の光度測定部2と閃光灯80との合体状態を示す斜視図、
図5は、実施形態1の光度測定部2と閃光灯80との合体状態を示す一部断面斜視図、
図7は光度測定部2と閃光灯80との合体状態を示す一部概略図である。
【0033】
図3に示す閃光灯80のリフレクタ90の開口は、光度測定部2の積分球10の開口と略同一サイズである。
図7に示すように、閃光灯80と積分球10は、開口を合わせる形で着脱自在に合体する。
【0034】
図4、
図5に示すように、閃光灯80と光度測定部2とは、閃光灯80の円環部88の頂部付近に設けられたクランプ98によって、光度測定部2の当接板16を介して閃光灯80の円環部88と機械的に挟持されて合体される。光度測定部2の当接板16の開口の内周付近には、円環状のゴム製のパッキン(図示省略)が設置されている。パッキンは、閃光灯80と光度測定部2との合体時に、円環部88と当接板16との間を密閉して、閃光灯80の出射光の外部への漏洩、外部からの太陽光や雨水の侵入などを防止する役割を担う。
クランプ98は、閃光灯80の円環部88の頂部付近のみでなく、円環部88の他の部部分の複数箇所に設けてもよい。
【0035】
図5に示すように、光度測定部2は、半球状の積分球10に当接板16が固定された構造を有する。半球状の積分球10の底部には、積分球側コネクタ12が配置されている。積分球10の下面側には、脚部27と台座28が設置され、光学測定器2の保護カバー5の底部に固定されている(図示省略)。当接板16、積分球10、脚部27及び台座28は、いずれも光度測定部2の保護カバー5の内部に収納されている。
【0036】
半球状の積分球10の底部が外側には、積分球側コネクタ12が設置されており、積分球10の内側の底部には、閃光灯80から出射された光を受信する照度計20が配置されている。この照度計20により測定された閃光灯80の照度の測定データは、積分球側コネクタ12に脱着自在に接続された積分球用ケーブル14を通して制御部30に送信される。
【0037】
図6は制御部30の前面図である。同図に示すように、制御部30は、筐体32を有し、右上面に閃光灯80周囲の気温の測定値を表示する温度表示パネル45が、温度表示パネル45の下面には、給電用コネクタ40が配置されている。給電用コネクタ40は、給電用ケーブル60と接続し、閃光灯80の閃光灯側コネクタ92と導通する。制御部30の左側には、各種データの表示と制御部30の操作を行うタッチパネル付ディスプレイ50が配置されている。
【0038】
制御部30の裏面には、電源プラグ37が設けられている。電源プラグ37は、閃光灯80が設置された場所付近に配置された電源コンセントと接続して、制御部30に電源を供給する。供給電力はAC100Vであるが、AC200Vなど他の電圧であってもよい。
【0039】
また、制御部30は、リチウムイオン充電池等の充電機能を備えたバッテリ電源を搭載するようにしてもよい。バッテリ電源を搭載することにより、現地に電源コンセントを備えていない環境下においても、円滑な光度測定をすることが可能となる。
【0040】
次に、現地光度測定機の概要について説明する。本実施形態の現地光度測定機は、空港などに設置された閃光灯80を取り外すことなく光度測定が可能である。
【0041】
現地光度測定機の光度測定のための準備の手順は、次のとおりである。
(1)光度測定部2を閃光灯80に取り付け、合体させる。
(2)閃光灯80の閃光灯側コネクタ92に接続されている閃光灯点灯用ケーブル(図示省略)を取り外す。
(3)制御部30の給電用コネクタ40と接続する給電用ケーブル60を、閃光灯80の閃光灯側コネクタ92に接続する。
(4)積分球10の積分球側コネクタ12と接続する積分球用ケーブル14を、制御部30の測定用コネクタ44に接続する。
(5)制御部30の電源プラグ37を、現地に設置されている電源コンセントに差し込む。
【0042】
測定作業環境は、原則として、5℃から35℃が基準である。また、本実施形態の現地光度測定機は、防水性を有するため、雨天の状況下においても、光度測定が可能である。光度測定は、制御部30から閃光灯80の光源95に所定の電圧を印加し、光源95の出射光の照度を積分球10の照度計20で測定することにより行う。測定データは測定ごとに制御部30に送信される。
制御部30は、各種の積分球の型式に応じて、環境温度25度における未使用状態(初期状態)の照度を基準データとして記録している。この基準データが各閃光灯の光源の減衰度を判断するための初期値であり、各種の閃光灯の型式により固有の値を有する。
【0043】
次に、光度測定の手順について説明する。
(1)閃光灯80に電圧を印加する前に、光度測定器2に設置された温度計(図示省略)により、閃光灯80の設置場所付近の環境温度を測定する。
次に、積分球10の内側底部に設置された照度計20により、閃光灯80の消灯時(未発光時)における照度を測定し、現地温度と照度の測定データを制御部30に送信する。
この消灯時における照度測定の目的は、閃光灯80と積分球10の合体時における球状体の内部に、球状体の隙間等から入り込む光などの外乱により発生する照度を予め把握しておき、照度の基準データのゼロ点補正を行うことにより、測定データの補正をすることにある。
(2)制御部30は、閃光灯80のリフレクタ90の底部に位置する光源95のLEDに、小電流から大電流までの5段階の電流を印加し、光源95から発せられる出射光の照度を測定し、測定データを制御部30に取り込む。
(3)制御部30は、上記(1)の測定データである周囲温度と消灯時における照度に基づいて、前記基準データにおける照度の補正をして新たに基準照度を設定する。
そして、上記(2)における光源95への印可電流と照度の測定データとの関係を表す近似式を作成し、制御部のタッチパネル付ディスプレイ50に表示する。
(4)予め標準温度25℃で測定された閃光灯の補正後の照度の基準データと、現地で測定された閃光灯80の照度の測定データの結果を比較して、前記基準データと測定データとの間に一定の乖離がある場合に、その閃光灯80を異常と診断する。
【0044】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、可搬性を有する現地光度測定機を用いることにより、閃光灯が設置された現地での簡単なセッティングで閃光灯の光度測定ができるため、測定のための閃光灯の取外しや再設置をする必要がなく、短時間で検査ができ、検査者の作業負担を軽減するなど、工数面、費用面などで大きな改善効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
2 光度測定部
5 保護カバー
8 背面板
10 積分球
11 縁部
12 積分球側コネクタ
14 積分球用ケーブル
16 当接板
18 側板
20 照度計
27 脚部
28 台座
30 制御部
32 筐体
33 載置脚
35 把手
37 電源プラグ
40 給電用コネクタ
44 測定用コネクタ
45 温度表示パネル
50 タッチパネル付ディスプレイ
60 給電用ケーブル
80 閃光灯
82 筐体
85 光透過性カバー
88 円環部
90 リフレクタ
92 閃光灯側コネクタ
95 光源
96 取着部材
98 クランプ
100 アーム
110 脚部