(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064022
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】電気自動車用バッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/50 20210101AFI20230428BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230428BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20230428BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20230428BHJP
【FI】
H01M50/50 101
H01M50/249
H01M50/569
H01M50/211
H01M50/50 201A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206299
(22)【出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0142634
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519302372
【氏名又は名称】エイエフダブリュー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジョン ドク
(72)【発明者】
【氏名】イム、ヨン ミン
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY10
5H040DD03
5H040DD07
5H040DD24
5H040DD26
5H040LL01
5H040NN01
5H043AA05
5H043CA09
5H043FA04
5H043FA32
5H043KA08F
5H043KA09F
5H043LA02F
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重さを軽量化するとともに製造原価を大幅に節減できるようにした電気自動車用バッテリーモジュールを提供する。
【解決手段】モジュールケース100;前記モジュールケース100の内部に設置される複数個のバッテリーセル;前記モジュールケース100の一側面に設置され、前記バッテリーセルを互いに電気的に連結するための複数個のセンシングバスバー300;および前記センシングバスバー300のうち、一端と他端にそれぞれ電気的に連結される複数個のパワーバスバー400を含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールケース;
前記モジュールケースの内部に設置される複数個のバッテリーセル;
前記モジュールケースの一側面に設置され、前記バッテリーセルを互いに電気的に連結するための複数個のセンシングバスバー;および
前記センシングバスバーのうち、一端と他端にそれぞれ電気的に連結される複数個のパワーバスバーを含む、電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記モジュールケースは、
内部に収容空間が備えられ、前記収容空間に前記バッテリーセルを設置するためのケース部;
前記ケース部の上部に形成されて前記ケース部の上部を開閉するためのカバー部;
前記ケース部の一側面に形成されて前記バッテリーセルから引き出される電極リードを外部に露出させるための複数個のリードスリット部;および
前記リードスリット部の両側に形成されて前記センシングバスバーまたは前記パワーバスバーを設置できるようにするためのバスバー設置部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項3】
前記センシングバスバーは、
アルミニウム素材からなる第1センシングレイヤ部;および
前記第1センシングレイヤ部の一面に形成され、銅素材からなる第2センシングレイヤ部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項4】
前記センシングバスバーは、
前記第1センシングレイヤ部と第2センシングレイヤ部が80~90:10~20の厚さ比で形成されたことを特徴とする、請求項3に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項5】
前記第2センシングレイヤ部は、
厚さが0.4mm以上であることを特徴とする、請求項3に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気自動車用バッテリーモジュールに関し、特に重さを軽量化するとともに、製造原価を大幅に節減できるようにした電気自動車用バッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は電気を動力にする自動車であって、化石燃料の燃焼から駆動エネルギーを得るものではなく、バッテリーに蓄積された電気でモータを回転させて駆動エネルギーを得る自動車をいう。
