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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064005
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】魚節だしの抽出方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20230428BHJP
   B01D 11/04 20060101ALI20230428BHJP
   A23L 17/20 20160101ALN20230428BHJP
   A23L 5/30 20160101ALN20230428BHJP
【FI】
A23L27/10 B
B01D11/04 C
A23L17/20
A23L5/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174178
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】590006398
【氏名又は名称】マルトモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127579
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100203301
【弁理士】
【氏名又は名称】都築 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大福 美帆
(72)【発明者】
【氏名】福本 伸治
【テーマコード(参考)】
4B035
4B042
4B047
4D056
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE03
4B035LG42
4B035LP22
4B035LP59
4B042AC10
4B042AG12
4B042AG27
4B042AG30
4B042AK03
4B042AP02
4B042AP07
4B042AP09
4B042AP14
4B042AP15
4B042AP30
4B047LB03
4B047LE01
4B047LG03
4B047LG07
4B047LG55
4B047LP01
4B047LP05
4B047LP08
4B047LP20
4D056AB12
4D056AC06
4D056AC21
4D056AC22
4D056AC29
4D056BA04
4D056CA01
4D056CA22
4D056CA23
4D056DA01
4D056DA05
4D056DA10
(57)【要約】
【課題】
水性媒体に魚節粉末を投入し攪拌した際に、魚節粉末のダマの形成を抑制した上、魚節粉末を水性媒体中において均一に分散させ、魚節粉末から効率よくだしを抽出する魚節だしの抽出方法を提供すること。
【解決手段】
魚節粉末を使用した魚節だしの抽出方法において、
(1)水性媒体を加温する工程と、
(2)前記水性媒体に食塩を投入し溶解させる工程と、
(3)前記水性媒体に魚節粉末を投入し超音波を照射しながら攪拌する工程とを備え、
(4)前記水性媒体にアルコールを添加し混合する工程を備える場合、前記工程(3)が前記工程(4)より後に行われ、前記水性媒体の食塩濃度が2.5~10重量%の範囲でありかつ前記水性媒体のアルコール濃度が6.0重量%以下の範囲であることを特徴とする魚節だしの抽出方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚節粉末を使用した魚節だしの抽出方法において、
(1)水性媒体を加温する工程と、
(2)前記水性媒体に食塩を投入し溶解させる工程と、
(3)前記水性媒体に魚節粉末を投入し超音波を照射しながら攪拌する工程とを備え、
(4)前記水性媒体にアルコールを添加し混合する工程を備える場合、前記工程(3)が前記工程(4)より後に行われ、前記水性媒体の食塩濃度が2.5~10重量%の範囲でありかつ前記水性媒体のアルコール濃度が6.0重量%以下の範囲であることを特徴とする魚節だしの抽出方法。
【請求項2】
前記水性媒体の食塩濃度が10重量%でありかつ前記水性媒体のアルコール濃度が4.0重量%以下の範囲である、請求項1に記載の魚節だしの抽出方法。
【請求項3】
前記魚節粉末の平均粒度が5.0~15μmの範囲であり、前記水性媒体の温度が45~55℃の範囲であり、前記超音波の周波数が30~40kHzの範囲であり、攪拌の速度が150~750rpmの範囲である、請求項1又は2に記載の魚節だしの抽出方法。
【請求項4】
攪拌した際の魚節濃度が34~40重量%となる請求項1~3のいずれかに記載の魚節だしの抽出方法。
【請求項5】
前記魚節粉末が、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじ及びあごからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする請求項1~4のいずれかに記載の魚節だしの抽出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚節だしの抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かつお節などの魚節から抽出しただしは、日本人に好まれ、広く利用されているところ、魚節からだしを抽出する方法として、魚節を水性媒体に投入し適宜攪拌しながら、だしの抽出を行うバッチ式抽出法などが知られている。また、効率よくだしを抽出するため、魚節は薄く切削された削り節や細かく粉砕された魚節粉末にして使用される。
