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特開2023-64076ライブ画像およびスキャン画像を位置合せするための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064076
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】ライブ画像およびスキャン画像を位置合せするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20230428BHJP
   A61B 90/11 20160101ALI20230428BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B90/11
A61B6/03 360G
A61B6/03 360Q
A61B6/03 333A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022168244
(22)【出願日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21204572
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522411739
【氏名又は名称】エルベ ビジョン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Vision GmbH
【住所又は居所原語表記】Eisenbahnstrasse 102, 78573 Wurmlingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】シリシュ・ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】スバモイ・マンダル
(72)【発明者】
【氏名】ファイサル・カリム
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA23
4C093EE16
4C093FA35
4C093FF35
4C093FF37
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外科医が手術中にカメラで見た物体および組織を識別できる改良された装置を提供する。
【解決手段】患者12の非剛性組織構造上で医用撮像およびライブ撮像を使用し、手術中の患者12の身体の外形が撮像中の身体の外形と同一になるように手術中に患者の身体18を成形することによって、精度および信頼性を高める。処理ユニット28は、手術中に外科医の理解および向きをさらによくするために、スキャン画像(またはいくつかのスキャン画像から導出された画像またはグラフィカル表現)と、手術中に取得されたライブ画像とを正確に重ねる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体(18)上の撮像(10)および手術(34)のための装置であって、
前記患者の身体の形状に適応する患者支持デバイス(11)と、
前記支持デバイス(11)に接続され、前記支持デバイス(11)の位置および向きを示すように適合された少なくとも1つのトラッカ要素(21)と、
前記少なくとも1つのトラッカ要素(21)の位置および/または向きを示すデータ(33)を取り込むための手段と、
前記少なくとも1つのトラッカ要素(21)の前記位置に関して患者の関心領域の少なくとも1つの少なくとも2次元スキャン画像(29)を取得するように適合された医用撮像システム(13)と、
手術中の前記少なくとも1つのトラッカの位置を示すデータ(36)を取り込むための位置特定システム(35)と、
手術場所のライブ画像(42)を取得するためのライブ撮像デバイス(39)と、
前記医用撮像中およびライブ撮像中に取り込まれた前記データに従って、前記スキャン画像およびライブ画像(29、42、52)を位置合せし、混合するように適合された処理ユニット(28、28a)と、を備える、装置。
【請求項2】
