(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063873
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】キノコ栽培袋
(51)【国際特許分類】
A01G 18/66 20180101AFI20230428BHJP
【FI】
A01G18/66
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173929
(22)【出願日】2021-10-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】504328152
【氏名又は名称】株式会社サカト産業
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(74)【代理人】
【識別番号】100093470
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】坂戸 純一
(72)【発明者】
【氏名】小渕 皇太
【テーマコード(参考)】
2B011
【Fターム(参考)】
2B011BA05
2B011EA01
2B011MA11
(57)【要約】
【課題】袋体内へ培地が投入される過程で底平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等が侵入されるのを阻止できるキノコ栽培袋を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム製横マチ付き袋体11にあって、左右の折込みフィルム11c、11dは折り目線12を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片と裏側折込みフィルム半片とに区分されて、下方端部は底口封止熱シール線部14と折り目線12とが交差され、この交差箇所が熱結合Oされて、この結合点を起点にして、表フィルムの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム及び裏フィルムの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム間が表裏フィルムの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部14に対してそれぞれ所定の角度θのポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2で熱溶着されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の横幅及び縦長の矩形状の対向する表裏フィルムと、前記表裏フィルムの縦長縁間を略中央部に折り目線を入れ一体に繋ぎ左右で対向する折込みフィルムからなる平坦状チューブを所定の長さに切断し、上方端に拡口される袋口が形成され、下方端に前記折込みフィルムを折り込んで線状の底口封止熱シール線部で熱溶着封止されたプラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなり、
前記袋体は、内部は所定量の培地詰めで形成された底部から所定の高さh1までを培地を充填する充填部と前記充填部から前記袋口までを高さh2とした未充填部とに区分され、前記未充填部分の表裏フィルムの少なくともいずれか一方に所定大きさの通気孔を形成して、前記通気孔にフィルターが装着されており、
前記左右の対向する折込みフィルムは、前記折り目線を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片と裏側折込みフィルム半片とに区分されて、下方端部は前記底口封止熱シール線部と前記折り目線とが交差されこの交差箇所が熱結合されて、前記結合点Oを起点にして、前記表フィルムの底辺付近の一部と前記表側折込み半片フィルム及び前記裏フィルムの底辺付近の一部と前記裏側折込み半片フィルム間が前記表裏フィルムの両側縁へ向けて、前記底口封止熱シール線部に対してそれぞれ所定の角度θのポケット口閉じ熱シール線部で熱溶着されていることを特徴とするキノコ栽培袋。
【請求項2】
前記袋体は、インフレーション法のブロー比が2.5~3.45の範囲のプラスチックフィルムからなり、
前記底口封止熱シール線部は、前記袋体の一側端から内側へ所定長さ延びたサイドシール部と、前記サイドシール部に繋がって下方底辺部側へ折曲した傾斜辺を有る折曲シール部と、前記折曲シール部に繋がった所定長さの中間シール部と、前記中間シール部に繋がった折曲シール部及びこの折曲シール部に繋がって他端側へ延びたサイドシール部で形成され、
前記各折曲シール部の傾斜辺は、下方底辺に対して所定の角度で傾斜し、前記各傾斜辺に、それぞれ前記結合点Oが設けられ、且つ、前記結合点Oから前記ポケット口閉じ熱シール線部が延設されていることを特徴とする請求項1に記載のキノコ栽培袋。
【請求項3】
前記ポケット口閉じ熱シール線部は、前記結合点Oから離した箇所を起点にして前記角度θで延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の栽培袋。
【請求項4】
前記厚さt、前記角度θ、前記高さh1、前記高さh2は、以下の範囲にあることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のキノコ栽培袋。
0・05mm≧t≧0.075mm
θ=45°±1°
h1は120mm~180mmの範囲にあって、h1とh2の比は、3:7~4.6:5.4
