(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063927
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 67/04 20060101AFI20230428BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B65G67/04
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174022
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】竹把 友一
【テーマコード(参考)】
3C707
3F076
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707ES17
3C707FS01
3C707FT02
3C707MT02
3C707NS02
3C707NS19
3F076AA01
3F076CA03
3F076CA04
3F076CA07
3F076DA01
3F076DA07
3F076DB01
3F076DB14
3F076EA02
3F076EA03
3F076FA01
3F076FA02
3F076GA09
(57)【要約】
【課題】移載装置で、1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるようにしてその効率向上を図る。
【解決手段】移載装置10は、荷物を1個以上まとめて把持位置で把持し解除位置で把持解除できる把持部20と、荷物を把持していない状態の把持部20を把持位置に移動し、荷物を把持している状態の把持部20を把持解除位置に移動する把持部移動装置21と、を有する。把持部20は、荷物に向かって前進可能であって、前進した状態で荷物を1個以上まとめて吸引可能で、荷物を1個以上まとめて吸引しながら荷物とともに後退可な吸引部と、吸引部で吸引されて後退した荷物を1個以上まとめて載置可能な下部支持部と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を1個以上まとめて把持位置で把持し解除位置で把持解除できる把持部と、
前記把持部を前記把持位置で把持したり把持解除位置で解除したりするために移動する把持部移動装置と、
前記把持部および前記把持部移動装置を制御する移動把持制御部を備えた制御装置と、
を有して、荷物をコンテナに積みつけたりコンテナから取り出したりするための移載装置であって、
前記把持部は、
前記荷物の移載適正位置に向かって前進可能であって、前進した状態で前記荷物を1個以上まとめて吸引しながら前記荷物とともに後退可な吸引部と、
前記吸引部で吸引されて後退した前記荷物を1個以上まとめて載置可能な下部支持部と、
を備えていること、を特徴とする移載装置。
【請求項2】
当該移載装置は、荷物をコンテナから取り出すためのものであって、
前記把持解除位置で把持解除された前記荷物を一時的に保持し所定の時間間隔で順次排出する保持排出部をさらに有し、
前記制御装置は、前記保持排出部を制御する時間間隔制御部を備えていること、
を特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記保持排出部は、前記荷物が載置されて断続的に駆動される保持コンベヤを含むこと、を特徴とする請求項2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記保持排出部は、前記荷物の通過を断続的に許容しまた阻止するゲートを備えていること、を特徴とする請求項2または請求項3に記載の移載装置。
【請求項5】
前記保持排出部は、前記荷物を搬送するための外部コンベヤに前記荷物を排出するものであること、を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の移載装置。
【請求項6】
当該移載装置は、荷物をコンテナに積みつけるためのものであって、
搬送された前記荷物を前記把持位置で一時的に保持する保持部をさらに有すること、
を特徴とする請求項1に記載の移載装置。
【請求項7】
前記御装置は、前記把持部および前記把持部移動装置を操作するための少なくとも1個のジョイスティックを備えていること、を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の移載装置。
【請求項8】
前記制御装置は、操作員からの入力が所定の時間無い場合に異常警報を出す警報処理部をさらに備えていること、を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックの荷台などのコンテナに積載された荷物を移載したり、コンテナに積みつけたりする移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの荷台などのコンテナに積載された荷物を自動で搬出して外部に移送する技術が知られている(特許文献1参照)。また、コンベヤ等で搬送された荷物をコンテナに自動で積載する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6172293号公報
