(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063872
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230428BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173928
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】芳村 友起
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】検査作業者が検査に使用される機器の使用を失念するのを防止できる検査システムを提供する。
【解決手段】本実施の形態の検査システムSは、ダンパ(検体)Dを検査する検査装置1と、ダンパ(検体)Dの検査に使用されるとともに非検査時に待機場所3に保管される第2カメラ(機器)22の待機場所3での有無を検知する検知装置4と、検知装置4の検知結果に基づいて第2カメラ(機器)22が検査に使用されているか否かを判断し、第2カメラ(機器)22が検査に使用されていない場合には検査の実行を不能とし、第2カメラ(機器)22が検査に使用されている場合には検査の実行を可能とする制御盤(制御装置)13とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を検査する検査装置と、
前記検体の検査に使用されるとともに非検査時に待機場所に保管される機器の前記待機場所での有無を検知する検知装置と、
前記検知装置の検知結果に基づいて前記機器が検査に使用されているか否かを判断し、前記機器が検査に使用されていない場合には検査の実行を不能とし、前記機器が検査に使用されている場合には検査の実行を可能とする制御装置とを備えた
ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記検査装置による前記検査の実行後に、前記待機場所に前記機器が無い場合、前記検査装置による前記検査の終了処理を不能とする
ことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
検査作業者の操作を受け付ける検査開始ボタンを表示する操作部を備え、
前記制御装置は、前記検査装置による前記検査の実行前に、前記待機場所に前記機器が有る場合、前記検査開始ボタンの押下を不能とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
検査作業者の操作を受け付ける検査終了ボタンを表示する操作部を備え、
前記制御装置は、前記検査装置による前記検査の実行後に、前記検知装置が前記待機場所に前記機器が無い場合、前記検査終了ボタンの押下を不能とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項5】
前記機器は、前記検体或いは前記検査装置に吸着可能な永久磁石を保持しており、
前記検知装置は、前記待機場所に設置されて前記永久磁石を検知可能な磁気センサである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
免震ゴムや免震ゴムと一緒に利用されて構造物の免震に利用される油圧ダンパや、構造物の制振に利用される油圧ダンパ、粘弾性ダンパ、鋼材ダンパや摩擦ダンパの製造者は、製品性能が国土交通省大臣の認定基準や顧客要求仕様(以下、「認定基準等」という)を満たしているかを検査して、検査を通過した製品を需要者へ出荷する。また、製造者は、需要者に対する製品の出荷とともに、製品の性能が認定基準等を満たしていることを証明するための検査書を需要者に発行する。
【0003】
従来、製造者による検査書の発行業務において、検査書の改竄を難しくして製品の信頼性を高める試みとして、検査結果を記録しているデータベースから検査書に示すべき検査結果を抽出し、発行者が予め準備した署名画像情報と抽出した検査結果を含む検査書を表示させる検査書画像情報を生成し、検査書画像情報に製造品に関する索引情報を付加して得た検査書画像情報を発行する検査書発行システムの提案がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
前記提案の検査書発行システムは、検査書を画像情報として需要者へ発行するので、検査書の改竄が難しくなり、検査書の信頼性が向上する点で有用である。
【0005】
ところが、製品とともに発行される検査書が実際に検査を受けた製品の検査書ではなく他の製品の検査書であった場合には検査書の改竄が行われてはいないものの、そもそも実際に検査を受けた製品の性能を正しく示していないため、その製品が認定基準等を満足しているのか疑義が生じてしまう結果となる。
【0006】
従来の検査書発行システムでは、製品とその製品について得られた検査書とがデータベース上では紐づけされているが、製品の検査を行った際にその製品の検査で得られた検査書であることを証明するすべはなく、人為的なミスその他によって製品とその製品に紐づけされるべき検査書とが入れ違ってしまう可能性を否定できない。
【0007】
そこで、出願人は、特願2021-019430の出願において、検査装置に取り付けられた製品に付された製造番号をカメラで撮影し、カメラで得た画像データと製品を検査して得た検査書データとに証明情報を付与する処理を行うことで、検査書データとその検査書データが得られた製品とが同一であること証明する提案を行った。この提案によれば、検査書データが得られた検体と、画像データに撮影されている検体とが同一の検体であることを証明できるので、検査書データが実際に検査された検体について得られた検査書データであることを保証できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、検査時にカメラの設置を行わずに検体の検査を行ってしまうと、検査書データが得られた検体と、実際に検査に供された検体とが同一であるのか疑義が生じる結果となる。また、カメラ以外にも検体の検査に使用する機器がある場合、当該機器を使用しないで検体の検査を行った場合に正しい検査書データが得られない可能性もある。
【0010】
このように、従来の検査システムでは、検体の検査に使用される機器がある場合に、当該機器を検体の検査に使用するのを検査作業者が失念したまま、検査が行われる可能性があって、これを防止する手立てもなく、前記機器を使用せずに検査を行った場合には検査を再度やり直す必要があり2度手間となっていた。
【0011】
そこで、本発明は、検査作業者が検査に使用される機器の使用を失念するのを防止できる検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するため、本発明の検査システムは、検体を検査する検査装置と、検体の検査に使用されるとともに非検査時に待機場所に保管される機器の待機場所での有無を検知する検知装置と、検知装置の検知結果に基づいて機器が検査に使用されているか否かを判断し、機器が検査に使用されていない場合には検査の実行を不能とし、機器が検査に使用されている場合には検査の実行を可能とする制御装置とを備えている。このように構成された検査システムによれば、検体の検査に使用される機器の待機場所における有無によって、機器が適正に検査に使用されているか否かを判断し、検査の実行について可不可を制御するので、検査作業者は、検査を行えないことを以てして検査に必要な機器の使用し忘れを認知でき、検査システムによれば検査作業者に機器の使用を促すことができる。
【0013】
さらに、検査システムにおける制御装置が検査装置による検査の実行後に、検知装置が待機場所に機器が無い場合、検査装置による検査の終了処理を不能としてもよい。このように構成された検査システムによれば、検知装置で機器が検査後に待機場所に無いことを検知した場合には、機器が待機場所へ戻されないまま検査が終了されるのを防止でき、機器の戻し忘れや紛失を防止できる。さらに、機器が検査の終了後には待機場所へ戻されるから、次回の検査の際に機器の待機場所に無いことを検知装置が検知する場合、機器の待機場所から持ち出されて検査に使用されていることになり、何度検査を繰り返しても、機器が検査に使用されないまま検査が行われるのを防止できる。
【0014】
また、検査システムは、検査作業者の操作を受け付ける検査開始ボタンを表示する操作部を備え、制御装置が検査装置による検査の実行前に、検知装置が待機場所に機器が有る場合、検査開始ボタンの押下を不能としてもよい。このように構成された検査システムによれば、機器が検査に使用されていない場合に、検査の実行を阻止しうるだけでなく、検査開始ボタンの押下を不能とすることで、検査作業者に機器の使用を失念していることを知覚させることができる。
【0015】
