(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064273
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174451
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520001073
【氏名又は名称】パイオニアスマートセンシングイノベーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】長堀 洋平
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA48
5J084BB01
5J084BB14
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA03
5J084EA01
5J084EA02
(57)【要約】
【課題】複数のセンサ部の各々の光の照射範囲の交差部分の幅を狭める。
【解決手段】第3方向Zから見て、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2は、カバー510が位置する領域において交差している。第1照射範囲A1は、カバー510が位置する領域において絞られている。第2照射範囲A2は、カバー510が位置する領域において絞られている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の光の照射範囲が所定領域において交差している複数のセンサ部を備え、
前記複数のセンサ部の各々の照射範囲が前記所定領域において絞られている、センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置において、
前記複数のセンサ部の一のセンサ部の前記照射範囲の少なくとも一部分と、前記複数のセンサ部の他の一のセンサ部の前記照射範囲の少なくとも一部分と、が互いに重なっている、センサ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のセンサ装置において、
前記複数のセンサ部の一のセンサ部の前記照射範囲の中心軸と、前記複数のセンサ部の他の一のセンサ部の前記照射範囲の中心軸と、の間の角度が、前記一のセンサ部の前記照射範囲の照射角度と、前記他の一のセンサ部の前記照射範囲の照射角度と、の和の1/2と実質的に等しくなっている、センサ装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記所定領域に設けられたカバーをさらに備えるセンサ装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載のセンサ装置において、
前記所定領域に対して前記複数のセンサ部の近位側に設けられたカバーをさらに備えるセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LiDAR(Light Detection And Ranging)等の様々なセンサ装置が開発されている。センサ装置は、所定の照射範囲内に送信光を出射する。当該送信光が当該照射範囲に存在する物体に照射された場合、当該送信光が物体によって反射又は散乱される。センサ装置は、当該物体によって反射又は散乱された光を受信光として受信する。
【0003】
特許文献1には、センサ装置の一例について記載されている。センサ装置は、筐体に収容された複数のセンサ部を備えている。筐体には、各センサ部から照射された光を透過するカバーが設けられている。各センサ部の光の照射範囲は、各センサ部から離れるにつれて広がっている。また、各センサ部の光の照射範囲は、カバーが位置する領域の近傍において互いに交差している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、各センサ部の光の照射範囲を交差させることがある。しかしながら、各センサ部の光の照射範囲が各センサ部から離れるにつれて広がっているとき、各センサ部の光の照射範囲の幅が、各センサ部の光の照射範囲の交差部分において比較的広くなり得る。このため、各センサ部の光の照射範囲の交差部分の幅が比較的広くなり得る。この場合、例えば、各センサ部の光の照射範囲の交差部分の近傍にカバーを配置しても、カバーの幅が比較的広くなり得る。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、複数のセンサ部の各々の光の照射範囲の交差部分の幅を狭めることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
各々の光の照射範囲が所定領域において交差している複数のセンサ部を備え、
前記複数のセンサ部の各々の照射範囲が前記所定領域において絞られている、センサ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る第1センサ部の構成の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る光学望遠鏡及びカバーの配置の上面図である。
