(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064056
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】通信装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 25/49 20060101AFI20230428BHJP
【FI】
H04L25/49 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159177
(22)【出願日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】17/509,469
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ベンダー
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029BB03
5K029CC01
5K029DD13
5K029EE01
(57)【要約】
【課題】SENT通信プロトコルを利用する複数のセンサが1つの受信部に接続し、通信することを可能にするマルチ通信モード方法を提供することである。
【解決手段】シングルエッジニブル通信(SENT)マルチ通信モードのための方法、システム、および装置が記載される。一例では、システムは、互いに接続された送信部及び受信部を含むことができる。送信部は、SENT信号の同期ニブルにおいて装置の識別子を符号化することができる。送信部は、さらに、符号化された識別子を有するSENT信号を受信部に送信することができる。受信部は、送信部からSENT信号を受信してもよい。受信部は、さらに通信装置を識別するために、SENT信号の同期ニブルからの識別子を復号することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SENT信号の同期ニブルにおける通信装置の識別子を符号化するコントローラを含む通信装置。
【請求項2】
前記識別子を符号化するため、前記コントローラは、
論理Low状態から論理High状態への遷移を開始するため、前記同期ニブルにおけるティック位置をセットする、請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記コントローラは、さらに前記SENT信号のCRCニブルにおける前記識別子を符号化する、請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
前記コントローラは、さらに前記SENT信号のデータニブルにおける前記識別子を符号化する、請求項1記載の通信装置。
【請求項5】
前記コントローラは、符号化された前記識別子により電子制御ユニット(ECU)へ前記SENT信号を出力し、前記通信装置と前記ECUは車載センサシステムの一部である、請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
通信バス上のトラフィックを確認し、
前記通信装置が前記SENT信号を他の通信装置へ送信することが許可されていることを示すトラフィックに応答して、前記SENT信号を前記通信バスに出力し、
前記通信装置が前記SENT信号を他の通信装置へ送信することが禁止されていることを示すトラフィックに応答して、前記通信バス上のトラフィック確認を継続するように構成されている、請求項1記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は前記通信バスに接続しており、
前記コントローラは、前記通信バス上のトラフィックにおけるリセット要求を検出し、
リセット処理を開始する前記通信バスに接続されている前記通信装置の数を決定し、
前記通信装置の前記識別子を決定するため前記同期ニブルにおけるリセット信号を符号化するように構成されている、請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
コントローラは、
SENT信号を受信し、
通信装置を識別するため、受信した前記SENT信号の同期ニブルから前記通信装置の識別子を復号する、通信装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記識別子を復号するため、前記SENT信号の前記同期ニブルにおけるティック位置を識別するために構成され、
前記ティック位置は、前記同期ニブルの論理Low状態から論理High状態へ遷移する開始位置である、請求項8記載の通信装置。
【請求項10】
前記識別子は、さらに前記SENT信号のCRCニブルにおいて符号化される、請求項8記載の通信装置。
【請求項11】
前記識別子は、さらに前記SENT信号のデータニブルにおいて符号化される、請求項8記載の通信装置。
【請求項12】
前記コントローラは、電子制御ユニット(ECU)の一部であり、前記通信装置と前記ECUは車載センサシステムの一部である、請求項8記載の通信装置。
【請求項13】
受信部と、前記受信部に接続された送信部から構成された通信システムであって、
前記送信部は、SENT信号の同期ニブルにおける通信装置の識別子を符号化し、前記SENT信号を符号化された前記識別子により前記受信部に送信し、
前記受信部は、前記送信部から送信された前記SENT信号を受信し、前記通信装置を識別するため、前記SENT信号の前記同期ニブルから前記通信装置の前記識別子を復号する、通信システム。
【請求項14】
前記送信部は、前記識別子を符号化するため、前記SENT信号の前記同期ニブルを論理Low状態から論理High状態への遷移を開始するため、前記同期ニブルにティック位置をセットする、請求項13記載の通信システム。
【請求項15】
前記受信部は、前記識別子を復号するため、前記SENT信号の前記同期ニブルにおけるティック位置を識別し、
前記ティック位置は前記SENT信号の前記同期ニブルを論理Low状態から論理High状態へ遷移する開始位置である、請求項13記載の通信システム。
【請求項16】
前記送信部は、さらに前記SENT信号のCRCニブルにおける前記識別子を符号化する、請求項13記載の通信システム。
【請求項17】
前記送信部は、さらに前記SENT信号のデータニブルにおける前記識別子を符号化する、請求項13記載の通信システム。
【請求項18】
前記送信部は前記通信装置の一部であり、
前記受信部は電子制御ユニット(ECU)の一部であり、
前記通信装置と前記ECUは車載センサシステムの一部である、請求項13記載の通信システム。
【請求項19】
前記送信部は通信バス上のトラフィックを確認し、
