(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023064311
(43)【公開日】2023-05-11
(54)【発明の名称】継手構造
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
E02D5/80 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021174517
(22)【出願日】2021-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】三上 登
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
2D041GB01
2D041GC14
2D041GD01
(57)【要約】
【課題】任意の補強芯材をスクリュー羽根のピッチを乱すことなく接続することができ、接続部分にも亜鉛メッキ処理を施すことができ、低コストで製造することができる、主にスクリュー羽根付き補強芯材に用いられる継手構造を提供する。
【解決手段】第1管状部材2と第2管状部材3を接続する継手構造1であって、第1管状部材2は、周壁に孔部22と、孔部22に向けて漸次深くなるテーパ面となっている溝部23を有し、第2管状部材3は、貫通孔33と、貫通孔33内において進退可能に設けられたピン部材34と、ピン部材34を外側に向けて付勢する線状ばね35とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管状部材と第2管状部材を接続する継手構造であって、
前記第1管状部材は、周壁に形成された1つ以上の孔部を有すると共に、内周面において前記孔部の周方向の一端側に連続して周方向に沿い形成され底部が前記孔部に向けて漸次深くなるテーパ面となっている溝部を有し、
前記第2管状部材は、前記第1管状部材内に挿入可能な管状の先端部を有すると共に、前記先端部が前記第1管状部材に挿入された状態で前記孔部と対向する位置に設けられた1つ以上の貫通孔と、前記貫通孔内において突出位置と退避位置との間を進退可能に設けられ前記突出位置において前記先端部の外周面から突出するピン部材と、前記先端部内に設けられ前記ピン部材を前記先端部の径方向外側に向けて付勢する付勢手段とを有することを特徴とする継手構造。
【請求項2】
前記孔部は周方向に延びる長孔であることを特徴とする請求項1に記載の継手構造。
【請求項3】
前記付勢手段は平面視が略C型の線状ばねであることを特徴とする請求項1又は2に記載の継手構造。
【請求項4】
前記付勢手段はスナップリングであることを特徴とする請求項1又は2に記載の継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にスクリュー羽根付き補強芯材に用いられる継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
地山内に鉄筋や鋼棒等の棒状補強芯材を挿入して斜面の安定性を高める地山補強工法が広く用いられている。
【0003】
こうした地山補強工法の一例として、側面に吐出口が形成された筒状の補強芯材を地山に打設し、補強芯材内にグラウトを圧入して、吐出口から補強芯材の周囲にグラウトを吐出して周囲の土壌に充填して硬化することで補強芯材を地山に固定する工法がある(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、グラウトを使用する工法ではグラウトにより環境を汚染してしまうため、グラウトを用いずに補強芯材を地山に固定する工法が開発されていて、こうした新たな工法として、例えば棒状の補強芯材にスクリュー羽根を取り付けたスクリュー羽根付き補強芯材を用いる工法が開発されている(特許文献2参照)。
【0005】
この工法では、スクリュー羽根付き補強芯材は回転しながら地山にねじ込まれ挿入されることにより地山に設置され、スクリュー羽根が周囲の土壌に食い込んだ状態となることで、グラウトを用いなくても補強芯材を地山に固定することができる。
【0006】
