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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063901
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/248 20060101AFI20230428BHJP
   B65G 47/14 20060101ALI20230428BHJP
   B65B 43/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B65G47/248 G
B65G47/14 V
B65B43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173971
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】梶原 将太
(72)【発明者】
【氏名】森野 学
(72)【発明者】
【氏名】福永 一生
【テーマコード(参考)】
3E030
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BB05
3E030DA06
3E030FA10
3E030GA04
3F080AA43
3F080BC01
3F080BE06
3F080BE13
3F080BF14
3F080CC14
3F080CG04
3F080DA04
3F080FA01
3F081AA43
3F081BC01
3F081BD16
3F081BE02
3F081BE04
3F081BE09
3F081CA03
3F081CA05
3F081CE04
3F081EA15
3F081FA01
(57)【要約】
【課題】搬送ライン間の間隔の増大を抑えつつ、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋を回転させることを可能にする。
【解決手段】搬送システム10は、搬送方向に延び、搬送方向と直角を成す方向に隣り合って位置する複数の搬送ライン15と、複数の袋90を複数の搬送ラインのそれぞれに沿って搬送する搬送装置11と、複数の袋の向きを検出する向き検出装置12と、向き検出装置の検出結果に応じて、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋の向きを矯正する搬送装置11とを備える。お互いに隣り合って位置する2つの搬送ラインのうちの一方に沿って搬送される袋の向きを向き矯正装置によって矯正する位置と、他方に沿って搬送される袋の向きを向き矯正装置によって矯正する位置とは、搬送方向及び高さ方向のうちの少なくともいずれかの方向にずらされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に延び、前記搬送方向と直角を成す方向に隣り合って位置する複数の搬送ラインと、
複数の袋を前記複数の搬送ラインのそれぞれに沿って搬送する搬送装置と、
前記複数の袋の向きを検出する向き検出装置と、
前記向き検出装置の検出結果に応じて、前記複数の搬送ラインに沿って搬送される前記複数の袋の向きを矯正する向き矯正装置と、を備え、
お互いに隣り合って位置する2つの搬送ラインのうちの一方に沿って搬送される袋の向きを前記向き矯正装置によって矯正する位置と、他方に沿って搬送される袋の向きを前記向き矯正装置によって矯正する位置とは、前記搬送方向及び高さ方向のうちの少なくともいずれかの方向にずらされている搬送システム。
【請求項2】
搬送方向に延び、前記搬送方向と直角を成す方向に隣り合って位置する複数の搬送ラインと、
複数の袋を前記複数の搬送ラインのそれぞれに沿って搬送する搬送装置と、
前記複数の袋の向きを検出する向き検出装置と、
前記向き検出装置の検出結果に応じて、前記複数の搬送ラインに沿って搬送される前記複数の袋の向きを矯正する向き矯正装置と、を備え、
向きが矯正される袋は、前記向き矯正装置によって、前記搬送方向に延びる搬送軸線を中心に回転させられて矯正姿勢の状態に置かれ、前記矯正姿勢の状態で向きが矯正される搬送システム。
【請求項3】
お互いに隣り合って位置する2つの搬送ラインのうちの一方に沿って搬送される袋の向きを前記向き矯正装置によって矯正する位置と、他方に沿って搬送される袋の向きを矯正装置によって矯正する位置とは、前記搬送方向に関してずらされている請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記向き矯正装置は、前記複数の搬送ラインのそれぞれに対応するように複数設けられ、
前記複数の前記向き矯正装置の各々は、前記搬送方向に袋を移送しつつ袋の向きを矯正する請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記複数の前記向き矯正装置は、一体的に設けられ、前記搬送方向に沿って一緒に往復移動する請求項4に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の袋を効率的に搬送するために、複数の搬送ラインに沿って複数の袋を搬送する装置が用いられる。
【0003】
例えば特許文献1が開示する包装機は、同時に4つの袋を4つのグリッパーペアに供給することができるコンベアマガジン式給袋装置を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-233975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
袋は、所望の向きを持った状態で包装機などの袋処理装置に供給されることが求められる。しかしながら袋処理装置に供給される大量の袋の全てが、必ずしも最初から適切な向きを持っているとは限らない。そのような場合、各袋は、事前に向きがチェックされて必要に応じて向きが直された後に、袋処理装置に供給される。
【0006】
袋の向きを直すためには、袋を回転させる必要がある。したがって、袋処理装置に供給される前に袋を回転させて袋の向きを矯正するためのスペースを確保する必要がある。袋の向きの矯正は、通常、袋の表面及び裏面が上下方向に向けられた状態で袋が鉛直軸線を中心に180度回転させられることによって行われる。この場合、袋が水平方向に延在する状態で180度回転可能なスペースを確保する必要がある。
【0007】
このような袋の向きを矯正するためのスペースは、複数の搬送ラインが設けられる場合にも確保する必要である。そのため隣り合う搬送ライン間に十分な間隔を設けることで、隣り合う搬送ラインに沿って搬送される袋がお互いに接触することなく回転することができるようにすることが求められる。
【0008】
その一方で、搬送ライン間の間隔は必ずしも自由には決められない。例えば、複数のグリッパーペアに袋を供給するために複数の搬送ラインに沿って複数の袋を搬送する場合、グリッパーペア間隔に応じて搬送ライン間隔が決められることが求められる。一方、袋の向きを矯正するためのスペースを確保するために、グリッパーペア間隔よりも大きな間隔を搬送ライン間に設けることが求められる場合がある。この場合、袋の向きを矯正した後に搬送ライン間の間隔をグリッパーペア間隔に合わせて狭めるための搬送ライン構成が必要になる。