【特許文献2】特公平8-15950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では荷物を1個ずつ取り扱うことが想定されており、複数個の荷物を同時に取り扱うことについての開示はない。
多数の荷物を搬送するうえで、複数個の荷物を同時に取り扱うことができれば作業効率が高まる。しかし、従来技術により複数個の荷物をまとめて取り扱うことには無理があった。
【0005】
この発明は、この点に注目して、1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるようにして、移載装置の効率向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る移載装置は、荷物を1個以上まとめて把持位置で把持し解除位置で把持解除できる把持部と、前記把持部を前記把持位置で把持したり把持解除位置で解除したりするために移動する把持部移動装置と、前記把持部および前記把持部移動装置を制御する移動把持制御部を備えた制御装置と、を有して、荷物をコンテナに積みつけたりコンテナから取り出したりするための移載装置であって、前記把持部は、前記荷物の移載適正位置に向かって前進可能であって、前進した状態で前記荷物を1個以上まとめて吸引しながら前記荷物とともに後退可な吸引部と、前記吸引部で吸引されて後退した前記荷物を1個以上まとめて載置可能な下部支持部と、を備えていること、を特徴とする。かかる構成によれば、移載装置は、荷物をコンテナに積みつけたりコンテナから取り出したりするにあたり、1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるため、作業効率が高まり、しかも、下流側の作業を円滑に進めることができる。
【0007】
本発明の第2の態様に係る移載装置は、上記第1の態様に係る移載装置において、当該移載装置は、荷物をコンテナから取り出すためのものであって、前記把持解除位置で把持解除された前記荷物を一時的に保持し所定の時間間隔で順次排出する保持排出部をさらに有し、前記制御装置は、前記保持排出部を制御する時間間隔制御部を備えていること、を特徴とする。かかる構成によれば、移載装置は、荷物をコンテナから取り出すにあたり、1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるため、作業効率が高まり、しかも、下流側の作業を円滑に進めることができる。
【0008】
本発明の第3の態様に係る移載装置は、上記第2の態様に係る移載装置において、前記保持排出部は、前記荷物が載置されて断続的に駆動される保持コンベヤを含むこと、を特徴とする。かかる構成により、把持解除位置で把持解除された荷物を一時的に保持し所定の時間間隔で順次排出する保持排出部を実現することができる。
【0009】
本発明の第4の態様に係る移載装置は、上記第2または第3の態様に係る移載装置において、前記保持排出部は、前記荷物の通過を断続的に許容しまた阻止するゲートを備えていること、を特徴とする。かかる構成により、把持解除位置で把持解除された荷物を一時的に保持し所定の時間間隔で順次排出する保持排出部を実現することができる。
【0010】
本発明の第5の態様に係る移載装置は、上記第2ないし第4の態様のいずれかに係る移載装置において、前記保持排出部は、前記荷物を搬送するための外部コンベヤに前記荷物を排出するものであること、を特徴とする。かかる構成により、移載装置は1個以上の荷物を同時に取り扱うことができ、しかも、荷物を、外部コンベヤに所定の時間間隔で順次排出することができる。
【0011】
本発明の第6の態様に係る移載装置は、上記第1の態様に係る移載装置において、当該移載装置は、荷物をコンテナに積みつけるためのものであって、搬送された前記荷物を前記把持位置で一時的に保持する保持部をさらに有すること、を特徴とする。かかる構成により、荷物をコンテナに積みつける場合に、移載装置は1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるため、作業効率が高まる。
【0012】
本発明の第7の態様に係る移載装置は、上記第1ないし第6の態様のいずれかに係る移載装置において、前記制御装置は、前記把持部および前記把持部移動装置を操作するための少なくとも1個のジョイスティックを備えていること、を特徴とする。かかる構成により、把持部および把持部移動装置を容易に操作することができる。
【0013】