【0003】
魚節粉末を用いる場合、魚節粉末が水性媒体に投入され攪拌されると、魚節粉末は水性媒体中において分散し、だしが抽出されることになる。
ところが、投入する魚節粉末の量が多くなると、魚節粉末は水性媒体中においてうまく分散せず凝集し、粒状の塊(いわゆる「ダマ」と呼ばれるもの。)が形成されるため、魚節粉末を水性媒体中に均一に分散させることが困難となる。その結果、魚節粉末から効率よくだしを抽出することができない問題があった。
【0004】
ダマの形成を抑制し魚節粉末を水性媒体中に均一に分散させる方法として、魚節粉末を水性媒体に投入し攪拌する際、超音波を照射することにより魚節粉末と水性媒体の水分子を振動させ分散性を向上させる方法が知られている。
しかし、魚節粉末は細かく凝集しやすいため、超音波の照射だけではダマの形成を抑制するには十分ではない。
【0005】
また、魚節からだしを抽出する際、乳化状態となった脂肪系の物質と水溶性蛋白質が結合し、濁りが発生するところ、濁りは凝集し沈殿したり酸化して不快臭を発生する。そこで、濁りの発生を抑制するため、塩類又は糖類を7重量%以上含有する水溶液を用いてだしを抽出することを特徴とするだし汁の製造方法が提案されている(特許文献1)。
このだし汁の製造方法によれば、濁りが生じない清澄なだし汁を得ることができる。
【0006】
しかし、 上記の濁りの発生を抑制し清澄なだし汁を得る方法を示す先行技術文献には、魚節粉末の凝集を抑制し分散を促すデータについては一切開示されていない。このため、魚節粉末の分散性にどのような影響を与えるかは不明のままである。
また、本発明者が検討したところ、食塩濃度が一定の程度を超えると、魚節粉末の分散性はむしろ低下することが判明した。
【0007】
また、魚節からだしを抽出する際、保存性の向上のため、アルコールを添加することがあるところ、上記の先行技術文献には、アルコールの添加の有無やその分量については一切開示されていない。
このため、アルコールを添加する場合、アルコールを添加するタイミングやアルコール濃度については不明のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、水性媒体に魚節粉末を投入し攪拌した際に、魚節粉末のダマの形成を抑制した上、魚節粉末を水性媒体中において均一に分散させ、魚節粉末から効率よくだしを抽出する魚節だしの抽出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記問題を解決するため鋭意検討した結果、魚節粉末を使用した魚節だしの抽出方法において、(1)水性媒体を加温する工程と、(2)前記水性媒体に食塩を投入し溶解させる工程と、(3)前記水性媒体に魚節粉末を投入し超音波を照射しながら攪拌する工程とを備え、(4)前記水性媒体にアルコールを添加し混合する工程を備える場合、前記工程(3)が前記工程(4)より後に行われ、前記水性媒体の食塩濃度が2.5~10重量%の範囲でありかつ 前記水性媒体のアルコール濃度が6.0重量%以下の範囲であることを特徴とする魚節だしの抽出方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
[1] 魚節粉末を使用した魚節だしの抽出方法において、
(1)水性媒体を加温する工程と、
(2)前記水性媒体に食塩を投入し溶解させる工程と、
(3)前記水性媒体に魚節粉末を投入し超音波を照射しながら攪拌する工程とを備え、
(4)前記水性媒体にアルコールを添加し混合する工程を備える場合、前記工程(3)が前記工程(4)より後に行われ、前記水性媒体の食塩濃度が2.5~10重量%の範囲でありかつ前記水性媒体のアルコール濃度が6.0重量%以下の範囲であることを特徴とする魚節だしの抽出方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明の一つは、
[2]前記水性媒体の食塩濃度が10重量%でありかつ前記水性媒体のアルコール濃度が4.0重量%以下の範囲である、上記[1]に記載の魚節だしの抽出方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明の一つは、
[3] 前記魚節粉末の平均粒度が5.0~15μmの範囲であり、前記水性媒体の温度が45~55℃の範囲であり、前記超音波の周波数が30~40kHzの範囲であり、攪拌の速度が150~750rpmの範囲である、上記[1]又は[2]に記載の魚節だしの抽出方法を提供するものである。
【0014】
また、本発明の一つは、
[4] 攪拌した際の魚節濃度が34~40重量%となる上記[1]~[3]のいずれかに記載の魚節だしの抽出方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明の一つは、
[5] 前記魚節粉末が、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじ及びあごからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする上記[1]~[4]のいずれかに記載の魚節だしの抽出方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の魚節だしの抽出方法によれば、水性媒体に魚節粉末を投入し攪拌した際、魚節粉末のダマの形成を抑制した上、魚節粉末を水性媒体中において均一に分散させ、魚節粉末から効率よくだしを抽出することができる。
