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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064019
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】二層構造方式文字学習具
(51)【国際特許分類】
   G09B 1/32 20060101AFI20230428BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20230428BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
G09B1/32
B42D15/00 301N
A63H33/00 302E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021187410
(22)【出願日】2021-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】521503189
【氏名又は名称】花岡 和世
(74)【代理人】
【識別番号】521503190
【氏名又は名称】花岡 國年
(72)【発明者】
【氏名】花岡 和世
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150FB45
(57)【要約】
【課題】本発明は、文字学習者の、文字の字形から発音、発音から字形、の双方向の記憶の定着・再生を向上させ、その教育効果の確認と文字学習者による反復再現練習を可能とする文字学習具を提供する。
【解決手段】それぞれ別個の存在である、文字の字形を発音とともに想起させ又は暗示する、絵・イラスト等のみを表示する文字学習具200、文字の字形のみを表示する文字学習具100、並びにこれらの対応を関係付ける、当該文字の字形の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ30、の三つにより構成され、文字学習者が前二者の対応する一対であると思料するものを選び出し50、これらの文字学習具を二層に重ねること60によって、その対応関係が正しいか否かを確認したり、反復して対応関係確認をすることができることを特徴とする文字学習具。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ別個に存在する、文字の字形を発音とともに想起させ又は文字の字形を発音とともに暗示する絵・イラスト等のみを表示する文字学習具、文字の字形のみを表示する文字学習具、並びにこれらふたつの文字学習具の対応を関係付け強化するための当該文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ、により構成され、文字学習者が絵・イラスト等のみを表示する文字学習具と字形のみを表示する文字学習具の、対応する一対であると思料するものをみずから選び出し、これらふたつの文字学習具を二層に重ねることによって、その対応関係が正しいか否かを確認できるように構成され、このために、絵・イラスト等のみを表示する文字学習具は、解答となる字形そのもの乃至フレーズの表示を含まず、かつ、当該絵・イラスト等が字形の一部乃至全部を象徴的に示す部分を含むものとし、これらのふたつの文字学習具は、どちらか一方乃至双方が透視可能で視認できる透明又は半透明な素材を用い、かつ、その字形象徴部分乃至字形部分が重ねて視認した場合にその一致が確認できる形状・大きさであることを特徴とする二層構造方式文字学習具。
【請求項2】
それぞれ別個に存在する、文字の字形を発音とともに想起させ又は文字の字形を発音とともに暗示する絵・イラスト等のみを表示する文字学習具、文字の字形のみを表示する文字学習具、並びにこれらふたつの文字学習具の対応を関係付け強化するための当該文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ、により構成され、文字学習者が絵・イラスト等のみを表示する文字学習具と字形のみを表示する文字学習具の、対応する一対であると思料するものをみずから選び出し、これらふたつの文字学習具を二層に重ねることによって、その対応関係が正しいか否かを確認できるように構成され、このために、絵・イラスト等のみを表示する文字学習具は、解答となる字形そのもの乃至フレーズの表示を含まず、かつ、当該絵・イラスト等が字形の一部乃至全部を象徴的に示す部分を含むものとし、字形が型抜きされている字形のみを表示する文字学習具を、対応する絵・イラストのみを表示する文字学習具の上に二層に重ねて視認することによって対応関係の確認を行なう方式とし、かつ、字形象徴部分乃至字形部分を重ねて視認した場合にその一致が確認できる形状・大きさであることを特徴とする二層構造方式文字学習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習対象言語を母国語としない者、幼児、等の文字学習者が、学習する文字の字形並びに発音を習得するための文字学習具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