【0009】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、搬送ライン間の間隔の増大を抑えつつ、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋を回転させることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、搬送方向に延び、搬送方向と直角を成す方向に隣り合って位置する複数の搬送ラインと、複数の袋を複数の搬送ラインのそれぞれに沿って搬送する搬送装置と、複数の袋の向きを検出する向き検出装置と、向き検出装置の検出結果に応じて、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋の向きを矯正する向き矯正装置と、を備え、お互いに隣り合って位置する2つの搬送ラインのうちの一方に沿って搬送される袋の向きを向き矯正装置によって矯正する位置と、他方に沿って搬送される袋の向きを向き矯正装置によって矯正する位置とは、搬送方向及び高さ方向のうちの少なくともいずれかの方向にずらされている搬送システムに関する。
【0011】
本開示の他の態様は、搬送方向に延び、搬送方向と直角を成す方向に隣り合って位置する複数の搬送ラインと、複数の袋を複数の搬送ラインのそれぞれに沿って搬送する搬送装置と、複数の袋の向きを検出する向き検出装置と、向き検出装置の検出結果に応じて、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋の向きを矯正する向き矯正装置と、を備え、向きが矯正される袋は、向き矯正装置によって、搬送方向に延びる搬送軸線を中心に回転させられて矯正姿勢の状態に置かれ、矯正姿勢の状態で向きが矯正される搬送システムに関する。
【0012】
お互いに隣り合って位置する2つの搬送ラインのうちの一方に沿って搬送される袋の向きを向き矯正装置によって矯正する位置と、他方に沿って搬送される袋の向きを矯正装置によって矯正する位置とは、搬送方向に関してずらされていてもよい。
【0013】
向き矯正装置は、複数の搬送ラインのそれぞれに対応するように複数設けられ、複数の向き矯正装置の各々は、搬送方向に袋を移送しつつ袋の向きを矯正してもよい。
【0014】
複数の向き矯正装置は、一体的に設けられ、搬送方向に沿って一緒に往復移動してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、搬送ライン間の間隔の増大を抑えつつ、複数の搬送ラインに沿って搬送される複数の袋を回転させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、搬送システムの一例を示す側面図である。
図2図2は、搬送システムの一例を示す平面図である。
図3図3は、往復移動ユニットの一例を示す平面図である。
図4A図4Aは、袋束の収容例を説明する斜視図である。
図4B図4Bは、袋束の収容例を説明する斜視図である。
図5図5は、搬送システムの制御構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、搬送システムの作動例を示す図である。
図7図7は、搬送システムの作動例を示す図である。
図8図8は、搬送システムの作動例を示す図である。
図9図9は、搬送システムの作動例を示す図である。
図10図10は、第1変形例に係る搬送システムを示す図である。
図11図11は、第2変形例に係る袋の向きを矯正する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、搬送システム10の一例を示す側面図である。図2は、搬送システム10の一例を示す平面図である。図3は、往復移動ユニット40の一例を示す平面図である。図4A及び図4Bは、袋束91の収容例を説明する斜視図である。
【0019】
以下の説明においてX方向、Y方向及びZ方向は互いに直交し、X方向及びY方向は水平方向に延び、Z方向は高さ方向に延びる。
【0020】
搬送システム10は、袋束91から1枚ずつ袋90を取り出し、袋90の向きを必要に応じて矯正し、適正な向きを有する袋90を後段に設けられる袋受取装置48に送り出す。特に本実施形態の搬送システム10は、複数の搬送ライン15を備え、複数の搬送ライン15のそれぞれに沿って複数の袋90を同時的に搬送方向(X方向)に搬送する。
【0021】
袋90のサイズ及び形状は限定されないが、本例では長方形の平面形状を有する空の袋(空袋)90が搬送システム10において搬送される。各袋90は縦方向(袋90の頂部及び底部の一方から他方に向かう方向)において相対的に大きなサイズを有し、幅方向(袋90の頂部及び底部の各々が延びる方向)において相対的に小さなサイズ(縦方向サイズよりも小さなサイズ)を有する。
【0022】
袋束91は、高さ方向(Z方向)に積み重ねられる複数の袋90を有する。本例の各袋束91は、図4Aに示すように、相対的に厚みが大きい厚肉部91aと、相対的に厚みが小さい薄肉部91bと有する。図4Bに示すように、高さ方向に隣り合う一方の袋束91の厚肉部91aと、他方の袋束91の薄肉部91bとが隣り合うように、複数の袋束91は積み重ねられる。
【0023】
各袋90が自立袋の場合、口部が設けられる頂部に比べ、折り畳み構造を持つ底部の厚みが大きいことがある。また各袋90の頂部にスパウトが取り付けられる場合、スパウトを含む各袋90の全体としては底部に比べ頂部の厚みが大きいことがある。このように局所的に厚みが異なる複数の袋90が同じ姿勢及び同じ向きで積み重ねられて形成される袋束91は、厚肉部及び薄肉部を有する。
【0024】
厚肉部91a及び薄肉部91bを有する複数の袋束91を段ボールなどの収容箱に収容する際に、袋束91の頂部及び底部の位置を互い違いにしつつ袋束91を順次積み重ねることで(図4B参照)、複数の袋束91をスペース効率良く収容箱に収容できる。
【0025】
ただし、この場合、収容箱内の複数の袋束91に含まれる袋90の向きは一定にならない。そのため収容箱から複数の袋90を一度に取り出す場合、当該複数の袋90には異なる向きを有する袋90が混在しうる。特に、収容箱内において袋束91の厚みが変わりうる場合、ロボットハンドなどの機械によって同じ向きを有する複数の袋90のみを正確に取り出すことは簡単ではない。そのため、収容箱から取り出された各袋90の向きがチェックされ、必要に応じて各袋90の向きが矯正され、その後、各袋90は後段に送られる。
【0026】
本例の搬送システム10は、図2に示すように、各々が搬送方向(X方向)に延びる複数の搬送ライン15(第1搬送ライン15a~第4搬送ライン15d)を有する。複数の搬送ライン15は、搬送方向と直角を成す水平方向(Y方向)に一定間隔で並べられる。
【0027】
本実施形態において隣り合う搬送ライン15間の間隔(特に搬送ライン15のY方向中心位置間の距離)は、袋90の平面サイズの最大長さよりも小さい。長方形の平面形状を有する袋90が各搬送ライン15に沿って搬送される場合、隣り合う搬送ライン15のY方向中心位置間の間隔は、袋90の側壁面(すなわち縦方向に延びる2つの辺及び幅方向に延びる2つの辺により区画される表面又は裏面)の対角線の長さよりも小さい。
【0028】
各搬送ライン15に対し、袋束押込装置25、向き検出装置12、袋検出センサ36、袋取出装置38、向き矯正装置13、コンベア部43、可動ストッパー45及び袋受渡部47が設けられる。
【0029】
