(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064243
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物、皮膜剤、二重瞼用粘着剤、及び肌貼り用粘着剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230501BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230501BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q19/00
A61Q1/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174393
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】591195592
【氏名又は名称】大同化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 憲明
(72)【発明者】
【氏名】浦松 俊治
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB082
4C083AB412
4C083AC272
4C083AC342
4C083AC512
4C083AC782
4C083AC842
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD532
4C083BB32
4C083CC02
4C083CC14
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、新たに、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を提供する。
【解決手段】メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物であって、
生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル共重合体を含有し、
生物由来の炭素の含有率が30質量%以上である、
組成物。
【請求項2】
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、植物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-セチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから成る群から選ばれる少なくとも一種の生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
皮膜剤である、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項5】
次の硬さの測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、JIS K-5600に準じた試験法で、鉛筆硬度を測定する事、
において、その皮膜の表面は、2Bの鉛筆で傷が入らない硬さを示す、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
次の摩耗性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、摩擦堅牢度試験機にてカナキン3号布で荷重50g/cm2かけて10往復した時の、摩耗性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、傷が0~9本/4cm2入る摩耗性を示す、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
次の耐水性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
二重瞼用粘着剤である、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項9】
次の粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、3N/25mm~20N/25mmの粘着力を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
次の保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
次の耐水性の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープから離型処理されたPETフィルムを剥がし、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
肌貼り用粘着剤である、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項13】
次の粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、4N/25mm~15N/25mmの粘着力を示す、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
次の保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す、請求項12に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物、皮膜剤、二重瞼用粘着剤、及び肌貼り用粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、本発明者等が開発した、非水系ポリマーディスパージョン及び非水系ポリマーディスパージョンを含むメイクアップ化粧料である。この非水系ポリマーディスパージョンを用いて皮膜を作製すると、その皮膜の洗浄性、及び皮膜の耐水性が優れている。この非水系ポリマーディスパージョンは、アイライナー、マスカラ等のメイクアップ化粧料に好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新たに、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、鋭意検討の結果、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物に、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル共重合体を用いる事に依り、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物全体として生物由来の炭素の含有率を30質量%以上としながら、メイクアップ化粧料としての充分な性能を発揮できる組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の、生物由来の炭素の含有率が30質量%以上であるメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を含む。
【0007】
項1.
メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物であって、
生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル共重合体を含有し、
生物由来の炭素の含有率が30質量%以上である、
組成物。
【0008】
項2.
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、植物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである、前記項1記載の組成物。
【0009】
項3.
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-セチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから成る群から選ばれる少なくとも一種の生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである、前記項1又は2に記載の組成物。
【0010】
項4.
皮膜剤である、前記項1~3に記載の組成物。
【0011】
項5.
次の硬さの測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、JIS K-5600に準じた試験法で、鉛筆硬度を測定する事、
において、その皮膜の表面は、2Bの鉛筆で傷が入らない硬さを示す、前記項4に記載の組成物。
【0012】
項6.
次の摩耗性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、摩擦堅牢度試験機にてカナキン3号布で荷重50g/cm2かけて10往復した時の、摩耗性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、傷が0~9本/4cm2入る摩耗性を示す、前記項4に記載の組成物。
【0013】
項7.
次の耐水性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す、前記項4に記載の組成物。
【0014】
項8.
二重瞼用粘着剤である、前記項1~3に記載の組成物。
【0015】
項9.
次の粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、3N/25mm~20N/25mmの粘着力を示す、前記項8に記載の組成物。
【0016】
項10.
次の保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す、前記項8に記載の組成物。
【0017】
項11.
次の耐水性の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープから離型処理されたPETフィルムを剥がし、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す、前記項8に記載の組成物。
【0018】
項12.
肌貼り用粘着剤である、前記項1~3に記載の組成物。
【0019】
ペイントシール、絆創膏等の肌貼り用粘着剤は、スキンケア用組成物である。
【0020】
項13.
次の粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、4N/25mm~15N/25mmの粘着力を示す、前記項12に記載の組成物。
【0021】
項14.
