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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063864
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C3/12 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173916
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】神谷 保徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅也
(57)【要約】
【課題】電池の出力電圧を正確に検出できる、使い勝手に優れたガスコンロを提供する。
【解決手段】電池60と、供給される燃料ガスを燃焼させることによって調理物を加熱するバーナ10Lと、バーナ10Lに供給する燃料ガスのガス供給量を調整する流量調整弁23Lと、流量調整弁23Lを駆動するステッピングモータ24L及び音声情報を出力する報知器30とを有し、制御部50は、バーナ10Lの点火前に、ステッピングモータ24Lを直流駆動させるとともに、報知器30から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させて、電池60の出力電圧を監視する初期電圧チェックを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
供給される燃料ガスを燃焼させることによって調理物を加熱するバーナと、
バーナに供給する燃料ガスのガス供給量を調整する流量調整弁と、
電池を電源とする電気負荷である流量調整弁を駆動するステッピングモータ及び音声情報を出力する報知器と、
電気負荷の駆動を制御し、電気負荷を駆動させたときの電池の出力電圧を監視する制御部と、を有し、
制御部は、バーナの点火前に、ステッピングモータを直流駆動させるとともに、報知器から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させて、電池の出力電圧を監視する初期電圧チェックを実行するガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
電池を電源とする電気負荷であるバーナを点火させるイグナイタを有し、
制御部は、初期電圧チェックにおいて、さらにイグナイタを駆動させるガスコンロ。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を電源とするガスコンロに関する。特に、本発明は、電池の出力電圧を監視するガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
装置のパルス駆動化、高性能化などにより、電源として電池を使用するガスコンロが提供されている。例えば、パルス駆動負荷としてステッピングモータを有し、ステッピングモータによりガス供給路に設けられた流量調整弁の開度を調整するガスコンロがある。この種のガスコンロでは、ステッピングモータにより流量調整弁を開弁してバーナの燃焼を開始させた後に、電池の出力電圧の低下によりステッピングモータの駆動が不能になると、流量調整弁によってバーナの燃焼量を調節することができなくなり、調理に失敗してしまう。そのため、電池の出力電圧を検出する電圧検出手段を設け、ステッピングモータの駆動開始に先立って、スイッチング手段によりステッピングモータのいずれかの固定子巻線に電池の出力電圧を印加したときの電圧検出手段の検出電圧が所定の基準電圧以下となるか否かを確認し、検出電圧が基準電圧以下となると、ステッピングモータの駆動を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、ガスコンロには、電池を電源とする電気機器として、流量調整弁を駆動するステッピングモータ以外に種々の電気機器(電源の電気的負荷)が備えられ、例えば、バーナを点火するイグナイタや、運転状態を音声により報知させるスピーカなどが備えられており、これらの電気機器の一部は、互いに並行して駆動させる場合がある。
【0004】
例えば、バーナの点火時に、イグナイタの駆動と並行して、ステッピングモータを駆動して流量調整弁を開弁させる場合がある。また、バーナの燃焼(温調)運転中に何らかの異常が生じた場合、流量調整弁の閉弁と並行して、スピーカから警告を報知させる場合がある。
【0005】