さらに、検査システムは、検査作業者の操作を受け付ける検査終了ボタンを表示する操作部を有し、制御装置が検査装置による検査の実行後に、検知装置が待機場所に機器が無い場合、検査終了ボタンの押下を不能としてもよい。このように構成された検査システムによれば、機器が検査後に待機場所に戻されていない場合に、検査の終了処理を阻止しうるだけでなく、検査終了ボタンの押下を不能とすることで、検査作業者に機器を待機場所へ格納するのを失念していることを知覚させることができる。
【0016】
そして、検査システムにおける検知装置が待機場所に設置されて機器の存在を検知可能なセンサとされてもよい。このように構成された検査システムによれば、検査装置で検査する検体であるダンパに機器の有無を検知する検知装置を設ける必要が無いので、新たな検体を検査する毎に検体に検知装置を設置するような手間もなく、検査の準備を速やかに行える。
【0017】
また、検査システムにおける機器が検体或いは検査装置に吸着可能な永久磁石を保持しており、検知装置が待機場所に設置された磁気センサであってもよい。このように構成された検査システムによれば、機器の検体或いは検査装置への設置に使用される永久磁石を磁気センサで検知するので、永久磁石を利用して機器を検体或いは検査装置に簡単に設置できるだけでなく、磁気センサに対応する永久磁石を新たに設けることなく機器の有無の検知も行え、検査システムのコストを低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の検査システムによれば、検査作業者が検査に使用される機器の使用を失念するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施の形態における検査システムの構成の一例を示した図である。
【
図2】一実施の形態の検査システムにおける検査装置の構成の一例を示した図である。
【
図3】一実施の形態の検査システムにおける検査装置本体の一例を示した図である。
【
図4】一実施の形態の検査システムにおける検査装置の制御部の構成の一例を示した図である。
【
図5】一実施の形態の検査システムにおける検査装置の操作部の表示の一例を示した図である。
【
図6】一実施の形態の検査システムにおける検査装置の操作部の表示の他例を示した図である。
【
図7】一実施の形態の検査システムにおける撮影装置の構成の一例を示した図である。
【
図8】
図8(a)は、一実施の形態の検査システムにおける機器としての第2カメラの側面図である。
図8(b)は、一実施の形態の検査システムにおける機器としての第2カメラの正面図である。
【
図9】一実施の形態の検査システムにおけるサーバの構成の一例を示した図である。
【
図10】一実施の形態の検査システムにおける動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。
図1に示すように、一実施の形態の検査システムSは、検体を検査する検査装置1と、検体の検査に使用されるとともに非検査時に待機場所3に保管される機器としての第2カメラ22の待機場所3での有無を検知する検知装置4と、制御装置とを備えて構成されている。本実施の形態の検査システムSは、構造物の免震或いは制振に利用されるダンパDを検体として検査する。
【0021】
以下、検査システムSの各部について詳細に説明する。検査装置1は、
図2に示すように、検体としてのダンパDを保持してダンパDに振動を与える検査装置本体10と、ダンパDのストローク変位を検知するストロークセンサ11と、ダンパDが発揮する荷重を検知するロードセル12と、検査装置本体10における加振器10cを制御する制御盤13と、ダンパDに貼付された二次元コードを読み取る読取装置14とを備えて構成されている。
【0022】
検査装置本体10は、
図3に示すように、架台10aと、架台10aに設けられて
図2中左右方向へ移動可能であってダンパDの一端を保持する保持部10bと、架台10aに設けられてダンパDの他端に接続されてダンパDに振動を与える加振器10cとを備えている。
【0023】
加振器10cは、制御盤13によって制御される。制御盤13は、所定の検査条件に従って加振器10cを駆動して、ダンパDに検査条件通りの振動を与えるようになっている。本実施の形態における検体であるダンパDは、シリンダ5と、シリンダ5内に出入りするロッド6とを備えたダンパとされており、シリンダ5に対してロッド6が軸方向に変位する伸縮時に減衰力を発揮する。また、ダンパDにおけるシリンダ5には、識別情報として製造番号が刻印される他、二次元コードが記載された紙片9が貼付されている。なお、二次元コードは、ダンパDの製造番号、型式、品番等といったダンパDを識別するための識別情報を含んだ情報をコード化したものであり、前記紙片9がダンパDに貼付されることでダンパD上に表示される。識別情報は、製造される個々のダンパDを区別できる情報であって、本実施の形態の場合、製造番号とされている。なお、識別情報は、個々のダンパDを区別可能な態様で製造番号の他に付与される識別記号や識別番号であってもよい。
【0024】
なお、識別情報は、検体であるダンパDから簡単には取り外しできない態様でダンパDに付してあればよく、ダンパDのシリンダ5に貼付される紙片9に加えてシリンダ5に刻印によって付されてもよい。紙片9に加えて刻印によって識別情報がダンパDに付される場合、複数個所に識別情報が表示されるので、紙片9と刻印の一方が視認しにくくなっても他方で識別情報を読み取ることができ、好適である。
【0025】
検査装置1は、検体であるテレスコピック型のダンパDが加振器10cによって加振された際に発生する減衰力の特性を検査するため、ダンパDのストローク変位を検知するストロークセンサ11と、減衰力を検知するロードセル12とを備える他、検査装置1の設置個所の気温を検知する温度センサ15およびダンパDの温度を検知する温度センサ16を備えている。
【0026】
ストロークセンサ11は、ダンパDのシリンダ5に対するロッド6の変位であるストローク変位を検知して制御盤13へ入力する。ロードセル12は、ダンパDと保持部10bとの間に介装されており、ダンパDから受ける荷重を検知して制御盤13へ入力する。ロードセル12が検知した荷重は、ダンパDが伸縮した際に発揮する減衰力である。温度センサ15は、検知した検査装置1の設置個所における気温を制御盤13へ入力する他、図示しない表示部を備えていて検知した温度を表示部に表示する。また、温度センサ16は、検知したダンパDの温度を制御盤13へ入力する他、図示しない表示部を備えていて検知した温度を表示部に表示する。なお、ダンパDのストローク速度を検知したい場合には、制御盤13でストローク変位を微分してもよい。また、ダンパDのストローク変位、減衰力以外に検知したい検査データに含めたい情報がある場合、その情報の検知に対応するセンサを設ければよく、当該情報を検査データに含めればよい。
【0027】
制御盤13は、
図2に示すように、検査装置本体10の加振器10cを制御するための制御部13aと、インターフェース13bと、検査作業者による操作を受け付けるための操作部13cとを備えており、本実施の形態では、検知装置4の検知結果に基づいて検査装置1を制御する制御装置として機能する。制御装置は、機器としての第2カメラ22が検査に使用されているか否かを判断し、第2カメラ22が検査に使用されていない場合には検査の実行を不能とし、第2カメラ22が検査に使用されている場合には検査の実行を可能とする。このように、本実施の形態の検査システムSでは、制御装置は、検査装置1における制御盤13に集約されてているが、制御盤13とは独立して設けられてもよい。
【0028】
制御部13aは、
図4に示すように、加振器10cを制御するとともに検査データの生成と、制御装置としての処理を行うためのプログラムを記憶する記憶装置13a1と、前記プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置13a2と、時刻をカウントするクロック13a3と、演算処理装置13a2からの指示によって加振器1cを駆動する駆動回路13a4とを備えている。そして、制御部13aは、ダンパDの検査時にダンパDに与える振動を決定するパラメータにしたがって加振器10cを駆動する。インターフェース13bは、制御盤13に通信可能に接続されるストロークセンサ11、ロードセル12、温度センサ15,16、読取装置14および時刻同期サーバ8と制御部13aとの間で信号のやり取りを行うとともに、
図2に示すように、インターネット回線Nを介して外部に設置されているサーバ7と制御部13aとの間で情報を交換できるように通信プロトコルに従って通信される情報を変換する。また、操作部13cは、
図5および
