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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063845
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ポリエチレン系積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20230428BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20230428BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173891
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】香川 智哉
(72)【発明者】
【氏名】丸山 拓郎
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086AA23
3E086AD01
3E086BA15
3E086BB51
3E086BB85
4F100AK07A
4F100AK62A
4F100AK62B
4F100AL05A
4F100BA02
4F100EH20
4F100GB16
4F100JA04A
4F100JA06A
4F100JK10
4F100JL12A
(57)【要約】
【課題】配向等の煩雑な工程を必要とせず、薄肉でありながら、耐落下衝撃性に優れる包装体・包装袋を形成できる、シーラントフィルムとして有効な積層フィルムを提供すること。
【解決手段】少なくともシール層と主層を有するポリエチレン系積層フィルムであって、シール層は、エチレン-αオレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を含有し、主層は、エチレン-αオレフィン共重合体を含有し、前記シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として95対5から81対19である、ことを特徴とするポリエチレン系積層フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシール層と主層を有するポリエチレン系積層フィルムであって、
シール層は、エチレン-αオレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を含有し、
主層は、エチレン-αオレフィン共重合体を含有し、
前記シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として95対5から81対19である、ことを特徴とするポリエチレン系積層フィルム。
【請求項2】
前記シール層において、エチレン-αオレフィン共重合体の190℃のメルトフローレートと、プロピレン系重合体の230℃のメルトフローレートの差の絶対値が、6.0g/10分以内である、請求項1に記載のポリエチレン系積層フィルム。
【請求項3】
前記シール層において、プロピレン系重合体が、ブロックポリプロピレン及び/又はランダムポリプロピレンである、請求項1又は2に記載のポリエチレン系積層フィルム。
【請求項4】
前記シール層において、エチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度が、100℃以上125℃以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエチレン系積層フィルム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエチレン系積層フィルムを含む積層体。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエチレン系積層フィルム又は請求項5に記載の積層体を用いた包装袋。
【請求項7】
請求項6に記載の包装袋に内容物を収容した包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエチレン系積層フィルム、積層体、包装袋、および包装袋に内容物を充填した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等向けの袋には、シーラントとしてポリエチレンフィルムを使用するプラスチックフィルムが多く用いられている。
地球環境配慮の観点から、プラスチックの使用量を減らすことが望まれ、使用比率の高いシーラントを減らすことが特に望まれている。
しかし、使用量の削減の為に単にプラスチックフィルムの厚みを薄くすると、食品等保護に必要な仕様を満たせないことが多い。典型的には不測の落下衝撃によって袋を構成するプラスチックフィルムが破れ内容物が漏れるおそれがある。
【0003】
このような点から、各種のフィルムが知られている。
特許文献1には、低密度ポリエチレン樹脂または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント層と、該シーラント層より融点が高いポリエチレン樹脂よりなる配向層を、該シーラント層の融点より高く、かつ配向層のピカット軟化温度より高く融点より低い温度でインフレーション法により共押し出し延伸して得られる、多層ポリエチレンシーラントフィルムが記載されている。
