(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064088
(43)【公開日】2023-05-10
(54)【発明の名称】クロスプリプレグ、成形品およびクロスプリプレグの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 15/10 20060101AFI20230428BHJP
D06M 15/55 20060101ALI20230428BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20230428BHJP
D03D 15/275 20210101ALI20230428BHJP
B29K 105/10 20060101ALN20230428BHJP
D06M 101/40 20060101ALN20230428BHJP
【FI】
B29B15/10
D06M15/55
D03D1/00 A
D03D15/275
B29K105:10
D06M101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169743
(22)【出願日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2021173632
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智則
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 直也
【テーマコード(参考)】
4F072
4L033
4L048
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB10
4F072AB28
4F072AD08
4F072AD27
4F072AD28
4F072AE01
4F072AE04
4F072AF30
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4F072AG03
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4F072AK02
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4F072AL02
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4L033AA09
4L033AB05
4L033AC11
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4L033CA49
4L048AA05
4L048AA34
4L048AA48
4L048AA51
4L048AB07
4L048AB11
4L048AC09
4L048AC12
4L048BA01
4L048CA00
4L048CA01
4L048DA24
4L048DA41
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】クロスプリプレグにおいて、独立したホットメルト方式での樹脂含浸工程を用いても、樹脂含浸時に発生する目曲がりを抑制し、ピンホールと目曲がりが少なく、外観品位に優れたプリプレグを提供することである。
【解決手段】下記[A]~[C]を満たし、強化繊維織物に熱硬化性マトリックス樹脂が含浸されてなるクロスプリプレグ。
[A]強化繊維織物の繊維目付が70~400g/m
2
[B]強化繊維織物を構成する緯糸の長手方向において100mm間隔毎に測定した目曲がり量の最大値が7.0mm以下であり、かつ前記目曲がり量の90%以上が5.0mm以下
[C]ウォーターピックアップ法で測定したクロスプリプレグへの前記マトリックス樹脂の含浸率が97.0質量%以上
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記[A]~[C]を満たし、強化繊維織物に熱硬化性マトリックス樹脂が含浸されてなるクロスプリプレグ。
[A]強化繊維織物の繊維目付が70~400g/m2
[B]強化繊維織物を構成する緯糸の長手方向において100mm間隔毎に測定した目曲がり量の最大値が7.0mm以下であり、かつ前記目曲がり量の90%以上が5.0mm以下
[C]ウォーターピックアップ法で測定したクロスプリプレグへの前記マトリックス樹脂の含浸率が97.0質量%以上
【請求項2】
前記強化繊維織物に使用する繊維の繊度が、0.400g/m以下である、請求項1に記載のクロスプリプレグ。
【請求項3】
クロスプリプレグ中の前記マトリックス樹脂の含有率が、30~50質量%である、請求項1に記載のクロスプリプレグ。
【請求項4】
前記マトリックス樹脂の100℃における粘度が1~10Pa・sである、請求項1に記載のクロスプリプレグ。
【請求項5】
前記強化繊維織物に用いられる繊維が炭素繊維であって、2軸もしくは3軸の織組織からなる、請求項1に記載のクロスプリプレグ。
【請求項6】
前記マトリックス樹脂がエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のクロスプリプレグ。
【請求項7】
請求項1に記載のクロスプリプレグの製造方法。
【請求項8】
ホットメルト方式で製造する、請求項7に記載のクロスプリプレグの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のクロスプリプレグから成形して得られる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用途、航空宇宙用途、一般産業用途にて使用されるプリプレグに関し、特に外観品位が良好な繊維強化複合材料を提供することができる、炭素繊維を二方向に配したクロスを用いたプリプレグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材料は、軽量かつ高強度、高剛性であるため、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途、自動車や航空機等の産業用途などの幅広い分野で用いられている。なかでも、強度の観点から強化繊維に熱硬化性や熱可塑性の樹脂を含浸させた中間材料であるプリプレグが好適に用いられる。また、近年では、繊維強化複合材料表面に現れる織模様を利用した意匠性材料として、クロスプリプレグの需要が高まっている。
【0003】
しかしクロスプリプレグから得られる繊維強化複合材料は、繊維強化複合材料の表面にピンホールと呼ばれる欠陥が発生しがちで、平滑な表面を得るためには、繊維強化複合材料表面の補修が必要になる。また、強化繊維織物へ樹脂を含浸してクロスプリプレグを製造する際、繊維の斜行や弧形により生じる目曲がりが発生しがちで、強化繊維織物が有している織模様のパターン性が損なわれることから、クロスプリプレグから得られる繊維強化複合材料の外観品位の改善が望まれている。
【0004】
特許文献1には、強化繊維織物への樹脂の含浸性を高めることで空隙率を減少させ、クロスプリプレグに内在する気体により発生する繊維強化複合材料中のボイドやピンホールを減少させるとともに、クロスプリプレグの目隙を小さくすることでクロスプリプレグに内在する気体の流動性を阻害し、繊維強化複合材料のピンホールを抑制できるクロスプリプレグが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、製織に引き続いてホットメルト方式により樹脂を連続して含浸させることで目曲がりを抑制できるプリプレグの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-178089号公報
【特許文献2】特開2009-19313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のクロスプリプレグを用いることで、繊維強化複合材料表面のピンホールを抑制することはできるが、目曲がりを制御していないため、得られる繊維強化複合材料の外観品位が十分とはいえなかった。
【0008】