電池の内部抵抗は電流値によって変化するため、上記のような負荷の大きな複数の電気機器が並行して駆動されて電流値が大きくなると、電源の負担も大きくなり、電池の出力電圧の低下が大きくなる。また、電池は使用環境や経年劣化によって内部抵抗が異なってきて、低温になるほど、また電池の残量が少なくなるほど、内部抵抗が高くなり、電池の出力電圧の低下が大きくなる。さらに、電池の内部抵抗は電池の種類によっても異なるし、電気機器の抵抗値は個体差によるばらつきがある。このため、電気機器を駆動させたときの電池の出力電圧の低下の最大値を予測して、ある程度の余裕を持たせた基準電圧が設定されている。
【0006】
しかしながら、従来のように余裕を持って各電気機器の駆動が可能な基準電圧を設定すると、実際には複数の電気機器を並行して駆動させることができる場合でも、バーナの燃焼が禁止されてしまうという問題がある。また、バーナの点火前に複数の電気機器を駆動させて電池の出力電圧を確認することも考えられるが、ステッピングモータをパルス駆動させると、電池の出力電圧のふらつきが大きくなる。そのため、ステッピングモータとともに、スピーカを駆動させると、電池の出力電圧を正確に検出できないという問題や、不要な音声がスピーカから出力されてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-339195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、電池の出力電圧を正確に検出できる、使い勝手に優れたガスコンロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
電池と、
供給される燃料ガスを燃焼させることによって調理物を加熱するバーナと、
バーナに供給する燃料ガスのガス供給量を調整する流量調整弁と、
電池を電源とする電気負荷である流量調整弁を駆動するステッピングモータ及び音声情報を出力する報知器と、
電気負荷の駆動を制御し、電気負荷を駆動させたときの電池の出力電圧を監視する制御部と、を有し、
制御部は、バーナの点火前に、ステッピングモータを直流駆動させるとともに、報知器から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させて、電池の出力電圧を監視する初期電圧チェックを実行するガスコンロが提供される。
【0010】
上記ガスコンロによれば、バーナの点火前に、ガスコンロの運転中、並行して駆動される可能性があるステッピングモータと報知器とを駆動させて、電池の出力電圧を監視する初期電圧チェックが実行されるから、複数の電気機器が駆動されるときの実際の電池の出力電圧の低下を検出することができる。そして、上記ガスコンロによれば、初期電圧チェックにおいて、ステッピングモータを直流駆動させるとともに、報知器から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させるから、電池の出力電圧の変動を低減できるとともに、不要な音声の出力を防止することができる。これにより、上記ガスコンロによれば、調理の開始前に、使用者に音声による違和感を生じさせることなく、実際の使用状況にあった電池の出力電圧を正確に検出することができる。
【0011】
好ましくは、上記ガスコンロにおいて、
電池を電源とする電気負荷であるバーナを点火させるイグナイタを有し、
制御部は、初期電圧チェックにおいて、さらにイグナイタを駆動させる。
【0012】
上記ガスコンロによれば、初期電圧チェックにおいて、ガスコンロの運転中、ステッピングモータや報知器と並行して駆動される可能性があるイグナイタも駆動させるから、実際の使用状況にあった電池の出力電圧をより正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、バーナの点火前に、電池の出力電圧を正確に検出できるとともに、使い勝手に優れたガスコンロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るガスコンロの一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るガスコンロの一例を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るガスコンロにおける動作の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るガスコンロを具体的に説明する。