次の保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す、前記項12に記載の組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、新たに、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を提供する事が出来る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0024】
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
【0025】
[1]メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物
本発明は、生物由来の炭素の含有率が30質量%以上であるメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を含む。
【0026】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、
生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル共重合体を含有し、
生物由来の炭素の含有率が30質量%以上である。
【0027】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、植物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである。
【0028】
メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-セチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから成る群から選ばれる少なくとも一種の生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである。
【0029】
生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14が殆ど含まれない。その為、前記生物由来の炭素の含有率は、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物に含まれるC-14の濃度を測定する事に依り、算出する事が出来る。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866に準じて測定する事が出来る。
【0030】
生物由来の炭素の含有率30質量%以上が「バイオベース製品」である事の目安と成る。
【0031】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物で、その全体としての生物由来の炭素の含有率は、30質量%以上であり、好ましくは、50質量%以上であり、より好ましくは、70質量%以上である。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物全体としての生物由来の炭素の含有率は、上限は、100質量%(メイクアップ化粧料用組成物全体が生物由来の炭素で構成される態様)であっても良い。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、石油由来材料に代えて、生物由来材料を用いる事に依り、石油資源を節約する事が可能である。
【0032】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、皮膜剤に適用すると、優れた、硬さ、摩耗性、及び耐水性という効果を発揮する。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、二重瞼用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び耐水性という効果を発揮する。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、肌貼り用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び剥がす時に痛みが無いという効果を発揮する。
【0033】
[1-1](メタ)アクリル共重合体
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、(メタ)アクリル共重合体を含有する。
【0034】
前記(メタ)アクリル共重合体の原料となる(メタ)アクリルモノマーは、は特に限定されな。前記(メタ)アクリル共重合体の原料となる(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等である。
【0035】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等である。
【0036】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等である。
【0037】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0038】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有するモノマーである。
【0039】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有するモノマーである。
【0040】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するモノマーである。
【0041】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有するモノマーである。
【0042】
前記(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルや、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル共重合体に用いられている各種のモノマーである。
【0043】
前記モノマーは、一種単独で用いても良く、二種以上(複数)を併用しても良い。
【0044】
前記(メタ)アクリル共重合体の原料となる(メタ)アクリルモノマーの内、少なくとも一種は、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである。
【0045】
生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーの中でも、元々、大気中の二酸化炭素を取り込んで生成される資源であって、これを燃焼させても総量としては大気中の二酸化炭素を増やす事が無いという理由で、好ましくは、植物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを用いる。