また、特許文献2のように製織工程からホットメルト方式での樹脂含浸工程までを連続した製造方法を用いることで、得られるクロスプリプレグの目曲がりは抑制できる。しかし、そのクロスプリプレグから繊維強化複合材料を得る工程で、ロール状に巻きあげられたクロスプリプレグを任意の長さに切断した際に、経糸に付与された張力が維持されるとプリプレグが反るため、積層した際にプリプレグの間に空気が多く残ったり、あるいは経糸に付与された張力が弛緩した場合は、得られる繊維強化複合材料に目曲がりが発生したりするため、繊維強化複合材料の外観品位が十分とはいえなかった。
【0009】
本発明は上記課題を解決するものであり、具体的にはピンホールと目曲がりが少なく外観品位が良好な繊維強化複合材料を与えるプリプレグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。
(1)下記[A]~[C]を満たし、強化繊維織物に熱硬化性マトリックス樹脂が含浸されてなるクロスプリプレグ。
[A]強化繊維織物の繊維目付が70~400g/m2
[B]強化繊維織物を構成する緯糸の長手方向において100mm間隔毎に測定した目曲がり量の最大値が7.0mm以下であり、かつ前記目曲がり量の90%以上が5.0mm以下
[C]ウォーターピックアップ法で測定したクロスプリプレグへの前記マトリックス樹脂の含浸率が97.0質量%以上
(2)前記(1)のクロスプリプレグの製造方法。
(3)前記(1)のクロスプリプレグから成形して得られる成形品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外観品位に優れた繊維強化複合材料を与えるプリプレグが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】強化繊維織物の模式図であって、目曲がり量の測定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0014】
本発明は、強化繊維織物にマトリックス樹脂を含浸したクロスプリプレグに関する。
【0015】
本発明の強化繊維織物に用いられる強化繊維は、特に限定されるものではなく、ガラス繊維やピッチ系、ポリアクリロニトリル系などの炭素繊維を用いることができ、これらの繊維を1種のみ用いても、2種以上混合して用いても構わない。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維が好ましく、引張強度が高いクロスプリプレグが得られやすいポリアクリロニトリル系炭素繊維を用いることがより好ましい。
【0016】
本発明の強化繊維織物とは、一方向に配向している主たる各繊維束(以下、経糸という)に対して経糸と異なる角度で1本以上の繊維束(以下、緯糸という)を織り込んだものである。かかる強化繊維織物としては、特に限定されるものではなく、平織り、綾織り、繻子織り等の2軸の強化繊維織物のほか、3軸以上の強化繊維織物を用いることができる。
【0017】
強化繊維の直径、すなわち繊維径としては、通常4~15μmのものが用いられるが、本発明では繊維径が6~15μmの繊維、特に炭素繊維を用いることを主に想定しており、さらに好ましくは繊維径が6.5~15μmのものである。上限としては、10μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。上記範囲の繊維径を有する炭素繊維は、本発明に好適に用いられる。また、緯糸に上記繊維を用いることを想定しており、この場合、定められた繊維目付の織物とするときの打ち込み本数が限られることから、わずかに繊維径が増加するのみでも、十分な繊維を用いて強い拘束力を得て、目曲がりを防ぐことが難しくなることがある。また、炭素繊維を用いる場合、構造が剛直であることから、いったん発生した目曲がりが解消し難いことが考えられる。
【0018】
そこで、本発明のクロスプリプレグは、繊維目付が70~400g/m2であることが必要であり、90~200g/m2であることが好ましい。繊維目付を70g/m2とすることにより、ある程度の径の繊維径を有し、また、炭素繊維のように、構造が比較的剛直である繊維を用いる場合であっても、繊維の目曲がりの低減を図ることが可能となる。また、繊維目付を400g/m2以下とすることにより、賦型性が良いため目曲がりを起こしにくく機械的特性に優れたクロスプリプレグが得られる。
【0019】
クロスプリプレグでは、経糸方向とは異なる方向に配向している緯糸の目曲がり量を低減することが望ましいが、本発明では、その長手方向における100mm間隔毎の目曲がり量に着目して測定点を設けており、その最大値および測定点における90%以上の目曲がり量を規定する。ここで、緯糸の目曲がり量の規定を行う理由として、経糸に比べ、変位しやすいことが挙げられる。クロスプリプレグ製織の際、通常、経糸は常に張力が付与された状態で巻き上げられることに加え、長さも反物長さと同じ長い状態なので、ある程度拘束されて変位量が少ない。これに比較して、緯糸は通常、経糸の間を縫って通され、筬打ちを終えた後にカットされるため、反物の幅ほどの長さしかなく、これに張力を付与し続けられないが、拘束力が弱く、変位しやすい。したがい、緯糸の目曲がり量を小単位で規定することに意義がある。すなわち、本発明に係るクロスプリプレグでは、織物を構成する全ての緯糸について、かかる目曲がり量の最大値が7.0mm以下であり、かつかかる目曲がり量の90%以上が5.0mm以下である必要があり、好ましくはかかる目曲がり量の90%以上が3.0mm以下であり、より好ましくは、1.0mm以下である。かかる目曲がり量の最大値を7.0mm以下、かつかかる目曲がり量の90%以上を5.0mm以下とすることにより、強化繊維織物の織組織が織り成す意匠を損なわない成形体を得られ易い。なお、かかる緯糸の長手方向における100mm間隔毎の目曲がり量は、以下のようにして求める。
図1に示す強化繊維織物のプリプレグにおいて、2軸の強化繊維織物の場合は、端部の目止め糸の長手方向に対して直交する基準線Cを仮定する。3軸以上の強化繊維織物の場合は、目止め糸の長手方向に対して緯糸の打ち込み角度をなす基準線Cを仮定する。次に、上記目止め糸と任意の緯糸Dが交わる位置αを測定点(1)(すなわち基準線Cからの目曲がり量0mm)として、基準線Cの方向に100mm間隔ごとに測定点とする(
図1でいえば、測定点=α、β、γ・・・δ、ε)。測定点ごとに基準線Cと任意の緯糸Dとの距離Tを測定し、それらをそれぞれTα(=0mm)、Tβ、Tγ・・・Tδ、Tεとすると、隣り合う測定点との相対距離(すなわち、Tβ、|Tγ-Tβ|、|Tε-Tδ|)が目曲がり量である。
【0020】
かかるクロスプリプレグの目曲がり量の最大値を低減する方法として、クロスプリプレグに使用するマトリックス樹脂の粘度を下げる方法があり、実施例に例示される。また、強化繊維織物にマトリックス樹脂を含浸させる際の温度、圧力および速度のうちいずれかの要素、もしくは2つ以上の要素を下げることも有効な方法である。なお、マトリックス樹脂を含浸させる際の温度については、50℃から150℃の範囲で調整することが好ましい。かかる範囲内で温度を調整することで、マトリックス樹脂の粘度を調整できることから、マトリックス樹脂の流動に伴って発生する目曲がり量を低減させたクロスプリプレグを得られ易い。マトリックス樹脂を含浸させる際の圧力については線圧で1N/mから100N/mの範囲で調整することが好ましく、マトリックス樹脂を含浸させる速度については、プレスロールを用いて樹脂を含浸する場合は、その回転速度を2m/minから30m/minの範囲で調整することが好ましい。圧力および速度を上記範囲内で調整することで、マトリックス樹脂の流動や、強化繊維織物へマトリックス樹脂を含浸させる際に発生する抵抗を緩和させられ、目曲がり量を低減させたクロスプリプレグを得られ易い。
【0021】