スクリュー羽根付き補強芯材の地山への設置は、ボーリングマシンを用いて行われる。地山の状況に応じてつなぎ合わせるスクリュー羽根付き補強芯材の本数が調節され、最も基端部分に位置する補強芯材(すなわち、地山への設置時に地面に最も近い位置にある補強芯材)がボーリングマシンのスピンドルに接続される。このようなスクリュー羽根付き補強芯材同士の接続、およびスクリュー羽根付き補強芯材とスピンドルとの接続には、一般的にねじ継手が用いられている。そして、スピンドルが回転しながら前進することにより、スクリュー羽根付き補強芯材も回転しつつ地山にねじ込まれ設置される。スクリュー羽根付き補強芯材の基端部分は地山から所定の長さだけ突出した状態とされて、この突出部分に頭部キャップが被せられることでスクリュー羽根付き補強芯材の設置が完了する。
【0007】
こうしたスクリュー羽根付き補強芯材は、所要の本数の補強芯材が接続された状態で、一連の補強芯材の周囲に一定のピッチでらせん状にスクリュー羽根が溶接により取り付けられることで製造される。そして、スクリュー羽根付き補強芯材は、グラウトを用いることなく地山中に設置されるため、土壌に露出した状態となり錆びによる強度劣化が懸念されるため、亜鉛メッキ処理等の適切な防錆処理が行われる。しかし、ねじ継手として角ねじを用いる場合には、ねじ山及びねじ溝に亜鉛メッキ処理を行ってしまうとねじを締めることができなくなるため亜鉛メッキ処理が困難である。そこで、ねじ継手のねじ部分をロープねじに変更することで亜鉛メッキ処理を可能とするか、あるいは角ねじに対して無電解メッキ処理を行うことでねじ締めを可能とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-252319号公報
【特許文献2】特公平2-62648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ねじ継手が用いられている従来のスクリュー羽根付き補強芯材を複数本つなぎ合わせて使用する場合には、スクリュー羽根の溶接時の組み合わせでなければスクリュー羽根のピッチが合わず使用できないため、一部の補強芯材が破損した場合等に他の組み合わせを構成する補強芯材と交換することができず全体的に交換する必要があり、使い勝手が悪かった。
【0010】
また、上述したように補強芯材間の接続、及び補強芯材とスピンドルとの接続に使用されるねじ継手にロープねじを使用する場合には、角ねじと比べて強度が低下するため、亜鉛メッキ処理に加えて焼入れ等の強度を向上させる加工が必要となり、製造コストが増加してしまうという問題があった。また、角ねじを採用してこれに無電解メッキを施す場合も、やはり製造コストが増加してしまうという問題があった。
【0011】
このような従来の問題点に鑑み、本発明では、任意の補強芯材をスクリュー羽根のピッチを乱すことなく接続することができ、接続部分にも亜鉛メッキ処理を施すことができ、低コストで製造することができる、主にスクリュー羽根付き補強芯材に用いられる継手構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1管状部材と第2管状部材を接続する継手構造であって、前記第1管状部材は、周壁に形成された1つ以上の孔部を有すると共に、内周面において前記孔部の周方向の一端側に連続して周方向に沿い形成され底部が前記孔部に向けて漸次深くなるテーパ面となっている溝部を有し、前記第2管状部材は、前記第1管状部材内に挿入可能な管状の先端部を有すると共に、前記先端部が前記第1管状部材に挿入された状態で前記孔部と対向する位置に設けられた1つ以上の貫通孔と、前記貫通孔内において突出位置と退避位置との間を進退可能に設けられ前記突出位置において前記先端部の外周面から突出するピン部材と、前記先端部内に設けられ前記ピン部材を前記先端部の径方向外側に向けて付勢する付勢手段とを有することを特徴とする継手構造である。
【0013】
このような継手構造において、前記孔部は周方向に延びる長孔であることが好ましい。
【0014】
また、このような継手構造において、前記付勢手段は平面視が略C型の線状ばねであることが好ましい。
【0015】