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノコ栽培袋に係り、詳しくは、プラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなるキノコ栽培袋であって、この栽培袋内へ所定量の培地を詰めた袋詰培地ブロックの培地未充填部分を折畳む袋折畳み機に好適なキノコ栽培袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シイタケなどのキノコの栽培は原木栽培に代わっておが粉を主原料にした培地を用いた空調菌床栽培が主流になっており、この菌床栽培に使用される容器は、大半が両サイドに折込み(「ガゼット」乃至「マチ」とも言われており、以下、「横マチ」という)を設けたプラスチックフィルム製の袋体からなる栽培袋が使用されている。
【0003】
出願人は、このタイプ、すなわちプラスチックフィルム製横マチ付き栽培袋を用い、この栽培袋内へ所定量の培地を充填して袋詰培地ブロックを形成し、この袋詰培地ブロックの培地未充填部分を折畳み、その折畳んだ袋詰培地ブロックをコンテナへ搬入し、次のキノコ栽培工程へ搬送する一連の作業を自動化した袋詰培地ブロックの製造方法及び装置を開発し、その成果を特許出願し、既に特許を取得し、その一方でまた、この袋詰培地ブロックの製造装置を構成する袋折畳み機を分割出願し、これは既に公開されている(下記特許文献1)。
【0004】
この袋詰培地ブロックの製造装置は、シート状に折畳んで複数枚積層した栽培袋を1枚ずつピックアップし、袋口を開口し、所定量の培地を投入して立方体形状のブロックを形成する袋詰培地ブロック形成機、この袋詰培地ブロックの未充填部分を折畳む袋折畳み機、この折畳んだ袋詰培地ブロックをコンテナへ所定の順序で整列させて搬入するコンテナ搬入機で構成されている。
【0005】
この装置にあって、袋折畳み機は、ブロック形成機で形成された袋詰培地ブロックを上流から下流へ搬送させるコンベアと、このコンベア上にあって、上流側に設けた袋口整形手段と、これに従設させた折畳み手段を備え、コンベアの上流橋渡し部から搬送されてきた袋詰培地ブロックは、袋口整形手段により栽培袋の未充填部分の袋口付近を整形させた後に、折畳み手段により栽培袋の培地未充填部分の袋口付近を綺麗コンパクトに折畳んで下流へ搬送させ、次工程のコンテナ搬入機へ搬入させ、更に次のキノコ栽培工程へ搬送させる構成となっている。
【0006】
この折畳み手段、すなわち袋折畳み機によれば、これまで手作業によってしかできなかった袋詰培地ブロックの未充填部の折畳み作業を自動機械化ができるので、作業効率がアップすると共に人件費の削減ができ、キノコ生産業者(社)間に好評となり、広く普及し始めてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-78510号公報
【特許文献2】実用新案登録第3205672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、この程、この折畳み機は、極めて稀有なケースであるが、袋詰培地ブロックの袋口が折畳み機に適合した形状に開口せずに、折畳み機構を構成する部材で袋口部分が押し潰され、或いは損傷、破損などするトラブルが発生した。その原因を探求したところ、袋詰培地ブロックを形成する際に使用した栽培袋、すなわち、プラスチックフィルム製横マチ付き袋体にあることを突き止めた。
【0009】
すなわち、この横マチ付き袋体は、ブロック形成機において、所定量の培地が投入されたときに底部に矩形状の平坦面が形成されるが、この平坦面が形成される過程において、四隅に培地が偏在することがあり、この偏在により底部の平坦面に高低差が生じ、この高低差によって袋詰培地ブロックが床面上から垂直に立設せずに不揃いな角度で傾斜し、袋口が折畳み機に適合した形状に開口されず、これにより折畳み機構の部材が正確に挿入されなくなることに起因していた。
【0010】
さらに詳述すると、所定量の培地が栽培袋へ投入されると、培地が横マチ付き袋体の底部へ打ち当たり、横マチ付き袋体の底部は線状の底口封止熱シール線部を境に表裏フィルムの一部分が培地により前後に押し広がり、その一方でまた左右の横マチを形成する側面フィルム(折込みフィルム)は外方へ押し出されて、底部に平担面が形成される。そのときに、底部は横マチ部分も底口封止熱シール線部で結合されているので、左右の横マチを形成する側面フィルムが外方へ飛出して、その過程で矩形状底面の四隅に、袋口から覗いた底面覗見視で、一辺が開口した略三角形形状の部分に空気(エアー)が一時的に充満されて膨らむ小部屋乃至ポケット(以下、エアーポケットという、なお、このエアーポケットは培地の充填が終了して底部に平坦面が形成されると、内部の空気が圧し出されて培地で潰される)が形成され、それらのエアーポケットに培地などが入り込むことがある。それにより、それらのエアーポケットは、培地などが入り込んだエアーポケットと入り込まなかったエアーポケット(培地が入り込んだ量の大小に関しても同様)との間で、側面視で高低差が生じる原因になっていた。なお、これらのエアーポケットに培地などが侵入すると、培養工程で菌床培養に悪影響を与えることがあることも判明している。
【0011】
また、このような袋詰培地ブロックの傾斜は、他の条件によっても発生することがある。例えば、横マチ付き袋体を形成するフィルムの肉厚が関係し、薄いと培地が充填されて立設されたときに未充填部分が前屈みになり、上方の袋口が真上に向かわなくなることがある。また、培地の未充填部が充填部に比べてより背高になると同様のことが生じ、さらに、未充填部に装着するフィルターの大きさ及び装着位置も関係して、上方の袋口が傾くことがある。