前記患者支持デバイス(11)が、可動テーブル(14、14a)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記患者支持デバイス(11)が、前記患者の身体の外形の少なくとも一部のスキャンに従って少なくとも1つの要素(15)を3D印刷することによって、前記患者の身体の前記形状に適合する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記患者支持デバイス(11)が、可鍛性材料(15a)を含むか、または前記可鍛性材料からなる変形可能要素(15)を備え、前記可鍛性材料が、硬化性材料(15a)である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのトラッカ要素(21)が、前記少なくとも1つの変形可能要素(15)に直接接続される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの変形可能要素(15)が、前記患者を前記変形可能要素(15)から外して再挿入することができるように、一方の側が開いている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記支持デバイスが、前記患者の少なくとも一部を包囲する少なくとも2つの変形可能要素(15、16、17)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの変形可能要素(15、16、17)が、前記患者に対するアクセスを与えるための窓(49)を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記関心領域(41)内の前記患者の身体(18)を治療するための器具(44)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記トラッカ要素(21)が、空間内の前記支持デバイスの前記位置および前記向きを示すように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記トラッカ要素(21)が、前記位置特定システムによって位置特定可能な離間したリフレクタ要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記位置特定システムが、空間内の前記少なくとも1つのトラッカ要素(21)の前記位置および前記向きを三角法で決定するための少なくとも2つのカメラ(37、38)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ライブ撮像デバイスが、少なくとも1つのカメラ(39)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
検出システム(35)が、前記ライブ撮像デバイスの前記カメラ(39)の位置および向きを検出するために設けられる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
画像位置合せ方法であって、
患者支持デバイス(11)を患者の身体(18)の形状に適合させるステップと、
少なくとも1つのトラッカ要素(21)を前記支持デバイス(11)に接続し、前記少なくとも1つのトラッカ要素(21)の位置および/または向きを示すデータを取り込むステップと、
医用撮像システム(13)を使用して、前記トラッカ(21)の前記位置に関連する患者の関心領域(41)の少なくとも1つの少なくとも2次元スキャン画像(29)を取得するステップと、
手術中の前記トラッカの位置を示すデータ(36)を、位置特定システム(35)によって取り込むステップと、
ライブ撮像デバイス(39)によって手術場所のライブ画像(42)を取得するステップと、
前記医用撮像中およびライブ撮像中に取り込まれた前記データ(36)に従って前記スキャン画像およびライブ画像を位置合せおよび混合するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の身体に対する手術のための装置および画像記録のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9433387号明細書は、患者から頭蓋または他のスキャンを得るためのシステムを開示している。システムは、診断スキャンテーブルと、患者の身体の輪郭の一部に適合する金型と、を備える。1つの実施形態では、患者の頭部を取り囲むためのマスクが、提供される。センサが、圧力読み取り値を得るために金型またはマスク内に置かれ、圧力読み取り値は、嚥下動作などの患者の動きを示すことができる。センサの信号は、患者の動きによるスキャン中の不正確さを回避するために使用され得る。そうするために、センサは、スキャンシステムに結合される。
【0003】
さらに、米国特許出願公開第2019/0105423号明細書は、格子構造を形成する可撓性多管腔チュービングインタレースのネットワークを備える、患者の手足のための支持体を開示している。この多管腔チュービングを膨張させることにより、支持体内に置かれた肢部を固定することができる。
【0004】