特許文献2には、シーラント層と配向層の少なくとも2層から形成され、シーラント層と配向層は、いずれも単段重合で得られた直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、配向層は2種類以上の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、それらのメルトマスフローレートの最大値と最小値との差が1.0g/10分以上であり、かつ配向層を構成するすべての直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点がシーラント層を構成する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の融点よりも高い多層ポリエチレンシーラントフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6633908号公報
【特許文献2】特開2020-199674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状の包装袋に用いられるシーラント層としては、内容物の重量等にもよるが、その厚さが20μmから120μmのものが頻繁に用いられている。しかし、内容物が重量100g以上の液体の場合には、シーラント層の厚みを、さらに十分な厚みとする必要があった。
特許文献1には、シーラントフィルムの配向が工夫され、薄肉でありながらヒートシール強度が良好である多層ポリエチレンシーラントフィルムが記載されている。さらに、これを包装体のシーラント層として用いた、強度が改善された包装体が記載されている。
特許文献2には、薄肉でありながら、高い引張強度と衝撃破断耐性と良好なヒートシール性を発揮する多層ポリエチレンシーラントフィルムが記載されている。さらに、これを用いた、剛性、外観、ヒートシール性に優れる包装袋が記載されている。
特許文献1、2に記載のシーラントフィルムを用いた包装体・包装袋は、平面領域の強度が向上されているが、シール時の熱で配向が緩和されること等により、周縁に形成したシール部近傍の強度が不足するおそれがあり、包装体・包装袋を落下させた際の耐落下衝撃性の点で、満足できるものではなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、配向等の煩雑な工程を必要とせず、薄肉でありながら、耐落下衝撃性に優れる包装体・包装袋を形成できる、シーラントフィルムとして有効な積層フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン-αオレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を95対5から81対19の質量比(エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体)で含有するシール層と、エチレン-αオレフィン共重合体を含有する主層を、少なくとも含有するポリエチレン系積層フィルムによって、上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のポリエチレン系積層フィルム、積層体、包装袋、及び包装体を提供するものである。
(1)少なくともシール層と主層を有するポリエチレン系積層フィルムであって、
シール層は、エチレン-αオレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を含有し、
主層は、エチレン-αオレフィン共重合体を含有し、
前記シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として95対5から81対19である、ことを特徴とするポリエチレン系積層フィルム。
(2)前記シール層において、エチレン-αオレフィン共重合体の190℃のメルトフローレートと、プロピレン系重合体の230℃のメルトフローレートの差の絶対値が、6.0g/10分以内である、(1)に記載のポリエチレン系積層フィルム。
(3)前記シール層において、プロピレン系重合体が、ブロックポリプロピレン及び/又はランダムポリプロピレンである、(1)又は(2)に記載のポリエチレン系積層フィルム。
(4)前記シール層において、エチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度が、100℃以上125℃以下である、(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のポリエチレン系積層フィルム。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のポリエチレン系積層フィルムを含む積層体。
(6)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載のポリエチレン系積層フィルム又は(5)に記載の積層体を用いた包装袋。
(7)(6)に記載の包装袋に内容物を収容した包装体。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、配向等の煩雑な工程を必要とせず、薄肉でありながら、耐落下衝撃性に優れる包装体・包装袋を形成できる、シーラントフィルムとして有効な積層フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施態様であるポリエチレン系積層フィルムの概略図。