【0046】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物全体として、生物由来の炭素の含有率を30質量%以上と出来る時は、前記(メタ)アクリル共重合体の原料となる(メタ)アクリルモノマーの全てが生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーであっても良く、その一部のみが生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーであっても良い。
【0047】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、一方で、理論的には、全てを生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーとする事が可能である。
【0048】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、他方で、メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料のコスト、生産性等を考慮して、比較的安価で、入手の容易な生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを採用し、他は、石油由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを組み合わせる事も可能である。
【0049】
前記比較的安価で、入手の容易な生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、生物由来の炭素を含むラウリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート等である。
【0050】
前記(メタ)アクリルモノマーは、植物等から採取される飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸を原料として、これをアルコール化、エステル化する事に依り、安価且つ容易に入手する事が可能である。
【0051】
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料としての効果をより発揮する観点から、生物由来の炭素を含む、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-セチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートから成る群から選ばれる少なくとも一種の生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーである。
【0052】
前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、一種単独で用いても良く、二種以上(複数)を併用しても良い。
【0053】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、皮膜剤に適用すると、優れた、硬さ、摩耗性、及び耐水性という効果を発揮する。
【0054】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、二重瞼用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び耐水性という効果を発揮する。
【0055】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、肌貼り用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び剥がす時に痛みが無いという効果を発揮する。
【0056】
二重瞼用粘着剤及び肌貼り用粘着剤では、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下である生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含む。この様な低ガラス転移温度の(メタ)アクリルモノマーは、比較的大量に用いても、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物中の生物由来の炭素の含有率を高くする事が出来、メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料としての効果を発揮出来る。
【0057】
皮膜剤では、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーは、好ましくは、ホモポリマーのガラス転移温度が20℃以上である生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーも含む。この様な高ガラス転移温度の(メタ)アクリルモノマーと、低ガラス転移温度の(メタ)アクリレートモノマーとを組み合わせる事に依り、比較的大量に用いても、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物中の生物由来の炭素の含有率を高くする事が出来、メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料としての効果を発揮出来る。
【0058】
前記比較的安価で、入手の容易な生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーの中で、ホモポリマーのガラス転移温度が-20℃以下であるものは、好ましくは、ラウリルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度が-23℃)、ラウリルメタクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度が-65℃)、n-オクチルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度が-65℃)等である。ホモポリマーのガラス転移温度が20℃以上であるものは、好ましくは、イソボルニルアクリレート(ホモポリマーのガラス転移温度が97℃)等である。
【0059】
前記(メタ)アクリル共重合体における、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、特に限定されない。前記(メタ)アクリル共重合体における、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、好ましくは、その下限は10質量%である。前記(メタ)アクリル共重合体における、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量を10質量%以上とする事に依り、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物全体として、生物由来の炭素の含有率を30質量%以上とする事が容易と成る。