文字学習者の文字の習得のためには、文字の字形と発音が結びつけられた記憶の定着・再生が字形から発音、発音から字形、の双方向に於いて達成されること(以下「字形・発音双方向セット記憶」)が必要である。特に、ひらがな・カタカナ・アルファベット(以下「ひらがな等」)は字形が抽象的であるので学習に困難を伴う。
【0003】
このため、従来、字形と発音の結びつきを媒介して「字形・発音双方向セット記憶」を確実にする機能(以下「記憶形成媒介機能」)を果たすものとしての絵・イラスト等の文字学習具(以下「先行技術-絵等文字学習具」)を活用した先行技術文献記載の技術(以下「先行技術」)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特実公昭46―1770号公告公報
【特許文献2】特表2007―538290号公報
【特許文献3】実用新案登録第3180775号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】言語日本語監修 石代雅日,「シュタイナー学校こくご教室 ひらがな全集」e-waldorf発行,2017年6月10日
【非特許文献2】「Kana Can Be Easy」ジャパンタイムズ 出版、1990年5月20日
【非特許文献3】Itchy’s Alphabet、“Alphabet Book”、[online]、[令和 3年9月6日検索]、インターネット<URL:https://itchysalphabet.com/product-category/english/alphabet-book-guides/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのために次のような問題点があった。
【0007】
「先行技術」では、「記憶形成媒介機能」の発揮に欠陥が生じ、例えば文字学習者の面前から「先行技術-絵等文字学習具」を撤去すると「字形・発音双方向セット記憶」が困難となる。
【0008】
この欠陥は特に、通常の文字に較べて高い弁別識別能力を要する、類似字形文字(例えば「ひらがな等」のひらがなの「し」と「つ」)(以下「類似字形文字」)の場合の「字形・発音双方向セット記憶」に大きな問題をもたらす。「先行技術」では、「類似字形文字」の場合、類似の字形の他の文字に記憶が結びつくこともある。
【0009】
「先行技術」のいずれの技術に於いても、(1)「字形・発音双方向セット記憶」の習得のために必須である、みずから絵・イラスト等と字形の対応関係を確認することを徹底させるための仕組(以下「自己再生・確認の仕組」)が存在しないかその仕組に欠陥があるので「先行技術-絵等文字学習具」が持つべき、発音と字形を記憶に於いてつなぐ、絵・イラスト等による「記憶形成媒介機能」の発揮が困難であり、(2)「自己再生・確認の仕組」の不存在や欠陥によって、一般に大きな効果をもたらすと考えられている「みずからの誤りに学ぶ」ことによる学習効果も期し難い。
【0010】
「先行技術」のいずれに於いても、「先行技術-絵等文字学習具」の中に字形を象徴する部分が存在するがそれだけでなく、解答となる字形そのものも併記されている(即ち正答が「先行技術―絵等文字学習具」の中に既に書き込まれている)ので、文字学習者はそこに表示されている字形に依存してしまい、これと対応関係にあると思われる字形のみを表示する文字学習具を文字学習者がみずから探してきて一致を確認するという必要性に直面する仕組になっていない。
【0011】
また、例えば、特許文献3の技術に於いては、特殊樹脂シートを「先行技術-絵等文字学習具」の上に重ねることによって字形のみが視認可能となり、字形から発音の記憶を再生する援助にはなるが、「先行技術-絵等文字学習具」に当該文字の字形も併せて表示されているため、表示されている字形に注意が集中してしまい、発音から字形の記憶を再生する必要性に直面する仕組になっていない。
【0012】
また、例えば、非特許文献3に於いては、「先行技術-絵等文字学習具」と「字形表示文字学習具」が初めからセットになっているため、「先行技術-絵等文字学習具」と対応関係にあると思われる、字形のみを表示する文字学習具を文字学習者が探してくることによって一致を確認することができる仕組になっていない。
【0013】