図2】本発明の一実施態様である積層体の概略図。
図3】本発明の一実施態様である包装袋/包装体の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のポリエチレン系積層フィルムは、少なくともシール層と主層を有するポリエチレン系積層フィルムであって、シール層は、エチレン-αオレフィン共重合体及びプロピレン系重合体を含有し、主層は、エチレン-αオレフィン共重合体を含有し、前記シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として95対5から81対19である。本発明のポリエチレン系積層フィルムは、包装袋向けにシーラントフィルムとして適用できるものである。
【0011】
<ポリエチレン系積層フィルム>
(シール層)
本発明のポリエチレン系積層フィルムにおけるシール層は、エチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体を含有する。
【0012】
{エチレン-αオレフィン共重合体}
シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3~20のαオレフィンとから構成され、エチレンの量比が50モル%超の共重合体である。エチレン-αオレフィン共重合体は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
炭素数3~20のαオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。好ましくは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンからなる群より選ばれる1種以上である。なかでもエチレンと1-ヘキセンとの共重合体は、メルトフローレートや結晶融解ピーク温度の点でバランスが取れていることから、好ましく用いられる。
【0013】
シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体を製造する際に用いられる触媒は、特に限定されない。例えば、チグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられる。本発明においては、密度が低く、分子量分布が狭く、耐衝撃性に優れるエチレン-αオレフィン共重合体を容易に得ることができることから、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。
【0014】
-メルトフローレート-
シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体のメルトフローレート(以下、本明細書中で「MFR」と記載する場合がある。)は、特に限定されない。例えば0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、例えば20.0g/10分以下、好ましくは15.0g/10分以下とすることができる。MFRが0.5g/10分未満の場合は、本発明のポリエチレン系積層フィルムの製造に際して、製膜押出機で過負荷となり、吐出できなくなるおそれがある。一方、MFRが20.0g/10分を超える場合は、溶融粘度が著しく低下し、本発明のポリエチレン系積層フィルムをインフレーション製膜法で製造する際に、リングダイスから吐出されたバブルが持ち上がらなくなるおそれがあり、また、キャスト製膜法で製造する際に、ダイス直下でドローダウンやネックインが生じるおそれがある。
【0015】
本発明において、シール層に含有されるエチレン-αオレフィンのMFRは、JIS K 7210に準拠し、プラストメータ/メルトインデクサーのシリンダからダイを通して190℃で荷重2.16kgをかけて溶融したエチレン-αオレフィン共重合体を押し出し、10分間当たりのグラム数で測定したものとすることができる。また、エチレン-αオレフィンとして市販品を用いる場合、カタログ値を用いてもよい。
シール層に含有されるエチレン-αオレフィンのMFRは、プロピレン系重合体のMFRとの差の絶対値が、6.0g/10分以内であることが好ましい。両者のMFRの差の絶対値がこの範囲内であることで、ポリエチレン系積層フィルムを製造する際の加熱時に、シール層を構成するエチレン-αオレフィン共重合体の流動性とプロピレン系重合体の流動性の差が小さくなり、均一に混合・分散することとなる。これにより、シール層全体が安定的に均一な状態となり、結果として安定的な耐落下衝撃性を付与することが出来るからである。両者のMFRの差の絶対値が6.0g/10分より大きくなると、シール層を構成するエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体が均一に混合・分散しなくなる傾向があり、良好な耐落下衝撃性を付与しにくくなるおそれがある。
MFR差の絶対値は、4.5g/分未満が均一混合・分散の観点からより好ましく、2.0g/分未満が一層好ましい。また、エチレン-αオレフィン共重合体のMFRとプロピレン系重合体のMFRを比較した場合、エチレン-αオレフィン共重合体のMFRの方が小さくてもよく、プロピレン系重合体のMFRの方が小さくてもよい。本発明のポリエチレン系積層フィルムのシール層においては、質量比が大きいエチレン-αオレフィンのMFRがプロピレン系重合体のMFRより小さい場合、後述する製造方法での製造適性が高くなるので好ましい。