また、水性媒体にアルコールを添加し混合する工程を備える場合、魚節粉末を水性媒体に投入し攪拌する工程は、アルコールを水性媒体に添加し混合した後、行われるところ、魚節粉末が分散した水性媒体のゲル化を防ぐことができる。また、アルコール濃度を6.0重量%以下の範囲とすることにより魚節粉末の分散性を損ねることなく魚節だしの保存性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の魚節だしの抽出方法を説明する。
本発明の魚節だしの抽出方法を実施する際、既に製造されている魚節を入手して使用してもよいし、魚節を製造する工程により得られる魚節を使用してもよい。
魚節を製造する工程としては、例えば、原料魚の身卸し工程、焙乾・あん蒸工程等を含めることも可能である。
【0018】
本発明に使用する魚節の原料魚としては、例えば、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじ及びあご等からなる群から選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。前記原料魚はかつおであれば好ましい。
【0019】
前記原料魚の重量については通常魚節に使用されるものであれば特に限定はないが、通常は0.3~8kg、好ましくは0.5~6kg、更にに好ましくは1~4kgの範囲である。
【0020】
まず、原料魚に対して身卸し工程を行う。
身卸し工程は、原料魚から骨、腹肉、内臓、鱗等を除去する操作等により実施される。
【0021】
なお、前記原料魚は必要に応じて適宜加温することができる。前記原料魚の加温は使用される原料魚が凍結されている場合には、前記身卸し工程の前に実施することが好ましい。加温工程は、原料魚を温水等で加温すればよい。
【0022】
次に焙乾・あん蒸工程について説明する。
前記身卸し工程により得られた魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾という。
前記焙乾は、原料魚の種類、量等に応じて適宜実施されるが、一例を挙げるとすれば、例えば、前記燻製室の温度が通常50~100℃の範囲となるようにして行うことができる。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分
が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に通常実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
【0023】
前記荒節を冷暗所で保管し、表面を削ってタール分等を除去してから黴付け工程を行う
ことにより、枯節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常枯節を製造する際に実施される方法を適宜選択して実施することができる。
【0024】
上述した製造方法により、前記荒節および枯節の少なくとも一方からなる魚節を得ることができる。
本発明に使用する魚節は、水洗およびブラッシングすることが好ましい。水洗およびブラッシングをすることにより、本発明の製造方法により得られる魚節にかび、骨等の夾雑物が混入することを防ぐことができる。
【0025】
本発明に使用する魚節粉末は市販のものを適宜選択して使用することができる他、魚節を粉砕する工程により得られる魚節粉末を使用してもよい。
魚節を粉砕する工程に特に限定はなく、魚節を切削した後、カッターミル、ハンマーミル、ローラーミル等の粉砕機により粉砕して魚節粉末を得ることができる。
【0026】
魚節粉末の平均粒度が小さいものほど、通常、ダマが形成されやすいが、本発明では超微粉末と呼ばれる平均粒度が非常に小さい魚節粉末を使用することができる。
具体的には、魚節粉末の平均粒度は、1.0~100μmの範囲であれば好ましく、5.0~15μmの範囲であれば更に好ましい。
【0027】
魚節粉末からだしを抽出するに際しては、抽出に使用する水性媒体を加温する。
加温した水性媒体の温度は、45~55℃の範囲であれば好ましく、48~52℃の範囲であれば更に好ましい。
抽出に使用する水性媒体としては、通常、水が用いられるが、例えば、水道水、水道水から塩素を除去した工業用水、蒸留水等を挙げることができる。
【0028】
次に、加温した水性媒体に食塩を投入し溶解させる。
本発明に使用する食塩としては、特に限定はないが、例えば、精製塩、合成塩、岩塩等を挙げることができる。
食塩は一種又は二種以上を使用してもよい。
【0029】
次に、食塩が溶解した水性媒体に魚節粉末を投入し超音波を照射しながら攪拌する。
超音波を照射する方法としては、特に限定はなく、市販の超音波発生装置を使用することができる。超音波発生装置は超音波発振器及び超音波振動子を備え、超音波発振器で生じた高周波電力が超音波振動子の振動により超音波に変換される。超音波振動子は、例えば、容器の底面や側面に備えられている。
超音波の周波数は、30~40kHzの範囲であれば好ましく、33~37kHzの範囲であれば更に好ましい。
【0030】
攪拌する方法としては、特に限定はなく、市販の攪拌装置を使用することができる。
攪拌する時間は、例えば、10~60分の範囲である。
攪拌の速度は、150~750rpmの範囲であれば好ましく、350~550rpmの範囲であれば更に好ましい。
【0031】
水溶性媒体にアルコールを添加し混合する場合、魚節だしの保存性を向上させることができる。また、アルコールの添加及び混合は水性媒体に魚節粉末を投入する前に行う。