本発明の第8の態様に係る移載装置は、上記第1ないし第7の態様のいずれかに係る移載装置において、前記制御装置は、操作員からの入力が所定の時間無い場合に異常警報を出す警報処理部をさらに備えていること、を特徴とする。かかる構成により、操作員の健康上の異常などの異常が生じた場合に、安全を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、移載装置は1個以上の荷物を同時に取り扱うことができるため、移載装置の効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る移載装置およびその周辺の構成物を示すブロック図。
【
図2】
図1の移載装置をトラックの荷台に設置して荷物を荷台から搬出する状況を模式的に示す立面図。
【
図4】
図3の把持部の詳細を模式的に示す立面図であって、把持しようとする荷物に向けて吸引部を前進させ接近させた状態を示す図。
【
図5】
図4の状態の後に荷物とともに吸引部を後退させて荷物を載置台に載置した状態を示す図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る移載装置をトラックの荷台に設置して荷物を荷台に搬入する状況を模式的に示す立面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る移載装置について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移載装置およびその周辺の構成物を示すブロック図である。
図2は、
図1の移載装置をトラックの荷台に設置して荷物を荷台から搬出する状況を模式的に示す立面図であり、
図3は、
図1および
図2の移載装置を模式的に示す立面図である。
【0017】
図2に示すように、この実施形態の移載装置10は、駐車スペースEに駐車中のトラック11の荷台12(コンテナ)に積載された荷物13を、搬出用コンベヤ14に移送する。荷物13は、搬出用コンベヤ14により、倉庫等のプラットホームP上に設置された作業用コンベヤ15に移送される。
【0018】
荷台12に積載された荷物13は、それぞれがたとえば段ボール箱内に収められ、積み重ねることが可能である。ただし、必ずしも同じ形状・寸法のものに統一されていなくてもよい。また、穀物が収納された袋等の袋状のものでもよい。
【0019】
図2に示す搬出用コンベヤ14は、テレスコピック構造で伸縮可能なものを示しているが、このような構造でなくてもよく、伸縮可能でなくてもよい。
【0020】
図1および
図3に示すように、移載装置10は、把持部20と、把持部移動装置21と、保持排出部22と、制御装置24とを備えている。
【0021】
把持部移動装置21は、把持部20を所望の位置に移動し、また把持部20を所望の向きに動かすものである。
【0022】
把持部20は、荷物13を把持位置で把持し、その荷物13を把持解除位置で把持解除するものである。把持部20は、複数の荷物13を同時に把持できるように構成されている。把持部20は、吸引部30と、側部支持部31と、下部支持部32とを備えている。吸引部30、側部支持部31、下部支持部32は、着脱可能なものとして、荷物13の形状や寸法・重量等に応じて適当なものを使用できるようにしてもよい。
【0023】
吸引部30は、荷物13の上面から荷物13を上方に吸引して荷物13を浮き上がらせる、あるいは荷物13を前面から手前に水平に引き出すものであるが、これのみによって重い荷物13を把持しようとすると、荷物13の段ボール箱等の容器の上面や前面が荷物13の荷重によって破壊される恐れがある。側部支持部31は、荷物13の両側から荷物13をはさんで、摩擦力を用いて荷物13を抱えるものであるが、これのみによって複数の荷物13を同時に把持する場合には、充分な保持力が得られない場合もあり、バランスが崩れて荷物13が落ちる可能性もある。下部支持部32は、荷物13の底面を支持するものであるが、支持する前に、荷物13の底面下に下部支持部32を挿入する必要があり、荷物13の底面に隙間がないと下部支持部32を挿入するのが困難な場合もある。
【0024】
この実施形態では、把持部20を構成する吸引部30、側部支持部31、下部支持部32の3種類のうち2種類または3種類を組み合わせることにより、複数個の荷物13を容易に同時に把持することができる。
【0025】
把持部20として吸引部30と下部支持部32とを組み合わせた場合の例を、
図4および
図5を用いて後述する。
【0026】
保持排出部22は、把持部20で同時に把持された1個以上の荷物13を受け取って一時的に保持して、1個ずつ順次、所望の時間間隔で搬出用コンベヤ14に排出するものである。保持排出部22は、移送コンベヤ22aと、保持コンベヤ22bと、ゲート22cとを含む。
【0027】
把持部20で把持されていた複数の荷物13は、移送コンベヤ22a上で把持解除され、移送コンベヤ22aによって受け取られる。移送コンベヤ22aは常時駆動されていて、移送コンベヤ22a上の荷物13は保持コンベヤ22bに送られる。保持コンベヤ22bは断続的に駆動されるものであり、保持コンベヤ22b上の荷物13は一時的に保持コンベヤ22b上に保持される。保持コンベヤ22bは、荷物13を1個ずつ、所望の時間間隔で排出するように断続的に駆動される。保持コンベヤ22bから荷物13が排出されるタイミングに合わせてゲート22cが開かれる。