前記通信装置が前記SENT信号を他の通信装置へ送信することが許可されていることを示すトラフィックに応答して、前記SENT信号を前記通信バスに出力し、
前記通信装置が前記SENT信号を他の通信装置へ送信することが禁止されていることを示すトラフィックに応答して、前記通信バス上のトラフィック確認を継続する、請求項13記載の通信システム。
【請求項20】
前記送信部は前記通信バスに接続されており、
前記送信部は前記通信バスのトラフィックにおいてリセット要求を検出し、前記通信バスに接続する送信数を決定し、送信数の識別子を決定するプロセスを開始するため、前記同期ニブルにおけるリセット信号を符号化する、請求項19記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SENT通信(SENT:Single Edge Nibble Transmission)プロトコルを利用するセンサのための通信装置および通信システムに関する。より具体的には、複数のセンサが1つの受信部に接続し、通信することを可能にするマルチ通信モードに関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、様々なタイプのシステムにおいてフィードバック情報を提供するために使用することができる。いくつかの例では、センサは、センサインターフェースを介してECU(Electronic Control Unit)に接続されるスタンドアロンセンサとして動作することができる。センサがECUにデータを送信するために使用することができる例示的なインターフェースとして、SENTデジタル通信プロトコル(SAE J2716としても知られている)を利用することができる。SENTプロトコルは、センサがECUにデータを送信することを可能にする単方向ポイント・ツー・ポイント接続である。SENTプロトコルを用いたデータ通信はシリアルデータ通信であり、通信されるデータを解釈し復号化するためには、ECU内に特定のハードウェアユニットが必要である。SENTプロトコルは、センサ当たり1つのハードウェアユニットに限定することができる。従って、追加のセンサをECUに接続するために、ECU上の利用可能なSENTポート、および追加のセンサのための追加のハードウェアユニットが必要となる。これらの追加のポートおよびハードウェアユニットはコストがかかる可能性があり、さらにECU内の追加スペースを占有する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、SENT通信プロトコルを利用する複数のセンサが1つの受信部に接続し、通信することを可能にするマルチ通信モード方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明におけるいくつかの例では、SENTプロトコルのマルチ通信モードを動作させるための通信装置が一般的に説明される。通信装置は、コントローラを含むことができる。コントローラは、SENT信号の同期ニブルにおいて通信装置の識別子を符号化するように構成することができる。
【0005】
本発明におけるいくつかの例では、SENTプロトコルのマルチ送信モードを動作させるための通信装置が一般的に説明される。通信装置は、コントローラを含むことができる。コントローラは、SENT信号を受信するように構成することができる。コントローラは、通信装置を識別するために、受信されたSENT信号の同期ニブルからの識別子を復号するようにさらに構成され得る。
【0006】
本発明におけるいくつかの例では、SENTプロトコルのマルチ送信モードを実装するように構成された通信システムが一般的に説明される。通信システムは、互いに接続された受信部及び送信部を含むことができる。送信部は、SENT信号の同期ニブルにおいて装置の識別子を符号化するように構成され得る。送信部は、符号化された識別子を有するSENT信号を受信部に送信するようにさらに構成され得る。受信部は、送信部から送信されたSENT信号を受信するように構成することができる。受信部は、通信装置を識別するために、SENT信号の同期ニブルからの識別子を復号するようにさらに構成され得る。
以下において、本発明は、添付の図に示される実施形態に関してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係るSENT通信のマルチ通信モードを実施する通信システムを示す図である。
【
図2】実施形態に係るSENT通信のマルチ送信モードを実施するSENT信号の例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るSENT信号において符号化することができる異なるセンサ識別子を示す図である。
【
図4】実施形態に係るSENT通信のマルチ通信モードを実施するための通信システムの初期化の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るSENT通信のマルチ通信モードを実施するためのプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施形態におけるSENT通信においてマルチ通信モードを実施することができる例示的なシステムを示す図である。通信システム100は、車両内の車両センサシステムとすることができる。通信システム100は、ECU102と、通信バスまたはセンサバス(またはセンサインターフェース)106と、センサ110、120、130などの1つまたは複数のセンサとを含むことができる。
図1の例では3つのセンサが示されているが、通信システム100は、任意の多数のセンサに対して、および/または通信システム100の所望の実装および/または性能に基づいて実装することができることは、当業者には明らかであろう。ECU102は、モータ、エンジン、トランスミッション、ユーザーインタフェース(例えば、カーインフォテインメントシステム)、ボタンなどの制御機構、および/またはECU102によって制御され得る車両の他の部分など、車両の1つ以上の部分に接続されるコンピュータであり得る。ECU102は、センサバス106を介してセンサ110、120、130に接続することができ、センサバス106を介してセンサ110、120、130からデータを受信することができる。
【0009】