【0003】
このような電気自動車は1873年にガソリン自動車より先に開発されたが、当時はバッテリーの製作技術の限界によるバッテリーの重い重量および充電にかかる長い時間などの問題で実用化されることができなかった。
【0004】
しかし、環境汚染が深刻となり、資源不足の問題が台頭するにつれて、1990年代から各国の自動車企業等の電気自動車の開発競争が激しく展開されている。
【0005】
現在電気自動車は一般的な内燃機関車と比較する時、価格が高いため電気自動車の普及が遅いのが実情であり、電気自動車の販売促進のための価格競争力を確保するためには電気自動車の製造原価の40%に達するバッテリー価格の下落が必須であるが、通常1kWh当たり100ドルまでに下がらないと既存の内燃機関車と肩を並べる程度の価格競争力は生じないと言われている。
【0006】
したがって、各国の電気自動車製造業者だけでなく、電気自動車用バッテリー製造業者ではバッテリーの製造原価を下げるための研究開発(R&D)と生産効率化に取り組んでいる。
【0007】
一般的に電気自動車に使われるバッテリーモジュールは、金属材からなるモジュールケース、モジュールケースの内部に収容される多数のバッテリーセル、バッテリーセルの電極リードと電気的に連結されるセンシングバスバー、センシングバスバーと電気的に連結されるパワーバスバーで構成される。
【0008】
韓国登録特許第10-2187067号(20201130登録)は、バッテリーモジュールおよびバッテリーモジュールの製造方法に関して記載されており、開示された技術によると、電極リードが備えられるバッテリーセルが複数で設けられ、複数のバッテリーセルが互いに積層されるバッテリーセル積層体;および複数のバッテリーセルのうちいずれか一つのバッテリーセルの電極リードと、いずれか一つのバッテリーセルに隣り合う他の一つのバッテリーセルの電極リードが互いに連結される電極リード連結体が折り曲げられて結合されるICBカバーを含み、ICBカバーは複数で設けられ、複数のICBカバーは互いに異なるレイヤを有するように配置され、複数のICBカバーは、バッテリーセルの本体から近接した位置に配置される第1ICBカバー;およびバッテリーセルの本体から第1ICBカバーより遠距離に配置される第2ICBカバーを含むことを特徴とする。
【0009】
韓国公開特許第10-2019-0042341号(20190424公開)はバッテリーモジュールおよびこれを含むバッテリーパックに関して記載されている。開示された技術によると、垂直方向に隣り合って連続配列され、正(+)極および負(-)極が同一方向に配置される複数個のバッテリーセル;複数個のバッテリーセルを収容するモジュールケース;モジュールケースの一面に配置されて互いに隣り合うバッテリーセルの正(+)極を電気的に連結する正極端子結合部;と正極端子結合部から垂直折り曲げ延びる正極端子延長部;を具備する正極バスバー;および正極バスバーと対向するモジュールケースの他面に配置されて互いに隣り合うバッテリーセルの負(-)極を電気的に連結する負極バスバーを含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
上述した通り、従来のバッテリーモジュールの構成のうちバスバーは、そのほとんどが電気伝導性が優秀な銅で製造されるが、金属材である銅が有する素材の特性上、重さが重く製造原価が高い短所がある。
【0011】
このように銅素材からなるバスバーは一般的に一つのバッテリーモジュールに12個~20個まで設置され、一般的な電気自動車には6~20個のバッテリーモジュールで構成されるバッテリーパックが設置される。
【0012】
したがって、銅素材からなるバスバーを使うバッテリーモジュールはその重さが相当に重いためバッテリーパックの重量増加の要因となり、このようなバッテリーパックの重量の増加は電気自動車の燃費低下の要因となる。
【0013】
また、銅素材からなるバスバーを使うバッテリーモジュールは製造原価が高いため、電気自動車の製造原価で占める比重が高い短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2187067号
【特許文献2】韓国公開特許第10-2019-0042341号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が達成しようとする技術的課題は前述したような問題点を解決するためのものであって、重さを軽量化するとともに製造原価を大幅に削減できるようにした電気自動車用バッテリーモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような課題を解決するために、本発明の一特徴によると、モジュールケース;前記モジュールケースの内部に設置される複数個のバッテリーセル;前記モジュールケースの一側面に設置され、前記バッテリーセルを互いに電気的に連結するための複数個のセンシングバスバー;および前記センシングバスバーのうち、一端と他端にそれぞれ電気的に連結される複数個のパワーバスバーを含む電気自動車用バッテリーモジュールを提供する。