図1は、本実施の形態のガスコンロ1の外観形状を示す概略斜視図である。このガスコンロ1は、コンロ本体2と、コンロ本体2の上面を覆う天板3とを備えている。コンロ本体2の内部には、左右のコンロバーナ10L,10Rが、天板3から上部を突出させた状態で設けられており、天板3上には、向かって左コンロバーナ10Lを囲むようにして五徳4Lが載置され、向かって右コンロバーナ10Rを囲むようにして五徳4Rが載置されている。そして、五徳4L、4Rの上に鍋などの調理容器を載置した状態で、調理容器を下方から左右のコンロバーナ10L,10Rで加熱することによって、調理容器内の調理物を加熱調理することが可能となる。なお、ガスコンロ1は、内部にグリルを有してもよい。
【0016】
コンロ本体2の前面側には、左右のコンロバーナ10L,10Rの点消火及び火力調節のために使用者によって操作される操作つまみ6L,6Rが搭載されている。また、コンロ本体2の前面の左右中央の位置には、音出力孔9hが形成されており、コンロ本体2に内蔵されたスピーカ(報知器)30(図2参照)から音声情報を出力することが可能となっている。さらに、コンロ本体2の前面の右上隅の位置には、ガスコンロ1の電源スイッチ9が搭載されている。なお、本明細書では、ガスコンロ1を前方から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0017】
図2は、ガスコンロ1での運転を制御するための内部構造を示すブロック図である。左右のコンロバーナ10L,10Rには、ガス供給路であるガス配管20から燃料ガスが供給される。ガス配管20は、上流側では1本となっており、元弁21の下流側で複数本に分岐して、左コンロバーナ10Lと右コンロバーナ10Rとに接続されている。元弁21は、電動開閉弁から構成され、後述する制御ユニット50に接続されている。
【0018】
左コンロバーナ10Lに接続されるガス配管20の途中には、上流側から順に、電磁安全弁22Lと、流量調整弁23Lとが設けられている。同様に、右コンロバーナ10Rに接続されるガス配管20の途中には、電磁安全弁22Rと、流量調整弁23Rとが設けられている。電磁安全弁22L,22Rはそれぞれ、通電保持型電磁弁により構成され、図示しない電磁石に継続的に通電することで開弁保持され、通電を遮断することで閉弁される。電磁安全弁22L,22Rは、制御ユニット50に接続されている。また、流量調整弁23L,23Rはそれぞれ、ステッピングモータ24L,24Rによって駆動され、ステッピングモータ24L,24Rは、制御ユニット50に接続されている。
【0019】
左右のコンロバーナ10L,10Rにはそれぞれ、中央部に温度センサ11L,11Rが設けられ、周囲に点火プラグ12L,12Rと炎検知センサ13L,13Rとが設けられている。温度センサ11L,11Rや炎検知センサ13L,13Rは制御ユニット50に接続され、点火プラグ12L,12Rは共用のイグナイタ33に接続されている。イグナイタ33は、点火プラグ12L,12Rで火花放電を発生させるための高電圧を発生させる電気機器であり、イグナイタ33は制御ユニット50に接続されている。コンロ本体2の前面に設けられた操作つまみ6L,6R、スピーカ30は、同様に、制御ユニット50に接続されている。
【0020】
ガスコンロ1の内部には、ガスコンロ1の運転制御を行うための電子回路ユニットである制御ユニット50が搭載されている。制御ユニット50は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)51を備え、マイコン51は、CPU、メモリ、タイマなどを備えており、メモリに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行することが可能となっている。また、制御ユニット50は、操作つまみ6L,6Rの操作信号を発生して、それをマイコン51に入力する操作スイッチ回路41と、マイコン51からの制御指令により元弁21を通電駆動する弁駆動回路42と、マイコン51からの制御指令により電磁安全弁22L,22Rを通電駆動する電磁弁駆動回路43と、マイコン51からの制御指令によりステッピングモータ24L,24Rを駆動するモータ駆動回路44と、点火プラグ12L,12Rに火花放電を生ぜしめるイグナイタ33をマイコン51からの制御指令により通電駆動するイグナイタ駆動回路45と、マイコン51からの制御指令によりスピーカ30に所定の周波数の音響信号を付与して音声情報を出力させるスピーカ駆動回路46と、ガスコンロ1の電源部である電池60からの電圧を昇圧させたり、電圧を安定させたりしてマイコン51等に給電する電源回路47と、電池60の出力電圧を監視する電池電圧監視回路48とを備える。なお、マイコン51は、燃焼制御を実行する制御用マイコンと、操作つまみ6L,6Rの操作内容を検出したり、スピーカ30に音響信号を出力したりする操作用マイコンとから構成されてもよい。
【0021】