袋束押込装置25は、図1に示す架台21上に設けられる押込駆動部26及び押込部27を有する。押込部27は、搬送方向(X方向)に延びる部分と、高さ方向(Z方向)に延びる部分とを有する。押込部27は、押込駆動部26により駆動され、搬送方向(X方向)に沿って往復移動する。搬送方向の順方向(図1及び図2の右方向)を順搬送方向と呼び、搬送方向の逆方向(図1及び図2の左方向)を逆搬送方向と呼ぶ。以下の説明において、特に断りがない限り、下流側は順搬送方向側を指し、上流側は逆搬送方向側を指す。
【0030】
押込部27(特に高さ方向に延びる部分)は、順搬送方向及び逆搬送方向に移動する際、第1載置台31に設けられる第1載置台溝31a及び第2載置台32に設けられる第2載置台溝32aを通る。本例では、第1載置台31及び第2載置台32が搬送方向(X方向)にお互いから離されて設けられるが、第1載置台31及び第2載置台32は搬送方向にお互いに接触していてもよいし、第1載置台31及び第2載置台32は一体的に設けられてもよい。
【0031】
第1載置台31に載せられた袋束91は、順搬送方向に移動する押込部27により押されて順搬送方向に移動され、第2載置台32に載せられる。第2載置台32の載置面の高さ位置は、第1載置台31の載置面の高さ位置と同じか、第1載置台31の載置面の高さ位置よりも低い。そのため第1載置台31上の袋束91は、押込部27により押されることで、スムーズに第2載置台32上に移ることができる。
【0032】
袋束91が第2載置台32に載せられた後、押込部27は逆搬送方向に移動し、第1載置台31よりも逆搬送方向側に位置する待機位置(図1参照)に配置される。押込部27が待機位置に配置されている状態で、空の第1載置台31に新たな袋束91が載せられる。第1載置台31に袋束91を載せる手法は限定されず、人手によって第1載置台31に袋束91が載せられてもよいし、ロボットハンドなどの機械によって第1載置台31に袋束91が載せられてもよい。そして第2載置台32から全ての袋90が取り出された後、第1載置台31上の袋束91が押込部27によって順搬送方向に移動させられて、第2載置台32上に新たな袋束91が補給される。
【0033】
第2載置台32上における袋90の有無は、袋検出センサ36によって検出される。袋検出センサ36の具体的な構成は限定されず、例えば光センサを利用して袋検出センサ36を構成可能である。図1に示す袋検出センサ36は、架台21に固定される第2支持ブロック35に取り付けられ、第2載置台32上における袋90の有無を第2載置台溝32a(図2参照)を介して検出することができる。
【0034】
第2載置台32の下流側には、袋90を下流に向けて搬送するコンベア部43が設けられる。本例のコンベア部43は、Y方向に離間して設けられる2つの無端状紐ベルト(図2参照)と、コンベア支持部42に回転自在に取り付けられて各無端状紐ベルトを案内する複数の案内ローラと、各無端状紐ベルトに動力を伝えて各無端状紐ベルトを走行させるコンベア駆動部44と、を有する。コンベア駆動部44の駆動下で、2つの無端状紐ベルト(特に上方に向けて露出する部分)は、載せられた袋90とともに搬送方向(X方向)に間欠的に移動する。なお、2つの無端状紐ベルトは、コンベア駆動部44の駆動下で、間欠的に停止することなく、継続的に走行してもよい。
【0035】
架台21には、往復移動ユニット40が順搬送方向及び逆搬送方向へ往復移動可能に取り付けられる。本例の往復移動ユニット40は、往復支持プレート53と、往復支持プレート53に取り付けられる複数(4つ)の袋取出装置38及び複数(4つ)の向き矯正装置13(第1向き矯正装置13a~第4向き矯正装置13d)とを有する。往復支持プレート53は、平行リンク機構を構成する複数(4つ)の往復駆動リンク54を介し、第2支持ブロック35及び往復移動駆動部41に連結される。第2支持ブロック35及び往復移動駆動部41は架台21に対して固定的に取り付けられている。
【0036】
往復移動駆動部41から1つの往復駆動リンク54に回転動力が伝えられることによって、各往復駆動リンク54が揺動し、往復支持プレート53に取り付けられる複数の袋取出装置38及び複数の向き矯正装置13が一体的に順搬送方向及び逆搬送方向に移動する。このように往復移動駆動部41は、各袋取出装置38及び各向き矯正装置13を移動させる駆動部である。
【0037】
袋取出装置38は、取出伸縮部56及び取出吸盤50を備える。取出伸縮部56は、例えばエアシリンダーにより構成され、本体部からの下向き突出量が可変な突出ロッドを具備し、当該突出ロッドの先端(下端)に取出吸盤50が取り付けられる。取出吸盤50は吸引及び吸引解放を切り替え可能に設けられており、袋90の吸引保持及び吸引保持解放を切り替えることができる。
【0038】
袋取出装置38は、取出吸盤50が第2載置台32上の袋90を吸引して保持している状態で搬送方向(X方向)に移動し、袋90がコンベア部43と向かい合う位置で取出吸盤50が袋90の保持を解放することでコンベア部43上に袋90が載せられる。このようにして袋取出装置38は、第2載置台32からコンベア部43に1枚ずつ袋90を移送する。
【0039】
架台21上には、スタンド33及び第1支持ブロック34を介して向き検出装置12が設けられる。向き検出装置12は、袋90の向きを検出する装置である。本例の向き検出装置12は、袋取出装置38によって第2載置台32から持ち上げられて移送される袋90の向きを検出する。本例では袋90を撮像可能な撮像装置によって向き検出装置12が構成されるが、向き検出装置12の構成は限定されない。例えば向き検出装置12は、レーザー光などの検出光を検出対象の袋90に照射し、袋90におけるレーザー光の反射、遮断及び/又は透過などに基づいて袋90の向きを検出してもよい。
【0040】
向き矯正装置13は、矯正伸縮部57、回転部52及び向き変更吸盤51を備える。矯正伸縮部57は、例えばエアシリンダーにより構成され、本体部からの下向き突出量が可変な突出ロッドを具備し、当該突出ロッドの先端(下端)に回転部52及び向き変更吸盤51が取り付けられる。向き矯正装置13は、向き変更吸盤51が袋90を吸引保持している状態でコンベア部43から袋90を持ち上げつつ、必要に応じて回転部52が回転することで袋90を回転させて袋90の向きを矯正し、向き変更吸盤51が袋90の保持を解放することで袋90が再びコンベア部43に載せられる。
【0041】
上述のように、各袋90は、第1載置台31、第2載置台32及びコンベア部43を経て下流に送られる。本例において、各袋90は、図2に示すように上流から下流に向けて第1搬送エリアP1、第2搬送エリアP2、第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4、第5搬送エリアP5及び第6搬送エリアP6を順次経て送られる。第1搬送エリアP1は第1載置台31に対応するエリアであり、第2搬送エリアP2は第2載置台32に対するエリアである。第3搬送エリアP3~第6搬送エリアP6はコンベア部43に対応するエリアである。
【0042】
各搬送ライン15に対して設けられる袋取出装置38は、第2搬送エリアP2及び第3搬送エリアP3において往復移動する。
【0043】
隣り合う搬送ライン15のうちの一方(図2に示す第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15c)に対して設けられる向き矯正装置13(図2に示す第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13c)は、第3搬送エリアP3及び第4搬送エリアP4において往復移動する。一方、隣り合う搬送ライン15のうちの他方(図2に示す第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15d)に対して設けられる向き矯正装置13(図2に示す第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13d)は、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5において往復移動する。