【0017】
一実施例において、前記モジュールケースは、内部に収容空間が備えられ、前記収容空間に前記バッテリーセルを設置するためのケース部;前記ケース部の上部に形成されて前記ケース部の上部を開閉するためのカバー部;前記ケース部の一側面に形成されて前記バッテリーセルから引き出される電極リードを外部に露出させるための複数個のリードスリット部;および前記リードスリット部の両側に形成されて前記センシングバスバーまたは前記パワーバスバーを設置できるようにするためのバスバー設置部を含むことを特徴とする。
【0018】
一実施例において、前記センシングバスバーは、アルミニウム素材からなる第1センシングレイヤ部;および前記第1センシングレイヤ部の一面に形成され、銅素材からなる第2センシングレイヤ部を含むことを特徴とする。
【0019】
一実施例において、前記センシングバスバーは、前記第1センシングレイヤ部と第2センシングレイヤ部が80~90:10~20の厚さ比で形成されたことを特徴とする。
【0020】
一実施例において、前記第2センシングレイヤ部は、厚さが0.4mm以上であることを特徴とする。
【0021】
一実施例において、前記センシングバスバーは、前記第1センシングレイヤ部と前記第2センシングレイヤ部間に形成され、接合力9kgf/25mm以上を有するセンシングバスバー接合層をさらに含むことを特徴とする。
【0022】
一実施例において、前記センシングバスバーは、前記第1センシングレイヤ部の表面と前記第2センシングレイヤ部の表面にそれぞれ形成されるセンシングバスバーメッキ層をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
一実施例において、前記パワーバスバーは、アルミニウム素材からなる第1パワーレイヤ部;および前記第1パワーレイヤ部の一面に形成され、銅素材からなる第2パワーレイヤ部を含むことを特徴とする。
【0024】
一実施例において、前記パワーバスバーは、第1パワーレイヤ部と第2パワーレイヤ部が80~90:10~20の厚さ比で形成されたことを特徴とする。
【0025】
一実施例において、前記パワーバスバーは、前記第1パワーレイヤ部と前記第2パワーレイヤ部間に形成され、接合力9kgf/25mm以上を有するパワーバスバー接合層をさらに含むことを特徴とする。
【0026】
一実施例において、前記パワーバスバーは、前記第1パワーレイヤ部の表面と前記第2パワーレイヤ部の表面にそれぞれ形成されるパワーバスバーメッキ層をさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、バッテリーモジュールを構成する複数個のバッテリーセルを電気的に連結するセンシングバスバーおよびパワーバスバーの構造改善を通じて重さを軽量化することによって、バッテリーモジュールが使われる電気自動車の電費を向上させることができる効果がある。
【0028】
また、バッテリーモジュールの製造原価を大幅に下げて電気自動車の製造原価を下げることができるようになることによって、電気自動車の普及をさらに活性化できる効果がある。
【0029】
また、センシングバスバーまたはパワーバスバー素材の接合力を向上させ、塩水によるガルバニック腐食およびアルミニウム腐食を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の一実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュールを説明する図面である。
【
図2】一実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュールを説明する断面例示図である。
【
図3】
図1にあるセンシングバスバーを説明する図面である。
【
図4】
図1にあるパワーバスバーを説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明に関する説明は構造的乃至機能的説明のための実施例に過ぎないため、本発明の権利範囲は本文に説明された実施例によって制限されるものと解釈されてはならない。すなわち、実施例は多様な変更が可能であり、多様な形態を有することができるため、本発明の権利範囲は技術的思想を実現できる均等物を含むものと理解されるべきである。また、本発明で提示された目的または効果は、特定の実施例がこれを全て含まなければならないとか、そのような効果のみを含まなければならないという意味ではないので、本発明の権利範囲はこれによって制限されるものと理解されてはならない。
【0032】
一方、本発明で叙述される用語の意味は次のように理解されるべきである。
【0033】