【0016】
-結晶融解ピーク温度-
シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度は、とくに限定されない。例えば100℃以上125℃以下とすることができる。これにより、ポリエチレン系積層フィルムを用いて包装袋を製造する際に、低温且つ短時間でシールでき、商業生産の効率が向上する。結晶融解ピーク温度を、100℃以上115℃以下とすることで、低温且つ短時間シール性がより顕著になり、より良好である。
本発明において、シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度は、JIS K 7121に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)測定を行った際に、昇温速度10℃/分で行う第二昇温の昇温過程で検出される最大強度の吸熱ピークの温度から求めることができる。また、エチレン-αオレフィンとして市販品を用いる場合、カタログ値を用いてもよい。
【0017】
-密度-
シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の密度は、とくに限定されない。耐衝撃性の面で有利な低密度、例えば0.900g/cm以上0.920g/cm以下とすることができる。
【0018】
{プロピレン系重合体}
シール層に含有されるプロピレン系重合体としては、単独重合体としてのホモポリプロピレン、エチレン等の共重合モノマーとの共重合体であるブロックポリプロピレンやランダムポリプロピレンが挙げられる。プロピレン系重合体は、種々の方法により製造することができる。例えばチグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等の公知の触媒を用いて製造することができる。
【0019】
-ホモポリプロピレン-
ホモポリプロピレンは、モノマーとしてプロピレンのみを使用した重合体である。ブロックポリプロピレンやランダムポリプロピレンのように、エチレン等の共重合モノマー成分が含有されていないため、結晶性が高い。そのため剛性が大きく、また耐熱性も高いという特徴がある。
【0020】
-ブロックポリプロピレン-
ブロックポリプロピレンは、異相ポリプロピレンとも呼ばれる樹脂である。例えば、
(i)重合過程において、プロピレンモノマーの単独重合の後、二次重合槽でエチレンモノマーを50モル%未満の範囲で共重合したエチレン-プロピレンブロック共重合体、
(ii)ホモポリプロピレンに、50質量%未満の少量のエチレン-ポリプロピレン共重合体を混合した樹脂、
等が挙げられる。
本発明において、ブロックポリプロピレン中のエチレン成分の含有量は、30質量%以上50質量%未満が好ましい。このような組成構造をもつブロックポリプロピレンは、JIS K 7111に準拠する23℃でのシャルピー衝撃強度が50kJ/m以上となる。ブロックポリプロピレンは、共重合モノマー又は混合共重合体としてエチレン成分を含む場合、ホモポリプロピレンと比較して、エチレン-αオレフィン共重合体と均一混合・分散させやすくなるため好ましい。
【0021】
-ランダムポリプロピレン-
ランダムポリプロピレンは、プロピレンモノマーと、エチレンモノマー及び/又はブテン-1モノマーがランダム共重合しており、プロピレンモノマーが50モル%超含まれるプロピレン系樹脂を指す。本発明における好適なランダムポリプロピレンは、共重合モノマーの含有量が5質量%以下である。このような組成構造をもつランダムポリプロピレンはJIS K 7111に準拠する23℃でのシャルピー衝撃強度が5kJ/m以上となる。
ランダムポリプロピレンの共重合モノマーとしてエチレンを含む場合、ホモポリプロピレンと比較して、エチレン-αオレフィン共重合体と均一混合・分散させやすくなる。さらに、ブロックポリプロピレンと比較して、耐寒性に優れているので、チルド食品等の低温商品の包装袋向けに好適に使用できる。
【0022】
-MFR-
シール層に含有されるプロピレン系重合体のMFRは、特に限定されない。例えば0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、20.0g/10分以下、好ましくは15.0g/10分以下とすることができる。
本発明において、シール層に含有されるプロピレン系重合体のMFRは、JIS K 7210に準拠し、プラストメータ/メルトインデクサーのシリンダからダイを通して230℃で荷重2.16kgをかけて溶融したプロピレン系重合体を押し出し、10分間当たりのグラム数で測定したものとすることができる。また、プロピレン系重合体として市販品を用いる場合、カタログ値を用いてもよい。
【0023】
{その他の成分}
シール層には、本発明の効果を損なわない範囲(例えば、20質量%未満、好ましくは5質量%未満)において、各種の樹脂や添加剤が含まれていてもよい。樹脂としては、エチレン-αオレフィン共重合体及びポリプロピレン系重合体以外の樹脂が挙げられる。添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤(シリカ等の無機粒子、シリコーン樹脂や(メタ)アクリル樹脂等の有機樹脂粒子等)、防曇剤、着色剤(有機顔料、無機顔料等)、紫外線吸収剤、分散剤、充填剤(タルク、炭酸カルシウム等)等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