【0044】
このように往復支持プレート53に取り付けられる「全ての袋取出装置38」、「第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13c」及び「第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13d」は、搬送方向(X方向)に関して1つの搬送エリアずつずれて位置するように設けられる。
【0045】
各搬送ライン15の第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5の各々に対しては、可動ストッパー45が設けられる。なお図2において各可動ストッパー45は簡略化して示されている。可動ストッパー45は、閉位置に配置されている間、対応の搬送エリアに位置する袋90の下流への移動を阻止し、開位置配置されている間、対応の搬送エリアに位置する袋90の下流への移動を許容する。
【0046】
袋受渡部47は、第6搬送エリアP6に位置する袋90を保持してコンベア部43から持ち上げて移動し、当該袋90を袋受取装置48に渡す。なお袋受渡部47と袋受取装置48との間にグリッパー装置などの中継装置(図示省略)が設けられ、袋受渡部47から中継装置に袋90が渡され、中継装置から袋受取装置48に袋90が渡されてもよい。
【0047】
袋受取装置48は、袋受渡部47から受け取った袋90を後段に移動する。袋受取装置48により後段に移動された袋90は、他の装置によって任意の処理を受けてもよいし、袋受取装置48から解放されて貯留部(図示省略)に貯留されてもよい。
【0048】
図5は、搬送システム10の制御構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
搬送システム10の制御部60は、向き検出装置12、袋検出センサ36、回転部52及び押込駆動部26に接続されている。
【0050】
向き検出装置12によって検出される「袋90の向きの情報」は、向き検出装置12から制御部60に送られる。
【0051】
制御部60は、向き検出装置12の検出信号に応じて、袋90の向きを直す必要があるか否かを判定する。袋90の向きを直す必要があると判定された場合、制御部60の制御下で、対応の向き変更吸盤51が袋90を保持している状態で対応の回転部52が回転させられて、袋90の向きが直される。一方、袋90の向きを直す必要がないと判定された場合、制御部60の制御下で、対応の向き変更吸盤51が袋90を保持している状態で対応の回転部52が回転させられず、袋90の向きが維持される。
【0052】
また袋検出センサ36によって検出される「第2載置台32における袋90の有無の情報」は、袋検出センサ36から制御部60に送られる。
【0053】
制御部60は、袋検出センサ36の検出信号に応じて、第2載置台32に袋束91を補給する必要があるか否かを判定する。第2載置台32に袋束91の補給が必要であると判定された場合、制御部60の制御下で、押込駆動部26が押込部27を順搬送方向に移動させて、第1載置台31から第2載置台32に新たな袋束91が移動される。一方、第2載置台32における袋束91の補給が必要ではないと判定された場合、制御部60の制御下で、押込駆動部26は押込部27を待機位置で待機する。
【0054】
次に、搬送システム10の作動例について説明する。
【0055】
図6図9は、搬送システム10の作動例を示す図である。
【0056】
各袋90は、人手又は機械によって袋束91として第1搬送エリアP1(第1載置台31)に供給され、袋束押込装置25によって第1搬送エリアP1(第1載置台31)から第2搬送エリアP2(第2載置台32)に搬送される。そして各袋90は、袋取出装置38によって第2搬送エリアP2(第2載置台32)から第3搬送エリアP3(コンベア部43)に搬送される。
【0057】
そして第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cに沿って搬送される各袋90は、向き矯正装置13によって第3搬送エリアP3(コンベア部43)から第4搬送エリアP4(コンベア部43)に搬送され、コンベア部43によって第4搬送エリアP4(コンベア部43)から第5搬送エリアP5(コンベア部43)に搬送される。
【0058】
一方、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dに沿って搬送される各袋90は、コンベア部43によって第3搬送エリアP3(コンベア部43)から第4搬送エリアP4(コンベア部43)に搬送され、向き矯正装置13によって第4搬送エリアP4(コンベア部43)から第5搬送エリアP5(コンベア部43)に搬送される。
【0059】
そして各搬送ライン15において各袋90は、コンベア部43によって第5搬送エリアP5から第6搬送エリアP6に搬送され、袋受渡部47によって第6搬送エリアP6から袋受取装置48に搬送される。
【0060】
このように袋90を順搬送方向(X方向)に搬送する搬送装置11は、袋束押込装置25、袋取出装置38、向き矯正装置13、コンベア部43及び袋受渡部47を含み、各袋90は、対応の搬送装置11によって順搬送方向へ間欠的に搬送される。
【0061】
各袋90は、上述のようにして第2搬送エリアP2~第5搬送エリアP5を移送される間、以下のようにして必要に応じて回転させられ、各袋90の向きの矯正が行われる。
【0062】
すなわち図6に示す状態において、各搬送ライン15に関し、第1載置台31(第2搬送エリアP2)には袋束91が置かれ、コンベア部43の第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5の各々には袋90が載せられている。
【0063】
コンベア部43の第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5の各々に載せられている袋90は、対応の閉状態の可動ストッパー45によって、下流(順搬送方向)に搬送されないようになっている。なおコンベア部43の第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5の各々に載せられている袋90は、閉状態の対応の可動ストッパー45に接触していてもよいし、接触しなくてもよい。例えば、コンベア部43が走行せずに停止している状態で、コンベア部43の第3搬送エリアP3~第5搬送エリアP5のそれぞれに袋90が停止状態で載せられていてもよい。或いは、コンベア部43が走行しつつ、コンベア部43上の袋90が第3搬送エリアP3~第5搬送エリアP5のそれぞれにおいて対応の閉状態の可動ストッパー45によって堰き止められ、下流への移動が防がれていてもよい。
【0064】