「第1」、「第2」等の用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別するためのものであって、これらの用語によって権利範囲が限定されてはならない。例えば、第1構成要素は第2構成要素と命名され得、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。
【0034】
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。一方、構成要素の間の関係を説明する他の表現、すなわち「~間に」と「すぐに~間に」または「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0035】
単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り複数の表現を含むものと理解されるべきであり、「含む」または「有する」等の用語は実施された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0036】
ここで使われるすべての用語は異なって定義されない限り、本発明が属する分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されている用語は関連技術の文脈上有する意味と一致するものと解釈されるべきであり、本発明で明白に定義しない限り理想的または過度に形式的な意味を有するものと解釈され得ない。
【0037】
本発明の実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明の一実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュールを説明する図面であり、
図2は一実施例に係る電気自動車用バッテリーモジュールを説明する断面例示図である。
【0039】
図1~
図2を参照すると、電気自動車用バッテリーモジュール10は、モジュールケース100、バッテリーセル200、センシングバスバー300、パワーバスバー400を含む。
【0040】
モジュールケース100は、内部に複数個のバッテリーセル200を収容し、一側面にはセンシングバスバー300とパワーバスバー400の設置が可能であるようにする。
【0041】
一実施例において、モジュールケース100は、ケース部110、カバー部120、リードスリット部130、バスバー設置部140からなり得る。
【0042】
ケース部110は、内部に収容空間が備えられ、その収容空間にバッテリーセル200を設置できるようにする。
【0043】
一実施例において、ケース部110は、外部衝撃、熱、振動などからバッテリーセル200を保護するためにステンレス鋼で製造されることが好ましい。
【0044】
ステンレス鋼は融点が高いためバッテリー発火の可能性が低く、バッテリー発火による爆発の危険を減らすことができるだけでなく、強度が優れているため外部の物理的衝撃からバッテリーセル200を保護することができ、腐食にも強いためサビがあまり発生しない長所がある。
【0045】
一実施例において、ケース部110は、内部面に少なくとも一つ以上の緩衝パット(説明の便宜上図面には図示しない)が備えられ、外部衝撃を緩衝させてバッテリーセル200に衝撃が伝達されないようにすることができる。
【0046】
一実施例において、緩衝パッドは、ケース部110の収容空間に複数個のバッテリーセル200をできるだけ容易に収容できるように、スポンジなどのように弾性を有する素材からなることが好ましい。
【0047】
カバー部120は、ケース部110の上部に形成されてケース部110の上部を開閉させる。
【0048】
一実施例において、カバー部120は、ケース部110と同じステンレス鋼で製造され得る。
【0049】
リードスリット部130は、ケース部110の一側面に互いに一定の間隔(例えば、5~10mm)を置いて複数個で形成されてバッテリーセル200から引き出される電極リード220をケース部110の外部に露出させる。
【0050】
一実施例において、リードスリット部130は、ケース部110の前側面または後側面または両方に形成され得る。
【0051】
バスバー設置部140は、リードスリット部130の両側に形成されてセンシングバスバー300またはパワーバスバー400を設置できるようにする。
【0052】
一実施例において、バスバー設置部140は、樹脂のように絶縁性を有する素材で形成され、リードスリット部130を通じて外部に露出された電極リード220と電気的に連結されるセンシングバスバー300またはセンシングバスバー300と電気的に連結されるパワーバスバー400が設置されるようにする。
【0053】
バッテリーセル200は、モジュールケース100の内部に複数個で設置される。
【0054】
一実施例において、バッテリーセル200は、ケース部100の内部に備えられた収容空間に収容されるものの、パウチタイプで適用されることが好ましいであろうが、これに限定されるものではない。
【0055】
一実施例において、バッテリーセル200は、セルケース210、電極組立体(説明の便宜上図面には図示しない)、電極リード220からなり得る。