図6に示すように、検査開始ボタン13c2および検査終了ボタン13c3を表示する表示装置13c1を備えている。表示装置13c1は、タッチパネルディスプレイとされており、タッチパネルディスプレイに検査開始ボタン13c2および検査終了ボタン13c3を表示させる。また、表示装置13c1が検査開始ボタン13c2および検査終了ボタン13c3の表示範囲に対する検査作業者による押圧を感知すると、制御部13aは、検査開始ボタン13c2および検査終了ボタン13c3の押し下げがあったことを認識する。なお、操作部13cにおける表示装置13c1は、検査開始ボタン13c2および検査終了ボタン13c3の他に検体であるダンパDの識別情報等の検査に関する情報を表示してもよい。また、操作部13cは、制御盤(制御装置)13との通信が可能であって操作部として機能できれば、制御盤(制御装置)13からハードウェアとして独立した携帯端末、タブレット端末、スマートフォン等とされてもよい。
【0029】
このように検査装置1における制御盤13は、インターネット回線Nを介してサーバ7と通信可能に接続されている。なお、制御盤13は、LAN(Local Area Network)等のネットワークLを通じて時刻同期サーバ8、検知装置4および後述する機器としての第2カメラ22を備えた撮影装置20と接続されて情報をやり取りできる。
【0030】
制御部13aは、検査装置1によるダンパDの検査中は継続して、ストロークセンサ11が検知したストローク変位の値とロードセル12が検知したダンパDの減衰力の値を所定のサンプリング周期で読み込んで順次記憶し、それまでに記憶した値をフィールドに記述したCSVファイルを生成する。より詳細には、制御部13aは、たとえば、フィールドを検査年月日、検査時刻、気温、検査対象であるダンパDの製造番号、型式、品番といった情報、検査中に取得されたストローク変位および減衰力でなる検査データ等のレコードを記述したCSVファイルを生成する。なお、検査データは、一回の加振検査毎に生成され、CSVファイルには検査中に得られた前記値がすべて記録される。よって、たとえば、ダンパDに5回の正弦波振動を与える振動パターンで3回加振検査が行われる場合、3つのCSVファイルが生成される。なお、検査結果である検査データは、CSVファイル以外の形式のファイルとして生成されてもよい。
【0031】
検査装置1は、ダンパDの検査を開始するにあたって、制御部13aが予め記憶装置13a1に記憶されたデータベースDBにアクセスし、データベースDBに登録されたダンパDに関連付けされた検査条件を読み込んで検査条件通りに加振器10cを駆動制御することによって、ダンパDを検査する。
【0032】
具体的には、制御盤13は、読取装置14で読み取ったダンパDの情報からデータベースDBにアクセスして、データベースDBを参照してダンパDに関連付けされた検査条件を読み込む。検査条件は、ダンパDに与える振動の周波数、振幅、振動波形等、検査装置本体10がダンパDを検査するのに指定が必要なパラメータで構成される。制御盤13は、パラメータの設定を完了すると操作部13cに設けられた表示装置13c1に表示されている検査開始ボタン13c2の検査作業者による押下をトリガとして加振器10cを駆動してダンパDに振動を与える。制御盤13は、ダンパDの検査に当たり、加振器10cを制御しダンパDに検査条件通りの振動を与える。
【0033】
なお、詳しくは後述するが、制御盤13は、検知装置4が機器としての第2カメラ22が待機場所3にあることを検知している場合、
図6に示すように、表示装置13c1の検査開始ボタン13c2を表示する範囲に第1警告表示13c4を表示させて検査開始ボタン13c2の検査作業者による押下を不能な状態にして、検査装置1がダンパDの検査を実行できないように制御する。
【0034】
読取装置14は、本実施の形態では、二次元コードを撮影した画像を画像処理してダンパDの識別情報を含むテキストデータに変換するデコードを行う装置であって、読み取ったダンパDの識別情報を制御盤13に入力する。制御盤13は、識別情報を受け取ると、データベースDBにアクセスし、データベースDBを参照して読取装置14から受け取ったダンパDの情報に関連付けされている検査条件を抽出し、検査条件を読み込む。
【0035】
また、本実施の形態の検査システムSにおける検査装置1では、制御盤13は、ダンパDの検査を行うに際して、検査作業者の操作部13cの操作によるダンパDの検査条件の入力を受け付けない。よって、読取装置14によるダンパDの識別情報の読み取りが行われた後は自動的にデータベースDBに登録された検査条件に基づいたパラメータの設定が制御盤13によって行われ、検査が終わるまでは検査装置1の検査作業者による検査条件の変更が行えない状態となる。
【0036】
なお、データベースDBは、記憶装置13a1ではなく外部の図示しないサーバ或いはサーバ7に格納されてもよく、制御盤13が都度図示しない前記サーバ或いはサーバ7へアクセスして検査条件をダウンロードして検査を実行してもよい。また、本実施の形態の検査装置1では、二次元コードを読取装置14で読み取って検査を実行するようにしているが、このような態様に代えて、検査条件を検査作業者の制御盤13の操作によってインプットできるようにしておき、ダンパDの検査を行う度に検査条件を検査作業者が設定してダンパDの検査を行ってもよい。
【0037】
検査作業者は、検査装置1によるダンパDの検査が終了すると、表示装置13c1に表示されている検査終了ボタン13c3を押下して、制御盤13に検査書データK1の生成と証明情報の付与を行う処理を実行するよう指令を与える。制御部13aは、検査終了ボタン13c3の押下をトリガとして、検査年月日、検査時刻といった諸情報と、検体であるダンパDの製造番号、型式、品番といったダンパDの属性を示す情報と、ダンパDを検査して得られる検査データを解析処理して検査結果のグラフ、減衰力の最大値および最小値、検査の合否判定等を所定のフォーマットで表示して検査結果情報とを表示する検査書を画像ファイルとした検査書データK1を生成する。
【0038】
さらに、制御部13aは、生成された検査書データK1の画像中に当該検査書データK1を処理する際の時刻を証明情報として表示されるように時刻を検査書データK1に付与する。具体的には、制御部13aは、前記検査終了ボタン13c3の押下をトリガとして、クロック13a3が出力する時刻を読み込んで、この時刻を証明情報として検査書データK1へ付与する。このように、制御盤13は、制御部13aによるソフトウェアの実行によって検査書データK1へ証明情報を付与する処理を行う。
【0039】
なお、制御部13aは、検査書データK1への証明情報の付与にあたっては、画像中への時刻の表示に代えて、或いは、加えて、検査書データK1のファイル名の一部を時刻とするようにしてもよい。制御部13aは、検査データから検査書データK1を生成する処理の過程に証明情報を付与する処理を行って、検査書データK1の生成処理の終了と同時、或いは、終了前に証明情報を付与する処理を終了してもよい。
【0040】
なお、制御部13aは、所定の周期毎に外部に設けられて時刻をカウントする時刻同期サーバ8から時刻情報を得て、クロック13a3の時刻を時刻同期サーバ8から得た時刻に修正して時刻同期サーバ8の時刻に同期させる。所定の周期は、本実施の形態では、1時間とされているが、任意の周期に変更できる。
【0041】
そして、制御盤13は、サーバ7とインターネット回線Nを介して通信可能に接続されており、証明情報が付与された検査書データK1をサーバ7に送信する。なお、制御盤13は、検査書データK1に加えて検査データであるCSVファイルをサーバ7へ送信してもよい。
【0042】
なお、詳しくは後述するが、制御盤13は、検知装置4が機器としての第2カメラ22が待機場所3にあることを検知していない場合、つまり、第2カメラ22を待機場所3にて検知しない場合、
図5に示すように、表示装置13c1の検査終了ボタン13c3を表示する範囲に第2警告表示13c5を表示させて検査終了ボタン13c3の検査作業者による押下を不能な状態にして、検査装置1が検査書データの生成等の処理を行えないように制御する。
【0043】
つづいて、撮影装置20は、
図7に示すように、ダンパDが保持部1bと加振器1cとに取り付けられた状態における検査装置1と検体であるダンパDとを撮影可能な第1カメラ21と、ダンパDのシリンダ5に刻印された製造番号を撮影可能な機器としての第2カメラ22と、これら第1カメラ21および第2カメラ22とを制御するカメラ制御装置23とを備えている。
【0044】
第1カメラ21は、ダンパDとダンパDを保持した状態の検査装置1とを撮影範囲に収める位置に予め設置されており、カメラ制御装置23によって動作が制御されている。第2カメラ22は、非検査時には予め決められた待機場所3に保管されるとともに、検査時には待機場所3から移動させられてシリンダ5に刻印された製造番号を撮影範囲に収めるようにダンパDのシリンダ5上に設置され、カメラ制御装置23によって動作が制御される。なお、第2カメラ22は、撮影した画像中でダンパDの製造番号を検査作業者が視認できるようにダンパDに設置される。
【0045】
第2カメラ22は、
図8に示すように、カメラ本体30と、カメラ本体30を支持する台座31とを備えている。台座31は、カメラ本体30を保持するブラケット31aと、ブラケット31aから下方へ延びる一対の脚部31bとを備えている。
