(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064011
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】粉体製造機
(51)【国際特許分類】
B27L 11/06 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
B27L11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174188
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】516091846
【氏名又は名称】株式会社DEMS
(71)【出願人】
【識別番号】500118436
【氏名又は名称】岡村 大
(71)【出願人】
【識別番号】520400759
【氏名又は名称】岡村 多美子
(74)【代理人】
【識別番号】100106895
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】岡村 大
【テーマコード(参考)】
2B241
【Fターム(参考)】
2B241DA14
2B241DA29
2B241DA33
2B241DA34
2B241DA36
2B241DA40
2B241DB01
2B241DB03
2B241DB23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率よく微粉砕ができ、簡易な構造・機能にすることにより小型で安価な粉体製造装置を提供する。
【解決手段】上端部に吸引による排出口12を備えたケーシング2内に設置されたローター3は、断面略鼓形に形成された中空の胴部と、胴部の外周面の両側の端部から中央部にかけて放射状かつ左右交互にそれぞれ突設された複数の中空の羽根とから成り、各羽根の表面には、紙やすりが貼付され又は研磨剤が付着し、若しくはローレット加工されており、胴部及び各羽根の内部は互いに連通するとともに、各羽根の縁部は複数開口された噴出孔が設けられていて、空気配管を経て圧縮空気供給源に接続されたローター軸4に形成された空気通路を通して、ローター3の回転時に空気供給源から供給されるエアーを吹出孔から噴出させる粉体製造装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に吸引による排出口を備えたケーシングと、
前記チャンバー内で回転するローターとを備え、該ローターを回転させることにより前記チャンバー内に投入された原料を粉砕して紛体を製造する粉体製造装置において、
前記ローターは、断面略鼓形に形成された中空の胴部と、該胴部の外周面の両側の端部から中央部にかけて放射状かつ左右交互にそれぞれ突設された複数の中空の羽根とから成り、当該各羽根の表面には、紙やすりが貼付され又は研磨材が付着していること、及び前記胴部及び各羽根の内部は互いに連通するとともに、前記各羽根の縁部には複数開口された噴出孔が設けられていて、空気配管を経て圧縮空気供給源に接続された前記ローターの軸に形成された空気通路を通して、前記ローターの回転時に前記空気供給源から供給されるエアーを該吹出孔から噴出させること、
を特徴とする粉体製造装置。
【請求項2】
上端部に吸引による排出口を備えたケーシングと、
前記チャンバー内で回転するローターとを備え、該ローターを回転させることにより前記チャンバー内に投入された原料を粉砕して紛体を製造する粉体製造装置において、
前記ローターは、断面略鼓形に形成された中空の胴部と、該胴部の外周面の両側の端部から中央部にかけて放射状かつ左右交互にそれぞれ突設された複数の中空の羽根とから成り、当該一部の羽根の表面はローレット加工され、他の羽根の表面には紙やすりが貼付され又は研磨材が付着していること、及び前記胴部及び各羽根の内部は互いに連通するとともに、前記各羽根の縁部には複数開口された噴出孔が設けられていて、空気配管を経て圧縮空気供給源に接続された前記ローターの軸に形成された空気通路を通して、前記ローターの回転時に前記空気供給源から供給されるエアーを該吹出孔から噴出させること、
を特徴とする粉体製造装置。
【請求項3】
前記紙やすり又は研磨剤は、各羽根ごとに異なる粒度であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の粉体製造装置。
【請求項4】
前記異なる粒度はそれぞれ粗目、中目、細目であること、
を特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の粉体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用の粉体を製造する粉体製造機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から再生可能なエネルギーへの転換が求められており、その代表的なものとしてバイオマス燃料が挙げられる。バイオマス燃料の一つとして木質ペレットが挙げられるが、木くずなど細粉して圧縮成形するため、手間とコストがかかってしまう。
【0003】