各往復駆動リンク54が図6に示す第1揺動姿勢位置に配置されることで、往復支持プレート53は第1揺動支持位置に配置される。その結果、それぞれの搬送ライン15に対応付けられる全ての袋取出装置38が第2搬送エリアP2に位置付けられ、第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cに対応付けられる第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cが第3搬送エリアP3に位置付けられ、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dに対応付けられる第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dが第4搬送エリアP4に位置付けられる。
【0065】
各往復駆動リンク54が第1揺動姿勢位置に配置されている状態で、各袋取出装置38が有する取出伸縮部56の突出ロッドの下向き突出量が増大され、第1載置台31上の袋束91の最上位置の袋90の表面(露出面)に取出吸盤50が吸着する。また第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの矯正伸縮部57の突出ロッドの下向き突出量が増大され、第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第3搬送エリアP3におけるコンベア部43上の袋90の表面に向き変更吸盤51が吸着する。また第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの矯正伸縮部57の突出ロッドの下向き突出量が増大され、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第4搬送エリアP4におけるコンベア部43上の袋90の表面に向き変更吸盤51が吸着する。
【0066】
その後、図7に示すように、各袋取出装置38の取出吸盤50が袋90を吸引保持している状態で、各取出伸縮部56の突出ロッドの下向き突出量が低減され、袋90が取出吸盤50とともにZ方向に持ち上げられる。また各向き矯正装置13(第1向き矯正装置13a~第4向き矯正装置13dの各々)の向き変更吸盤51が袋90を吸引保持している状態で、各矯正伸縮部57の突出ロッドの下向き突出量が低減され、袋90が向き変更吸盤51とともにZ方向に持ち上げられる。
【0067】
その後、往復移動駆動部41の駆動下で各往復駆動リンク54が第1揺動姿勢位置(図7参照)から第2揺動姿勢位置(図8参照)に向かって揺動する。当該過程において、各往復駆動リンク54は円弧軌道に沿って移動し、往復支持プレート53は順搬送方向(X方向)に移動しつつ、一旦上昇し、その後降下し、第2揺動支持位置(図8参照)に配置される。当該過程において、各取出吸盤50が吸着する袋90及び各向き変更吸盤51が吸着する袋90も、順搬送方向に移動しつつ、一旦上昇し、その後降下する。
【0068】
その結果、各袋取出装置38(各取出吸盤50)は袋90を第2搬送エリアP2から第3搬送エリアP3に搬送し、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13c(向き変更吸盤51)は袋90を第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に搬送し、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13d(向き変更吸盤51)は袋90を第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に搬送する。
【0069】
なお往復移動ユニット40が平行リンク機構を利用しているため、各往復駆動リンク54が第1揺動姿勢位置(図7参照)から第2揺動姿勢位置(図8参照)に揺動する間、各取出吸盤50及び各向き変更吸盤51は下向きを維持しつつ順搬送方向に移動し、それぞれの取出吸盤50及び向き変更吸盤51によって保持される袋90も基本的に姿勢を維持しつつ順搬送方向に移動する。
【0070】
本実施形態では、取出吸盤50(袋取出装置38)によって第1載置台31から持ち上げられた袋90の向きが対応の向き検出装置12によって検出され(図7参照)、検出結果が向き検出装置12から制御部60(図5参照)に送られる。向き検出装置12の検出結果に基づいて、袋90の向きが不適切であり袋90の向きを直す必要があると制御部60が判定する場合、制御部60の制御下で対応の向き矯正装置13(特に回転部52)によって袋90は回転され、袋90の向きが直される。
【0071】
すなわち第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cに沿って搬送される袋90の向きを直す必要がある場合、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cによって第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に移送される間に(すなわち対応の向き変更吸盤51によって空中で吸引保持されている間に)、回転部52が回転させられることで袋90は向き変更吸盤51とともに180度回転させられる。
【0072】
同様に、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dに沿って搬送される袋90の向きを直す必要がある場合、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dによって第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に移送される間に(すなわち対応の向き変更吸盤51によって空中で吸引保持されている間に)、回転部52が回転させられることで袋90は向き変更吸盤51とともに180度回転させられる。
【0073】
図7及び図8に示す例では、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの向き変更吸盤51により吸引保持されている袋90は、向き矯正が不要であると判定され、対応の回転部52により回転させられることなく第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に移送されている。一方、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの向き変更吸盤51により吸引保持されている袋90は、向き矯正が必要であると判定されて、第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に移送される間に対応の回転部52により180度回転させられ、袋90の向きが直されている。
【0074】
その後、図9に示すように、各往復駆動リンク54が第2揺動姿勢位置に配置されている状態で、各袋取出装置38が有する取出伸縮部56の突出ロッドの下向き突出量が増大され、取出吸盤50により保持されている袋90が、コンベア部43のうち第3搬送エリアP3に対応する部分に近づけられ又は載せられる。また第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの矯正伸縮部57の突出ロッドの下向き突出量が増大され、向き変更吸盤51により保持されている袋90が、コンベア部43のうち第4搬送エリアP4に対応する部分に近づけられ又は載せられる。また第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの矯正伸縮部57の突出ロッドの下向き突出量が増大され、向き変更吸盤51により保持されている袋90が、コンベア部43のうち第5搬送エリアP5に対応する部分に近づけられ又は載せられる。