【
図8】実施形態に係る光学望遠鏡及びカバーの配置の側面図である。
【
図9】変形例2に係る光学望遠鏡及びカバーの配置の上面図である。
【
図10】変形例2に係る光学望遠鏡及びカバーの配置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係るセンサ装置10の上面図である。
【0011】
図1において、第1方向X又は第2方向Yを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第3方向Zを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が第3方向Zの正方向であり、紙面の手前から奥に向かう方向が第3方向Zの負方向であることを示している。
【0012】
図1において、第1方向Xは、後述する筐体500の左右方向に平行な方向となっている。第1方向Xの正方向は、筐体500の左から右に向かう方向となっている。第1方向Xの負方向は、筐体500の右から左に向かう方向となっている。第2方向Yは、筐体500の前後方向に平行な方向となっている。第2方向Yの正方向は、筐体500の後方から前方に向かう方向となっている。第2方向Yの負方向は、筐体500の前方から後方に向かう方向となっている。第3方向Zは、筐体500の高さ方向に平行な方向となっている。第3方向Zの正方向は、筐体500の底面から筐体500の頂面に向かう方向となっている。第3方向Zの負方向は、筐体500の頂面から底面に向かう方向となっている。
【0013】
本実施形態において、第3方向Zは、鉛直方向に平行となっている。具体的には、第3方向Zの正方向は、鉛直方向の下方から上方に向かう方向となっている。第3方向Zの負方向は、鉛直方向の上方から下方に向かう方向となっている。第1方向X及び第2方向Yは、鉛直方向に垂直な水平方向に平行となっている。なお、鉛直方向、水平方向、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zの関係は、上述した例に限定されない。例えば、第1方向X又は第2方向Yが鉛直方向に平行となっていてもよい。
【0014】
以下、特に断りがない限り、「右」とは、第1方向Xの負方向から第1方向Xの正方向に向かう方向を意味する。また、特に断りがない限り、「左」とは、第1方向Xの正方向から第1方向Xの負方向に向かう方向を意味する。また、特に断りがない限り、方向に関する「前」とは、第2方向Yの負方向から第2方向Yの正方向に向かう方向を意味する。また、特に断りがない限り、方向に関する「後」とは、第2方向Yの正方向から第2方向Yの負方向に向かう方向を意味する。
【0015】
センサ装置10は、第1センサ部100、第2センサ部200、筐体500及びカバー510を備えている。説明のため、
図1では、第1センサ部100、第2センサ部200及びカバー510が筐体500を透過した状態で示されている。
【0016】
第1センサ部100及び第2センサ部200は、筐体500に収容されている。筐体500の前面には、カバー510が設けられている。カバー510は、光透過性を有している。具体的には、カバー510は、第1センサ部100の後述する送信光及び受信光に対して透過性を有している。また、カバー510は、第2センサ部200の後述する送信光及び受信光に対して透過性を有している。
【0017】
第1センサ部100は、第1照射範囲A1に送信光を照射している。第1センサ部100から照射された送信光が第1照射範囲A1に存在する物体に照射された場合、当該送信光は、当該物体によって反射又は散乱される。第1センサ部100は、当該物体によって反射又は散乱された光を受信光として受信する。
【0018】
第2センサ部200は、第2照射範囲A2に送信光を照射している。第2センサ部200から照射された送信光が第2照射範囲A2に存在する物体に照射された場合、当該送信光は、当該物体によって反射又は散乱される。第2センサ部200は、当該物体によって反射又は散乱された光を受信光として受信する。
【0019】
本実施形態において、第1センサ部100の送信光の波長及び第2センサ部200の送信光の波長は、互いに実質的に等しくなっている。ただし、第1センサ部100の送信光の波長及び第2センサ部200の送信光の波長は、互いに異なっていてもよい。例えば、第1センサ部100の送信光の波長は、1550nm等、比較的遠距離の測距用の波長となり、第2センサ部200の送信光の波長は、905nm等、比較的近距離の測距用の波長となる。
【0020】
第3方向Zから見て、第1照射範囲A1は、所定領域において絞られている。本実施形態において、第1照射範囲A1は、カバー510が位置する領域において絞られている。具体的には、カバー510に対して第1センサ部100の近位側に位置する第1照射範囲A1は、第1センサ部100から離れるにつれて狭まっている。また、カバー510に対して第1センサ部100の遠位側に位置する第1照射範囲A1は、カバー510から離れるにつれて広がっている。
