(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063983
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】シラン類とリン酸類との重縮合反応組成物、ならびにその製造方法およびそれを用いたアミン類の吸着剤
(51)【国際特許分類】
B01J 20/30 20060101AFI20230428BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20230428BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20230428BHJP
C08G 79/02 20160101ALI20230428BHJP
C01B 25/37 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
B01J20/30
A61L9/014
B01J20/22 Z
C08G79/02
C01B25/37 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174141
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】516338143
【氏名又は名称】I&C・ケムテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517135947
【氏名又は名称】株式会社H4
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正俊
(72)【発明者】
【氏名】竹島 陽介
【テーマコード(参考)】
4C180
4G066
4J030
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180BB06
4C180BB07
4C180CC12
4C180CC15
4C180CC16
4C180CC17
4C180EB38X
4G066AA50A
4G066AB18A
4G066AB18B
4G066AB19B
4G066AC28B
4G066BA09
4G066BA11
4G066BA12
4G066BA14
4G066BA31
4G066BA33
4G066BA36
4G066BA42
4G066CA27
4G066CA29
4G066DA03
4G066FA03
4G066FA07
4G066FA21
4J030CB03
4J030CB17
4J030CB78
4J030CC16
4J030CD11
4J030CE02
4J030CG16
4J030CG29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安価な原料で簡便な製造法によって経済的に生産でき、大量のアンモニア等の含窒素塩基性化合物を高温でも安定的に吸着でき、かつ容易に脱離を生じない、化学的吸着で固定化できる、シラン類とリン酸類との重縮合反応組成物、ならびにその製造方法およびそれを用いたアミン類の吸着剤を提供すること。
【解決手段】組成物は、式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1):
と、リン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物、ホスホシリケート類化合物およびそれらの混合物を含有する。ここで、リン酸類原料(2)は、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸、メタリン酸(ポリリン酸)、オキシ塩化リン、および5塩化リンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1):
【化1】
(式(I)中、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ同一の置換基であっても、異なる置換基であっても、その混合の置換基であっても良く、置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシ基、置換カルボキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキレン基、アリールアルキレンオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、芳香族環基、芳香族環オキシ基、芳香族環アルキレン基、芳香族環アルキレンオキシ基、縮合芳香族環基、縮合芳香族オキシ基、縮合芳香族アルキレン基、縮合芳香族アルキレンオキシ基、複素環縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環オキシ基、複素環縮合芳香族環アルキレン基、複素環縮合芳香族環アルキレンオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環アルキレン基、複素環アルキレンオキシ基、ならびにそれらの置換基においてはさらなる官能基を有していても良い、およびOH基またはハロゲノ基である)と、リン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物、ホスホシリケート類化合物およびそれらの混合物を含有し、
該リン酸類原料(2)が、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸、メタリン酸(ポリリン酸)、オキシ塩化リン、および5塩化リンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、組成物。
【請求項2】
アミン系化合物に対して化学吸着能を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アミン系化合物が、アンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
結晶の形態を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
非晶質の形態を有する、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記アミン系化合物の化学吸着量が2.5mmol/g以上である、請求項2から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の組成物を含有する、アミン系化合物吸着剤。
【請求項8】
さらに、固化防止剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤および増量剤
からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項7に記載のアミン系化合物吸着剤。
【請求項9】
請求項7または8に記載のアミン系化合物吸着剤と熱可塑性樹脂とを含有する、マスターバッチ。
【請求項10】
請求項7または8に記載のアミン系化合物吸着剤にアミン系化合物を吸着させる工程を含む、アミン系化合物の脱臭方法。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、
以下の式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1):
【化2】
(式(I)中、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ同一の置換基であっても、異なる置換基であっても、その混合の置換基であっても良く、置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシ基、置換カルボキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキレン基、アリールアルキレンオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、芳香族環基、芳香族環オキシ基、芳香族環アルキレン基、芳香族環アルキレンオキシ基、縮合芳香族環基、縮合芳香族オキシ基、縮合芳香族アルキレン基、縮合芳香族アルキレンオキシ基、複素環縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環オキシ基、複素環縮合芳香族環アルキレン基、複素環縮合芳香族環アルキレンオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環アルキレン基、複素環アルキレンオキシ基
ならびにそれらの置換基においてはさらなる官能基を有していても良い、およびOH基またはハロゲノ基である)からなる群から選択される化合物と、リン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物、ホスホシリケート類化合物およびそれらの混合物を含有し、該リン酸類原料(2)が、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸、メタリン酸(ポリリン酸)、オキシ塩化リン、および5塩化リンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン類とリン酸類との重縮合反応組成物、ならびにその製造方法およびそれを用いたアミン類の吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
環境、各種製品および化学製品製造時の副生物において、悪臭または有害ガス、有害物質の低減が求められている。閾値の低い悪臭物質の代表として、アンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物等のアミン系化合物が挙げられている。悪臭や有害物質の低減の為、各種の方法、装置が開発、販売されている。さらに消臭効果を付与した様々な加工品も製品化されている。工場等では排気ガスや廃液を集めて、特殊な高価な金属触媒を使用して、吸着剤を組み込んだ複雑な装置での処理、燃焼処理および高温化学分解処理が行われている。また、アンモニア等の固定化、回収、貯蔵の目的にも使用が可能である。