【0075】
その後、各取出吸盤50は、対応の袋90が第3搬送エリアP3に配置されている状態で、対応の袋90の吸引保持を解除する。その結果、各搬送ライン15の第3搬送エリアP3において袋取出装置38からコンベア部43に袋90が受け渡される。また第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの向き変更吸盤51は、対応の袋90が第4搬送エリアP4に配置されている状態で、対応の袋90の吸引保持を解除する。その結果、第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第4搬送エリアP4において第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cからコンベア部43に袋90が受け渡される。また第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの向き変更吸盤51は、対応の袋90が第5搬送エリアP5に配置されている状態で、対応の袋90の吸引保持を解除する。その結果、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第5搬送エリアP5において第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dからコンベア部43に袋90が受け渡される。
【0076】
全ての取出吸盤50及び全ての向き変更吸盤51の吸引保持が解放された後、往復移動駆動部41の駆動下で各往復駆動リンク54は第2揺動姿勢位置(図9参照)から揺動されて第1揺動姿勢位置(図6参照)に配置される。
【0077】
上述のようにして第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cにより第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に袋90が空中移送される間、コンベア部43によって第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に袋90が移送される。すなわち第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第3搬送エリアP3においてコンベア部43上に位置する袋90は、対応の可動ストッパー45が開かれた状態で、コンベア部43(対応の2つの無端状紐ベルト)に載せられたまま、コンベア部43によって第4搬送エリアP4に移送される。
【0078】
また第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dにより第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に袋90が空中移送される間、コンベア部43によって第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に袋90が移送される。すなわち第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第4搬送エリアP4においてコンベア部43上に位置する袋90は、対応の可動ストッパー45が開かれた状態で、コンベア部43に載せられたまま、コンベア部43によって第5搬送エリアP5に移送される。
【0079】
上述のように、各往復駆動リンク54が第1揺動姿勢位置から第2揺動姿勢位置に移動し、その後第2揺動姿勢位置から第1揺動姿勢位置に戻る間に、第2搬送エリアP2~第4搬送エリアP4に位置する各袋90は順搬送方向(X方向)に1搬送エリア分だけ下流に送られる。
【0080】
また、各搬送ライン15の第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5への袋90の搬送が完了する前に、各搬送ライン15の第5搬送エリアP5においてコンベア部43上に位置する袋90は、対応の可動ストッパー45が開かれた状態で、コンベア部43に載せられたまま、コンベア部43によって第5搬送エリアP5から第6搬送エリアP6に搬送される。
【0081】
各搬送ライン15の第6搬送エリアP6に配置される袋90は、新たな袋90が第6搬送エリアP6に配置される前に(好ましくはコンベア部43が間欠的に停止している間に)、袋受渡部47によって保持され、袋受取装置48に渡される。
【0082】
上述の一連の処理を繰り返すことによって、各袋90は第2搬送エリアP2から下流に向けて間欠的に送られる。
【0083】
以上説明したように本実施形態の搬送システム10は、搬送方向(X方向)に延び、搬送方向と直角を成す方向(Y方向)に隣り合って位置する複数の搬送ライン15と、複数の袋90を複数の搬送ライン15のそれぞれに沿って搬送する搬送装置11(袋束押込装置25、袋取出装置38、向き矯正装置13、コンベア部43及び袋受渡部47)と、複数の袋90の向きを検出する向き検出装置12と、向き検出装置12の検出結果に応じて、複数の搬送ライン15に沿って搬送される複数の袋90の向きを矯正する向き矯正装置13と、を備える。そしてお互いに隣り合って位置する2つの搬送ライン15のうちの一方(第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15c)に沿って搬送される袋90の向きを向き矯正装置13によって矯正する位置と、他方(第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15d)に沿って搬送される袋90の向きを向き矯正装置13によって矯正する位置とは、搬送方向及び高さ方向のうちの少なくともいずれかの方向(本例では搬送方向(X方向))にずらされている。
【0084】
これにより、搬送ライン15間の間隔の増大を抑えつつ、複数の搬送ライン15に沿って搬送される複数の袋90を、必要に応じて、適切に回転させてその向きを直すことが可能である。
【0085】
また向き矯正装置13は、複数の搬送ライン15のそれぞれに対応するように複数設けられ、複数の向き矯正装置13の各々は、搬送方向に袋90を移送しつつ袋90の向きを矯正する。
【0086】
これにより、各袋90を搬送方向に効率良く搬送することができ、袋90の向きの矯正による袋90の搬送効率の低下を効果的に抑えることができる。
【0087】
また複数の向き矯正装置13は、一体的に設けられ、搬送方向に沿って一緒に往復移動する。
【0088】
これにより、向き矯正装置13の駆動系の構成を簡素化できる。
【0089】
またコンベア部43として2つの無端状紐ベルトを使用することで、紐ベルト間のスペースを様々な用途に使用しうる。例えば、各搬送エリア及び/又は搬送エリア間において、紐ベルト上における袋90の有無を紐ベルト間のスペースを介して検出可能なセンサが設けられてもよい。また紐ベルト間のスペースを通って移動可能な移動部を設置することが可能である。例えば、各取出吸盤50からの袋90のリリース時に各取出吸盤50の真下において、昇降可能な移動部を上昇位置に配置することで、各取出吸盤50からの袋90の自由落下距離を低減できる。同様に、各向き変更吸盤51からの袋90のリリース時に各向き変更吸盤51の真下において、昇降可能な移動部を上昇させて上昇位置に配置することで、各向き変更吸盤51からの袋90の自由落下距離を低減できる。また各向き変更吸盤51に袋90を保持させる際に、昇降可能な移動部を上昇させて、移動部上の袋90を向き変更吸盤51に押し当てててもよい。