【0060】
前記(メタ)アクリル共重合体における、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、その下限は、より好ましくは、25質量%であり、更に好ましくは、35質量%であり、特に好ましくは、45質量%である。前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位の含有量は、その上限は、通常100質量%である。
【0061】
前記(メタ)アクリル共重合体は、生物由来の炭素の含有率が30質量%以上である事が好ましい。前記(メタ)アクリル共重合体の生物由来の炭素の含有率を30質量%以上とする事に依り、メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物全体として、生物由来の炭素の含有率を30質量%以上とする事が容易と成る。
【0062】
前記(メタ)アクリル共重合体の生物由来の炭素の含有率は、好ましくは、40質量%以上であり、より好ましくは、50質量%であり、通常、100質量%以下である。
【0063】
前記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、特に限定されない。
【0064】
前記肌貼り用粘着剤の場合、(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは、その下限は、30万であり、その上限は、200万である。前記(メタ)アクリル共重合体は、その重量平均分子量が前記範囲内であると、得られるメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料としての効果を発揮出来る。前記(メタ)アクリル共重合体は、その重量平均分子量は、より好ましくは、下限は40万であり、より好ましくは、上限は180万であり、更に好ましくは、下限は50万であり、特に好ましくは、上限は120万である。
【0065】
本明細書において重量平均分子量は、GPC測定により求められたポリスチレン換算分子量を意味する。
【0066】
[1-2](メタ)アクリル共重合体の合成方法
前記(メタ)アクリル共重合体を合成するには、好ましくは、前記原料となる(メタ)アクリルモノマーの混合物を、重合開始剤の存在下にてラジカル反応させる。
【0067】
ラジカル反応の方式は、特に限定されない。前記ラジカル反応の方式は、好ましくは、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等である。
【0068】
リビングラジカル重合に依れば、フリーラジカル重合と比較して、より均一な分子量及び組成を有する共重合体を得る事が出来、低分子量成分等の生成を抑える事が出る。
【0069】
重合方法は、特に限定されず、好ましくは、公知の方法を採用する。重合方法は、好ましくは、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。重合方法は、中でも、合成が簡便である事から、好ましくは、溶液重合、エマルジョン重合である。
【0070】
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤は、好ましくは、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等である。
【0071】
エマルジョン重合を用いる場合は、反応溶媒は、好ましくは、水若しくはイソドデカン等の炭化水素系の溶剤等である。
【0072】
これらの反応溶剤は、一種単独で用いても良く、二種以上(複数)を併用しても良い。
【0073】
前記重合開始剤は、特に限定されない。重合開始剤は、好ましくは、有機過酸化物、アゾ化合物等である。
【0074】
前記有機過酸化物は、好ましくは、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等である。
【0075】
前記アゾ化合物は、好ましくは、例えば、2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等である。
【0076】
これらの重合開始剤は、一種単独で用いても良く、二種以上(複数)を併用してもよい。
【0077】
[2]皮膜剤
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、好ましくは、皮膜剤である。
【0078】
[2-1]皮膜剤の硬さ
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、皮膜剤として用いる時、好ましくは、次の硬さを示す。
【0079】
硬さの測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、JIS K-5600に準じた試験法で、鉛筆硬度を測定する事、
において、その皮膜の表面は、2Bの鉛筆で傷が入らない硬さを示す。
【0080】
本発明の皮膜剤は、好ましい硬さを有し、マスカラ、より好ましくは、水系マスカラに好適である。
【0081】
[2-2]皮膜剤の摩耗性
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、皮膜剤として用いる時、好ましくは、次の摩耗性を示す。
【0082】
摩耗性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、摩擦堅牢度試験機にてカナキン3号布で荷重50g/cm2かけて10往復した時の、摩耗性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、傷が0~9本/4cm2入る摩耗性を示す。
【0083】
本発明の皮膜剤は、好ましい摩耗性を有し、マスカラ、より好ましくは、水系マスカラに好適である。
【0084】
[2-3]皮膜剤の耐水性
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、皮膜剤として用いる時、好ましくは、次の耐水性を示す。
【0085】
耐水性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す。
【0086】
本発明の皮膜剤は、好ましい耐水性を有し、マスカラ、より好ましくは、水系マスカラに好適である。
【0087】
[2-4]皮膜剤の調製方法
(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションの製造
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として脱イオン水、及び乳化剤(例えば、花王製エマール20C)を仕込み、これを攪拌しながら、窒素雰囲気下で、昇温する(例えば、70℃程度まで昇温する)。
【0088】
(2)前記(1)とは別の容器に、脱イオン水、及び乳化剤を計量し、高速攪拌しながら、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含む(メタ)アクリルモノマーを添加して、乳化モノマーを調製する。