【0012】
一方でまた、この種のプラスチックフィルム製横マチ付き袋体には、宿命的な水漏れの課題が潜在している。それは、袋体下端部の開口を封止して底辺部を形成するために、熱シールにより封止するが、この際、底辺部は対向する表裏フィルム乃至これに両サイド折込みフィルムを加えた熱シール箇所とでは、フィルム層が2層乃至4層となる。これらの層数の違いにより熱シール部の溶着度が異なったものとなり、培地詰の際の衝撃及び培地の重みなどにより、フィルム層数が変化する箇所が剥がれ、破損などして、ピンホールが発生し、水漏れするという課題を抱えている。なお、本出願人は、別途使用中にフィルム層数が変化する部分における熱溶着部分が周囲からの牽引を受けても水漏れしないようにした栽培袋を開発している(上記特許文献2)。
【0013】
そこで、本発明は、既開発の袋折畳み機でのトラブルを通してプラスチックフィルム製横マチ付き栽培袋に潜在する課題を解決するためのものでであって、以下のことを目的とする。
【0014】
本発明の目的は、プラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなる栽培袋にあって、所定量の培地が投入されて袋詰培地ブロックが形成される過程において、底部の平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットに培地等が侵入されるのを阻止して、底部に高低差が生じ難くした平坦面が形成され、袋詰培地ブロックを水平床面から略垂直に立設させ、上方の袋口が真上に向けて開口されるキノコ栽培袋を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、上記目的を備え、且つまた、横マチ付き袋体の底口熱シール線部が周囲から強い牽引力を受けても剥がれ、破損などによる穴開きの形成が抑制され、水漏れが防止されたキノコ栽培袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の本発明の目的は、以下の構成によって、達成できる。
すなわち、本発明の第1の態様のキノコ栽培袋は、所定の横幅及び縦長の矩形状の対向する表裏フィルムと、前記表裏フィルムの縦長縁間を略中央部に折り目線を入れ一体に繋ぎ左右で対向する折込みフィルムからなる平坦状チューブを所定の長さに切断し、上方端に拡口される袋口が形成され、下方端に前記折込みフィルムを折り込んで線状の底口封止熱シール線部で熱溶着封止されたプラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなり、
前記横マチ付き袋体は、内部は所定量の培地詰めで形成される底部から所定の高さh1まで培地を充填する充填部と前記充填部から前記袋口までを高さh2とした未充填部とに区分され、前記未充填部分の表裏フィルムの少なくともいずれか一方に所定大きさの通気孔が形成され、前記通気孔にフィルターが装着されており、
前記左右の対向する折込みフィルムは、前記折り目線を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片と裏側折込みフィルム半片とに区分されて、下方端部は前記底口封止熱シール線部と前記折り目線とが交差された結合点Oで熱結合され、前記結合点Oを起点にして、前記表フィルムの底辺付近の一部と前記表側折込み半片フィルム及び前記裏フィルムの底辺付近の一部と前記裏側折込み半片フィルム間が前記表裏フィルムの両側縁へ向けて、前記底口封止熱シール線部に対してそれぞれ所定の角度θのポケット口閉じ熱シール線部で熱溶着されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の第2態様のキノコ栽培袋は、第1の態様のキノ栽培袋において、前記横マチ付き袋体は、インフレーション法のブロー比が2.5~3.45の範囲のプラスチックフィルムからなり、前記底口封止熱シール線部は、前記横マチ付き袋体の一側端から内側へ所定長さ延びたサイドシール部と、前記サイドシール部に繋がって下方底辺部側へ折曲した傾斜辺を有る折曲シール部と、前記折曲シール部に繋がった所定長さの中間シール部と、前記中間シール部に繋がった折曲シール部及びこの折曲シール部に繋がって他端側へ延びたサイドシール部で形成され、前記各折曲シール部の傾斜辺は、下方底辺に対して所定の角度θで傾斜し、前記各傾斜辺に、それぞれ前記結合点Oが設けられ、且つ、前記結合点Oから前記ポケット口閉じ熱シール線部が延設されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第3態様のキノコ栽培袋は、第1または2の態様のキノ栽培袋において、前記ポケット口閉じ熱シール線部は、前記結合点Oから離れた箇所を起点にして前記角度θで延設されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4態様のキノコ栽培袋は、第1~3のいずれかの態様のキノ栽培袋において、前記横マチ付き袋体を構成する各フィルムの厚さt、前記角度θ、前記高さh1、前記高さh2は、以下の範囲にあることを特徴とする。
0.05mm≧t≧0.075mm
θ=45°±1°
h1は120mm~180mmの範囲にあって、h1とh2の比は、3:7~4.6:5.4