【0028】
なお、他の実施形態として、保持コンベヤ22bの駆動の断続のタイミングを適当に制御できる場合は、ゲート22cを省略することもできる。また、さらに他の実施形態として、逆に、保持コンベヤ22bは連続駆動として、ゲート22cの開閉制御だけで荷物13を保持排出部22から1個ずつ排出する構成とすることもできる。
【0029】
図1に示すように、制御装置24は、制御部40と、警報処理部41と、入出力部42とを備えている。制御部40は、移動把持制御部43と、時間間隔制御部44とを備えている。入出力部42は、タッチパネル45と、ジョイスティック46とを備えている。
【0030】
移載装置10は、操作員が座る座席50(
図3)と、座席スイッチ51(
図1)とを有する。座席スイッチ51は、操作員が座席50に座ると自動的にオンになり、操作員が座席50から離れると自動的にオフになる。移載装置10は、操作員が座席50に座った状態で、入出力部42を通して制御することができる。
【0031】
移動把持制御部43は、把持部20および把持部移動装置21を制御するものである。操作員は、タッチパネル45およびジョイスティック46を用いて移動把持制御部43を操作する。たとえば、タッチパネル45を用いて初期設定を行う。ジョイスティック46は、右手用と左手用の2個がある。たとえば、左手用ジョイスティックは、おもに把持部移動装置21の操作に用いられ、把持部20の前進・後退・上下移動等の操作を行う。右手用ジョイスティックは、おもに把持部20の操作に用いられ、把持および把持解除の操作を行う。
【0032】
なお、移動把持制御部43により、把持部20および把持部移動装置21の制御を、部分的または全面的に自動化することも可能である。
【0033】
操作員が座席50に座ると座席スイッチ51がオンになり、座席50から離れると座席スイッチ51がオフになるので、操作員が座席50から離れているときにこの移載装置10が誤動作で動き出す事態を避けることができる。
【0034】
また、操作員が座席50に座っていてしかも所定時間にわたって操作員からの入力操作が無い場合は、操作員の身体に何らかの異常事態が発生した可能性があるとして警報処理部41によって異常警報を発することができる。異常警報として、画面表示や警報音の発生、警報灯の点灯等が可能である。さらに長時間にわたって異常事態が継続した場合は移載装置10を強制的に停止するような設定をすることもできる。
【0035】
時間間隔制御部44は、保持コンベヤ22bの駆動・停止およびゲート22cの開閉のタイミングを制御する。
【0036】
図3に示すように、移載装置10は、車輪55を有している。これにより、荷台12内に積載されている荷物13の減少に応じて、荷台12内で順次奥へと移載装置10を進めることができる。またこのとき、移載装置10が荷台12の奥へ進むのに合わせて、伸縮可能な搬出用コンベヤ14を伸ばすこともできる。
【0037】
[把持部として吸引部と下部支持部とを組み合わせた場合の具体例]
ここで、把持部20として吸引部30と下部支持部32とを組み合わせた場合の具体例について、
図4および
図5を参照しながら説明する。
【0038】
図4は
図3の把持部の詳細を模式的に示す立面図であって、把持しようとする荷物に向けて吸引部を前進させ接近させた状態を示す図であり、
図5は、
図4の状態の後に荷物とともに吸引部を後退させて荷物を下部支持部に載置した状態を示す図である。
【0039】
把持部20は吸引部30と下部支持部32とを備えている。下部支持部32は水平に広がる載置面32aを有し、載置面32aに荷物13を載置することができる。1個の把持部20で複数個の荷物13を取り扱えるように、1個の下部支持部32につき複数個の吸引部30が配置されている。
図4および
図5の紙面に垂直な方向に、複数の吸引部30および複数の荷物13が並んでいるものとする。
【0040】
各吸引部30は、吸盤30aと吸盤移動機構30bとを有する。吸盤30aは、吸引する面が荷物13に向けられ、吸盤移動機構30bによって、下部支持部32に対して相対的に移動可能であって、把持される前の荷物13に向かって
図4および
図5で左向きに前進すること、および、把持された荷物13とともに
図4および
図5で右向きに後退することができる。
【0041】
吸盤30aには図示しない吸引管が接続されており、吸盤30aの反対側で図示しない真空源(たとえば真空ポンプ)に接続されている。吸引管は、たとえば柔軟なホースでもよい。吸引管には開閉弁(図示せず)が設けられていて、吸盤30aの吸引のオンオフを適時に行うことができる。
【0042】
複数の荷物13を把持するにあたっては、把持部移動装置21(
図1、
図3)により、把持部20を、