【0089】
(3)前記(1)の脱イオン水、及び乳化剤を含む溶媒が昇温(例えば、70℃)した時点から、この溶媒に、前記(2)の調製した乳化モノマー、及び重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウムの3%水溶液)を、夫々、均一に滴下する(例えば、3時間掛ける)。
【0090】
(4)前記(3)の滴下終了後、再度、重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウムの3%水溶液)を投入し、重合反応を行い(例えば、3時間掛ける)、反応終了後、冷却する(例えば、40℃以下まで冷却する)。
【0091】
(5)前記(4)の冷却後、pHを調整し(例えば、アンモニア水(例えば、25%)を用いて、pH=8に調整する)、(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを得る。
【0092】
[3]二重瞼用粘着剤
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、好ましくは、二重瞼用粘着剤である。
【0093】
[3-1]二重瞼用粘着剤の粘着力
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、二重瞼用粘着剤として用いる時、好ましくは、次の粘着力を示す。
【0094】
粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、において、その粘着テープは、3N/25mm~20N/25mmの粘着力を示す。
【0095】
本発明の二重瞼用粘着剤は、好ましい粘着力を有し、二重瞼化粧品に好適である。
【0096】
[3-2]二重瞼用粘着剤の保持力
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、二重瞼用粘着剤として用いる時、好ましくは、次の保持力を示す。
【0097】
保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間もしくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す。
【0098】
本発明の二重瞼用粘着剤は、好ましい保持力を有し、二重瞼化粧品に好適である。
【0099】
[3-3]二重瞼用粘着剤の耐水性
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、二重瞼用粘着剤として用いる時、好ましくは、次の耐水性を示す。
【0100】
耐水性の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープから離型処理されたPETフィルムを剥がし、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す。
【0101】
本発明の二重瞼用粘着剤は、好ましい耐水性を有し、二重瞼化粧品に好適である。
【0102】
[3-4]二重瞼用粘着剤の調製方法
(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションの製造
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として脱イオン水、及び乳化剤(例えば、花王製エマール20C)を仕込み、これを攪拌しながら、窒素雰囲気下で、昇温する(例えば、70℃程度まで昇温する)。
【0103】
(2)前記(1)とは別の容器に、脱イオン水、及び乳化剤を計量し、高速攪拌しながら、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含む(メタ)アクリルモノマーを添加して、乳化モノマーを調製する。
【0104】
(3)前記(1)の脱イオン水、及び乳化剤を含む溶媒が昇温(例えば、70℃)した時点から、この溶媒に、前記(2)の調製した乳化モノマー、及び重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウムの3%水溶液)を、夫々、均一に滴下する(例えば、3時間掛ける)。
【0105】
(4)前記(3)の滴下終了後、再度、重合開始剤(例えば、過硫酸アンモニウムの3%水溶液)を投入し、重合反応を行い(例えば、3時間掛ける)、反応終了後、冷却する(例えば、40℃以下まで冷却する)。
【0106】
(5)前記(4)の冷却後、pHを調整し(例えば、アンモニア水(例えば、25%)を用いて、pH=8に調整する)、(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを得る。
【0107】
本発明の二重瞼用粘着剤では、バイオマス度を上げる添加剤を使用する事が出来る。二重瞼用粘着剤に、生物由来の粘着付与剤を配合する事に依り、生物由来の炭素含有量を上げる事が出来る。
【0108】
[4]肌貼り用粘着剤
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、好ましくは、肌貼り用粘着剤である。
【0109】
[4-1]肌貼り用粘着剤の粘着力
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、肌貼り用粘着剤として用いる時、好ましくは、次の粘着力を示す。
【0110】
粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、4N/25mm~15N/25mmの粘着力を示す。
【0111】
本発明の肌貼り用粘着剤は、好ましい粘着力を有し、ペイントシート化粧品、絆創膏に好適である。
【0112】
[4-2]肌貼り用粘着剤の保持力
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、肌貼り用粘着剤として用いる時、好ましくは、次の保持力を示す。
【0113】
保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す。
【0114】
本発明の肌貼り用粘着剤は、好ましい保持力を有し、ペイントシート化粧品、絆創膏に好適である。
【0115】
[4-3]肌貼り用粘着剤の剥がす時に痛みが無いという効果
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、肌貼り用粘着剤として用いる時、剥がす時に痛みが無いという効果を発揮する。
【0116】
剥がす時に痛みが無いという効果の評価:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅10mm×30mmにカットし、前腕部内側に貼付し、次いで、貼付1時間後に剥離するという方法で、その時の痛みを評価する事、
において、その粘着テープを、前腕部内側から剥がす時に痛みが無い事を示す。
【0117】
本発明の肌貼り用粘着剤は、剥がす時に痛みが無いという効果を発揮し、ペイントシート化粧品、絆創膏に好適である。
【0118】
[4-4]肌貼り用粘着剤の調製方法