V.Edward,C.Windishburgerらの、「Quantification of fMRI Artefact Reduction by a Novel Plaster Cast Head Holder」(2000年9月にオンライン公開、Wiley-Liz,Inc社)の記事は、fMRIスキャン中に患者の頭部を固定および再位置決めするための石膏鋳造ヘッドホルダを開示している。石膏鋳造ヘッドホルダは、意図しない頭部の動きの大きさを減少させ、動きアーチファクトを低減する。石膏鋳造ヘッドホルダは、完全硬化状態において硬性である可鍛性固定材料を有するヘッドマスクを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波画像検査、コンピュータ断層撮影(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)があるため、手術前に患者の身体から画像を取得するための多種多様な技術があるが、外科医は、手術中にカメラで見た物体および組織を識別することに依然として問題を抱えている可能性がある。したがって、この問題を回避し、外科医が手術中に方向付けるのを助けることが強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の装置および請求項15に記載の方法によっても解決される。
【0007】
本発明の装置は、患者の身体の形状に適応する患者支持デバイスを備える。支持デバイス全体または少なくとも患者の身体に適合された部分(複数可)は、(好ましくは術前の)医用撮像中および手術中にも使用され得る。第1の実施形態では、患者支持デバイスは、患者の身体部分の形状のスキャンに従って例えば3次元印刷(3D印刷)によって、剛体成形要素として生成され得る。形状スキャンは、任意の医用スキャンまたはライブスキャンが実行される前に実行することができ、患者の身体の少なくとも一部の外形を取得する。あるいは、患者の身体部分の形状は、例えば医用スキャンにおいて身体部分の自動皮膚セグメント化を利用して、事前に形状スキャンを実行する必要なく医用スキャンから直接得ることができる。医用スキャンから患者の身体部分の形状を直接取得することにより、形状スキャンと医用スキャンとの間の患者の身体部分の位置のさらなる変化のリスクを低減することができる。機械的スキャナ、レーザスキャナ、カメラシステム、または任意の他の適切な形状取得デバイスを、身体またはその少なくとも一部の形状をスキャンするために使用することができる。患者の体型を特徴付けるそのように取得されたデータは、医用スキャン中および手術中にも患者に適用される剛体成形要素を生成するために使用することができる。
【0008】
第2の実施形態では、患者支持デバイス自体は、術前スキャン中に患者の少なくとも一領域の輪郭を取り込み、その後この輪郭を維持するように適合される。患者支持デバイスまたはデバイスの少なくとも輪郭取り込み部は、2つの状態、すなわち身体の形状に適合することができる初期(軟質)状態と、患者の身体においてまたはその上で一旦取得された形状を維持する最終(硬化)状態とを有することができる。患者支持デバイスは、外科処置中に、医用撮像中(スキャン中)と同じ形状に患者を位置決めするために使用される。支持デバイスに接続された少なくとも1つのトラッカ要素は、支持デバイスの位置および向きを示すように適合される。言い換えれば、トラッカ要素は、3つの向き(軸X、Y、Z周りの角度方向)と組み合わせて、支持体の空間内の少なくとも1つの点の位置(X、Y、Z)を示すように適合される。あるいは、支持デバイスの空間的な位置および向きを示すために、2つ以上のトラッカ要素が設けられてもよい。
【0009】
さらに、装置は、トラッカ要素のいずれかの位置および/または向きを示すデータを取り込むための手段、例えば、カメラ、CTスキャナ、X線装置、または任意の他の装置もしくは医用撮像デバイスを備える。医用撮像デバイスは、患者の関心領域の少なくとも1つの少なくとも2次元スキャン画像を取得するように適合される。医用撮像デバイスは、少なくとも1つのトラッカ要素の位置に関連してそれらの画像を取得するように適合される。画像は、術前スキャンで、または手術中にも取得されてもよい。支持デバイスに取り付けられたトラッカは、支持デバイスと共に位置特定され得る。医用撮像デバイスは、トラッカ要素が同じ座標系に位置する座標系内でスキャン画像を生成する、処理ユニットを備えることができる。
【0010】
手術場所では、手術中のトラッカの位置(および/または向き)を示すデータを取り込むための位置特定システムが、設けられる。トラッカの位置に関するデータは、少なくとも1つの追跡カメラによって取り込むことができる。カメラは、手術場所に近接しておらず、一定の距離に保たれ得る。しかし、見通し線の視認性が確保されるべきである。
【0011】
