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特開2023-6407作業機械、及び作業機械を制御するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006407
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】作業機械、及び作業機械を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/85 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
E02F3/85 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108990
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西原 健
(72)【発明者】
【氏名】石橋 永至
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AB04
2D003BA01
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
(57)【要約】
【課題】作業機械において、作業に応じて、ブレードのピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能とする。
【解決手段】コントローラは、作業対象である現況地形を示す現況地形データを取得する。コントローラは、目標地形を示す目標地形データを取得する。コントローラは、ブレードの刃先が目標地形に従って移動するようにリフトアクチュエータを制御する。コントローラは、現在の刃先位置に対応する現況地形と、現在の刃先位置に対応する目標地形と、現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、ブレードのピッチ角が変更されるようにピッチアクチュエータを制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に対してリフト軸回りに回動可能に支持されるリフトフレームと、
前記リフトフレームに対してピッチ軸回りに回動可能に支持されるブレードと、
前記ブレードを前記リフト軸回りに上下にリフト動作させるリフトアクチュエータと、
前記ブレードを前記ピッチ軸回りにピッチ動作させるピッチアクチュエータと、
前記ブレードの現在の刃先位置を検出するセンサと、
作業対象である現況地形を示す現況地形データを取得し、目標地形を示す目標地形データを取得し、前記ブレードの刃先が前記目標地形に従って移動するように前記リフトアクチュエータを制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記現在の刃先位置に対応する前記現況地形と、前記現在の刃先位置に対応する前記目標地形と、前記現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、前記ブレードのピッチ角が変更されるように前記ピッチアクチュエータを制御する、
作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記目標地形が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記目標地形と前記現況地形との高さの差を取得し、
前記目標地形が前記所定範囲の下方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を後傾方向に変化させる、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記コントローラは、前記目標地形が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記目標地形と前記現況地形との高さの差を取得し、
前記目標地形が前記所定範囲の上方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を前傾方向に変化させる、
請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記コントローラは、前記目標地形が前記現在の刃先位置を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記目標地形と前記現在の刃先位置との高さの差を取得し、
前記目標地形が前記所定範囲の下方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を後傾方向に変化させる、
請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記コントローラは、前記目標地形が前記現在の刃先位置を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記目標地形と前記現在の刃先位置との高さの差を取得し、
前記目標地形が前記所定範囲の上方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を前傾方向に変化させる、
請求項8に記載の作業機械。
【請求項10】
前記コントローラは、前記現在の刃先位置が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記現在の刃先位置と前記現況地形との高さの差を取得し、
前記現在の刃先位置が前記所定範囲の下方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を後傾方向に変化させる、
請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記コントローラは、前記現在の刃先位置が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記現在の刃先位置と前記現況地形との高さの差を取得し、