【0003】
従来から吸着剤には活性炭およびゼオライト等の鉱物が多用されてきた。これらの吸着剤は、物理的吸着である為、化学物質は何でも吸着し直ぐに飽和してしまい吸着能力が無くなる。高温では吸着した物質を脱着してしまう為高温での使用は不可能である。低温で物理吸着した物質を高温で脱着して吸着剤を再使用できるメリットはあるが、脱着した悪臭物質を如何に処理するかが問題である。汎用で使用されている活性炭は、黒色で使用できる適用範囲が制限される。全ての物理吸着の吸着剤の問題は、高温で使用できない事、吸着剤の単位質量当たりの吸着量が小さい事である。表面積を大きくして吸着量を増加させる為にメソポーラス材料が開発されているが、特殊な製造方法となり高コストとなる。汎用、通常の物理吸着剤において大量の悪臭物質を短時間での吸着する事や長期間の吸着能力維持、高温での脱着等の欠点の解決は不可能である事である。
【0004】
歴史的な活性炭や天然、合成ゼオライトでは機能に限界があり、人造のナノポーラス製品とかシリカーアルミナ成分に第3成分を反応させた人造シリカーアルミナ系吸着剤が多数開発された。
【0005】
特許文献(1)では、第3成分を使用した人造多孔質鉱物が開示されている。
【0006】
しかし、吸着量等では不十分であり、特許文献(2)において化学吸着性に着目しアンモニアガス吸着量を改善し、耐薬品性を改良したシリカーアルミナ以外に2成分の金属酸化物を使用した4成分系の人造鉱物が開示されている。しかしこれもまたアモルファスであり、アンモニア系の吸着量もそれ程改善されていると言えない。吸着量がまだ小さい。また、高温での脱着が避けられない。
【0007】
特許文献(3)では、活性炭の吸着と鉱物系吸着剤の複合体を焼成、焼結して合成する事を行っているが、アンモニア吸着は、4気圧の加圧下の測定であり、それでも吸着量が少ない上に、物理吸着なので温度が上がると脱着する。アンモニア等の除去の目的には適していない。これ等全てに共通する問題は、吸着容量が小さい事、高温での脱着の上に、特別の原料の使用や製造条件で経済的でない点である。最近では、吸着剤ではないが、燃料電池でのプロトン伝導体や固体リチウム電池の固体電解質として、リンシリコン酸化物(5酸化リン・二酸化ケイ素の示性式の記載)が特許文献(4)に発表されている。原料のリン酸化物とシリカの混合比で生成物が異なる。生成物の構造式、結晶構造が不明である。しかもこの合成反応には1000℃以上の高温や高温、高圧条件下の水熱合成法を必要とする。参考文献からオルトリン酸ケイ素の名称と記載している。
【0008】
一方、非特許文献(1)において、シリコンホスフェートに関する情報が纏められている。しかしこれら文献に記載されているリン、ケイ素からなる化合物の用途は燃料電池材料や固体2次電池用電解質等電子材料の用途のみの記載で、全ての文献等で、アンモニア等の吸着剤や反応の記載は何処にも無い。本文献での実験で使用されている原料は、特殊な複雑な原料である。非特許文献(1)に記載の参考文献として紹介されている文献での生成物および原料は、それぞれ異なった物である。原料および反応条件もそれぞれ異なる。シリコンホスフェートやホスホシリケートの名称では、一義的に生成物の分子式や構造式を示すことは不可能である。文献によって共有結合化合物であるとか、配位結合化合物であるとか、イオン結晶であるとか、ケイ素原子は4価であるが、4配位、5配位、6配位の記載があり、各化合物の分子構造式、結晶構造式が不明瞭である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1-148340号公報
【特許文献2】特開2020-110765号公報
【特許文献3】特開2016-160170号公報
【特許文献4】特許第5887276号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Microporous and Mesoporous Materials, 197(2014), 204-212
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、安価な原料で簡便な製造法によって経済的に生産でき、大量のアンモニア等の含窒素塩基性化合物を高温でも安定的に吸着でき、かつ容易に脱離を生じない、化学的吸着で固定化できる、全く新規な、シラン類とリン酸類との重縮合反応組成物、ならびにその製造方法およびそれを用いたアミン類の吸着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明等は、例えば、後述の式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)との縮合反応および加熱熟成反応を特徴とする方法を通じて合成され得る(原料式(1)および(2)で使用される化合物は、単品原料同士に限定されるものではなく、それぞれの原料に於いて複数の原料の混合物を使用する事も可能である)。縮合反応であるが故に1縮合化合物に全てを終息させる事は困難である。各種縮合化合物の各種組成化合物単独および混合物である事に効果の点で問題は無い。また別途原料、製造法で生成された化合物が本発明の目的機能と同一の目的に使用する場合、それら化合物が本発明の縮合化合物(生成物)、組成物の成分と同一な化合物である場合、本発明の範疇に包含される事は当然である。また、別途製法で得られた同類化合物の混合使用も(以下「混合物」(4)と称することがある)本発明の範疇に包含される。下記に説明する各種縮合物が吸着機能を有する限り、本発明を構成する化合物(生成物)は、組成物および/または混合物に包含される。
【0013】
本発明者は、-O-P-O-結合をマトリックスとし、それにSiが結合する一般名シリコンホスフェート、シリコンホスフェート類化合物(生成物)、組成物および各種シリコンホスフェート化合物(生成物)、組成物等、および/または各種縮合度の異なるシリコンホスフェート化合物(生成物)、組成物、および/またはO-Si-O-結合をマトリックスとし、それにPが結合する一般名ホスホシリケート、ホスホシリケート類化合物(生成物)、組成物、および/または各種縮合度の異なるホスホシリケート類化合物(生成物)および組成物であるこれ等の縮合反応生成組成物(3)および/またはその混合物が、アンモニア、アミン類および含窒素塩基性化合物に対して高機能の化学吸着能を有する事を発見した。
【0014】
本発明の縮合反応化合物(生成物)を含む組成物(3)およびその混合物は、化学吸着も低温から200℃以上の高温において可能であり、脱着する事もない。縮合反応化合物(生成物)を含む組成物(3)および/または混合物(4)1gに対してアンモニア等では、2.5mmol以上の大量の化学吸着を容易に、速やかに行い、固定化される事を発見した。
【0015】
この縮合反応化合物(生成物)を含む組成物(3)および/または混合物(4)の吸着剤と他の機能材料、添加物との混合物での使用が可能であり、製品形態も造粒、顆粒、マイクロカプセル、カプセル等の形態で使用する事も可能である。また、樹脂での高濃度品は、マスターバッチとして使用、供給する事が可能である。さらにこの縮合反応化合物(生成物)を含む組成物(3)および/または混合物(4)の吸着剤を含有する各製品においても有用である。例えば、紙、不織布、繊維、プラスチック成形品等の吸着性加工品は、高い消臭性能を発現することも見出した。
【0016】
これらにより、本発明は以下を包含する:
[1]以下の式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1):
【化1】
(式(I)中、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ同一の置換基であっても、異なる置換基であっても、その混合の置換基であっても良く、置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシ基、置換カルボキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキレン基、アリールアルキレンオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、芳香族環基、芳香族環オキシ基、芳香族環アルキレン基、芳香族環アルキレンオキシ基、縮合芳香族環基、縮合芳香族オキシ基、縮合芳香族アルキレン基、縮合芳香族アルキレンオキシ基、複素環縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環オキシ基、複素環縮合芳香族環アルキレン基、複素環縮合芳香族環アルキレンオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環アルキレン基、複素環アルキレンオキシ基、ならびにそれらの置換基においてさらなる官能基を有していても良い、およびOH基またはハロゲノ基である。)と、少なくとも1種のリン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物および/またはホスホシリケート類化合物を少なくとも1種を含有し、
該リン酸類原料(2)が、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸、メタリン酸(ポリリン酸)、オキシ塩化リン、および5塩化リンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、組成物;
[2]アミン系化合物に対して化学吸着能を有する、[1]に記載の組成物;
[3]前記アミン系化合物が、アンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物からなる群か選択される少なくとも1種の化合物である、[2]に記載の組成物;
[4]結晶の形態を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の組成物;
[5]非晶質の形態を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の組成物;
[6]前記アミン系化合物の化学吸着量が2.5mmol/g以上である、[2]から[5]のいずれかに記載の組成物;