センサ110、120、130の間の各センサは、送信(TX)モジュール140を含むことができる。TXモジュール140は、SENT信号108(例えば、SENTプロトコルによって定義されたフォーマットを有する信号)を出力するように構成されたSENT通信インターフェースまたはモジュールとして動作することができる装置とすることができる。さらに、センサ110、120、130は、それぞれセンサ素子112、122、132を含むことができる。センサ素子112、122、132は、圧力センサ、温度センサ、気流センサ、加速度センサ、速度センサ、赤外線センサ、および/または通信システム100を実装する車両の周囲または内部の環境の様々なパラメータ(例えば、物理パラメータ)を感知することができる他のタイプのセンサを含むことができるが、これらに限定されない。センサ素子112、122、132のそれぞれの1つは、その対応するセンサ内のTXモジュール140に接続することができる。センサ素子112、122、132によって感知されているパラメータは、TXモジュール140に提供することができ、TXモジュール140(またはTXモジュール140内のコントローラ)は、感知されたパラメータをSENT信号に変換することができる。
【0010】
ECU102は、受信(RX)モジュール150およびマイクロコントローラユニット(MCU)160を含むことができる。MCU160は、プロセッサ162などの処理コンポーネントと、メモリまたはプロセッサのキャッシュメモリなどの記憶部164とを含むことができる。記憶部164は、本開示に従って説明されている実施形態のうちの1つまたは複数を実行するためにプロセッサ162によって実行可能であり得る、実行可能コードなどの命令を記憶するように構成され得る。RXモジュール150は、センサバス106を介して、センサ110、120、130のTXモジュール140からSENT信号を受信するように構成されたSENT受信器インターフェースまたはモジュールとして動作することができる装置とすることができる。RXモジュール150(またはRXモジュール150のコントローラ)は、SENT信号108に符号化されたデータおよびメッセージを解釈および復号するように構成することができ、復号されたデータを、MCU160のプロセッサ162によって処理することができるフォーマットを有するデジタル信号に変換することができる。MCU160のプロセッサ162は、RXモジュール150によって提供されるデジタル信号を使用して、ECU102に接続された種々の部品(例えば、車両の種々の部品)を制御および/または動作させることができる制御信号を生成することができる。
【0011】
センサ110、120、130内のTXモジュール140、およびECU102内のRXモジュール150は、SENTプロトコルを使用して、センサ110、120、130からECU102への一方向のデータ送信を容易にすることができる。SENTプロトコルは単方向であり、非同期電圧インターフェースである。SENT信号の通信は、1)信号線(Low状態<0.5V、High状態>4.1V)、2)電源電圧線(5V)、および3)接地線の3つの配線を使用して実行することができ、これらの3つの配線はセンサバス106内に存在することができる。TXモジュール140およびRXモジュール150は、ECU102上の1つのポート109を使用して、センサ110、120、130からECU102へのSENT信号108などのSENT信号の通信を容易にするように構成することができる。ポート109は、RXモジュール150に接続することができる。2つ以上のセンサ(例えば、センサ110、120、130)からSENT信号を受信するために1つのポート(例えば、ポート109)を使用するために、ID107によりSENT信号108を送信したセンサを識別するため、SENT信号108における識別子(ID)107を符号化することができる。センサ110、120、130の中の各センサのTXモジュール140は、対応するSENTメッセージの中にそれぞれのIDを符号化するように構成することができる。例えば、センサ110がSENT信号108を送信するセンサである場合、センサ110のTXモジュール140は、SENT信号108内のセンサ110のID107を符号化することができる。
【0012】
図2は、実施形態におけるSENT通信においてマルチ送信モードを実施することができるSENT信号108の例示的なメッセージフレームを示す図である。なお、
図2に示すSENT信号108のメッセージフレームは、説明のための一例である。SENT信号108のメッセージフレームは、高速チャネルフォーマットまたは低速チャネルフォーマットを有することができ、高速チャネルフォーマットおよび低速チャネルフォーマットのそれぞれは、複数のメッセージフレームフォーマットを有することができる。本明細書に記載の実施形態は、SENT信号108の任意のフォーマットに適用することができることは、当業者には明らかであろう。
【0013】
SENTプロトコルの基本的な時間単位はティックと呼ばれ、ティックの持続時間は、例えば、3~90マイクロ秒(μs)の間で可変であり得る。一例では、ティックの持続時間は、クロックサイクル(例えば、4メガヘルツ(MHz)クロック)を、通信システム100に対して定義されたティックパラメータで割ることによって定義することができる。最小データ単位はニブルと呼ばれる。ニブルは、パルス幅変調(PWM)を使用して符号化された4ビットのデータであり、初期固定幅Low期間とそれに続く可変幅High期間の組み合わせパルスタイミングで符号化される。
図2に示す例示的なメッセージフレームでは、SENT信号108の各ニブルは、例えば5ティック以上の固定幅の間、論理0(論理Low)で始まり、その後、可変持続時間を有する論理1(論理High)が続くことができる。従って、ニブルの継続時間は、固定論理ゼロ継続時間と可変論理1継続時間との和とすることができ、その結果、ニブルの継続時間は、例えば、データニブル(例えば、S1D1、S1D2、・・・、S2D3)内で可変となり、12~27ティック(例えば、0~15のニブル値、または2進「0000」~「1111」)を有することができる。ステータスまたは通信ニブル、巡回冗長検査(CRC)ニブルなどの他のニブルは、異なる情報を表すために可変ティックカウントまたは持続時間を有することができる。
【0014】
SENT信号のメッセージフレームは、較正パルス(CP)を含む同期ニブル(SN)から始まり、ここで同期ニブル(SN)は、受信部(例えば、
図1に示すRXモジュール150)によって使用されて、送信のティックタイミングを測定することができる。例えば、同期ニブル(SN)は、56ティックの単位持続時間を有し、その結果、受信部は、同期ニブルの持続時間を56で割って、ティックタイミング単位を得ることができる。ステータスまたは通信ニブル(S/C)は、メッセージフレーム内の同期ニブルに従うことができる。状態または通信ニブルは、同期ニブルの後の最初のニブルとすることができ、通信システム100に使用されているSENTフォーマットに応じて、状態および/または低速チャネルデータビットを通信することができる。メッセージフレームは、CRCまたはチェックサムニブル、および時にはオプションの休止パルス(OP)で終了することができる。オプションの休止パルス(OP)は可変であってもよく、均一なティックカウントを維持するために使用されてもよい。従って、