前記現在の刃先位置が前記所定範囲の上方に位置するときには、前記高さの差の増大に応じて、前記ブレードのピッチ角を前傾方向に変化させる、
請求項12に記載の作業機械。
【請求項14】
車体と、前記車体に対してリフト軸回りに回動可能に支持されるリフトフレームと、前記リフトフレームに対してピッチ軸回りに回動可能に支持されるブレードと、前記ブレードを前記リフト軸回りに上下にリフト動作させるリフトアクチュエータと、前記ブレードを前記ピッチ軸回りにピッチ動作させるピッチアクチュエータと、を備える作業機械を制御するための方法であって、
前記ブレードの現在の刃先位置を検出することと、
作業対象である現況地形を示す現況地形データを取得することと、
目標地形を示す目標地形データを取得することと、
前記ブレードの刃先が前記目標地形に従って移動するように前記リフトアクチュエータを制御することと、
前記現在の刃先位置に対応する前記現況地形と、前記現在の刃先位置に対応する前記目標地形と、前記現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、前記ブレードのピッチ角が変更されるように前記ピッチアクチュエータを制御すること、
を備える方法。
【請求項15】
前記目標地形が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記目標地形が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記目標地形が前記現在の刃先位置を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記目標地形が前記現在の刃先位置を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記現在の刃先位置が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の下方に位置するときには、前記ブレードを後傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記現在の刃先位置が前記現況地形を含む上下方向における所定範囲の上方に位置するときには、前記ブレードを前傾方向にピッチ動作させるように、前記ピッチアクチュエータを制御すること、
をさらに備える請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械、及び作業機械を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械には、オペレータの操作に応じてブレードのピッチ角を調整可能なものがある。例えば、特許文献1の作業機械では、ブレードのピッチ角を調整するための操作レバーが設けられている。操作レバーにはスイッチが設けられている。スイッチがオンのときに操作レバーが右に倒されると、ブレードがピッチダンプ(前傾)するように、油圧シリンダが制御される。スイッチがオンのときに操作レバーが左に倒されると、ブレードがピッチバック(後傾)するように、油圧シリンダが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-252859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードのピッチ角は、掘削、或いは整地などの作業性に影響を与える。しかし、ブレードのピッチ角は、作業内容に応じて、適切な角度が異なる。例えば、ピッチ角が小さい、すなわちブレードが後傾しているときには、掘削抵抗が小さく、掘削性が良好である一方、後方への土こぼれが大きく、整地性が低い。逆に、ピッチ角が大きい、すなわちブレードが前傾しているときには、ブレードの下方への貫入力が大きく、整地性が良好である一方、掘削抵抗が大きく、掘削性が低い。
【0005】
そのため、熟練したオペレータであっても、作業に応じて手動で適切なピッチ角を正確に選定することは容易ではない。本開示の目的は、作業機械において、作業に応じて、ブレードのピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機械は、車体と、リフトフレームと、ブレードと、リフトアクチュエータと、ピッチアクチュエータと、センサと、コントローラとを備える。リフトフレームは、車体に対してリフト軸回りに回動可能に支持される。ブレードは、リフトフレームに対してピッチ軸回りに回動可能に支持される。リフトアクチュエータは、ブレードをリフト軸回りに上下にリフト動作させる。ピッチアクチュエータは、ブレードをピッチ軸回りにピッチ動作させる。センサは、ブレードの現在の刃先位置を検出する。
【0007】
コントローラは、作業対象である現況地形を示す現況地形データを取得する。コントローラは、目標地形を示す目標地形データを取得する。コントローラは、ブレードの刃先が目標地形に従って移動するように、リフトアクチュエータを制御する。コントローラは、現在の刃先位置に対応する現況地形と、現在の刃先位置に対応する目標地形と、現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、ブレードのピッチ角が変更されるようにピッチアクチュエータを制御する。
【0008】
本発明の他の態様に係る方法は、作業機械を制御するための方法である。作業機械は、車体と、リフトフレームと、ブレードと、リフトアクチュエータと、ピッチアクチュエータとを備える。リフトフレームは、車体に対してリフト軸回りに回動可能に支持される。ブレードは、リフトフレームに対してピッチ軸回りに回動可能に支持される。リフトアクチュエータは、ブレードをリフト軸回りに上下にリフト動作させる。ピッチアクチュエータは、ブレードをピッチ軸回りにピッチ動作させる。
【0009】