[7][1]から[6]のいずれかに記載の組成物を含有する、アミン系化合物吸着剤;
[8]さらに、固化防止剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤および増量剤
からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、[7]に記載のアミン系化合物吸着剤;
[9][7]または[8]に記載のアミン系化合物吸着剤と熱可塑性樹脂とを含有する、マスターバッチ;
[10][7]または[8]に記載のアミン系化合物吸着剤にアミン系化合物を吸着させる工程を含む、アミン系化合物の脱臭方法;
[11]請求項1から6のいずれかに記載の組成物の製造方法であって、
以下の式(I)で示される少なくとも1種のシラン誘導体(1):
【化2】
(式(I)中、R
1、R
2、R
3、およびR
4はそれぞれ同一の置換基であっても、異なる置換基であっても、その混合の置換基であっても良く、置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルコキシ基、置換カルボキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキレン基、アリールアルキレンオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、芳香族環基、芳香族環オキシ基、芳香族環アルキレン基、芳香族環アルキレンオキシ基、縮合芳香族環基、縮合芳香族オキシ基、縮合芳香族アルキレン基、縮合芳香族アルキレンオキシ基、複素環縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環オキシ基、複素環縮合芳香族環アルキレン基、複素環縮合芳香族環アルキレンオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環アルキレン基、複素環アルキレンオキシ基、ならびにそれらの置換基においてはさらなる官能基を有していても良い、およびOH基またはハロゲノ基である)からなる群から選択される化合物と、リン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物、ホスホシリケート類化合物およびそれらの混合物を含有し、該リン酸類原料(2)が、オルトリン酸、ピロリン酸、縮合リン酸、メタリン酸(ポリリン酸)、オキシ塩化リン、および5塩化リンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来のどの吸着剤にも属さない全く新規な概念の化学吸着剤として、例えば、アンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物等のアミン系化合物に対する優れた吸着効果を発現できる。本発明の組成物は、大量の吸着能力を容易かつ速やかに示し、例えば200℃以上の高温においても吸着が可能で、高温での脱着が無い安定な化学吸着剤として有用である。また、安価な原料を用いて簡便な方法で生産が可能である点で経済的にも優れる吸着剤である。さらに、生物に対し安全性が高く、運搬、貯蔵においても安定、安全な物質である。また、本発明の吸着剤は、紙、繊維または樹脂成形品等に塗布、練り込み等の加工が容易であり、吸着性加工品の生産加工性、吸着機能にも優れている。他の製品の加工、生産時に複製する上記アミン系化合物を製剤、加工品、成形品内に固定化出来、排気ガス、廃棄物等として大きな装置や高価につく分解処理を行う必要もない。本発明の吸着剤を用いることにより、他の添加剤、機能性材料等との混合物として簡便で、容易に使用する事ができる。さらに、本発明の吸着剤を用いることにより、優れた吸着性能を発揮する紙、繊維、または樹脂成形品等の吸着性加工品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
まず、本明細書中で使用される用語について定義する。
【0020】
(用語の定義)
国際命名法において、無機複合体については、文献等において必ずしも統一されていない。このため、混同または不明確な記載が多い。本発明において使用されている物質名での表記について、明確にする為、定義して本発明での物質類を明確化する。
1)シリコンホスフェート:ホスフェートの名称からリン酸塩である。リン酸の重合体をマトリックスとした物にシラン化合物が反応したSi、PおよびO元素で構成される各種構造物質であると定義する。
2)ホスホシリケート:シリケートの名称からケイ酸塩である。ケイ酸の重合体をマトリックスとした物にリン酸、リン化合物が反応したSi、PおよびO元素で構成される各種構造物質であると定義する。
3)本発明で表記される化合物(生成物)は、原料(1)と(2)との縮合反応により生成する物質の中で、分子式で表記できる個々の物質を「化合物(生成物)」と表記することがある。
4)本発明で表記される組成物は、原料(1)と(2)の縮合反応により生成する複数化合物の成分を含む場合、その混合状態の物を「組成物」(3)と表記する。
5)原料(1)と(2)の縮合反応により生成される物質以外に、他の異なる原料および異なる製造法から得られる化合物であって、本発明の化合物を別途合成し、得られた生成物または組成物と混合した状態を「混合物」(4)と表記する。
【0021】
(縮合反応化合物(生成物)および組成物)
本発明の実施形態および縮合反応化合物(生成物)、および組成物(3)について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。本縮合反応および縮合反応化合物(生成物)、組成物の当該化学分野での研究がまだ不十分で、縮合化合物の命名においても国際命名法が確定されていない。原料の種類、原料の混合比、反応条件等により種々の化合物の発表があるが、各研究者によって表現が異なる。また分子式、構造式、立体構造式、結晶構造は必ずしも明瞭とは言えない。代表的な製法は、例えば1000℃以上の高温での反応と高温、高圧での水熱合成法である。
【0022】
本発明は、例えば、アンモニア、アミン類および含窒素塩基性化合物等のアミン系化合物に対して化学吸着能を有する化学吸着剤として機能することができる。その化合物(生成物)を含む組成物および/または混合物(4)は、例えば、以下の式(I)で示されるシラン誘導体(1)およびそれらの混合物とリン酸類およびそれらの混合物である原料(2)との縮合反応および加熱熟成反応を特徴とする方法によって合成される、
1:一般名のシリコンホスフェート、シリコンホスフェート類化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)(シリコンホスフェート系);
2:一般名ホスホシリケート、ホスホシリケート類化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)、(ホスホシリケート系);
3:シリコンホスフェート系とホスホシリケート系の化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)の2系統の混合物;
であり、上記の縮合物において縮合率の異なる縮合物の一般名シリコンホスフェート化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)および/または一般名ホスホシリケートの化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)およびシリコンホスフェート系とホスホシリケート系の混合物である縮合反応化合物(生成物)、組成物(3)、混合物(4)を提供する。
【0023】
(シラン誘導体)
シラン誘導体(1)は、下記の式(I):
【0024】
【0025】
(式(I)中、R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ同一の置換基であっても、異なる置換基であっても、その混合の置換基であっても良く、置換基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基を含む)、アルケニルオキシ基(例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基を含む)、アルコキシ基、置換カルボキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキレン基、アリールアルキレンオキシ基、アラルキル基、アラルキルオキシ基、芳香族環基、芳香族環オキシ基、芳香族環アルキレン基、芳香族環アルキレンオキシ基、縮合芳香族環基、縮合芳香族オキシ基、縮合芳香族アルキレン基、縮合芳香族アルキレンオキシ基、複素環縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環オキシ基、複素環縮合芳香族環アルキレン基、複素環縮合芳香族環アルキレンオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、複素環アルキレン基、複素環アルキレンオキシ基、およびOH基またはハロゲノ基である)で表される化合物である。
【0026】
式(I)を構成し得るアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1~12、好ましくは炭素数1~6のアルキル基であり、例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、および臭素原子、ならびにそれらの組み合わせ)、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基等ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得るアルキル基は、好ましくは低級アルキル基である。式(I)を構成し得るアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-メトキシエチル基、n-プロピル基、3-クロロプロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、3-アミノプロピル基、パーフルオロヘキシルエチル基等が挙げられる。アルキルオキシ基は、上記に列記されたアルキル基の末端に-O-基が結合した化合物基を挙げることができる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0027】