【0046】
カメラ本体30は、下端に図示しない撮影用のレンズを備えている。台座31におけるブラケット31aは、本実施の形態では、矩形であって中央にカメラ本体30の下端の外周を保持する環状の保持部31a1を備えており、保持部31a1の内側にはブラケット31aの肉厚を貫通する孔31a2が設けられている。よって、台座31におけるブラケット31aに保持されたカメラ本体30は、保持部31a1の内側の孔31a2を介してブラケット31aに邪魔されずにカメラ本体30の下方を撮影できる。
【0047】
また、各脚部31bは、それぞれ、底辺と底辺の両端からそれぞれ立ち上がるとともに先端がブラケット31aの角部に接続される長さの異なる一対の支持辺とを備えており、ブラケット31aを後に傾いた姿勢で支持している。そして、台座31を水平な平面に載置すると、カメラ本体30は、下方であって台座31よりも前方を撮影範囲に収めるように傾いた姿勢で支持される。
【0048】
よって、各脚部31bの下端をダンパDにおけるシリンダ5に当接させて台座31をダンパDに載置すると、カメラ本体30の下方であって台座31よりも前方を撮影範囲に収めるようにダンパDに設置される。
【0049】
なお、各脚部31bの下端には、それぞれ永久磁石31cが埋め込まれており、台座31は、永久磁石31cを鉄製のシリンダ5に吸着させて第2カメラ22をシリンダ5上に設置できるようになっている。第2カメラ22が前述のように構成されているので、シリンダ5に表示される製造番号を撮影が可能な箇所に簡単に第2カメラ22を設置できる。ブラケット31aが脚部31bによって傾いた姿勢で支持されており、カメラ本体30がカメラ本体30の下方であって台座31よりも前方を撮影範囲に収めるようになっているので、製造番号の撮影に際して製造番号が第2カメラ22自身の影に入るような事態を避け得るので、製造番号を鮮明に撮影できる。前述した台座31の構造は、一例であって、ダンパDにカメラ本体30を設置できる限りにおいて任意に設計変更できる。よって、台座31は、シリンダ5に着脱できればよいので、永久磁石31c以外にも粘着シートを利用してシリンダ5への設置を実現してもよい。
【0050】
待機場所3は、検査装置1における検査を行わない場合に、第2カメラ22を保管しておく場所であって、検査装置1の近くに設けられている。待機場所3には、
図1に示したように、台座31の前記脚部31bの下端を収容する収容枠32が設けられている。収容枠32は、詳しくは図示しないが、脚部31bを取り囲む矩形の枠とされており、内周に検知装置4が設けられている。検知装置4は、本実施の形態では、台座31の脚部31bの下端に設けられた永久磁石31cを検知する磁気センサとされており、収容枠32内に挿入された台座31の脚部31bにおける永久磁石31cの磁気の検知によって、待機場所3における機器としての第2カメラ22の有無を検知する。
【0051】
検知装置4は、具体的には、第2カメラ22が待機場所3にある場合には、ハイ信号を制御盤13へ出力し、第2カメラ22が待機場所3にない場合には、ロー信号を制御盤13へ出力する。なお、検知装置4は、第2カメラ22が待機場所3にある場合には、ロー信号を制御盤13へ出力し、第2カメラ22が待機場所3にない場合には、ハイ信号を制御盤13へ出力してもよい。また、検知装置4は、磁気センサ以外にも台座31の有無を検知可能なセンサやスイッチであればよく、たとえば、誘導形近接スイッチ、静電容量形近接スイッチ、超音波形近接スイッチ、光電形近接スイッチ等の非接触型のスイッチであってもよいし、可動部を持ち台座31に接触することで第2カメラ22の存在の有無を検知するスイッチであれば、マイクロスイッチやリミットスイッチ等とされてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、第2カメラ22が永久磁石31cを備えており、検知装置4が磁気を検知する磁気センサであるので、永久磁石31cを利用して、第2カメラ22をシリンダ5に簡単に設置できるだけでなく機器としての第2カメラ22の有無の検知も行える利点があり、検査システムSのコストも安価となる。
【0053】
そして、検査装置1によるダンパDの検査前に、つまり、前回行った検査が終了した後に新たにダンパDの検査を実行する前に、検査開始ボタン13c2の押下の無い状態で、検知装置4が機器としての第2カメラ22が待機場所3に存在していることを検知している場合、制御装置としての制御盤13は、機器としての第2カメラが検査に使用されていないと判断して、検査作業者の検査開始ボタン13c2の押下を不能とするべく、操作部13cにおける表示装置13c1上の検査開始ボタン13c2の表示範囲に第1警告表示13c4を表示させる。検査装置1でダンパDを検査する場合、第2カメラ22がダンパDの製造番号を撮影できるようにシリンダ5に設置されていなくてはならない。ところが、ダンパDの検査を実行する直前に第2カメラ22が待機場所3にあることを検知装置4が検知している場合、ダンパDの製造番号を撮影できない状態となっている。したがって、制御盤13は、検査作業者が第2カメラ22の設置を失念していると判断し、制御盤13は、検査作業者の検査開始ボタン13c2の押下を不能とするべく、操作部13cにおける表示装置13c1上の検査開始ボタン13c2の表示範囲に第1警告表示13c4を表示させる。第1警告表示13c4は、検査開始ボタン13c2の全体をマスクするとともに、「カメラを設置して下さい」との警告文を含んでおり、この状態では、検査作業者は、検査開始ボタン13c2の押下ができず、第2カメラ22の設置が行われていないことを認知できる。この第1警告表示13c4を視認した検査作業者が第2カメラ22を待機場所3から移動させれば、第2カメラ22が待機場所3から移動したことを検知装置4が検知し、制御盤13は、検知装置4から第2カメラ22が待機場所3にないことを示す信号を受け取る。制御装置としての制御盤13は、第2カメラ22が待機場所3にないことをもって、機器としての第2カメラ22が検査に使用されていると判断し、検査作業者が第2カメラ22をダンパDに対して製造番号を撮影できる位置に設置したと認識する。この場合、制御装置としての制御盤13は、操作部13cにおける表示装置13c1に第1警告表示13c4に代えて検査開始ボタン13c2を表示させる制御処理を行って、検査作業者における検査開始ボタン13c2の押下を可能とする。制御盤13は、第2カメラ22が待機場所3にない場合、操作部13cに検査開始ボタン13c2を表示させて待機し、検査作業者の検査開始ボタン13c2の押し下げが行われると、前述した通り検査装置1によるにダンパDの検査を実行する。
【0054】
つづいて、検査装置1によるダンパDの新たな検査を実行した後、つまり、検査開始ボタン13c2が押下されて検査が実行された後に検査終了ボタン13c3の押下の無い状態で、検知装置4が機器としての第2カメラ22が待機場所3に存在していないことを検知している場合、制御盤13は、検査作業者の検査終了ボタン13c3の押下を不能とするべく、操作部13cにおける表示装置13c1上の検査終了ボタン13c3の表示範囲に第2警告表示13c5を表示させる。検査装置1でダンパDを検査した後は、第2カメラ22がダンパDから取り外されて待機場所3に戻されなくてはならない。ところが、ダンパDの検査の実行後も第2カメラ22が待機場所3にないことを検知装置4が検知している場合、第2カメラ22がダンパDに設置されたままの状態となっている。したがって、制御盤13は、検査作業者が第2カメラ22を待機場所3へ戻すのを失念していると判断し、制御盤13は、検査作業者の検査終了ボタン13c3の押下を不能とするべく、操作部13cにおける表示装置13c1上の検査終了ボタン13c3の表示範囲に第2警告表示13c5を表示させる。第2警告表示13c5は、検査終了ボタン13c3の全体をマスクするとともに、「カメラを待機場所へ戻して下さい」との警告文を含んでおり、この状態では、検査作業者は、検査終了ボタン13c3の押下ができず、第2カメラ22を待機場所3へ戻していないことを認知できる。この第2警告表示13c5を視認した検査作業者が第2カメラ22をダンパDから待機場所3へ移動させれば、第2カメラ22が待機場所3へ戻されたことを検知装置4が検知し、制御盤13は、検知装置4から第2カメラ22が待機場所3にあることを示す信号を受け取る。制御盤13は、第2カメラ22が待機場所3にあることをもって、検査作業者が第2カメラ22を待機場所3に戻したと認識し、操作部13cにおける表示装置13c1に第2警告表示13c5に代えて検査終了ボタン13c3を表示させる制御処理を行って、検査作業者における検査終了ボタン13c3の押下を可能とする。制御盤13は、第2カメラ22が待機場所3にある場合、操作部13cに検査終了ボタン13c3を表示させて検査終了ボタン13c3の押下を待つ。
【0055】