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の態様のキノコ栽培袋によれば、プラスチックフィルム製横マチ付き袋体に、所定量の培地が投入される過程において、底平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等の侵入が阻止されると共に底部に平坦底面が形成され、水平床面かから上方の袋口が正確に開口した状態で直立する栽培袋を提供できる。
【0021】
また、本発明の第2の態様のキノコ栽培袋は、横マチ付き袋体をブロー比2.5~3.45の範囲のフィルム製にし、底口封止熱シール線部に折曲シール部を設け、この折曲シール部の傾斜辺に交差箇所Oを設け、この箇所を起点にして、表フィルムの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム及び裏フィルムの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム間が表裏フィルムの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部に対してそれぞれ所定の角度のポケット口閉じ熱シール線部で熱溶着されているので、横マチ付き袋体内に大量の培地が収容されても、フィルム層数が変化する部分におけるフィルム熱溶着部分が周囲からの牽引を受けても水漏れしなくなる。加えて、所定量の培地が投入される過程において、底平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等の侵入が阻止されると共に底部に平坦底面が形成されるので、水平床面かから上方の袋口が正確に開口した状態で直立する栽培袋を提供できる。
【0022】
本発明の第3の態様のキノコ栽培袋は、ポケット口閉じ熱シール線部は結合点Oから離れた箇所を起点にして延設されているので、ポケット口閉じ熱シール線部がフィルムの積層枚数が多い多重熱溶着部分に形成されることを回避でき、結合点Oからの剥がれ、破壊、損傷などを解消し、水漏れを防止できるようになる。
【0023】
本発明の第4の態様のキノコ栽培袋よれば、厚さt、角度θ、高さh1、h2を所定の範囲にしたので、所定量の培地が投入される過程において、底平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等の侵入が阻止されると共に底部に平坦底面が形成され、水平床面かから上方の袋口が正確に開口した状態で直立させることができると共に栽培袋の前垂れを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係るキノコ栽培袋を示し、
図1Aは正面側斜視図、
図1Bは
図1Aの栽培袋に培地を詰めた袋詰培地ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るキノコ栽培袋を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのキノコ栽培袋を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0026】
[実施形態1]
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態1に係るキノコ栽培袋を説明する。なお、
図1は本発明の実施形態1に係るキノコ栽培袋を示し、
図1Aは正面側斜視図、
図1Bは
図1Aの栽培袋に培地を詰めた袋詰培地ブロックの斜視図、
図2Aは
図1Bの底裏面図、
図2Bは
図1Bの底内平面図(培地省略)、
図3は
図1Aの右側折込み部分の拡大図である。
【0027】
実施形態1のキノコ栽培袋10は、所定の横幅及び縦長を有する一対の矩形状の対向する表フィルム11aおよび裏フィルム11bと、これら表フィルム11aおよび裏フィルム11bの縦長縁間の略中央部に折り目線12が入るように一体に繋ぎ、左右で対向するように配置した一対の折込みフィルム11c、11dとで平坦状に折り畳んだチューブ状に形成されたプラスチックフィルム製の横マチ付き袋体11からなる。このプラスチックフィルムはポリエチレンフィルムが好ましい。
【0028】
この横マチ付き袋体11は、上方端には拡口される袋口11fが形成され、下方端の開口は折込みフィルム11c、11dを折り込んで線状の底口封止熱シール線部14で一体に熱溶着封止されている。なお、底口封止熱シール線部14のシール線幅は、例えば1.5~2.5mmであり、
図2では単に線で示してある。
【0029】
そして、この横マチ付き袋体11は、底部(培地詰めた状態を表す
図1B参照)から所定の高さh
1までを培地16を充填する充填部と、この充填部から袋口11fまでの高さh
2とした未充填部とに区分され、この未充填部分の表裏フィルムの少なくともいずれか一方に所定大きさの貫通孔11a1が形成され、この貫通孔11a1にフィルター13が装着されている。高さh
1は、培地を詰めた状態の底部からの高さであって、この底部は、
図2Bに示したように、表フィルム11aおよび裏フィルム11bの底端部が前後に拡がって形成される。なお、前後の広がりは左右折込みフィルム11c、11dの幅の約半分とされている。フィルター13を表フィルム11aおよび裏フィルム11bの両方に装着する場合は、隣り合う横マチ付き袋体11間のフィルター13が重ならないように、両サイド側にずらして取付ける。
【0030】
左右の対向する折込みフィルム11c、11dは、折り目線12を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片11c1、11d1と裏側折込みフィルム半片11c2、11d2とに等分されている。すなわち、左側の折込みフィルム11cは、折り目線12を境に表側半フィルム半片11c1、裏側フィルム半片11c2に二分され、また、右側の折込みフィルム11dも折り目線12を境に表側半フィルム半片11d1、裏側フィルム半片11d2に二分されている。
