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  • 特開-物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063939
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】物
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20230428BHJP
   A47C 27/10 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A47C27/00 K
A47C27/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174049
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】509128476
【氏名又は名称】株式会社グッド
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【弁理士】
【氏名又は名称】宇高 克己
(72)【発明者】
【氏名】三宅 公利
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】力が印加された場合、内部に充填された気体が適度なスピードで部屋間を確実に移動できる物を提供する。
【解決手段】内部に充填された気体を保持できる物であり、前記物は表側シート1と裏側シート2と筒3とを具備してなり、前記表側シートおよび前記裏側シートは軟質樹脂で構成されてなり、前記筒は前記表側シートと前記裏側シートとの間の位置に配置されてなり、前記表側シートと前記裏側シートとは、その周辺部および前記筒を跨るラインに沿って接合されてなり、前記接合によって前記物の内部空間が複数の部屋5、6、7、8に分けられてなる物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に充填された気体を保持できる物であり、
前記物は表側シートと裏側シートと筒とを具備してなり、
前記表側シートおよび前記裏側シートは軟質樹脂で構成されてなり、
前記筒は前記表側シートと前記裏側シートとの間の位置に配置されてなり、
前記表側シートと前記裏側シートとは、その周辺部および前記筒を跨るラインに沿って接合されてなり、
前記接合によって前記物の内部空間が複数の部屋に分けられてなる
物。
【請求項2】
前記筒は前記シートよりも硬質である
請求項1の物。
【請求項3】
前記筒は丸筒である
請求項1又は請求項2の物。
【請求項4】
前記筒は隣接する部屋の仕切り箇所にのみ設けられてなる
請求項1~請求項3いずれかの物。
【請求項5】
前記物の内部空間は前記シートの中心位置を原点として2π/N(Nは3以上の整数)の角度でN個の部屋に分割されてなる
請求項1~請求項4いずれかの物。
【請求項6】
前記接合が溶着である
請求項1~請求項5いずれかの物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば座布団あるいは背もたれの如くのクッション体に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に空気が充填された座布団、所謂、空気座布団が知られている(実開平4-19251、特開平10-192096)。
前記空気座布団は内部空間が複数個の部屋に分けられている。前記部屋は連通している。前記部屋は二枚のシートの接合によって構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-19251
【特許文献2】特開平10-192096
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記空気座布団は部屋同士が完全に仕切られている訳ではない。仕切り壁によって部屋同士が完全に仕切られている訳ではない。一部が未接合であるから、所謂、空気が流通する窓が構成されている。
【0005】
上記構造の空気座布団の上に座り、或る個所に力が加わっても、印加個所の部屋から隣の部屋に空気が流れて行き難い場合が有った。それは、前記窓の個所におけるシート同士が押圧されてくっついて(閉塞状態になって)いて、恰も、部屋同士が独立している如きになっていたからである。前記シートが軟質樹脂製だと、シート同士は特に接着(接合)し易い(ピタッとくっつき易い)。この為、ゴゾゴゾと尻を動かしても、内部に充填されている空気が部屋から部屋には移動せず、感触がもう一つであった。