図2の例に示すように、SENT信号のメッセージフレームは、同期ニブルからCRCまたはOPに及ぶことができる。
【0015】
図2に示す例では、SENT信号108は、2つの12ビット・データ・ワードを搬送することができる。最初の12ビットワードは、ニブルS1D1、S1D2、およびS1D3を含み、これらのニブルの各々は、4ビットのデータを符号化する。ニブルS1D1は、「1111」の4ビットデータ、または15の値を表す27のティックを有することができる。ニブルS1D2は、「0101」の4ビットデータまたは5の値を表す17ティックを有することができる。ニブルS1D3は、「1010」の4ビットデータ、または10の値を表す22のティックを有することができる。第2の12ビットワードは、ニブルS2D1、S2D2、およびS2D3を含み、これらのニブルの各々は、4ビットのデータを符号化する。ニブルS2D1は、「0010」の4ビットデータ、または2の値を表す14のティックを有することができる。ニブルS2D2は、「1000」の4ビットデータ、または8の値を表す20ティックを有することができる。ニブルS2D3は、「0000」の4ビットデータ、または0の値を表す12ティックを有することができる。なお、
図2に示すSENT信号108は説明のための一例である。SENT信号108は、16ビット・ワードおよび8ビット・ワードなど、種々異なる長さのデータ・ワードを搬送することができることを理解することは、当業者には明らかであろう。
【0016】
上述のように、1つのポート(例えば、
図1に示されるポート109)を使用して、複数のセンサ(例えば、
図1に示されるセンサ110、120、130)からSENT信号を受信するために、ID107は、SENT信号108において符号化され得、ここで、ID107は、SENT信号108を送信したセンサを識別する。センサ110、120、130の中の各センサのTXモジュール140(
図1に示す)またはTXモジュール140のコントローラは、SENTメッセージ108内のID107を符号化するように構成することができる。
図2に示す例示的な実施形態では、ID107は、SENT信号108の同期ニブル(SN)に符号化することができる。ID107を符号化するために、TXモジュール140またはTXモジュール140のコントローラは、ティック位置201を設定して、同期ニブル(SN)において論理0(または論理Low)から論理1(論理High)への遷移を開始し、較正パルス(CP)を開始することができる。例えば、ID107を符号化する前に、較正パルス(CP)は、Xティックにまたがる論理High信号を有することができる(例えば、SENT信号108内の全てのニブルを開始するための固定論理Lowが5ティックである場合、Xは51とすることができる)。ID107を較正パルス(CP)に符号化するTXモジュール140に応答して、符号化されたID107を有する較正パルス(CP)は、X’ティックにまたがる論理High信号を有することができ、X’はX未満である。符号化が実行された後の同期ニブルにおけるティック位置201、すなわち、この例ではX’である較正パルス(CP)の幅は、ID107を表すことができる。
図1に示すRXモジュール150は、センサバス106を介してTXモジュール140からSENT信号108を受信することができる。RXモジュール150は、受信したSENT信号108の同期ニブルからID107を復号するように構成することができる。
【0017】
実施形態では、ID107は、SENT信号108の他のニブルに符号化することができる。たとえば、ID107は、同期ニブル(SN)の代わりにCRCニブルで符号化できる。別の例では、ID107は、未使用であり得る12ビットワードのうちの1つで符号化され得る(例えば、任意のデータで符号化されない)。例えば、第2の12ビット・ワードが使用されていない場合、ID107は、第2の12ビット・ワードのニブルS2D1、S2D2、S2D3のうちの1つまたは複数の中に符号化することができる。1つ以上のニブル(例えば、同期ニブル、CRCニブル、および/またはデータニブル)にID107を符号化することによって、SENT信号108は、SENT信号108を送信したセンサの識別を含むことができる。一例では、CRCニブルまたはデータニブルにおけるID107の符号化は、ニブル内の番号ティックを定義することを含むことができる。たとえば、12ティックのCRCニブルは、「0000」の4ビットワード、またはID#0を表すことができ、15ティックのCRCニブルは「0011」の4ビットワード、またはID#3を表すことができます。
【0018】
別の例では、ID107は、RXモジュール150が受信された復号されたIDの正しさをチェックするために、複数のニブルに符号化することができる。例えば、ID107は、同期ニブルとCRCニブルの両方で符号化することができ、それにより、MCU160のプロセッサ162は、ID107の符号化コピーの両方を比較して、ID107の正確さを検証することができる。ID107の2つの符号化されたコピーが一致しない場合、プロセッサ162は、ID107を有するセンサの動作における誤差、または潜在的なセキュリティ問題(例えば、中間者攻撃など)などの異常があり得ることを決定することができる。
【0019】
一例では、ID107を復号するために、RXモジュール150は、同期ニブル内のティック位置201を識別して、較正パルス(CP)の論理Low状態から論理High状態への遷移が開始するティック位置を決定することができる。RXモジュール150は、識別されたティック位置201をMCU160に提供することができ、記憶部164は、センサIDとティック位置との間の対応を記憶することができる。例えば、ティック位置201をセンサ110に割り当て、別のティック位置をセンサ120に割り当てることができる。従って、MCU160は、RXモジュール150によって復号されたティック位置201を使用して、SENT信号108を送信したセンサを識別することができる。
【0020】