本態様に係る方法は、ブレードの現在の刃先位置を検出することと、作業対象である現況地形を示す現況地形データを取得することと、目標地形を示す目標地形データを取得することと、ブレードの刃先が目標地形に従って移動するように、リフトアクチュエータを制御することと、現在の刃先位置に対応する現況地形と、現在の刃先位置に対応する目標地形と、現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、ブレードのピッチ角が変更されるようにピッチアクチュエータを制御すること、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現在の刃先位置に対応する現況地形と、現在の刃先位置に対応する目標地形と、現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係に基づいて、ブレードのピッチ角が変更される。現況地形と、目標地形と、現在の刃先位置とのいずれか2つの上下方向における位置関係は、作業機械によって実行される作業に応じて異なる。そのため、本発明によれば、作業機械において、作業に応じて、ブレードのピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
図2】作業機械の駆動系と制御システムとの構成を示すブロック図である。
図3】ブレードのリフト動作を示す図である。
図4】ブレードのピッチ動作を示す図である。
図5】第1実施形態に係る作業機械の自動制御を示すフローチャートである。
図6】現況地形と目標地形との一例を示す図である。
図7】ピッチ角データの一例を示す図である。
図8】目標地形が所定範囲内に位置するときのブレードの動作を示す図である。
図9】目標地形が所定範囲より下方に位置するときのブレードの動作を示す図である。
図10】目標地形が所定範囲より上方に位置するときのブレードの動作を示す図である。
図11】第2実施形態に係る作業機械の自動制御を示すフローチャートである。
図12】第3実施形態に係る作業機械の自動制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る作業機械について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。本実施形態に係る作業機械1は、ブルドーザである。作業機械1は、車体11と作業機12とを備えている。
【0013】
車体11は、運転室13と、エンジン室14と、走行装置15とを含む。運転室13には、図示しない運転席が配置されている。エンジン室14は、運転室13の前方に配置されている。走行装置15は、車体11の下部に設けられている。走行装置15は、左右一対の履帯16を含む。なお、図1では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、作業機械1が走行する。
【0014】
作業機12は、車体11に取り付けられている。作業機12は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトアクチュエータ19と、ピッチアクチュエータ20とを有する。リフトフレーム17は、車体11に対してリフト軸X1回りに回動可能に支持される。リフト軸X1は、車体11の横方向に延びている。リフトフレーム17は、リフト軸X1回りに回動することで、上下にリフト動作する。なお、リフトフレーム17は、走行装置15に取り付けられてもよい。リフトフレーム17は、走行装置15の内側に配置されてもよく、或いは走行装置15の外側に配置されてもよい。
【0015】
ブレード18は、車体11の前方に配置されている。ブレード18は、リフトフレーム17に対してピッチ軸X2回りに回動可能に支持される。ピッチ軸X2は、車体11の横方向に延びている。ブレード18は、ピッチ軸X2回りに回動することで、前後にピッチ動作する。ブレード18は、リフトフレーム17の上下動に伴って上下に移動する。
【0016】
リフトアクチュエータ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトアクチュエータ19は、油圧シリンダである。リフトアクチュエータ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、上下にリフト動作する。リフトアクチュエータ19が縮むことによって、ブレード18が上昇する。リフトアクチュエータ19が延びることによって、ブレード18が下降する。なお、リフトアクチュエータ19は、ブレード18に取り付けられてもよい。
【0017】
ピッチアクチュエータ20は、リフトフレーム17とブレード18とに連結されている。ピッチアクチュエータ20は、油圧シリンダである。ピッチアクチュエータ20が伸縮することによって、ブレード18は、前後にピッチ動作する。ブレード18の一部、例えば上端が、前後に動作することで、ブレード18がピッチ軸X2回りにピッチ動作する。ピッチアクチュエータ20が伸びることによって、ブレード18は前傾する。ピッチアクチュエータ20が縮むことによって、ブレード18は後傾する。
【0018】
図2は、作業機械1の駆動系2と制御システム3との構成を示すブロック図である。図2に示すように、駆動系2は、エンジン22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24と、を備えている。油圧ポンプ23は、エンジン22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトアクチュエータ19とピッチアクチュエータ20とに供給される。なお、図2では、1つの油圧ポンプが図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0019】
動力伝達装置24は、エンジン22の駆動力を走行装置15に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、例えば、トルクコンバータ、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。
【0020】