【0024】
-エチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比-
シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比は、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として、95対5から81対19である。これにより、シール層同士をシールして部分衝撃応力を印加すると、シール部が印加の衝撃を吸収するように剥離後退し得ると推定できる。
シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体の質量比が81未満であると、落下等により衝撃が印加された場合に、シール部が易剥離してしまうおそれがある。
シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体の質量比が95を超えると、プロピレン系重合体を併用する技術的意義が薄れ、エチレン-αオレフィン共重合体の単独使用の場合に近づくため、接着強度は高くなるものの、シール部の剥離後退による衝撃を吸収する能力が低下し、シール縁部で積層フィルムが破れやすくなる。
本発明のポリエチレン系積層フィルムは、包装袋を形成した場合において、瞬間的な衝撃応力を吸収し得るように構成されており、いわゆるイージーピール性を付与したポリエチレン系積層フィルムとの異なる点である。
【0025】
(主層)
本発明のポリエチレン系積層フィルムにおける主層は、エチレン-αオレフィン共重合体を含有する。
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体は、エチレンと炭素数3~20のαオレフィンとから構成され、エチレンの量比が50モル%超の共重合体である。エチレン-αオレフィン共重合体は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
炭素数3~20のαオレフィンとしては、例えば、前記(シール層)における{エチレン-αオレフィン共重合体}に記載した、エチレンと共重合させるモノマーの1種以上が挙げられる。なかでもエチレンと1-ヘキセンとの共重合体は、メルトフローレートや結晶融解ピーク温度の点でバランスが取れていることから、好ましく用いられる。
【0026】
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体を製造する際に用いられる触媒は、特に限定されない。例えば、チグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒等が挙げられる。本発明においては、密度が低く、分子量分布が狭く、耐衝撃性に優れるエチレン-αオレフィン共重合体を容易に得ることができることから、メタロセン系触媒を用いることが好ましい。
【0027】
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体のMFRは、特に限定されない。例えば0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、例えば20.0g/10分以下、好ましくは15.0g/10分以下とすることができる。
本発明において、主層に含有されるエチレン-αオレフィンのMFRは、JIS K 7210に準拠し、プラストメータ/メルトインデクサーのシリンダからダイを通して190℃で荷重2.16kgをかけて溶融したエチレン-αオレフィン共重合体を押し出し、10分間当たりのグラム数で測定したものとすることができる。また、エチレン-αオレフィンとして市販品を用いる場合、カタログ値を用いてもよい。
【0028】
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度は、とくに限定されない。例えば115℃以上125℃以下とすることができる。
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度は、シール層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度よりも高温であることが好ましい。これにより、ポリエチレン系積層フィルムを用いて包装袋を製造する際に、外部加熱によるシール熱のダメージを軽減することができる。
本発明において、主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の結晶融解ピーク温度は、JIS K 7121に準拠し、示差走査型熱量計(DSC)測定を行った際に、昇温速度10℃/分で行う第二昇温の昇温過程で検出される最大強度の吸熱ピークの温度から求めることができる。また、エチレン-αオレフィンとして市販品を用いる場合、カタログ値を用いてもよい。
主層に含有されるエチレン-αオレフィン共重合体の密度は、とくに限定されない。高強度を示し、実用上の剛直性、自立性等を兼ね備えた密度、例えば0.910g/cm以上0.925g/cm以下とすることができる。
【0029】
主層には、本発明の効果を損なわない範囲(例えば、20質量%未満、好ましくは5質量%未満)において、各種の樹脂や添加剤が含まれていてもよい。