別の例では、ID107を復号するために、RXモジュール150は、SENT信号108内の較正パルス(CP)のティックカウントを決定することができる。例えば、RXモジュール150は、較正パルス(CP)の論理High状態が開始する(またはLowからHighへの遷移が生じる)第1のタイムスタンプと、較正パルス(CP)の論理High状態が終了する(またはHighからLowへの遷移が生じる)第2のタイムスタンプを決定することができる。RXモジュール150は、第1のタイムスタンプと第2のタイムスタンプとの間の差を決定することができ、時間差をSENTメッセージのティック単位で割って(例えば、同期ニブルの全時間持続時間を56で割ることによって得られる)、較正パルス(CP)のティックカウントを得ることができる。較正パルス(CP)のティックカウントは、ID107を表すことができる。RXモジュール150は、High論理状態のティックカウントをMCU160に提供することができ、記憶部164は、センサIDとティックカウントとの間の対応関係を記憶することができる。例えば、ティックカウントX’をセンサ110に割り当てることができ、別のティックカウントをセンサ120に割り当てることができる。従って、MCU160は、較正パルス(CP)が開始するティック位置(例えば、ティック位置201)、または較正パルス(CP)のティックカウント(例えば、X’)のいずれかを使用して、SENT信号108を送信したセンサを識別することができる。
【0021】
図2に示される例示的なSENT信号108は、高速チャネルフォーマットを有するSENT信号であることに留意されたい(例えば、低速チャネルで2次データを同時に送信するオプションと共に送信される)。SENT信号の他のフォーマットは、高速チャネルフォーマット:12ビット単一セキュアメッセージおよび高速チャネル高速;および低速チャネルフォーマット:8ビットメッセージのための短絡シリアルメッセージフォーマットおよび12ビットまたは16ビットメッセージのいずれかのための拡張シリアルメッセージフォーマットを含むことができる。12ビットの単セキュアメッセージの高速チャネルフォーマットは、1つの12ビットデータメッセージ、8ビットインクリメンタルカウンタ、および最上位データニブルの逆数を送信できる。高速チャネル高速フォーマットは、4つのニブルで12ビットのデータを送信でき、ニブル幅で符号化された4ビットの場合、最上位ビットは常に論理「0」であるため、送信データは最下位3ビットのみになる。スローチャネルフォーマットは、通常、データが一度に2ビットしか送信されないように制限するため、高速チャネルメッセージフレームごとに制限される。スローチャネルデータの2ビットは、ステータスニブルのビット3とビット2に含めることができる。低速チャネルフォーマットは、高速チャネルデータフレームのステータスニブルで伝達される低速チャネルデータを介して単一値の送信を完了するために複数の高速チャネルメッセージフレームを必要とするので、「低速」メッセージと呼ばれる。たとえば、8ビットの低速チャネルデータを送信するには、16個の高速チャネルデータフレームが必要となる。しかしながら、遅いチャネル通信は、温度、診断及び生産コードのような情報の連続的な監視を可能にし、これらの情報は、典型的には、センサによって感知される物理的パラメータよりも変化しないか、または遅い速度で変化し得る。本明細書に記載される実施形態は、SENT信号の任意のフォーマットに適用され得ることが、当業者には明らかであろう。
【0022】
図3は、実施形態におけるSENT信号において符号化することができる異なるセンサ識別子を示す図である。
図3に示す例では、6つの異なるセンサを、
図1に示すECU102のポート109に接続することができる。これら6つのセンサの同期ニブルおよび対応する較正パルス(CP)は、
図3に示され、同期ニブル301、302、303、304、305、306としてラベル付けされる。同期ニブル301、302、303、304、305、306の中の各同期ニブルは、(ティック位置0からティック位置55までの)56ティックのティックカウントを有することができる。ティック位置0から4までの最初の5つのティックは、較正パルス(CP)を開始する前の論理Low状態に対する固定ティックカウントである。較正パルス(CP)は、LowからHighへの遷移が発生するティックカウントで開始できる。ティック位置46におけるティック位置Rは、システムへのリセットを要求し、初期化プロセス(
図4に関して後述する)のリセットを要求するためにECU102によって使用され得るリセットを示すことができる。
【0023】
図3に示される各パルスは、対応するセンサのそれぞれのIDで符号化される。例えば、第1のセンサは、X1の符号化されたIDを有する同期ニブル301を含むSENTメッセージを送信することができ、ここで、X1は、パルス301の送信を開始するためにLowからHighへの遷移が生じるティック位置(例えば、ティック位置10)によって定義することができる。第2のセンサは、X2の符号化されたIDを有する同期ニブル302を含むSENTメッセージを送信することができ、X2は、パルス302の送信を開始するためにLowからHighへの遷移が生じるティック位置(例えば、ティック位置16)によって定義することができる。
図3に示す例は、ティック位置10、16、22、28、34、40を利用して、6つの異なるセンサの6つの異なるIDを復号することができる。例えば、16、22、28、34、40、46(Rは別のティック位置で定義される)、または5、11、17、23、29、35、41などの他のティック位置が可能である。IDを符号化するためのティック位置は、通常動作の前に各センサに割り当てられる。特定のティック位置に割り当てられると、各センサは、ECU102に送信される各SENT信号に対して割り当てられたティック位置でそのIDを符号化することができる。
【0024】
図3に示す例は、複数のセンサIDを符号化するために、互いに6ティック離れたティック位置を利用する。6ティックの間隔は、例えば、20%の最大値ティック時間誤差に基づくことができる。この最大値ティック時間誤差は、センサによって使用される抵抗-容量(RC)発振回路の温度および電源電圧依存性などの様々な要因に基づくことができる。通信システム100内の部品の所望の実装および設計制約に応じて、他の間隔も可能である。また、SENTフォーマットにかかわらず、SENTメッセージ内の同期ニブルは56ティックに固定されるので、センサIDを符号化するために使用することができるティック位置間の間隔は、ECU102に接続することができる多数のセンサを変更することができる。
【0025】
図4は、実施形態におけるシングルエッジニブル通信(SENT)においてマルチ通信モードを実施するための