また、「先行技術」のいずれに於いても、文字学習者がみずから繰り返し自己再生・確認の練習をすることができないか不十分にしかできないので、一般に大きな効果をもたらすと考えられている「みずからの誤りに学ぶ」ことも困難になる。
【0014】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
それぞれ別個に存在する、文字の字形を発音とともに想起させ又は文字の字形を発音とともに暗示する絵・イラスト等のみを表示する文字学習具、文字の字形のみを表示する文字学習具、並びにこれらふたつの文字学習具の対応を関係付け強化するための当該文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ、により構成する。
【0016】
文字学習者が絵・イラスト等のみを表示する文字学習具と字形のみを表示する文字学習具の、対応する一対であると思料するものをみずから選び出し、これらふたつの文字学習具を二層に重ねることによって、その対応関係が正しいか否かを確認できるような構成にする。
【0017】
このために、絵・イラスト等のみを表示する文字学習具は、解答となる字形そのもの乃至フレーズの表示を含まず、かつ、当該絵・イラスト等が字形の一部乃至全部を象徴的に示す部分を含むものとし、これらふたつの文字学習具は、どちらか一方乃至双方が透視可能で視認できる透明又は半透明な素材を用いる方式とするか、あるいは、字形が型抜きされている字形のみを表示する文字学習具を、対応する絵・イラストのみを表示する文字学習具の上に二層に重ねて視認することによって対応関係の確認を行なう方式とし、かつ、いずれの方式の場合も、字形象徴部分乃至字形部分が重ねて視認した場合にその一致が確認できる形状・大きさにする。
【発明の効果】
【0018】
(ア)「字形・発音双方向セット記憶」が向上する。特に、「類似字形文字」の弁別識別能力の向上に資する。
【0019】
(イ)文字学習者が「字形・発音双方向セット記憶」が正しく行なわれた否かをみずから確認したり、指導者が「字形・発音双方向セット記憶」の教育効果を確認することができるようになる。これにより、一般に大きな効果をもたらすと考えられている「みずからの誤りに学ぶこと」が可能になる。
【0020】
(ウ)文字学習者が「字形・発音双方向セット記憶」を確実にするための反復再現練習を行なえるようになる。これにより、一般に大きな効果をもたらすと考えられている「みずからの誤りに学ぶこと」が可能になる
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の文字学習用具の字形表示文字学習具、絵等文字学習具とフレーズ文字学習具の一例、字形表示文字学習具と絵等文字学習具を選び出し2層に重ねてずらした状態と両学習具を2層に重ねて透視できる一例を示した平面図である。
図2】本発明第一の実施形態に関わる文字学習具を説明する実施例1の平面図である。(a)学習する文字の対応する「字カード」、「絵カード」と「フレーズカード」 (b)前記(a)で示した「字カード」と「絵カード」を二層に重ねた状態とずらした状態
図3】第一の実施形態の実施例1に関わる平面図である。複数組の対応する「字カード」、「絵カード」と「フレーズカード」
図4】第一実施形態の実施例1に関わる平面図である。(a)複数組の対応する「字カード」と「絵カード」を並べた状態 (b)前記(a)で示した「字カード」と「絵カード」に対応する複数枚の「フレーズカード」から1枚の「フレーズカード」を選択した状態 (c)前記(b)で示した「フレーズカード」に対応する(a)で示した中の1枚の「絵カード」と対応関係にない1枚の「字カード」 (d)前記(c)で示した「絵カード」と「字カード」を二層に重ねた状態
図5】第一の実施形態の実施例1に関わる平面図である。(a)対応関係にない「つ」の「絵カード」と「し」の「字カード」をずらした状態と二層に重ねた状態
図6】第一の実施形態の実施例2に関わる平面図である。対応する「字カード」と「暗示絵カード」、当該両カードを二層に重ねた状態
図7】本発明第二の実施形態に関わる文字学習具を説明する実施例1乃至発展的な応用例の平面図である。対応する「本発明-絵等文字学習具」と「字形型抜き文字学習具」、両文字学習具を二層に重ねた状態、両文字学習具に対応する「フレーズカード」と、発展的な応用例の「暗示絵等文字学習具」
図8】特許文献1の図1に記載された従来の文字学習カードの平面図である
図9】特許文献2の図1に記載された従来の絵等文字学習具の平面図である。
図10】特許文献3の図2に記載された特殊樹脂シート、文字と絵が重なり合って表示の文字絵画表示部分、図3に記載された文字絵画表示部分に特殊樹脂シートを重ねて文字のみ表示された状態の正面図である。
図11】非特許文献1の出版物の平面図である。
図12】非特許文献2の出版物表紙の平面図である。