式(I)を構成し得るアルケニル基(例えばビニル基、アリル基を含む)は、直鎖状、分岐状または環状の炭素数2~12、好ましくは炭素数2~8のアルケニル基であり、例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、および臭素原子、ならびにそれらの組み合わせ)、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、等ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得るアルケニル基は、好ましくは低級アルケニル基である。式(I)を構成し得るアルキル基の具体的な例としては、ビニル基、アリル基(2-プロペニル基)、3-ブテニル基、イソブテニル基、2-シクロペンテニル基、ジシクロペンテニル基、3-シクロヘキセニル基、4-メトキシー3-ブテニル基、等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0028】
式(I)を構成し得るアルケニルオキシ基(例えばビニルオキシ基、アリルオキシ基を含む)は、直鎖状、分岐状または環状の炭素数2~12、好ましくは炭素数2~8のアルケニルオキシ基であり、例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、および臭素原子、ならびにそれらの組み合わせ)、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、等ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得るアルケニルオキシ基は、好ましくは低級アルケニルオキシ基である。式(I)を構成し得るアルケニルオキシ基の具体的な例としては、ビニルオキシ基、アリルオキシ基(1-プロペニルオキシ基)、3-ブテニルオキシオキシ基、イソブテニルオキシ基、2-シクロペンテニルオキシ基、ジシクロペンテニルオキシ基、3-シクロヘキセニルオキシ基、2-メトキシビニルオキシ基、3-メトキシー2-プロペニルオキシ基、ジシクロヘキセニルオキシ基、等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0029】
式(I)を構成し得るアルコキシ基は、直鎖状、分岐状または環状の炭素数1~12、好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基であり、例えばハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得るアルコキシ基は、好ましくは低級アルコキシ基である。式(I)を構成し得るアルコキシ基の具体的な例としては、メトキシ基、エトキシ基、2-メトキシエトキシ基、n-プロポキシ基、3-クロロ-n-プロポキシ基、イソプロピポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロプロポキシメトキシ基、n-ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロペンチルメトキシ基、シクロペンチルエチルオキシ基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0030】
式(I)を構成し得るアリール基(芳香族環基)は、炭素数6~20、好ましくは炭素数6~12の基であり、例えばハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得るアリール基の具体的な例としては、フェニル基、4-メチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、4-フェノキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-フェニルフェニル基、4-フルオロフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、4-ニトロフェニル基、後述の縮合芳香族環基、複素環縮合芳香族環基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。またアリールオキシ基としては、上記のアリール基に-O-が結合した基であり、フェニルオキシ基の様に上記の化合物基をオキシ基の名称にした化合物基が挙げられる。
【0031】
さらに上記のアリール基の記載を、アリールアルキレン基、アラルキル基、または芳香族環アルキレン基に置換えて示す事ができる。その具体的な一例としては、置換基(例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、およびそれらの任意の組み合わせで構成される)を有していても良い、ベンジル基、4-メトキシシベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基、4-メトキシフェネチル基等を挙げる事ができる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0032】
さらに上記のアリール基の記載を、アリールアルキレンオキシ基、アラルキルオキシ基、または芳香族環アルキレンオキシ基に置換えて示す事ができる。その具体的な一例としては、置換基(例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ならびにそれらの任意の組み合わせで構成される)を有していても良い、ベンジルオキシ基、4-メトキシベンジルオキシ基、ジフェニルメチルオキシ基、フェネチルオキシ基、4-メトキシフェネチルオキシ基等を挙げる事ができる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0033】
式(I)を構成し得る置換カルボキシ基は、炭素数2~20、好ましくは炭素数2~12の基であり、例えばハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得る置換カルボキシル基の具体的な例としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ベンタノイルオキシ基、ピバノイルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、アクリル酸基、メタクリル酸基、シクロペンチルアセトキシ基、4-メチルフェニルアセトキシ基、アセトアセトキシ基、4-ニトロフェニルアセトキシ基、4-メチルベンゾイルオキシ基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0034】
式(I)を構成し得る縮合芳香族環基、縮合芳香族環アルキレン基は、ベンゼン環が縮合した炭素数12~24、好ましくは炭素数12~18の縮合芳香族環基であり、例えばハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、および臭素原子、ならびにそれらの組み合わせ)、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、等ならびにそれらの組み合わせで構成される置換基で置換されていてもよい。式(I)を構成し得る縮合芳香族基は、好ましくは低級縮合芳香族基である。式(I)を構成し得る縮合芳香族基の具体的な例としては、ナフチル基、4-ヒドロキシナフチル基、4-メチルナフチル基、アントラニル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0035】
式(I)を構成し得る複素環基、複素環アルキレン基は、炭素環化合物の炭素の少なくとも1つが窒素原子、硫黄原子、酸素原子等の異種原子に置換された基である。具体的な例としては、ピリジノ基、ピリジノメチル基、フラノ基、テトラヒドロフラノ基、フラノメチル基、テトラフラノメチル基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサゾールメチル基、イミダゾール基、チアゾリルメチル基、イミダゾリルメチル基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。複素環縮合芳香族基、複素環縮合芳香族オキシ基、複素間縮合芳香族アルキレン基、および複素環縮合芳香族アルキレンオキシ基は、縮合芳香族基の芳香環の一部において、炭素の少なくとも1つが窒素原子、硫黄原子、酸素原子等の異種元素に置換された基であり、具体的な例としては、ベンゾフラノ基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、キノリル基、ゼンゾフラノ-1-メチレン基、ベンゾオキサゾール-1-メチレン基、キノリル-1-メチレン基、ベンゾフラノ-1-メチレンオキシ基、ベンゾオキサゾール-1-メチレンオキシ基、キノリル-1-メチレンオキシ基等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0036】
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。
【0037】
上記式(I)のシラン誘導体(1)はまた、単分子シラン化合物の縮合重合体であってもよい。
【0038】
本発明において、式(I)のシラン誘導体(1)は少なくとも1種が用いられている。
【0039】
(リン酸類原料)
リン酸類原料(2)としては、リン酸類(例えば、オルトリン酸、ピロリン酸(二リン酸)、縮合リン酸およびメタリン酸(ポリリン酸))、オキシ塩化リンおよび5塩化リン、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。縮合リン酸、ポリリン酸には、各種直鎖状、環状の縮合リン酸の混合物が包含される。また、リン酸類に無水リン酸を溶解、混合した形態でも使用ができる。リン酸類原料(2)は無水物および/または水溶液の形態で使用されてもよい。
【0040】