また、このような継手構造において、前記付勢手段はスナップリングであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上述した構成になる本発明の継手構造によれば、第1管状部材内に第2管状部材の先端部を挿入して第2管状部材のピン部材を第1管状部材の孔部内に突出させることで第1管状部材と第2管状部材の接続が行われる。そして、第1管状部材と第2管状部材のうち一方を回転させ、ピン部材を孔部の溝部と連続していない側の周壁に当接させることで、第1管状部材と第2管状部材の当該回転方向への位置決めをすることができる。
【0017】
そして、第1管状部材と第2管状部材がスクリュー羽根付き補強芯材である場合には、この位置決めされた状態において第1管状部材と第2管状部材に所定のピッチになるように連続してスクリュー羽根が形成される。これにより、このスクリュー羽根を形成した際の組み合わせを構成する補強芯材のうち一部を、同様に形成された他のスクリュー羽根付き補強芯材を構成する補強芯材と交換した場合でも、同様に位置決めすることでスクリュー羽根が同じピッチで連続することになるため、スクリュー羽根付き補強芯材を構成する補強芯材を任意に選択して用いることができる。
【0018】
また、第1管状部材と第2管状部材の接続をピン部材を用いて行うことにより、ねじ継手に角ねじを用いる場合のように継手部分に亜鉛メッキ処理を施すことができないという問題が生じることがなく、継手部分も含めた全体に安価な亜鉛メッキ処理を施すことが可能となるため、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る継手構造を示す模式図である。
【
図2】
図1の継手構造を軸線方向から見た状態を示す模式図であり、(a)はピン部材が孔部内に突出して位置決めされている状態、(b)はピン部材が溝部の底部に乗り上げている状態、(c)はピン部材が底部を超えて退避位置に移動した状態を示している。
【
図3】本発明の別の実施形態に係る継手構造において用いられるピン部材と付勢手段としてのスナップリングを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明に係る継手構造の一実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る継手構造を示す模式図である。本実施形態に係る継手構造1は、2つの管状部材である第1管状部材2と第2管状部材3とを接続するものである。
【0022】
第1管状部材2は、少なくとも一端に開口部21を有する円筒状の鋼管であり、周壁の対向する位置に形成された2つの周方向に延びる長孔である孔部22を有すると共に、内周面において孔部22の長手方向の周壁222に連続して形成された溝部23を有している。
【0023】
孔部22は平面視が角丸長方形の長孔であり、第1管状部材2の周壁を貫通して形成されている。
【0024】
溝部23は、孔部22の周壁222に連続して周方向に沿い形成されている溝である。溝部23は、底部231が孔部22に向かうに従い漸次深くなるテーパ面となっている。
【0025】
第2管状部材3は、第1管状部材2の開口部21内に挿入可能な管状の先端部32を有する。先端部32は、第2管状部材3の本体部31の先端部分の外径を縮径させて形成されていて、内径は本体部31と同一になっている。先端部32には、先端部32が第1管状部材2の開口部21内に挿入された状態で孔部22に対向する位置に設けられた2つの丸孔である貫通孔33が形成されている。先端部32と本体部31との間は、段部312になっている。
【0026】
先端部32の2つの貫通孔33内には、それぞれ円柱状の金属部材であるピン部材34が貫通孔33内を進退可能に設けられている。ピン部材34は、一端側に貫通孔341が形成されている。
【0027】
ピン部材34の貫通孔341には、ピン部材34を先端部32の径方向外側に向けて付制する付勢手段としての、平面視が略C型の線状ばね35が挿通されている。
【0028】
次に、上述した構成を備える継手構造1による第1管状部材2と第2管状部材3が接続され一体的に回転する様子および分離される様子について説明する。
図2は、
図1の継手構造1を軸線方向から見た状態を示す模式図であり、(a)はピン部材34が孔部22内に突出して位置決めされている状態、(b)はピン部材34が溝部の底部231に乗り上げている状態、(c)はピン部材34が底部231を超えて退避位置に移動した状態を示している。なお、
図2(a)に示す、孔部22内に突出した状態のピン部材34の位置を「突出位置」という。