本発明のクロスプリプレグは、ウォーターピックアップ法で測定したマトリックス樹脂の含浸率(以下、単に「含浸率」ということがある。)が、97.0質量%以上であることが必要である。かかる含浸率が97.0質量%以上であれば、強化繊維織物へのマトリックス樹脂の含浸が十分で、ピンホールの少ない繊維強化複合材料が得られ易い。なお、本発明で言う上記含浸率とは、強化繊維の経糸を90゜とする方向に、端部目止め糸を起点に200mm間隔毎に区切り、当該区切った範囲のうち100mm×100mmの正方に切断したクロスプリプレグのサンプルを得る(1000m幅のクロスプリプレグであれば5つのサンプルを取得)。当該サンプルの質量W1をあらかじめ測定し、クロスプリプレグの経糸方向を鉛直方向に配置し、端部から5mmの範囲(すなわち100mm×5mm)を、上方から静置した水に5分間浸漬し、得られたクロスプリプレグの表面に付着した水分をウェス等でふき取った後の質量W2を測定し、(W2-W1)から求められる水分増加量をW1で除した値を1から引いた値を百分率で表した値である。
【0022】
かかる含浸率を向上する方法として、上記同様、マトリックス樹脂の粘度を下げる方法が有効である。また、強化繊維織物にマトリックス樹脂を含浸させる際のプレスロールの回転速度を下げることによって、達成しやすくなる。一方、温度、圧力については、高い方が好ましい。すなわち、目曲がり量と含浸率の両方に配慮して、上記温度と圧力を調整することが望ましい。
【0023】
本発明のクロスプリプレグに使用する強化繊維織物を構成する繊維の繊度は、0.400g/m以下であることが好ましく、0.200g/m以下であればより好ましく、0.100g/m以下であればさらに好ましい。繊度を0.400g/m以下とすることにより、強化繊維織物が有する繊維が交差している部分の厚みが低減されることから、緯糸の目曲がり量が抑制される傾向にある。このため、強化繊維織物が含む空気も低減され、ボイドやピンホールの発生が低減される傾向にある。また、繊度を0.200g/m以下とすることで賦型性にも優れたプリプレグを得られ易い。
【0024】
本発明のクロスプリプレグにおいて、マトリックス樹脂の質量含有率は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であればより好ましい。マトリックス樹脂の質量含有率を30質量%以上とすることにより、上記した含浸率を達成することが容易となり、また、クロスプリプレグ表面にマトリックス樹脂の層が残りやすくなり、得られる繊維強化複合材料表面に樹脂硬化物が均一に存在しやすくなるため、表面品位に優れる繊維強化複合材料が得られやすい。一方で、上記質量含有率は、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。上記質量含有率を50質量%以下とすることにより、ホットメルト方式にてクロスプリプレグを製造する際に、マトリックス樹脂のはみ出し量を抑えられるため、安定した目付を有し、力学特性が優れたクロスプリプレグが得られやすい。
【0025】
本発明のクロスプリプレグに用いられるマトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂であり、かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂および熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられ、これらの変性体および2種類以上ブレンドした樹脂なども用いることができる。また、これらの熱硬化性樹脂は、加熱により自己硬化するものであっても良いし、硬化剤や硬化促進剤などを配合するものであっても良い。
【0026】
エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではなく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などの中から1種以上を選択して用いることができる。
【0027】
ここで、ビスフェノール型エポキシ樹脂とは、ビスフェノール化合物の2つのフェノール性水酸基がグリシジル化されたものであり、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、もしくはこれらビスフェノールのハロゲン、アルキル置換体、水添品等が挙げられる。また、単量体に限らず、複数の繰り返し単位を有する高分子量体も好適に使用することができる。
【0028】
かかるビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、828、834、1001、1002、1003、1003F、1004、1004AF、1005F、1006FS、1007、1007FS、1009、1010(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、ST4000D、ST6100D(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)などが挙げられる。
【0029】
前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、807、4005P、4007P、4010P(以上、三菱ケミカル(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF2001、YDF2004(以上、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)などが挙げられる。テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、YSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)などが挙げられる。
【0030】
中でも、弾性率、靭性と耐熱性のバランスが良いことから、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0031】
かかるアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシリレンジアミンや、これらのハロゲン、アルキノール置換体、水添品などが挙げられる。
【0032】
かかるテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM434(住友化学(株)製)、YH434L(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱ケミカル(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY720、MY721(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。トリグリシジルアミノフェノールまたはトリグリシジルアミノクレゾールとしては、“スミエポキシ(登録商標)”ELM100、ELM120(以上、住友化学(株)製)、“アラルダイド(登録商標)”MY0500、MY0510、MY0600(以上、ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびその水素添加品として、TETRAD-X、TETRAD-C(以上、三菱ガス化学(株)製)などが挙げられる。
【0033】
かかるフェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”152、154(以上、三菱ケミカル(株)製)、“エピクロン(登録商標)”N-740、N-770、N-775(以上、DIC(株)製)などが挙げられる。
【0034】
かかるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N-660、N-665、N-670、N-673、N-695(以上、DIC(株)製)、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-104S(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0035】
かかるレゾルシノール型エポキシ樹脂の具体例としては、“デナコール(登録商標)”EX-201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
【0036】
かかるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン(登録商標)”HP-7200、HP-7200L、HP-7200H、HP-7200HH、HP-7200HHH(以上、DIC(株)製)、“Tactix(登録商標)”558(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル(株)製)、XD-1000-1L、XD-1000-2L(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0037】
かかるビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”YX4000H、YX4000(以上、三菱ケミカル(株)製)、NC-3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0038】
かかるイソシアネート変性エポキシ樹脂の市販品としては、オキサゾリドン環を有するXAC4151、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)やACR1348((株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0039】
かかるテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂の市販品としては、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン型エポキシ樹脂である“jER(登録商標)”1031(三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
【0040】
かかるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品としては、“タクチックス(登録商標)”742(ハンツマン・アドバンズド・マテリアルズ(株)製)などが挙げられる。
【0041】
不飽和ポリエステル樹脂としては、α,β-不飽和ジカルボン酸を含む酸成分とアルコールとを反応させて得られる不飽和ポリエステルを、重合性不飽和単量体に溶解したものが挙げられる。α,β-不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等及びこれらの酸無水物等の誘導体等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。また、必要に応じてα,β-不飽和ジカルボン酸以外の酸成分としてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等の飽和ジカルボン酸及びこれらの酸無水物等の誘導体をα,β-不飽和ジカルボン酸と併用してもよい。アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール等の脂肪族グリコール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド(1~100モル)付加物、キシレングリコール等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。不飽和ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略す。)付加物との縮合物、フマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略す。)付加物との縮合物及びフマル酸又はマレイン酸とビスフェノールAのEO及びPO付加物(EO及びPOの付加は、ランダムでもブロックでもよい)との縮合物等が含まれ、これらの縮合物は必要に応じてスチレン等のモノマーに溶解したものでもよい。不飽和ポリエステル樹脂の市販品としては、“ユピカ(登録商標)”(日本ユピカ(株)製)、“リゴラック(登録商標)”(昭和電工(株)製)、“ポリセット(登録商標)”(日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0042】
ビニルエステル樹脂としては、前記エポキシ樹脂とα,β-不飽和モノカルボン酸とをエステル化させることで得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。α,β-不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、チグリン酸及び桂皮酸等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。ビニルエステル樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(メタ)アクリレート変性物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基と(メタ)アクリル酸のカルボキシル基とが反応して得られる末端(メタ)アクリレート変性樹脂等)等が含まれ、これらの変性物は必要に応じてスチレン等のモノマーに溶解したものでもよい。ビニルエステル樹脂の市販品としては、“ディックライト(登録商標)”(DIC(株)製)、“ネオポール(登録商標)”(日本ユピカ(株)製)、“リポキシ(登録商標)”(昭和高分子(株)製)等が挙げられる。
【0043】
ベンゾオキサジン樹脂としては、o-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、m-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、p-クレゾールアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-メチルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-シクロヘキシルアミン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-m-トルイジン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-3,5-ジメチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-アミン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールS-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルスルホン-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾフェノン型ベンゾオキサジン樹脂、ビフェニル型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールAF-アニリン型ベンゾオキサジン樹脂、ビスフェノールA-メチルアニリン型ベンゾオキサジン樹脂、フェノール-ジアミノジフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、トリフェニルメタン型ベンゾオキサジン樹脂、およびフェノールフタレイン型ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。ベンゾオキサジン樹脂の市販品としては、BF-BXZ、BS-BXZ、BA-BXZ(以上、小西化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0044】
フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、t-ブチルフェノール、ノニルフェノール、カシュー油、リグニン、レゾルシン及びカテコール等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びフルフラール等のアルデヒド類との縮合により得られる樹脂が挙げられ、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等が挙げられる。ノボラック樹脂は、シュウ酸等の酸触媒存在下で、フェノールとホルムアルデヒドとを同量又はフェノール過剰の条件で反応させることで得られる。レゾール樹脂は、水酸化ナトリウム、アンモニア又は有機アミン等の塩基触媒の存在下で、フェノールとホルムアルデヒドとを同量又はホルムアルデヒド過剰の条件で反応させることにより得られる。フェノール樹脂の市販品としては、“スミライトレジン(登録商標)”(住友ベークライト(株)製)、レヂトップ(群栄化学工業(株)製)、“AVライト(登録商標)”(旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
【0045】
尿素樹脂としては、尿素とホルムアルデヒドとの縮合によって得られる樹脂が挙げられる。尿素樹脂の市販品としては、UA-144((株)サンベーク製)等が挙げられる。
【0046】
メラミン樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合により得られる樹脂が挙げられる。メラミン樹脂の市販品としては、“ニカラック(登録商標)”((株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
【0047】
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、少なくとも主構造にイミド環を含み、かつ末端又は主鎖内にフェニルエチニル基、ナジイミド基、マレイミド基、アセチレン基等から選ばれるいずれか一つ以上を含む樹脂が挙げられる。ポリイミド樹脂の市販品としては、PETI-330(宇部興産(株)製)等が挙げられる。
【0048】
これらの熱硬化性樹脂の中でも、耐熱性、力学特性および炭素繊維との接着性のバランスに優れていることから、エポキシ樹脂を含むものが好ましく、エポキシ樹脂と硬化剤および/または硬化促進剤から構成されるマトリックス樹脂が好ましく用いられる。
【0049】
かかる硬化剤としては、特に限定されるものではないが、芳香族アミンや脂環式アミンなどのアミン、フェノール樹脂、ジシアンジアミドまたはその誘導体、酸無水物、ポリアミノアミド、有機酸ヒドラジド、イソシアネートを用いてもよい。
【0050】
かかる芳香族アミンとしては、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
かかるフェノール樹脂としては、上記フェノール樹脂で例示されたものを任意に用いることができる。
【0051】
これらの中でも、耐熱性に優れることから芳香族アミンやフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、耐熱性、保存安定性、力学特性のバランスに優れていることからより好ましくはジアミノジフェニルスルホンを用いることである。
【0052】
また、かかる硬化剤の総量は、全エポキシ樹脂成分のエポキシ基1当量に対し、活性水素基が0.6~2.0当量の範囲となる量を含むことが好ましく、より好ましくは0.7~1.5当量の範囲となる量を含むことである。ここで、活性水素基とは、硬化剤成分のエポキシ基と反応しうる官能基を意味し、活性水素基を0.6当量以上にすることにより、反応率、耐熱性、弾性率、塑性変形能力に優れる樹脂硬化物が得られやすく、また、ガラス転移温度、強度、耐衝撃性に優れる繊維強化複合材料が得られやすい。また、活性水素基を2.0当量以下にすることにより、反応率、耐熱性、弾性率に優れる樹脂硬化物が得られやすく、また、ガラス転移温度と強度に優れる繊維強化複合材料が得られやすい。
【0053】
かかる硬化促進剤としては、ウレア化合物、第三級アミンとその塩、イミダゾールとその塩、トリフェニルホスフィンまたはその誘導体、カルボン酸金属塩や、ルイス酸類やブレンステッド酸類とその塩類などが挙げられる。中でも、保存安定性と触媒能力のバランスから、ウレア化合物が好適に用いられる。
【0054】
かかるウレア化合物としては、例えば、N,N‐ジメチル‐N’‐(3,4‐ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’‐メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3‐フェニル‐1,1‐ジメチルウレアなどを使用することができる。かかるウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、“Omicure(登録商標)”24、52、94(以上、Emerald Performance Materials, LLC製)などが挙げられる。
【0055】
かかるウレア化合物の配合量としては、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して1~6質量部含むことが好ましい。かかるウレア化合物の配合量を1質量部以上にすることにより、反応が十分に進行しやすく、弾性率と耐熱性に優れた樹脂硬化物を得られやすい。また、かかるウレア化合物の配合量を6質量部以下にすることにより、エポキシ樹脂と硬化剤との反応が進行しやすくなるため、靭性や弾性率に優れた樹脂硬化物が得られやすい。
【0056】
本発明のクロスプリプレグに用いられる熱硬化性マトリックス樹脂は、100℃における粘度が1~10Pa・sであることが好ましい。上記粘度を1Pa・s以上にすることで、マトリックス樹脂が含浸する際にクロス外にはみ出すことなく含浸させやすくなる。また、10Pa・s以下の粘度にすることで、クロスへマトリックス樹脂を含浸させやすく、含浸性が向上しやすいため、繊維強化複合材料を成形した際にボイドやピンホールの発生を抑制しやすい。なお、ここで言うマトリックス樹脂の粘度は、動的粘弾性測定装置(例えば、レオメーターRDA2:レオメトリックス社製など)にて、パラレルプレートを用い、50℃より昇温速度2℃/minで単純昇温し、歪み100%、周波数0.5Hz、プレート間隔1mmで測定することで得られる粘弾性曲線の100℃での複素粘性率η*をいう。
【0057】
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製には、例えばニーダー、プラネタリーミキサー、3本ロールおよび2軸押出機といった機械を用いて混練しても良い。
【0058】
本発明のクロスプリプレグは、前記の方法にて調製したエポキシ樹脂組成物等の熱硬化性マトリックス樹脂を、強化繊維基材に含浸させて得ることができる。含浸させる方法としては、ホットメルト法(ドライ法)などを挙げることができる。ホットメルト法は、加熱により低粘度化した熱硬化性樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または離型紙などの上に熱硬化性樹脂組成物をコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側からこのフィルムを重ね、加圧加熱することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。この際、離型紙に塗布する樹脂の量を変えることで、プリプレグの繊維質量含有率を調整することができる。
【0059】
本発明のクロスプリプレグは、プリプレグ積層成形法等により成形品とすることが可能であり、かかる成形品は、目曲がりが少なく、表面のピンホールも少ないことから、外観に意匠の要求があるPC筐体や自動車外板用途として有用である。熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、内圧成形法などを適宜使用することができる。
【実施例0060】
以下、実施例により本発明を詳細に記述する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0061】
本実施例および比較例に用いたマトリックス樹脂および炭素繊維は、以下の通りである。
【0062】