図1のシステムの例示的な初期化を示す図である。ポート109に接続された複数のセンサが、データを順序正しくECU102に送信することを可能にするために、各センサ内のTXモジュール140は、初期化プロセスを実行するように構成することができる。初期化プロセスは、各センサのTXモジュール140によって、通信システム100の電源投入に応答して、または接続されたセンサのうちの1つまたはECU102によって出力されているリセット信号に応答して、実行することができる。初期化プロセスは、ECU102に接続された多数のセンサ、および接続されたセンサのアドレスを得ることを含むことができる。例えば、TXモジュール140は、センサバス106に接続された多数のセンサや接続されたセンサのアドレスなどの情報を得るために、センサバス106上でトラフィック406を聴くように構成されたコントローラ402を含むことができる。
【0026】
初期化プロセスにおいて、センサ110、120、130の間の各センサのTXモジュール140は、センサバス106上でトラフィック406をリッスンすることができる。一例では、トラフィック406は、センサバス106上で送信されているSENT信号の構造フレームを含むことができる。複数のSENT信号が同じティック位置を有する同期ニブルを有してLowからHighへの遷移を開始する場合、コントローラ402は、センサバス106に1つのセンサが接続されていると判断することができ、接続されているセンサのIDを抽出するために、複数のセンサ信号の同期ニブルのうちの1つを復号することができる。複数のSENT信号が、2つの異なるティック位置で始まるLowからHighへの遷移を有する同期ニブルを有する2つのSENT信号である場合、トラフィック406は、送信位置に割り当てられた2つのセンサがあることを示すことができ、コントローラ402は、2つの接続されたセンサのIDを抽出するために同期ニブルを復号することができる。センサバス106上に(トラフィック406に従って)SENT信号がない場合、TXモジュール140は、センサバス106にSENT信号を送信する前に、ある量の時間(例えば、多数の時間サイクル)を待つことができる。例えば、(ID#1に割り当てられた)センサ120のためのTXモジュール140がトラフィック406をリッスンし、センサバス上にSENT信号がないことを見た場合、センサ120は、その同期ニブルにおいてID#1を表すティック位置を有するそれ自体のSENT信号を送信する前に、1タイムサイクル待機することができる。センサ用のTXモジュールがID#6に割り当てられており、トラフィック406がセンサバス上でSENT信号が送信されなかったことを示す場合、このセンサは、ID#6を表すティック位置がその同期ニブルで独自のSENT信号を送信する前に、5タイムサイクル待機することがあります。いくつかの例では、各センサ上のTXモジュール140は、同期ニブル内のそのIDの代わりに、Rティック位置(
図3に示す)にリセット信号を符号化することができる。トラフィック406は、センサバス106上の信号の1つで検出されているリセット信号の指示で更新することができ、全センサのTXモジュール140は、再び初期化処理を開始することができる。
【0027】
コントローラ402は、さらに、構成ビット404によって、マルチ送信モードをアクティブまたは非アクティブにするように構成することができる。構成ビット404は、通信システム100およびTXモジュール140の設計および実装に応じて、例えば、ハードウェアスイッチング素子、ソフトウェアを使用して定義することができるパラメータ、レジスタに格納された値、またはセンサの不揮発性メモリ(NVM)に構成されたビットとすることができる。構成ビット404は、バイナリ0およびバイナリ1のような2つの値を有することができる。一例では、構成ビット404がバイナリ0(またはバイナリ1)であることは、マルチ通信モードの非アクティブ化を示すことができ、構成ビット404がバイナリ1(またはバイナリ0)であることは、マルチ通信モードのアクティブ化を示すことができる。マルチ送信モードの活性化により、TXモジュール140は、SENT信号108にID107を符号化して、複数のセンサからECUへの送信を容易にすることができる。マルチ送信モードの非アクティブ化は、SENT信号108にセンサIDを符号化することなく、TXモジュール140が通常のSENT通信として機能することを可能にすることができる。従って、TXモジュール140は、センサID符号化なしにSENTプロトコルを使用する既存のシステムと互換性があり得る。
【0028】
初期化プロセスの完了に応答して、マルチ送信モードにおける通信システム100の動作は、センサが、割り当てられた送信位置の下で自己のSENT信号を送信することによって開始することができる。一例では、TXモジュール140は、信号を送信するのに適切な時間であるかどうかを判定するために、トラフィック406をリッスンし続けることができる。一例では、複数のセンサの送信順序を事前定義することができる。例えば、
図4に示す3つのセンサ110、120、130の各々のNVMは、それぞれの通信IDを示す命令または規則を格納することができる。記憶された通信IDは、通信順序内の通信位置を表すことができる。例えば、センサ110が通信ID#0を格納し、センサ120が通信ID#1を格納し、センサ130が通信ID#2を格納してもよい。
【0029】
マルチ通信モードの下で通信を実行するために、コントローラ402は、トラフィック406を使用して、対応するセンサがそのSENT信号をセンサバス106に通信すべきかどうか、またはその順番が通信されるのを待つべきかどうかを決定することができる。例えば、TXモジュール140は、センサバス106上の最新のSENT信号のフレーム構造および/または同期ニブルを含むトラフィック406を取得することができる。TXモジュール140は、トラフィック406内の同期ニブルを復号して、最新のSENT信号を送信したセンサの符号化IDを識別または抽出することができる。センサ130によって最新のSENT信号が送信される場合、センサ110のTXモジュール140は、センサ110に記憶された送信順序(例えば、#0、#1、#2、#0、#1など)および送信位置(例えば、#0に割り当てられているセンサ110および#2に割り当てられているセンサ130)に基づいて、センサ110がセンサバス106にSENT信号送信を実行できることを決定することができる。センサ130によって最新のSENT信号が送信される場合、センサ120のTXモジュール140は、センサ110に記憶された送信順序(例えば、#0、#1、#2、#0、#1など)および送信位置(例えば、#1に割り当てられたセンサ120および#2に割り当てられたセンサ130)に基づいて、センサ120がセンサバス106へのSENT信号送信を実行することを禁止されていると判断することができる。従って、ECU102は、整然とした方法でSENT信号を受信することができ、センサバス106上の矛盾するトラフィックを回避することができる。