あるいは、支持デバイスが無線周波数(RF)、光または超音波信号などの少なくとも1つの信号を発することができる能動的追跡方法が、使用されてもよい。支持デバイスの信号を受信し、手術中の支持デバイスの位置(および/または向き)を取り込む/得るために使用することができる。例えば、RFトラッカを支持デバイスに埋め込むことができる。その場合、データは、トラッカが置かれる場所から取り込まれ/送信される。
【0012】
患者は、医用撮像プロセス中に患者がいたのと同じ支持デバイスの個々に成形された部分内に置かれるため、患者の身体は、手術中、医用スキャン中にあったのと同じ形状をとる。したがって、位置特定システムによって取り込まれたデータは、患者支持デバイスの位置、したがって患者の組織構造の位置を正確に示す。形状適応支持デバイスは、ここで、患者の身体を再成形し、患者のすべての組織が医用スキャン中と同じ場所にあることを確実にする。これは、柔軟性が高く、特定の天然または人工のランドマークがない軟組織上または軟組織内での外科手術にとって特に重要である。
【0013】
処理ユニットは、スキャン画像およびライブ画像を位置合せして混合し、外科医に完璧な向きを提供することができる。特に、本発明のシステムは、以下の利点を提供する。
【0014】
1.患者の身体内に追跡マーカまたはマーキングを埋め込むための術前介入は必要ない。
【0015】
2.骨または標的構造にねじ、ピンなどを使用する必要はない。したがって、さらなる外科的処置および合併症を回避することができる。
【0016】
3.外科手術中に追加の医用撮像デバイスを使用する必要性が低減されるか、またはさらには不要である。
【0017】
4.本発明の方法およびシステムは、剛性の解剖学的構造(骨があるため)または低変形の器官に依存しない。
【0018】
本発明は、患者の輪郭または位置の変化によって引き起こされる体重の再分配による患者の胴体の輪郭の変化を回避する。したがって、本発明は、医用画像を取得し、その後に外科的処置を実行することを可能にする。外科的処置は、医用撮像中の位置とは異なる患者の位置で実行され得る。
【0019】
患者の身体の形状に適応する患者支持デバイスの中または上に患者を置くことにより、患者の体型が、支持デバイスに転写される。支持デバイスは、術前スキャン中に患者の輪郭を取り込み、維持する。支持デバイスは、鋳造材料、例えば石膏鋳物、繊維ガラス、樹脂ベースの鋳物、または他のものを含む少なくとも1つの要素を含むことができ、この材料は、患者が最初にその上またはその中に配置されたときに可鍛性である。剛性になった後、成形された支持デバイス(鋳物)は、外科処置中に患者を再位置決めしながら再利用される。少なくとも1つのトラッカ要素が、可鍛性硬化性材料を硬化させる前または後に支持デバイス上または支持デバイス内に置かれる。ねじ、基準点、ボール、ピンなどのような埋め込み要素は、トラッカとして使用することができ、患者をナビゲーションシステムに位置合せするための位置マーカとして作用する。ナビゲーションシステムは、支持デバイス内または支持デバイス上に置かれたマーカに基づいて、少なくとも1つのスキャン画像を少なくとも1つのライブ画像に位置合せするように適合された処理ユニットを含むことができる。
【0020】
患者支持デバイスは、変形可能要素が配置された可動テーブルを含むことができる。変形可能要素は、テーブルに取り外し可能に接続され得る。変形可能要素は、2つの状態、すなわち、患者の身体の形状に適合することができる初期(軟質)状態と、患者の身体でまたはその上で一旦取得された形状を維持する最終(硬化)状態と、を有することができる。そのため、変形可能要素は、患者をスキャンするために使用される1つのテーブルから手術のための別の支持体に移動することができる。少なくとも1つのトラッカ要素は変形可能要素に堅固に接続されており、変形可能要素は、患者がその中に配置された後、かつ医用スキャンが行われる前に変形可能状態から剛性状態に変換されるので、ナビゲーションシステムは、組織および器官を、医用撮像中にあったように少なくとも1つのトラッカ要素と同じ空間的関係で、手術場所内で見つける。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つの変形可能要素は、患者が変形可能および硬化可能要素から取り外され、変形可能および硬化可能要素に再挿入され得るように、一方の側が開いている。さらに、支持デバイスは、患者またはその一部の周りに置かれると、患者またはその一部を取り囲み、したがって患者またはその一部を包囲する少なくとも2つの変形可能要素を備えることができる。これは、医用撮像および手術が異なる時点、例えば異なる日に行われる場合に特に有用である。特に、手術が、剛性構造をほとんどまたは全く有さない身体部分に対して行われるものである場合、患者の形状をとり、この形状に硬化させた後の適応患者支持デバイスは、患者の身体を再成形し、患者がデバイスに再び入る場合に、柔軟な組織および器官が以前の撮像ステップと同じ位置をとることを保護する。