式(I)で表されるシラン誘導体(1)およびとリン酸類原料(2)との反応は、液状のシラン誘導体(1)または溶剤に溶解させたその溶液にリン酸類原料(2)を滴下して行ってもよく、または液体のリン酸類原料(2)またはその溶液にシラン誘導体(1)を滴下して行ってもよい。一方の原料に他の一方の原料が過剰に反応した生成物を生成しないようにするという理由から、シラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)とを撹拌下で同時に滴下することにより両者を反応させることが好ましい。しかし、本発明はこれらの条件に限定されるものではない。
【0041】
縮合反応における式(I)で表されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)との比率(混合比)は、シラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)とのそれぞれ基本単分子に換算して、モル比で好ましくは1:10~10:1、より好ましくは1:3~3:1、さらに好ましくは、1:1.5~1.5:1である。しかし、これらの条件に限定されるものではない。上記の通り、式(1)で表されるシラン誘導体(1)には、単分子シラン誘導体の重縮合した化合物も含まれる。このため、縮合反応を行う場合の各原料の使用は、それぞれ単分子換算したモル比に基づく質量)を秤量することが好ましい。
【0042】
(反応条件および反応操作)
式(I)で表されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)を反応させる際の条件および操作について、本反応は発熱反応であることから、撹拌下にて室温に調節された原料を使用して、反応の際の発熱による温度上昇を維持したまま混合を終了させることができる。反応の際は、必要に応じて、一定温度となるように所定の手段を用いて冷却してもよく、あるいは加熱してもよい。予め一定温度に加温した原料を使用することも可能である。シラン誘導体(1)およびリン酸類原料(2)を混合した直後から反応は開始するが、これらの原料の混合中、各種反応および各種反応物が逐次、並行して生成され、さらに変化して行く。この途中段階の分析は一般に困難であり、化学反応理論から推定せざるを得ない。原料の滴下、混合が進むと粘調な物質となり、さらに撹拌を行っていると無定形の固体となる。液状または一方の原料が固体の両原料の混合終了後、無定形固形物となった物をさらに例えば100℃で6時間撹拌を行っても無定形固体のままである。さらに例えば24時間~48時間、100℃で撹拌を行うと各種最終安定化合物に変換された結晶性物質となる。さらに高温で反応を行うと反応時間の短縮ができる。縮合反応時、上記式(I)のシラン誘導体(1)を構成する4個の置換基のうちのいくつかが残ったり、リン酸類原料(2)として、無水のピロリン酸および/またはポリリン酸等のリン酸類と反応させる場合は、加水分解するための水が共存していることが所望される。
【0043】
式(I)で表されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)を反応させる際の反応温度は、例えば80℃~250℃、好ましくは100℃~200℃である。このような反応温度には、例えば100℃~150℃で加熱処理して反応物を結晶性物質にした後、約200℃に昇温して反応から生じた脱離物質、水および過剰で残余したシラン誘導体(1)を蒸発除去し、質量変化が無いことを確認してもよい。使用する原料や副生物の沸点によって、さらに高温で処理してもよい。しかしこれらの条件に限定されるものではない。
【0044】
このようにして、式(I)で表されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート類化合物、またはホスホシリケート類化合物およびそれらの混合物が生成される。本発明の組成物は、当該シリコンホスフェート類化合物および/またはホスホシリケート類化合物の少なくとも1種を含有する。
【0045】
本発明の組成物は、採用した式(I)で表されるシラン誘導体(1)および/またはリン酸類原料(2)の種類、反応条件等によって、結晶または非晶質の形態を有する。
【0046】
本発明の組成物はまた、後述するアミン系化合物に対して所定の化学吸着能を有する。例えば、本発明の組成物は、アミン系化合物を2.5mmol/g以上、より好ましくは5mmol/g以上の化学的吸着量を有する。しかしこれに限定されるものではない。ここで、本明細書中に用いられる用語「化学吸着量」とは、アミン系化合物を化学的に吸着し得る最低量を指して言う。
【0047】
(アミン系化合物吸着剤)
本発明のアミン系化合物吸着剤(以下、単に吸着剤ということがある)は、上記組成物(すなわち、式(I)で表されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)との縮合反応物であるシリコンホスフェート化合物および/またはホスホシリケート化合物またはその混合物を含有する組成物(3))を含入する。
【0048】
本発明の吸着剤は、アンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物等のアミン系化合物である塩基性化合物の液体および/またはガスの吸着(特に化学的吸着)に優れる。アミン類としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、およびアニリン、ならびにそれらの組み合わせのような蒸気圧を有する悪臭物質となる化合物が挙げられる。含窒素複素環塩基性化合物としては、例えば、シクロプピルイミン、シクロヘキシルイミン、ピリジン、ピぺリジン、モルホリン、インドール、およびスカトール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。しかし、これらの物質に限定されるものではない。
【0049】
本発明の吸着剤の吸着容量は、例えば、測定が容易でありかつ測定数値が明白に得られるアンモニアでの吸着量で示すことができる。本発明の吸着剤において、吸着剤1g当たりのアンモニアガス吸着量は好ましくは50ml以上であり、より好ましくは80ml以上、さらに好ましくは100ml以上である。吸着容量が50ml以下では多量に吸着剤を使用しなければ十分な吸着効果が得られないことがある。なお、この吸着容量は、吸着剤が吸収または吸着できるアンモニア、アミン類および含窒素複素環塩基性化合物の最低量であり、実用上は物理吸着と化学吸着の両吸着機構で吸着した吸着容量を区別していない場合が多い。従来の物理吸着剤は高温では吸着しなくなるか逆に吸着したアンモニアを脱着して効果が無くなる。これに対し、本発明の吸着剤は例えば約200℃の高温でも吸着が可能な化学吸着剤として機能し得る。本発明の吸着剤の化学吸着容量については、吸着試験温度を40℃以上の高温にすることでも測定ができる。
【0050】
具体的な化学吸着容量の測定方法は以下のとおりである。
【0051】
対象ガスが吸着し難く、かつ、空気を通さない材質であるガラス容器、耐熱性のビニルアルコール系ポリマーまたはポリエステル等の試験容器や袋に吸着剤を入れて密封し、この密封された試験容器や袋に対象ガスを注入した後、40℃~60℃の恒温器で保存する。次いで、蒸気圧の低いアミン類および含窒素複素環塩基性化合物の場合、加熱蒸発させて吸着剤充填容器に供給する。対象ガス注入直後および一定時間経過後に、試験容器中の残存する対象ガス濃度を測定する。残存ガス濃度の減少が無くなった時を吸着能力の飽和点としてそれまで供給したガス状吸着目的試験物質の量を計算する。同時に吸着剤の質量を測定し増加質量を吸着物質の吸着量とする。この両方から吸着ガス状物質のガス容量と質量増加量から吸着した物質の質量が測定できる。その吸着量は、吸着剤1g当たりの吸着量として、例えばg/g、ml/gまたはmol量/gの単位で示すことができる。
【0052】
吸着目的物質が2種以上の混合物である時は、本発明の吸着剤に吸着された状態の物質を強酸で処理して塩として確認するとか強塩基物質で置換脱離させるとかの方法で確認することができる。
【0053】
本発明の吸着剤は、例えば、他の吸着剤や非吸着剤と混合または希釈して使用してもよい。複合型悪臭を効率的に除去するために、本発明の吸着剤と酸性ガス、脂肪酸ガス、硫黄系ガス、アルデヒドガス等用の他のガス吸着剤とを併用して吸着剤組成物として使用することも可能である。併用可能な他の吸着剤としては、例えば、活性炭、けい酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ハイドロタルサイト、ゼオライト、シリカゲル、銅含有シリカゲル、含水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、セピオライト、およびジヒドラジド化合物、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる
【0054】
本発明の吸着剤は例えば、粒子の形態を有していてもよい。また、任意の担持体に担持させて使用することもできる。
【0055】
本発明の吸着剤が粒子の形態を有する場合、その粒径は、使用用途によって当業者により適宜選択され得る。本発明の吸着剤の平均粒径は、例えばレーザー回折式の粒度分布測定によれば、好ましくは0.5μm~20μm、より好ましくは2μm~10μmである。吸着剤の最大粒径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。最大粒径が50μm以下であれば、他の添加剤との混合物の生産、使用および吸着性加工品を製造する場合の加工性が良好であり、成形品等の吸着性加工品の外観等に不具合が生じることも回避され得る。これら粒子の造粒物、顆粒化物、カプセル等に加工した物も使用される。しかしこれ等の条件に限定されるものではない。
【0056】
(アミン系化合物吸着剤の用途)