【0006】
又、空気充填(注入)口から空気を吹き込んでも、全体に空気がスムーズに行き渡らない場合が有った。それは、前記窓の個所におけるシート同士がくっついていて(前記シートが軟質樹脂製だと、シート同士は特にピタッとくっつき易い)、恰も、部屋同士が独立している如きになっていたからである。
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、前記課題を解決する事である。例えば、力が印加された場合、内部に充填された空気が適度なスピードで部屋間を確実に移動できるようにする事である。空気充填(注入)口から空気を吹き込んだ場合に、全体に空気がスムーズに行き渡るようにする事である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
内部に充填された気体を保持できる物であり、
前記物は表側シートと裏側シートと筒とを具備してなり、
前記表側シートおよび前記裏側シートは軟質樹脂で構成されてなり、
前記筒は前記表側シートと前記裏側シートとの間の位置に配置されてなり、
前記表側シートと前記裏側シートとは、その周辺部および前記筒を跨るラインに沿って接合されてなり、
前記接合によって前記物の内部空間が複数の部屋に分けられてなる
物を提案する。
【0009】
本発明は、好ましくは、前記筒が前記シートよりも硬質である物を提案する。例えば、前記筒の肉厚が前記シートの厚さよりも厚く構成されてなる物を提案する。例えば、前記筒が硬質樹脂で構成されてなる物を提案する。
【0010】
本発明は、好ましくは、前記筒が丸筒である物を提案する。
【0011】
本発明は、好ましくは、前記筒が隣接する部屋の仕切り箇所にのみ設けられてなる物を提案する。
【0012】
本発明は、好ましくは、前記物の内部空間は前記シートの中心位置を原点として2π/N(Nは3以上の整数)の角度でN個の部屋に分割されてなる物を提案する。前記Nは、例えば3~6である。前記分割によって構成される部屋は略等価的であるのが好ましい。つまり、略等分割が好ましい。
【0013】
本発明は、好ましくは、前記接合が溶着である物を提案する。
【発明の効果】
【0014】
力が印加された時に内部充填の気体が適度なスピードで部屋間を確実に移動した。例えば、座布団の如くに用いて尻をゴゾゴゾ動かした場合、内部充填の気体は筒によって確実に移動する。しかし、筒が無い場合には、隣接する部屋間の窓部上に尻が位置すると、前記窓が圧し潰されて閉塞状態となり、気体が移動し難い。
空気充填(注入)口から空気を吹き込んだ場合に、各々の部屋に空気がスムーズに行き渡る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の物の概略平面図
図2】本発明の物の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は物である。例えば、尻の下に敷いた場合には座布団になる。背中に置いた場合には背もたれ(背もたれクッション)になる。胴回りに置く使い方も出来る。車の座席上や座席背部に置く使い方も出来る。その他にも、足、脚、腹、背中、腕、肘などの人体の何れかの部位(身体の一部)に接して用いられる。人体の何れかの部位(身体の一部)に接するように置いてのストレッチ体操にも利用できる。前記物は内部に充填された気体を保持できる物である。前記物は、表側シート(上側シートと言う事も出来る。)と、裏側シート(下側シートと言う事も出来る。)と、筒とを具備する。前記表側シートと前記裏側シートとは、別々の2枚のシートで構成された場合でも、1枚のシートから構成された場合でも良い。例えば、前記表側シート及び前記裏側シートは一辺の長さが2Lの正方形であるとした場合、前記表側シート及び前記裏側シートは短辺が2Lで長辺が4Lの長方形のシートを半分に折り畳むことによって構成する事が出来る。本発明で言うシートにはフィルムも含まれる。厚さは、例えば0.1~1mm程度である。勿論、これに限られない。力が印加された時に破れる事が無く、かつ、柔らかであれば良い。前記表側シートおよび前記裏側シートは軟質樹脂で構成されている。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂と言った軟質樹脂で構成されている。前記表側シート及び前記裏側シートは形状に格別な制約はない。