図13】非特許文献3の出版物の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【第一の実施形態】
【0022】
以下、本発明にかかる第一の実施形態について図面を用いて本文字学習具の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、それぞれ別個に存在する、文字の字形を発音とともに想起させ又は文字の字形を発音とともに暗示する絵・イラスト等のみを表示する文字学習具(以下「本発明-絵等文字学習具」)200、文字の字形のみを表示する文字学習具(以下「本発明-字形表示文字学習具」)100、並びにこれらの対応を関係付け強化するための当該文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ30、により構成する。以下、フレーズを示す文字学習具を「フレーズ文字学習具」300と称し、「本発明-絵等文字学習具」・「本発明-字形表示文字学習具」を併せ称する場合は「絵等・字形-両文字学習具」と称する。
【0024】
図1に示すように、文字学習者が「絵等・字形-両文字学習具」の対応する一対であると思料するものを選び出し50、これらを二層に重ねること60によって、その対応関係が正しいか否かを確認すること(以下「対応関係確認」と称する)を可能とする構成にする。
【0025】
「絵等・字形-両文字学習具」は、二層に重ねることによる「対応関係確認」を可能とするため、どちらか一方乃至双方が透視可能で視認できる透明又は半透明な素材による媒体(例えばカード)を用いる。
【0026】
文字学習者が「本発明-絵等文字学習具」の絵・イラスト等のみによって字形を想起することが不可欠となり、その結果、「字形表示文字学習具」と二層に重ねたときの「対応関係確認」が有効になるようにするために、「本発明-絵等文字学習具」は、解答となる字形そのもの乃至フレーズの表示を含まず(解答を示している字形の表示乃至解答を示唆しているフレーズの存在は、文字学習者の注意を絵・イラスト等から逸脱させ、絵・イラスト等の媒介機能を弱化せしめる恐れがある)、かつ、絵・イラスト等が字形の一部乃至全部を象徴的に表示するかまたは暗示する部分を含む。
【0027】
「本発明-絵等文字学習具」の字形象徴表示・暗示部分と「字形表示文字学習具」の字形部分を重ねて視認した場合にその一致が確認できるようにするために、両部分の形状・大きさを揃える
【0028】
「フレーズ文字学習具」に於いては、「絵等・字形-両文字学習具」を相互に関係付けるため、文字学習者の字形と発音の記憶を、字形から発音へ、並びに、発音から字形へ、の双方向に於いて連結する機能を発揮できるフレーズを用いる。文字学習者の注意を絵・イラスト等に集中させるために「本発明-絵等文字学習具」には解答となる字形そのものの表示乃至フレーズを含まないことを要件としているので、「絵等・字形-両文字学習具」を二層に重ねると同時に「フレーズ文字学習具」のフレーズを発音することにより、字形・発音が結びついた記憶を強化することができるようになる。
【0029】
「フレーズ文字学習具」に於いては、学習する文字を筆頭とするフレーズを使用することを通例とするが、「ん」や「を」等、当該文字を筆頭とするフレーズが作成しにく場合には、例えば、「うどん」「そらをとぶ」など、当該文字がフレーズの中のいずれかの部分に含まれるようにしてもよい。
【0030】
「対応関係確認」を発音と字形の両面について行なうことが可能となるようにするために、図1に示すように、フレーズ文字学習具」300には、字形を想起させる絵・イラスト等のフレーズ30と、「絵等・字形-両文字学習具」が二層に重なった状態の解答絵図40を共に表示する。
【0031】
「字形表示文字学習具」10の字形には「ひらがな等」が含まれるが、字形は「ひらがな等」に限定されず、例えば漢字であってもよい。
【0032】
「字形表示文字学習具」の文字数は、原則1文字とするが、2文字以上であってもよい。
【0033】
「絵等・字形-両文字学習具」が、どちらか一方乃至どちらも透視可能で互いに重ねて透視できる透明又は半透明な素材の場合、「絵等・字形-両文字学習具」の表裏上下が分かりにくくなるので、学習途上の未だ文字が読めない文字学習者であっても表裏上下の識別が可能となるようにするために、図1に示すように、「絵等・字形-両文字学習具」の同位置にそれぞれ識別標識1と2を付す。識別標識は文字や図形によって構成されることが好ましい。
【0034】
本発明には、カードのみならず、絵本、一覧表等の物理的媒体を用いた文字学習具も含まれる。
【0035】
また、文字学習具に電子媒体を使用することも可能である。
【0036】
本発明の第一の実施形態は以上のような構成である。
【0037】
次に、図1乃至図5に基づき、第一実施形態の実施例1を説明する。
【実施例0038】