【0056】
セルケース210は、樹脂層/金属層/樹脂層が順次積層された多層のパウチフィルムからなる上部ケースと下部ケースで構成されてその内部に電極組立体を収容し、電極リード220が外部に突出した状態で上部ケースと下部ケースの縁部分が接触して熱融着されることによって密封される。
【0057】
電極組立体は、交互的に繰り返し積層された正極板と負極板間にセパレータを介在させた形態を有し、両側の最外郭には絶縁のためにセパレータが位置することが好ましい。
【0058】
ここで、正極板は、正極集電体およびその一面上にコーティングされる正極活物質層からなり、一側端部には正極活物質がコーティングされていない正極無コーティング部領域が形成されるが、このような正極無コーティング部領域は正極タブとして機能する。
【0059】
負極板は、負極集電体およびその一面または両面上にコーティングされる負極活物質層からなり得、一側端部には負極活物質がコーティングされていない負極無コーティング部領域が形成されるが、このような負極無コーティング部領域は負極タブとして機能する。
【0060】
セパレータは正極板と負極板間に介在されて互いに異なる極性を有する電極板同士で直接接触することを防止するものの、正極板と負極板間で電解質を媒介体としてイオンの移動を可能とするために多孔性材質からなり得る。
【0061】
電極リード220は、それぞれ正極タブおよび負極タブと電気的に連結されてセルケース210の外側に引き出されるように形成される。
【0062】
この時、電極リード220は一対がバッテリーセル200の長さ方向の一側に突出するように形成されたり、バッテリーセル200の長さ方向の両側にそれぞれ突出するように形成され得る。
【0063】
センシングバスバー300は、モジュールケース100の一側面に複数個で設置され、バッテリーセル200を互いに電気的に連結する。
【0064】
すなわち、リードスリット部130を通じてケース部100の外部に露出された電極リード220は、センシングバスバー300と密着するように折り曲げられた後、複数個のセンシングバスバー300に溶接などによって固定されるのである。
【0065】
一実施例において、センシングバスバー300は、銅とアルミニウムが接合されたクラッドメタルで形成され得る。
【0066】
パワーバスバー400は、複数個で備えられ、複数個のセンシングバスバー300のうち一端と他端にそれぞれ電気的に連結されることによって、バッテリーモジュールの外部と内部を最終的に連結させる大電流段の役割をする。
【0067】
一実施例において、パワーバスバー400は、複数個のセンシングバスバーのうち最も左側に設置されたセンシングバスバーと最も右側に設置されたセンシングバスバーにそれぞれ電気的に連結され得るものである。
【0068】
一実施例において、パワーバスバー400は、銅とアルミニウムが接合されたクラッドメタルで形成され得る。
【0069】
上述したような構成を有する電気自動車用バッテリーモジュール10は、福数個のバッテリーセル200を電気的に連結するセンシングバスバー300およびパワーバスバー400の構造改善を通じて重さを軽量化することによって、バッテリーモジュールが使われる電気自動車の電費を向上させることができる。
【0070】
また、電気自動車用バッテリーモジュール10の製造原価を大幅に下げて電気自動車の製造原価を下げることができるようになることによって、電気自動車の普及をさらに活性化することができる。
【0071】
図3は、
図1にあるセンシングバスバーを説明する図面である。
【0072】
図3を参照すると、センシングバスバー300は、第1センシングレイヤ部310、第2センシングレイヤ部320を含む。
【0073】
第1センシングレイヤ部310は、アルミニウム素材からなる。
【0074】
一実施例において、第1センシングレイヤ部310は、「□」の形状、「⊂」の形状などの多様な形状からなり得る。
【0075】
第2センシングレイヤ部320は、第1センシングレイヤ部310の一面に形成され、銅素材からなる。
【0076】
一実施例において、第2センシングレイヤ部320は、第1センシングレイヤ部310に対応する形状からなり得る。
【0077】
一実施例において、第2センシングレイヤ部320は、第1センシングレイヤ部310の一面に摩擦溶接で接合され得る。
【0078】
この時、第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320が80~90:10~20の厚さ比で形成され、第2センシングレイヤ部320は、厚さが少なくとも0.4mm以上であることを特徴とする。
【0079】
例えば、アルミニウムと銅の含量が85:15の場合、第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320の厚さ比85:15、重量比63:37からなり得る。
【0080】