本発明のアミン系化合物吸着剤は、例えば、粉砕品のまま、顆粒化、造粒した製品やコーティングした製品、マイクロカプセル化した製品等で最終用途にそのまま使用することができる。また加工製品を製造するために使用される各種添加剤との混合品として使用することもできる。吸着剤を添加した吸着性加工品としては、例えば、紙、繊維、合板、樹脂などの他の材料と組み合わされて吸着性加工品とすることが提案される。例えば、合成繊維の作製または樹脂の成形が行われる際、使用する原料樹脂に本発明の吸着剤を練り込むこと(練り込み加工という)によって各種作成または成形を行ってもよく、あるいはすでに所定の繊維製品(例えば、フィラメントのような繊維またはそれを用いた織布、編布、不織布などの布帛)あるいは樹脂成形体として加工された加工品の表面に当該分野において周知の接着剤などを用いて後加工により吸着剤を展着してもよい。
【0057】
練り込み加工は液状樹脂の溶融物または溶解や熱溶融した熱可塑性樹脂に、本発明の吸着剤を配合し、得られた吸着剤含有樹脂組成物を成形することにより得ることができる。なお、マスターバッチと呼ばれる高濃度で吸着剤を含有した例えばペレット状の熱可塑性樹脂を予め調製し、これを主樹脂と混合後、成形することも可能である。
【0058】
マスターバッチを構成する熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、およびポリアミドイミド(PAI)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
吸着剤含有樹脂組成物には、物性を改善するために、必要に応じて、固化防止剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、防湿剤および増量剤等の添加剤が配合されていてもよい。吸着剤含有樹脂組成物に含まれ得るこれらの添加剤の含有量は特に限定されず、本発明のアミン系化合物吸着剤が有する効果を損なわない範囲おいて適切な量が当業者によって選択され得る。また本発明の吸着剤と上記記載の添加物との混合製品の形態で提供する事も可能である。
【0060】
こうした吸着剤含有樹脂組成物を用いた、繊維製品または樹脂成形体の製造には、乾式紡糸、湿式紡糸、溶融紡糸、射出成形、押出成形、インフレーション成形、真空成形、発泡成形等の当該分野において周知の紡糸方法や樹脂成形方法が採用され得る。
【0061】
一般に、化学品(工業薬品)の生産時や樹脂の硬化、架橋等の加工工程で悪臭物質が副製する製造工程が存在することがある。その場合、吸着、スプレー吸収、冷却液化、高価触媒を使用するなどの方法または手段を使用して、当該悪臭物質を燃焼分解させるか、あるいは複雑で大型の装置を設置して所定の処理を施すことが多い。
【0062】
これに対し、本発明のアミン系化合物吸着剤は、反応系内や系外で当該悪臭物質を吸着し、例えば、製品内にそのまま固定化する、あるいは吸着固形物として容易に製品から分離することができる。また有効使用する事も可能である。これにより、従来のような悪臭物質の除去のための方法や手段の使用から解放され得る。
【0063】
本発明のアミン系化合物吸着剤は、各種製品の製造の際の後加工に使用することもできる。
【0064】
例えば、加工品の表面に吸着剤を後加工する場合、本発明の吸着剤およびバインダー樹脂を含有した水系あるいは有機溶剤系懸濁液からなる吸着剤含有液体組成物からなる加工液を、噴霧塗布、コーティング塗布やディッピング等の方法で加工製品表面に展着させ、溶剤等の媒体を除去することにより得ることができる。吸着剤含有加工液を製造する際に使用するバインダー成分は特に限定されず、例えば、天然植物油、天然樹脂、半合成樹脂、合成樹脂などの油脂および樹脂のいずれであってもよい。使用できる油脂および樹脂としては、例えば、あまに油、しなきり油、大豆油等の乾性油または半乾性油、ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック型またはレゾール型のフェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これら吸着剤含有加工液は、いかなる機構により硬化するタイプであってもよく、塗膜が硬化する場合には、酸化重合型、湿気重合型、加熱硬化型、触媒硬化型、紫外線硬化型、およびポリオール硬化型等とすることができる。
【0065】
吸着剤含有加工液に含まれる本発明のアミン系化合物吸着剤の含有量は、特に限定されない。一般に、吸着剤の含有量を増やせば、吸着性を強力に発揮させ、長期間持続させることができる。また、加工液に配合される顔料、分散剤その他の添加剤は、本発明の吸着剤と化学的反応を起す可能性のあるものを除けば、特に制限されない。この吸着剤含有加工液は、容易に調製することができ、具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、デイスパーやミキサー等の一般的な混合装置を用いて、例えば吸着剤、バインダー、溶剤等の原料成分を十分に分散させかつ混合すればよい。
【0066】
本発明の吸着剤を用いた有用な吸着性加工品には、例えば、当該吸着剤の粉末や造粒物を所定の容器に充填した家庭衛生用品、雑貨およびペット用品が挙げられる。有用な吸着性加工品の一例として消臭繊維が挙げられる。
【0067】
消臭繊維は、本発明の吸着剤を繊維原料樹脂に練り込み加工することも、既に繊維、綿、不織布、編布または織布となった繊維加工品等に当該分野に公知のバインダーなどを用いて後加工により展着することも可能である。
【0068】
さらに、本発明の吸着剤の用途には、消臭造粒剤、消臭シートや消臭フィルムも好ましい例として挙げられる。加工前の原料シートは、特に限定されず、その材質、微細構造等も、用途等に応じたものとすることができる。造粒品はそのまま敷き詰めて使用するとか、カラムに充填して脱臭、吸着カラムとして使用する事が出来る。シート、布状物は、脱臭フィルターとして使用できる。
【0069】
本発明の吸着剤を用いた消臭シートは、例えば、医療用包装紙、食品用包装紙、電気機器用梱包紙、介護用紙製品、鮮度保持紙、紙製衣料、空気清浄フィルター、壁紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー等として用いることができる。本発明の吸着剤を含有する樹脂成形品または発泡成形品は、例えば、自動車部品、断熱材などの各種発泡樹脂部品;クーラーボックス、空気清浄器、冷蔵庫等の家電製品;ゴミ箱、水切り等の一般家庭用品;ポータブルトイレ等の介護用品;として用いることができる。合板や樹脂積層板等では、接着剤の中に分散して使用することもできる。
【実施例0070】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特段の表示のない場合、質量%である。
【0071】
粉末の粉砕は、ラボプラストミルで行い、粉砕粉末の粒度別分画は、振動篩分級機で行った。生成物の分析は、X線解析装置(XRD)(Rigaku Mini FlexII)を使用して解析を行った。吸着剤粉末の平均粒径(D50)の分析は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した。アンモニアガスの分析は、GC-MAS装置で測定を行った。
【0072】
(実験装置、実験操作方法および吸着評価方法)
縮合反応実験装置は、出口にコックを有し、撹拌機、滴下管および温度計を備える4口のガラス反応器に、一方の原料を入れ、他方の原料を撹拌下滴下管から滴下供給する。反応中の条件、反応後の処理等については、個々の実施例で示す。出口管には揮発性物質を補足する為の冷却器を連結しておく。副生物、未反応残余原料が不揮発性の物質の場合、それぞれに適応した有機溶剤で洗浄し、目的物を乾燥させる。
【0073】
吸着実験装置は、入口、出口にコックを有し、撹拌機および温度計を備える4口のガラス反応器に、28%アンモニア水容器の口に入口、出口を有する2本のガラス管を有した栓を設置し、一方のガラス管にコックを有した反応容器の一方のガラス管とフッ素樹脂パイプで連結する。なお、その間にガス流量計を連結させている。(アンモニアガス供給が出来る設備を有する所は、アンモニアガスを直接使用する事ができる)縮合反応と吸着実験を連続して行う場合、上記の反応装置を最初から5口反応器を使用して、一体化した装置を使用する。
【0074】
(縮合化合物の生成)
先ず式(I)で示されるシラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)との反応による縮合物の生成については、秤量したリン酸類原料(2)またはリン酸類原料(2)に不活性な溶剤に溶解した溶液を上記反応容器に入れ、秤量した原料シラン誘導体またはその有機溶剤溶液を撹拌下滴下して反応を行う。またはこの逆の操作を行う。基本的に室温から原料を滴下して反応に寄る発熱は、そのままとするが、必要であれば冷却または加熱を行う。
【0075】
シラン誘導体(1)とリン酸類原料(2)の縮合反応において、含水原料を使用する場合、シラン誘導体(1)の残余置換基の加水分解やオルトリン酸無水物、縮合リン酸、ピロリン酸およびメタリン酸(ポリリン酸)等のリン酸類原料(2)の加水分解は可能であるが、シラン誘導体(1)が無水物であり、かつリン酸類原料(2)がオルトリン酸無水物、無水のピロリン酸、縮合リン酸またはメタリン酸(ポリリン酸)である場合は、加水分解のための適応量の水の添加が必要である。
【0076】
(吸着反応操作)
先ず秤量された吸着剤を吸着反応容器に入れ、次いで28%アンモニア水の入った容器との間のコックを閉鎖しておき、吸着反応容器の出口側のパイプのコックを開けてアスピレーターまたは小型真空ポンプで吸着反応容器を減圧にしてからコックを閉鎖する。次いで、アンモニア水の容器側のコックを開放するとアンモニアがアンモニア吸着反応容器に導入される。吸着剤にアンモニアが吸着されると、それに対応したアンモニアガスが連続して供給される。吸着剤へのアンモニアの吸着が飽和に達するとアンモニアガスの流れが無くなった事が流量計の指示で確認する事ができる。アンモニアの飽和吸着に達していないにもかかわらずアンモニアガスの発生が十分でない時等では、必要に応じてアンモニア水を加温する事によってアンモニアガスを発生できる。そこでアンモニアガス供給側のコックをしめて、アンモニア吸着反応容器を外し、反応容器内の残余のアンモニアガスを窒素ガスで系外に廃棄してアンモニアを吸着した吸着剤の質量を測定する。最初挿入した吸着剤の質量とアンモニア吸着後の質量との差が吸着されたアンモニアの質量に相当する。吸着剤1gに対応するアンモニア量を質量またはモル数または吸着剤の質量に対する吸着アンモニア質量を質量%、モル量、ガス量等で比較、評価を行う。