<(A)エポキシ樹脂>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:189、2官能)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1001、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:475、2官能)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”154、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:178、3.5官能)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(“エピクロン(登録商標)”830、DIC(株)製、エポキシ当量:171、2官能)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”1004AF、三菱ケミカル(株)製、エポキシ当量:900、2官能)。
【0063】
<(B)硬化剤>
ジシアンジアミド(DICY7、三菱ケミカル(株)製、活性水素当量:12)。
【0064】
<(C)硬化促進剤>
3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製)。
【0065】
<(D)熱可塑性樹脂>
ポリビニルホルマール(“ビニレック(登録商標)”K、jNC(株)製)。
【0066】
<強化繊維>
炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T700SC-12K、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:4900MPa、繊維径7μm)
炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T300B-6K、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:3530MPa、繊維径6.9μm)
炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T300B-3K、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:3530MPa、繊維径6.9μm)
炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T300B-1K、東レ(株)製、引張弾性率:230GPa、引張強度:3530MPa、繊維径6.9μm)
炭素繊維(“トレカ(登録商標)”T400HB-3K、東レ(株)製、引張弾性率:250GPa、引張強度:4410MPa、繊維径6.8μm)。
【0067】
<実施例1>
表1に記載の通り、エポキシ樹脂として、“jER(登録商標)”154を35質量部、“jER(登録商標)”828を30質量部、“jER(登録商標)”1001を35質量部混合し、加熱溶融混練したのち、“ビニレック(登録商標)”Kを5質量部加え、溶解させた。次にその溶液を冷却し、硬化剤としてDICY7を4質量部と、硬化促進剤としてDCMU99を3質量部加え、マトリックス樹脂を調製した。得られたマトリックス樹脂の100℃での粘度は、7Pa・sであった。
【0068】
次に、強化繊維織物として繊度0.198g/mの炭素繊維(T300B-3K)を用いて、強化繊維織物の目付が198.0g/m2の、経糸に対して直交に緯糸を交互に編み込んだ2軸の平織組織の強化繊維織物を作製した。上記マトリックス樹脂を、コーターを使用して離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを2枚作製した。かかる樹脂フィルム2枚を上記織物の両面から重ね、加熱プレスロールで加圧してマトリックス樹脂を含浸させ、表1の実施例1に記載のとおり、マトリックス樹脂の質量含有率が40質量%のクロスプリプレグを作製した。また、得られたクロスプリプレグは7.0mm以上の目曲がりはなく(「○」:以降の実施例において同じ)、2.5mm以下の目曲がり割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなかった。次にクロスプリプレグを0.3m×0.3m角にカットし、4枚を繊維が同一方向になるように積層し、成形温度150℃、成形時間30min、成形圧5kgf/cm2の条件でプレス成形法により成形した。得られた成型品(繊維強化複合材料)の表面のピンホール数を目視で数えたところ3つであり、目曲がりも2.5m以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%であり、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0069】
<実施例2>
繊度が0.198g/mの炭素繊維(T400HB-3K)を用いて、強化繊維織物目付を398.0g/m2にした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が98%、2.6mmから5.0mmまでの割合が2%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは6個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が98%、2.6mmから5.1mmまでの割合が2%で、5.0mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0070】
<実施例3>
繊度0.066g/mの炭素繊維(T300B-1K)を用いて、強化繊維織物の目付を92.0g/m2にした以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が92%、2.6mmから5.0mmまでの割合が8%であり、5.1mm以上の目曲がりは無かった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは2個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が90%、2.6mmから5.0mmまでの割合が10%で、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0071】
<実施例4>
実施例1と同じマトリックス樹脂および炭素繊維織物を準備し、マトリックス樹脂の質量含有率も実施例1と同じとして、マトリックス樹脂の含浸時の含浸圧および温度を実施例1に比べ高く調整し、プレスロールの回転速度を実施例1に比べ低く調整して、クロスプリプレグの目曲がり量が表1のとおり(90%以上が5.0mm以下)となる条件として、プリプレグ並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が63%、2.6mmから5.0mmまでの割合が27%、5.1mm以上の割合が10%であった。繊維強化複合材料は、ピンホールがなく、目曲がりについては、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が61%、2.6mmから5.1mmまでの割合が29%、5.0mm以上の割合が10%であり、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0072】
<実施例5>
実施例1と同じマトリックス樹脂および炭素繊維織物を準備し、マトリックス樹脂の質量含有率も実施例1と同じとして、マトリックス樹脂の含浸時の含浸圧および温度を実施例1に比べ低く調整し、プレスロールの回転速度を実施例1に比べ高く調整して、クロスプリプレグの含浸率を97.0%となる条件として、プリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは5個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が97.0%、2.6mmから5.0mmまでの割合が3%、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0073】
<実施例6>