制御システム3は、コントローラ26と制御弁27とを備える。コントローラ26は、取得したデータに基づいて作業機械1を制御するようにプログラムされている。コントローラ26は、記憶装置28とプロセッサ29とを含む。プロセッサ29は、例えばCPUを含む。記憶装置28は、例えばメモリと補助記憶装置とを含む。記憶装置28は、例えば、RAM、或いはROMなどであってもよい。記憶装置28は、半導体メモリ、或いはハードディスクなどであってもよい。記憶装置28は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置28は、プロセッサ29によって実行可能であり作業機械1を制御するためのコンピュータ指令を記録している。
【0021】
制御弁27は、比例制御弁であり、コントローラ26からの指令信号によって制御される。制御弁27は、リフトアクチュエータ19及びピッチアクチュエータ20などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23からリフトアクチュエータ19に供給される作動油の流量を制御する。制御弁27は、油圧ポンプ23からピッチアクチュエータ20に供給される作動油の流量を制御する。なお、制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0022】
制御システム3は、操作装置31と入力装置32とを備えている。操作装置31は、例えばレバーを含む。或いは、操作装置31は、ペダル、或いはスイッチを含んでもよい。オペレータは、操作装置31を用いて、作業機械1の走行と、作業機12の動作とを手動で操作することができる。操作装置31は、操作装置31の操作を示す操作信号を出力する。コントローラ26は、操作装置31から操作信号を受信する。
【0023】
操作装置31は、ブレード18のリフト動作を操作可能である。詳細には、操作装置31は、ブレード18の上げ操作と下げ操作との操作が可能である。オペレータが操作装置31に対して上げ操作を行うと、コントローラ26は、ブレード18が上昇するように、リフトアクチュエータ19を制御する。オペレータが操作装置31に対して下げ操作を行うと、コントローラ26は、ブレード18が下降するように、リフトアクチュエータ19を制御する。
【0024】
図3は、作業機械1のリフト動作を示す模式図である。図3において、P0は、ブレード18の刃先の現在位置を示している。P1は、ブレード18の刃先の最高位置を示している。P2は、ブレード18の刃先の最低位置を示している。作業機械1は、最高位置P1と最低位置P2との間で、ブレード18をリフト動作させることができる。
【0025】
操作装置31は、ブレード18のピッチ動作を操作可能である。詳細には、操作装置31は、ブレード18の前傾操作と後傾操作との操作が可能である。オペレータが操作装置31に対して前傾操作を行うと、コントローラ26は、ブレード18が前傾するように、ピッチアクチュエータ20を制御する。オペレータが操作装置31に対して後傾操作を行うと、コントローラ26は、ブレード18が後傾するように、ピッチアクチュエータ20を制御する。
【0026】
図4A図4Cは、ブレード18のピッチ角を示す図である。図4A図4Cに示すように、ブレード18のピッチ角θ0-θ2は、ブレード18の刃先と履帯16の接地面G1との間のなす角である。図4Bは、標準状態のブレード18のピッチ角(以下、「標準ピッチ角」と呼ぶ)θ0を示している。図4Aは、標準状態よりも前傾したブレード18のピッチ角θ1を示している。図4Cは、標準状態よりも後傾したブレード18のピッチ角θ2を示している。ブレード18が前傾するほどピッチ角は大きくなる。ブレード18が後傾するほどピッチ角は小さくなる。すなわち、θ1>θ0>θ2である。
【0027】
なお、操作装置31は、油圧パイロット式の装置であってもよい。例えば、操作装置31は、操作装置31の操作に応じたパイロット油圧を出力してもよい。操作装置31からのパイロット油圧によって制御弁27が制御されることで、リフトアクチュエータ19、或いはピッチアクチュエータ20が制御されてもよい。コントローラ26は、パイロット油圧を示す信号を、操作信号として受信してもよい。
【0028】
入力装置32は、例えばタッチパネルを含む。ただし、入力装置32は、スイッチなどの他の装置を含んでもよい。オペレータは、入力装置32を用いて、コントローラ26によるブレード18のピッチ角の制御モードの設定を行うことができる。制御モードは、手動モードと自動制御とを含む。手動モードでは、オペレータは、操作装置31を用いて、手動でブレード18のピッチ角を変更可能である。ピッチ角の自動制御については、後に詳細に説明する。
【0029】
図2に示すように、制御システム3は、ブレード18の刃先の現在位置(以下、「刃先位置P0」と呼ぶ)を検出するセンサ33を備えている。センサ33は、車体センサ34と、フレームセンサ35と、ブレードセンサ36と、位置センサ37とを含む。車体センサ34は、車体11に取り付けられている。車体センサ34は、車体11の姿勢を検出する。フレームセンサ35は、リフトフレーム17に取り付けられている。フレームセンサ35は、リフトフレーム17の姿勢を検出する。ブレードセンサ36は、ブレード18に取り付けられている。ブレードセンサ36は、ブレード18の姿勢を検出する。位置センサ37は、車体11の現在位置を検出する。
【0030】
車体センサ34と、フレームセンサ35と、ブレードセンサ36とは、それぞれIMU(慣性計測装置、Inertial Measurement Unit)である。ただし、フレームセンサ35とブレードセンサ36とは、IMUに限らず、角度センサ、或いはシリンダのストロークセンサなどの他のセンサであってもよい。
【0031】
車体センサ34は、水平に対する車体11の前後方向の角度(車体ピッチ角)を検出する。フレームセンサ35は、リフトフレーム17の回転角度を検出する。ブレードセンサ36は、ブレード18のピッチ角を検出する。車体センサ34と、フレームセンサ35と、ブレードセンサ36とは、それぞれ検出した角度を示す検出信号を出力する。
【0032】
位置センサ37は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の位置センサである。位置センサ37は、例えばGNSSレシーバとアンテナとを備える。位置センサ37は、位置センサ37の現在位置を検出する。位置センサ37は、車体11に配置されている。従って、位置センサ37は、車体11の現在位置を検出する。車体11の現在位置は、地球を基準とするグローバル座標で示される。ただし、車体11の現在位置は、作業機械1が作業を行う作業現場を基準とするローカル座標で示されてもよい。コントローラ26は、位置センサ37から、車体11の現在位置を示す検出信号を取得する。