【0077】
アンモニアや気化性のアミン類および含窒素複素環塩基性化合物等は、上記の装置で実験を行う事ができる。蒸気圧の低い悪臭物質であるアミン類および含窒素複素環塩基性化合物等の場合、加熱して悪臭物質の気体を発生させて吸着反応容器に供給するか、悪臭物質であるアミン類および含窒素複素環塩基性化合物等自体または溶液を吸着剤に直接添加する。しかし、この場合吸着後吸着物質と非吸着物質の分離を行って分析する必要がある。
【0078】
(実施例1)
リン酸類原料(2)として、85%H3PO4(オルトリン酸)276g(2.4mol)(H3PO4純分として235g(2.4mol)である)を反応容器に入れ、シラン誘導体(1)として、416g(2mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温のもと撹拌下30分間で滴下する。TEOSの滴下に従って発熱して混合液の温度が上昇するが、そのまま滴下を継続する。滴下に従って反応液の粘度が上昇し、途中で固形化する。固形物は撹拌すると破砕されて粉末となる。固形物が出てきてもその上にTEOSを滴下して原料の混合を完了させる。TEOSを滴下してリン酸との反応が生じるとTEOSのエトキシ基がエタノールとして遊離する。TEOS滴下完了時に反応は完了していない。
【0079】
TEOSの滴下終了後、反応容器中の粉体を100℃に温浴中で加熱を行い、6時間100℃で加熱(アニール処理)を行うが、一部サンプリングしてXRD解析を行うと、粉末は非晶質である事を示す。さらに100℃で24時間~48時間撹拌下でアニールを続行した後、一部をサンプリングしてXRD解析を行うと生成物が結晶体であることを示す。TEOSとリン酸から反応で生じたエタノールは、85%H3PO4を使用する場合、15%の水を含んでいるのでエタノールは水との共沸物として共沸温度で気化する。この共沸物を装置に連結した冷却器で液化して系外に取り出し、補足する。共沸除外することによって平衡が外れ、TEOSとリン酸との反応を促進する効果を示すことになる。得られた結晶体を、200℃まで外部からの加熱を昇温し、未反応のTEOSとリン酸との反応を促進すると共に、反応し得ないTEOSおよび副生したエタノール、残余の水を系外に除去する。また生成した目的縮合体を完全な結晶体とする。留去物が認められなくなり、結晶体を容器のままその質量を測定し、質量変化が無くなったことを確認して、反応を終了する。
【0080】
縮合生成物の構造、分子式がどの様な物質または物質の混合物であるかを問わず、TEOSのSiのみが反応物に残り、H3PO4のPO4
3-のみが残った反応物であると仮定すると、Si4+の2molは56.2gに相当し、PO4
3-の2.4molは227.8gに相当する。
【0081】
TEOSエトキシ基がエタノールに加水分解され、系外に除去され、リン酸の水素カチオンがTEOSのエトキシ基と反応してエタノールとして系外に除去されるか、リン酸間で脱水縮合して水を生じて系外に除去されると仮定すると縮合結晶体の最大質量は、上記質量の和で下記の質量と論理的最大質量と仮定することに問題を生じる事は無い。これらの数値から生成物の質量は、284gと仮定する。実際の結晶体の質量を測定すると281gの結晶体が得られた。さらにXRD解析を行うと多数のピークを認める。精製法が無い故、他のピークからの化合物類の構造決定は不可能である。
【0082】
(実施例2)
予め反応容器全体の質量を測定し、実施例1で得た縮合結晶化合物吸着剤30gを上記アンモニア吸着実験装置に充填して、28%アンモニア水溶液側のコックを閉めて、出口側コックを開いて小型真空ポンプで100torrまで減圧にする。減圧ポンプ側のコックを閉めて、アンモニア水側のコックを開く。撹拌下縮合結晶化合物は、アンモニアを化学吸着し、容器内のアンモニアが吸着され容器内のアンモニアが減少すると連続してアンモニアガスがアンモニア水容器から自動供給される。ガスの流れと流量は、パイプに装着した簡易流量計で確認することができる。アンモニアを化学吸着する時、発熱する。アンモニアの流れが認められなくなった時、コックを閉めて反応容器を外し、全体の質量を測定する。再度アンモニアが供給されるように装置を戻し、撹拌を継続する。30分間撹拌を行って再度容器を外して質量を測定する。質量変化が無いことを確認して、この時点でアンモニア吸着剤がアンモニア吸着で飽和に達したと見做す。アンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、5.3gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は17.67%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.177gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.177gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、10.39mmolでありガス量で示すと232.7mlである。
【0083】
(実施例3)
リン酸類原料(2)として、85%H3PO4(オルトリン酸)276g(2.4mol)(H3PO4純分として235g(2.4mol)である)を反応容器に入れ、シラン誘導体(1)として、416g(2mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温のもと撹拌下30分間で滴下する。TEOSの滴下に従って発熱して混合液の温度が上昇するが、そのまま滴下を継続する。滴下に従って反応液の粘度が上昇し、途中で固形化する。固形物は撹拌すると破砕されて粉末となる。固形物が出てきてもその上にTEOSを滴下して原料の混合を完了させる。TEOSを滴下してリン酸との反応が生じるとTEOSのエトキシ基がエタノールとして遊離する。
【0084】
TEOSの滴下が完了した際に反応は完了していない。TEOSの滴下が終了した後、反応容器中の粉体を100℃に温浴中で加熱を行い、6時間100℃で加熱(アニール処理)を行うが、一部をサンプリングしてXRD解析を行うと、粉末は非晶質である事を示す。非晶質粉末も本発明の吸着剤として使用することが可能である。
【0085】
(実施例4)
予め反応容器全体の質量を測定し、実施例3で得た非晶質化合物粉体吸着剤30gを上記アンモニア吸着実験装置に充填して、28%アンモニア水溶液側のコックを閉めて、出口側コックを開いて小型真空ポンプで100torrまで減圧にする。減圧ポンプ側のコックを閉めて、アンモニア水側のコックを開く。撹拌下縮合結晶化合物は、アンモニアを化学吸着し、容器内のアンモニアが吸着され容器内のアンモニアが減少すると連続してアンモニアガスがアンモニア水容器から自動供給される。ガスの流れと流量は、パイプに装着した簡易流量計で確認する事ができる。アンモニアを化学吸着する時、発熱する。アンモニアの流れが認められなくなった時、コックを閉めて反応容器を外し、全体の質量を測定する。再度アンモニアが供給されるように装置を戻し、撹拌を継続する。30分撹拌を行って再度容器を外して質量を測定する。質量変化が無い事を確認して、この時点でアンモニア吸着剤がアンモニア吸着で飽和に達したと見做す。アンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、5.2gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は17.33%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.173gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.173gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、10.16mmolでありガス量で示すと227.6mlである。
【0086】
(実施例5)
リン酸類原料(2)として、85%H3PO4(オルトリン酸)345g(3mol)(H3PO4純分として293.3g(3mol)である)を反応容器に入れ、シラン誘導体(1)として、416g(2mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温において撹拌下30分間で滴下する。実施例1と同様の装置で反応、処理を行う。
【0087】
実施例1で得られたと同様の外観を有する結晶粉末を得るが、原料のmol数に対応する価数の比からリン酸過剰の反応である。シリコンホスフェートおよび縮合リン酸の混合物か、さらに複雑な結晶構造物かXRD解析では、解析不可能である。PO4
3-の使用モル相当量は、284.3g(3mol)である。Si4+の使用モル相当量は、56.2g(2mol)である。脱エタノールと脱水縮合での結晶が縮合生成物と論理的に考えられることから、結晶縮合物の理論最大質量は、340.5gである。実際に得られた結晶物の質量は、347.3gであった。収率が100%以上になる。未反応HO-P-基かO-P-O-P-縮合構造部分の増加の化合物として存在することが考えられる。
【0088】
得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1と同様のアンモニア吸着操作および後処理操作を行った。アンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、4.97gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は16.6%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.166gである。この質量は吸着剤に吸着されたアンモニアの質量である。0.166gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、9.75mmolでありガス量で示すと218.4mlである。
【0089】
(実施例6)