【0031】
また、左右の対向する折込みフィルム11c、11dの下方端部は、それぞれ底口封止熱シール線部14と折り目線12の交差箇所が熱結合されて結合点Oを形成している。そして、この結合点Oを起点にして、表フィルム11aの底辺付近の一部と表側折込みフィルム半片11c1及び裏フィルム11bの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム11c2間が表フィルム11aおよび裏フィルム11bの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部14に対してそれぞれ所定の角度θ(
図1A参照)を形成するように、表裏の折込みシール部15c1及び15c2(符号15c1の後ろに隠れている)を形成するように熱シールされた構成を有する。
【0032】
なお、表裏の折込みシール部15c1及び15c1は、間に隔離板を介在させて、表裏フィルム面にヒートシールバーを当接して、熱溶着する。また、後記する右側表裏の折込みシール部15d1及び15d2も同様の方法で熱シールする。
【0033】
同様に、表フィルム11aの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム11d1及び裏フィルム11bの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム11d2間も表フィルム11aおよび裏フィルム11bの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部14に対してそれぞれ所定の角度θ(
図1A参照)を形成するように、表裏の折込みシール部15d1、15d2を形成するように熱シールされた構成を有する。
【0034】
すなわち、これらの左右の折込みフィルム11c、11dの下方端は、折り込んだ状態、すなわち、表側フィルム半片11c1と裏側フィルム半片11c2及び表側半フィルム半片11d1との裏側フィルム半片11d2とが折り目線12を境に折り込んだ状態にされて、底口封止熱シール線部14に沿って積層されて一緒に熱結合されている。これにより、エアーポケットP
1~P
4の開口が閉じられる。すなわち、これらの折込みシール部15c1、15c2及び15d1、15d2は、エアーポケットP
1~P
4(
図2B参照)の閉じ部となる。なお、角度θは後記するが45°が好ましい。
【0035】
以下、
図1A、
図2、
図3を参照してエアーポケットP
1~P
4について説明する。左右の折込みフィルム11c、11dの折込み深さを(a)(
図2B参照、以下、同じ)、折込みフィルム半片、例えば表側折込み半片11bの長さを(b)とすると、(a)に対応する辺と(b)に対応する辺の交点は直角となる。また、この直角交点の対辺(ポケット口閉じ熱シール線部15d1に対応)を(c)とすると、底面視で直角三角形が形成され、内部に三角帽子内に似た所定大きさの空間が生じる所定深さの窪み乃至小部屋(以下、エアーポケットという)が形成される。この直角三角形の全ての角部は一応熱溶着されているので、横マチ付き袋体11の製造時にはエアーポケットの内部には空気は実質的に存在していない。しかしながら、(b)に対応する辺と(c)に対応する辺により形成される角部(d)は点状の熱溶着箇所で形成されているため、横マチ付き袋体11の内部に所定の培地が投入され、袋詰培地ブロック17(
図1B)が形成される過程で加わった圧力により角部(d)の熱溶着部分が剥がれ、エアーポケット内に空気が充満することがある。角部(d)に対応する部分は、底平坦面の四隅に存在しており、
図2Bの記号P
1~P
4はこれらのエアーポケットを示している。
【0036】
横マチ付き袋体11の下端部は線状の底口封止熱シール線部14で結合されているので、この横マチ付き袋体11の下端部には予め平坦面は形成されておらず、横マチ付き袋体11内に所定の培地が投入され、袋詰培地ブロック17(
図1B)が形成される過程において、各エアーポケットP
1~P
4の空間内に一時的に空気が充満し、膨らむことがある。しかしながら、培地の投入が終了したとき、すなわち底平坦面が形成されたときには、エアーポケットP
1~P
4内に充満した空気は、エアーポケットP
1~P
4が培地で潰されてしまうため、空気が抜け、平坦になる。
【0037】
すなわち、横マチ付き袋体11に、所定量の培地16が栽培袋へ投入されると、まず、培地は横マチ付き袋体11の底部へ打ち当たり、袋体11の底部は線状の底口封止熱シール線部14を境に表フィルム11aおよび裏フィルム11bの一部が培地により前後に押し広がる。その一方でまた、左右の折込みフィルム11c、11dは外方へ押し出されて、底部の底に平な平坦面が形成される。このとき、折込みフィルム11c、11dの下端は、折り込んだ状態で底口封止熱シール線部14に結合されているので、矩形状をした底部平坦面の四隅には略三角形形状の小さなエアーポケットP1~P4が形成される。
【0038】
しかし、エアーポケットP
1~P
4の各辺(a)、(b)、(c)に対応する部分及び角部(d)に対応する部分は全て熱溶着され、シールされているので、通常はエアーポケットP
1~P
4の内部に空気は入らない。しかしながら、横マチ付き袋体11内に所定の培地が投入され、袋詰培地ブロック17(