また、センシングバスバー300のサイズが縦長100mm、横長10mm、厚さ3mmである場合に、第1センシングレイヤ部310の厚さが255mmであり、第2センシングレイヤ部320の厚さが045mmであってもよい。
【0081】
このようなセンシングバスバー300は、バッテリーセル200の電極リード220と溶接で連結されるため、第2センシングレイヤ部320の厚さが0.4mm以上必要であり、第2センシングレイヤ部320の厚さが0.4mm未満の場合には電極リード220と溶接時にCCA内部のアルミニウムが表面に湧出して脆性(Crack)が発生する可能性がある。
【0082】
上述したような構成を有したセンシングバスバー300は、センシングバスバー接合層330、センシングバスバーメッキ層340をさらに含むことができる。
【0083】
センシングバスバー接合層330は、第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320の間に形成され、接合力が9kgf/25mm以上を有する。
【0084】
すなわち、第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320の間の接合力が9kgf/25mm以上であるため、センシングバスバー300と電極リード220の溶接時に第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320が剥離されないようにする。
【0085】
一実施例において、センシングバスバー接合層330は、摩擦溶接によって第1センシングレイヤ部310が溶融しながらアルミニウムの拡散層をなし、第2センシングレイヤ部320が溶融しながら銅の拡散層をなし、アルミニウムの拡散層と銅の拡散層が混合されて混合層をなして硬化して形成されるものである。
【0086】
センシングバスバーメッキ層340は、第1センシングレイヤ部310の表面と第2センシングレイヤ部320の表面にそれぞれ形成される。
【0087】
一実施例において、センシングバスバーメッキ層340は、リールツーリール方式などの多様な方式を利用して第1センシングレイヤ部310の表面と第2センシングレイヤ部320の表面それぞれにニッケルメッキされたものであり得る。
【0088】
上述したような構成を有するセンシングバスバー300は、アルミニウムである第1センシングレイヤ部310と銅である第2センシングレイヤ部320間の接合力を向上させ、塩水によるガルバニック腐食およびアルミニウム腐食を防止することができる。
【0089】
図4は、
図1にあるパワーバスバーを説明する図面である。
【0090】
図4を参照すると、パワーバスバー400は、第1パワーレイヤ部410、第2パワーレイヤ部420を含む。
【0091】
第1パワーレイヤ部410は、アルミニウム素材からなる。
【0092】
一実施例において、第1パワーレイヤ部410は、「□」の形状、「⊂」の形状などの多様な形状からなり得る。
【0093】
第2パワーレイヤ部420は、第1パワーレイヤ部410の一面に形成され、銅素材からなる。
【0094】
一実施例において、第2パワーレイヤ部420は、第1パワーレイヤ部410に対応する形状からなり得る。
【0095】
一実施例において、第2パワーレイヤ部420は、第1パワーレイヤ部410の一面に摩擦溶接で接合され得る。
【0096】
この時、第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420が80~90:10~20の厚さ比で形成され、第2パワーレイヤ部420は、厚さが少なくとも0.4mm以上であることを特徴とする。
【0097】
例えば、アルミニウムと銅の含量が85:15の場合、第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420の厚さ比85:15、重量比63:37からなり得る。
【0098】
また、第1パワーレイヤ部410の厚さが255mmであり、第2パワーレイヤ部420の厚さが045mmであってもよい。
【0099】
上述したような構成を有するパワーバスバー400は、パワーバスバー接合層430、パワーバスバーメッキ層440をさらに含むことができる。
【0100】
パワーバスバー接合層430は、第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420の間に形成され、接合力が9kgf/25mm以上を有する。
【0101】
すなわち、第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420の間の接合力が9kgf/25mm以上であるので、パワーバスバー400とセンシングバスバー300の連結時に第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420が剥離されないようにする。
【0102】
一実施例において、パワーバスバー接合層430は、摩擦溶接によって第1パワーレイヤ部410が溶融しながらアルミニウムの拡散層をなし、第2パワーレイヤ部420が溶融しながら銅の拡散層をなし、アルミニウムの拡散層と銅の拡散層が混合されて混合層をなして硬化して形成されるものである。