繊度0.396g/mの炭素繊維(T300B-6K)を用いて、強化繊維織物の目付を352.0g/m2にした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは7個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が98%、2.6mmから5.0mmまでの割合が2%、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0074】
<実施例7>
繊度が0.800g/mの炭素繊維(T700SC-12K)を用いて強化繊維織物の目付を400.0g/m2にした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が93%、2.6mmから5.0mmまでの割合が7%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは9個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が93%、2.6mmから5.0mmまでの割合が7%、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0075】
<実施例8>
繊度0.198g/mの炭素繊維(T300B-3K)を用いて、強化繊維織物の目付が198.0g/m2の2/2綾織組織の強化繊維織物を作製した以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が94%、2.6mmから5.0mmまでの割合が6.0%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは6個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が92.0%、2.6mmから5.0mmまでの割合が8.0%であり、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0076】
<実施例9>
繊度が0.198g/mの炭素繊維(T400HB-3K)を用いて、強化繊維織物目付が398.0g/m2の5枚朱子組織の強化繊維織物を作製した以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が87%、2.6mmから5.0mmまでの割合が13%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは6個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が83%、2.6mmから5.0mmまでの割合が17%であり、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表1に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0077】
<実施例10>
マトリックス樹脂の質量含有率を50質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が79%、2.6mmから5.0mmまでの割合が12%、5.1mm以上の割合が9%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールはなく、目曲がりについては、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が75%、2.6mmから5.0mmまでの割合が16%、5.1mm以上の割合が9%であり、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0078】
<実施例11>
マトリックス樹脂の質量含有率を55質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が72%、2.6mmから5.0mmまでの割合が21%、5.1mm以上の割合が7%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールはなく、目曲がりについては、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が66%、2.6mmから5.0mmまでの割合が24%、5.1mm以上の割合が10%であり、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0079】
<実施例12>
マトリックス樹脂の質量含有率を30質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が98%、2.6mmから5.0mmまでの割合が2%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは8個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が98%、2.6mmから5.0mmまでの割合が2%であり、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0080】
<実施例13>
マトリックス樹脂の質量含有率を25質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは8個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0081】
<実施例14>
表2に示す組成で、100℃での粘度を10Pa・sとしたマトリックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは7個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が97%、2.6mmから5.0mmまでの割合が3%であり、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0082】
<実施例15>
表2に示す組成で、100℃での粘度を15Pa・sとしたマトリックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは9個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%であり、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0083】
<実施例16>
表2に示す組成で、100℃での粘度を1Pa・sとしたマトリックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が86%、2.6mmから5.0mmまでの割合が11%、5.1mm以上の割合が3%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは4個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が79%、2.6mmから5.0mmまでの割合が16%で、5.1mm以上の割合が5%であり、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0084】
<実施例17>
表2に示す組成で、100℃での粘度が0.5Pa・sとしたマトリックス樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が79%、2.6mmから5.0mmまでの割合が12%、5.1mm以上の割合が9%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールはなく、目曲がりについては、7.0mm以上の目曲がり発生はなく、2.5m以下の割合が71%、2.6mmから5.0mmまでの割合が20%で、5.1mm以上の割合が9%であり、含浸率は表2に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0085】
<実施例18>