【0021】
第3方向Zから見て、カバー510に対して第1センサ部100の遠位側に位置する第1照射範囲A1は、第1端E1及び第2端E2の間に第1照射角度θ1を有している。第3方向Zから見て、第1端E1は、第1照射範囲A1の第1中心軸C1に対して左側に位置している。第3方向Zから見て、第2端E2は、第1照射範囲A1の第1中心軸C1に対して右側に位置している。
【0022】
第3方向Zから見て、第2照射範囲A2は、所定領域において絞られている。本実施形態において、第2照射範囲A2は、カバー510が位置する領域において絞られている。具体的には、カバー510に対して第2センサ部200の近位側に位置する第2照射範囲A2は、第2センサ部200から離れるにつれて狭まっている。また、カバー510に対して第2センサ部200の遠位側に位置する第2照射範囲A2は、カバー510から離れるにつれて広がっている。
【0023】
第3方向Zから見て、カバー510に対して第2センサ部200の遠位側に位置する第2照射範囲A2は、第3端E3及び第4端E4の間に第2照射角度θ2を有している。第3方向Zから見て、第3端E3は、第2照射範囲A2の第2中心軸C2に対して右側に位置している。第3方向Zから見て、第4端E4は、第2照射範囲A2の第2中心軸C2に対して左側に位置している。
【0024】
本実施形態において、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2は、互いに実質的に等しくなっている。しかしながら、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2は、互いに異なっていてもよい。
【0025】
第3方向Zから見て、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2は、カバー510が位置する領域において交差している。具体的には、カバー510に対して第1センサ部100の遠位側に位置する第1照射範囲A1は、カバー510の右前側に位置している。また、カバー510に対して第2センサ部200の遠位側に位置する第2照射範囲A2は、カバー510の左前側に位置している。また、第3方向Zから見て、第1中心軸C1及び第2中心軸C2は、カバー510が位置する領域において交差している。
【0026】
本実施形態では、カバー510に対して第1センサ部100及び第2センサ部200の遠位側において第1中心軸C1と第2中心軸C2との間の中心間角度Δθが、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2と実質的に等しくなっている。この場合、第3方向Zから見て、第1端E1及び第3端E3を第3方向Zに重ねることができる。本実施形態では、第1端E1及び第3端E3は、第2方向Yに平行に延伸している。例えば、中心間角度Δθは、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2と厳密に等しくてもよい。或いは、中心間角度Δθは、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2から、第1照射角度θ1の公差、第2照射角度θ2の公差、第1センサ部100及び第2センサ部200の配置の公差等の所定の要因によって、ずれていてもよい。
【0027】
中心間角度Δθが第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2と実質的に等しい場合、中心間角度Δθが第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2より小さい場合と比較して、第3方向Zから見て、第2端E2と第4端E4との間において第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2が存在する範囲を広くすることができる。
【0028】
中心間角度Δθが第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2と実質的に等しい場合、中心間角度Δθが第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2より大きい場合と比較して、第3方向Zから見て、第1端E1と第3端E3との間において第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2のいずれも存在しない範囲が生じなくすることができる。仮に、第1端E1と第3端E3との間において第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2のいずれも存在しない範囲が生じる場合、当該範囲に存在する物体は、センサ装置10によって検出され得なくなる。
【0029】
