(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063818
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】支持構造
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20230428BHJP
E21D 15/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
E21D11/08
E21D15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173845
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】駄原 剛弘
(72)【発明者】
【氏名】大西 真一
(72)【発明者】
【氏名】紀伊 吉隆
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155CA08
2D155CA10
2D155EB04
2D155GB01
(57)【要約】
【課題】部材の軽量化やトンネル内での作業の単純化を図り、施工性の向上や工期短縮化を実現させることが可能な、支持構造を提供する。
【解決手段】トンネルの内部に構築される内部構築物を構成するプレキャスト部材の端部を前記トンネルの内部側方において支持する支持構造であって、前記トンネルの内面に沿って円弧状に曲折して固定手段により前記トンネルの内面に固定される円弧鋼板と、前記円弧鋼板の前記トンネルの内部に向く面に設けられる支持部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内部に構築される内部構築物を構成するプレキャスト部材の端部を前記トンネルの内部側方において支持する支持構造であって、
前記トンネルの内面に沿って円弧状に曲折して固定手段により前記トンネルの内面に固定される円弧鋼板と、
前記円弧鋼板の前記トンネルの内部に向く面に設けられる支持部材と、を備えることを特徴とする、支持構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記トンネルの周方向及び軸方向に複数配置される既設インサートを用いて構成され、
前記円弧鋼板は、所定の数以上の前記既設インサートを覆うように前記トンネルの内面に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記支持部材は、それぞれの上面が略水平面となるように構成された鋼製の第1の支持部材と鋼製の第2の支持部材と、を含み、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の上部にはプレキャスト製の側壁部材を備え、
前記側壁部材は、前記トンネルの軸方向に直角な断面が2つの辺からなるL字型をなす部材であり、一方の辺は略水平方向に延伸してその端部が前記トンネルの内面に接合し、その下面が前記第1の支持部材に支持され、その上面には前記プレキャスト部材の端部が設置され、且つ、他方の辺は略鉛直方向に延伸してその端部が前記第2の支持部材に支持されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記支持部材は、略鉛直方向に延伸するH鋼柱と、前記H鋼柱の上部において前記トンネルの軸方向に延伸し、略水平に配設されるH鋼梁と、を含み、
前記H鋼梁の上面には前記プレキャスト部材の端部が設置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支持構造。
【請求項5】
前記支持部材は、前記トンネルの軸方向に垂直な面に沿って配設される鋼製のリブ材と、前記リブ材の上部に略水平に配設される鋼製の保護プレートと、を含み、
前記保護プレートの上面には前記プレキャスト部材の端部が設置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内部に構築される内部構築物を支持する支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
セグメント(セグメントピース)を周方向に連結させ、環状の覆工体を構築して形成されるシールドトンネル(以下、単にトンネルとも記載)の内部には、その内部空間を仕切る隔壁が設けられる。トンネル内部において隔壁で仕切られた各空間は各種用途に使用され、水平の隔壁により仕切られた空間は、例えば、車両や鉄道の走行路として用いられる。
【0003】
また、近年では、トンネルを含む各種構造物の構築において、施工性や工期短縮化といった観点から、工場などで予め製作された部材を現場に搬入し、既設部材に組み付けるといったいわゆるプレキャストコンクリート部材(単にプレキャスト部材とも呼称される)をコンクリート部材として用いる技術が一般的となっている。