【0022】
本発明の装置は、関心領域内の患者の身体を治療するための器具を含むことができる。器具は、任意の種類のRF外科用、凍結外科用、プラズマ外科用または任意の他の器具であってもよい。特に、器具は、ライブ撮像デバイスの視野内に置かれるように適合される。ライブ撮像デバイスは、器具の一部、トロカールに挿入された別個のカメラ、または患者の身体、身体上、または身体内に置かれた別個のカメラであってもよい。
【0023】
トラッカシステムは、装置の手術場所に置かれ、空間内の少なくとも1つのトラッカ要素の位置(および必要に応じて向き)を三角法で決定するための少なくとも2つのカメラまたは他の位置検出器を備える。さらに、撮像システムは、カメラの位置および向きを検出するように適合された検出システムに接続された少なくとも1つのトラッカ要素または任意の他のセンサを備えることができる。検出システムは、それに応じてライブ画像およびスキャン画像を位置合せすることができる処理ユニットに接続することができる。
【0024】
さらに、処理ユニットは、組織構造のグラフィック表現を生成するための構造検出ユニットを備えることができ、このグラフィック表現は、医用画像から取得することができる。グラフィック表現は、外科医が他の領域または組織と区別する領域または組織を示すように適合された線、記号、着色領域またはその他のものであってもよい。これらのグラフィック構造は、ライブ画像に混合することができ、それによって、外科医が関心領域内で治療される構造を見つけるのを助ける。
【0025】
さらなる詳細および特徴は、図面、明細書および特許請求の範囲にも見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】患者が置かれた患者支持デバイスおよび医用撮像デバイスの概略図である。
図2】患者支持デバイスおよびその上に置かれた患者の断面図である。
図3】医用撮像デバイスによって提供されるスキャン画像の概略図である。
図4】手術中に患者を位置特定するための位置特定システムを含む、本発明の装置の手術場所で患者支持デバイス上に配置された図1による患者の図である。
図5】外科医に提供されるスキャン画像、ライブ画像、および混合画像を示す図である。
図6】ライブ画像を取得するためのカメラの概略図である。
図7】スキャン画像、スキャン画像から得られた患者の組織構造のボリュームモデル、および組織構造の空間表現に位置合せされたライブ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、医用撮像システム13に対して患者12を所望の位置に位置決めするための支持デバイス11を備える、医用撮像のための装置10を示す。支持デバイス11は、テーブル14と、その上に置かれた少なくとも1つの変形可能要素15とからなることができる。テーブル14、変形可能要素15から17、および身体18の断面図を示す図2から分かるように、さらなる変形可能要素16および17が、患者12の身体18の周りに置かれてもよい。
【0028】
変形可能要素15から17は、プラスター鋳物、繊維ガラス、強化石膏鋳物、樹脂ベース鋳物などがあるため、可鍛性の耐久性のある材料で満たされたクッションであってもよい。あるいは、可鍛性材料は、患者の皮膚上または皮膚上に置かれた布に直接置かれてもよい。変形可能要素15は、患者12の身体18とテーブル14との間に置かれてもよく、要素16および17は、患者12上に置かれ、例えば壁19、20間に保持されてもよい。変形可能要素15から17の少なくとも1つおよび/または壁19の少なくとも1つは、トラッカ要素21、22、23に堅固に接続され、トラッカ要素は、この場合、互いに既知の距離でツリー24の端部に固定されたボールである。ボール21から23は、撮像システム13または撮像システム13に割り当てられた特定のカメラによって視認可能な光反射または光吸収ボールであってもよい。この場合、患者12の位置および向きを明確に示すために、3つの追跡要素が設けられる。しかし、ツリーの端部に置かれた3つのボール21、22、23は、患者12の位置および向きをかなり良好に示すが、少なくとも3つの異なるボールを変形可能要素15、16、または17の異なる位置に互いに独立して置くことも可能である。トラッカ要素21、22、23が光学的に検出される場合、これらは変形可能要素15から17の視認側に置かれる。
【0029】
さらに、トラッカ要素として、例えば、支持体14または変形可能要素15、16、および17の少なくとも1つに堅固に接続された1つの立方体など、1つだけのアイテムを使用することが可能である。
【0030】