【0029】
まず、第1管状部材2の開口部21内に第2管状部材3の先端部32が挿入される。このとき、作業者はピン部材34による干渉が生じないように手でピン部材34を第2管状部材3の貫通孔33内に押し込んだ状態で先端部32を開口部21内に挿入する。そして、第1管状部材2の先端部分が第2管状部材3の段部312に当接することにより、第1管状部材2と第2管状部材3の挿入方向への位置決めが行われる。
【0030】
次に、第1管状部材2と第2管状部材3の挿入方向への位置決めが行われている状態で、これらのうち何れか一方を回転させ、貫通孔33が孔部22と重なる位置に到達すると、
図2(a)に示すように、ピン部材34の先端部分が線状ばね35の付勢により孔部22内に突出した状態となる。このピン部材34の突出は、線状ばね35が先端部32の内周壁に当接してピン部材34の動作が規制されるまで行われる。
【0031】
そして、
図2(a)に示す状態で、第1管状部材2と第2管状部材3のうち何れか一方を、ピン部材34が孔部22の溝部と連続していない側の周壁221に当接するよう回転することにより、第1管状部材2と第2管状部材3とが当該回転方向に対して位置決めされた状態となる。更に当該方向への回転を継続すると、ピン部材34から周壁221へと回転力が伝達されることで、第1管状部材2と第2管状部材3のうち回転する一方の動作に他方を従動させることができ、第1管状部材2と第2管状部材3を一体的に回転することができる。
【0032】
次に、第1管状部材2と第2管状部材3を分離する動作について説明する。第1管状部材2と第2管状部材3のうち何れか一方を逆回転させ、ピン部材34を周壁221から遠ざかる方向に移動させると、
図2(b)に示すようにピン部材34が周壁221とは反対側に位置する周壁222から溝部23のテーパ面となっている底部231に乗り上げ、線状ばね35の付勢力に抗して貫通孔33内で退避を開始し、ピン部材34が孔部22から脱離する。
【0033】
この状態から更に逆回転を続けると、
図3(c)に示すようにピン部材34が底部231を上っていくと共に線状ばね35の付勢力に抗して更に貫通孔33内を退避していき、やがて溝部23から離脱し、第1管状部材2の内周壁に当接した状態となり、ピン部材34は退避位置に到達する。この
図3(c)の状態になることで、第1管状部材2から第2管状部材3を引き抜くことが可能な状態、すなわち分離可能な状態にすることができる。
【0034】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
図3は、本発明の別の実施形態に係る継手構造において用いられるピン部材4と付勢手段としてのスナップリング5を示す模式図である。
【0035】
この実施形態に係る継手構造では、第1管状部材2と第2管状部材3の構造は
図1及び
図2を用いて説明した実施形態に係るものと同様である一方、第2管状部材3内に設けられるピン部材4とスナップリング5は異なっている。以下、主にこのピン部材4とスナップリング5について説明し、上述した実施形態に係るものと同様の構成についての説明は省略する。
【0036】
ピン部材4は、側面視がハット状の金属製の部材であり、円柱状の本体部41と、本体部41の端部に拡径して形成された円盤状のフランジ部42を有している。本体部41は第2管状部材3の貫通孔33内及び第1管状部材2の孔部22内に挿入可能な径を有している。一方、フランジ部42は第2管状部材3の貫通孔33の径よりも大きな径を有しているため、貫通孔33内に進入することができず、ピン部材4が貫通孔33から脱離することを防止することができる。
【0037】
スナップリング5は、広く一般に用いられている金属製のものであり、任意のものを適宜選択して用いることができる。
【0038】
このピン部材4及びスナップリング5を用いた第1管状部材2と第2管状部材3との接続および分離の様子は
図2を用いて上述した通りであるためここでは説明を省略する。
【0039】
上述した各実施形態に係る継手構造1によれば、第1管状部材2内に第2管状部材3の先端部32を挿入して第2管状部材3のピン部材34(4)を第1管状部材2の孔部22内に突出させることで第1管状部材2と第2管状部材3の接続が行われる。そして、第1管状部材2と第2管状部材3のうち一方を回転させ、ピン部材34(4)を孔部22の溝部23と連続していない側の周壁221に当接させることで、第1管状部材2と第2管状部材3の当該回転方向への位置決めをすることができる。