【0004】
例えば、特許文献1には、プレキャストコンクリート製の垂直隔壁ブロックと、水平隔壁ブロックを用いてシールドトンネル内の隔壁築造を行う技術が開示されている。この特許文献1に係る技術によれば、作業工数を少なくすることができ、また、作業安全性の向上が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シールドトンネル工事は、掘削と並行してプレキャストセグメントを組み立てる工法であり、一般的には、掘削速度が施工速度と等しくなることが知られている。しかしながら、車両や鉄道の走行路をトンネルの内部構造物として構築する場合、セグメントの組み立て後に当該内部構造物の一部である側壁部(床版の受け台)は現場打ちコンクリートによって構築されていたため、側壁部の構築が施工上の妨げ要因となる恐れがある。
【0007】
上記特許文献1に記載されたように、隔壁ブロック自体をプレキャストコンクリート製にした場合であっても、トンネル内において現場打ちコンクリートの打設作業が必要となると、作業が輻輳し、作業工期の長期化が懸念される。また、施工性や安全性の面からも、より施工を単純化し、効率化することが望まれている。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、部材の軽量化やトンネル内での作業の単純化を図り、施工性の向上や工期短縮化を実現させることが可能な、支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明によれば、トンネルの内部に構築される内部構築物を構成するプレキャスト部材の端部を前記トンネルの内部側方において支持する支持構造であって、前記トンネルの内面に沿って円弧状に曲折して固定手段により前記トンネルの内面に固定される円弧鋼板と、前記円弧鋼板の前記トンネルの内部に向く面に設けられる支持部材と、を備えることを特徴とする、支持構造が提供される。
【0010】
前記固定手段は、前記トンネルの周方向及び軸方向に複数配置される既設インサートを用いて構成され、前記円弧鋼板は、所定の数以上の前記既設インサートを覆うように前記トンネルの内面に固定されても良い。
【0011】
前記支持部材は、それぞれの上面が略水平面となるように構成された鋼製の第1の支持部材と鋼製の第2の支持部材と、を含み、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の上部にはプレキャスト製の側壁部材を備え、前記側壁部材は、前記トンネルの軸方向に直角な断面が2つの辺からなるL字型をなす部材であり、一方の辺は略水平方向に延伸してその端部が前記トンネルの内面に接合し、その下面が前記第1の支持部材に支持され、その上面には前記プレキャスト部材の端部が設置され、且つ、他方の辺は略鉛直方向に延伸してその端部が前記第2の支持部材に支持されても良い。
【0012】
前記支持部材は、略鉛直方向に延伸するH鋼柱と、前記H鋼柱の上部において前記トンネルの軸方向に延伸し、略水平に配設されるH鋼梁と、を含み、前記H鋼梁の上面には前記プレキャスト部材の端部が設置されても良い。
【0013】
前記支持部材は、前記トンネルの軸方向に垂直な面に沿って配設される鋼製のリブ材と、前記リブ材の上部に略水平に配設される鋼製の保護プレートと、を含み、前記保護プレートの上面には前記プレキャスト部材の端部が設置されても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部材の軽量化やトンネル内での作業の単純化を図り、施工性の向上や工期短縮化を実現させることが可能な、支持構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係るトンネルの内部構造を示す概略説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る支持構造の概略断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る支持構造の概略平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る支持構造の概略側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る支持構造の概略側面図である。
【
図6】本発明の第1の他実施形態に係る支持構造の概略断面図である。
【
図7】本発明の第1の他実施形態に係る支持構造の概略平面図である。
【
図8】本発明の第1の他実施形態に係る支持構造の概略側面図である。
【
図9】本発明の第1の他実施形態に係る支持構造の概略側面図である。
【
図10】本発明の第2の他実施形態に係る支持構造の概略断面図である。
【
図11】本発明の第2の他実施形態に係る支持構造の概略平面図である。
【