リン酸類原料(2)として、85%H3PO4(オルトリン酸)231g(2mol)(H3PO4純分として196.4g(2mol)である)を反応容器に入れ、シラン誘導体(1)として、624g(3mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温のもと撹拌下30分間で滴下する。実施例1と同様の装置で反応、処理を行う。実施例1で得られたと同様の外観を有する結晶粉末を得るが、原料のmol数に対応する価数の比からテトラエトキシシラン(TEOS)過剰の反応である。ホスホシリケート、シリコンホスフェートおよび縮合シラン、縮合リン酸の混合物か、さらに複雑な結晶構造物かXRD解析では、解析不可能である。PO4
3-の使用モル相当量は、190.4g(2mol)である。Si4+の使用モル相当量は、84.3g(3mol)である。完全脱エタノールと脱水縮合での結晶が縮合生成物と仮定すると、結晶縮合物の理論最大質量は、274.7gである。実際に得られた結晶物の質量は、279.8gであった。収率が100%以上になる。シラン縮合物(-O-Si-O-)か未反応エトキシ基が加水分解してシリコンオキサイド(Si=O)基に変化していると考えられる。
【0090】
得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1と同様のアンモニア吸着操作および後処理操作を行った。アンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、4.83gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は16.1%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.161gである。この質量は吸着剤に吸着されたアンモニアの質量である。0.161gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、9.45mmolであり、ガス量で示すと211.7mlである。
【0091】
(実施例7)
シラン誘導体(1)として、416g(2mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を反応容器に入れ、リン酸類原料(2)として、85%H3PO4(オルトリン酸)276g(2.4mol)(H3PO4純分として235g(2.4mol)である)を室温において撹拌下30分間で滴下する。その他の反応条件、実験操作は、実施例1と同様の処理を行う。全ての処理後、実施例1で得られたと同様の外観を有する結晶粉末を得る。PO4
3-の使用モル相当量は、227.8g(2.4mol)である。Si4+の使用モル相当量は、56.2g(2mol)である。完全脱エタノールと脱水縮合での結晶が縮合生成物と仮定すると、結晶縮合物の理論最大質量は、284gである。結晶体の質量を測定すると280gの結晶体が得られた。
【0092】
得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1と同様のアンモニア吸着操作および後処理操作を行った。吸着剤のアンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、5.0gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は16.67%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.167gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.167gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、9.81mmolあり、ガス量で示すと219.7mlである。
【0093】
(実施例8)
リン酸類原料(2)として、ピロリン酸(二リン酸)(分子式H4P2O7)結晶213.6g(1.2mol)を素早く秤量し、反応容器に入れ、水21.6g(1.2mol)添加する。次いで、シラン誘導体(1)として、416g(2mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温のもと撹拌下30分間で滴下する。その他の反応条件、実験操作は、実施例1と同様の処理を行う。全ての処理後、実施例1で得られたと同様の外観を有する結晶粉末を得る。P2O7
4-の使用モル相当量は、208.8g(1.2mol)である。
【0094】
Si4+の使用モル相当量は、56.2g(2mol)である。完全脱エタノールし、ピロリン酸がオルトリン酸に加水分解されて、脱エタノール縮合を行った結晶が縮合生成物と仮定すると、結晶縮合物の理論最大質量は、265gである。結晶体の質量を測定すると269gの結晶体が得られた。ピロリン酸が完全分解してTEOSと反応していない部分があると考えられる。ピロリン酸の-O-P-O-P-構造がそのまま残っていることが考えられる。
【0095】
得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1と同様のアンモニア吸着操作および後処理操作を行った。吸着剤のアンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、4.9gであった。吸着前の吸着剤質量に対する吸着率は16.33%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.163gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.163gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、9.57mmolでありガス量で示すと214.4mlである。オルトリン酸を原料に使用した場合に近い吸着量(吸着率)を示すことから、ピロリン酸は、滴下反応中や加熱熟成反応中にピロリン酸の-O-P-O-結合が切断され、TEOSと反応していると考えられる。得られた縮合物結晶のXRD解析スペクトルは、実施例1のそれと類似している。
【0096】
(実施例9)
リン酸類原料(2)として、ポリリン酸(メタリン酸)(日本化学工業製、ポリリン酸-105、P2O5換算75.3%以上、オルトリン酸、ピロリン酸、直鎖状縮合リン酸の混合物)200g(粘調物質)(P2O5換算150.6g、1.06mol)(P換算で2.12mol)(P2O5、1モルに対してPのモル数としては2モル)を反応容器の中に入れて秤量する。水38.2g(2.12mol)を添加する。
【0097】
次いで、シラン誘導体(1)として、368.7g(1.77mol)のテトラエトキシシラン(TEOS)を室温のもと撹拌下30分間で滴下する。P2O5換算の使用モル相当量は、150.6g(1.06mol)である。Si4+の使用モル相当量は、49.7g(1.77mol)である。完全脱エタノールと脱水縮合での結晶が縮合生成物と仮定すると、結晶縮合物の理論最大質量は、200.3gである。
【0098】
得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1と同様のアンモニア吸着操作および後処理操作を行った。吸着剤のアンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、4.7gであった。吸着前の吸着剤質量に対する吸着率は15.67%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.157gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.157gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、9.22mmolであり、ガス量で示すと206.5mlである。オルトリン酸を原料に使用した場合に近い吸着量(吸着率)を示すことから、ポリリン酸は、滴下反応中や加熱熟成反応中にピロリン酸や直鎖状縮合リン酸の-O-P-O-結合が切断され、TEOSと反応していると考えられる。完全分解はされず、そのため若干のTEOSとの縮合結晶生成物の取得量が減少する。得られた縮合物結晶のXRD解析スペクトルは、実施例1のそれと類似しているが、副生物、異なる化学構造部分に起因するさらに複雑なスペクトルを示す。
【0099】
(実施例10)
実施例1で得られた結晶縮合物30gを秤量し、実施例1における装置の28%アンモニア水溶液に代えて、50%ジメチルアミン溶液の入った容器を設置する。実施例1のアンモニアガスの供給、結晶縮合物に化学吸着させる実験操作と同様の操作と後処理を行う。吸着剤のジメチルアミン吸着前の質量とジメチルアミン飽和化学吸着した質量との差は、14.05gであった。吸着前の吸着剤質量に対する吸着率は46.8%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は、0.468gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたジメチルアミンの質量である。0.468gのジメチルアミンをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、10.37mmolでありガス量で示すと232.3mlである。
【0100】
(実施例11)
実施例1において、結晶縮合体のアンモニアの化学吸着実験において、30g秤量した結晶縮合体を200℃に加熱した状態でアンモニアガスを供給する。通常の吸着剤では、物理吸着であり、アンモニアの高温での吸着が不可能であり、逆に吸着した状態の吸着剤を加熱すると吸着物質を脱着して遊離する。本実施例において200℃という高温でアンモニアガスを効率よく吸着を行う。実施例1と同様のアンモニア吸着の操作および後処理を行った後室温まで冷却して吸着剤の質量を測定する。
【0101】
その結果アンモニア吸着前の質量とアンモニア飽和化学吸着した質量との差は、5.4gであった。吸着前吸着剤の質量に対する吸着率は18.0%である。吸着剤1g当たりの吸着質量は0.18gである。この質量は吸着剤1gに吸着されたアンモニアの質量である。0.18gのアンモニアをモル数で示すと、吸着剤1g当たり、10.57mmolでありガス量で示すと236.8mlである。