中心間角度Δθ、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の関係は、上述した例に限定されない。例えば、中心間角度Δθは、第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2と異なっていてもよい。また、中心間角度Δθが第1照射角度θ1及び第2照射角度θ2の和の1/2以下であってもよい。この場合、第3方向Zから見て、第1照射範囲A1の少なくとも一部分と、第2照射範囲A2の少なくとも一部分と、が第3方向Zに重なるようにすることができる。したがって、第3方向Zから見て、第1端E1と第3端E3との間において第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2のいずれも存在しない範囲が生じなくすることができる。
【0030】
図2は、実施形態に係る第1センサ部100の構成の一例を示す図である。なお、第2センサ部200の構成については、第1センサ部100の以下で説明する構成を採用することができる。また、
図2において、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第1方向Xを示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が第1方向Xの正方向であり、紙面の手前から奥に向かう方向が第1方向Xの負方向であることを示している。
【0031】
第1センサ部100は、発光素子110、可動反射素子120、受光素子130、ビームスプリッタ140及び光学望遠鏡150を有している。
【0032】
発光素子110は、例えば、パルス光を出射するレーザダイオード(LD)である。
図2において、第1センサ部100からビームスプリッタ140及び可動反射素子120を経由して光学望遠鏡150まで延びる実線矢印で示されるように、発光素子110から出射された光は、ビームスプリッタ140を透過して可動反射素子120によって反射されて光学望遠鏡150に送られる。
【0033】
発光素子110から出射されて光学望遠鏡150に送られた光は、所定領域に集光される。
図1に示す例では、当該光は、カバー510が位置する領域に集光されている。これによって、
図1に示す第1照射範囲A1は、カバー510が位置する領域において絞られている。また、可動反射素子120は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーである。第3方向Zに平行な方向に延伸する回転軸の周りに可動反射素子120が揺動することで、第1照射範囲A1内のいずれかの方向に向けて送信光が照射される。なお、可動反射素子120は、MEMSミラー以外の素子であってもよい。例えば、可動反射素子120は、ガルバノミラー、ポリゴンミラー等であってもよい。
【0034】
第1センサ部100から照射された送信光は、第1センサ部100の外部に存在する物体によって反射又は散乱される。
図2において、光学望遠鏡150から可動反射素子120及びビームスプリッタ140を経由して受光素子130まで延びる破線矢印で示されるように、第1センサ部100の外部に存在する物体によって反射又は散乱された光は、可動反射素子120によって反射され、ビームスプリッタ140によって反射され、受光素子130に達する。受光素子130は、例えば、アバランシェフォトダイード(APD)である。このようにして、第1センサ部100は、第1センサ部100の外部に存在する物体によって反射又は散乱された光を受信光として受信する。
【0035】
本実施形態において、光学望遠鏡150の中心軸Cは、第1照射範囲A1の第1中心軸C1と一致していない。具体的には、光学望遠鏡150の中心軸Cの第3方向Zの位置は、第1照射範囲A1の第1中心軸C1の第3方向Zの位置に対して第3方向Zの正方向側に位置している。また、第3方向Zから見て、光学望遠鏡150の中心軸Cは、第1照射範囲A1の第1中心軸C1と第3方向Zに重なっている。
【0036】
第1センサ部100の光学系は、
図2に示す例に限定されない。
【0037】
例えば、
図2に示す例では、発光素子110から出射された光を送信する送信系と、受光素子130によって光を受信する受信系と、のいずれにおいても、可動反射素子120によって光が反射されている。しかしながら、受信系においては、可動反射素子120による光の反射を経ずに、受光素子130によって光が受信されてもよい。
【0038】
また、
図2に示す例では、発光素子110から出射された光の照射方向を可動反射素子120によって制御している。しかしながら、発光素子110から出射された光の照射方向の制御方法は、この例に限定されない。例えば、発光素子110をモータ等の駆動部によって回転させることで、発光素子110から出射される光の照射方向を制御してもよい。
【0039】
図3は、比較例に係るセンサ装置10Kの上面図である。比較例に係るセンサ装置10Kは、以下の点を除いて、実施形態に係るセンサ装置10と同様である。
【0040】