(メタ)アクリル共重合樹脂溶液の製造
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として酢酸エチルを仕込み、これを攪拌しながら、窒素雰囲気下で、昇温する(例えば、75℃程度まで昇温する)。
【0119】
(2)前記(1)の酢酸エチルを含む溶媒が昇温(例えば、75℃)した時点から、この溶媒に、重合性モノマーとして、生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含む(メタ)アクリルモノマーを適量加え、重合開始剤(例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル)を使用し、溶媒として酢酸エチルを加え、これらの混合モノマー溶液を、均一に滴下する(例えば、2時間掛ける)。
【0120】
(3)前記(2)の滴下終了後、再度、重合開始剤(例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル)を投入し、重合反応を行い(例えば、6時間掛ける)、(メタ)アクリル共重合樹脂溶液を得る。
【0121】
本発明の肌貼り用粘着剤に用いる硬化剤は、好ましくは、イソシアネート系、エポキシ系、エポキシシラン系、ヒドラジド系、カルボジイミド系、アジリジン系の他、有機物が配位した金属系(チタン系等)の化合物を用いる事が出来る。硬化剤は、好ましくは、イソシアネート化合物(例えばトリレンジイソシアネート等)である。
【0122】
本発明の肌貼り用粘着剤では、バイオマス度を上げる添加剤を使用する事が出来る。肌貼り用粘着剤に、生物由来の粘着付与剤を配合する事に依り、生物由来の炭素含有量を上げる事が出来る。
【0123】
ペイントシート化粧品、絆創膏
本発明の肌貼り用粘着剤は、その乾燥後の厚みは、特に限定されない。肌貼り用粘着剤の乾燥後の厚みは、好ましくは、下限は10μmであり、上限は100μmである。
【0124】
本発明の肌貼り用粘着剤は、基材を有しないノンサポートテープであっても良く、基材の一方の面に粘着剤層を有する片面粘着テープであっても良い。
【0125】
前記基材は、特に限定されず、好ましくは、従来公知の基材を用いる。本発明の肌貼り用粘着剤全体として生物由来の炭素の含有率を30質量%以上とする為には、好ましくは、生物由来の基材を用いる。
【0126】
前記生物由来の基材としては、好ましくは、植物由来のポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロース、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリアミド(PA)等から成るフィルム、不織布等である。
【0127】
[5]メイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、皮膜剤、二重瞼用粘着剤、肌貼り用粘着剤等のメイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料に、好適である。
【0128】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、皮膜剤に適用すると、優れた、硬さ、摩耗性、及び耐水性という効果を発揮する。
【0129】
本発明の皮膜剤は、好ましくは、マスカラ(睫毛(まつげ)を濃く、長く、又はカールしている様に見せるためのもの)、より好ましくは、水系マスカラへの適用である。
【0130】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、二重瞼用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び耐水性という効果を発揮する。
【0131】
本発明の二重瞼用粘着剤は、好ましくは、二重瞼(まぶた)化粧品(目の周り、二重瞼をキープするもの)への適用である。
【0132】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーを含み、肌貼り用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び剥がす時に痛みが無いという効果を発揮する。
【0133】
本発明の肌貼り用粘着剤は、好ましくは、ペイントシート化粧品(ボディペイント、或いはパターンシートするもの)、絆創膏への適用である。
【0134】
本発明のメイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料には、塗布時に匂い、塗布後のつや、耐水性、耐油性、付着性が良好で、化粧持ちに極めて優れる等の効果を得る事が出来る範囲で、質的、量的範囲で、通常の化粧品や医薬品分野で用いられる成分を配合する事が出来る。
【0135】
本発明のメイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料には、好ましくは、化粧料に一般に使用される、油剤、界面活性剤、水(イオン交換水)、多価アルコール類(グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等、保湿剤)、有機粉体、無機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美容成分、香料、動物油(ラノリン等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油等)、合成エステル油(イソプロピルミリステート、グリセロールトリ-2-エチルヘキサノエート等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ、ビースワックス、炭化水素系等)、増粘剤(粘稠剤)、ゲル化剤、金属石鹸、水溶性高分子、油溶性高分子、薬剤、顔料、染料、パール剤等を配合する。
【0136】
本発明のメイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料は、製品の形態(剤型)は、好ましくは、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状(半固型状)、ゲル状(固型状)等である。
【0137】
本発明のメイクアップ化粧料又はスキンケア化粧料は、好ましくは、W/Oタイプ(油中水型)乳化系である。
【実施例0138】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0139】
本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0140】
特に断らない限り、以下に記載する「%」は「質量%」を意味する。
【0141】
[1]メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物:皮膜剤
[1-1](メタ)アクリル共重合樹脂エマルションの製造(実施例1)