【0033】
コントローラ26は、車体センサ34と、フレームセンサ35と、ブレードセンサ36と、位置センサ37とから検出信号を受信する。コントローラ26は、車体11と、リフトフレーム17と、ブレード18との寸法及び位置関係を示す機械寸法データを記憶している。コントローラ26は、車体センサ34とフレームセンサ35とブレードセンサ36とによって検出された角度と、位置センサ37によって検出された車体11の現在位置と、機械寸法データとに基づいて、ブレード18の刃先位置P0を算出する。
【0034】
コントローラ26は、作業機械1を自動的に制御する。以下、コントローラ26によって実行される、第1実施形態に係る作業機械1の自動制御について説明する。図5は、第1実施形態に係る自動制御の処理を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示すように、ステップS101では、コントローラ26は、作業機械1の現在位置を取得する。ここでは、コントローラ26は、上述したブレード18の刃先位置P0を、作業機械1の現在位置として取得する。
【0036】
ステップS102では、コントローラ26は、現況地形データを取得する。現況地形データは、作業対象の現況地形50を示す。図6は、現況地形50の一例を示す図である。現況地形データは、作業機械1の進行方向に位置する現況地形50上の複数の地点の座標と高度を含む。コントローラ26は、外部のコンピュータから、現況地形データを取得してもよい。コントローラ26は、履帯16の底面の軌跡により、更新された現況地形データを取得してもよい。
【0037】
ステップS103では、コントローラ26は、目標地形データを取得する。目標地形データは、現況地形50に対する目標地形60を示す。目標地形データは、作業機械1の進行方向に位置する目標地形60上の複数の地点の座標と高度を含む。図6に示すように、目標地形60の少なくとも一部は、現況地形50に対して鉛直方向に変位している。目標地形60の少なくとも一部は、現況地形50に一致、或いは概ね一致していてもよい。目標地形60の少なくとも一部は、現況地形50の上方に位置してもよい。目標地形60の少なくとも一部は、現況地形50の下方に位置してもよい。
【0038】
コントローラ26は、現況地形50に基づいて目標地形60を決定してもよい。例えば、コントローラ26は、現況地形50を上方、又は、下方に変位させることで、目標地形60を決定してもよい。コントローラ26は、作業の所定の開始位置から所定角度で延びる軌道を、目標地形60として決定してもよい。コントローラ26は、ブレード18の容量、或いは負荷に基づいて、目標地形60を決定してもよい。コントローラ26は、ブレード18が保持している土量に基づいて、目標地形60を決定してもよい。或いは、コントローラ26は、外部のコンピュータから、目標地形データを取得してもよい。
【0039】
ステップS104では、コントローラは、目標地形60に従って、作業機12を制御する。コントローラ26は、目標地形60に従ってブレード18の刃先が移動するように、リフトアクチュエータ19を制御する。それにより、作業機械1が前進しながら、ブレード18の刃先が目標地形60に沿って移動するように、ブレード18が上下にリフト動作する。なお、作業機械1の前進は、オペレータによる操作装置31の操作によって手動で行われてもよい。或いは、作業機械1の前進は、コントローラ26による自動制御によって行われてもよい。
【0040】
本実施形態に係る作業機械1では、コントローラ26は、目標地形60に従うブレード18の高さの自動制御を実行しながら、ピッチ角の自動制御を行う。コントローラ26は、ピッチ角の自動制御において、現況地形50と目標地形60との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更されるように、ピッチアクチュエータを制御する。以下、説明するステップS105からS107は、ピッチ角の自動制御の処理を示している。
【0041】
ステップS105では、コントローラ26は、目標地形60と現況地形50との高さの差を取得する。コントローラ26は、目標地形データ及び現況地形データから、目標地形60と現況地形50との高さの差を算出する。
【0042】
ステップS106では、コントローラ26は、目標ピッチ角を決定する。ステップS107では、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角が目標ピッチ角となるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。
【0043】
詳細には、コントローラ26は、目標地形60と現況地形50との高さの差に基づいて、目標ピッチ角を決定する。コントローラ26は、ピッチ角データを記憶している。ピッチ角データは、目標地形60と現況地形50との高さの差と、目標ピッチ角との関係を規定する。ピッチ角データは、例えばマップの形式でコントローラ26に保存されている。ただし、ピッチ角データは、マップに限らず、数式など他の形式でコントローラ26に保存されてもよい。
【0044】
コントローラ26は、ピッチ角データを参照して、目標地形60と現況地形50との高さの差から、目標ピッチ角を決定する。図7は、ピッチ角データの一例を示す図である。図7において実線は、本実施形態におけるピッチ角データの一例を示している。図7において二点鎖線は、ピッチ角の自動制御が行われない場合のピッチ角の変化を示している。すなわち、図7において二点鎖線は、リフトフレーム17に対するブレード18の角度が固定されているときのピッチ角(以下、固定時のピッチ角と呼ぶ)の変化を示している。
【0045】
高さの差Hd1は、以下の式(1)で示される。
Hd1=Ht-Ha (1)