図1に示すように、実施例1では、「本発明-字形表示文字学習具」100を透視可能で視認できる透明な素材を用いたカード媒体による上層面とし、「本発明-絵等文字学習具」200を下層面として、二層に重ねて透視すること60によって「対応関係確認」を行なう、複数組の文字学習具を使用した場合の実施例である。
【0039】
文字学習者が独習用に使用することも可能であるが、ここでは、指導者が指導時に使用する場合であり、「フレーズ文字学習具」300としてカードを使用した場合を示す。
【0040】
以下、「本発明-絵等文字学習具」のカードを「絵カード」、「本発明-字形表示文字学習具」のカードを「字カード」、「フレーズ文字学習具」のカードを「フレーズカード」と称する。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、指導者は文字学習者に、一対の「字カード」101の字形11と対応する「絵カード」201の字形を想起する絵・イラスト等(以下「絵」)21を見せ、「フレーズカード」301に付されたフレーズ31を用いて字形11と「絵」21の対応関係を説明する。この時、フレーズ31を発音しながら、(b)のように、「字カード」の字形部分と「絵カード」の文字象徴表示・暗示部分を二層に重ねたりずらしたりすることを繰り返すことにより、一対をなす字形と「絵」の対応関係を記憶させる。
【0042】
これにより、指導者が「絵カード」だけを提示した場合には、文字学習者に「絵」の字形象徴表示・暗示部分から字形を想起することが不可欠となり、同時に、「絵」よりフレーズの発音を介して当該字形の発音の記憶を再生することが可能となる。また、「字カード」だけを提示した場合には、字形から「絵カード」の「絵」の字形象徴表示・暗示部分を想起することが不可欠となり、同様に、想起した「絵」からフレーズの発音を介して当該字形の発音の記憶を再生することが可能となる。このようにして、「字形・発音双方向セット記憶」を向上させることができる。
【0043】
次に、図3に示すように、指導者は上記に示したプロセスを他の文字についても複数組、繰り返し実施する。
【0044】
次に、指導者は、図4に示すように、複数組の「字カード」と「絵カード」を(a)のように並べる。この時、文字学習者の文字習得レベルに応じて対応する「字カード」と「絵カード」の組数を調整する。
【0045】
指導者は、並べられた複数組の「絵カード」と「字カード」に対応する複数個の「フレーズカード」の中から1枚の「フレーズカード」300を選択し(b)、フレーズ30を読む。文字学習者は、(a)の配置された複数組の「絵カード」と「字カード」の中から、フレーズ30に対応する一対であると思料する「絵カード」と「字カード」ををみずから1枚ずつ別々に探して選び出し(c)、選択した2枚を二層に重ねること(d)で、「絵」と字形の「対応関係確認」を行うことができ、解答の成否を確認することができる。
【0046】
先行技術文献では「正答」のみが表示されるため、どこを間違えたかの検証が不十分になりがちであった点が、本発明では、文字学習者がフレーズに対応する一対であると思料する「絵等・字形-両文字学習具」を選び出し、選択した「絵等・字形-両文字学習具」を二層に重ね合わせたりずらしたりすることができるため、文字学習者は「字形・発音双方向セット記憶」が正しく行なわれた否かを確認、検証することが可能となる。また、指導者が「字形・発音双方向セット記憶」の教育効果を確認することができるようになる。
【0047】
さらに、図5に示すように、視覚的に字形の類似性が高く、そのため弁別が困難である「類似字形文字」の複数の字形(例えば「し」と「つ」)でも、(a)に示すように、本発明では、「絵カード」の「絵」(例えば「つ」の「絵」)21と、対応関係にない「字カード」の字形(例えば「し」の字形)10を二層に重ねる63ことができる。
【0048】
これにより、文字学習者は一目で類似字形文字の差異に注目でき、見比べ、違いを明確に理解することが可能となり、「対応関係確認」を反復して行えることにより、一般に大きな効果をもたらすと考えられている「みずからの誤りに学ぶこと」が可能になる。
【実施例0049】
次に、上記の実施例1の発展的な応用例として実施例2について説明する。実施例2では、実施例1の「絵カード」の「絵」を応用的に変形したものを使用した例を説明する。前記第一の実施形態、実施例1と基本的に同様である。そこで、以下に於いては、両者の異なる点を中心に説明し、同様の箇所については説明を省略する。
【0050】
図6に示すように、実施例2の「絵カード」は、「絵」の中の字形を象徴する部分を意図的に削除し、字形を暗示するように表示したもの(以下「暗示絵カード」)400である。実施例2では、「暗示絵カード」400と「字カード」100を二層に重ねて視認した場合、字形のみを表示する「字カード」が「暗示絵カード」の「絵」の中の意図的に削除した字形部分を補完する形で結合して「絵」を完成するように表示すること64ができる。