このように本実施の形態における検査システムSでは、機器としての第2カメラ22の待機場所3における有無を検知装置4が検知するようにしているので、検査装置1で検査する検体であるダンパDに第2カメラ22の有無を検知する検知装置を設ける必要が無いので、新たなダンパDを検査する毎に検体に検知装置4を設置するような手間もなく、検査の準備を速やかに行える。また、検査の実行前には、第2カメラ22が待機場所3にある場合には検査を行えず、検査の実行後には、第2カメラ22が待機場所3にない場合には検査の終了処理を行えないので、検査の終了後は必ず第2カメラ22が待機場所3に保管されている状態となり、第2カメラ22の戻し忘れや紛失を防止できる。
【0056】
戻って、カメラ制御装置23は、
図7に示すように、第1カメラ21および第2カメラ22を制御するとともに画像データの生成と、証明情報の付与等の処理を行うためのプログラムを記憶する記憶装置23aと、前記プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置23bと、時刻をカウントするクロック23cと、第1カメラ21および第2カメラ22と検査装置1における制御盤13およびサーバ7とのデータのやり取りを行うためのインターフェース23dとを備えている。カメラ制御装置23は、ネットワークLを通じて制御盤13および時刻同期サーバ8と通信可能に接続されている。
【0057】
演算処理装置23bは、検査装置1における制御盤13の操作部13cの前記検査開始ボタン13c2が検査作業者によって押下されると、これをトリガとして第1カメラ21と第2カメラ22とを制御するプログラムを実行し、第1カメラ21および第2カメラ22へ撮影を指示する撮影指令を生成して出力する。第1カメラ21は、カメラ制御装置23からの指令を受けてダンパDおよび検査装置1とを撮影し、第2カメラ22は、ダンパDの識別情報である製造番号を撮影する。
【0058】
インターフェース23dは、第1カメラ21、第2カメラ22、制御盤13および時刻同期サーバ8とカメラ制御装置23との間で信号のやり取りを行うとともに、
図1に示すように、外部に設置されているサーバ7とインターネット回線Nを介してカメラ制御装置23との間で情報を交換できるようにプロトコルに従って通信される情報を変換する。このように撮影装置20におけるカメラ制御装置23は、インターネット回線Nを介してサーバ7と通信可能に接続されている。
【0059】
以上より、検査作業者による操作部13cの検査開始ボタン13c2の押下があると、制御盤13は、カメラ制御装置23に撮影を指示する制御指令を送信する。カメラ制御装置23は、前記制御指令を受け取ると、第1カメラ21と第2カメラ22とにそれぞれ撮影を指示する撮影指令を与える。第1カメラ21と第2カメラ22は、前記撮影指令の入力を受け付けるとそれぞれの撮影を行って、ダンパDと検査装置1とを撮影した画像を第1画像データK2とし、製造番号を撮影した画像を第2画像データK3として生成してカメラ制御装置23へ送信する。他方、制御盤13は、検査装置1における加振器10cを制御してダンパDに振動を与えつつ前記検査データを収集する。
【0060】
つづいて、検査作業者は、検査装置1によるダンパDの検査が終了すると、操作部13cの前記検査終了ボタン13c3を押下して、検査を終了する。検査作業者による操作部13cの検査終了ボタン13c3の押下があると、制御盤13は、カメラ制御装置23に証明情報を付与する処理の実行を指示する制御指令を送信する。すると、カメラ制御装置23は、第1カメラ21からの第1画像データK2と第2画像データK3との画像中にそれぞれ検査終了時の時刻を証明情報として表示する処理を行う。具体的には、演算処理装置23bは、前記検査終了ボタン13c3の押下をトリガとして、クロック23cが出力する時刻を読み込んで、この時刻を証明情報として第1画像データK2と第2画像データK3へ付与する処理を実行する。これとは別に、制御盤13は、操作部13cの前記検査終了ボタン13c3の押下をトリガとして、検査書データK1の生成と証明情報の付与を行う処理を実行する。
【0061】
なお、カメラ制御装置23は、第1画像データK2と第2画像データK3への証明情報の付与にあたっては、画像中への時刻の表示に代えて、或いは、加えて、第1画像データK2と第2画像データK3のファイル名の一部を時刻とするようにしてもよい。
【0062】
なお、第1カメラ21と第2カメラ22が画像データを処理する処理部を備えている場合、カメラ制御装置23の第1画像データK2に証明情報を付与する処理を第1カメラ21の処理部に肩代わりさせるとともに、カメラ制御装置23の第2画像データK3に証明情報を付与する処理を第2カメラ22の処理部に肩代わりさせてもよい。なお、第1カメラ21と第2カメラ22に証明情報を付与する処理を行わせる場合、第1カメラ21と第2カメラ22とにクロックを設けて証明情報としての付与する時刻をカウントさせればよい。
【0063】
なお、カメラ制御装置23は、所定の周期毎に外部に設けられて時刻をカウントする時刻同期サーバ8から時刻情報を得て、クロック23cの時刻を時刻同期サーバ8から得た時刻に修正する。カメラ制御装置23は、本実施の形態では、検査装置1における制御盤13がクロック13a3の時刻を時刻同期サーバ8の時刻と同期させるタイミングと同じタイミングでクロック23cの時刻を同期させる。この場合、たとえば、制御盤13とカメラ制御装置23の一方が時刻同期サーバ8の時刻を読み込むタイミングで制御盤13とカメラ制御装置23の他方へ時刻同期サーバ8の時刻を読み込むように指令を送るようにすればよい。なお、制御盤13とカメラ制御装置23とは、異なるタイミングでクロック13a3,23cの時刻を時刻同期サーバ8の時刻と同期させてもよい。また、所定の周期は、前述のように、1時間とされているが、任意の周期に変更できる。前述したところでは、制御盤13およびカメラ制御装置23は、時刻同期サーバ8から時刻情報を得て時刻の同期を行っているが、時刻同期サーバ8に代えて標準周波数報時電波を受信して時刻を正確に保つ電波時計から時刻情報を得て時刻の同期を行ってもよい。
【0064】
そして、カメラ制御装置23は、サーバ7とインターネット回線Nを介して通信可能に接続されており、証明情報が付与された第1画像データK2と第2画像データK3とをサーバ7に送信する。なお、撮影装置20におけるカメラ制御装置23を制御盤13に統合して、制御盤13がカメラ制御装置23としても機能し得るように構成されてもよい。
【0065】
時刻同期サーバ8は、時刻をカウントして、制御盤13およびカメラ制御装置23からの時刻情報の送信要求があった場合に時刻情報を制御盤13およびカメラ制御装置23へ送信するものである。時刻同期サーバ8は、インターネット回線Nを介して制御盤13およびカメラ制御装置23とデータのやり取りを行ってもよい。
【0066】
つづいて、サーバ7は、
図9に示すように、コンピュータシステムであり、演算処理装置7aと、サーバ7の制御に必要なプログラムを記憶するとともに演算処理装置7aにおける処理に必要な記憶領域を提供する記憶装置7bと、制御盤13およびカメラ制御装置23との通信を可能とするインターフェース7cと、キーボードやマウスといった入力装置7dと、表示装置7eと、これら装置を互いに通信可能に接続するバス7fとを備えている。演算処理装置7aのプログラムの実行によってサーバ7の各部が制御され、サーバ7は、検査装置1における制御盤13、カメラ制御装置23および後述する端末41,42,43と情報のやり取りを行う。
【0067】
演算処理装置7aは、演算処理を行うCPU等であって、オペレーティングシステムおよび他のプログラムの実行によってサーバ7の各部の制御を行う。記憶装置7bは、ROMおよびRAMを備える他、ハードディスクを備えている。また、記憶装置7bは、制御盤13から送信される検査書データK1、カメラ制御装置23から送信される第1画像データK2および第2画像データK3とを記憶する。なお、サーバ7は、磁気ディスク、光学ディスク等の記憶媒体と記憶媒体のデータを読み書き可能なドライブとでなる補助記憶装置や、半導体メモリを備えていてもよい。インターフェース7cは、制御盤13およびカメラ制御装置23との間で情報を交換できるように、プロトコルに従って通信される情報を変換する。表示装置7eは、演算処理装置7aが処理したデータ等を表示する画面を備えており、たとえば、液晶ディスプレイ等である。また、サーバ7は、サーバとして機能するために必要なオペレーションシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶装置7bに記憶している。
【0068】