図12】本発明の第2の他実施形態に係る支持構造の概略側面図である。
【
図13】本発明の第2の他実施形態に係る支持構造の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。また、本明細書では、説明のために通常は可視されないコンクリート内部等の構成を図示する場合がある。
【0017】
(トンネルの内部構造)
図1は、本発明の実施の形態に係るトンネルTの内部構造100を示す概略説明図である。内部構造100は、トンネルTの内周面に沿って設けられる環状のトンネル覆工体10と、トンネル覆工体10の内部に構築される内部構築物としての床版20と、トンネルTの内部側方において床板20を支持する支持構造30と、を備えている。床版20や支持構造30の数及び配置構成は任意であり、例えば、図示のようにトンネルTの内部側方の2箇所に支持構造30が設けられ、2枚の床版20が支持されても良い。
【0018】
トンネル覆工体10は、トンネルTの周方向に沿って連結された複数の円弧状のセグメント11によって構成される。セグメント11は、例えば、工場等で予め製作されたプレキャスト部材であっても良い。
【0019】
トンネル覆工体10の底部(トンネルTの内部下方)には、インバート40が設置されている。インバート40の設置により、トンネルTの底部には平坦面が形成され、その平坦面上には柱部材50が設置される。インバート40や柱部材50の製作方法は任意であり、現場打ちコンクリート部材あるいはプレキャスト部材であっても良い。また、柱部材50の数や構成は任意であり、例えば図示のようにトンネル覆工体10の底部に2本設置されても良い。
【0020】
トンネル覆工体10の側部には、支持構造30が設置されている。支持構造30と柱部材50とにわたって床版20が掛け渡される。床版20は、略平板状のプレキャスト部材であっても良い。床版20の設置により、トンネルTの内部に略水平な面が形成される。この略水平な面は例えば車両や鉄道の走行路である路床として用いられても良い。
【0021】
なお、床板20により路床が構築されなくともよく、床板20が別の目的でトンネル覆工体10の内部に設けられても良い。例えば、床板20は、トンネル覆工体10によって画成されるトンネル内部空間を、電力ケーブルを通すための上側空間と、通信ケーブルを通すための下側空間と、に分割するために設けられても良い。
【0022】
(支持構造の構成)
次に本実施の形態に係る支持構造30の詳細な構成について説明する。
図2は支持構造30の概略断面図である。ここで、
図2は、
図1を参照して上述したトンネルT内部の支持構造30のうちの1箇所(
図1中の斜線部)をその近傍を含め拡大して図示したものである。また、
図3は、支持構造30の概略平面図である。また、
図4及び
図5は、支持構造30の概略側面図である。
図3は、
図2におけるA-A断面を示し、
図4及び
図5は、それぞれ
図2におけるB-B断面、C-C断面を示す。
【0023】
図2に示すように、支持構造30は、トンネルTの内面に沿って円弧状に曲折した円弧鋼板31を含み、円弧鋼板31は固定手段33によってトンネルTの内面に固定される。固定手段33は任意であり、例えば、
図2及び
図5に示すように、セグメント11に内蔵された複数の既設インサート(ねじ込み)33aとそこに対応するねじやボルト(図示せず)が用いられても良い。例えば、円弧鋼板31において、既設インサート33aに対応する所定の位置に孔を設け、それらの孔と既設インサート33aに対しねじ止めやボルト止めを行うことで固定手段33が実現されても良い。一般的なトンネルTを構成するセグメント11には、予め複数の既設インサート(ねじ込み)33aが設けられていることが知られており、固定手段33としてこれを用いることができる。
【0024】
円弧鋼板31は、トンネルTの内面(セグメント11の内面)の広範囲を覆うように構成され、例えば、トンネルTの周方向及び軸方向に複数配置される既設インサート33aを、所定の数以上覆うような配置構成としても良い。換言すると、円弧鋼板31は、トンネルTの周方向及び軸方向において複数の既設インサート33aを用いてトンネルTの内面に固定されても良い。複数の既設インサート33aの数や配置構成は、セグメント11の断面サイズや位置、インサート規格等により定まり、円弧鋼板31はこれに基づき設計されても良い。本実施形態では、
図5に示すように、1つのセグメント11に対し3×6の18個の既設インサート33aが配置されているが、既設インサート33aの数は例えば6個以上30個以下であっても良い。
【0025】
また、円弧鋼板31の内面(トンネルTの内部に向く面)には、床板20の端部を支持する支持部材60が設けられる。
図2及び
図5に示すように、支持部材60は、それぞれの上面が略水平面となるように構成された鋼製の第1の支持部材62と第2の支持部材64を含んでも良い。第1の支持部材62は、第2の支持部材64に比べ上方に位置する。また、第1の支持部材62及び第2の支持部材64はそれぞれ複数備えられても良く、例えば、