アルコールの添加及び混合が魚節粉末を投入した後に行われると、魚節粉末が投入された水性媒体がゲル化してしまい、攪拌できなくなる。
本発明に使用するアルコールとしては、特に限定はないが、食品用エタノールが好適に用いられる。
【0032】
魚節濃度は、前記水、食塩、アルコール及び魚節粉末の合計重量により魚節粉末の重量を割って得た数値である。魚節粉末を投入後、超音波を照射しながら攪拌した際、分散可能な魚節粉末の重量を基に魚節濃度を計算する。魚節濃度が高いほど、魚節粉末の分散性に優れるといえる。
【0033】
だしの抽出が完了した後、魚節粉末の残渣を取り除き、だし汁を得ることができる。
魚節粉末の残渣を取り除く方法としては、特に限定はなく、布による分離や遠心分離により魚節粉末の残渣を取り除くことができる。
【0034】
以下に本発明の魚節だしの抽出方法について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0035】
本実施例においては魚節としてかつお節を使用し、粉砕機により粉砕してかつお節粉末を得た。かつお節粉末の平均粒度は10μmである。
水にアルコールを添加し混合した上、45~55℃に加温し、 食塩を投入した上で溶解させた。前記水の温度は恒温循環水槽(ラウダ社製、商品名低温循環水槽RA8)により一定に保たれる。
その上で、前記かつお節粉末を投入し、超音波発生装置(株式会社ソニックテクノロジー製、商品名GSC300-10AG)を使用して35kHzの超音波を照射しながら、攪拌した。攪拌の速度は150~750rpmであり、攪拌装置(新東科学株式会社製、商品名スリーワンモータ汎用撹拌機BL600)を使用した。
【0036】
前記水、食塩、アルコール及びかつお節粉末の合計重量は2kgとし、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を3重量%とした場合のかつお節濃度を計算した。
かつお節濃度は、前記水、食塩、アルコール及びかつお節粉末の合計重量によりかつお節粉末の重量を割って得た数値である。
かつお節粉末を投入後、超音波を照射しながら攪拌し、10分経過してもダマがあるか攪拌困難であれば、かつお節粉末の分散は困難であると判断するものとし、分散可能なかつお節粉末の重量を基にかつお節濃度を計算した。かつお節濃度が高いほど、かつお節粉末の分散性に優れるといえる。
結果を表1に示す。
表1から分かるとおり、実施例1では、かつお節濃度を40重量%とすることができた。
【0037】
[比較例1]
実施例1の場合で、水に食塩とアルコールとを加えず、食塩濃度を0重量%、アルコール濃度を0重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表1に示す。
表1から分かるとおり、比較例1では、かつお節濃度を27重量%とすることしかできなかった。
【0038】
[比較例2]
実施例1の場合で、水へのアルコールの添加及び混合がかつお節粉末を投入した後に行われた他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
比較例2では、かつお節粉末が投入された水がゲル化してしまい、攪拌できなくなった。かつお節粉末の分散は困難であり、かつお節濃度の計算は不可能であった。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から分かるとおり、実施例1では、食塩とアルコールを加えない場合と比較して、かつお節粉末の優れた分散性を実現できた。また、水へのアルコールの添加及び混合が魚節粉末の投入より前に行われることにより、かつお節粉末が投入された水のゲル化を防ぐこともできた。
【実施例0041】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を0重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例2ではかつお節濃度を40重量%とすることができた。
【実施例0042】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を1重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例3ではかつお節濃度を40重量%とすることができた。
【実施例0043】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を2重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例4ではかつお節濃度を40重量%とすることができた。
【実施例0044】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例5ではかつお節濃度を40重量%とすることができた。
【実施例0045】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を5重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例6ではかつお節濃度を34重量%とすることができた。
【実施例0046】
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を6重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、実施例6ではかつお節濃度を34重量%とすることができた。