電源回路47は、使用者が電源スイッチ9をオン操作すると、電池60からマイコン51等や各駆動回路に給電し、各駆動回路による元弁21、電磁安全弁22L,22R、ステッピングモータ24L,24R、スピーカ30、イグナイタ33への通電を可能な状態とする。また、電源回路47は、電池電圧監視回路48に電池60の電圧に応じた電圧を付与し、電池電圧監視回路48は、電源回路47から与えられる電圧により電池60の出力電圧を監視し、出力電圧に基づく信号をマイコン51に出力する。マイコン51は、電池60の出力電圧が所定の基準電圧以下となると、電磁弁駆動回路43やモータ駆動回路44の駆動を禁止し、スピーカ駆動回路46を駆動させてスピーカ30から所定の音声情報を報知させる。なお、本実施の形態では、電池として、新品状態での定格電圧が、例えば3Vのものが使用される。
【0022】
図示しないが、モータ駆動回路44は、直流とパルスを選択的に生成可能な電源回路と、スイッチング回路とを備え、マイコン51からの制御指令に応じて、ステッピングモータ24L,24Rに直流が印加されるか、パルスが印加されるかが選択される。具体的には、電源スイッチ9がオン操作されてマイコン51が起動すると、後述する初期電圧チェックにおいて、直流を生成しステッピングモータ24Lを直流駆動させて電池60の出力電圧を監視し、その後、電池60の出力電圧が所定の基準電圧より高ければ、使用者の操作つまみ6L,6Rによる操作に応じて、ステッピングモータ24L,24Rをパルス駆動する。なお、直流駆動及びパルス駆動におけるピーク電流値は、略同一に設定される。
【0023】
スピーカ駆動回路46は、マイコン51からの制御指令に応じて、スピーカ30に所定の音響信号を付与して、スピーカ30から可聴領域の周波数(一般に、10~20kHz)及び非可聴領域の周波数(一般に、20kHz以上)の音声情報を出力させる。
【0024】
次に、本実施の形態のガスコンロ1の作動を説明する。なお、本実施の形態では、電池60の消耗を考慮して、ガスコンロ1の運転中、複数のステッピングモータ24L,24Rを並行して駆動させないように設定されている。このため、いずれのコンロバーナも点火されていない状態で実行される初期電圧チェックでは、ガスコンロ1の運転中の負荷に近い状態となるように、並行して駆動される可能性があるイグナイタ33と、一方のステッピングモータ24Lと、スピーカ30とを駆動させるが、さらに他の電気負荷がある場合、それらも並行して駆動させてもよい。例えば、ガスコンロ1が、外部の機器(例えば、スマートフォンや、無線ルータ、レンジフード)と電波や赤外線などで通信するための通信機器などを備える場合、これらの電気機器も初期電圧チェックで並行して駆動させてもよい。また、電磁安全弁22L,22Rは、ステッピングモータ24L,24Rと並行して駆動される場合があるため、初期電圧チェックでこれらも駆動させてもよい。ただし、電磁安全弁22L,22Rは負荷の小さな電気機器であり、電磁安全弁22L,22Rを開弁保持させるために必要な電流値は小さく、電磁安全弁22L,22Rを駆動させたときの電池60の出力電圧の低下は軽微となる。従って、電磁安全弁22L,22Rを駆動させず、負荷の大きな電気機器を駆動させる初期電圧チェックで電池60の出力電圧が基準電圧より高ければ、電磁安全弁22L,22Rも安定して駆動させることができる。
【0025】
図3に示すように、使用者が電源スイッチ9をオン操作すると、電源回路47はマイコン51や各駆動回路に給電して、これらを起動する。そして、電源回路47は電池電圧監視回路48に電池60の電圧に応じた電圧を付与し、電池電圧監視回路48は電池60の出力電圧Vxが所定の適正電圧Vc(例えば、2.68V)よりも高い場合、すなわち、電池60の残量が十分に残っている場合、その旨を示す信号をマイコン51に出力する。
【0026】
電池60の出力電圧Vxが適正電圧Vcより高ければ、図3に示すように、マイコン51からの制御指令により、ステッピングモータ24Lを直流駆動させるとともに、スピーカ30から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させ、さらにイグナイタ33を通電駆動させて点火プラグ12L,12Rに高電圧を印加した状態で、電池電圧監視回路48で監視される電池60から付与される電池60の出力電圧Vxが所定の基準電圧Vs(2.0V)以下に低下するかどうかを判定する初期電圧チェックが実行される。
【0027】
図示しないが、初期電圧チェックで電池60の出力電圧Vxが基準電圧Vs以下であれば、コンロバーナ10L,10Rいずれかの燃焼中に、ステッピングモータ24L,24Rの駆動が不能となって流量調整弁23L,23Rの開度を調整できない可能性がある。このため、マイコン51は、電磁安全弁22L,22R及びステッピングモータ24L,24Rの駆動を禁止して、使用者に電池交換の必要性を認識させるため、スピーカ30から可聴領域の周波数の音声情報を報知させる。