図5のように、1枚の円弧鋼板31の幅方向(Z方向)においてそれぞれ複数個所(図中2箇所)に分かれて設けられても良い。
【0026】
第1の支持部材62及び第2の支持部材64は円弧鋼板31に固着されても良い。固着方法は任意であり、例えば、第1の支持部材62及び第2の支持部材64は溶接によって円弧鋼板31に固着されても良い。
【0027】
また、支持部材60の上部には、側壁部材70が備えられる。側壁部材70は、トンネル軸方向(図中Z方向)に直角な断面が2つの辺からなるL字型をなしている。ここでのL字型とは、図示のように、2つの辺が略水平方向(図中X方向)と略鉛直方向(図中Y方向)に延伸してなる形状である。側壁部材70には、その略水平方向(図中X方向)に延伸する一方の辺70aの上面において床板20の端部が設置、搭載される。なお、側壁部材70は工場等で予め製作されたプレキャスト部材(プレキャスト製の部材)であっても良い。
【0028】
L字型をなす側壁部材70において、略水平方向(図中X方向)に延伸する一方の辺70aは、その端部がトンネルTの内面に接合し、且つ、その下面は第1の支持部材62に支持される。また、略鉛直方向(図中Y方向)に延伸する他方の辺70bは、その端部が第2の支持部材64に支持される。
【0029】
即ち、本実施の形態に係る支持構造30は、円弧鋼板31と、第1の支持部材62及び第2の支持部材64を含む支持部材60と、を備える。そして、支持部材60の上部に側壁部材70が備えられ、側壁部材70の上面には床版20の端部が搭載される。即ち、床板20の重量が側壁部材70を介して支持部材60に支持される構成となっている。
【0030】
なお、以上
図2~
図5を参照して説明した支持構造30における各部材同士の接合は種々の方法で行われる。例えば支持構造30の側壁部材70と床版20との接合は、ボルト接合によって行われても良い。また、第1の支持部材62及び第2の支持部材64と、側壁部材70との間の接合の有無は任意であり、具体的には、支持構造30の自重による固定でも良く、ボルト接合によって固定されても良い。
【0031】
以上、
図2~
図5を参照して説明したように、支持構造30は、円弧鋼板31と、第1の支持部材62及び第2の支持部材64を含む支持部材60と、を備え、側壁部材70を介して支持部材60が床版20の重量を支える構成となっている。
図1に示すように、支持構造30はトンネルTの両側側方の2箇所に設置される。これらの支持構造30によって床版20が支持され、トンネルTの内部に略水平な面が形成される。この略水平な面は例えば車両や鉄道の走行路である路床として用いられる。
【0032】
(作用効果)
本実施の形態に係る支持構造30によれば、セグメント11(トンネルTの内面)の広範囲に亘って円弧鋼板31を固定させるような構成を採っている。更には、第1の支持部材62及び第2の支持部材64の2つの部材を用いて2箇所以上で側壁部材70を支持する構成を採っている。そのため、第1の支持部材62及び第2の支持部材64を含む支持部材60により、側壁部材70を介して床版20の重量を確実に支えることができる。即ち、例えば地震時等に、床板20に振動荷重がかかった場合であっても床版20を安定的に支持することができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る支持構造30においては、円弧鋼板31、支持部材60、側壁部材70といった各部材を、現場でのコンクリート打設を必要としない部材としている。具体的には、円弧鋼板31は鋼製の鋼板、支持部材60は鋼製の部材とし、側壁部材70をプレキャスト製の部材としている。複数の部材に分けることで、部材の小型化や軽量化が図られ、施工作業の単純化が実現される。
【0034】
従来、現場打ちコンクリート打設は作業が輻輳し、工程数の増加が懸念され、施工性や安全性の面で課題があった。本実施形態に係る支持構造30によれば、コンクリート打設を最小限とし、作業工程の減少や施工の単純化、安全性の向上などが図られる。即ち、従来に比べ、工期の短縮化や施工性の向上が実現される。
【0035】
以上、本発明の実施の形態の一例を説明したが、本発明は図示の形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0036】
(本発明の他実施形態)
上記実施の形態では、支持構造30が、円弧鋼板31、支持部材60(第1の支持部材62及び第2の支持部材64)、及び側壁部材70を備える構成について図面を参照して説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。即ち、円弧鋼板31に備えられる支持部材60の構成は任意であり、種々の形状や構成の部材を用いることができる。以下、このような構成について本発明の他実施形態として説明する。なお、以下では、上記実施の形態と同じ機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付しその説明は省略する場合がある。