【0030】
別の例では、センサ110、120、130は、それぞれID#1、#3、#4の順序でSENT信号を送信するように構成することができる。従って、センサ120は、ID#1がトラフィック406内に現れてそのSENT信号を送信するのを待つことができ、センサ130は、ID#3がトラフィック406内に現れてそのSENT信号を送信するのを待つことができ、センサ110は、ID#4がトラフィック406内に現れてそのSENT信号を送信するのを待つことができる。トラフィック406が#1、#2の送信順序を示すようなエラーが発生した場合、センサ130は、トラフィック406がID#3を示さないので、そのSENT信号を送信する前に、待機イベントを開始して、ある時間待機することができる。例えば、異なるセンサからのSENT信号の各通信の間の時間はTである。直近の通信がID#2からであったことを示すトラフィック406に応じて、センサ130は、例えば、センサ130が通信を行う前に、ID#3を有するセンサがSENT信号を通信するのに十分な時間がある可能性があることを確認するために、Tの時間を待つことができる。また、ECU102は、待ち時間Tを知っていてもよく、待ち時間Tの後にECU102がセンサからSENT信号を受信しないか、またはセンサが多数の場合(例えば、シーケンス#1、#3、#4のN回の繰り返しの間)に待ち時間Tを待つことを検出する場合、ECU102は、センサバス106上にリセット要求を出す(例えば、送信する、ブロードキャストする)ことができる。つまり、ECU102は、SENT信号が受信されている順序に基づいて、また、SENT信号が受信されているタイミングに基づいて、潜在的なエラーがあるか否かを検出することができる。トラフィック406は、リセット要求を示すことができ、センサ110、120、130は、トラフィック406をリッスンし、リセット要求を検出し、ECU102を用いて初期化プロセスをリセットすることができる。
【0031】
SENTメッセージの同期ニブル(SN)にセンサIDを符号化することによって、空間を占有し、サイズを増大させることができる追加のポートおよびハードウェアを追加する必要なしに、複数のセンサを単一のECUに接続することができる。さらに、同期ニブルは、典型的には、同期目的のみに使用され、データまたは情報を含まないため、同期ニブル内の較正パルス(CP)の開始ティックと終了ティックとの間のティック位置を、センサIDを復号するために使用することができる。同期ニブル(SN)の利用は、SENTプロトコルにティックまたはニブルを追加することなく、またSENT信号によって搬送されるデータまたは情報に影響を及ぼすことなく、ID符号化を可能にする。さらに、送信部によって実行される符号化、および受信部によって実行される復号は、通信システム100の通常の動作に影響を与えることなく、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアに対する比較的単純な修正で実現することができる。また、送信されている各SENTメッセージ内のそのIDを各センサに符号化させることによって、送信部と受信部との間でSENTメッセージを送信する前または後に追加の通信が必要とされない。
【0032】
図5は、実施形態におけるSENT通信においてマルチ通信モードを実施するためのプロセス500を示すフロー図である。プロセスは、ステップS501、S502、S503、および/またはS504のうちの1つまたは複数によって示されるように、1つまたは複数の動作、アクション、または機能を含むことができる。個別のステップとして図示されているが、様々なステップは、所望の実装に応じて、追加のステップに分割され、より少ないステップに組み合わされ、削除され、または並列に実行されることが可能である。
【0033】
プロセス500は、SENT通信プロトコルを実施するシステム内の送信部によって実施することができる。システムは、センサバスを介して1つまたは複数の送信部(プロセス500を実行する送信部を含む)に接続された受信部を含むことができる。送信部は、センサ素子、メモリ、および処理素子を含むセンサの一部とすることができる。受信部は、メモリ装置及びマイコンのような処理ユニットを含む電子制御ユニットの一部とすることができる。
【0034】
プロセス500は、ステップS501で開始することができる。ステップS501において、送信部は、マルチ送信モードをイネーブルすることができる。一例では、送信部は、送信部に格納された構成ビットを設定することによって、マルチ送信モードを有効にすることができる。マルチ送信モードは、システム内の複数の送信部が、受信部にSENT信号を接続し、送信することを可能にすることができる。プロセス500は、ステップS501からS502に進むことができる。ステップS502では、多重送信モードの下で、送信部は、センサバス上のトラフィックをリッスンすることができる。送信部によって得られるトラフィックは、例えば、センサバスを介して受信部に送信されるSENT信号のフレーム構造を含むことができる。
【0035】
プロセス500は、ステップS502からS503に進むことができる。ステップS503において、送信部は、ステップS502から得られたトラフィックを使用して、センサバス上の直近のSENT信号が、以前のセンサとして割り当てられた別のセンサによって、送信順序またはシーケンスで出力されるか否かを判断することができる。例えば、システムは、送信位置#0、#1、#2に割り当てられた3つのセンサを含むことができる。3つのセンサがSENT信号を送信するための送信順序は、所定の順序#0、#1、#2、#0、#1、#2などとすることができる。一例では、プロセス500を実行する送信部は、送信位置#2に割り当てることができる。#0に割り当てられたセンサによって出力されているセンサバス上の最新のSENT信号に応答して、プロセス500はステップS502に戻ることができ、そこで送信部はセンサバス上のトラフィックを聞き続けることができる。#1に割り当てられたセンサによって出力されているセンサバス上の最新のSENT信号に応答して、プロセス500はステップS504に進むことができ、そこで送信部はセンサバスを介してそのSENT信号を受信部に送信することができる。
【0036】