【0090】
[第1変形例]
図10は、第1変形例に係る搬送システム10を示す図である。本変形例において、上述の実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
隣り合う2つの搬送ライン15間において袋90の向きを矯正する位置は、上述の実施形態では搬送方向(X方向)にずらされているが、高さ方向(Z方向)にずらされていてもよい。
【0092】
図10に示す例では、第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cの第3搬送エリアP3においてコンベア部43上に配置されている袋90は、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cにより持ち上げられて相対的に高い位置(第1高さ位置)で回転させられることで、向きが直される。
【0093】
一方、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dの第3搬送エリアP3においてコンベア部43上に配置されている袋90は、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dにより持ち上げられて相対的に低い位置(第1高さ位置よりも低い第2高さ位置)で回転させられることで、向きが直される。
【0094】
第1向き矯正装置13a~第4向き矯正装置13dの構成及び配置は限定されない。特に、第1向き矯正装置13a~第4向き矯正装置13dによる袋90の持ち上げ及び回転の手法は限定されず、例えば上述の向き変更吸盤51及び回転部52を利用してもよい。
【0095】
図10に示す第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cは、対象の袋90よりも高い位置に配置された状態で、対象の袋90を持ち上げる。一方、図10に示す第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dは、対象の袋90よりも低い位置に配置された状態で、対象の袋90を持ち上げる。ただし第1向き矯正装置13a~第4向き矯正装置13dの全てが、対象の袋90よりも高い位置に配置された状態で対象の袋90を持ち上げてもよいし、対象の袋90よりも低い位置に配置された状態で対象の袋90を持ち上げてもよい。
【0096】
本変形例によれば、搬送ライン15間のY方向間隔だけではなく、各搬送ライン15のX方向長さの増大を抑えつつ、複数の搬送ライン15に沿って搬送される複数の袋90を必要に応じて回転させてその向き矯正を行うことができる。
【0097】
[第2変形例]
図11は、第2変形例に係る袋90の向きを矯正する方法を示す図である。本変形例において、上述の実施形態及び第1実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0098】
上述の実施形態では、袋90の表面及び裏面が上下方向に向けられた状態で袋が鉛直軸線を中心に180度回転させられることによって袋90の向きが直される。一方、本変形例では、袋90の表面及び裏面が水平方向に向けられた状態で袋90を貫通する水平軸線(回転軸線Hx)を中心に袋90が180度回転させられることによって袋90の向きが直される。
【0099】
図11に示す例において、各搬送ライン15に沿って搬送される横臥姿勢の袋90は、搬送装置11により第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4に搬送される間に、搬送方向(X方向)に延びる搬送軸線Axを中心に90度回転される。その結果、袋90の姿勢が横臥姿勢から起立姿勢状態に変更される。
【0100】
搬送軸線Axは、少なくとも第3搬送エリアP3、第4搬送エリアP4及び第5搬送エリアP5において搬送される袋90を、通過する軸線である。
【0101】
袋90は、搬送装置11により第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に搬送される間、向き矯正装置13により袋90の中心を水平方向に貫通する回転軸線Hxを中心に180度回転させられることによって、袋90の向きが直される。
【0102】
図11に示す例において、第4搬送エリアP4において頂部92が逆搬送方向側(第3搬送エリアP3側)に位置し且つ底部93が順搬送方向側(第5搬送エリアP5側)に位置する袋90は、第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5に搬送される間に回転軸線Hxを中心に回転させられる。その結果、袋90は、第5搬送エリアP5において、頂部92が順搬送方向側に位置し且つ底部93が逆搬送方向側に位置する状態に置かれる。
【0103】
以上説明したように本変形例の搬送システム10は、搬送方向(X方向)に延び、搬送方向と直角を成す方向(Y方向)に隣り合って位置する複数の搬送ライン15と、複数の袋90を複数の搬送ライン15のそれぞれに沿って搬送する搬送装置11と、複数の袋90の向きを検出する向き検出装置12と、向き検出装置12の検出結果に応じて、複数の搬送ライン15に沿って搬送される複数の袋90の向きを矯正する向き矯正装置13と、を備え、向きが矯正される袋90は、向き矯正装置13によって、搬送方向に延びる搬送軸線Axを中心に回転させられて矯正姿勢(起立姿勢)の状態に置かれ、矯正姿勢の状態で向き矯正装置13によって向きが矯正される。
【0104】
これにより、搬送ライン15間のY方向間隔の増大を抑えつつ、複数の搬送ライン15に沿って搬送される複数の袋90を回転させることが可能である。
【0105】
なお上述の例において、袋90は、その向きが直されるのに先立って搬送軸線Axを中心に90度回転されるが、搬送軸線Axを中心に他の角度(例えば0度~90度の範囲の任意の角度)回転されてもよい。また袋90は、必ずしも搬送軸線Axを中心に回転されなくてもよく、任意のやり方で横臥姿勢から傾けられた姿勢(傾斜姿勢)又は起立姿勢をとってもよい。例えば、袋90は、水平方向及び鉛直方向の双方に対して傾斜する方向に延びる傾斜軸線が袋90の表面及び裏面を垂直に貫くような傾斜姿勢の状態で、当該傾斜軸線を中心に回転させられることで、その向きが直されてもよい。
【0106】
[他の変形例]
上述の実施形態では、各搬送ライン15において第3搬送エリアP3から第5搬送エリアP5にわたって袋90を搬送するために、向き矯正装置13による空中搬送と、コンベア部43による水平方向搬送とが組み合わされているが、空中搬送のみによって各袋90を第3搬送エリアP3から第5搬送エリアP5にわたって搬送してもよい。この場合、第3搬送エリアP3から第5搬送エリアP5にわたって袋90を搬送するためのコンベア部43の設置は不要である。
【0107】
例えば、往復支持プレート53に対し、向き変更吸盤51とともに吸盤装置(図示省略)を各搬送ライン15に対して設けてもよい。一例として、第1搬送ライン15a及び第3搬送ライン15cに沿って搬送される袋90は、第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4へは向き変更吸盤51により保持された状態で空中搬送され、第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5へは吸盤装置により保持された状態で空中搬送されてもよい。一方、第2搬送ライン15b及び第4搬送ライン15dに沿って搬送される袋90は、第3搬送エリアP3から第4搬送エリアP4へは吸盤装置により保持された状態で空中搬送され、第4搬送エリアP4から第5搬送エリアP5へは向き変更吸盤51に保持された状態で空中搬送されてもよい。