図1B)が形成される過程において、たとえ角部(d)に対応する熱溶着部分が剥がれて内部に空気が入り込むことがあっても、この剥がれた部分の大きさは非常に小さいため、それらのエアーポケットP
1~P
4の内部に培地などが入り込むことが阻止される。その結果、作製された袋詰培地ブロック17の底部は平坦面となり、高低差が生じることがなくなる。
【0039】
ところで、熱結合箇所Oでは、底口封止熱シール線部14と表乃至裏のポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2とで互いに交差し、さらに、表裏フィルム11a、11bと左右の折込みフィルム11c、11dとでも交差している。そのため、熱結合箇所Oを境にして一方側は4層、他方側は2層の積層となっているだけでなく、ポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2も集中しているので、熱結合箇所Oでは脆弱になり、この部分で剥がれ、破壊、損傷などするおそれがある。
【0040】
そこで実施形態1の横マチ付き袋体11においては、ポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2を底口封止熱シール線部14に結合する箇所(以下「起点」という)を表裏フィルム11a、11bと左右の折込みフィルム11c、11dと底口封止熱シール線部14とが交差している箇所より若干離れた箇所、すなわち数ミリ(例えば2~3mm)離れた所、とすることにより、起点の両側とも4層となるようにすることができるので、培地投入の際の上記の剥がれ、破壊、損傷など懸念を解消できる。なお、起点を移動等すると起点と表裏フィルム11a、11bと左右の折込みフィルム11c、11dと底口封止熱シール線部14とが交差している箇所とがずれ、この部分で一方側が4層、他方側が2層の積層となっているが、ポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2が集中していないので、培地投入の際の剥がれ、破壊、損傷など懸念を小さくすることができ、しかもキノコ栽培時の水漏れも少なくすることができる。
【0041】
以上説明した横マチ付き袋体11からなる栽培袋によれば、横マチ付き袋体11内へ所定の培地が投入されると、底部に所定大きさの平坦面が形成され、且つ、エアーポケットP1~P4内へ培地が侵入することがなく、また底部に高低差が生じることがなくなる。
【0042】
なお、このような平坦面が形成されるだけでは、横マチ付き袋体11は培地充填部の上の未充填部分が真直ぐに直立せず、前屈みに傾くことがある。その傾きは、例えば、横マチ付き袋体11を形成するプラスチックフィルムの種類、厚さtが関係し、その厚さが薄いと前屈みになるので、所定の範囲に設定する必要がある。また、その他、培地充填部の高さh1と未充填部の高さh2とのバランスも重要で、このバランスが均衡しないと同様に傾き、また、フィルター13の大きさ乃至その装着位置によっても傾くことがある。なお、フィルターは、培地表面が過度に乾燥しない高さにあって、表裏面で重ならない異なる位置に装着する。
【0043】
以下、厚さt、高さh1、h2の好ましい範囲を示す。なお、これらの数値範囲は、出願人が実際に使用してきた結果に基づき、経験的に導き出されたものである。
厚さtは、0・05mm≧t≧0.075mmが好ましい。この範囲にあって、0・05mm未満であると前垂れが起り易くなる。0.075mmを越えても、効果は変わらず、きのこ栽培袋の価格が高くなるので不経済となる。
【0044】
高さh1は120mm~180mmの範囲にあって、h1とh2の比は、3:7~4.6:5.4が好ましい。この範囲外にあると、前垂れが起り易くなる。
【0045】
また、傾斜角θは、θ=45°±1°が好ましい。この範囲の傾斜角によれば、底平坦面の四隅に綺麗な二等辺三角形状のエアーポケットが形成され、平坦な袋詰培地ブロックの底面が得やすくなる。
【0046】
以上述べたように、この実施形態1の栽培袋10によれば、プラスチックフィルム製の横マチ付き袋体11に、所定量の培地が投入され袋詰培地ブロックが形成される過程において、底部に平坦面が形成される際に、その平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等の侵入が阻止され、底部に高低差がない平坦面が形成されて、水平床面から袋詰培地ブロックは略垂直に直立し、上方の袋口が正確に開口する栽培袋を提供できるようになる。
【0047】
[実施形態2]
図4を参照して、本発明の実施形態2に係るキノコ栽培袋を説明する。なお、
図4は本発明の実施形態2に係るキノコ栽培袋を示し、
図4Aは正面側斜視図、
図4Bは
図4AのIVB部分の拡大図である。また、以下の説明では、実施形態1と共通する部分には同一の符号を付して、それらの説明を引用することとし、異なる構成について詳述する。
【0048】
本発明の実施形態2に係るキノコ栽培袋10Aは、実施形態1のキノコ栽培袋10の底口封止熱シール線部14に代えて上記特許文献2に記載の栽培袋における熱溶着シール部を設け、使用中にフィルム層数が変化する部分におけるフィルム熱溶着部分が周囲からの牽引を受けても水漏れしないようにしたものである。
【0049】
すなわち、このキノコ栽培袋10Aは、横マチ付き袋体11Aからなり、この横マチ付き袋体11Aは、インフレーション法のブロー比が2.5~3.45の範囲からなるプラスチックフィルムで作製されている。そして、実施形態1のキノコ栽培袋10の線状の底口封止熱シール線部14に代えて、この熱シール線部の途中に所定角度の折曲シール部を設けた底口封止熱シール線部14A(上記特許文献2記載の栽培袋の熱溶着シール部に相当)を用い、この底口封止熱シール線部14Aにポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2をそれぞれ熱結合させたものである。