一般的には、例えば正方形や長方形などの四角形や五角形などの角形、円形や楕円形などの丸形である。前記筒は前記表側シートと前記裏側シートとの間の位置に配置されている。竹が圧し潰され難い事から判る通り、前記筒は圧し潰され難い。例えば、尻の下に置かれて体重が掛かっても、筒は圧し潰され難い。従って、気体は筒内を自由に往来できる。前記筒は、好ましくは、前記シートよりも硬質である。例えば、前記筒の肉厚が前記シートの厚さよりも厚い。例えば、前記筒の肉厚が0.5~1.5mm程度である。勿論、これに限られない。前記筒の外径は、例えば3~7mm程度である。勿論、これに限られない。或いは、前記筒が、例えば硬質樹脂で構成されている。前記筒が硬質樹脂で構成されていた場合には、前記筒の肉厚が前記シートの厚さより薄くても済む。これによって、筒が更に圧し潰され難い。前記筒は、角筒であっても良いが、好ましくは、丸(断面が円または楕円)筒である。前記筒の長さは、後述の接合幅と同程度である。同程度とは前記接合幅より少し短くても長くても差し支えないと言う意味合いである。長すぎると、その上に座った場合に違和感を感じるであろう。短すぎると、前記表側シートと前記裏側シートとが密着して気体の移動がスムーズで無い場合も起きるであろう。前記表側シートと前記裏側シートとは、その周辺部および前記筒を跨るラインに沿って接合(例えば、溶着(熱溶着(ヒートシール)とか超音波溶着など))されている。前記接合によって前記物の内部空間が複数の部屋に分けられている。勿論、隣接する部屋は前記筒によって連通している。
【0017】
前記筒は、好ましくは、隣接する部屋の仕切り箇所にのみ設けられている。前記物の内部空間は、好ましくは、前記シートの中心位置を原点として2π/N(Nは3以上の整数)の角度でN個の部屋に分割されてなる。前記Nは、例えば3~6である。前記分割によって構成される部屋は、好ましくは、略等価的である。
【0018】
以下、具体的な実施形態が挙げられる。但し、本発明は以下の実施形態の例にのみ限定されない。本発明の特長が大きく損なわれない限り、各種の変形例や応用例も本発明に含まれる。
【0019】
具体的な実施形態が以下に説明される。
図1は本発明の物の概略平面図、図2は概略斜視図である。
【0020】
1は、一辺の長さが4Lの略正方形状の透明な表側シートである。
2は、一辺の長さが4Lの略正方形状の透明な裏側シートである。
【0021】
3は長さがaで内径が1~2mm(数mm程度)の円筒である。円筒3の配置位置は次の通りである。表側シート1と裏側シート2との間である。表側シート1(裏側シート2)の中心位置が(X,Y)座標系の原点位置であるとすると、円筒3の中心位置が(L,0),(-L,0),(0,L),(0,-L)であるよう配置されている。前記X軸上に中心が在る円筒3は長手方向がY軸に沿って、前記Y軸上に中心が在る円筒3は長手方向がX軸に沿って配置されている(図1参照)。
【0022】
4は、表側シート1と裏側シート2とが溶着された溶着部である(図1参照)。前記円筒3を跨る(前記X軸上と前記Y軸上に在る)位置の溶着部4は幅が前記円筒3の長さaの寸法である。表側シート1(裏側シート2)の四辺に在る溶着部4の幅は前記円筒3の長さaの寸法と同じでも異なっていても良い。これによって、表側シート1と裏側シート2との間に部屋5,6,7,8が構成されている。
【0023】
9は空気の充填・排出用の弁である。弁9は、部屋5が対応する位置の表側シート1か裏側シート2に取り付けられている。
【0024】
部屋5に、弁9から、直接、空気が充填された。部屋5内に充填された空気は円筒3を介して部屋5に隣接する部屋6,8内に侵入して行く。部屋6,8内に侵入した空気は円筒3,3を介して部屋7内に侵入して行く。前記の如くに構成された物の内部に空気が弁9から部屋5,6,7,8内に充填された状態が図2に示される。そして、例えば部屋5の位置に力が加わると、この部屋5内の空気は円筒3,3を経由して部屋5に隣接する部屋6,8内に移動する。更には部屋7内に移動する。すなわち、押圧位置に応じて空気が適宜スムーズに移動する。腰を動かす事がスムーズに出来る。その際に尻の適宜な位置に適宜な反発力が作用する。感触が良い。
【0025】
これが尻の下に敷かれた場合は座布団になる。座席の背部に置かれた場合には背もたれとなる。その他にもストレッチ体操用具としての利用も出来る。
【符号の説明】
【0026】
1 表側シート
2 裏側シート
3 円筒
4 溶着部
5,6,7,8 部屋
9 弁

図1
図2