サーバ7は、制御盤13およびカメラ制御装置23とデータのやり取りを行う。サーバ7は、制御盤13から送信される検査書データK1とカメラ制御装置23から送信される第1画像データK2と第2画像データK3とで構成される画像データを受け取ると、これら検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を記憶装置7bに記憶させる。その際にサーバ7は、ダンパDの検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を1つのフォルダに格納する。検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3は、操作部13cにおける検査終了ボタン13c3の押下をトリガとして生成されサーバ7に時間的に然程間隔を開けずに送信されるため、サーバ7は、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3の3つのデータを受信するとフォルダを作成して検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を作成したフォルダに格納すればよい。サーバ7は、制御盤13からは検査書データK1以外にもダンパDの製造番号の情報を受信し、フォルダの作成に当たってはフォルダ名にダンパDの製造番号を付与する。
【0069】
なお、制御盤13およびカメラ制御装置23が検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3のファイル名に必ず製造番号を付与するなど、同一のダンパDを対象としたファイルであることを認識可能な情報をファイル名に付す場合、サーバ7はファイル名を参照して同一のダンパDの検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を抽出して1つのフォルダに格納すればよい。この場合、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3のファイル名に同一のダンパDを対象としたファイルであることを認識可能な情報を付せるように、制御盤13で読み取った製造番号の情報をカメラ制御装置23へ送信してカメラ制御装置23でも製造番号を認識させるとよい。
【0070】
なお、サーバ7は、製造番号と納品先の顧客とが関連付けされたデータベースを保有している場合、或いは、制御盤13から製造番号ともに顧客の情報も入手できる場合、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を格納したフォルダを顧客専用のフォルダ内に作成するようにしてもよい。
【0071】
また、サーバ7は、製造番号とダンパDの監査機関とが関連付けされたデータベースを保有している場合、或いは、制御盤13から製造番号ともに監査機関の情報も入手できる場合、顧客毎にフォルダを作成することに加え、或いは、これに替えて、検査書データK1を監査する監査機関毎にフォルダを作成して、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を格納したフォルダを監査機関毎のフォルダに振り分けて保存してもよい。このように、サーバ7は、検査書データK1の振り分けルールに応じて、当該ルールに適するフォルダを作成して、検査書データK1を格納したフォルダを上位のフォルダに振り分けて保存してもよい。なお、検査書データK1の振り分けルールを設定しない場合、サーバ7は、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を単に記憶装置7bに記憶させるだけでもよい。
【0072】
サーバ7は、インターネット回線Nを通じて製造者端末41、顧客端末42および監査機関端末43からアクセス要求を受け取ると、IDとパスワードの入力を要求する。サーバ7は、前記端末からIDとパスワードの入力を受け付けると、IDとパスワードとが関連付けされたデータベースを参照し、IDとパスワードとの組み合わせが正しい場合、データベースに登録された権限の範囲でサーバ7に格納されている検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3へのアクセスと操作を受け付ける。
【0073】
以上のように、検査システムSは、以上のように動作して、ダンパDの検査書データK1、ダンパDとともに検査装置1を撮影した第1画像データK2およびダンパDの識別情報を撮影した第2画像データK3に証明情報を付与してサーバ7へ送信して、サーバ7に検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を記憶させる。サーバ7に格納された検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3は、製造者端末41、顧客端末42、監査機関端末43および任意の端末から閲覧可能となる。
【0074】
以下、
図10に示したフローチャートを用いて検査システムSの動作を説明する。検査装置1の検査作業者は、検査装置1にて検体であるダンパDの検査に備え、検体であるダンパDを検査装置本体10の保持部10bと加振器10cとに介装しておく。
【0075】
検査装置1へのダンパDの取り付け作業の完了の後、検査作業者が読取装置14でダンパDに貼付された二次元コードを読み取ると、読取装置14で読み取ったダンパDの情報が制御盤13に入力される(ステップF1)。なお、検査装置1の検査作業者は、読取装置14でダンパDの識別情報を読み取る作業を行った後で、検体であるダンパDを検査装置本体10の保持部10bと加振器10cとに介装してもよい。
【0076】
制御盤13は、ダンパDの識別情報が入力されると、データベースDBへアクセスして、識別情報に関連付けされた検査条件を抽出する(ステップF2)。
【0077】
なお、検査条件が記録されるデータベースDBがサーバ7に格納されている場合、制御盤13は、識別情報の入力によってサーバ7へ識別情報を送信してサーバ7に検査条件を要求してもよい。この場合、サーバ7は、識別情報の入力によってデータベースDBを参照して入力された識別情報に基づいてこれに関連付けられた検査条件を抽出して制御盤13へ検査条件を送信すればよい。
【0078】
制御盤13は、識別情報に関連付けられた検査条件を入手できたか判断し(ステップF3)、検査条件を入手できた場合には、ダンパDの検査に必要なパラメータを得られた検査条件が指定するパラメータの値に設定する(ステップF4)。
【0079】
他方、制御盤13は、識別情報に関連付けられた検査条件がデータベースDBに登録されておらず検査条件を入手できない場合、ダンパDの検査を行うことなく処理を終了する。
【0080】
制御装置としての制御盤13は、入手した検査条件に基づいてダンパDの検査に必要なパラメータの設定が完了すると、機器としての第2カメラ22が待機場所3にあるか否かの判断を検知装置4から入力される信号によって行う(ステップF5)。前述したように、検知装置4が待機場所にて第2カメラ22の存在を検知している場合、制御装置としての制御盤13は、第2カメラ22が検査に使用されていないと判断し、検知装置4が待機場所にて第2カメラ22の存在を検知していない場合、制御装置としての制御盤13は、第2カメラ22が検査に使用されていると判断する。
【0081】
第2カメラ22が待機場所3にある場合には、第2カメラ22が検査に使用されていないので、制御盤13は、操作部13cにおける表示装置13c1の検査開始ボタン13c2の表示範囲に第1警告表示13c4を表示させ、検査作業者の検査開始ボタン13c2の押下をできなくし(ステップF6)、ステップF5の処理に戻る。
【0082】
第2カメラ22が待機場所3にない場合には、第2カメラ22が検査に使用されているので、制御盤13は、操作部13cにおける表示装置13c1に検査開始ボタン13c2を表示させ、検査作業者の検査開始ボタン13c2の押下による検査実行指示を待つ(ステップF7)。検査作業者の前記検査開始ボタン13c2の押下による信号が入力されると、制御盤13は、カメラ制御装置23へ画像データの生成を指示する制御指令を出力し、カメラ制御装置23は、加振器10cの駆動に先んじて第1カメラ21および第2カメラ22を駆動して被写体であるダンパDおよび検査装置1と、ダンパDの識別情報とを撮影し、画像データとしての第1画像データK2および第2画像データK3を生成する(ステップF8)。
【0083】
つづいて、制御盤13は、ダンパDの検査条件にしたがってダンパDへ振動を与えて、ストロークセンサ11とロードセル12が検知したデータを順次取り込んで記憶し、検査が終了すると検査データの値がフィールドに記述されたCSVファイルを検査データとして生成する(ステップF9)。なお、制御盤13は、ダンパDの検査にあたって、温度センサ15,16が検知した温度についても取り込んで、CSVファイルのフィールドに記述する。また、検査条件が振動パターンを複数回に亘ってダンパDに与えることを指示している場合、検査装置1は、ダンパDを指示する回数の加振を行って、ストロークセンサ11とロードセル12が検知した値をフィールドに記述したCSVファイルを検査データとして生成する。
【0084】