撮像システム13は、図1に示すようなMRIシステムまたはCTシステムがあるため、術前医用スキャンを取得するための任意のタイプの医用撮像システムとすることができる。CTシステムは、X線源と、X線源からX線を受け取り、図3に示すようなスキャン画像29(29a~29z)を生成する処理ユニット28にデータを送出するように適合されたX線検出器と、を備えることができる。処理ユニット28は、X線検出器27によって供給される信号を処理するように適合された任意のタイプのコンピュータであってもよい。処理ユニット28は、スキャン画像29を内部に記憶するための記憶装置30に接続される。代替的または追加的に、術中スキャン装置、例えば、Cアームシステム、超音波撮像装置、または手術中に医用スキャン画像を提供するのに適した任意の他のシステムが、提供されてもよい。
【0031】
医用撮像システム13は、撮像システムの動作中、すなわち患者の身体18のスキャン中に、追跡要素21、22、23の位置を示すデータ33を取り込むための手段としてさらに使用することができる。あるいは、追跡要素21、22、23を検出して位置確認し、画像29を追跡要素21、22、23に対する空間的関係にするために、別個の位置特定システムが設けられてもよい。
【0032】
本発明の装置10の一部は、図4に示す手術場所34である。患者12は、ここでも、図1に示す撮像場所のテーブル14と同一であり得るテーブル14a上に置かれる。しかし、典型的には、テーブル14aは、通常の手術室で典型的に使用されるものとは異なるテーブルである。テーブル14、14aが同一であるか否かにかかわらず、いずれの場合も、変形可能要素15から17は、図2に示すときの医用撮像中と同じ形状で患者の身体18を提示するために使用される。さらに、追跡要素21、22、23は、撮像中および手術中にも患者の身体18に対して同じ位置にある。
【0033】
手術場所34には、記憶装置30に接続された処理ユニット28aに供給されるデータ36を取り込むために、位置特定システム35が、設けられている。処理ユニット28aは、図1の処理ユニット28と同一であってもよく、あるいは異なる処理ユニットであってもよい。処理ユニット28aは、位置特定システム35からデータを受け取り、トラッカ要素21、22、23の位置および向き、したがって患者12の身体18の位置および向きを決定するように適合された任意のタイプのコンピュータまたはプロセッサであってもよい。位置特定システム35は、追跡要素21、22、23がカメラ37、38の視野内にあるように向けられた少なくとも2つのカメラ37、38を備えることができる。処理ユニット28または28aは、テーブル14aが静止したままである場合、手術が開始する前に一度三角測量によってトラッカ要素21、22、23を位置確認するように適合される。テーブル14aが動かされる場合、位置特定システム35は、患者12の身体18の位置特定および向きの決定を繰り返すことができる。あるいは、位置特定は、位置特定システム35によって恒久的に行われてもよい。
【0034】
装置の一部は、図4および図6に別々に示しようにライブ画像を取得するための別のカメラ39である。カメラ39の視野40は、手術が行われる予定の患者の身体18の関心領域41である。図5は、視野40によってカバーされる関心領域41を示す。カメラ39は、腹腔鏡カメラ、内視鏡カメラ、または関心領域40のライブ画像42を生成するのに適し、適合された任意の他のタイプのカメラであってもよい。
【0035】
ライブ画像42は、図4に示すように、処理ユニット28または28aに供給され得る。処理ユニット28aは、図5の右上の図に示されている任意のライブ画像42を処理することができる。ライブ画像42は、実際の組織構造43と、器具44の先端と、を含むことができる。
【0036】
器具44および/またはカメラ39の位置および向きを検出するために、任意のタイプの位置特定システムが使用されてもよい。位置特定システム35は、カメラ39に接続され、カメラ37、38によって見えるトラッカ構造45を含むことができる。トラッカ構造は、少なくとも1つのトラッカ要素、例えば、トラッカ要素21、22、23と同様に、図6に示すような3つのトラッカ要素46、47、48を含むことができる。他のタイプの追跡システムが、使用されてもよい。
【0037】
これまでに説明した装置10は、以下のように動作する。
【0038】
手術前に、患者12は、テーブル14にある支持デバイス11上に置かれ、このとき変形可能要素15は、図2に示すように身体18によって成形されている。所望または必要に応じて、1つまたは2つのさらなる変形可能要素16、17が患者の身体18の周りに置かれ、それにより、変形可能要素15、16、17は、患者の身体18の反対の形状をとり、身体18の周りに密接に適合するようになる。変形可能要素15、16、17は、経時的に、例えば数分または数十分以内に凝固する可鍛性材料で充填または形成される。硬化後、すなわち凝固後、撮像システム13は、スキャン画像29a~29zを取得することができ、これらの画像は処理ユニット28によって記憶装置30に記憶される。その後、患者12は、支持デバイス11を離れて手術の準備をすることができ、手術は短時間内に、時には数時間または数日後に行われ得る。