強化繊維織物の目付を90.0g/m2にした以外は、実施例3と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が90%、2.6mmから5.0mmまでの割合が10%であり、5.1mm以上の目曲がりは無かった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは1個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が88%、2.6mmから5.0mmまでの割合が12%で、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表3に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0086】
<実施例19>
強化繊維織物の目付を70.0g/m2にした以外は、実施例3と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が86%、2.6mmから5.0mmまでの割合が12%、5.1mm以上の割合が2%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールはなく、目曲がりについては、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が84%、2.6mmから5.0mmまでの割合が13%、5.1mm以上の割合が3%であり、含浸率は表3に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0087】
<実施例20>
強化繊維織物の目付を200.0g/m2にした以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは4個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%で、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表3に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0088】
<実施例21>
マトリックス樹脂の質量含有率を45質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が88%、2.6mmから5.0mmまでの割合が6%、5.1mm以上の割合が6%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは1個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が86%、2.6mmから5.0mmまでの割合が8%、5.1mm以上の割合が6%であり、含浸率は表3に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0089】
<実施例22>
炭素繊維の登録商標と繊度は不明であるが、強化繊維織物として、目付が272.0g/m2、3軸(0、+/-60°)の炭素繊維織物(QISO-L-52、A&P Technology製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が100%であり、2.6mmから5.0mm及び5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは5個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が99%、2.6mmから5.0mmまでの割合が1%で、5.1mm以上の目曲がりはなく、含浸率は表3に示すとおりで、外観品位は良好であった。
【0090】
<比較例1>
繊度が0.800g/mの炭素繊維(T700SC-12K)を用いて、強化繊維織物目付を650.0g/m2として、さらにマトリックス樹脂の質量含有率を45質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグの目曲がり量は、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の割合が94%、2.6mmから5.0mmまでの割合が6%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは37個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が94%、2.6mmから5.0mmまでの割合が6%であり、含浸率は表3に示すとおりで、5.1mm以上の目曲がりはなかったが、ピンホールが多く、外観品位は不良であった。
【0091】
<比較例2>
繊度が0.066g/mの炭素繊維(T300B-1K)を用いて、強化繊維織物目付を69.0g/m2とした以外は、比較例1と同様の方法で強化繊維織物とプリプレグ、並びに繊維強化複合材料を作製した。得られたプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりが発生しており、2.5mm以下の割合が79%、2.6mmから5.0mmまでの割合が13%であり、5.1mm以上の割合が8%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは3個であり、7.0mm以上の目曲がりが発生しており、2.5m以下の割合が70%、2.6mmから5.0mmまでの割合が16%、5.1mm以上の割合が14%であり、含浸率は表3に示すとおりで、目曲がりが多く、外観品位は不良であった。
【0092】
<比較例3>
繊度が0.066g/mの炭素繊維(T300B-1K)を用いて、強化繊維織物目付が92.0g/m2とし、実施例1と同じマトリックス樹脂を準備し、マトリックス樹脂の質量含有率を比較例1と同じとして、マトリックス樹脂の含浸時の含浸圧および温度を実施例1に比べ高く調整し、プレスロールの回転速度を実施例1に比べ低く調整して、クロスプリプレグの目曲がり量の最大量が7.0mm以上で5.0mm以下の目曲がり量が90%未満であるクロスプリプレグを作製し繊維強化複合材料を作製した。得られたクロスプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりが発生しており、2.5mm以下の目曲がり割合が48%、2.6mmから5.0mmまでの割合が32%、5.1mm以上の割合が20%であった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは4個であり、7.0mm以上の目曲がりが発生しており、2.5m以下の割合が46%、2.6mmから5.0mmまでの割合が33%、5.1mm以上の割合が21%であり、含浸率は表3に示すとおりで、目曲がりも顕著となり、外観品位は不良であった。
【0093】
<比較例4>
繊度が0.066g/mの炭素繊維(T300B-1K)を用いて、強化繊維織物目付が92.0g/m2とし、実施例1と同じマトリックス樹脂を準備し、マトリックス樹脂の質量含有率も比較例1と同じとして、マトリックス樹脂の含浸時の含浸圧および温度を実施例1に比べ低く調整し、プレスロールの回転速度を実施例1に比べ高く調整して、含浸率を96.2%としたクロスプリプレグと繊維強化複合材料を作製した。得られたクロスプリプレグは、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5mm以下の目曲がり割合が96%、2.6mmから5.0mmまでの割合が4%であり、5.1mm以上の目曲がりはなかった。繊維強化複合材料の表面のピンホールは18個であり、7.0mm以上の目曲がりはなく、2.5m以下の割合が94%、2.6mmから5.0mmまでの割合が6%、5.1mm以上の目曲がりはなかったが、ピンホールが多く、外観品位は不良であった。
【0094】
【0095】
【0096】
本発明のクロスプリプレグは、成形品表面のピンホールと呼ばれる欠陥が発生し難く、目曲がりが起こりにくいことから、軽量かつ高強度、高剛性であり目曲がりの少ない繊維強化複合材料として、釣り竿やゴルフシャフト等のスポーツ・レジャー用途以外にも、自動車や航空機等の産業用途などの幅広い分野で意匠性材料として好ましく用いられる。