比較例において、第3方向Zから見て、第1センサ部100Kの第1照射範囲A1Kは、第1センサ部100Kから離れるにつれて狭まることなく広がっている。第3方向Zから見て、第2センサ部200Kの第2照射範囲A2Kは、第2センサ部200Kから離れるにつれて狭まることなく広がっている。第1照射範囲A1K及び第2照射範囲A2Kは、筐体500Kの前面に設けられたカバー510Kが位置する領域において交差している。
【0041】
比較例において、第1端E1Kは、第3端E3Kに対して左側に位置している。また、第3端E3Kは、第1端E1Kに対して右側に位置している。
【0042】
実施形態と比較例とを比較する。
【0043】
比較例では、第3方向Zから見て、第1照射範囲A1K及び第2照射範囲A2Kの交差部分において、第1照射範囲A1K及び第2照射範囲A2Kが、それぞれ、第1センサ部100K及び第2センサ部200Kから離れるにつれて狭まることなく広がっている。これに対して、実施形態では、第3方向Zから見て、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2の交差部分において、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2が絞られている。したがって、第3方向Zから見て、実施形態における第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2の交差部分の幅は、比較例における第1照射範囲A1K及び第2照射範囲A2Kの交差部分の幅より狭くすることができる。
【0044】
また、実施形態では、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2の交差部分にカバー510が設けられている。具体的には、第1中心軸C1及び第2中心軸C2の交差部分にカバー510が設けられている。したがって、実施形態におけるカバー510の第1方向Xの幅は、比較例におけるカバー510Kの第1方向Xの幅より狭くすることができる。カバー510には、光学コート等の比較的高価な部材が用いられる。したがって、カバー510のコストは、カバー510が小さくなるほど低く抑えることができる。このため、実施形態におけるカバー510のコストは、比較例におけるカバー510Kのコストよりも、低く抑えることができる。
【0045】
また、第3方向Zから見て、実施形態における第2端E2と第4端E4との間の第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2の幅は、比較例における第2端E2Kと第4端E4Kとの間の第1照射範囲A1K及び第2照射範囲A2Kの幅より広くすることができる。したがって、実施形態に係るセンサ装置10は、比較例に係るセンサ装置10Kよりも、第3方向Zに垂直な方向において広範囲のセンシングが可能である。
【0046】
図4は、実施形態に係るセンサ装置10の側面図である。
【0047】
図4において、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第1方向Xを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第1方向Xの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第1方向Xの負方向であることを示している。
【0048】
説明のため、
図4では、第1センサ部100、第2センサ部200及びカバー510が筐体500から透過した状態で示されている。
図4に示す例において、カバー510の第2方向Yの正方向側の前面は、第2方向Yの正方向かつ第3方向Zの負方向の前方斜め下に向けられている。したがって、カバー510に対して第2方向Yの正方向かつ第3方向Zの正方向の前方斜め上から太陽光等のノイズ光がカバー510に入り込みにくくすることができる。また、カバー510の第2方向Yの正方向側の前面に雨滴、埃等の異物が留まりにくくすることができる。ただし、カバー510の配置は、この例に限定されない。例えば、カバー510の第2方向Yの正方向側の前面は、第2方向Yの正方向の前方に向けられていてもよい。
【0049】
図4に示すように、筐体500の左側から見て、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2は、筐体500が位置する領域において絞られていてもよい。
図4に示す例では、第1センサ部100及び第2センサ部200から第2方向Yの正方向に向かうにつれて第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2が狭まることなく広がる場合と比較して、第2方向Yの正方向から見たときのカバー510の第3方向Zの長さを短くすることができる。なお、第3方向Zから見て第1照射範囲A1が絞られている領域の第2方向Yの位置と、第1方向Xから見て第1照射範囲A1が絞られている領域の第2方向Yの位置と、は第2方向Yに揃っていてもよいし、又は第2方向Yに互いにずれていてもよい。第2照射範囲A2についても同様である。