一方で、木くずなどを数十マイクロメートル以下の微粉にすることによって完全燃焼し、燃焼効率が高くなることが知られている。このような原料を微粉化する装置としては様々なものが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1では、主に、原料となる概ね1mm程度の原料竹粉を投入する投入部と、投入部と連通され、投入部から投入された原料竹粉を、この原料竹粉の粒径よりも小さい第一粒径の一時竹粉に微粉砕するための第一微粉砕部と、第一微粉砕部と連通され、第一微粉砕部で微粉砕された一時竹粉を、さらに第一粒径よりも小さい第二粒径の二次竹粉に微粉砕するための第二微粉砕部と、第二微粉砕部と連通され、第二微粉砕部で微粉砕された二次竹粉を回収するための回収部とを含んだ粉体製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
しかしながら、従来例の粉体製造装置では大型化しやすく、構造も複雑となり、細かなメンテナンスも必要となる。特に、燃焼装置と一体で使用する場合、できるだけ省スペース化できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、小型でも効率よく微粉砕が可能なバイオマス燃料としての微粉体を製造する装置を得ることにある。また、できる限り簡易な構造・機能とすることで、部品点数を少なくし、安価な粉体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る紛体製造装置の第1の特徴は、上端部に吸引による排出口を備えたケーシングと、前記チャンバー内で回転するローターとを備え、該ローターを回転させることにより前記チャンバー内に投入された原料を粉砕して紛体を製造する粉体製造装置において、前記ローターは、断面略鼓形に形成された中空の胴部と、該胴部の外周面の両側の端部から中央部にかけて放射状かつ左右交互にそれぞれ突設された複数の中空の羽根とから成り、当該各羽根の表面には、紙やすりが貼付され又は研磨材が付着していること、及び前記胴部及び各羽根の内部は互いに連通するとともに、前記各羽根の縁部には複数開口された噴出孔が設けられていて、空気配管を経て圧縮空気供給源に接続された前記ローターの軸に形成された空気通路を通して、前記ローターの回転時に前記空気供給源から供給されるエアーを該吹出孔から噴出させることにある。
【0009】
また、本発明に係る紛体製造装置の第2の特徴は、上端部に吸引による排出口を備えたケーシングと、前記チャンバー内で回転するローターとを備え、該ローターを回転させることにより前記チャンバー内に投入された原料を粉砕して紛体を製造する粉体製造装置において、前記ローターは、断面略鼓形に形成された中空の胴部と、該胴部の外周面の両側の端部から中央部にかけて放射状かつ左右交互にそれぞれ突設された複数の中空の羽根とから成り、当該一部の羽根の表面はローレット目加工され、他の羽根の表面には紙やすりが貼付され又は研磨材が付着していること、及び前記胴部及び各羽根の内部は互いに連通するとともに、前記各羽根の縁部には複数開口された噴出孔が設けられていて、空気配管を経て圧縮空気供給源に接続された前記ローターの軸に形成された空気通路を通して、前記ローターの回転時に前記空気供給源から供給されるエアーを該吹出孔から噴出させることにある。
【0010】
さらに、本発明に係る紛体製造装置の第3の特徴は、前記第1または第2の特徴における紛体製造装置において、前記紙やすり又は研磨剤が、各羽根ごとに異なる粒度であることにある。
【0011】
さらにまた、本発明に係る紛体混合装置の第4の特徴は、前記第3の特徴における紛体製造装置において、前記異なる粒度がそれぞれ粗目、中目、細目であることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ローターの胴部を鼓形とし、かつ羽根をローター胴部の端部に交互に配設することで、被粉砕物を同時に多面的に移動させ、また羽根の縁部からエアーを噴出させることにより、エアーによる流動も加わるので、被粉砕物は衝突粉砕され、かつ羽根の表面の研磨構造により研磨されるため、バイオマス原料を短時間で効率よく微粉砕することが可能となる。
【0013】
また、数百マイクロメートルに微粉砕されたバイオマス燃料により、燃焼効率が上がり、燃料の完全燃焼が可能となる。これによって、燃焼装置の炉も小型化できるので、燃焼装置全体を小型することができ、また煤が出ないので環境によいバイオマス燃料を製造することが可能となる。
【0014】
さらに、構造が単純化され、部品点数も少なくすることが可能で、点検や運転の取り扱いが容易となるほか、装置の小型化を図ることができ、製造コストも従来品に比べ大幅に低減することができる。
【0015】
さらにまた、ローターの内部を空洞とすること及び研磨素材をごく軽いものとすることで、装置全体の軽量化が図られ、ローターの回転に伴うエネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図6】ローターを右側面方向からみた斜視図である。
【
図11】胴部を断面図としたローターの正面図ある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照し説明する実施例により、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1から
図11は、本発明の粉体製造装置を表したものである。
【0019】