樹脂としては、エチレン-αオレフィン共重合体以外の樹脂が挙げられる。添加剤としては、例えば、(シール層){その他の成分}において記載した各種添加剤の1種以上が挙げられる。
【0030】
(ポリエチレン系積層フィルムの構成)
-層構成-
本発明のポリエチレン系積層フィルムの層構成は特に限定されず、例えば図1に示すように、シール層1と主層2からなる2層構成とすることができる。また、必要に応じて、これらの層の間や層の上に、耐熱性樹脂層や接着性樹脂層を設けることができる。耐熱性樹脂層としては、例えば、高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂層等が挙げられる。接着性樹脂層としては、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン樹脂等の、無極性のポリエチレンやポリプロピレンに極性基を導入して異種材料との接着性を付与した樹脂の層等が挙げられる。
ポリエチレン系積層フィルムをそのまま用いて包装袋を形成した場合、シール層を内側にした袋となるので主層が外に配置されるが、さらにその外側に耐熱性樹脂層を配することで包装袋製造時におけるシール温度の選択範囲を、高温方向へ広げることができる。シール層と主層の2層構成とした場合、ポリエチレン系積層フィルムの厚みが制御しやすく、ポリエチレン系積層フィルムの製造方法における工数が少なくなるので好ましい。
【0031】
-厚さ-
本発明のポリエチレン系積層フィルムの厚さは、特に限定されない。ポリエチレン系積層フィルムの厚さは、例えば20μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは40μm以上であり、例えば200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下とすることができる。厚さが20μm以上200μm以下の範囲の場合、軟包装材料として多用されているシーラントフィルムを柔軟性と剛性の調和を損ねることなく、従来の厚さより薄肉化することができ、実用的なシール性を有し、形成した包装体に十分な耐衝撃性を付与することができる。なおプラスチック使用量削減の観点からは、実用的な範囲内でより薄い厚みである20μm以上50μm以下とすることが好ましい。
【0032】
本発明のポリエチレン系積層フィルムにおいて、シール層と主層の厚さの割合は、特に限定されない。
シール層の厚さは、ポリエチレン系積層フィルム全体の厚さを100%とした場合において、例えば5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下とすることができる。
主層の厚さは、ポリエチレン系積層フィルム全体の厚さを100%とした場合において、例えば40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であり、例えば95%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下とすることができる。
主層の厚さの割合を大きくした方が、耐落下衝撃性を安定的に発揮しつつ製膜が容易となり、またその後の巻き取り等のハンドリング性も良好である。
【0033】
<積層体>
本発明の積層体は、その少なくとも一層が、ポリエチレン系積層フィルムからなるものであれば、とくに限定されない。
例えば、図2に示す、ポリエチレン系積層フィルムの主層におけるシール層が形成されていない面に、基材層4を設けたものが挙げられる。基材層は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の無延伸、1軸延伸又は2軸延伸フィルム;それらのフィルムに、アルミニウム、シリカ、アルミナ等を蒸着したガスバリアフィルム;紙;アルミニウム箔等の金属;等からなる1種以上の層を含んでいてもよい。また、基材層は、必要に応じて、互いに同一又は異なる基材層を2層以上有していてもよい。これらの基材層には、着色、印刷等の加工を施すことができ、意匠性、ガスバリア性、遮光性、耐ピンホール性、耐カール性等に優れた包装袋が提供できる。
ポリエチレン系積層フィルムと基材層の間や複数の基材層の間には、必要に応じて中間層を設けてもよい。ここで、中間層は、印刷層、接着層、プライマー層、蒸着層等からなる群より選ばれる1種以上の層とすることができる。
【0034】
<ポリエチレン系積層フィルム及び積層体の製造方法>
ポリエチレン系積層フィルム及び積層体の製造方法は、特に限定されない。
ポリエチレン系積層フィルム及び積層体の各層を構成する樹脂又は樹脂組成物の製造方法としては、例えば、各構成成分を同時にあるいは逐次的に混合する方法が挙げられる。例えば、各構成成分を、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合後、製膜機に直接投入する方法、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合後、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダ等を用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
【0035】