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として脱イオン水、乳化剤(花王製エマール20C)を仕込み、これを攪拌しながら、窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。
【0142】
(2)前記(1)とは別の容器に、脱イオン水、及び乳化剤を計量し、高速攪拌しながら、アクリル酸イソボロニル(イソボルニルアクリレート)、アクリル酸、及びアクリル酸イソブチル添加して、乳化モノマーを調整した。
【0143】
(3)前記(1)の脱イオン水、及び乳化剤を含む溶媒が70℃に成った時点から、この溶媒に、前記(2)の調整した乳化モノマー、及び過硫酸アンモニウムの3%水溶液を、夫々、3時間掛けて均一に滴下した。
【0144】
(4)前記(3)の滴下終了後、再度、過硫酸アンモニウム3%水溶液を投入、3時間重合反応を行い、反応終了後、40℃以下まで冷却した。
【0145】
(5)前記(4)の冷却後、25%アンモニア水を用いて、pHを8に調整し、(メタ)アクリル酸共重合樹脂エマルションを得た。
【0146】
実施例2、3、及び比較例3では、(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、表1の重合性モノマーを使用し、実施例1と同様にして、製造した。
【0147】
[1-2]硬さの測定
ガラス板に、得られた(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工した後、常温で24時間乾燥させた。
【0148】
この試験片に、JIS K-5600に準じた試験法で、鉛筆硬度を測定した。
【0149】
硬さの測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、JIS K-5600に準じた試験法で、鉛筆硬度を測定する事、
において、その皮膜の表面は、2Bの鉛筆で傷が入らない硬さを示す。
評価〇:2Bの鉛筆で傷が入らない場合。
評価×:2Bの鉛筆で傷が入った場合。
【0150】
[1-3]摩耗性
硬さの測定で作製した方法と同様にして得た試験片表面を、摩擦堅牢度試験機にてカナキン3号布で、荷重50g/cm2かけて、10往復して摩耗性を測定した。
【0151】
摩耗性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、カナキン3号布で荷重200gかけて10往復した時の、摩耗性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、傷が0~9本/4cm2入る摩耗性を示す。
評価〇:傷が0~9本/4cm2入った場合。
評価×:傷が10本以上/4cm2入った場合。
【0152】
[1-4]耐水性
硬さの測定で作製した方法と同様にして得た試験片を、20℃の水に、5分浸した時の皮膜の状態を目視で評価した。
【0153】
耐水性の測定:
ガラス板上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、乾燥後の厚みが100μmと成る様に塗工し、次いで、常温(23℃、65%RH)で24時間乾燥させ、ガラス板上に皮膜が形成された試験片を調製し、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す。
評価〇:浸水前後で差がない場合。
評価×:皮膜が水に溶ける、若しくはガラス板から剥がれた場合。
【0154】
【0155】
本発明の皮膜剤は、生物由来の炭素含有率が30質量%以上であり、好ましい硬さ、摩耗性、及び耐水性を有し、マスカラ、より好ましくは、水系マスカラに好適である。
【0156】
[2]メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物:二重瞼用粘着剤
[2-1](メタ)アクリル共重合樹脂エマルションの製造(実施例4)
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として脱イオン水、乳化剤(花王製エマール20C)を仕込み、これを攪拌しながら窒素雰囲気下で70℃まで昇温した。
【0157】
(2)前記(1)とは別の容器に、脱イオン水、及び乳化剤を計量し、高速攪拌しながら、アクリル酸n-オクチル(オクチルアクリレート)、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸t-ブチルを添加して、乳化モノマーを調整した。
【0158】
(3)前記(1)の脱イオン水、及び乳化剤を含む溶媒が70℃になった時点から、この溶媒に、前記(2)の調整した乳化モノマー、及び過硫酸アンモニウムの3%水溶液を、夫々、3時間かけて均一に滴下した。
【0159】
(4)前記(3)の滴下終了後、再度、過硫酸アンモニウム3%水溶液を投入、3時間重合反応を行い、反応終了後、40℃以下まで冷却した。
【0160】
(5)前記(4)の冷却後、25%アンモニア水を用いて、pHを8に調整し、(メタ)アクリル酸共重合樹脂エマルションを得た。
【0161】
実施例5~7、比較例2~4では、(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、表2の重合性モノマーを使用し、実施例4と同様にして、製造した。
【0162】
[2-2]粘着テープの作製
得られた(メタ)アクリル共重合樹脂エマルションを、脱イオン水で、任意に、希釈し、塗工液を調製した。
【0163】
厚さ25μmのPETフィルムに、この塗工液を、乾燥後の粘着剤厚みが25μmと成る様に塗工した後、105℃で5分乾燥させた。
【0164】
乾燥後、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープを得た。
【0165】
[2-3]粘着力の測定
粘着テープを幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で貼付した。
【0166】
23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離にて粘着力を測定した。
【0167】
粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、3N/25mm~20N/25mmの粘着力を示す。
【0168】
[2-4]保持力の測定
粘着力の測定時にカットした粘着テープの内、幅25mm×25mm部分を、SUS304に、2kgローラー1往復で貼付した。
【0169】
40℃下で、荷重1kgの重りを、水平方向に付加、1時間後のテープの落下時間若しくはずれた距離を測定した。
【0170】
保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す。
評価〇:30分以上落下しない場合。
評価×:30分以内未満で落下した場合。
【0171】
[2-5]耐水性
粘着テープから、離型処理されたPETフィルムを剥がして、20℃の水に、5分浸した時の皮膜の状態で評価した。
【0172】