図4に示すように、把持しようとする荷物13の位置に移動させ、吸盤移動機構30bにより吸盤30aを前進させて、吸盤30aを、把持しようとする荷物13に接近させる。その後、吸引管の開閉弁を開いて吸盤30aの吸引を行う。これにより荷物13は吸盤30aに吸い付けられる。その後、吸盤移動機構30bにより吸盤30aを後退させて、
図5に示すように荷物13を下部支持部32の上に載置させる。
【0043】
荷物13を下部支持部32の上に載置した後に、把持部移動装置21により、荷物13を把持した状態の把持部20の向きを変えたり移動したりする。その際に、荷物13の荷重を下部支持部32で支持するので、吸引のみで支持する場合に比べて荷物13の容器などの破損の頻度を下げることができる。
【0044】
荷物13を把持した状態の把持部20の向きを変えたり移動したりするときに遠心力などの慣性力による荷物13の落下を防ぐために、たとえば下部支持部32の回転時に外側が高くなるように下部支持部32を傾斜させるのが好ましい。
【0045】
この実施形態によれば、荷台12に積載された荷物13を把持部20が複数個ずつまとめて把持することができるので、作業効率の向上を図ることができる。しかも、保持排出部22の動作により、排出される荷物13は、1個ずつ所望の時間間隔で搬出用コンベヤ14に排出される。それにより、作業用コンベヤ15に荷物13が1個ずつ所望の時間間隔で送り込まれる。これにより、作業用コンベヤ15およびその下流側での作業を滞りなく円滑に行うことができる。
【0046】
上記実施形態では、保持排出部22は、移送コンベヤ22aと、保持コンベヤ22bとゲート22cの組み合わせとしたが、本発明では、このような構造に限られない。保持排出部22は、把持部20で把持され把持解除された複数の荷物を一時的に保持して所定の時間間隔で順次排出できるものであればよい。たとえば、把持解除された複数の荷物を一時的に適当な台の上に載置しておく構造のものでもよい。
【0047】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る移載装置をトラックの荷台に設置して荷物を荷台に搬入する状況を模式的に示す立面図である。
図7は、
図6の移載装置を模式的に示す立面図である。
【0048】
この第2の実施形態に係る移載装置は、第1の実施形態に係る移載装置の変形であって、荷物をトラックの荷台に搬入する際に用いるものである。以下、第1の実施形態の同様の部分については重複説明を省略して、第1の実施形態と相違する部分についてだけ説明する。
【0049】
この第2の実施形態では、荷物13は、倉庫等のプラットホームP上に設置された作業用コンベヤ15から搬入用コンベヤ14aに移送され、その後、移載装置10aにより、荷台12に積載される。
【0050】
搬入用コンベヤ14aは第1の実施形態における搬出用コンベヤ14と同様の構造のものでよいが、荷物13の搬送方向が逆となるので、設置方向が逆になる。
【0051】
移載装置10aは、第1の実施形態における移載装置10と類似のものでよいが、第1の実施形態におけるゲート22dはなく、移送コンベヤ22aと保持コンベヤ(保持部)22bの位置関係が逆になっている。これにより、搬入用コンベヤ14aによって搬送された荷物13は移送コンベヤ22aに載置され、下流側(図の左側)に移送されることになる。移送コンベヤ22aによって移送された荷物13はその下流側の保持コンベヤ22bに載置される。保持コンベヤ22bの下流側(左側)端部にはストッパ22dが配置されていて、荷物13は保持コンベヤ22bの上に保持される。
【0052】
保持コンベヤ22bの上に保持された荷物13は、複数個ずつまとめて把持部20で把持され、把持部移動装置21の動作によって移動し、荷台12で順次把持解除されて積載されていく。把持部20および把持部移動装置21の構造は第1の実施形態と同様である。
【0053】
[他の実施形態]
上記実施形態では、移載装置10,10aは、トラック11の荷台12に積載された荷物を搬出したり、逆に、荷物をトラック11の荷台12に積みつけたりするものとした。この発明では、荷物を置く場所は、トラック11の荷台12に限定されるものではなく、その他のコンテナであってもよい。
【0054】
以上説明した実施の形態は単なる例示であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0055】
10,10a…移載装置
11…トラック
12…荷台(コンテナ)
13…荷物
14…搬出用コンベヤ
14a…搬入用コンベヤ
15…作業用コンベヤ
20…把持部
21…把持部移動装置
22…保持排出部
22a…移送コンベヤ
22b…保持コンベヤ
22c…ゲート
22d…ストッパ
24…制御装置
30…吸引部
30a…吸盤
30b…吸盤移動機構
31…側部支持部
32…下部支持部
32a…載置面
40…制御部
41…警報処理部
42…入出力部
43…移動把持制御部
44…時間間隔制御部
45…タッチパネル
46…ジョイスティック
50…座席
51…座席スイッチ
55…車輪