【0050】
図5は、変形例1に係るセンサ装置10Aの上面図である。変形例1に係るセンサ装置10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係るセンサ装置10と同様である。
【0051】
センサ装置10Aは、第3センサ部300を備えている。第3センサ部300は、筐体500に収容されている。
【0052】
第3センサ部300は、第3照射範囲A3に送信光を照射している。第3センサ部300から照射された送信光が第3照射範囲A3に存在する物体に照射された場合、当該送信光は、当該物体によって反射又は散乱される。第3センサ部300は、当該物体によって反射又は散乱された光を受信光として受信する。
【0053】
第3方向Zから見て、第3照射範囲A3は、所定領域において絞られている。本変形例において、第3照射範囲A3は、カバー510が位置する領域において絞られている。具体的には、カバー510に対して第3センサ部300の近位側に位置する第3照射範囲A3は、第3センサ部300から離れるにつれて狭まっている。また、カバー510に対して第3センサ部300の遠位側に位置する第3照射範囲A3は、カバー510から離れるにつれて広がっている。
【0054】
第3方向Zから見て、カバー510に対して第3センサ部300の遠位側に位置する第3照射範囲A3は、第5端E5及び第6端E6の間に第3照射角度θ3を有している。第3方向Zから見て、第5端E5は、第3照射範囲A3の第3中心軸C3に対して右側に位置している。第3方向Zから見て、第6端E6は、第3照射範囲A3の第3中心軸C3に対して左側に位置している。
【0055】
第3方向Zから見て、第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3は、カバー510が位置する領域において交差している。具体的には、カバー510に対して第1センサ部100の遠位側に位置する第1照射範囲A1は、カバー510の右前側に位置している。また、カバー510に対して第2センサ部200の遠位側に位置する第2照射範囲A2は、カバー510の左前側に位置している。また、カバー510に対して第3センサ部300の遠位側に位置する第3照射範囲A3は、カバー510の前側に位置している。また、第3方向Zから見て、第1中心軸C1、第2中心軸C2及び第3中心軸C3は、カバー510が位置する領域において交差している。
【0056】
本変形例では、カバー510に対して第1センサ部100及び第3センサ部300の遠位側において第1中心軸C1と第3中心軸C3との間の第1中心間角度Δθ1が、第1照射角度θ1及び第3照射角度θ3の和の1/2と実質的に等しくなっている。したがって、第3方向Zから見て、第1端E1及び第5端E5を第3方向Zに重ねることができる。
【0057】
本変形例では、カバー510に対して第2センサ部200及び第3センサ部300の遠位側において第2中心軸C2と第3中心軸C3との間の第2中心間角度Δθ2が、第2照射角度θ2及び第3照射角度θ3の和の1/2と実質的に等しくなっている。したがって、第3方向Zから見て、第3端E3及び第6端E6を第3方向Zに重ねることができる。
【0058】
本変形例においては、第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3の交差部分において第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3が絞られている。したがって、第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3の交差部分において、第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3がそれぞれ第1センサ部100、第2センサ部200及び第3センサ部300から離れるにつれて狭まることなく広がる場合と比較して、第1照射範囲A1、第2照射範囲A2及び第3照射範囲A3の交差部分の幅を狭めることができる。
【0059】
実施形態ではセンサ装置10が2つのセンサ部を備えており、変形例1ではセンサ装置10Aは3つのセンサ部を備えている。しかしながら、センサ装置が4つ以上のセンサ部を備える場合においても、実施形態及び変形例1を用いて説明した構成は、同様に適用可能である。すなわち、複数のセンサ部の各々の光の照射範囲は、複数のセンサ部の各々の光の照射範囲の交差部分において絞られるようにすることができる。
【0060】
図6は、変形例2に係るセンサ装置10Bの上面図である。変形例2に係るセンサ装置10Bは、以下の点を除いて、実施形態に係るセンサ装置10と同様である。
【0061】
本変形例では、カバー510Bが、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2が交差する領域に対して、第1センサ部100及び第2センサ部200の近位側に設けられている。具体的には、カバー510Bは、第1中心軸C1及び第2中心軸C2が交差する領域に対して、第1センサ部100及び第2センサ部200の近位側に設けられている。