ポリエチレン系積層フィルムの製造方法としては、例えば、シール層および主層を構成する各樹脂成分を、多層のTダイ製膜機や多層のインフレーション製膜機に投入して共押出する方法、予め製膜した主層の少なくとも一方の面に、シール層を構成する樹脂成分等を溶融押出ラミネートする方法、シール層及び主層をそれぞれ形成した後にドライラミネーションする方法等が挙げられる。なかでも多層のTダイ又は多層のインフレーション製膜機による共押出法は、工数が少なく簡便で層間の接着強度が十分に高くできるので好ましい。
【0036】
積層体の製造方法としては、例えば、ポリエチレン系積層フィルムに、ドライラミネーションにより基材層を積層する方法、溶融ポリエチレン等を介し、サンドイッチラミネーションにより基材層を積層する方法、ポリエチレン系積層フィルムを、基材層上に多層共押出ラミネートして積層する方法、積層体を構成する全層を共押出する方法等が挙げられる。なかでもドライラミネーションする方法は、薄い接着剤層を介してこれら基材層等を積層することができるので好ましい。
【0037】
<包装袋及び包装体>
本発明の包装袋は、ポリエチレン系積層フィルム又はポリエチレン系積層フィルムを積層した積層体のシール層同士をシールすることで形成される。
包装袋の形態は、特に限定されず、三方袋、合掌袋、ガセット袋、底部を装備した自立袋や口栓を有する袋等が挙げられる。
本発明の包装体は、当該包装袋に内容物を収容したものである。内容物としては、特に限定されない。例えば、食品、医薬品、飲料等が挙げられる。
【0038】
<用途>
本発明のポリエチレン系積層フィルム、積層体、包装袋及び包装体は、密封性と耐衝撃性が求められる用途、例えば、液状、ゲル状、固体状の食品、医薬品、飲料等を被包内容物とした包装用フィルム、包装袋、包装体として内容物を保護できるので好適である。さらに内容物の輸送時、保管時及び使用時等に、不測の落下衝撃等が加わった場合でも破袋しにくいので、特に内容物が液体である場合、内容物で周囲を汚染することがなく、一層好適である。
【実施例0039】
以下に本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これらに限定されるものではない。各例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
【0040】
[構成成分]
実施例及び比較例に係るポリエチレン系積層フィルム、積層体及び包装袋の構成成分は、以下のとおりである。
【0041】
<エチレン-αオレフィン共重合体>
・LL1:「カーネル(登録商標)KF283」(日本ポリエチレン(株)製、密度=0.921g/cm、MFR=2.5g/10分、結晶融解ピーク温度=108℃):メタロセン系触媒により重合されたエチレン-1-ヘキセン共重合体。
・LL2:「エボリュー(登録商標)SP1510」(プライムポリマー(株)製、密度=0.915g/cm、MFR=1.0g/10分、結晶融解ピーク温度=118℃):メタロセン系触媒により重合されたエチレン-1-ヘキセン共重合体。
【0042】
<プロピレン系重合体>
・HECO1:「PC480A」(サンアロマー(株)製、密度=0.900g/cm、MFR=2.0g/10分、23℃シャルピー衝撃強度=68kJ/m):ブロックポリプロピレン系共重合体。
・RACO1:「PS320M」(サンアロマー(株)製、密度=0.900g/cm、MFR=1.2g/10分、23℃シャルピー衝撃強度=24kJ/m):ランダムポリプロピレン系共重合体。
・RACO2:「F744NP」(プライムポリマー(株)製、密度=0.900g/cm、MFR=7.0g/10分、23℃シャルピー衝撃強度=9kJ/m):ランダムポリプロピレン系共重合体。
・HOMO1:「PC600A」(サンアロマー(株)製、密度=0.900g/cm、MFR=7.5g/10分、23℃シャルピー衝撃強度=4kJ/m):ホモポリプロピレン系重合体。
【0043】
<接着剤層>
DL1:「LX500/KR-90S」(DICグラフィックス(株)製、2液型エステル系接着剤):ドライラミネート接着剤
【0044】
<基材層>
OPET1:「東洋紡エステルフィルム(登録商標) E5100」(東洋紡(株)製、厚み12μm):2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
【0045】
[ポリエチレン系積層フィルム]
<実施例1>
95部のLL1と、5部のHECO1をヘンシェルミキサーにて5分間混合し、シール層成分を調製した。
前記シール層成分と、主層成分(LL2)とを、2層のTダイ製膜機(各押出機に実装されているスクリューは、径=40mm、L/D=31、フルフライト形状)のホッパーに各々投入し、ダイス温度を230℃として、積層フィルム総厚が40μm、シール層厚が10μm(総厚の25%)、主層厚が30μm(総厚の75%)の2層のポリエチレン系積層フィルムを得た。
得られたポリエチレン系積層フィルムの主層のシール層と接していない面に、コロナ放電処理を行い、23℃での表面濡れ張力を38~46mN/mとした。
【0046】
<実施例2~19、比較例1~6>
シール層及び主層の成分を表1に示されるものとしたほかは、実施例1と同様にして、ポリエチレン系積層フィルムを得た。
【0047】
【表1】
【0048】
[積層体及び包装袋]
<積層体及び包装袋の作製>