【0051】
これにより、指導者が本発明の文字学習具を実施例1と同様に使用することによって、文字学習者は実施例1と同様の学習効果を得ることが可能となる。
【第二の実施形態】
【0052】
次に、本発明にかかる第二の実施形態について図面を用いて本文字学習具の構成について説明する。本発明の第二の実施形態における文字学習具の構成は、基本的には、前記第一の実施形態と同様である。そこで、以下に於いては、両者の異なる点を中心に説明し、同様の箇所については説明を省略する。
【0053】
「絵等・字形-両文字学習具」は、二層に重ねることによる「対応関係確認」を可能とするため、「本発明-字形表示文字学習具」は字形が型抜きされている文字学習具(以下「字形型抜き文字学習具」)を用い、かつ、「本発明-絵等文字学習具」の字形象徴部分及び「字形型抜き文字学習具」の字形部分を重ねて視認した場合に、その一致が確認できる形状・大きさにする。図7に示すように、「絵等・字形-両文字学習具」を二層に重ねて視認できる「字形型抜き文字学習具」500は、マグネット、木製、厚紙での素材を用いて、字形に型抜きした文字学習具として用いることができる。
【0054】
上記に記載の「字形型抜き文字学習具」500は、字形が型抜きされているために、表裏が分かりにくくなる。そのため、図8に示すように、字形は色をつけて表示することで、学習途上の未だ文字が読めない文字学習者でも表裏の識別が可能となる。
【0055】
本発明の第二の実施形態は以上のような構成である。
【実施例0056】
次に、第二の実施形態に於ける実施例を説明する。図8に示すように、文字学習用具として「字形型抜き文字学習具」500が厚紙の素材で字形に型抜きされたものを使用し、「本発明-絵等文字学習具」203としてカードを使用し、「フレーズ文字学習具」303としてカードを使用した場合を示す。
【0057】
これにより、指導者が第二の実施形態の文字学習具を第一の実施形態で説明した実施例1と同様に使用することによって、文字学習者は同様の学習効果を得ることが可能となる。
【0058】
また、第二の実施形態の文字学習具に於いても、発展的な応用例として、上記に記載の「本発明-絵等文字学習具」を応用的に変形したもの「暗示絵等文字学習具」403を用いて、指導することも可能である。この場合においても、文字学習者は同様の学習効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・識別標識
2・・・識別標識
10・・・字形
11・・・字形
20・・・字形を発音とともに想起・暗示する絵・イラスト等
21・・・「絵」(字形を発音とともに想起・暗示する絵・イラスト等)
30・・・文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ
31・・・フレーズ(文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ)
32・・・フレーズ(文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ)
33・・・フレーズ(文字の発音を含む絵・イラスト等のフレーズ)
40・・・解答絵図
41・・・解答絵図
50・・・本発明-絵等文字学習具と本発明-字形表示文字学習具を選び出し、ずらした状態
60・・・本発明-絵等文字学習具と本発明-字形表示文字学習具を二層に重ねた状態
61・・・「絵カード」と「字カード」を二層に重ねた状態
62・・・「絵カード」と「字カード」を二層に重ねた状態
63・・・「絵カード」と「字カード」を二層に重ねた状態
64・・・「暗示絵カード」と「字カード」を二層に重ねた状態
65・・・本発明-絵等文字学習具と「字形型抜き文字学習具」を二層に重ねた状態
100・・・本発明-字形表示文字学習具
101・・・「字カード」(本発明-字形表示文字学習具)
102・・・「字カード」(本発明-字形表示文字学習具)
103・・・「字カード」(本発明-字形表示文字学習具)
200・・・本発明-絵等文字学習具
201・・・「絵カード」(本発明-絵等文字学習具)
202・・・「絵カード」(本発明-絵等文字学習具)
203・・・「絵カード」(本発明-絵等文字学習具)
300・・・フレーズ文字学習具
301・・・「フレーズカード」(フレーズ文字学習具)
302・・・「フレーズカード」(フレーズ文字学習具)
303・・・「フレーズカード」(フレーズ文字学習具)
400・・・「暗示絵カード」
401・・・字形を象徴する部分を意図的に削除した「絵」
402・・・「暗示絵カード」
500・・・「字形型抜き文字学習具」
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13