同図において、1は紛体製造装置本体、2はケーシング、3はケーシング2の内部空間であるチャンバー内において収容され、ケーシング2の中心軸線周りに回転するローター、4は該ローターのローター軸、5、6は台7上部に取り付けられた軸受ユニット、8は台7下方に取り付けられたモーター、9はモーター8の駆動によりローター軸4を回転させる伝動手段である。
【0020】
ケーシング2は、
図1から4にあるように、左右の側面が円形で正面が略八角形状に形成されており、その右側面上方に木片やペレット、稲わら等のバイオマス燃料となる被粉砕物をチャンバー内に供給するために開口した供給口11を、上端部には粉砕された粉体を排出するための排出口12を、下端部にはケーシング2内に被粉砕物を乾燥させる風を導入するために開口した送風口13を設けている。また、ケーシング2の右側面中央部には、ローター軸4と連通する開口部15が設けられている。さらに、ケーシング2の左側面上方には、チャンバー内の様子を見るための点検窓(図示せず)が設けられており、16は該点検窓を閉塞する窓カバーである。
【0021】
排出口12は、配管を介してサイクロンと連通されていて(図示せず)、微粉砕された粉体をサイクロンによる吸引によりチャンバー2外へと排出するためのものである。また、送風口13は、常温風や温風・熱風などをチャンバー2内に導入することにより被粉砕物を早く乾燥するためのもので、配管を通して送風設備(図示せず)と連通されている。被粉砕物の乾燥が必要ないときは、送風口13は栓をして被粉砕物がチャンバー2外に出ないようにする。
【0022】
ローター3は、胴部17と羽根18とから構成されている。胴部17は、中央部にくびれを有する略断面鼓形の中空の円筒と、その右端を閉塞する右壁19及び左端を閉塞する左壁20とから形成されている。右壁19は、左壁20に比べ多少肉厚に形成されており、その中央部にローター軸4の後端部21と嵌合する溝22が形成されている。
【0023】
胴部17の外周面23には、その左右両端部から長手方向中心部のくびれにかけて複数の中空に形成された羽根18が左右交互に、かつ放射状に取り付けられている。該羽根18は、その頂縁部24がケーシング2の内壁とわずかな隙間を有する程度の大きさに形成される。また、本実施例では、羽根18は略翼形に形成されている。
【0024】
次に、ローター軸4は回転駆動する回転軸25と、回転軸25の軸受となる後端部21とから形成されている。回転軸25の先端部にはチェーンスプロケット26が取り付けられており、該スプロケットに掛けられる伝動手段(チェーン)9を介して回転駆動する。一方、後端部21はフランジ27を備えた円筒状に形成されており、該フランジ27には、ボルトを挿入する挿入孔28が形成されている。
【0025】
ローター胴部17に形成された溝22には、ローター軸5のフランジ27の挿入孔28に挿入されたボルトを螺合するための螺子孔29が複数形成されており、フランジ27を溝22に嵌合したのち、ボルトを通してローター胴部17とローター軸4を固定する。そして、該ローター軸4を右方のケーシングの開口部15に挿通した後、左方のケーシングを右方のケーシングと固定する。
【0026】
ローター胴部17の外周面23には連絡孔30が穿孔されていて、該連絡孔30上にそれと連通して中空の羽根18が気密に設けられている。羽根18の縁部24、31、32には羽根の中空部と連通する噴出孔33がそれぞれ複数穿設されている。また、ローター軸4の中心部には該ローター軸を貫通する空気通路34が形成され、開口部15と連通している。さらに、ローター軸4の前端部には、空気通路34と連絡するとともに、管を通じて圧縮空気供給源(図示しない)と接続されたロータリージョイント35が取り付けられている。
【実施例0027】
実施例1では、羽根18の表面全体にわたって紙やすりが貼付されている。あるいは、羽根18の表面全体にわたって紙やすりに使われる研磨材が付着している構成としてもよい。付着させる研磨材としては、例えば、砂やガラス質の粒、砥粒などが挙げられる。また、紙やすりや研磨材は、各羽根18に同じものを用いてもよいが、
図5にあるように、様々な種類の粒度のものを用いるのが好適である。図示の例では、羽根18ごとに粗目A、中目B、細目Cの研磨材をそれぞれ使用している。
また、圧縮空気供給源より供給された圧縮空気が、ロータリージョイント35を通して、ローター軸4の空気通路34へと流れ、次いで開口部15を介してローター胴部17の中空部に送られ、連絡孔30を通って羽根18の中空部に入り、該羽根の縁部24、31、32の各噴出孔33からエアーを噴出させる。これにより、被破砕物がローター3の中で激しく流動・衝突する。
羽根18の表面には、様々な粒度の紙やすりが貼付され又は研磨材が付着し、若しくはローレット目加工されているため、被粉砕物が羽根18の表面に激しく当たると、摩擦運動により研磨され、数百マイクロメートルから数十マイクロメートルほどの微粉体が効率よく製造される。
製造された微粉体は、排出口12と接続されたサイクロンにより排出口12より排出される。これにより基準の大きさに満たない粉体は、排出口12まで上昇しきれずケーシング2内に留まり、その大きさを満たすまでローターにより粉砕・研磨される。
以上、本発明の実施の形態につき、実施例を通して説明したが、本発明は、必ずしも上述した実施例にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において、適宜、変更実施することが可能なものである。