【0103】
パワーバスバーメッキ層440は、第1パワーレイヤ部410の表面と第2パワーレイヤ部420の表面にそれぞれ形成される。
【0104】
一実施例において、パワーバスバーメッキ層440は、リールツーリール方式などの多様な方式を利用して第1パワーレイヤ部410の表面と第2パワーレイヤ部420の表面それぞれにニッケルメッキされたものであり得る。
【0105】
上述したような構成を有するパワーバスバー400は、アルミニウムである第1パワーレイヤ部410と銅である第2パワーレイヤ部420間の接合力を向上させ、塩水によるガルバニック腐食およびアルミニウム腐食を防止することができる。
【0106】
前記のように、第1センシングレイヤ部310と第2センシングレイヤ部320の2つのレイヤで構成されるセンシングバスバー300および第1パワーレイヤ部410と第2パワーレイヤ部420の2つのレイヤで構成されるパワーバスバー400の機械的特性と電気的特性を確認するために、既存のバッテリーモジュールで使われる銅からなるバスバーおよび3つのレイヤで構成されるバスバーと素材的特性を比較した実験を実施したし、実験の結果は下記の表1の通りである。
【0107】
【0108】
実験の結果、引張強度、電気抵抗、電気伝導率の特性は従来の銅からなるバスバーが優秀であるが、2つまたは3つのレイヤで構成されたバスバーは銅の量が少なくなって重量が軽く、既存の銅バスバー対比類似する温度上昇特性を有し、特に2つのレイヤで構成されたバスバーは高い延伸率を確保して加工性が非常に優秀なものと確認された。
【0109】
また、2つのレイヤと3つのレイヤで構成されたバスバーの特性はほぼ類似しており、3つのレイヤで構成されるバスバーより2つのレイヤで構成されるバスバーを製造するのが容易であるため生産性が優秀であり、関連産業に非常に有用である。
【0110】
以上、本発明の実施例は前述した装置および/または運用方法を通じてのみ具現されるものではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するためのプログラム、そのプログラムが記録された記録媒体等を通じて具現されてもよく、このような具現は前述した実施例の記載から本発明が属する技術分野の専門家であれば容易に具現できるものである。
【0111】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0112】
10:電気自動車用バッテリーモジュール
100:モジュールケース
110:ケース部
120:カバー部
130:リードスリット部
140:バスバー設置部
200:バッテリーセル
210:セルケース
220:電極リード
300:センシングバスバー
310:第1センシングレイヤ部
320:第2センシングレイヤ部
330:センシングバスバー接合層
340:センシングバスバーメッキ層
400:パワーバスバー
410:第1パワーレイヤ部
420:第2パワーレイヤ部
430:パワーバスバー接合層
440:パワーバスバーメッキ層
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールケース;
前記モジュールケースの内部に設置される複数個のバッテリーセル;
前記モジュールケースの一側面に設置され、前記バッテリーセルを互いに電気的に連結するための複数個のセンシングバスバー;および
前記センシングバスバーのうち、一端と他端にそれぞれ電気的に連結される複数個のパワーバスバーを含む構成において、
前記センシングバスバーは、
アルミニウム素材からなる第1センシングレイヤ部;および
前記第1センシングレイヤ部の一面に形成され、銅素材からなる第2センシングレイヤ部を含むことを特徴とする電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記モジュールケースは、
内部に収容空間が備えられ、前記収容空間に前記バッテリーセルを設置するためのケース部;
前記ケース部の上部に形成されて前記ケース部の上部を開閉するためのカバー部;
前記ケース部の一側面に形成されて前記バッテリーセルから引き出される電極リードを外部に露出させるための複数個のリードスリット部;および
前記リードスリット部の両側に形成されて前記センシングバスバーまたは前記パワーバスバーを設置できるようにするためのバスバー設置部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項3】
前記センシングバスバーは、
前記第1センシングレイヤ部と第2センシングレイヤ部が80~90:10~20の厚さ比で形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。
【請求項4】
前記第2センシングレイヤ部は、
厚さが0.4mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車用バッテリーモジュール。