Htは、目標地形60の高さである。Haは、現況地形50の高さである。従って、高さの差Hd1が0より大きいことは、目標地形60が現況地形50よりも上方に位置することを意味する。高さの差Hd1が0より小さいことは、目標地形60が現況地形50よりも下方に位置することを意味する。高さの差Hd1が0であることは、目標地形60が現況地形50と同じ高さであることを意味する。
【0046】
図7において、θmaxは、最大ピッチ角を示す。すなわち、最大ピッチ角θmaxは、前傾方向へのピッチ角の限界値である。θminは、最小ピッチ角を示す。すなわち、最小ピッチ角θminは、後傾方向へのピッチ角の限界値である。標準ピッチ角θ0は、最大ピッチ角θmaxと最小ピッチ角θminとの間の値である。固定時には、図7の二点鎖線で示すように、目標地形60と現況地形50との高さの差に関わらず、目標ピッチ角は、標準ピッチ角θ0で一定である。
【0047】
ピッチ角データでは、高さの差が、a1以下、且つ、-b1以上であるときには、目標ピッチ角は、標準ピッチ角θ0である。従って、目標地形60が現況地形50を含む上下方向における所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26は、目標ピッチ角を標準ピッチ角θ0に設定する。所定範囲R0は、現況地形50から上方に距離a1だけ離れた位置と、現況地形50から下方に距離b1だけ離れた位置との間の範囲である。
【0048】
従って、図8に示すように、目標地形60が所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は整地作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0に設定する。
【0049】
図7に示すように、ピッチ角データでは、高さの差が、-b1より小さいときには、目標ピッチ角は、標準ピッチ角θ0よりも小さい。従って、目標地形60が所定範囲R0の下方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも後傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。
【0050】
そのため、図9に示すように、目標地形60が所定範囲R0内の下方に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は掘削作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも後傾させる。それにより、掘削抵抗が小さくなることで、掘削の作業性が向上する。
【0051】
また、ピッチ角データでは、高さの差が、-b1より小さいときには、高さの差の減少に応じて、目標ピッチ角が減少する。従って、コントローラ26は、目標地形60が所定範囲R0の下方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を後傾方向に変化させる。なお、ピッチ角データでは、高さの差が、-b2より小さいときには、目標ピッチ角は、最小ピッチ角θminで一定である。
【0052】
図7に示すように、ピッチ角データでは、高さの差が、a1より大きいときには、目標ピッチ角は、標準ピッチ角θ0よりも大きい。従って、目標地形60が所定範囲R0の上方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも前傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。
【0053】
そのため、図10に示すように、目標地形60が所定範囲R0内の上方に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は運土作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも前傾させる。それにより、ブレード18からの土こぼれが少なくなることで、運土における作業性が向上する。
【0054】
また、ピッチ角データでは、高さの差が、a1より大きいときには、高さの差の増大に応じて、目標ピッチ角が増大する。従って、コントローラ26は、目標地形60が所定範囲R0の上方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を前傾方向に変化させる。なお、ピッチ角データでは、高さの差が、a2より大きいときには、目標ピッチ角は、最大ピッチ角θmaxで一定である。
【0055】
なお、ステップS105からS106の処理は、ステップS104の処理の開始後に実行されてもよい。すなわち、コントローラ26は、目標地形60に従ってブレード18を移動させながら、自動制御によってブレード18のピッチ角を変更してもよい。或いは、ステップS105からS106の処理は、ステップS104の処理の開始前に実行されてもよい。すなわち、コントローラ26は、目標地形60に従ってブレード18を移動させる前に、自動制御によってブレード18のピッチ角を変更してもよい。
【0056】
以上説明した本実施形態に係る作業機械1では、現況地形50と目標地形60との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更される。現況地形50と目標地形60との上下方向における位置関係は、作業機械1によって実行される作業に応じて異なる。そのため、本実施形態に係る作業機械1では、作業に応じて、ブレード18のピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能である。
【0057】
次に、第2実施形態に係るピッチ角の自動制御について説明する。コントローラ26は、第2実施形態に係るピッチ角の自動制御において、刃先位置P0と現況地形50との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更されるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。図11は、第2実施形態に係る自動制御の処理を示すフローチャートである。図11においてステップS201-S204は、上述した第1実施形態のステップS101-S104と同様である。