【0040】
そして、第1管状部材2と第2管状部材3がスクリュー羽根付き補強芯材である場合には、この位置決めされた状態において第1管状部材2と第2管状部材3に所定のピッチになるように連続してスクリュー羽根を形成することにより、このスクリュー羽根を形成した際の組み合わせを構成する補強芯材のうち一部を、同様に形成された他のスクリュー羽根付き補強芯材を構成する補強芯材と交換した場合でも、同様に位置決めすることでスクリュー羽根が同じピッチで連続するため、スクリュー羽根付き補強芯材を構成する補強芯材を任意に選択して用いることができる。
【0041】
また、第1管状部材2と第2管状部材3の接続をピン部材34(4)を用いて行うことにより、ねじ継手の部分に角ねじを用いる場合のように継手部分に亜鉛メッキ処理を施すことができないという問題が生じることがなく、継手部分も含めた全体に安価な亜鉛メッキ処理を施すことが可能となるため、製造コストを低減することができる。
【0042】
さらに、第1管状部材2と第2管状部材3がスクリュー羽根付き補強芯材とボーリングマシンのスピンドルとの組み合わせである場合には、地山へのスクリュー羽根付き補強芯材の設置はピン部材34(4)が孔部22の溝部23と連続していない側の周壁221に当接するようにスピンドルを回転することで行うことができる。なお、スクリュー羽根はピン部材34(4)が周壁221に当接する方向にスピンドルを回転した場合に補強芯材が地山にねじ込まれるような向きで形成されることはもちろんである。
【0043】
一方、設置後にはスピンドルを設置時と逆回転させることにより、ピン部材34(4)が孔部22からテーパ面となっている溝部23に乗り上げることで孔部22から脱離することができ、スクリュー羽根付き補強芯材とスピンドルとを容易に分離することができる。そのため、ねじ継手を用いる場合のようにスクリュー羽根付き補強芯材とスピンドルとの分離に際してパイプレンチ等の工具を使用する必要がなく、地山への設置時に補強芯材の地面から突出する部分を頭部キャップを被せるのに必要な長さのみ確保すればよい。
【0044】
また、本発明においては第1管状部材2に形成された孔部22はピン部材34(4)を挿通可能な形状であれば任意の形状のものを採用することができるが、周方向に延びる長孔とすることにより、ピン部材34(4)が溝部23側に僅かに移動した場合でも第1管状部材2と第2管状部材3とが分離しないようにすることができる。これにより、例えばボーリングマシンのスピンドルとスクリュー羽根付き補強芯材との接続の場合においてボーリングマシンを一時停止する際等に、スピンドルに反力が作用して僅かに逆回転することがあるが、こうした僅かな逆回転が生じた場合でもスピンドルとスクリュー羽根付き補強芯材との接続を維持することができ、スクリュー羽根付き補強芯材のねじ込みを直ちに再開することができる。
【0045】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0046】
例えば、上述した各実施形態に係る継手構造1においてはピン部材34(4)の付勢手段として線状ばね35やスナップリング5が用いられているが、本発明においてはこれに限らず、ピン部材34(4)の進退動作を確保しつつ第2管状部材3の径方向外側に向けて付勢可能な部材であれば任意のものを用いることができる。
【0047】
また、上述した実施形態に係る継手構造1をスクリュー羽根付き補強芯材同士の接続、またはスクリュー羽根付き補強芯材とボーリングマシンのスピンドルとの接続に用いる場合について説明したが、本発明に係る継手構造はこうした用途に限らず、他の種類の部材同士の接続にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1:継手構造
2:第1管状部材
3:第2管状部材
4、34:ピン部材
5:スナップリング
21:開口部
22:孔部
23:溝部
32:先端部
33:貫通孔
35:線状ばね
41:本体部
42:フランジ部
221、222:周壁
231:底部
312:段部
341:貫通孔