【0047】
[比較例3]
実施例1の場合で、食塩濃度を10重量%、アルコール濃度を7重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表2に示す。
表2から分かるとおり、比較例3では、かつお節濃度を29重量%とすることしかできなかった。
【0048】
【表2】
【0049】
表2から分かるとおり、実施例1~5では、かつお節濃度を40重量%とすることができ、実施例6及び7では、かつお節濃度を34重量%とすることができるものであり、比較例3と比較して、かつお節粉末の分散性が際だって優れていることが分かる。
アルコール濃度を6.0重量%以下の範囲とすることによりだしの保存性を向上させつつかつお節粉末の優れた分散性を実現できた。
【実施例0050】
実施例1の場合で、食塩濃度を2.5重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、実施例8ではかつお節濃度を34重量%とすることができた。
【実施例0051】
実施例1の場合で、食塩濃度を5重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、実施例9ではかつお節濃度を35重量%とすることができた。
【実施例0052】
実施例1の場合で、食塩濃度を7.5重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、実施例10ではかつお節濃度を35重量%とすることができた。
【0053】
[比較例4]
実施例1の場合で、食塩濃度を0重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、比較例4では、かつお節濃度を27重量%とすることしかできなかった。
【0054】
[比較例5]
実施例1の場合で、食塩濃度を1.25重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、比較例5では、かつお節濃度を28重量%とすることしかできなかった。
【0055】
[比較例6]
実施例1の場合で、食塩濃度を12.5重量%、アルコール濃度を4重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表3に示す。
表3から分かるとおり、比較例6では、かつお節濃度を28重量%とすることしかできなかった。
【0056】
【表3】
【0057】
表3から分かるとおり、実施例5では、かつお節濃度を40重量%とすることができ、実施例8~10では、かつお節濃度を34~35重量%とすることができるものであり、比較例4~6と比較して、かつお節粉末の分散性が際だって優れていることが分かる。
【実施例0058】
実施例1の場合で、食塩濃度を2.5重量%、アルコール濃度を0重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、実施例11ではかつお節濃度を34重量%とすることができた。
【実施例0059】
実施例1の場合で、食塩濃度を2.5重量%、アルコール濃度を6重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、実施例12ではかつお節濃度を34重量%とすることができた。
【0060】
[比較例7]
実施例1の場合で、食塩濃度を1.25重量%、アルコール濃度を0重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、比較例7では、かつお節濃度を28重量%とすることしかできなかった。
【0061】
[比較例8]
実施例1の場合で、食塩濃度を1.25重量%、アルコール濃度を6重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、比較例8では、かつお節濃度を27重量%とすることしかできなかった。
【0062】
[比較例9]
実施例1の場合で、食塩濃度を2.5重量%、アルコール濃度を7重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、比較例9では、かつお節濃度を31重量%とすることしかできなかった。
【0063】
[比較例10]
実施例1の場合で、食塩濃度を12.5重量%、アルコール濃度を0重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、比較例10では、かつお節濃度を28重量%とすることしかできなかった。
【0064】
[比較例11]
実施例1の場合で、食塩濃度を12.5重量%、アルコール濃度を6重量%とした他は、実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
結果を表4に示す。
表4から分かるとおり、比較例11では、かつお節濃度を27重量%とすることしかできなかった。
【0065】
【表4】
【0066】
表4から分かるとおり、実施例11及び12では、かつお節濃度を34重量%とすることができ、比較例7~11と比較して、かつお節粉末の分散性が際だって優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、水性媒体に魚節粉末を投入し攪拌した際、魚節粉末のダマの形成を抑制した上、魚節粉末を水性媒体中において均一に分散させ、魚節粉末から効率よくだしを抽出することができる。だしを原料とする食品や調味料の製造に広く応用することが可能であり、優れた産業上の利用可能性を有する。