本明細書で説明される主題は、異なる他の成分内に含まれるか、または異なる他の成分と接続された異なる構成要素を示すことがある。このように描かれたアーキテクチャは例示的なものであり、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャを実装できることが理解されるべきである。概念的な意味では、同じ機能性を達成するための部品の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。従って、特定の機能を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように、互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続されている」または「動作可能に結合されている」と見なすこともでき、そのように関連付けられることができる任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に結合可能である」と見なすこともできる。動作可能に結合可能な特定の例には、物理的に結合可能および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で相互作用可能および/または無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用可能および/または論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書における複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へ、および/または単数から複数へと翻訳することができる。種々単数/複数の置換は、明確にするために、本明細書に明確に記載されてもよい。
【0038】
当業者であれば、一般に、本明細書で使用される項、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)は、一般に、「開いた」項として意図されることを理解するであろう(例えば、「含む」という項は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という項は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という項は、「含むがこれに限定されない」などと解釈されるべきである)。
【0039】
図および説明は、方法におけるステップは特定の順序を示すことができるが、このようなステップの順序は、上で異なるように指定されない限り、示され、説明されるものとは異なることができる。また、2以上の工程は、上記で異なるように指定されない限り、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。このような変形例は、例えば、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステム、並びに設計者の選択に依存し得る。全てのこのような変形は、本開示の範囲内である。同様に、記述された方法のソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理工程、比較ステップ、および決定ステップを達成するために、ルールベースの論理および他の論理をもつ標準プログラミング技術によって達成することができる。
【0040】
特定の数の導入されたクレームの列挙が意図される場合、そのような意図はクレームに明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するために、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」という導入語句の使用を含むことができる。さらに、たとえ導入された請求項列挙の特定の数が明示的に列挙されたとしても、当業者は、そのような列挙が、典型的には、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語なしの「2つの列挙」の裸の列挙は、典型的には、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。
【0041】
さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規約が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその規約を理解することを意図する(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB単独、AおよびB単独、AおよびC単独、AおよびC単独、BおよびC単独、ならびに/またはA、BおよびC単独などを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規約が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその規約を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB同士、AおよびC同士、BおよびC同士、および/またはA、BおよびC同士などを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、説明、特許請求の範囲、または図面のいずれかにおいて、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接的な単語および/または句は、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0042】
さらに、特に断らない限り、「おおよそ」、「約」、「約」、「実質的に」などの用語の使用は、プラスまたはマイナス10パーセントを意味する。
【0043】
例示的な実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは、開示された正確な形態に関して網羅的または限定的であることを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正および変形が可能であり、または開示された実装の実施から獲得され得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
100 通信システム
102 ECU
106 センサバス
107 識別子(ID)
108 SENT信号
109 ポート
110、120、130 センサ
112、122、132 センサ素子
140 TXモジュール
150 RXモジュール
160 MCU
162 プロセッサ
164 記憶部
402 コントローラ
404 構成ビット
406 トラフィック
301、302、303、304、305、306 同期ニブル