【0108】
また往復移動ユニット40は、上述の実施形態では往復駆動リンク54を使った平行リンク機構を利用して搬送方向に沿って往復移動するが、パラレルリンク機構等の他の機構を利用して搬送方向に沿って往復移動可能に設けられてもよい。
【0109】
また上述の実施形態の各袋取出装置38及び各向き矯正装置13は、高さ方向に伸縮する部分を有する伸縮部(取出伸縮部56及び矯正伸縮部57)を有する。ただし各袋取出装置38及び各向き矯正装置13を搬送方向に沿って往復移動させる平行リンク機構、パラレルリンク機構、或いはその他の機構によって各袋取出装置38及び各向き矯正装置13を高さ方向に十分量移動させることができる場合には、そのような伸縮部は設けられなくてもよい。
【0110】
例えば平行リンク機構(往復駆動リンク54)が第1揺動姿勢位置に配置されている状態で、各袋取出装置38の取出吸盤50が第2載置台32上の袋90の表面(露出面)に接触し、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの向き変更吸盤51がコンベア支持部42(第3搬送エリアP3)上の袋90の表面に接触し、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの向き変更吸盤51がコンベア支持部42(第4搬送エリアP4)上の袋90の表面に接触してもよい。また平行リンク機構が第2揺動姿勢位置に配置されている状態で、各袋取出装置38の取出吸盤50が保持する袋90がコンベア支持部42(第3搬送エリアP3)の近く又はコンベア支持部42(第3搬送エリアP3)上に位置付けられ、第1向き矯正装置13a及び第3向き矯正装置13cの向き変更吸盤51が保持する袋90がコンベア支持部42(第4搬送エリアP4)の近く又はコンベア支持部42(第4搬送エリアP4)上に位置付けられ、第2向き矯正装置13b及び第4向き矯正装置13dの向き変更吸盤51が保持する袋90がコンベア支持部42(第5搬送エリアP5)の近く又はコンベア支持部42(第5搬送エリアP5)上に位置付けられてもよい。これらの状態が満たされる場合、各袋取出装置38及び各向き矯正装置13は伸縮部(取出伸縮部56及び矯正伸縮部57)を有さなくてもよい。
【0111】
また上述の実施形態では搬送ライン15毎に対応の向き検出装置12が個別的に設けられるが、2以上の搬送ライン15(例えば全ての搬送ライン15)に対して1つの向き検出装置12が設けられてもよい。例えば向き検出装置12が撮像装置を具備する場合、1つの向き検出装置12によって全ての搬送ライン15における対象の袋90(例えば第2搬送エリアP2に位置する対象の袋90)が撮像され、制御部60が撮影画像を解析することによって、個々の搬送ライン15における対象の袋90の向きを個別的に検出してもよい。
【0112】
また上述の実施形態において、向き検出装置12は第2搬送エリアP2において袋90の向きを検出するが、他の位置で袋90の向きを検出してもよい。向き検出装置12は、袋90の向きが矯正される位置よりも上流の任意の位置で、袋90の向きを検出してもよい。
【0113】
また上述の実施形態では、往復移動駆動部41による往復駆動リンク54の駆動(すなわち各袋取出装置38及び各向き矯正装置13の往復移動駆動)、各取出吸盤50及び各向き変更吸盤51による吸引動作の実行駆動及び吸引動作の停止駆動(負圧解放駆動)、可動ストッパー45の開閉動作駆動、コンベア駆動部44によるコンベア部43の走行駆動、及び袋受渡部47の動作駆動は、制御部60により制御されることなく予め定められる一定のリズムで行われる。ただし、これらの駆動のうちの1以上が制御部60の制御下で適応的に行われてもよい。例えば、これらの駆動のうちの2以上のタイミングを、制御部60から発せられるクロック信号に基づいて決めることで、当該2以上の駆動を適切に相関させることができる。
【0114】
また各可動ストッパー45の開閉は任意の方法で実施可能である。例えば開状態の各可動ストッパー45の直下を移動する袋90の有無を検出するセンサの検出結果に応じて、制御部60の制御下で各可動ストッパー45の開閉が行われてもよい。また往復移動駆動部41の駆動状態及び/又は配置状態(すなわち各袋取出装置38及び各向き矯正装置13の駆動状態及び/又は配置状態)に応じて、制御部60の制御下で各可動ストッパー45の開閉が行われてもよい。
【0115】
また上述の実施形態では、向きを直す必要がある袋90だけではなく、向きを直す必要がない袋90も向き矯正装置13(向き変更吸盤51)により保持されて空中搬送されるが、向きを直す必要がない袋90は、向き矯正装置13ではなく、コンベア部43によって搬送方向に搬送してもよい。例えば、向きを直す必要がない袋90に対応する向き変更吸盤51は吸引保持動作(負圧形成動作)を行わないように、制御部60が対象の向き変更吸盤51を制御してもよい。
【0116】
上述の実施形態は4つの搬送ライン15が設けられているが、2つ、3つ又は5つ以上の搬送ライン15が設けられる場合にも、上述の技術を応用することが可能である。
【0117】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間において部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また、本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果も発揮されうる。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 搬送システム、11 搬送装置、12 向き検出装置、13 向き矯正装置、13a 第1向き矯正装置、13b 第2向き矯正装置、13c 第3向き矯正装置、13d 第4向き矯正装置、15 搬送ライン、15a 第1搬送ライン、15b 第2搬送ライン、15c 第3搬送ライン、15d 第4搬送ライン、21 架台、25 袋束押込装置、26 押込駆動部、27 押込部、31 第1載置台、31a 第1載置台溝、32 第2載置台、32a 第2載置台溝、33 スタンド、34 第1支持ブロック、35 第2支持ブロック、36 袋検出センサ、38 袋取出装置、40 往復移動ユニット、41 往復移動駆動部、42 コンベア支持部、43 コンベア部、44 コンベア駆動部、45 可動ストッパー、47 袋受渡部、48 袋受取装置、50 取出吸盤、51 向き変更吸盤、52 回転部、53 往復支持プレート、54 往復駆動リンク、56 取出伸縮部、57 矯正伸縮部、60 制御部、90 袋、91 袋束、91a 厚肉部、91b 薄肉部、92 頂部、93 底部、Ax 搬送軸線、Hx 回転軸線、L 検出光、P1 第1搬送エリア、P2 第2搬送エリア、P3 第3搬送エリア、P4 第4搬送エリア、P5 第5搬送エリア、P6 第6搬送エリア
図1
図2
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図4A
図4B
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図10
図11