【0062】
本変形例においても、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2の交差部分において、第1照射範囲A1及び第2照射範囲A2がそれぞれ第1センサ部100及び第2センサ部200から離れるにつれて狭まることなく広がる場合と比較して、カバー510Bの第1方向Xの幅を狭めることができる。また、実施形態と比較して、筐体500の第2方向Yの長さを短くすることができる。
【0063】
図7は、実施形態に係る光学望遠鏡150及びカバー510の配置の上面図である。
図8は、実施形態に係る光学望遠鏡150及びカバー510の配置の側面図である。
図9は、変形例2に係る光学望遠鏡150及びカバー510Bの配置の上面図である。
図10は、変形例2に係る光学望遠鏡150及びカバー510Bの配置の側面図である。
【0064】
実施形態及び変形例2において、
図8及び
図10に示すように、光学望遠鏡150の中心軸Cの第3方向Zの位置は、第1照射範囲A1の第1中心軸C1の第3方向Zの位置に対して第3方向Zの正方向側に位置している。また、
図7及び
図9に示すように、第3方向Zから見て、光学望遠鏡150の中心軸Cは、第1照射範囲A1の第1中心軸C1と第3方向Zに重なっている。
【0065】
図7及び
図8において、光学望遠鏡150の第2方向Yの正方向側の前面から延びる2本の実線矢印と、当該2本の実線矢印の間に位置する領域とは、光学望遠鏡150の第2方向Yの正方向側の前面とカバー510の第2方向Yの負方向側の後面との間の第1照射範囲A1を示している。
図7及び
図8において、カバー510の第2方向Yの負方向側の後面から延びる2本の破線矢印と、当該2本の破線矢印の間に位置する領域とは、迷光照射範囲SAを示している。迷光照射範囲SAには、光学望遠鏡150の第2方向Yの正方向側の前面から第1照射範囲A1に向けて照射された送信光がカバー510の第2方向Yの負方向側の後面において反射することで生じる迷光が照射されている。
図9及び
図10においても同様にして、第1照射範囲A1及び迷光照射範囲SAが示されている。
【0066】
【0067】
図7及び
図8に示す実施形態において、第1照射範囲A1は、カバー510の第2方向Yの負方向側の後面においてほぼ1点に絞られている。これに対して、
図9及び
図10に示す変形例2において、カバー510Bの第2方向Yの負方向側の後面は、第1照射範囲A1が1点に絞られる領域に対して、光学望遠鏡150の第2方向Yの正方向側の前面の近位側に設けられている。したがって、
図7及び
図8に示す実施形態においては、
図9及び
図10に示す変形例2と比較して、第2方向Yから見たときのカバー510の第1方向Xの長さ及びカバー510の第3方向Zの長さを短くすることができる。一方、
図9及び
図10に示す変形例2においては、
図7及び
図10に示す実施形態と比較して、光学望遠鏡150とカバー510Bを設けるために必要な空間の第2方向Yの長さを短くすることができるため、筐体500Bの第2方向Yの長さを短くすることができる。
【0068】
図9及び
図10に示す変形例2において、迷光照射範囲SAは、カバー510Bの第2方向Yの負方向側の後面から第2方向Yの負方向の後方に離れた領域においてほぼ1点に絞られた領域を有している。これに対して、
図7及び
図8に示す実施形態において、迷光照射範囲SAは、カバー510の第2方向Yの負方向側の後面から第2方向Yの負方向の後方へ離れるにつれて狭まることなく広がっている。したがって、
図9及び
図10に示す変形例2においては、
図7及び
図8に示す実施形態と比較して、カバー510Bの第2方向Yの負方向側の後面に対して第2方向Yの負方向の後方における迷光照射範囲SAを狭くすることができる。
【0069】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
10 センサ装置
10A センサ装置
10B センサ装置
10K センサ装置
100 第1センサ部
100K 第1センサ部
110 発光素子
120 可動反射素子
130 受光素子
140 ビームスプリッタ
150 光学望遠鏡
200 第2センサ部
200K 第2センサ部
300 第3センサ部
500 筐体
500K 筐体
510 カバー
510B カバー
510K カバー
A1 第1照射範囲
A1K 第1照射範囲
A2 第2照射範囲
A2K 第2照射範囲
A3 第3照射範囲
C 中心軸
C1 第1中心軸
C2 第2中心軸
C3 第3中心軸
E1 第1端
E1K 第1端
E2 第2端
E2K 第2端
E3 第3端
E3K 第3端
E4 第4端
E4K 第4端
E5 第5端
E6 第6端
SA 迷光照射範囲
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向