【0058】
ステップS205において、コントローラ26は、刃先位置P0と現況地形50との高さの差を取得する。コントローラ26は、現況地形データと刃先位置P0の高さとから、刃先位置P0と現況地形50との高さの差を算出する。高さの差Hd2は、以下の式(2)で示される。
Hd2=Hp-Ha (2)
Hpは、刃先位置P0の高さである。Haは、現況地形50の高さである。従って、高さの差Hd2が0より大きいことは、刃先位置P0が現況地形50よりも上方に位置することを意味する。高さの差Hd2が0より小さいことは、刃先位置P0が現況地形50よりも下方に位置することを意味する。高さの差Hd2が0であることは、刃先位置P0が現況地形50と同じ高さであることを意味する。
【0059】
ステップS206では、コントローラ26は、目標ピッチ角を決定する。コントローラ26は、刃先位置P0と現況地形50との高さの差に基づいて、目標ピッチ角を決定する。コントローラ26は、第1実施形態と同様に、ピッチ角データを参照して、目標ピッチ角を決定する。第2実施形態では、ピッチ角データは、刃先位置P0と現況地形50との高さの差と、目標ピッチ角との関係を規定する。第2実施形態のピッチ角データは、上述した第1実施形態のピッチ角データと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0060】
ステップS207では、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角が目標ピッチ角となるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。図8と同様に、刃先位置P0が、現況地形50を含む上下方向における所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26は、目標ピッチ角を標準ピッチ角θ0に設定する。従って、刃先位置P0が所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は整地作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0に設定する。
【0061】
図9と同様に、刃先位置P0が所定範囲R0の下方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも後傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。従って、刃先位置P0が所定範囲R0内の下方に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は掘削作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも後傾させる。また、コントローラ26は、刃先位置P0が所定範囲R0の下方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を後傾方向に変化させる。
【0062】
図10と同様に、刃先位置P0が所定範囲R0の上方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも前傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。従って、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は運土作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも前傾させる。また、コントローラ26は、刃先位置P0が所定範囲R0の上方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を前傾方向に変化させる。
【0063】
なお、ステップS205からS206の処理は、ステップS204の処理の開始後に実行される。すなわち、コントローラ26は、目標地形60に従ってブレード18を移動させながら、自動制御によってブレード18のピッチ角を変更する。
【0064】
以上説明した第2実施形態に係るピッチ角の自動制御では、刃先位置P0と現況地形50との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更される。刃先位置P0と現況地形50との上下方向における位置関係は、作業機械1によって実行される作業に応じて異なる。そのため、本実施形態に係る作業機械1では、作業に応じて、ブレード18のピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能である。
【0065】
次に、第3実施形態に係るピッチ角の自動制御について説明する。コントローラ26は、第3実施形態に係るピッチ角の自動制御において、目標地形60と刃先位置P0との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更されるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。図12は、第3実施形態に係る自動制御の処理を示すフローチャートである。図12においてステップS301-S304は、上述した第1実施形態のS101-104と同様である。
【0066】
ステップS305において、コントローラ26は、目標地形60と刃先位置P0との高さの差を取得する。コントローラ26は、目標地形データと刃先位置P0の高さとから、目標地形60と刃先位置P0との高さの差を算出する。高さの差Hd3は、以下の式(3)で示される。
Hd3=Ht-Hp (3)
Htは、目標地形60の高さである。Hpは、刃先位置P0の高さである。従って、高さの差Hd3が0より大きいことは、目標地形60が刃先位置P0よりも上方に位置することを意味する。高さの差Hd3が0より小さいことは、目標地形60が刃先位置P0よりも下方に位置することを意味する。高さの差Hd3が0であることは、目標地形60が刃先位置P0と同じ高さであることを意味する。
【0067】