OPET1の一方の面をコロナ放電処理した後に、OPET1のコロナ放電処理面にDL1(ドライラミネート接着剤)を固形分で3.3g/mになるよう塗布し、接着剤付き2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作製した。
実施例1~19及び比較例1~6で得られた各ポリエチレン系積層フィルムの主層のコロナ放電処理面と、接着剤付き2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの接着剤層とを、貼合して積層体を作製した。
得られた積層体を、170mm×320mmに裁断し、シール層を内面として内寸150×150mmとできるように2つ折りにし、重なった2ヶ所の辺を圧力0.2MPa、シール時間1秒、温度190℃、シール幅10mmでヒートシールして、開口部を有する包装袋をそれぞれ15袋作製した。
【0049】
<包装体の耐衝撃性評価>
(落袋強度試験)
作製した各包装袋内に、蒸留水250mLを満注し、開口部を、圧力0.2MPa、シール時間1秒、温度190℃、シール幅10mmでヒートシールして密封し、内寸150×150mmの面(水平面)を有する包装体をそれぞれ5個作製した。
得られた各包装体を、落差200cmの高さから水平面が着地するようにして落下させた。落下で破袋した場合は評価を終了し、破袋しない場合は同じ包装体の落下を繰り返し、各包装体の破袋時の落下回数を測定し、破袋までの平均落下回数を落袋強度とした。落袋強度が10.0回以上を良好(合格)と判定した。結果を表2に示す。
【0050】
(JIS K 7160に準拠した引張衝撃強度試験)
作製した包装袋のシール部が中央になるように2枚のフィルムをB法、2形ダンベルで打ち抜いたものを試験片とした。
引張衝撃試験機は、4Jのアーム、荷重およびアンビルを用いて測定した。
結果を表2に示す。引張衝撃強度が3000kJ/m超を良好(合格)と判定した。
【0051】
(JIS Z 0212に準拠した圧縮強度試験)
得られた包装袋内に、蒸留水250mLを満注し、開口部を、圧力0.2MPa、シール時間1秒、温度190℃、シール幅10mmでヒートシールして密封し、内寸150×150mmの面(水平面)を有する包装体を5個得た。
得られた包装体を、水平に静置し、その上部に包装体全面を覆う平板を当て、さらにその上から100kgの荷重を印加したまま5分間放置した。5分後に破袋がみられなかったときは、同一検体に130kgの荷重を改めて印加し5分間放置した。平均して130kgでも破袋しなかった検体を「A」、100kgまで破袋しなかったものを「B」、100kgで破袋したものを「C」と判定した。なお「A」、「B」が合格で、「C」が不合格である。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
表1、2より、シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として95対5から81対19の範囲内であると、落袋強度及び引張衝撃強度の点で有利であることがわかる。特に実施例2、3、5、6、8、9、10、13、14、15から、シール層におけるエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体の質量比が、エチレン-αオレフィン共重合体対プロピレン系重合体として90対10から85対15の範囲内であることが特に好ましいことが分かる。
【0054】
表1、2における実施例1から10と、実施例11、12の落袋強度結果からみて、プロピレン系重合体としては、ブロックポリプロピレン及び/又はランダムポリプロピレンであることが特に好ましいことが分かる。
表1、2における実施例1から6と、実施例7から9の落袋強度結果からみて、シール層を構成するエチレン-αオレフィン共重合体とプロピレン系重合体のMFRの差が4.5g/10分未満であると特に好ましいことが分かる。
表1、2における実施例2、5、8と、実施例13から15の落袋強度結果からみて、主層を構成するエチレン-αオレフィン共重合体として、結晶融解ピーク温度が108℃を超えるものを用いること特に好ましいことが分かる。
表1、2における実施例1から6と、実施例16から19の落袋強度結果からみて、シール層を構成するエチレン-αオレフィン共重合体として、結晶融解ピーク温度が118℃未満のものを用いること特に好ましいことが分かる。
表1、2における比較例1から5は、少ない落下回数でシール部が剥離して内容物が漏れる結果となり、また3000kJ/m未満の引張衝撃強度にてシール部が剥離した。従来の厚みのポリエチレンフィルムで単に薄くしただけのものである比較例6では、落袋強度は良好とはいえないことを示した。
いずれの実施例においても、圧縮強度の結果は合格であった。実施例1、2、4、5,7、8等の結果からは、圧縮強度については、ポリプロピレン系重合体の質量比は5から10程度がとくに好ましいことが分かる。
【0055】
本発明のポリエチレン系積層フィルム又はそれを含む積層体を用い、図3のようになった包装袋を構成すると、シール部における衝撃吸収のための剥離後退能を付与しつつ包装袋の外周のシール部の接着強度を強くすることができ、包装袋が落下等により破袋することを抑制することができ、内容物の保護をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
A:ポリエチレン系積層フィルム
B:積層体
C:包装袋/包装体
1:シール層
2:主層
3:接着剤層
4:基材層
図1
図2
図3