【0050】
インフレーション法によるプラスチックフィルムは、インフレーションフィルム製造装置におけるブロー比及び引張り速度によって、縦方向と横方向とで引張り強度が異なることから、ブロー比を上記範囲にしたフィルムを使用し、さらにこのフィルムの縦及び横方向間の所定の角度範囲内に底口封止熱シール線部14Aと折込みフィルムの折り目線部分とが交差する箇所Oを設けることによって、交差箇所の熱溶着が堅固になり、製造工程における製品不良率を格段に低下させたものである。なお、ブロー比は、インフレーションフィルム製造装置におけるダイのノズル径とチューブ状フィルムの直径との比となっている。
【0051】
以下、この底口封止熱シール線部14A及びポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2及び15d1、15d2との関係を説明する。底口封止熱シール線部14Aは、一側端から内側へ所定長さ延びたサイドシール部14xと、このサイドシール部14xに繋がって下方底辺側へ折曲した折曲シール部14yと、中間シール部14hと、他端側のサイドシール部14xとで形成されている。この底口封止熱シール線部14Aは、二つの折曲シール部を形成するバーを備えた所定形状のヒートシールバーを用い、昇降式のヒートヒール装置によって形成される。なお、シール線幅は、例えば1.5~2.5mmである。
【0052】
図4Bを参照して、一方の折曲シール部14yを説明する。この折曲シール部14yは、サイドシール部14xから下方底辺部側へ斜めに降下した傾斜辺14
1と、所定長さの底辺14
2と、一方の傾斜辺14
1と対向した他方の傾斜辺14
3とからなり、正面視で擂鉢断面形状に折曲して形成されている。なお、正面視擂鉢断面形状は、擂鉢を縦方向に切断し、その切断面の形状を表している。傾斜辺14
1は、底辺14
2の延長線との間で所定の角度θ1で傾斜している。この傾斜角度θ1は、20°~80°であり、この範囲にあって最適範囲は40°~70°が好ましい。また、他方側の傾斜線14
3と底辺14
2の延長線との間の傾斜角度θ2はθ1と同様であっても異なっていてもよく、中間シール部14hを省略して2つの折曲シール部14yを底辺14
2によって直接接続するようにしてもよい。
【0053】
傾斜辺141は、左側の折り込みフィルム11cを折込み折り目線12と交差させてこの交差箇所Oが熱溶着されている。そしてまた、この傾斜辺141には、交差箇所Oを起点にして、表フィルムの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム及び裏フィルムの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム間が表裏フィルムの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部に対してそれぞれ所定の角度θのポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2、15d1、15d2で熱溶着されている。なお、他方の折曲シール部14yでも同じになっている。
【0054】
このキノコ栽培袋10Aは、袋体11Aをブロー比2.5~3.45の範囲のフィルム製にし、底口封止熱シール線部14Aに折曲シール部を設け、この折曲シール部の傾斜辺141に交差箇所Oを設け、この箇所を起点にして、表フィルムの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム及び裏フィルムの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム間が表裏フィルムの両側縁へ向けて、底口封止熱シール線部14Aに対してそれぞれ所定の角度θのポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2、15d1、15d2で熱溶着されているので、袋体に大量の収容物が収容されても、フィルム層数が変化する部分におけるフィルム熱溶着部分が周囲からの牽引を受けても水漏れしなると共に、実施形態1の栽培袋と同じ作用効果を奏するものとなる。
【0055】
なお、実施形態2のキノコ栽培袋10Aにおいても、実施形態1のキノコ栽培袋10の場合と同様に、ポケット口閉じ熱シール線部15c1、15c2、15d1、15d2が交差箇所Oとは重ならないようにわずかにずらし、サイドシール部14xを起点にして、表フィルムの底辺付近の一部と表側折込み半片フィルム及び裏フィルムの底辺付近の一部と裏側折込み半片フィルム間が表裏フィルムの両側縁へ向けて熱溶着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10、10A キノコ栽培袋
11、11A 横マチ付き袋体
11a 表フィルム
11a1 貫通孔
11b 裏フィルム
11c、11d 折込みフィルム
11c1、11d1 表側折込みフィルム半片
11c2、11d2 裏側折込みフィルム半片
11f 袋口
12 折り目線
13 フィルター
14、14A 底口封止熱シール線部
14x サイドシール部
14y 折曲シール部
14h 中間シール部
15c1、15c2、15d1、15d2 ポケット口閉じ熱シール線部
16 培地
17 袋詰培地ブロック
P1~P4 エアーポケット
【手続補正書】