【0037】
(第1の他実施形態)
図6は本発明の第1の他実施形態に係る支持構造30aの概略断面図である。また、
図7は、支持構造30aの概略平面図である。また、
図8及び
図9は支持構造30aの概略側面図である。
図7は、
図6におけるA-A断面を示し、
図8及び
図9は、それぞれ
図6におけるB-B断面、C-C断面を示す。
【0038】
図6~
図9に示すように、本実施形態に係る支持構造30aにおいては、円弧鋼板31のトンネルT内部方向に向く面に支持部材80が備えられる。支持部材80は、略鉛直方向(図中Y方向)に延伸するH鋼柱82と、H鋼柱82の上部においてトンネルTの軸方向(図中Z方向)に延伸し、略水平に配設されるH鋼梁84を含む。これらH鋼柱82及びH鋼梁84はH形鋼で形成されても良い。
【0039】
また、支持部材80において、H鋼梁84の上面84a(H形鋼である場合のフランジ上面)には、床板20の端部が搭載される。円弧鋼板31とH鋼柱82や、H鋼柱82とH鋼梁84、H鋼梁84の上面84aと床版20と、は任意の方法で接合されても良く、例えば溶接やボルト接合により固定されても良い。
【0040】
図6~
図9を参照して説明した本発明の第1の他実施形態に係る支持構造30aによれば、上記実施の形態と同様の作用効果が享受されることに加え、更なる部材の小型化や軽量化が図られる。具体的には、支持部材80が鋼製部材であるH鋼柱82及びH鋼梁84を含むような構成としている。コンクリートを用いない鋼製部材のみを支持部材80として用いているため、更なる部材軽量化が実現され、更なる施工性の向上が図られる。
【0041】
(第2の他実施形態)
図10は本発明の第2の他実施形態に係る支持構造30bの概略断面図である。また、
図11は、支持構造30aの概略平面図である。また、
図12及び
図13は支持構造30bの概略側面図である。
図11は、
図10におけるA-A断面を示し、
図12及び
図13は、それぞれ
図10におけるB-B断面、C-C断面を示す。
【0042】
図10~
図13に示すように、本実施形態に係る支持構造30bにおいては、円弧鋼板31のトンネルT内部方向に向く面に支持部材90が備えられる。支持部材90は、トンネルTの軸方向(図中Z方向)に垂直な面に沿って配設される鋼製のリブ材92と、リブ材92の上部に略水平に配設される鋼製の保護プレート94と、を含む。リブ材92は、1つの円弧鋼板31に対し複数配設されても良く、例えば、
図11~
図13のように、1つの円弧鋼板31の2箇所に配設されても良い。これらリブ材92及び保護プレート94はいずれも鋼板で形成されても良い。
【0043】
また、支持部材90において、保護プレート94の上面には、床板20の端部が搭載される。円弧鋼板31とリブ材92や、リブ材92と保護プレート94、保護プレート94の上面と床版20と、は任意の方法で接合されても良く、例えば溶接やボルト接合により固定されても良い。
【0044】
図10~
図13を参照して説明した本発明の第2の他実施形態に係る支持構造30bによれば、上記実施の形態と同様の作用効果が享受されることに加え、更なる部材の小型化や軽量化が図られる。具体的には、支持部材90が鋼板で形成されるリブ材92及び保護プレート94を含むような構成としている。コンクリートを用いず、鋼板を用いて支持部材90を構成しており、更なる部材軽量化や施工性の向上が図られる。
【0045】
なお、上記実施の形態や他実施形態では、トンネルTの内部に構築される内部構築物として床版20を例示して図示説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではない。また、各種固定手段として、セグメント11に内蔵される既設インサートを例示して図示説明したが、固定手段はこれに限られない。例えば、固定手段として嵌合継手等の継手部材を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、トンネル内部に構築される内部構築物を支持する支持構造に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
10…トンネル覆工体
11…セグメント
20…床板
30…支持構造
30a…(第1の他実施形態に係る)支持構造
30b…(第2の他実施形態に係る)支持構造
31…円弧鋼板
33…固定手段
33a…既設インサート
40…インバート
50…柱部材
60…支持部材
62…第1の支持部材
64…第2の支持部材
70…側壁部材
80…(第1の他実施形態に係る)支持部材
82…H鋼柱
84…H鋼梁
90…(第2の他実施形態に係る)支持部材
92…リブ材
94…保護プレート
100…内部構造
T…トンネル