【0028】
一方、初期電圧チェックで電池60の出力電圧Vxが基準電圧Vsより高ければ、モータ駆動回路44、イグナイタ駆動回路45、及びスピーカ駆動回路46への通電を遮断して、操作つまみ6L,6Rでの操作を待機する。そして、図3に示すように、例えば、使用者が操作つまみ6Lを操作して左コンロバーナ10Lの点火操作を行うと、マイコン51からの制御指令により、元弁21と電磁安全弁22Lを開弁させるとともに、ステッピングモータ24Lをパルス駆動させて流量調整弁23Lを所定の開度に開弁させる。次いで、マイコン51からの制御指令により、イグナイタ33を通電駆動させて、点火プラグ12L,12Rに高電圧を印加し、点火処理を実行する。このとき、例えば、炎検知センサ13Lで燃焼炎が検知されず、点火不良が生じた場合、使用者に点火不良を認識させるため、マイコン51からの制御指令により、スピーカ30から可聴領域の周波数の音声情報が出力される。
【0029】
また、例えば、左コンロバーナ10Lが燃焼している状態で、使用者が操作つまみ6Rを操作して右コンロバーナ10Rの点火操作を行うと、上記と同様にして、マイコン51からの制御指令により、電磁安全弁22Rの開弁、流量調整弁23Rの開弁、点火プラグ12L,12Rへの高電圧の印加が行われて、点火処理が実行される。このとき、例えば、左コンロバーナ10Lの調理の状態についてスピーカ30から所定の報知が行われる場合、マイコン51からの制御指令により、スピーカ30から可聴領域の周波数の音声情報が出力される。従って、本実施の形態のガスコンロ1では、上記状態が並行して駆動される電気機器の全てに通電された最大負荷状態となる。
【0030】
図3の左右のコンロバーナ10L,10Rの点火処理における電池60の出力電圧の変化に見られるように、ステッピングモータ24L,24Rがパルス駆動されている場合、出力のON-OFFによって電池60の出力電圧は低下と回復とを繰り返すノコギリ状の電圧波形となる。これに対して、本実施の形態の初期電圧チェックでは、ステッピングモータ24Lは直流駆動されるため、モータ駆動回路44及びステッピングモータ24Lで消費される電力は略一定であり、電池60の出力電圧の変動は小さい。また、図3に示すように、初期電圧チェックでは、ステッピングモータ24Lを直流駆動させるとともに、イグナイタ33も並行して駆動させることにより、電流値が大きくなるため、電池60の出力電圧の低下が大きくなる。また、スピーカ30から非可聴領域の周波数の音声情報で出力させても電池60の出力電圧の変動は小さい。これにより、ステッピングモータ24Lとスピーカ30とを並行して駆動させた場合でも、電池60の出力電圧を正確に検出することができる。
【0031】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、左右のコンロバーナ10L,10Rの点火前に、ガスコンロ1の運転中、並行して駆動されるいずれか一方のステッピングモータ24L,24Rとスピーカ30とイグナイタ33とを駆動させて、電池60の出力電圧を監視する初期電圧チェックが実行されるから、実際に複数の電気機器が並行して駆動されたときの電池60の出力電圧の低下を検出することができる。従って、ガスコンロ1の使用状況にあった電池60の出力電圧を検出することができる。これにより、電気機器を駆動させたときの電池60の出力電圧の低下の最大値を予測した余裕を持った基準電圧を設定する必要がなく、基準電圧を精度良く設定することができ、電池60を有効に使用することができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、初期電圧チェックにおいて、ステッピングモータ24Lを直流駆動させるとともに、スピーカ30から非可聴領域の周波数の音声情報を出力させるから、電池60の出力電圧の変動を低減できるとともに、左右のコンロバーナ10L,10Rの点火前に、不要な音声の出力を防止することができる。特に、本実施の形態では、電池60の出力電圧の低下が大きなイグナイタ33も、ステッピングモータ24Lやスピーカ30とともに並行して駆動させるから、電池60の出力電圧の変動を抑えつつ、実際の使用状況にあった電池60の出力電圧をより正確に検出することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ガスコンロ
10L,10R コンロバーナ
23L,23R 流量調整弁
24L,24R ステッピングモータ
30 スピーカ
33 イグナイタ
50 制御ユニット
60 電池
図1
図2
図3