【提出日】2022-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の横幅及び縦長の矩形状の対向する表裏フィルムと、前記表裏フィルムの縦長縁間を略中央部に折り目線を入れ一体に繋ぎ左右で対向する折込みフィルムからなる平坦状チューブを所定の長さに切断し、上方端に拡口される袋口が形成され、下方端に前記折込みフィルムを折り込んで線状の底口封止熱シール線部で熱溶着封止されたプラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなり、
前記袋体は、内部は所定量の培地詰めで形成された底部から所定の高さh1までを培地を充填する充填部と前記充填部から前記袋口までを高さh2とした未充填部とに区分され、前記未充填部分の表裏フィルムの少なくともいずれか一方に所定大きさの通気孔を形成して、前記通気孔にフィルターが装着されており、
前記フィルムの厚さtは0.05mm≧t≧0.075mm、前記高さh
1
は120mm~180mmの範囲にあって、前記高さh
1
と前記高さh
2
の比は3:7~4.6:5.4であり、
前記左右の対向する折込みフィルムは、前記折り目線を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片と裏側折込みフィルム半片とに区分されて、下方端部は前記底口封止熱シール線部と前記折り目線とが交差されこの交差箇所が熱結合されて、前記結合点Oを起点にして、前記表フィルムの底辺付近の一部と前記表側折込み半片フィルム及び前記裏フィルムの底辺付近の一部と前記裏側折込み半片フィルム間が前記表裏フィルムの両側縁へ向けて、前記底口封止熱シール線部に対して45°±1°の範囲の角度θをなすポケット口閉じ熱シール線部で熱溶着されていることを特徴とするキノコ栽培袋。
【請求項2】
前記袋体は、インフレーション法のブロー比が2.5~3.45の範囲のプラスチックフィルムからなり、
前記底口封止熱シール線部は、前記袋体の一側端から内側へ所定長さ延びたサイドシール部と、前記サイドシール部に繋がって下方底辺部側へ折曲した傾斜辺を有る折曲シール部と、前記折曲シール部に繋がった所定長さの中間シール部と、前記中間シール部に繋がった折曲シール部及びこの折曲シール部に繋がって他端側へ延びたサイドシール部で形成され、
前記各折曲シール部の傾斜辺は、下方底辺に対して所定の角度で傾斜し、前記各傾斜辺に、それぞれ前記結合点Oが設けられ、且つ、前記結合点Oから前記ポケット口閉じ熱シール線部が延設されていることを特徴とする請求項1に記載のキノコ栽培袋。
【請求項3】
前記ポケット口閉じ熱シール線部は、前記結合点Oから離した箇所を起点にして前記角度θで延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の栽培袋。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記の本発明の目的は、以下の構成によって、達成できる。
すなわち、本発明の第1の態様のキノコ栽培袋は、所定の横幅及び縦長の矩形状の対向する表裏フィルムと、前記表裏フィルムの縦長縁間を略中央部に折り目線を入れ一体に繋ぎ左右で対向する折込みフィルムからなる平坦状チューブを所定の長さに切断し、上方端に拡口される袋口が形成され、下方端に前記折込みフィルムを折り込んで線状の底口封止熱シール線部で熱溶着封止されたプラスチックフィルム製横マチ付き袋体からなり、
前記袋体は、内部は所定量の培地詰めで形成された底部から所定の高さh1までを培地を充填する充填部と前記充填部から前記袋口までを高さh2とした未充填部とに区分され、前記未充填部分の表裏フィルムの少なくともいずれか一方に所定大きさの通気孔を形成して、前記通気孔にフィルターが装着されており、
前記フィルムの厚さtは0.05mm≧t≧0.075mm、前記高さh
1
は120mm~180mmの範囲にあって、前記高さh
1
と前記高さh
2
の比は3:7~4.6:5.4であり、
前記左右の対向する折込みフィルムは、前記折り目線を境にしてそれぞれ表側折込みフィルム半片と裏側折込みフィルム半片とに区分されて、下方端部は前記底口封止熱シール線部と前記折り目線とが交差されこの交差箇所が熱結合されて、前記結合点Oを起点にして、前記表フィルムの底辺付近の一部と前記表側折込み半片フィルム及び前記裏フィルムの底辺付近の一部と前記裏側折込み半片フィルム間が前記表裏フィルムの両側縁へ向けて、前記底口封止熱シール線部に対して45°±1°の範囲の角度θをなすポケット口閉じ熱シール線部で熱溶着されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明の第1の態様のキノコ栽培袋によれば、プラスチックフィルム製横マチ付き袋体に、所定量の培地が投入される過程において、底平坦面の四隅に一時的に形成されるエアーポケットへの培地等の侵入が阻止されると共に底部に平坦底面が形成され、水平床面かから上方の袋口が正確に開口した状態で直立する栽培袋を提供できると共に栽培袋の前垂れを防止できるようになる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
以下、厚さt、高さh1、h2の好ましい範囲を示す。なお、これらの数値範囲は、出願人が実際に使用してきた結果に基づき、経験的に導き出されたものである。
厚さtは、0.05mm≧t≧0.075mmが好ましい。この範囲にあって、tが0.05mm未満であると前垂れが起り易くなる。tが0.075mmを越えても、効果は変わらず、きのこ栽培袋の価格が高くなるので不経済となる。