制御盤13は、ダンパDへ予め設定された回数振動を与えた後、加振器10cを停止させる。その後、制御盤13は、機器としての第2カメラ22が待機場所3にあるか否かの判定を検知装置4から入力される信号によって行う(ステップF10)。
【0085】
第2カメラ22が待機場所3にない場合には、制御盤13は、操作部13cにおける表示装置13c1の検査終了ボタン13c3の表示範囲に第2警告表示13c5を表示させ、検査作業者の検査終了ボタン13c3の押下をできなくし(ステップF11)、ステップF10の処理に戻る。
【0086】
他方、第2カメラ22が待機場所3にある場合には、制御盤13は、操作部13cにおける表示装置13c1に検査終了ボタン13c3を表示させ、検査作業者の検査終了ボタン13c3の押下による検査終了指示を待つ(ステップF12)。
【0087】
検査システムSでは、検査作業者の制御盤13に設けられた前記検査終了ボタン13c3の押下による信号入力を検査書データ作成指示としており、検査作業者の検査終了ボタン13c3の押下による信号の入力によって、制御盤13は、検査データを解析処理して検査書データK1を生成するとともに検査書データK1に証明情報を付与する処理を実行するとともに、カメラ制御装置23は、第1画像データK2および第2画像データK3にそれぞれ証明情報として時刻を付与する処理を実行する(ステップF13)。
【0088】
ステップF13の処理が終了すると、制御盤13は、時刻を付与した検査書データK1をサーバ7へ送信し、カメラ制御装置23は、時刻を付与した第1画像データK2および第2画像データK3をサーバ7へ送信する(ステップF14)。そして、サーバ7は、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を受信すると、フォルダを作成して検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3を当該フォルダに格納して記憶する(ステップF15)。なお、制御盤13とカメラ制御装置23の処理は、別々に行われるので、制御盤13とカメラ制御装置23は、互いに相手の時刻を付与する処理の完了を待たずにサーバ7へデータを送信してもよい。
【0089】
本実施の形態の検査システムSは、以上のように構成されて以上のように動作する。そして、本実施の形態の検査システムSは、ダンパ(検体)Dを検査する検査装置1と、ダンパ(検体)Dの検査に使用されるとともに非検査時に待機場所3に保管される第2カメラ(機器)22の待機場所3での有無を検知する検知装置4と、検知装置4の検知結果に基づいて第2カメラ(機器)22が検査に使用されているか否かを判断し、第2カメラ(機器)22が検査に使用されていない場合には検査の実行を不能とし、第2カメラ(機器)22が検査に使用されている場合には検査の実行を可能とする制御盤(制御装置)13とを備えている。
【0090】
このように構成された検査システムSによれば、ダンパ(検体)Dの検査に使用される第2カメラ(機器)22の待機場所3における有無によって、第2カメラ(機器)22が検査に使用されているか否かを判断し、検査の実行について可不可を制御するので、検査作業者は、検査を行えないことを以てして検査に必要な第2カメラ(機器)22の使用し忘れを認知でき、検査作業者に第2カメラ(機器)22の使用を促すことができる。
【0091】
よって、本実施の形態の検査システムSによれば、検査作業者が検査に使用される機器の使用を失念するのを防止できる。
【0092】
さらに、本実施の検査システムSでは、制御盤(制御装置)13は、検査装置1による検査の実行後に、検知装置4が待機場所3に第2カメラ(機器)22が無いことを検知する場合、前記検査装置による前記検査の終了処理を不能とする。このように構成された検査システムSによれば、検知装置4で第2カメラ(機器)22が検査後に待機場所3に無いことを検知した場合には、第2カメラ(機器)22が待機場所3へ戻されないまま検査が終了されるのを防止でき、第2カメラ(機器)22の戻し忘れや紛失を防止できる。さらに、第2カメラ(機器)22が検査の終了後には待機場所3へ戻されるから、次回の検査の際に第2カメラ(機器)22の待機場所3に無いことを検知装置4が検知する場合、第2カメラ(機器)22の待機場所3から持ち出されて検査に使用されていることになり、何度検査を繰り返しても、第2カメラ(機器)22が検査に使用されないまま検査が行われるのを防止できる。
【0093】
また、本実施の検査システムSでは、検査作業者の操作を受け付ける検査開始ボタン13c2を表示する操作部13cを有し、制御盤(制御装置)13は、検査装置1による検査の実行前に、検知装置4が待機場所3に第2カメラ(機器)22が有る場合、検査開始ボタン13c2の押下を不能とする。このように構成された検査システムSによれば、検査装置1による検査の実行前に待機場所3に第2カメラ(機器)22が有る場合、検査の実行を阻止しうる。そして、本実施の検査システムSは、検査開始ボタン13c2の押下を不能とすることで、検査作業者に第2カメラ(機器)22の使用を失念していることを知覚させることができる。
【0094】
また、本実施の検査システムSでは、検査作業者の操作を受け付ける操作ボタンを表示する操作部13cを有し、制御盤(制御装置)13が検査装置1による検査の実行前に、検知装置4が待機場所3に第2カメラ(機器)22が有ることを検知する場合、操作部13cに表示される検査開始ボタン13c2の代わりに第1警告表示13c4を表示させる処理を行って検査開始ボタン13c2の押下を不能とする。このように構成された検査システムSによれば、第2カメラ(機器)22が検査に使用されていない場合に、検査の実行を阻止しうるだけでなく、第1警告表示13c4によって検査作業者に第2カメラ(機器)22の検査への使用を促すことができる。なお、制御装置は、第2カメラ(機器)22が待機場所3に無い場合に検査開始ボタン13c2の押下があっても検査を実行しない制御処理を行ってもよいし、検査開始ボタン13c2を表示しないようにしてもよい。
【0095】
そして、本実施の検査システムSでは、検査作業者の操作を受け付ける検査終了ボタン13c3を表示する操作部13cを有し、制御盤(制御装置)13は、検査装置1による検査の実行後に、検知装置4が待機場所3に第2カメラ(機器)22が無い場合、検査終了ボタン13c3の押下を不能とする。このように構成された検査システムSによれば、検査装置1による検査の実行後に待機場所3に第2カメラ(機器)22が無い場合、検査の終了を阻止しうる。そして、本実施の検査システムSは、検査終了ボタン13c3の押下を不能とすることで、検査作業者に第2カメラ(機器)22を待機場所3へ格納するのを失念していることを知覚させることができる。
【0096】
さらに、本実施の検査システムSでは、検査装置1が検査作業者の操作を受け付ける操作ボタンを表示する操作部13cを有し、制御盤(制御装置)13が検査装置1による検査の実行後に、検知装置4が待機場所3に第2カメラ(機器)22が無いことを検知する場合、操作部13cに表示される検査終了ボタン13c3の代わりに第2警告表示13c5を表示させる処理を行って検査終了ボタン13c3の押下を不能とする。このように構成された検査システムSによれば、第2カメラ(機器)22が検査後に待機場所3に戻されていない場合に、検査の終了処理を阻止しうるだけでなく、第2警告表示13c5によって検査作業者に第2カメラ(機器)22の待機場所3への格納を促すことができる。なお、制御装置は、第2カメラ(機器)22が待機場所3に無い場合に検査終了ボタン13c3の押下があっても検査を終了する処理を実行しない制御処理を行ってもよいし、検査終了ボタン13c3を表示しないようにしてもよい。
【0097】
そして、本実施の形態の検査システムSでは、検知装置4が待機場所3に設置されて第2カメラ(機器)22の存在を検知可能なセンサとされている。このように構成された検査システムSによれば、検査装置1で検査する検体であるダンパDに第2カメラ(機器)22の有無を検知する検知装置を設ける必要が無いので、新たなダンパ(検体)Dを検査する毎にダンパ(検体)Dに検知装置4を設置するような手間もなく、検査の準備を速やかに行える。
【0098】
また、本実施の形態の検査システムSでは、第2カメラ(機器)22がダンパ(検体)Dに吸着可能な永久磁石31cを保持しており、検知装置4が待機場所3に設置された磁気センサである。このように構成された検査システムSによれば、第2カメラ(機器)22のダンパ(検体)Dへの設置に使用される永久磁石31cを検知装置4で検知するので、第2カメラ(機器)22のダンパ(検体)D或いは検査装置1への設置に使用される永久磁石31cを検知装置(磁気センサ)4で検知するので、永久磁石31cを利用して第2カメラ(機器)22をダンパ(検体)D或いは検査装置1に簡単に設置できるだけでなく、検知装置(磁気センサ)4に対応する永久磁石を新たに設けることなく第2カメラ(機器)22の有無の検知も行え、検査システムSのコストを低減できる。
【0099】