耐水性の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂エマルション及び水から成る塗工液を、乾燥後の厚みが50μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープから離型処理されたPETフィルムを剥がし、次いで、この試験片の皮膜の表面を、20℃の水に5分間浸した時の、耐水性を測定する事、
において、その皮膜の表面は、浸水前後で、外観変化が略無い耐水性を示す。
評価〇:浸水前後で差がなく、表面タックがある場合。
評価×:皮膜が水に溶ける、若しくはガラス板から剥がれる、表面タックが無くなった場合。
【0173】
【0174】
本発明の二重瞼用粘着剤は、生物由来の炭素含有率が30質量%以上であり、好ましい粘着力、保持力、及び耐水性を有し、二重瞼化粧品に好適である。
【0175】
[3]メイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物:肌貼り用粘着剤
[3-1](メタ)アクリル共重合樹脂溶液の製造(実施例8)
(1)冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機、及び滴下漏斗を付したセパラブルフラスコに、溶媒として酢酸エチルを仕込み、これを攪拌しながら窒素雰囲気下で75℃まで昇温した。
【0176】
(2)前記(1)の酢酸エチルを含む溶媒が75℃に成った時点から、重合性モノマーとして、アクリル酸n-オクチル(オクチルアクリレート)、アクリル酸ドデシル(ドデシルアクリレート)、アクリル酸、酢酸ビニルを適量加え、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを使用し、溶媒として酢酸エチルを加え、これらの混合モノマー溶液を2時間かけて均一に滴下した。
【0177】
(3)前記(2)の滴下終了後、再度、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを投入し、6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル共重合体樹脂溶液を得た。
【0178】
実施例9~14、比較例5~9では、(メタ)アクリル共重合樹脂溶液を、表3の重合性モノマーを使用し、実施例8と同様にして、製造した。
【0179】
[3-2]粘着テープの作製
得られた(メタ)アクリル共重合体溶液に架橋剤を加え、任意に、酢酸エチルで希釈し、塗工液を調製した。
【0180】
厚さ25μmのPETフィルムに、この塗工液を、乾燥後の粘着剤厚みが25μmと成る様に塗工した後、105℃で5分乾燥させた。
【0181】
乾燥後、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で48時間養生し、粘着テープを得た。
【0182】
[3-3]粘着力の測定
粘着テープを幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で貼付した。
【0183】
23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離にて粘着力を測定した。
【0184】
粘着力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×150mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、23℃、65%RH下、引張速度300mm/minで、180°剥離するという方法で、粘着力を測定する事、
において、その粘着テープは、4N/25mm~15N/25mmの粘着力を示す。
【0185】
[3-4]保持力の測定
粘着力の測定時にカットした粘着テープの内、幅25mm×25mm部分をSUS304に2kgローラー1往復で貼付した。
【0186】
40℃下で、荷重1kgの重りを、水平方向に付加、1時間後のテープの落下時間若しくはずれた距離を測定した。
【0187】
保持力の測定:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅25mm×25mmにカットし、SUS430BAに、2kgローラー1往復で、貼付し、次いで、40℃、荷重1kgの重りを水平方向に付加し、1時間後の、落下時間若しくはずれた距離を測定するという方法で、保持力を測定する事、
において、その粘着テープは、30分以上落下しない保持力を示す。
評価〇:落下時間が30分以上の場合。
評価×:30分未満で落下した場合。
【0188】
[3-5]剥がす時の痛みの評価
粘着テープを幅10mm×30mmにカットし、前腕部内側に貼付した。
【0189】
貼付1時間後に剥離し、その時の痛みを官能評価した。
【0190】
剥がす時に痛みが無いという効果の評価:
厚さ25μmのPETフィルム上に、前記生物由来の炭素を含む(メタ)アクリルモノマーから成る(メタ)アクリル共重合樹脂、酢酸エチル、及び硬化剤から成る塗工液を、乾燥後の厚みが25μmと成る様に塗工し、次いで、105℃で5分乾燥させ、PETフィルム上に粘着剤が形成された粘着フィルムを調製し、次いで、この粘着フィルムに、離型処理されたPETフィルムを重ね、50℃で、48時間養生し、粘着テープの試験片を調製し、次いで、この試験片の粘着テープを、幅10mm×30mmにカットし、前腕部内側に貼付し、次いで、貼付1時間後に剥離するという方法で、その時の痛みを評価する事、
において、その粘着テープを、前腕部内側から剥がす時に痛みが無い事を示す。
評価〇:痛みが無い、若しくは僅かな痛みの場合。
評価×:痛い場合。
【0191】
【0192】
本発明の肌貼り用粘着剤は、生物由来の炭素含有率が30質量%以上であり、好ましい粘着力、保持力、及び剥がす時に痛みが無いという効果を有し、ペイントシート化粧品、絆創膏に好適である。
【0193】
[4]産業上の利用可能性
本発明は、生物由来の炭素の含有率が30質量%以上であるメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を含む。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物は、生物由来の炭素の含有率30質量%以上が「バイオベース製品」である。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物では、石油由来材料に代えて、生物由来材料を用いる事に依り、石油資源を節約する事が可能である。
【0194】
本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、皮膜剤に適用すると、優れた、硬さ、摩耗性、及び耐水性という効果を発揮する。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、二重瞼用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び耐水性という効果を発揮する。本発明のメイクアップ化粧料用又はスキンケア用の組成物を、肌貼り用粘着剤に適用すると、優れた、粘着力、保持力、及び剥がす時に痛みが無いという効果を発揮する。