【0039】
手術のために、患者12は、一旦変形可能であり、このときは剛性である要素15から17が図2に示すように身体18の周りに置かれた状態で患者の身体18をテーブル14aに置くことによって、図4に示すように支持デバイス11に再び入る。外科医は、窓49を介して身体18にアクセスできるように、要素15、16、17のうちの1つまたは複数に窓49を切り開く。窓49はまた、患者が変形可能要素に置かれる前に、計画された手術に合わせて支持デバイス内、特に変形可能要素15、16、17内に設けられてもよい。あるいは、窓49は、医用術前スキャンと手術との間で変形可能要素15、16、17内に切断されてもよい。このプロセスは、動作の計画の一部であり得る。
【0040】
手術の開始時または開始前に、追跡要素21、22、23の位置を取り込む位置特定システム35が、起動される。そのため、処理ユニット28aは、図7に示すように、患者の身体18の位置をスキャン画像29a~29zに位置合せすることができる。さらに、処理ユニット28aまたは処理ユニット28は、患者の身体の少なくとも一部、例えば関心領域41のボリュームモデル50を生成することができる。
【0041】
カメラ39の位置および向きを決定するための位置特定システム35または任意の他の追跡システムは、データを連続的に生成し、このデータから、処理ユニット28aは、カメラ39の視野40の場所および向き、したがってライブ画像42の場所およびライブ画像の視線方向を決定する。図7に示すように、ライブ画像42は、スキャン画像29a~29zとは異なる方法でボリュームモデル50を交差させることができる。しかし、処理ユニット28aは、少なくとも関心領域41の図5の左上の図に示すようなボリュームモデル50の合成画像を生成することができる。そのために、処理ユニットは、ライブ画像と同じ平面内でボリュームモデル50を交差させることができる。
【0042】
次いで、処理ユニット28aは、ライブ画像42(図5の右上の図)を、ライブ画像42と同じ場所で同じ向きでボリュームモデル50と交差させることによって導出されたボリュームモデル図と合体させ、または混合する。図5は、カメラ39によって見られる組織構造43と、撮像によって見出され、器具44によって治療される特定の組織構造52との混合された画像51を示す。
【0043】
さらに、処理ユニット28または28aは、代替的または追加的に、組織構造のグラフィック表現52を生成し、それらのグラフィック表現をライブ画像に混合することができる。スキャン画像29、ボリュームモデル50と交差することによって得られる画像、およびスキャン画像の少なくとも1つから、またはボリュームモデル50から得られたグラフィック表現52のいずれも、請求項1に記載の「ライブ画像」と混合するためのスキャン画像であると考えられる。装置10は、混合された画像を再生するための画像ディスプレイ53をさらに備える。ディスプレイ53は、スクリーン、仮想現実ヘッドセット、または混合された画像を表示するための任意の他の手段であってもよい。
【0044】
本発明のシステムは、患者の非剛性組織構造上で医用撮像およびライブ撮像を使用し、手術中の患者の身体の外形が撮像中の身体の外形と同一になるように手術中に患者の身体18を成形することによって、精度および信頼性を高める。処理ユニット28または28aは、手術中に外科医の理解および向きをさらに良くするために、スキャン画像(またはいくつかのスキャン画像から導出された画像またはグラフィカル表現)と、手術中に取得されたライブ画像とを正確に重ねる。
【符号の説明】
【0045】
10 医用撮像用の装置
11 支持デバイス
12 患者
13 撮像システム
14,14a テーブル
15~17 変形可能要素
15a~17a 可鍛性/硬化性材料
18 患者の身体
19,20 壁
21~23 トラッカ要素
24 ツリー
28,28a 処理ユニット
29 スキャン画像
30 記憶部
33 データを取り込むための手段
34 手術場所
35 位置特定システム
36 データ
37,38 カメラ
39 カメラ
40 カメラ39の視野
41 関心領域
42 ライブ画像
43 組織構造
44 器具
45 トラッカ構造
46~48 トラッカ要素
49 窓
50 ボリュームモデル
51 混合画像
52 組織構造
53 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】
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