なお、第2カメラ(機器)22は、ダンパ(検体)Dの製造番号を撮影可能であれば、ダンパ(検体)Dに直接設置する以外にも検査装置1を構成する部品に設置してもよい。
【0100】
また、機器は、第2カメラ22以外にも検体の検査に使用される機器であればよい。よって、機器は、たとえば、ダンパDを検査装置1に設置する際に使用される器具や、前述した温度センサ15,16その他のセンサ類であってもよい。まあ、本実施の形態の検査システムSでは、検体をダンパDとして、検査装置1を振動試験機としているが、検体はダンパDに限られず、検査装置1も検体を検査する装置であればよいので、振動試験機以外の検査装置とされてよい。
【0101】
なお、本実施の形態における検査システムSでは、ダンパ(検体)Dの検査書データK1と、ダンパ(検体)Dと検査装置1とダンパ(検体)Dとが撮影された第1画像データ(画像データ)K2と第2画像データ(画像データ)K3とのそれぞれに証明情報を付与する処理を行う時刻を証明情報として付与する。
【0102】
前述のようにして検査システムSの処理によって作成された検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3には、制御盤13およびカメラ制御装置23における処理の実行順序やクロック13a3,23cの誤差によって時間的なずれが生じたとしても、各データに付与されている証明情報としての時刻のずれは概ね1分以内程度となる。つまり、検査書データK1に付与されている時刻と、ダンパDと検査装置1を撮影した第1画像データK2に付与されている時刻と、ダンパDの識別情報を撮影した第2画像データK3に付与されている時刻のうち、最も早い時刻から最も遅い時刻までのずれは1分以内程度となる。
【0103】
これに対して、検査装置1にダンパDを着脱する作業は、少なくとも数分以上を要するため、もし、或るダンパについて行った検査書データK1と、このダンパとは異なるダンパを撮影した第1画像データK2と第2画像データK3とが組みとされた場合、検査書データK1に付与された時刻と第1画像データK2および第2画像データK3に付与された時刻との差に数分以上の差が生じている筈である。換言すれば、検査書データK1に付与された時刻と、第1画像データK2および第2画像データK3に付与された時刻との差が1分以内であれば、検査書データK1が得られたダンパDと、第1画像データK2および第2画像データK3に撮影されているダンパDとが同一のダンパDであるということである。
【0104】
よって、顧客端末42および監査機関端末43のオペレータは、検査書データK1に付与された時刻と、第1画像データK2および第2画像データK3に付与された時刻を確認すれば、検査書データK1が得られたダンパDと、第1画像データK2および第2画像データK3に撮影されているダンパDとが同一のダンパDであることを容易に理解できる。
【0105】
そして、第1画像データK2の画像からダンパDが検査装置1に取り付けられていることを、第2画像データK3の画像から第1画像データの画像に写っているダンパDの製造番号を確認できるので、顧客端末42および監査機関端末43のオペレータは、検査装置1に取り付けられていたダンパDの製造番号を知ることができる。それゆえ、顧客端末42および監査機関端末43のオペレータは、検査書データK1の画像から読み取れる製造番号と第2画像データK3の画像で確認した製造番号の一致をもって、検査書データK1が検査対象であったダンパDの検査によって得られたことの証拠が得られる。
【0106】
このように、同じダンパDの検査によって生成される検査書データK1と同じダンパDが検査装置1に取り付けられていたこと証明するための画像データK2,K3とに、証明情報が付与されることで関連付けられ、また、検査開始ボタン13c2の押下によって第1カメラ21と第2カメラ22が撮影して第1画像データK2および第2画像データK3が生成され、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3に対する証明情報を付与する処理を行うためには検査終了ボタン13c3の押下が必要であるから、その間に、第1画像データK2および第2画像データK3が他のダンパDの検査で生成されたデータに置き換わることもない。よって、検査書データK1が得られたダンパDと、第1画像データK2および第2画像データK3に撮影されているダンパDとが同一のダンパDであることを証明できる。つまり、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3とが同一のダンパDを対象として生成されたものであることが保証される。
【0107】
以上より、本実施の形態における検査システムSによれば、検査書データK1、画像データである第1画像データK2および第2画像データK3とに証明情報を付与することで、検査書データK1が出力された際に、ダンパ(検体)Dが検査装置1に取り付けられていたことを証明できるから、検査書データK1が実際に検査されたダンパ(検体)Dについて得られた検査書データK1であることを保証できる。
【0108】
なお、証明情報を時刻とする場合、検査書データK1、第1画像データK2および第2画像データK3が同一のダンパ(検体)Dに対して得られたデータであることを保証できるためには、前記時刻の差の最大値がダンパ(検体)Dの検査装置1への着脱時間より短ければよい。したがって、検査書データK1に付与された時刻と、第1画像データK2および第2画像データK3に付与された時刻の差の最大値が前述した1分以内であることを以て、検査書データK1が実際に検査されたダンパ(検体)Dについて得られたデータであることを保証しているが、着脱時間よりも短い任意の時間を基準として検査書データK1が実際に検査されたダンパ(検体)Dについて得られた検査書データK1であることを保証できる。
【0109】
また、証明情報は、前述したところでは、時刻とされているが、番号や文字列等とされてもよい。つまり、一回のダンパ(検体)Dの検査によって生成される検査書データK1および画像データとしての第1画像データK2および第2画像データK3をセットとして、制御盤13およびカメラ制御装置23は、同じセット内の検査書データK1および画像データとしての第1画像データK2および第2画像データK3には同一の番号或いは文字列を付与し、異なるセット同士では異なる番号或いは文字列となるように証明情報を付与してもよい。また、証明情報は、数字、記号および文字を任意に配列して組み合わせたものでもよい。たとえば、制御盤13およびカメラ制御装置23は、番号を付与する場合、順次、番号を繰り上げすることで異なるセット同士に同じ番号を付与しなければよい。このように証明情報を番号としても、同じダンパDの検査によって生成される検査書データK1と同じダンパDが検査装置1に取り付けられていたことを証明するための画像データK2,K3に証明情報が付与されることで関連付けられるので、検査書データK1が得られたダンパDと、第1画像データK2および第2画像データK3に撮影されているダンパDとが同一のダンパDであることを証明できる。
【0110】
そして、前述したように、本実施の形態の検査システムSは、ダンパ(検体)Dを所定の検査条件で検査する検査装置1と、ダンパ(検体)D上に表示されたダンパ(検体)Dを識別する識別情報を読み取る読取装置Rと、ダンパ(検体)Dの識別情報とダンパ(検体)Dの検査条件とを関連付けられて登録されたデータベースDBとを備え、検査装置1が読取装置14で読み取られたダンパ(検体)Dの識別情報に関連付けされた検査条件をデータベースDBから読み込んで、読み込んだ検査条件に基づきダンパ(検体)Dの検査を行う。
【0111】
このように構成された検査システムSでは、ダンパ(検体)Dの識別情報が一度読み込まれると、人が介入せずに検査条件の設定が自動的に行われて、ダンパ(検体)Dの検査が実行されるので、人為的な検査条件の変更がなされる恐れがない状態でダンパ(検体)Dの検査を実行できる。
【0112】
よって、本実施の形態の検査システムSによれば、予めデータベースDBに正しい検査条件を入力しておけば、ダンパ(検体)Dの検査に当たり、都度、検査装置1に検査条件を検査作業者が入力する必要がないので、免震或いは制振に供されるダンパ(検体)Dの検査において人為的ミスを防止して検査を実行できる。なお、前述した通り、検査システムSは、検査作業者が検査条件を検査装置1に対して設定してダンパ(検体)Dの検査を行ってもよい。
【0113】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0114】
1・・・検査装置、3・・・待機場所、4・・・検知装置、13・・・制御盤(制御装置)、13c・・・操作部、13c2・・・検査開始ボタン、13c3・・・検査終了ボタン、13c4・・・第1警告表示、13c5・・・第2警告表示、22・・・第2カメラ(機器)、31c・・・永久磁石、D・・・ダンパ(検体)、S・・・検査システム