ステップS306では、コントローラ26は、目標ピッチ角を決定する。コントローラ26は、目標地形60と刃先位置P0との高さの差に基づいて、目標ピッチ角を決定する。コントローラ26は、第1実施形態と同様に、ピッチ角データを参照して、目標ピッチ角を決定する。第3実施形態では、ピッチ角データは、目標地形60と刃先位置P0との高さの差と、目標ピッチ角との関係を規定する。第3実施形態のピッチ角データは、上述した第1実施形態のピッチ角データと同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0068】
ステップS307では、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角が目標ピッチ角となるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。図8と同様に、目標地形60が刃先位置P0を含む上下方向における所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26は、目標ピッチ角を標準ピッチ角θ0に設定する。従って、目標地形60が所定範囲R0内に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は整地作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0に設定する。
【0069】
図9と同様に、目標地形60が所定範囲R0の下方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも後傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。従って、目標地形60が所定範囲R0内の下方に位置するときには、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は掘削作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも後傾させる。また、コントローラ26は、目標地形60が所定範囲R0の下方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を後傾方向に変化させる。
【0070】
図10と同様に、目標地形60が所定範囲R0の上方に位置するときには、コントローラ26は、ブレード18のピッチ角を標準状態よりも前傾させるように、ピッチアクチュエータ20を制御する。従って、コントローラ26が、目標地形60に従ってブレード18の刃先を移動させることで、作業機械1は運土作業を行う。このとき、コントローラ26は、ブレード18を標準ピッチ角θ0よりも前傾させる。また、コントローラ26は、目標地形60が所定範囲の上方に位置するときには、高さの差の絶対値の増大に応じて、ブレード18のピッチ角を前傾方向に変化させる。
【0071】
なお、ステップS305からS306の処理は、ステップS304の処理の開始後に実行される。すなわち、コントローラ26は、目標地形60に従ってブレード18を移動させながら、自動制御によってブレード18のピッチ角を変更する。
【0072】
以上説明した第3実施形態に係るピッチ角の自動制御では、目標地形60と刃先位置P0との上下方向における位置関係に基づいて、ブレード18のピッチ角が変更される。目標地形60と刃先位置P0の上下方向における位置関係は、作業機械1によって実行される作業に応じて異なる。そのため、本実施形態に係る作業機械1では、作業に応じて、ブレード18のピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能である。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
作業機械1は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の車両であってもよい。コントローラ26は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。複数のコントローラの一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。すなわち、作業機械1は、遠隔から制御可能であってもよい。コントローラ26による処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。上述した自動制御の処理の一部が省略されてもよい。或いは、上述した処理の一部が変更されてもよい。
【0075】
リフトアクチュエータ19と、ピッチアクチュエータ20とは、油圧シリンダに限らない。リフトアクチュエータ19と、ピッチアクチュエータ20とは、例えば電動モータなどの他のアクチュエータであってもよい。位置センサ37は、車体11に限らず、作業機械1の他の部分に配置されてもよい。例えば、位置センサ37はブレード18に配置されてもよい。
【0076】
ピッチ角データは、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ピッチ角データは、掘削作業と整地作業とにおける高さの差と目標ピッチ角との関係のみを規定してもよい。ピッチ角データは、整地作業と運土作業とにおける高さの差と目標ピッチ角との関係のみを規定してもよい。ピッチ角データは、掘削作業と運土作業とにおける高さの差と目標ピッチ角との関係のみを規定してもよい。或いは、ピッチ角データは、他の作業における高さの差と目標ピッチ角との関係を規定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、作業機械において、作業に応じて、ブレードのピッチ角を容易、且つ、適切に調整可能である。
【符号の説明】
【0078】
11 車体
17 リフトフレーム
18 ブレード
19 リフトアクチュエータ
20 ピッチアクチュエータ
26 コントローラ
33 センサ
50 現況地形
60 目標地形
P0 刃先位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12